JPH105592A - 塩化水素から塩素を製造するための触媒 - Google Patents

塩化水素から塩素を製造するための触媒

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JPH105592A
JPH105592A JP8161207A JP16120796A JPH105592A JP H105592 A JPH105592 A JP H105592A JP 8161207 A JP8161207 A JP 8161207A JP 16120796 A JP16120796 A JP 16120796A JP H105592 A JPH105592 A JP H105592A
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照夫 平山
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宏典 蒲地
Kunihiro Yamada
国博 山田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低酸素濃度条件で触媒が固結する事無く、長
期に良好な流動性を維持し、活性の低下の極めて小さい
改良された触媒、その製造方法、及び該触媒を使用した
塩化水素からの塩素の製造方法を提供する。 【解決手段】 担体に、銅、アルカリ金属、及び希土類
金属、の三成分と、更に、銅以外の少なくとも1種以上
の遷移金属を加えて得られる塩化水素を含酸素ガスで酸
化し塩素を製造するための触媒。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は塩化水素の接触酸化
により塩素を製造するために使用する改良された触媒、
その製造方法、及び該触媒を使用した塩化水素からの塩
素の製造方法に関する。塩素は食塩の電解により大規模
に製造されているが、併産する苛性ソーダとの需要バラ
ンスを調整するのが困難な状況になっている。一方、塩
化水素は有機化合物の塩素化反応、又はホスゲンとの反
応の際に大量に副生しているが、その副生量は需要より
大幅に多いため、大量の塩化水素がかなりの処理コスト
をかけて無駄に廃棄されている。従って、塩化水素から
塩素を効率良く回収出来れば、苛性ソーダとの不均衡を
生じる事なく、塩素の需要を満たすことが出来る。
【0002】
【従来の技術】塩化水素を酸化して塩素を製造する反応
は古くからDeacon反応として知られている。18
68年、Deaconの発明による銅系の触媒が、従来
最も優れた活性を示す触媒とされ、塩化銅と塩化カリに
第三成分として種々な化合物を添加した触媒が多数提案
されている。第三成分に希土類の化合物を添加した触媒
は反応温度が350〜370℃で操業出来る利点がある
(特公昭38−20358号公報)。しかしながら、上
記した触媒の最大の問題点は、触媒活性成分であるCu
−K−稀土類塩化物が、反応条件下で溶融塩となってい
る点にある。従って、触媒を使用する際には、適当な担
体上に、上記した活性成分を坦持させて用いる事が必要
である。塩化水素の酸化反応は14kcal/molの
発熱反応である為に、工業的操業には固定床反応器では
困難であり、流動床反応器を用いる事が必須となる。
【0003】溶融塩を担体に坦持させた触媒を流動床反
応器に使用すると、触媒体は高い線速度で流動するた
め、触媒の破砕が生じる。触媒体が破砕すると担体細孔
内に吸蔵されていた溶融塩が外部に溢出し、触媒体の固
結を生じる。又、成分により揮散する量が異なる為、成
分比率が変化して、粒子表面の状態を変じ、触媒粒子間
の凝集力を強める。これが長期間の操業の際に、流動床
の流動性を悪化させ、触媒層の固結を生じ、操業が不安
定となる。
【0004】更に、塩化銅系触媒の他の問題点は、空時
収量(以下、STYと略する)が極めて低い点にある。
特公昭38−20358号公報に記載されている塩化水
素の処理量は、高々160LHCl/Kg触媒・Hrに
過ぎない。また、Chem.&Ind.(Londo
n)1962年76〜83頁にも、同じ程度の値が記載
されている。すなはち、塩化水素の処理量が低い=低S
TYの為、反応器のサイズが過大となり、塩化水素、酸
素、塩素等に高温で耐える高級材料の使用量が多大で、
反応器のコストが高くなる難点を持つ。
【0005】このDeacon触媒の流動性の悪化を、
塩化水素を酸化する酸素のモル比で改善する方法が提案
されている(特公平5−69043号公報)。この方法
は、運転条件の変更によって流動性を改善する方法であ
り、触媒の本質を改良したものではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、塩化
水素の酸化により塩素を製造するに際して、上述した公
知の触媒が有する問題点を解決することであり、本発明
の目的は低酸素濃度条件で触媒が固結する事無く、長期
に良好な流動性を維持し、活性の低下の極めて小さい改
良された銅、アルカリ金属、希土類金属及び銅以外の遷
移金属の成分を加えて得られる触媒、その製造方法、及
び該触媒を使用した塩化水素からの塩素の製造方法を提
供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の課題解決のた
め、本発明者らは塩化水素の酸化による塩素の製造に用
いる、改良された銅、アルカリ金属、希土類金属及び銅
以外の遷移金属の成分を加えて得られる触媒の調製方法
について鋭意検討した。その結果、我々は、銅、アルカ
リ金属、希土類金属を加えて得られる、いわゆるDea
con触媒に、銅以外の新たな遷移金属の成分を加えて
得られる、塩化水素を含酸素ガスで酸化し塩素を製造す
るための触媒は、従来公知の銅、アルカリ金属、希土類
金属を主成分とする触媒より、活性の経時低下が殆どな
く、さらに低酸素濃度条件下でも触媒の固結が見られず
好流動性を維持し、極めて有効である事を見出し、しか
も従来の銅系のDeacon触媒が有する触媒成分の揮
散、反応中の固結等の前述の問題点を生じず長期間、工
業的使用に耐え得る事を見出し本発明を完成するに至っ
た。
【0008】即ち、本発明は、以下のものである。 (1)担体に銅、アルカリ金属、及び希土類金属、の3
成分と、更に、銅以外少なくとも1種類以上の遷移金属
を加えて得られる、塩化水素を含酸素ガスで酸化し塩素
を製造するための触媒。 (2)アルカリ金属がカリウムである(1)の触媒。 (3)希土類金属がランタンである(1)の触媒。 (4)銅以外の遷移金属が第一、第二、第三遷移系列、
及びランタニドである(1)の触媒。 (5)銅以外の遷移金属がクロム、コバルト、マンガ
ン、鉄、ニッケル、亜鉛である(1)の触媒。 (6)担体に対して原子比で、銅が0.01〜0.3、
カリウムが0.005〜0.2、ランタンが0.01〜
0.3の割合で存在する(1)の触媒。 (7)担体に対して原子比で、銅以外の遷移金属が0.
001〜0.15の範囲である(1)の触媒。 (8)銅、アルカリ金属、及び希土類金属及び銅以外の
遷移金属の成分を含む溶液に担体を含浸する工程、及び
含浸された該触媒を800℃以下の温度で焼成する工程
よりなる塩化水素から塩素を製造するための触媒の製造
方法。 (9)銅、アルカリ金属、希土類金属及び銅以外の遷移
金属の成分を加えて得られる触媒を用いることを特徴と
する塩化水素を含酸素ガスで酸化することによる塩素の
製造方法。 (10)塩化水素1モルに対して含酸素ガス中の酸素を
1/4モル〜1モル比の範囲で反応させることを特徴と
する(9)の方法。 (11)担体が、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミ
ナ、クロミア、シリカ−クロミア、チタニア、マグネシ
ア、ゼオライト、層状化合物(金属イオン交換粘土、ハ
イドロタルサイト)である(1)の触媒。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の方法に担体として用いら
れるものは、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、ク
ロミア、シリカ−クロミア、チタニア、マグネシア、ゼ
オライト、層状化合物(金属イオン交換粘土、ハイドロ
タルサイト)の多孔質担体である。流動床に用いる為、
平均粒径が60〜80μmの微球状粒子で、比表面積1
00〜400m2/g、より好ましくは160〜350
2/gの担体が好ましい。。
【0010】本発明において、銅、アルカリ金属、希土
類金属及び銅以外の遷移金属の成分を担体に加える方法
としては、含浸法、共沈法、蒸着法等の従来公知の触媒
調製法を採用できるが、含浸法がより有効であり、また
操作的にも簡便である。
【0011】含浸法の一例としては上述の銅、アルカリ
金属、希土類金属、及び、銅以外の遷移金属を含む溶液
を含浸し、800℃以下の温度で焼成する方法が挙げら
れる。本発明方法において銅、アルカリ金属、及び希土
類金属の3成分の使用は必須であり、このうちのどの成
分が欠けても触媒の活性は充分には向上せず本発明の目
的を達しない。
【0012】本発明において使用される銅以外の遷移金
属成分は、第一遷移系列(原子番号21のScから原子
番号30のZnまで)、第二遷移系列(原子番号39の
Yから原子番号48のCdまで)、第三遷移系列(原子
番号72のHfから原子番号80のHgまで)、及びラ
ンタニド(原子番号57のLaから原子番号71のLu
まで)である。好ましくは、クロム、コバルト、マンガ
ン、鉄、ニッケル、亜鉛である。クロム成分であれば、
例えば、硝酸クロム、塩化クロムなどの水溶性クロム塩
があり、また無水クロム酸などの水溶性酸化クロムも使
用できる。これ以外の遷移金属成分も硝酸塩、塩化物、
硫酸塩、アンモニウム塩、及び酸化物などが使用出来
る。これらの遷移金属成分の濃度は、担体の重量に対し
て遷移金属原子比で0.001〜0.15の範囲であ
り、より好ましくは、0.01〜0.05の範囲であ
る。これらの遷移金属は1種或いは2種以上を混合して
用いる事も出来る。
【0013】銅成分としては、例えば硝酸銅、硫酸銅、
塩化銅及び酸化銅などが使用でき、アルカリ金属、及び
希土類金属も同様に、それらの金属の硝酸塩、硫酸塩、
塩化物、アンモニウム塩、及び酸化物などが使用でき
る。アルカリ金属成分としては、硝酸カリウム、硫酸カ
リウム、塩化カリウム、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウ
ム、塩化ナトリウム、酸化ナトリウム等が挙げられる。
希土類金属成分としては、ランタン、セリウム、プラセ
オジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロ
ピウム等の硝酸塩、硫酸塩、ハロゲン化塩、アンモニウ
ム塩、酸化物等が挙げられ、なかでもランタンの塩が好
ましい。
【0014】銅、アルカリ金属、及び希土類金属の濃度
は、高い程効果が得られるが、担体の重量に対して原子
比率で銅=0.01〜0.3、カリウム=0.005〜
0.2、ランタン=0.01〜0.3の範囲が好まし
い。
【0015】本発明方法において、銅、アルカリ金属、
希土類金属及び銅以外の遷移金属を含浸する場合、銅以
外の遷移金属を溶解した溶液を銅、アルカリ金属、及び
希土類金属を含む溶液の含浸を行う前、同時、及び後に
行う、先付け含浸法、同時含浸法、および後付け含浸法
のいずれも可能であり含浸方法に特に制限はないが、先
付け含浸法により銅以外の遷移金属成分を他の成分より
前に含浸することが好ましい場合が多い。
【0016】上述の成分を溶解した溶液を含浸させる方
法において、溶液の温度は通常25〜70℃であり、2
5〜35℃の温度範囲が好ましい。溶液の量は均一含浸
の為に担体比表面積に応じて変更するのが好ましい。具
体的には、比表面積270〜320m2/gの担体で
は、担体1gに対し0.9〜2mlが好ましく、200
〜270m2/gでは担体1gに対し0.5〜0.9m
lが好ましい。更に200m2/g以下の担体であれ
ば、担体1gに対し0.5ml以下の容量で湿潤した方
が均一含浸に最適である。又、含浸成分量に応じて溶液
量を変更し、飽和溶解度を越えない最低液量を用いる事
が好ましい。
【0017】含浸処理の回数に関しては、必要により数
回に分割して含浸しても性能上問題はないが、分割して
実施する場合は、含浸と予備焼成150〜300℃を数
回繰り返す必要があり、1回で所定量を含浸させる方が
好ましい。含浸後の混合操作は、触媒全体が混合する様
に触媒と水溶液あるいは有機溶媒溶液の入った容器を一
時間程度振とうすれば充分であるが、触媒の湿潤状態が
低い場合には、この振とう混合時間を数倍延長する必要
がある。この後に、混合処理が終了した触媒を800℃
以下の温度で焼成する。含浸金属成分の揮散を防ぐ点か
ら好ましい焼成温度は300〜650℃であるが、特に
好ましくは350〜550℃である。
【0018】本発明方法の触媒を用い塩素を製造する際
に使用される原料の塩化水素は通常、化学工業界では有
機化合物の塩素化またはホスゲンとの反応に際して副生
する塩化水素を使用するのが経済的であるがそれに限定
されるものではない。
【0019】塩化水素の酸化剤としては含酸素ガスが使
用され、通常、酸素ガスまたは空気が多用される。反応
器の形式は固定床でも流動床でも実施可能であるが、塩
化水素の酸化反応のように発熱が大きい反応の場合には
除熱が容易である流動床が多用される。流動床式の場合
には、酸素ガスを、固定床式の場合には空気を使用する
場合が多い。
【0020】反応に使用する塩化水素と含酸素ガス中の
酸素のモル比は、塩化水素1モルに対して酸素1/4〜
1/2モルが好ましい。これらの原料ガスは窒素等の本
反応に不活性なガスで希釈されてもよい。
【0021】触媒床に供給する塩化水素の供給量は、流
動床式の場合は200〜1800(Nl/Hr.)/触
媒1kg当たり の範囲が適している。反応温度は通常
300〜450℃、特に360〜420℃で多用され
る。本反応は常圧、加圧のいずれでも実施可能である
が、通常1〜11×105Paの加圧下で行うのが好ま
しい場合が多い。
【0022】
【実施例】以下に実施例により本発明を更に詳細に説明
する。 実施例1 比表面積250m2/g、平均粒径61μmの微小球状
シリカゲル担体30gにCuCl2・2H2O 4.02
g、KNO3 2.32g、La(NO33・6H2
4.67g、Cr(NO33・9H2O 9.23gを
溶解した水溶液27mlに含浸後、510℃で5時間焼
成した。この処理後の触媒10gを内径1インチのガラ
ス製流動床反応器に充填し、塩化水素ガスを167ml
/min、酸素を84ml/minで流動床に流入させ
反応管外部を電気炉で内温380℃に加熱する条件で反
応を行った。反応開始2日目の塩化水素の転化率は80
%であった。反応開始30日目では転化率76%を示
し、75日目には、流動性も悪化する事なく74%の高
活性を維持した。
【0023】実施例2 実施例1と全く同様の、比表面積250m2/g、 平
均粒径61μmの微小球状シリカゲル担体30gにCu
(NO32・3H2O 2.85g、KCl0.85
g、La(NO33・6H2O 4.67g、Cr(N
33・9H2O1.15gを溶解した水溶液22ml
に含浸後、510℃で5時間焼成した。この処理後の触
媒10gを内径1インチのガラス製流動床反応器に充填
し、実施例1と全く同様にして塩化水素の酸化反応に用
いた。反応開始3日目の塩化水素の転化率は79%、1
0日目の転化率は80%であった。反応開始30日目で
は転化率74%を示し、75日目には転化率72%であ
り、実施例1とほぼ同等の寿命及び好流動性を示した。
【0024】実施例3 実施例1と全く同様の微小球状シリカゲル担体30g
に、銅、アルカリ金属、希土類金属の量は、実施例2と
全く同じ条件とし、追加する銅以外の遷移金属成分をC
o(NO32・6H2O 2.22gに変更し、溶解し
た水溶液20mlに含浸後、510℃で5時間焼成し
た。この処理後の触媒10gを内径1インチのガラス製
流動床反応器に充填し、実施例1と全く同様にして塩化
水素の酸化反応に用いた。反応開始3日目の塩化水素の
転化率は78%、10日目の転化率は77%であった。
反応開始30日目では転化率76%を示し、73日目に
は転化率75%であり、実施例1,2とほぼ同等の寿命
及び好流動動性を示した。
【0025】実施例4 実施例1と全く同様の微小球状シリカゲル担体30g
に、CuCl2・2H2O2.01g、KCl 0.85
g、La(NO33・6H2O 4.67g、Mn(N
32・6H2O 2.35gを溶解した水溶液22m
lに含浸後、510℃で5時間焼成した。この処理後の
触媒10gを内径1インチのガラス製流動床反応器に充
填し、実施例1と全く同様にして塩化水素の酸化反応に
用いた。反応開始3日目の塩化水素の転化率は80%、
10日目の転化率は79%であった。反応開始30日目
では転化率75%を示し、75日目には転化率73%で
あり、実施例1,2,3とほぼ同等の寿命及び好流動性
を示した。
【0026】実施例5 実施例1と全く同様の、比表面積250m2/g、平均
粒径61μmの微小球状シリカゲル担体5000gにC
uCl2・2H2O 670.7g、KCl 285.8
g、La(NO33・6H2O 779.3g、Cr
(NO32・9H2O 769.8gを溶解した水溶液
3リットルを含浸後、510℃で5時間焼成した。この
処理後の触媒4000gを内径4インチのニッケル製流
動床反応器に充填し、外部を砂流動浴で400℃に加熱
した。廃塩化水素ガス1800Nl/Hr、酸素ガス9
00Nl/Hrを触媒床に流入し、反応器内圧を2.4
5×105Paで実施した。 反応開始3日目の塩化水
素の転化率は83%、30日目の転化率は78%であっ
た。反応開始後66日目では転化率76%であり、高活
性を維持し、開放点検でも固結は見られず、好流動性を
維持した事を確認した。
【0027】実施例6 実施例1と全く同様の、比表面積250m2/g、平均
粒径61μの微小球状流動床用シリカ担体50gをCr
(NO33・9H2O 17.32gを溶解した水溶液
35mlに含浸後、420℃で5時間焼成した。焼成後
の触媒50gをCuCl2・2H2O 3.36g、KC
l 1.43g、La(NO33・6H 2O 7.79
g、Co(NO32・6H2O 4.45gを溶解した
水溶液25mlに含浸後、420℃で5時間焼成し、こ
の処理後の触媒10gを内径1インチのガラス製流動床
反応器に充填し、塩化水素ガスを167ml/min、
酸素を84ml/minで流動床に流入させ反応管外部
を電気炉で内温380℃に加熱する条件で反応を行っ
た。反応開始2日目の塩化水素の転化率は78%であっ
た。反応開始30日目では転化率76%を示し、60日
目でも74%の高活性を維持した。
【0028】実施例7 実施例1と全く同様の、比表面積250m2/g、平均
粒径61μの微小球状流動床用シリカ担体50gをCr
(NO33・9H2O 8.46g、Cu(NO32
3H2O 4.78g、KNO3 2.00g、La(N
33・6H2O 7.79g、Co(NO32・6H2
O 4.45gを溶解した水溶液40mlに含浸後、4
20℃で5時間焼成した。焼成後の触媒10gを実施例
6と全く同様にして塩化水素の酸化反応に用いた。反応
開始3日目の塩化水素の転化率は80%、10日目の転
化率は78%であった。反応開始30日目では転化率7
6%を示し、65日目には転化率74%であり、実施例
6とほぼ同等の活性及び寿命を示した。
【0029】実施例8 実施例1と全く同様の、比表面積250m2/g、平均
粒径61μの微小球状流動床用シリカ担体50gをCr
(NO33・9H2O 8.46gを溶解した水溶液3
5mlに含浸後、420℃で5時間焼成した。焼成後の
触媒50gをCu(NO32・3H2O 4.78g、
KNO3 2.00g、La(NO33・6H2O 7.
79g、Mn(NO32・6H2O 3.92gを溶解
した水溶液40mlを含浸後、550℃で5時間焼成し
た。この処理後の触媒10gを実施例6と全く同様にし
て塩化水素の酸化反応に用いた。反応開始3日目の塩化
水素の転化率は80%、10日目の転化率は78%であ
った。反応開始30日目では転化率77%を示し、65
日目には転化率76%であり、実施例6とほぼ同等の活
性及び寿命を示した。
【0030】比較例1、2 Deacon触媒の活性低下と固結する問題点とがある
事を確認した結果を表1に示す。
【表1】 《反応条件》・反応に使用した装置:内径1インチのガ
ラス製流動床反応器 ・反応使用触媒量 :10g ・廃塩化水素ガス量 :167ml/min ・酸素量 :84ml/min ・反応温度 :電気炉で内温380℃に加熱。 ・含浸処理した媒体 :シリカゲル CARiACT=
富士シリシアケミカル(株)品
【0031】
【発明の効果】本発明方法によれば、塩化水素の酸化に
より塩素を製造する反応において簡便な方法により従来
公知の触媒よりも高活性で活性の経時低下の少ない長寿
命の触媒を提供することができる。また、酸化反応維持
の為に大過剰の酸素を必要としせず、然るに、本発明の
方法によれば、塩化水素1モルに対して含酸素ガス中の
酸素を1/4モル〜1/2モル比の範囲で長期間使用し
ても、活性低下が小さく、流動性を損なう固結も発生す
る事なく、活性が高く長期寿命の性能を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 国博 福岡県大牟田市浅牟田町30番地 三井東圧 化学株式会社内

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 担体に、銅、アルカリ金属、及び希土類
    金属、の三成分と、更に、銅以外の少なくとも1種以上
    の遷移金属を加えて得られる塩化水素を含酸素ガスで酸
    化し塩素を製造するための触媒。
  2. 【請求項2】 アルカリ金属がカリウムである請求項1
    の触媒。
  3. 【請求項3】 希土類金属がランタンである請求項1の
    触媒。
  4. 【請求項4】 銅以外の遷移金属が第一、第二、第三遷
    移系列、及びランタニドである請求項1の触媒。
  5. 【請求項5】 銅以外の遷移金属がクロム、コバルト、
    マンガン、鉄、ニッケル、亜鉛である請求項1の触媒。
  6. 【請求項6】 担体に対して原子比で銅が0.01〜
    0.3、カリウムが0.005〜0.2、ランタンが
    0.01〜0.3の割合で存在する請求項1の触媒。
  7. 【請求項7】 担体に対して銅以外の遷移金属が原子比
    で、0.001〜0.15の範囲である請求項1の触
    媒。
  8. 【請求項8】 銅、アルカリ金属、及び希土類金属及び
    銅以外の遷移金属の成分を含む溶液に担体を含浸する工
    程、及び含浸された該触媒を800℃以下の温度で焼成
    する工程よりなる塩化水素から塩素を製造するための触
    媒の製造方法。
  9. 【請求項9】 銅、アルカリ金属、希土類金属及び銅以
    外の遷移金属の成分を加えて得られる触媒を用いること
    を特徴とする塩化水素を含酸素ガスで酸化することによ
    る塩素の製造方法。
  10. 【請求項10】 塩化水素1モルに対して含酸素ガス中
    の酸素を1/4モル〜1/2モル比の範囲で反応させる
    ことを特徴とする請求項9の方法。
  11. 【請求項11】 担体が、シリカ、アルミナ、シリカ−
    アルミナ、クロミア、シリカ−クロミア、チタニア、マ
    グネシア、ゼオライト、層状化合物(金属イオン交換粘
    土、ハイドロタルサイト)の群から選ばれるものである
    請求項1の触媒。
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