JP2000095567A - 炭素繊維強化炭素複合材及び単結晶引き上げ装置用部材 - Google Patents

炭素繊維強化炭素複合材及び単結晶引き上げ装置用部材

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JP2000095567A
JP2000095567A JP11154711A JP15471199A JP2000095567A JP 2000095567 A JP2000095567 A JP 2000095567A JP 11154711 A JP11154711 A JP 11154711A JP 15471199 A JP15471199 A JP 15471199A JP 2000095567 A JP2000095567 A JP 2000095567A
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Toshiji Hiraoka
利治 平岡
Naoto Ota
直人 太田
Akira Asari
明 浅利
Toshiaki Sogabe
敏明 曽我部
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱分解炭素をCVI 、CVD を連続的に行いC/C
材に含浸、被覆し、優れた耐SiC 化を発揮できるC/C
材、及びそれにより形成された単結晶引き上げ装置用部
材を提供する。 【解決手段】 C/C基材内部に予め、ピッチ又は樹脂
を含浸し、緻密化した後、CVI、CVD処理を同一
炉、同一工程で連続的に行うことにより、熱分解炭素の
含浸層及び被覆層の密度差を制御し、両層を連続的に形
成することにより耐SiC化を確実にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭素繊維強化炭素
複合材に関し、特に熱分解炭素が含浸、被覆されたもの
に関する。
【0002】
【従来の技術】チョクラルスキー法(以下、CZ法とい
う)に用いられる単結晶引き上げ装置は、単結晶の大口
径化に伴い、前記装置自身も大型化の傾向にある。前記
装置内の高温雰囲気下で使用される部材としては、従来
から機械的強度及び耐熱性に優れた等方性で高密度かつ
高純度の黒鉛が用いられてきた。そして、装置の大型化
に伴い、黒鉛部材も大型化し、そのために、黒鉛部材も
厚肉化せざるを得ず、黒鉛部材の重量増加ひいては炉内
有効寸法の減少によるハンドリング性能の低下につなが
るという問題がある。
【0003】そこで、黒鉛部材よりも軽量でありながら
同等以上の機械的強度を有する炭素繊維強化炭素複合材
(以下、C/C 材という)が注目され、単結晶引き上げ装
置の黒鉛製高温部材の代替として要請されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、C/C 材
は表面の比表面積が大きく、気孔も大きいため、装置内
に充満する溶融シリコンから発生するSiO ガスと反応し
易く、黒鉛に比較するとSiC 化する進展速度が早いとい
う問題がある。
【0005】そのため、このSiO ガスとの反応を抑える
方法として、本出願人によりCZ装置用ルツボとしてC/C
材にCVI 法による熱分解炭素の含浸と被覆を行う方法(P
CT W097-49844)が提案されている。しかしながら、CVI
法のみにより熱分解炭素を含浸、被覆した場合、含浸層
は深くまで形成できるが、表面に形成されている被覆層
は薄く、表面の比表面積が大きく、気孔が皆無でないた
め、耐SiC 化が不十分であった。また、CVD 法のみによ
り熱分解炭素を被覆、含浸した場合は、前記CVI 法の場
合とは逆に、表面の被覆層は厚く形成でき、耐SiC 化も
向上する。しかしながら、表面の熱分解炭素被覆層が損
耗した場合、内部の含浸層が薄いため、C/C 材のSiC 化
が一気に進行するおそれがあり、安全性の面から単結晶
引き上げ装置用部材への適用には不安が残る。
【0006】そこで、本発明の目的は、熱分解炭素をCV
I 、CVD を連続的に行い、C/C 材に含浸、被覆し、優れ
た耐SiC 化を発揮できるC/C 材、及びそれにより形成さ
れた単結晶引き上げ装置用部材を提供することにある。
【0007】
【課題を解決する手段】前記問題を解決するために、本
発明者らはCVI 法、CVD 法の両者の利点を利用すること
により、すなわち、CVI 処理し、その後連続的にCVD 処
理を施し、熱分解炭素を含浸、被覆することにより、被
覆層の耐剥離性が向上することを見出し、本発明の完成
に至った。
【0008】すなわち、本発明の請求項1の発明は、ピ
ッチ又は及び樹脂の含浸により緻密化した後、CVI によ
り熱分解炭素の含浸層を形成し、更に前記含浸層の上に
CVDにより熱分解炭素の被覆層を形成してなる炭素繊維
強化炭素複合材である。熱分解炭素をCVI 法により含浸
すると、表層部付近の気孔及び各繊維による段差が埋ま
り、表面に熱分解炭素をCVD 法で被覆した場合に滑らか
な面を形成することが可能となる。
【0009】請求項2の発明は、前記含浸層及び前記被
覆層の密度差が0.2g/cm3以下である請求項1記載の炭素
繊維強化炭素複合材である。含浸層及び被覆層の密度差
を0.2g/cm3以内、好ましくは0.1g/cm3以内とすること
で、含浸層と被覆層との明確な境界がなくなり、被覆層
の耐剥離性の向上に寄与する。
【0010】請求項3の発明は、前記被覆層の平均面粗
さが5 μm 以下である請求項1又は2記載の炭素繊維強
化炭素複合材である。平均面粗さを5 μm 以下とするこ
とで、SiO ガスとの接触面積を小さくすることができ、
SiC 化を抑制することができる。
【0011】請求項4の発明は、前記含浸層及び前記被
覆層は、同一炉で連続的に形成された請求項1乃至3い
ずれか記載の炭素繊維強化炭素複合材である。同一炉で
連続的に含浸層、被覆層が形成されるため、含浸層表面
が外気に晒されることがないため、含浸層と被覆層の間
に不純物等の介在物が介在することなく、含浸層と被覆
層間の明確な境界の形成を抑制することができる。
【0012】請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれ
かの炭素繊維強化炭素複合材により形成された単結晶引
き上げ装置用部材である。
【0013】本発明におけるC/C 材は、例えば、ピッチ
系又はPAN 系の炭素繊維を出発原料とするUD又は2-D
に、樹脂を含浸させプリプレグにして積層、硬化させる
か、前記炭素繊維をフィラメントワインディングで巻き
付けて加熱、硬化させるか、3-D 又はn-D 織物に樹脂を
含浸させて加熱、硬化させる等の方法によって成形体を
形成する。ここで、最内層の炭素繊維は、3Kクロスの1
枚貼りより、繊維密度が細かくて、SiO ガスの浸透によ
る酸化を少なくするために、1Kクロスの多層貼りが有利
である。この成形体を還元雰囲気で炭化を行う。次にピ
ッチ又は熱硬化性樹脂を含浸、焼成する処理を数回繰り
返し、緻密化を行う。そして、緻密化処理後、引き続き
高温で熱処理を行い黒鉛化処理を行う。ついで、高温
(約2000℃)でハロゲンガスと反応させて高純度化処理
を行う。なお、黒鉛化処理と高純度化処理は同一炉で同
時に行っても構わない。また、ピッチと熱硬化性樹脂を
併用して緻密化を行っても構わない。
【0014】ついで、SiO ガスとの反応を抑制すること
を目的に、CVI 法によって、熱分解炭素を含浸させる。
これによって、表層部内部に残存する気孔を埋めること
ができる。CVI 法による熱分解炭素の含浸は、通常800
〜1300℃、10〜100Torr の範囲下で、炭素数1〜8の炭
化水素ガスを流量10〜100l/minで供給し、所望の厚みに
形成させるよう保持時間を調節する。この含浸層は、被
覆層の剥離を防ぐ緩衝層としての役割を有しつつ、表面
の被覆層が浸食、損耗した場合のC/C 材のSiC化を防ぐ
為にも少なくとも5 〜20μm 、更には5 〜10μm である
ことが好ましい。これにより形成される含浸層の炭素組
織は、主に柱状の細かい炭素組織(RC組織)となってい
る。
【0015】表面の熱分解炭素の被覆層はSiO ガスとの
反応を抑制するとともに、SiO ガスの内部への浸透を防
ぐために、CVD 法により形成する。CVD 処理は析出速度
を大きく取るために、CVI 処理時の処理温度よりも高
温、低圧で行う。ここで、高温にするほど炭素の理想密
度に近づくことが知られているが、このような反応炉の
場合、高温で使用するほど、製造コストが高くなる。こ
れは本発明の目的の一つに反するため、本発明での処理
温度は工業的に実施可能な温度である1500〜2200℃と
し、処理圧力は1 〜10Torrの範囲下で、炭素数1〜8の
炭化水素ガスを流量5 〜50l/min で供給し、所望の厚み
に形成させるよう保持時間を調節する。この被覆層は厚
すぎると剥離する恐れがあり、また、SiO ガスの内部へ
の浸透を防ぐためにも薄すぎては良くなく、SiC 化する
反応を遅らせるためにも少なくとも厚さが10〜100 μ
m、更には、20〜80μm であることが好ましい。
【0016】また、表面の被覆層は、CVI 法によって、
熱分解炭素で内部の気孔が埋められ、更には、炭素繊維
によって形成されている表面の段差が埋められている。
そのため、CVD 処理されることによって、表面に被覆さ
れる熱分解炭素の表面粗さを5 μm 以下、更には4 μm
以下とすることが可能となる。このため、表面の比表面
積が小さくなり、SiC 化を抑制することが可能となる。
【0017】これら含浸層、被覆層を形成する熱分解炭
素は加熱方法、基材温度、ガス濃度、ガス種類、流速な
どの製造条件によって密度や形状が異なる。図1(Chemis
tryand Physics of Carbon, Vol.5, P.47) に例とし
て、密度と熱分解炭素生成温度の関係を示す。図に示さ
れているように、熱分解炭素の密度は低温域(800〜1300
℃) では約2.2g/cm3であるが、1300〜1700℃の温度域で
は密度が減少し、1700℃を越える温度域で密度は再び増
加しはじめ、炭素の理想密度に近い約2.2g/cm3となる。
これは、核析出速度と成長速度との相乗効果に因る。核
析出速度、成長速度ともに、温度が高くなるにしたがい
速くなる。従って、高温域では核の析出、基材への堆積
とともに、核の成長、配向が行われ、結晶子が大きく、
規則正しく配向し、高密度となる。一方、低温域では基
材温度が核成長に充分な温度でないため、核が殆ど成長
せず、気相中で析出した核が基材上に堆積し高密度とな
る。また、中温域では、基材上の核が充分に成長、配向
する前に新しい核が析出し、そのうえに堆積していくた
め、密度の低下、再増加という現象が生じる。すなわ
ち、熱分解炭素の生成機構において、低温域では、気相
で生成した核の基材上への積層が支配的であるが、高温
域では基材上に沈積している核の成長、配向が支配的と
なる。
【0018】本発明では、低温で生成する結晶子の細か
い高密度熱分解炭素を含浸し、その上に連続的に高温で
生成する結晶子の大きな高密度熱分解炭素を被覆する。
この際に両者の密度をほぼ同じにすることにより、被覆
層の耐剥離性を向上させる。ここで、密度をそろえるの
は被覆処理時の炉内のガス濃度を調節することにより行
う。すなわち、炉内温度、ガス流量、処理圧力等を調節
する。
【0019】またCVI 、CVD 処理を分けて行うと両者に
より生成された熱分解炭素層間の境界が明確に現れる場
合などがある。例えば、各処理時の条件を前記の熱分解
炭素の生成機構を考慮せずに行った場合や、炉から一旦
出し、外気に晒したあと、再度CVD 炉内に設置しCVD 処
理を行った場合等である。CVI 処理終了後、一旦炉外に
出してしまうと、外気中の不純物がその表面に吸着し、
CVD 処理時の加熱中に表面に残った不純物により、CVD
処理時に核が異常成長を起こし、規則正しく配向しない
等、核の成長が阻害される結果等が起こりうる。これら
が、形成される含浸層、被覆層の境界が明確に現れる原
因の一つと考えられる。このような境界が形成された場
合、表面にCVD 法により形成された被覆層は熱衝撃等に
より、容易に層の剥離や割れが起こる。そのため、含浸
層、被覆層の両者を形成してもその効果が半減される。
【0020】従って、含浸層、被覆層の両層の組織を揃
え、密度差を0.2g/cm3以内とし、境界を明確にしないで
連続的な層を形成し、CVI 、CVD 法の両者の特徴を兼備
した特性を有するには、同一炉内で連続的に且つ処理条
件を調節し、含浸、被覆処理を行うことが好ましい。こ
れにより、CVI 法によって形成された含浸層の最外郭の
熱分解炭素が、不純物に阻害されることなく、CVD 処理
時の核となり、あらたに被覆層を形成していくことが可
能であると考えられる。
【0021】また、連続的にCVI 、CVD 処理を行うた
め、従来よりも、含浸層、被覆層の厚みを厚く取ること
が可能となる。剥離が発生しにくくなるからである。ま
た、C/C 材の表面粗さは、C/C 材を形成する繊維の種類
や、形成方法に依存するが、CVI 、CVD 処理によって、
その表面粗さを制御することができる。そして、表面粗
さを5 μm 以下とすることにより、表面の比表面積を小
さくすることとなり、即ち、表面の外気との接触面積が
小さくなり、耐SiC 化特性も改善できる。更に、連続的
にCVI 、CVD 処理を行うことにより、工程の簡略化、品
質の安定化を計ることができ、優れた耐SiC 化を有する
C/C 材で形成された単結晶引き上げ装置用高温部材を提
供することができる。
【0022】以下に、実施例を挙げ、本発明を具体的に
説明する。 (実施例1)炭素繊維シート(東レ製、6K平織り)にフ
ェノール樹脂を含浸させ、前記炭素繊維シートを積層
し、つぎに、200 ℃のオーブン中で10時間熱処理し、樹
脂の硬化を行った。次に電気炉にて、窒素雰囲気中で10
00℃で焼成を行った。更に緻密化のためにピッチ含浸ー
焼成を3回繰り返した。その後2000℃の熱処理を行った
後、60×10×3 の形状に加工し、2000℃でハロゲンガス
と反応させることにより、高純度化処理を行った。つい
で、1100℃、10Torr下でCH4 ガスを流量10l/minで供給
し、100 時間保持するCVI 処理を施すことにより、熱分
解炭素の含浸を行った。CVI 処理後、更に引き続き、同
一炉内で連続的に2000℃まで加熱し、5Torr に減圧する
とともに、CH4 ガスを流量5l/minで供給し、3時間保持
するCVD 処理により平均面粗さ1.9 μm 、厚さ50μm の
熱分解炭素層を形成させ、試験用試料を得た。
【0023】(実施例2)前記実施例1と同様にして作
製した同形状のC/C 材を、実施例1と同一条件で高純度
処理、含浸処理を行った。その後、実施例1と同様にCV
I 処理後、連続的に同一炉で1800℃、5Torr 、CH4 ガス
流量5l/minの条件で3 時間保持するCVD 処理により平均
面粗さ2.0 μm 、厚さ約50μm の熱分解炭素層を形成さ
せ、試験用試料を得た。
【0024】(実施例3)マンドレル表面にPAN 系炭素
繊維の平織りクロス(トレカT-300 6K 東レ(株)製)
にフェノール樹脂を含浸したものを1 層張りつけ、その
上にフィラメントワインディングを施した。フィラメン
トワインディングは、トレカT-300 12K (東レ(株)
製)フィラメント6 本にフェノール樹脂を含浸させなが
ら、レベル巻き、中心軸に対する巻き付け角が85°〜90
°のパラレル巻きを交互に5 層づつ巻き付けた。胴部は
パラレル巻きとレベル巻きの10層になるが、底部はレベ
ル巻きだけになる。これにより層厚み10mmの成形体が得
られた。つぎに、オーブン中にて100 ℃で揮発分調整を
行ったのち、真空バッグを被せて真空引きをしながら、
オーブンの温度を200 ℃まで上げて成形体を熱硬化させ
た。熱硬化後、マンドレルから取り外し、成形体を得
た。つぎに、胴部の真円度を保つために、黒鉛製の変形
防止用治具を取付け、電気炉で窒素注入しながら10℃/h
r の昇温速度で1000℃まで昇温し、C/C 材を得た。これ
を、ハロゲンガス雰囲気下で2000℃に加熱し、10時間保
持し、高純度化処理を行った。さらに、ピッチ含浸を行
い、電気炉で窒素注入しながら10℃/hr の昇温速度で10
00℃まで昇温し、焼成を行う。これを2 回繰り返し、再
度ハロゲンガス雰囲気の常圧下で2000℃に加熱し、黒鉛
化と共に高純度化処理を行った。その後、実施例1と同
一条件でCVI 処理を行い、CVI処理後、連続的に同一炉
で1800℃、5Torr 、CH4 ガス流量5l/minの条件で3 時間
保持するCVD 処理により平均面粗さ5.0 μm 、厚さ約50
μm の熱分解炭素層を形成させ、試験用試料を得た。
【0025】(比較例1)前記実施例1と同様にして作
製した同形状のC/C 材に、実施例1と同一条件で高純度
処理、含浸処理を行った。その後、CVI 処理を行わない
以外、実施例1と同様に2000℃で、5Torr 下で、CH4
スを流量5l/minで供給し、3時間保持するCVD 処理のみ
を行うことにより平均面粗さ5.0 μm 、厚さ10μmの熱
分解炭素層を形成させ、試験用試料を得た。
【0026】(比較例2)前記実施例1と同様にして作
製した同形状のC/C 材に、実施例1と同一条件で高純度
処理、含浸処理を行った。その後、実施例1と同様に11
00℃、10Torr下で、CH4 ガスを流量10l/min で供給し、
100 時間保持し、熱分解炭素のCVI 処理のみを行い、試
験用試料を得た。表面の平均面粗さは7.0 μm であっ
た。
【0027】(比較例3)前記実施例1と同様にして作
製した同形状のC/C 材を、実施例1と同一条件で高純度
処理、含浸処理を行い、CVI 、CVD 処理を施さず、試験
用試料とした。
【0028】前記実施例1〜3と、比較例1〜3で得ら
れた試料を、金属シリコンと一緒に真空炉内に設置し、
1800℃、100Torr 、5時間の条件で反応性試験を行っ
た。試験後、各試料の重量変化を測定しSiC 化率すなわ
ち、SiO ガスとの反応率を調べた。
【0029】更に、前記実施例1〜3及び比較例1と2
で得られた試料について急熱急冷試験を行った。すなわ
ち5分間で1000℃に昇温急熱した試料を水中に投じて急
冷し熱分解炭素の剥離状況を調べた。試料数はそれぞれ
5個である。
【0030】前記SiC 化率、急熱急冷試験結果、CVI 、
CVD 処理後の熱分解炭素の密度を表1にまとめる。ここ
で、熱分解炭素の密度はX 線回折分析による炭素の[00
2] 面の回折強度比より配向度を求め算出した。
【0031】
【表1】
【0032】表1からも分かるように、含浸層、被覆層
の密度差が0.2g/cm3以内である実施例1〜3の試料は、
耐剥離性、耐Si性ともに優れていることがわかる。ま
た、実施例3のようにフィラメントワインディング法に
より形成した試料は、表面の平均面粗さが実施例1及び
2に比較すると少し悪くなり、それに伴い耐SiC 化率も
少し悪くなっている。また、比較例1は、CVD でのみ表
面に熱分解炭素を被覆しただけであるため、急熱急冷試
験の結果、表面の被覆層が剥離した。比較例2の試料
は、CVI 処理により熱分解炭素を含浸しただけであるた
め、耐SiC 化率が悪くなっている。
【0033】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明はCVD 層
による被覆層が従来よりも厚く、耐SiC 化に優れた特性
を有し、更に、CVI 法による含浸層の表面に被覆された
被覆層であるために耐剥離性を併せて有するという効果
を奏する。また、被覆層がSiOガスにより浸食損耗した
場合でも、含浸層によりSiC 化の進行を阻止する効果も
奏することができる。これに加えて、表面の面粗さを滑
らかにすることができるため、SiC 化の進行を確実に抑
制することができる。また、CVI 、CVD を連続的に行う
ことにより、含浸層と被覆層の境界が明確にならず、表
面の被覆層の耐剥離特性が向上するという効果が得られ
る。また、工程の簡略化、品質の安定化を計ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱分解炭素の生成温度と密度の関係図。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C30B 15/10 C04B 35/52 E (72)発明者 浅利 明 大阪府大阪市西淀川区竹島5−7−12 東 洋炭素株式会社内 (72)発明者 曽我部 敏明 香川県三豊郡大野原町中姫2181−2 東洋 炭素株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ピッチ又は及び樹脂の含浸により緻密化
    した後、CVI により熱分解炭素の含浸層を形成し、更に
    前記含浸層の上にCVD により熱分解炭素の被覆層を形成
    してなる炭素繊維強化炭素複合材。
  2. 【請求項2】 前記含浸層及び前記被覆層の密度差が0.
    2g/cm3以下である請求項1記載の炭素繊維強化炭素複合
    材。
  3. 【請求項3】 前記被覆層の平均面粗さが5 μm 以下で
    ある請求項1又は2記載の炭素繊維強化炭素複合材。
  4. 【請求項4】 前記含浸層及び前記被覆層は、同一炉で
    連続的に形成された請求項1乃至3いずれか記載の炭素
    繊維強化炭素複合材。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかの炭素繊維強化
    炭素複合材により形成された単結晶引き上げ装置用部
    材。
JP11154711A 1998-06-04 1999-06-02 炭素繊維強化炭素複合材及び単結晶引き上げ装置用部材 Pending JP2000095567A (ja)

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