JP2006131451A - 単結晶引き上げ用ルツボとその製造方法 - Google Patents

単結晶引き上げ用ルツボとその製造方法 Download PDF

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聡 森田
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朝明 山田
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Abstract

【課題】 石英ルツボとの反応を抑止してSiOガスの発生およびSiC化を抑制し、耐用寿命が長く、耐久性に優れたC/C材からなる単結晶引き上げ用ルツボとその製造方法を提供する。
【解決手段】 C/C材の開気孔内および表面がCVI法により気相析出したSiCにより充填・被覆され、炭素100重量部に対しSiCが10〜35wt%の重量比の複合体であって、嵩比重が1.50〜1.80、気孔率が5〜10%のSiC充填・被覆C/C材からなる単結晶引き上げ用ルツボ。その製造方法は嵩比重が1.35〜1.45、気孔率が13〜20%、炭素繊維の体積含有率Vfが65〜85%のC/C材からなるルツボ状成形体を基材としてCVI装置にセットし、系内に原料ガスを導入して、圧力を1〜100Torr、温度を1150〜1600℃に制御してCVI反応によりSiCを気相析出させ、C/C材の開気孔内および表面に気相析出したSiCを充填、被覆する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、チョコラルスキー法(以下「CZ法」という)によりシリコンなどの半導体材料の単結晶引き上げ装置に使用される石英ルツボを支持するための炭素繊維強化炭素複合材からなるルツボとその製造方法に関する。
ICやLSIなどの製造に用いるシリコンなどの単結晶は、通常CZ法により製造されている。CZ法は高純度の石英ルツボの中にシリコンの多結晶を入れ、石英ルツボを所定速度で回転させながらヒータによりシリコン多結晶を加熱溶融し、シリコン多結晶の溶融液の表面に種結晶(シリコン単結晶)を接触させて、所定速度で回転させながらゆっくりと引き上げることによりシリコン多結晶の溶融液を凝固させて、シリコン単結晶に成長させるものである。
しかしながら、石英ルツボは高温においては軟化し、強度も充分でないので、通常、石英ルツボは炭素質のルツボ内に嵌合され、炭素質ルツボで石英ルツボを支持することにより補強して用いられている。この石英ルツボを嵌合する炭素質ルツボとしては、従来から高温強度が高く、耐熱性や熱伝導率が大きい黒鉛材が一般的に使用されている。しかしながら、黒鉛材は表面から黒鉛の微粉が離脱、飛散し易いので装置内を浮遊してシリコン溶融液中に混入し、シリコン単結晶を汚染して品質を低下させる難点がある。
また、石英と黒鉛とでは熱膨張率が大きく異なるために、加熱、冷却を繰り返し行っている間に加熱時には石英ルツボが軟化して黒鉛ルツボに密着し、一方冷却時には黒鉛ルツボの収縮量が石英ルツボの収縮量に比べて大きくなることにより石英ルツボから内圧を受けることとなり、黒鉛ルツボの変形、割損などが生じる難点もある。この熱膨張差による割損を防止するため、通常、黒鉛ルツボは分割構成されているが、繰り返し使用するための耐用回数は充分ではない。
そこで、強度特性に優れ、石英との熱膨張率の差異が少なく、更に、近年における装置の大型化に伴う軽量化を図る観点から、炭素繊維強化炭素複合材(以下、「C/C材」ともいう)を用いた炭素質ルツボが提案されている。例えば、特許文献1には、ルツボ内側を炭素繊維クロス積層体または炭素繊維フェルト積層体を用いたC/C材とし、ルツボ外側をフィラメントワインディング法により成形したC/C材で構成した二層よりなるシリコン単結晶引き上げ用炭素繊維強化炭素ルツボが提案されている。
しかしながら、C/C材は黒鉛材などの炭素材と同様に、高温加熱時に石英ルツボ(SiO2 )と接触する嵌合面において、SiO2 +C→SiO+COの反応によりC/C材を消耗するとともにSiOガスを発生する。発生したSiOガスはC/Cルツボの表層面の微小開気孔内に浸透しながら気孔内壁面を、SiO+2C→SiC+COの反応により次第にSiC化していく。このような加熱処理が繰り返し行われると、C/Cルツボは徐々にSiCへと転化して材質的に脆弱化し、ミクロクラックが発生して遂には割損を招くことになる。
そこで、C/C材とSiO2 との反応性を抑制し、SiOガスの拡散を抑止する方法として、C/C材の開気孔内に炭素を充填して緻密化する方法が開発されている。例えば、特許文献2にはC/C材料を全部または一部に含んで形成される半導体単結晶引き上げ用ルツボであって、前記C/C材料の少なくとも一部分に熱分解炭素の被膜が形成され、前記被膜は開気孔の内面まで生成することを特徴とする半導体単結晶引き上げ用ルツボ、および、開気孔にCVD法によって0.2μm/hr以下の析出速度で熱分解炭素の被膜を形成する製造方法が、特許文献3にはC/C材を全部または一部に含んで形成される単結晶引き上げ装置用高温部材であって、C/C材の嵩密度が1.3g/cm3 以上、曲げ強度が80MPa以上、引張り強さが100MPa以上の特性を有し、かつC/C材の表面の全体または一部に熱分解炭素の析出層が形成された単結晶引き上げ装置用高温部材が、提案されている。
また、本出願人も、C/C材の開気孔内がCVI法により気相析出した熱分解炭素により充填され、熱分解炭素の充填層が開気孔内の深層部から表層部にかけて疎から密の組織構造へと次第に変化する傾斜機能組織を形成してなる単結晶引き上げ用C/Cルツボ(特許文献4)、更に、嵩密度(AD)が1.5g/cm3 以上、3点曲げ強度(St)が120MPa以上で、比強度(St/AD)の値が80(MPa/g/cm3 )以上の特性を有し、更に気孔率が10%以下、層間剪断強度が10MPa以上の特性を備えたC/C材からなる単結晶引き上げ装置用C/C部材(特許文献5)、を開発、提案している。
しかし、C/C材の開気孔内に充填された熱分解炭素は、開気孔内部に拡散、浸透してきたSiOガスとの反応を完全に抑止することは困難である。そこで、本出願人は開気孔内に拡散、浸透したSiOガスが気孔内をSiC化する現象を抑制するために、C/C材の開気孔内をSiCにより充填する方法を開発し、特許文献6として提案した。
すなわち、特許文献6にはC/C材を基材とし、該基材の全気孔容積の35〜50vol%がCVI法により析出したSiCで充填されたC/C材とSiCの複合体からなる単結晶引き上げ用炭素質ルツボ、および、C/C基材をCVI装置にセットして、系内を4Torr以下の圧力に真空排気する工程、1100〜1200℃の温度に加熱しながらハロゲン化有機珪素化合物と水素との混合ガスを原料ガスとして原料ガス中のハロゲン化有機珪素化合物の濃度を8〜25mol%に設定して瞬間導入する工程、原料ガスをCVI反応により熱分解してSiCを析出させるために所定時間保持する工程、とからなる一連の操作を1パルスとして繰り返し行い、基材の気孔内にSiCを析出充填する、単結晶引き上げ用炭素質ルツボの製造方法が開示されている。
特開平09−263482号公報 特開平10−059795号公報 特開平11−171681号公報 特開2002−145693号公報 特開2002−173392号公報 特開2000−247779号公報
しかし、上記の特許文献6はパルスCVI(Chemical Vapor Infiltration )法によりSiCを析出させてC/C材の開気孔内に充填させるものであるから、操作が煩雑化する難点がある。すなわち、パルスCVI法は所定温度の加熱下に (1)反応系内を真空排気して開気孔内のガスを排除する工程、(2) 反応系へ原料ガスを瞬間導入する工程、(3) 反応析出のために所定時間保持する工程、を1パルスとして、この操作を数千から数十万回繰り返し行うものであるから操作が煩雑化し、特に、製造する単結晶径が大きくなるのに伴い装置も大型化するので、この難点はより著しくなる。
そこで、本発明者らは上記特許文献6の技術を改良してパルス法によらないCVI法により、C/C材の開気孔内に気相析出させたSiCを充填する方策について鋭意研究を行った結果、用いるC/C材の性状を特定することにより可能となることを見出した。
すなわち、本発明の目的はパルスCVI法によらず、単なるCVI法によって、能率良く、耐久性に優れた単結晶引き上げ用のC/C材からなるルツボとその製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するための本発明の単結晶引き上げ用ルツボは、炭素繊維強化炭素複合材の開気孔内および表面がCVI法により気相析出したSiCにより充填・被覆された炭素100重量部に対しSiCが10〜35wt%の重量比の複合体であって、嵩比重が1.50〜1.80、気孔率が5〜10%のSiC充填・被覆炭素繊維強化炭素複合材からなることを構成上の特徴とする。
また、本発明による上記の単結晶引き上げ用ルツボの製造方法は、炭素繊維に熱硬化性樹脂を含浸してルツボ形状に成形し、硬化したルツボ状成形体を、非酸化性雰囲気下で焼成炭化、黒鉛化して得られた嵩比重が1.35〜1.45、気孔率が13〜20%、炭素繊維の体積含有率Vfが65〜85%の炭素繊維強化炭素複合材を基材としてCVI装置にセットし、系内に原料ガスを導入して、圧力を1〜100Torr、温度を1150〜1600℃に制御してCVI反応によりSiCを気相析出させ、炭素繊維強化炭素複合材の開気孔内および表面に気相析出したSiCを充填、被覆することを特徴とする。
本発明の単結晶引き上げ用ルツボは、CVI法により気相析出したSiCによりC/C材の開気孔内が充填されるとともにC/C材の表面がSiCにより被覆され、SiCの重量比、嵩比重、気孔率が特定されたSiC充填・被覆C/C材から形成されており、石英ルツボとの反応が抑制されるのでSiOガスの発生が低減化し、更にC/C材の開気孔内へのSiOガスの侵入も抑止されるのでC/C材の損耗が効果的に防止され、耐久性に優れたルツボが提供される。また、その製造方法によれば、C/C材の特性を嵩比重が1.35〜1.45、気孔率が13〜20%、炭素繊維の体積含有率Vfが65〜85%に特定し、CVI反応条件を圧力を1〜100Torr、温度を1150〜1600℃に制御することにより、気相析出したSiCを効果的にC/C材の気孔内部および表面に充填、被覆することができ、煩雑なパルスCVI法によらず、能率良く、耐久性に優れた単結晶引き上げ用ルツボの製造が可能となる。
炭素繊維強化炭素複合材(C/C材)は、ポリアクリロニトリル系、レーヨン系、ピッチ系などの原料から製造された炭素繊維を強化材として、これらの炭素繊維がフェノール系、フラン系、エポキシ系などの熱硬化性樹脂を硬化し、焼成炭化した炭化物により結着され、一体化されたものである。
C/C材には、熱硬化性樹脂を加熱硬化し、焼成炭化する過程において、熱硬化性樹脂の重縮合により生成した結合水や低沸点成分の揮散により、微細な開気孔や閉気孔が形成される。このC/C材を用いてCZ法による単結晶引き上げ用のC/Cルツボを作製した場合には、高温加熱時に嵌合する石英ルツボとの接触面においてC/C材と石英ルツボとが反応してSiOガスを発生し、生成したSiOガスは開気孔内に浸透してC/C材の開気孔の内壁面をSiCに転化する。その結果、C/Cルツボの開気孔内が次第にSiC化されてミクロクラックが発生し易くなり、強度特性に優れたC/C材であっても割損することとなる。
そこで、本発明の単結晶引き上げ用ルツボは、このC/C材の開気孔内をCVI法(Chemical Vapor Infiltration ; 化学的気相浸透法)により気相析出したSiCで充填し、更に、C/C材の表面もCVI法で気相析出したSiCにより被覆された構造のSiC充填・被覆C/C材から形成される。
そして、SiC充填・被覆C/C材は、炭素100重量部に対しSiCが10〜35wt%の重量比の複合体からなり、嵩比重が1.50〜1.80、気孔率が5〜10%の性状を有している点を特徴とする。
SiC充填・被覆C/C材中のSiCの重量比が炭素100重量部に対し10wt%未満では、C/C材の開気孔内に充填されるSiC量が少ない上にC/C材の表面を被覆するSiC被膜が薄く、かつ十分に被覆することができず、C/C材の表面の一部が露出する状態となり、SiOガスの侵入を十分に阻止することができなくなる。また、35wt%を越えると炭素繊維とSiCとの熱膨張率の相違による熱膨張差が無視できなくなり、SiC被膜の剥離が起こり易くなる。
そして、SiC充填・被覆C/C材の嵩比重が1.50を下回り、気孔率が10%を越えると気孔内に充填されるSiCが十分でないために、侵入したSiOガスとの反応を阻止することができなくなる。しかし、嵩比重が1.80を上回り、気孔率が5%を下回ると気孔内に充填されたSiCが多くなってクラックが発生するようになる。
このように本発明の単結晶引き上げ用ルツボは、CVI法により気相析出したSiCによりC/C材の開気孔内が充填されるとともに、C/C材の表面がSiCにより被覆されたSiC充填・被覆C/C材から形成されている。また、C/C材表面に被覆されたSiC被膜はCZ法によるシリコン単結晶を製造する際の温度域では反応しないため、石英ルツボとの反応が抑制されてSiOガスの発生が効果的に低減する。更に、SiOガスが発生しても、C/C材の開気孔内への侵入はC/C材表面に被覆されたSiC被膜により効果的に阻止される。その結果、耐久性に優れた単結晶引き上げ用のC/C材からなるルツボが提供される。
このCVI法により気相析出したSiCが充填、被覆したC/C材からなるルツボは、炭素繊維に熱硬化性樹脂を含浸してルツボ形状に成形し、硬化したルツボ状成形体を、非酸化性雰囲気下で焼成炭化、黒鉛化して得られた嵩比重が1.35〜1.45、気孔率が13〜20%、炭素繊維の体積含有率Vfが65〜85%のC/C材を基材として、CVI装置にセットし、系内に原料ガスを導入して、圧力を1〜100Torr、温度を1150〜1600℃に制御してCVI反応させる方法により製造される。
ルツボ状成形体は、常法により炭素繊維クロスをフェノール系樹脂、フラン系樹脂、エポキシ系樹脂などの高炭化性の熱硬化性樹脂に浸漬する、または、熱硬化瀬樹脂を塗布するなどの方法により炭素繊維クロスに熱硬化性樹脂を含浸して、半硬化したプリプレグを所望のルツボ形状に成形し、硬化したのち非酸化性雰囲気に保持した加熱炉中で焼成炭化、黒鉛化することにより作製される。あるいは、炭素繊維の連続繊維に熱硬化性樹脂を含浸し、フィラメントワインディング法によりルツボ形状に成形し、硬化したのち非酸化性雰囲気の加熱炉中で焼成炭化、黒鉛化して作製することもできる。なお、熱硬化性樹脂を含浸する際に粘度を下げるために、水やアルコールなどの適宜な溶媒に溶解して使用することもできる。
上記の方法において、ルツボ状成形体は、硬化温度として空気中で150〜250℃に加熱し、非酸化性雰囲気中で800〜1000℃の温度に加熱して焼成炭化し、更に熱処理温度を2000〜2500℃に上げて黒鉛化することにより作製される。なお、C/C材からなるルツボ状成形体は高純度化することが好ましく、高純度化処理は、常法により塩化水素ガスや塩素ガスなどのハロゲンガス雰囲気中で熱処理することにより行い、例えば灰分を20ppm以下に処理することが好ましい。
このようにして作製したC/C材からなるルツボ状成形体を基材としてCVI装置にセットし、CVI反応によりSiCを気相析出させてC/C材の開気孔内部に充填し、更にC/C材の表面に被覆することにより単結晶引き上げ用ルツボが製造される。
この場合、C/C材の嵩比重は1.35〜1.45に調整したものが用いられる。嵩比重が1.35を下回ると強度特性や熱伝導率の低下を招き、1.45を上回ると開気孔内部に円滑にSiCを析出、充填させることが困難となるためである。
また、C/C材の気孔率は13〜20%に設定される。気孔率が13%未満では開気孔内部へのCVI反応時に原料ガスの侵入が十分に行われず、SiCの析出、充填が円滑に行われず、表面に被覆したSiC被膜も剥離し易くなる。一方、20%を越えると強度特性が低くなり、実用に適さなくなる。
C/C材中の炭素繊維と熱硬化性樹脂の炭化物(炭素マトリックス)との割合はC/C材の強度に影響し、炭素繊維の体積含有率Vfは65〜85%の範囲に設定する。体積含有率Vfが65%未満ではC/C材の強度が十分でなく、また嵩比重も低くなる。しかしVfが85%を上回ると成形性が悪化することになる。
このようにして作製したC/C材からなるルツボ状成形体をCVI装置にセットして、系内に原料ガスを導入して、圧力を1〜100Torr、温度を1150〜1600℃に制御してSiCを気相析出させることにより、SiCが充填、被覆したC/C材からなる単結晶引き上げ用ルツボが製造される。
原料ガスには1分子中にSi原子とC原子とを含むメチルトリクロロシラン(CH3SiCl3)やメチルジクロロシラン(CH3SiHCl2) などのハロゲン化有機珪素化合物、あるいは、四塩化珪素(SiCl4) やシラン(SiH4)などのSi原子を含むガスと炭化水素ガス(CH4、C2H6等) などのC原子を含むガスとの混合ガスが用いられる。
これらの原料ガスを搬送するキャリアガスにはH2 やH2 /Ar混合ガスが使用され、原料ガス濃度は5〜20Vol%に調整される。原料ガス濃度が5Vol%より少ないと反応に長時間を要し、また20Vol%を越えるガス濃度ではCVD析出が主体となり、C/C材の開気孔内部への充填が十分にできないためである。
これらの原料ガスを導入してCVI反応によりSiCを気相析出させて、ルツボ状成形体の開気孔内および表面にSiCを充填、被覆させるために、CVI反応条件として系内の圧力を1〜100Torr、温度を1150〜1600℃に設定する。
反応系内の圧力を1〜100Torrに設定するのは、1Torrを下回る圧力下では開気孔内部に存在するガスの脱気には効果的であり、開気孔内部にSiCを気相析出させるのに有効であるが反応速度が遅くなり、一方、100Torrを越えると開気孔内部の脱ガスが不十分となり、気相析出したSiCを開気孔内部に充填することが困難となる。また、反応温度が1150℃を下回ると反応速度が遅くなり、反応温度が1600℃を越えると反応速度が速くなって開気孔内部へのSiCの析出、充填が困難となるためである。
以上説明したように、本発明の単結晶引き上げ用ルツボは、C/C材からなるルツボ状成形体の開気孔内部にCVI法により気相析出したSiCが充填され、また、成形体表面には気相析出したSiC被膜が被覆されたC/C材とSiCとの複合体から構成されており、石英ルツボを嵌合した接触面における、SiO2 +C→SiO+COの反応が抑制されるのでルツボの損耗が低減化する。更に、一部反応して発生したSiOガスもルツボの開気孔内への侵入が効果的に阻止されるので、SiO+2C→SiC+COの反応によるルツボの損傷が抑制され、ルツボの耐久性の向上を図ることができる。
また、その製造方法はC/C材からなるルツボ状成形体の特性を特定し、更に、CVI反応条件を特定することによりC/C材の開気孔内部に気相析出したSiCを充填するとともにC/C材表面にSiC被膜を被覆することができ、上記の耐久性に優れた単結晶引き上げ用ルツボを製造することができる。
以下、本発明の実施例を比較例と対比して具体的に説明する。
ルツボ状成形体の作製;
ポリアクリロニトリル系高強度タイプの炭素繊維クロス(6K)にフェノール樹脂初期縮合物を塗布してフェノール樹脂を含浸したのち半硬化したプリプレグシートを、成形型に入れて、ルツボ形状に積層した。この成形体を空気中、200℃の温度に加熱して硬化した。次いで、窒素ガス雰囲気に保持した加熱炉で1000℃の温度で焼成炭化したのち更に、塩素ガス雰囲気に保持された加熱炉に移し、2000℃の温度で黒鉛化および高純度化処理を行って、内径500mm、高さ250mm、厚さ7mmのC/C材からなるルツボ基材Aを作製した。また、このルツボ基材Aに樹脂を塗布含浸、硬化、焼成炭化する処理を繰り返し行って、嵩比重、気孔率、炭素繊維の体積含有率Vfの異なるルツボ基材B、Cを作製した。これらルツボ基材A、B、Cの特性を表1に示した。
なお、嵩比重および気孔率は下記の方法で測定した。
(1)嵩比重:嵩密度より求めた
嵩密度= (C/C材試料の重量)/(C/C材試料の見かけ体積)
(2)気孔率:気孔率の測定は水銀ポロシメーター(マイクロメリテクス社製、9230)による水銀圧入法でおこなった。
測定条件
圧力範囲 0〜30psi(0.207MPa)
および0〜30000psi(207MPa)
30000psiまでの積算で浸透した水銀の体積を気孔量としC/C材試 料に占める気孔率を求めた。
気孔率(%)=(浸透した水銀体積)/(C/C材試料の見かけ体積)×100
Figure 2006131451
実施例1〜2、比較例1〜4
これらのルツボ基材A、B、CをCVI装置の反応炉内にセットして、シランと水素の混合ガス(SiH4 /H2 =15Vol%)を原料ガスとして、系内の圧力、温度を変えてCVI反応によりSiCを気相析出させた。このようにしてルツボ基材の開気孔内および表面にSiCが充填、被覆されたC/C材からなるルツボを製造した。
比較例5
ルツボ基材AをCVI装置の反応炉内にセットし、原料ガスとしてメタンと水素の混合ガス(CH4 /H2 =10Vol%)を用いて、系内の圧力を40Torr、温度を1230℃に設定して熱分解炭素を充填、被覆したC/C材からなるルツボを製造した。
比較例6
ルツボ基材Aをポリカルボシラン溶液に浸漬したのち1400℃の温度で焼成して、SiCに転化する操作を5回繰り返し行って、SiCを充填、被覆したC/C材からなるルツボを製造した。
このようにして製造したルツボを石英ルツボに嵌合し、石英ルツボ内にシリコンを入れて1500℃の温度に加熱してシリコンを溶融した。この状態に1時間保持したのち冷却してシリコンを凝固させた。この加熱溶融、冷却凝固の操作を繰り返し行って、耐久性を試験した。得られた結果を、ルツボの特性とともに表2に示した。
Figure 2006131451
表1、2の結果から、C/C材の特性およびCVI反応条件を特定した本発明の製造条件を適用して製造し、本発明の特性を充足するSiC充填・被覆C/C材から形成した単結晶引き上げ用ルツボは石英ルツボとの反応が抑制され、またC/C材の損耗が少なく、耐久性に優れていることが認められる。

Claims (2)

  1. 炭素繊維強化炭素複合材の開気孔内および表面がCVI法により気相析出したSiCにより充填・被覆された炭素100重量部に対しSiCが10〜35wt%の重量比の複合体であって、嵩比重が1.50〜1.80、気孔率が5〜10%のSiC充填・被覆炭素繊維強化炭素複合材からなることを特徴とする単結晶引き上げ用ルツボ。
  2. 炭素繊維に熱硬化性樹脂を含浸してルツボ形状に成形し、硬化したルツボ状成形体を、非酸化性雰囲気下で焼成炭化、黒鉛化して得られた嵩比重が1.35〜1.45、気孔率が13〜20%、炭素繊維の体積含有率Vfが65〜85%の炭素繊維強化炭素複合材を基材としてCVI装置にセットし、系内に原料ガスを導入して、圧力を1〜100Torr、温度を1150〜1600℃に制御してCVI反応によりSiCを気相析出させ、炭素繊維強化炭素複合材の開気孔内および表面に気相析出したSiCを充填、被覆することを特徴とする単結晶引き上げ用ルツボの製造方法。
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