JP4218853B2 - 単結晶引き上げ用炭素質ルツボとその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、チョコラルスキー法(以下「CZ法」という)によるシリコンなどの単結晶引上げ装置に使用される石英ルツボを支持するために用いる炭素質ルツボに関する。
【0002】
【従来の技術】
ICやLSIなどの製造に用いるシリコンなどの単結晶は、通常CZ法により製造されている。CZ法は、高純度の石英ルツボの中にシリコン多結晶を入れ、石英ルツボを所定速度で回転させながらヒータによりシリコン多結晶を加熱溶融し、シリコン多結晶の溶融液の表面に種結晶(シリコン単結晶)を接触させて、所定速度で回転させながらゆっくりと引上げることによりシリコン多結晶の溶融液を凝固させて、シリコン単結晶に成長させるものである。
【0003】
しかしながら、石英ルツボは高温においては軟化し、強度も充分でないので、通常、石英ルツボは炭素ルツボ内に嵌合され炭素ルツボで石英ルツボを支持することにより補強して用いられている。この石英ルツボを嵌合する炭素ルツボとしては高温強度が高く、耐熱性や熱伝導率が大きい黒鉛材が一般的に使用されている。しかしながら、黒鉛材は表面から黒鉛の微粉が離脱、飛散し易いので装置内を浮遊してシリコン溶融液中に混入し、シリコン単結晶の品質を低下させる難点がある。
【0004】
また、材質上石英と黒鉛とは熱膨張係数が大きく異なるために、加熱、冷却を繰り返し行っている間に加熱時には石英ルツボが軟化して黒鉛ルツボに密着し、一方冷却時には黒鉛ルツボの収縮量が石英ルツボの収縮量に比べて大きくなることにより石英ルツボから内圧を受けることとなり、黒鉛ルツボの変形、割損などが生じる難点もある。
【0005】
更に、高温加熱時に石英ルツボ(SiO2 )と黒鉛ルツボ(C)とは接触する嵌合面において反応してSiOガスを発生し、発生したSiOガスは黒鉛ルツボ表層部の気孔内に浸透しながら黒鉛ルツボ(C)と反応して黒鉛ルツボの表層部の気孔内から次第に内部にまでSiCに転化する。したがって、このような加熱処理が繰り返し行われると、黒鉛ルツボ内における黒鉛とSiCとの材質性状、例えば熱膨張係数の相違によりミクロクラックが発生して、遂には黒鉛ルツボの割損を招くこととなる。
【0006】
この難点を解決するために、特開昭63−166789号公報には、少なくとも黒鉛の気孔の内部表面を有機珪素高分子化合物であるポリカルボシランを原料とする炭化珪素膜で被覆してなるシリコン単結晶引上装置用黒鉛製ルツボ、及びポリカルボシランを少なくとも黒鉛の気孔の内部に含浸充填した後、酸性雰囲気中の50〜400 ℃下で不融化させ、さらに不活性雰囲気中の1000〜2000℃下で焼成し前記ポリカルボシランを熱分解して形成するシリコン単結晶引上装置用黒鉛製ルツボの製造方法が提案されている。
【0007】
この特開昭63−166789号公報の技術によれば、石英ルツボを嵌合する黒鉛ルツボの内部表面の気孔内をSiCに転化して、石英ルツボと黒鉛ルツボの反応を抑止することによりSiOガスの発生を抑制し、またSiOガスとの反応による黒鉛ルツボ内部表面のSiC化を防止するものである。しかしながら、有機珪素高分子化合物であるポリカルボシランの含浸充填は、アセトンやヘキサンなどの有機溶媒にポリカルボシランを溶解した溶液中に黒鉛素材を浸漬するなどの方法により行われるので、黒鉛素材の表面部に存在する、例えば数十ミクロン以下の微細な気孔中に充填することは極めて困難である。
【0008】
そこで、黒鉛に比べて強度特性に優れ、また石英との熱膨張係数の差異が少ない炭素繊維強化炭素材(以下「C/C材」ともいう)を用いて炭素ルツボを構成する提案も行われており、例えば、少なくとも側壁部分が一体のC/C材により構成されてなる単結晶引き上げ用ルツボ(実開昭63−7174号公報)、ルツボ内側を炭素繊維クロス積層体または炭素繊維フェルト積層体を用いたC/C材とし、ルツボ外側をフィラメントワインディング法により成形したC/C材で構成した二層よりなるシリコン単結晶引き上げ用炭素繊維強化炭素ルツボ(特開平9−263482号公報)、などが提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらのC/C材からなる炭素ルツボであっても、上記した石英ルツボとの反応によるSiOガスの発生や発生したSiOガスが炭素ルツボ表層部の気孔内部に拡散し気孔内面と反応してSiCへ転化させる現象を防止することはできないという問題点がある。
【0010】
そこで、本発明者は、黒鉛材に比べて強度特性に優れたC/C材を対象として耐久性に優れた炭素質ルツボの開発について鋭意研究を進めた結果、化学的気相充填法によりSiCを析出させることによりC/C材の表層部に存在する微細な気孔内部にまでSiCを充填させることが可能であり、更にその炭素質ルツボを用いて、多数回の単結晶引き上げ操作を繰り返し安定に行うことのできることを見出した。
【0011】
本発明は、この知見に基づいて完成したものであり、その目的は石英ルツボとの反応性が抑制されてSiOガスの発生を抑止し、また発生したSiOガスが炭素質ルツボ表層部の気孔内部に拡散し気孔内面と反応してSiCに転化する現象が抑止されることにより、多数回の引き上げ操作を安定に繰り返し行うことが可能な単結晶引き上げ用炭素質ルツボとその製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明の単結晶引き上げ用炭素質ルツボは、炭素繊維強化炭素材を基材とし、該基材の全気孔容積の35〜50vol%がCVI法により析出したSiCで充填された炭素繊維強化炭素材とSiCの複合体からなり、表面に形成されたSiC被膜の膜厚が35〜56μmで、表面膜質がβ−SiCであることを構成上の特徴とする。
【0013】
また、その製造方法は、炭素繊維にマトリックス樹脂を含浸、硬化したルツボ成形体を非酸化性雰囲気下に焼成炭化して得られた炭素繊維強化炭素材を基材とし、該基材をCVI装置にセットして、系内を4Torr以下の圧力に真空排気する工程、1100〜1200℃の温度に加熱しながらハロゲン化有機珪素化合物と水素との混合ガスを原料ガスとして原料ガス中のハロゲン化有機珪素化合物の濃度を8〜25 mol%に設定して瞬間導入する工程、原料ガスをCVI反応により熱分解してSiCを析出させるために所定時間保持する工程、とからなる一連の操作を1パルスとして繰り返し行い、基材の気孔内にSiCを析出充填することを構成上の特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の単結晶引き上げ用炭素質ルツボは、ポリアクリロニトリル系、レーヨン系、ピッチ系などの各種原料から製造された炭素繊維を強化材として、これらの炭素繊維がフェノール系やフラン系などの熱硬化性樹脂を焼成炭化した炭化物により結着され、一体化されたC/C材を基材として、このC/C基材の全気孔容積の35〜50 vol%がCVI法により析出したSiCにより充填されたC/C材とSiCの複合体の組織構造から構成された点に特徴がある。
【0015】
C/C材には種々の大きさの気孔が存在しており、C/C材を用いてCZ法による単結晶引き上げ用の炭素ルツボを作製した場合には、高温加熱時に嵌合する石英ルツボとの接触面において石英ルツボと反応してSiOガスを発生し、生成したSiOガスがこの気孔内を速やかに浸透して、C/C材の気孔内面部が容易にSiCに転化される。その結果、炭素ルツボの気孔内が次第にSiC化していき、その結果ミクロクラックが発生し易く、強度特性に優れたC/C材であっても割損することとなる。
【0016】
そこで、本発明の炭素質ルツボは、C/C基材に存在する全気孔容積のうち、その35〜50 vol%をCVI法 (Chemical Vapor Infiltration ; 化学的気相浸透法)により析出沈着させたSiCにより充填したC/C材を用いて、すなわち炭素質ルツボをC/C材とSiCとの複合体から構成することにより、SiOガスの発生及び気孔内へのSiOガスの浸透によるSiC化を効果的に阻止するものである。
【0017】
この場合、SiCの充填量として全気孔容積の35〜50 vol%の範囲に設定するのは、充填量が35 vol%未満では石英ルツボとの反応によるSiOガスの発生ならびにSiOガスの気孔内への浸透によるSiC化の阻止効果が充分でないためである。しかしながら、50 vol%を超えてSiCを充填しても、CVI法によるSiCを析出沈着させる作業の煩雑さに比べてSiOガスの発生及び気孔内のSiC化を阻止する効果が小さくなるためである。
【0018】
本発明の単結晶引き上げ用炭素質ルツボは下記の方法により製造される。
先ず、常法により炭素繊維織布をマトリックス樹脂液に浸漬またはマトリックス樹脂液を塗布するなどの方法で炭素繊維にマトリックス樹脂を含浸し、半硬化したプリプレグを所望のルツボ形状に成形し、硬化した成形体を非酸化性雰囲気に保持された加熱炉中で焼成炭化することによりC/C材からなるルツボ成形体を作製する。なお、マトリックス樹脂としてはフェノール樹脂、フラン樹脂などの高炭化性の熱硬化性樹脂が用いられる。
【0019】
あるいは、連続炭素繊維にマトリックス樹脂液を含浸し、フィラメントワインディング法によりルツボ形状に成形した成形体を硬化したのち、非酸化性雰囲気に保持された加熱炉中で焼成炭化することによりC/C材からなるルツボ成形体を作製することもできる。
【0020】
このようにして作製したC/C材からなるルツボ成形体をCVI装置にセットして、特定のCVI反応条件で処理することにより本発明の全気孔容積の35〜50 vol%が気相析出して気孔内に沈着したSiCにより充填されたC/C材とSiCとの複合組織からなる炭素質ルツボが製造される。
【0021】
CVI法 (Chemical Vapor Infiltration)は、CVD法(Chemical Vapor Dep-osition)と異なり、微細な気孔または空隙内のミクロ表面へ気相蒸着することができる。CVI法はその手法によって、 (a)均熱・定圧型CVI、 (b)強制流動CVI、 (c)パルスCVI、などに大別される。このうち、パルスCVI法は、▲1▼反応系を真空排気して細孔中のガスの除去、▲2▼反応系への原料ガスの瞬間導入、▲3▼反応析出のための所定時間保持、を1パルスとして数千から数十万回繰り返すことにより比較的短時間で気孔深部まで析出物を充填することを可能とするものであり、本発明の目的にはパルスCVI法が好ましく適用される。但し、パルスCVI法に限定されるものではない。
【0022】
C/C材からなるルツボ成形体は、CVI反応装置の基材受台に載置して加熱し、供給した原料ガスを気相熱分解してSiCを析出沈着させることにより、ルツボ成形体の気孔内を充填する。原料ガスには1分子中にSi原子とC原子とを含むメチルトリクロロシラン(CH3SiCl3)、メチルジクロロシラン(CH3SiHCl2) などのハロゲン化有機珪素化合物と水素との混合ガスが用いられる。
【0023】
CVI法により原料ガスを気孔内に浸透させて気相熱分解し、気孔内にSiCを析出充填させるためにはCVI反応条件を次のように設定制御する。
▲1▼反応系内を真空排気して4Torr以下の減圧下に維持して、C/C基材の気孔内に存在するガスを排出除去する。減圧度が4Torrを超えると脱ガスの効果が不充分となり、気孔内深部に存在するガスを充分に排出除去できないために結果的に気孔深部にまでSiCを析出充填することが困難となる(真空排気工程)。
【0024】
▲2▼反応系内を1100〜1200℃の温度に加熱しながら、ハロゲン化有機珪素化合物と水素との混合ガスを原料ガスとして瞬間的に導入する。この場合、加熱温度が1100℃未満であると析出したSiC中に非晶質Siの遊離頻度が高くなり、また1200℃を超えると気孔内部、特に気孔深部へ充填することが難しくなる。更に、原料ガス中のハロゲン化有機珪素化合物の濃度を8〜25 mol%の範囲に設定する。ハロゲン化有機珪素化合物の濃度が8 mol%未満であるとC/C基材の気孔内部への原料ガスの拡散に比べて原料ガスへの伝熱が速くなるためC/C基材表面への析出が優先する結果、気孔内部へのSiC充填が困難となる。しかしながら、濃度が25 mol%を超えると、気孔内部への原料ガス拡散に比較してC/C基材表面での反応頻度が高くなって基材面へのSiC析出が優先する結果、C/C基材の気孔内部へのSiC充填が困難となる(原料ガス瞬間導入工程)。この場合、気孔内部への最大充填量は35 vol%未満である。
【0025】
▲3▼上記▲2▼で設定したCVI反応条件に所定時間保持することにより、気孔内部に所定量のSiCを析出充填する(保持工程)。
【0026】
この▲1▼真空排気工程、▲2▼原料ガス瞬間導入工程、▲3▼保持工程、という一連の工程を1パルスとして、数千から数十万回繰り返すことによりC/C基材の気孔深部にまでSiCを析出沈着させることができ、全気孔容積の35〜50 vol%の気孔内を充填することが可能となる。このようにして、炭素質ルツボを構成するC/C基材の気孔内部及び表層面は高強度で耐酸化性に優れたSiCで充填、被覆され、シリコン単結晶引き上げ時の高温加熱時にも、石英ルツボとの反応性が低下し、SiOガスの発生及びC/C基材の気孔内部への浸透は効果的に抑止される。
【0027】
以下、本発明の実施例を比較例と対比して具体的に説明する。
【0028】
実施例1〜3、比較例1〜5
ポリアクリロニトリル系炭素繊維の二次元織クロスにフェノール樹脂初期縮合物を塗布して含浸し、風乾して作成したプリプレグシートを積層してモールドに入れ、250℃の温度に加熱して樹脂成分を硬化した。次いで、窒素ガス雰囲気に保持した加熱炉中で10℃/hrの昇温速度により2000℃に加熱し、5時間保持して焼成炭化した。このようにして、25×25×4mmのC/C基材(Vf: 約60%)からなるテストピースを作製した。
【0029】
このテストピースを外熱式横型パルスCVI装置の反応炉内にセットし、系内を真空排気して炉内を3〜4Torrに減圧した。次いで、加熱して所定温度に達したのち、トリクロロメチルシラン(CH3SiCl3)と水素との混合ガスを原料ガスとして炉内に導入し、所定の時間反応させて、CVI反応によりテストピースの気孔内にSiCを析出、充填した。この真空排気工程、原料ガス瞬間導入工程、保持工程、の一連の操作を1パルスとして繰り返しCVI反応を行い、SiCの析出、充填による重量増加率が25wt%前後になるまで繰り返し行った。この際、反応温度、原料ガス中のトリクロロメチルシラン濃度、パルス回数、などのCVI反応条件を変更した。なお、その他のCVI反応条件は下記のとおりである。
真空排気工程:排気時間;1.9秒
原料ガス導入工程;導入圧;200Torr、導入時間;0.7秒
保持工程;保持時間;1.0秒
1パルス; 3.6秒
【0030】
このようにしてテストピースにSiCを析出、充填したCVI反応条件を対比して表1に示した。
【0031】
【表1】
(注)*1 トリクロロメチルシラン(CH3SiCl3)と水素とを混合した原料ガス中のトリクロロメチルシランの濃度
【0032】
比較例6
キシレンにポリカルボシランを20重量%の濃度に溶解した溶液中にテストピースを浸漬してポリカルボシランを含浸し、乾燥してキシレンを除去したのち、大気中250℃の温度に5時間加熱して不融化処理した。この処理を3回繰り返した後、窒素ガス雰囲気中で1500℃の温度に加熱してポリカルボシランを熱分解し、テストピースにSiC被膜を形成した。
【0033】
次に、これらのSiCを析出、充填したテストピースについて、下記の方法により重量増加率、表面膜厚、充填率、表面膜質などを測定し、また耐酸化性試験を行った。得られた結果を表2に示した。
【0034】
(1) 重量増加率;反応前後のテストピースの重量変化量を電子天秤で測定し、重量変化量を反応前のテストピースの重量で除して算出した。
(2) 表面膜厚;反応後のテストピースを切断し、切断面を走査型電子顕微鏡で観察して膜厚を計測して、平均した。
(3) 充填率;反応後の体積増加分(Δw/ρ)cm3 からテストピースの表面析出体積(hS0 )cm3 を減じて得られる内部析出体積が、テストピースの細孔容積(Vp)cm3/g に占める割合を充填率として、次式より算出した。
充填率(vol%)=〔(Δw/ρ)−(hS0 )〕/(w0 Vp)×100
但し、Δw;重量増加量、h;走査型電子顕微鏡写真から計測したテストピース表面の析出物膜厚、w0 ;テストピースの重量、S0 ;テストピースの表面積ρ;SiCの密度(3.10g/cm3) 、Vp;0.1452(cm3/g) である。
(4) 表面膜質;X線回折によってテストピース表面の結晶強度を評価した。
(5) 耐酸化性試験;大気雰囲気の電気炉に入れて加熱し、500℃の温度に30分間保持したのち炉から取り出し常温まで自然冷却した。次に600℃の温度に加熱して30分間保持したのち炉から取り出し常温まで自然冷却した。このように100℃づつ昇温して加熱する操作を1000℃まで行い、その時の重量減少率を下記式から算出して、耐酸化性を評価した。
重量減少率(%)=(W0 −W1000)/(W0 )×100
但し、W0 は耐酸化試験前のテストピースの重量、W1000は1000℃まで加熱試験を行った後のテストピースの重量
【0035】
【表2】
【0036】
表1、2の結果から、実施例ではCVI法で析出したSiCにより気孔容積の35〜50vol %が充填されており、酸化処理による重量減少率が低位にあることが認められる。一方、比較例1、2でも実施例1〜3と同等の耐酸化性を示しているが、表面に形成された膜は非晶質Siであるため酸化処理によりSiO2 に転化して重量の増大を招き、重量減少率が見掛け上低位にあるものと判断される。更に、CVI温度が低いのでパルス回数を大幅に増やす必要があり、非効率となる。比較例3では原料濃度が低いためにパルス回数を多くしてもSiCの充填率が低く、酸化試験による減少率が大きいことが判る。比較例4では原料濃度が高いために基材面での膜厚が厚くクラックが発生し、そのうえSiCの充填率も低いために酸化試験による減少率が大きいことが判る。また、比較例5ではCVI温度が高いために表面での膜厚を厚くできるがクラックが発生しそのうえSiCの充填率も低いために酸化試験による減少率が大きいことが判る。
【0037】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明の単結晶引き上げ用炭素質ルツボは、C/C基材の全気孔容積の35〜50 vol%をCVI法により析出したSiCで充填したC/C材とSiCの複合体から構成されているので石英ルツボとの反応性が低く、SiOの発生が効果的に抑止されるのでSiOガスによる炭素質ルツボのSiC化が抑制され、使用寿命が長く、耐久性に優れた炭素質ルツボが提供される。また、その製造方法によれば、CVI反応条件を特定することにより耐久性に優れた炭素質ルツボを容易に製造することが可能となる。
Claims (2)
- 炭素繊維強化炭素材を基材とし、該基材の全気孔容積の35〜50vol%がCVI法により析出したSiCで充填された炭素繊維強化炭素材とSiCの複合体からなり、表面に形成されたSiC被膜の膜厚が35〜56μmで、表面膜質がβ−SiCであることを特徴とする単結晶引き上げ用炭素質ルツボ。
- 炭素繊維にマトリックス樹脂を含浸、硬化したルツボ成形体を非酸化性雰囲気下に焼成炭化して得られた炭素繊維強化炭素材を基材とし、該基材をCVI装置にセットして、系内を4Torr以下の圧力に真空排気する工程、1100〜1200℃の温度に加熱しながらハロゲン化有機珪素化合物と水素との混合ガスを原料ガスとして原料ガス中のハロゲン化有機珪素化合物の濃度を8〜25 mol%に設定して瞬間導入する工程、原料ガスをCVI反応により熱分解してSiCを析出させるために所定時間保持する工程、とからなる一連の操作を1パルスとして繰り返し行い、基材の気孔内にSiCを析出充填することを特徴とする請求項1記載の単結晶引き上げ用炭素質ルツボの製造方法。
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