JP2010248062A - 流動床反応器を用いて、塩化水素から塩素を製造する方法 - Google Patents

流動床反応器を用いて、塩化水素から塩素を製造する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】流動床容器内での触媒粒子の流動性を改善して、安定的に連続反応が可能で、かつ高い転化率で塩素を製造することが可能な塩化水素から塩素を製造する方法を提供すること。
【解決手段】本発明の塩化水素から塩素を製造する方法は、塩化水素を流動床反応器内で酸化して、塩化水素から塩素を製造する方法であって、流動床反応器内に、要件(A1)、(A2)を満たす触媒粒子(A)と、要件(B1)を満たす反応不活性な粒子(B)とが存在し、前記触媒粒子(A)および前記反応不活性な粒子(B)との合計100重量%あたり、銅元素の含有量が0.3〜4.5重量%であることを特徴とする。(A1)20℃における空気中での終末速度が、流動床反応器内でのガス空塔速度の1.1〜100倍である。(A2)触媒粒子(A)100重量%あたり、銅元素を0.5〜12重量%含む。(B1)20℃における空気中での終末速度が、流動床反応器内でのガス空塔速度の1.1〜100倍である。
【選択図】なし

Description

本発明は、流動床反応器を用いて、塩化水素から塩素を製造する方法に関する。
塩素は塩化ビニル、ホスゲン等の原料として有用である。塩素を製造する方法としては、主に食塩電解法、あるいは塩化水素の触媒的酸化等がある。
食塩電解法は、多くの電力を用いるため、エネルギー的に不利であり、また苛性ソーダを副生するため、両者のバランスを考慮しなければならない。
一方、塩化水素の触媒的酸化による製造は、塩化ビニルやホスゲンの製造などの塩化水素を副生するプロセスにおいて得られる塩化水素を原料として用いるため、副生物の有効利用の観点から有利である。
上記塩化水素の触媒的酸化による、塩化水素からの塩素の製造においては、その反応が発熱反応であり、平衡転化率が温度の影響を受けることから、低温で行うほど有利である。また高い反応熱を伴う反応であり、反応器内の熱暴走を抑制するため、触媒粒子を流動させることにより、反応容器内の触媒層に均一な温度分布が得られる流動床法で行うことが好ましい。流動床法で用いられる触媒としては、例えば、銅を主成分とするDeacon触媒、Cr23/SiO2触媒などが知られている(例えば、特許文献1参照)。
銅を主成分とするDeacon触媒については、例えば、比表面積200m2/g以上および平均細孔直径60Å以上のシリカゲル担体に塩化銅、アルカリ金属塩化物、塩化ジジミウム等のランタノイド類を担持した触媒(例えば、特許文献2参照)、比表面積が410m2/g、細孔容積が0.72ml/gのシリカゲルを用いて銅、カリウム、ジジミウムを含浸し調製された流動床触媒(例えば、特許文献3参照)などが知られている。
しかしながら、特許文献1〜3で開示された触媒には、一長一短があり、以下のような欠点がある。まず、Cr23/SiO2触媒では、活性成分は安価であるが、活性が不充分であるため、高温での反応が必要になる。塩化水素の酸化反応は発熱反応であり、反応平衡の影響があるために、反応温度が高温であるほど転化率は低くなってしまう。一方、Deacon触媒は、Cr23/SiO2触媒と比較して高い活性を有するものの、反応中に触媒表面の銅成分から粘着性を有する溶融塩が生成されて、触媒粒子同士が付着してしまう。そのため、触媒粒子の流動性が悪化し、反応容器内の蓄熱が大きくなってしまうために、反応が不可能となる危険性をもつ。
したがって、流動床反応器を用いた、塩化水素の触媒的酸化による塩素製造において、触媒が充分な活性を有し、かつ触媒粒子の流動性を維持でき、安定的に連続反応ができる塩化水素から塩素を製造する方法の開発が望まれる。
特許第2513756号公報 米国特許3260678号公報 米国特許3483136号公報
本発明は、上記のような事情に鑑み、流動床反応器を用いた塩化水素から塩素を製造する方法において、銅を含む触媒粒子の流動性が改善され、安定的に連続反応が可能で、かつ高い転化率で塩素を製造できる方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、流動床反応器を用いる塩化水素から塩素を製造する方法において、特定の触媒粒子と、反応不活性な粒子とを、特定量で共存させることにより、塩化水素から塩素を高い転化率で、かつ安定的に連続反応で製造することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の塩化水素から塩素を製造する方法は、塩化水素を流動床反応器内で酸化して、塩化水素から塩素を製造する方法であって、前記流動床反応器内に、下記要件(A1)および(A2)を満たす触媒粒子(A)と、下記要件(B1)を満たす反応不活性な粒子(B)とが存在し、前記触媒粒子(A)および前記反応不活性な粒子(B)との合計100重量%あたり、銅元素の含有量が0.3〜4.5重量%であることを特徴とする。
(A1)触媒粒子(A)のストークスの式から算出される20℃における空気中での終末速度が、前記流動床反応器内でのガス空塔速度の1.1〜100倍である。
(A2)触媒粒子(A)が、触媒粒子(A)100重量%あたり、銅元素を0.5〜12重量%含む。
(B1)反応不活性な粒子(B)のストークスの式から算出される20℃における空気中での終末速度が、前記流動床反応器内でのガス空塔速度の1.1〜100倍である。
本発明の塩化水素から塩素を製造する方法は、通常前記流動床反応器内に、前記触媒粒子(A)および反応不活性な粒子(B)が流動状態で存在する。
前記触媒粒子(A)の平均粒子径が70〜300μmであり、前記反応不活性な粒子(B)の少なくとも一部として、平均粒子径が50μmを超えて、300μm以下の粒子を含むことが好ましい。
前記流動床反応器内に含まれる触媒粒子(A)と反応不活性な粒子(B)との重量比((A)/(B))が、5/95〜99/1の範囲にあることが好ましい。
前記触媒粒子(A)が、触媒粒子(A)100重量%あたり、銅元素を0.5〜4.5重量%含み、前記流動床反応器内に含まれる触媒粒子(A)と反応不活性な粒子(B)との重量比((A)/(B))が、50/50〜99/1の範囲にあることが好ましい。
前記触媒粒子(A)が、銅元素、希土類元素およびアルカリ金属元素を含有することが好ましい。前記触媒粒子(A)が、銅元素、希土類元素およびアルカリ金属元素を含有する場合には、銅元素と希土類元素との重量比が、1:0.2〜1:6.0の範囲にあり、銅元素とアルカリ金属元素との重量比が、1:0.1〜1:4.0の範囲にあることが好ましく、銅元素と希土類元素との重量比が、1:0.2〜1:3.0の範囲にあり、銅元素とアルカリ金属元素との重量比が、1:0.1〜1:2.5の範囲にあることがより好ましい。
前記反応不活性な粒子(B)が、シリカおよびアルミナから選択される少なくとも1種の粒子であることが好ましい。
本発明の塩化水素から塩素を製造する方法は、従来の銅元素を担持した触媒および流動床反応器を用いて反応を行う塩化水素から塩素を製造する方法と比較して、触媒の流動性が向上しているために、安定的に連続反応が可能で、かつ高い転化率で塩素を製造できる。
図1(a)は、流動床反応器内にサイクロンが配置された本発明の塩化水素から塩素を製造する方法の一態様を示す概略図である。図1(b)は、流動床反応器よりも下流側にサイクロンが配置された本発明の塩化水素から塩素を製造する方法の一態様を示す概略図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の塩化水素から塩素を製造する方法は、塩化水素を流動床反応器内で酸化して、塩化水素から塩素を製造する方法であって、前記流動床反応器内に、下記要件(A1)および(A2)を満たす触媒粒子(A)と、下記要件(B1)を満たす反応不活性な粒子(B)とが存在し、前記触媒粒子(A)および前記反応不活性な粒子(B)との合計100重量%あたり、銅元素の含有量が0.3〜4.5重量%であることを特徴とする。
(A1)触媒粒子(A)のストークスの式から算出される20℃における空気中での終末速度が、前記流動床反応器内でのガス空塔速度の1.1〜100倍である。
(A2)触媒粒子(A)が、触媒粒子(A)100重量%あたり、銅元素を0.5〜12重量%含む。
(B1)反応不活性な粒子(B)のストークスの式から算出される20℃における空気中での終末速度が、前記流動床反応器内でのガス空塔速度の1.1〜100倍である。
粒子の終末速度は、ストークスの式(下記式(1))に基づいて、推算される(例えば、触媒講座第6巻「触媒反応装置とその設計」149頁(3.116)式(触媒学会編著、講談社)参照)。
Figure 2010248062
(g:重力加速度、ρs:粒子の密度、ρg:気体の密度、dp:粒子の平均粒子径、μ:気体の粘度)
上記式(1)より、前記(A1)および(B1)における、ストークスの式から算出される20℃における空気中での終末速度を求めることができる。
具体的には、重力加速度を、9.807m/s2とし、気体の密度および気体の粘度を、20℃の空気の密度および粘度、すなわち1.2kg/m3および0.018mPa・sとして、用いることにより、触媒粒子(A)および反応不活性な粒子(B)の20℃における空気中での終末速度を求めることができる。
例えば、触媒粒子(A)として、平均粒子径が110μm、嵩密度が410kg/m3の触媒粒子を用いた場合には、該触媒粒子のストークスの式から算出される20℃における空気中での終末速度は、以下の式(2)ようにして求めることができる。
Figure 2010248062
なお、嵩密度とは、粒子を充填した所定容積あたりの重量であり、通常は粒子の密度の0.5〜0.6倍に相当する。本発明においては、粒子の密度の0.6倍が嵩密度であるとして、ストークスの式から算出される20℃における空気中での終末速度を算出した。
また、別の例としては、反応不活性な粒子(B)として、平均粒子径が220μm、嵩密度が350kg/m3の反応不活性な粒子を用いた場合には、該粒子のストークスの式から算出される20℃における空気中での終末速度は、以下の式(3)ようにして求めることができる。
Figure 2010248062
なお、上述した、触媒粒子(A)および反応不活性な粒子(B)の平均粒子径は、粒度分析計を用いてレーザー光回折散乱法(測定波長21nm〜1408μm)により求められる値である。
本発明の塩化水素から塩素を製造する方法では、触媒粒子(A)が前記(A1)を満たし、反応不活性な粒子(B)が前記(B1)を満たす。すなわち、前記触媒粒子(A)のストークスの式から算出される20℃における空気中での終末速度が、前記流動床反応器内でのガス空塔速度の1.1〜100倍であり、反応不活性な粒子(B)のストークスの式から算出される20℃における空気中での終末速度が、前記流動床反応器内でのガス空塔速度の1.1〜100倍である。前記(A1)および(B1)を満たすと、塩化水素を流動床反応器内で酸化する際に、触媒粒子(A)および反応不活性な粒子(B)がそれぞれ、反応器内で流動状態、すなわち浮遊状態となる。
触媒粒子(A)が前記(A1)を満たし、反応不活性な粒子(B)が前記(B1)を満たすと、塩化水素から塩素を製造する際に、触媒粒子(A)および反応不活性な粒子(B)が流動状態で存在するため、触媒粒子(A)どうしが接触する機会が低減され、触媒粒子(A)の流動性を長時間維持することができる。
また、触媒粒子(A)の終末速度をUtA、反応不活性な粒子(B)の終末速度をUtBとすると、触媒粒子(A)の終末速度と、反応不活性な粒子(B)の終末速度との比(UtA/UtB)は、2/3〜3/2であることが好ましく、6/7〜7/6であることがより好ましい。前記範囲では、触媒粒子(A)の流動性を、より長時間維持することができる傾向がある。
触媒粒子(A)の終末速度UtAは、0.14〜1.2m/sであることが好ましく、0.15〜0.9m/sであることがより好ましい。反応不活性な粒子(B)の終末速度UtBは、0.13〜1.1m/sであることが好ましく、0.14〜0.8m/sであることがより好ましい。
本発明の塩化水素から塩素を製造する方法では、前述のように触媒粒子(A)の終末速度(UtA)は、流動床反応器内でのガス空塔速度(Ug)の1.1〜100倍であることが好ましく、1.3〜95倍であることがより好ましい。また、反応不活性な粒子(B)の終末速度(UtB)は、流動床反応器内でのガス空塔速度の1.1〜100倍であることが好ましく、1.3〜95倍であることがより好ましい。すなわち、UtA/Ugが1.1〜100であることが好ましく、1.3〜95であることがより好ましく、UtB/Ugが1.1〜100であることが好ましく、1.3〜95であることがより好ましい。前記終末速度(UtA、UtB)と、ガス空塔速度(Ug)との差が小さいほど、触媒粒子(A)および反応不活性な粒子(B)が、それぞれ流動床反応器内で上昇・浮遊しやすくなるが、前記範囲内では、触媒粒子(A)および反応不活性な粒子(B)が、流動床反応器の外に吹き抜ける量を低減し、触媒粒子(A)および反応不活性な粒子(B)の流動状態を、塩化水素の酸化に好適な範囲に維持することができる。
触媒粒子(A)の平均粒子径は、好ましくは70〜300μmであり、より好ましくは80〜250μm、さらに好ましくは80〜230μmである。平均粒子径が前記範囲内であると、反応時の流動性が長時間維持される傾向があり、好ましい。
また、触媒粒子(A)の嵩密度は、好ましくは、200〜700kg/m3、より好ましくは300〜650kg/m3である。なお、上記嵩密度は、100mlメスシリンダーに20mlの容積に粒子を充填した際の重量より求められる値である。嵩密度が前記範囲内であると、反応時の流動性が長時間維持される傾向があり、好ましい。
触媒粒子(A)の全細孔容積は、好ましくは、0.2〜2.0ml/gであり、より好ましくは、0.3〜1.9ml/gである。触媒粒子(A)の平均細孔直径は、好ましくは、3〜60nmであり、より好ましくは、5〜55nmである。触媒粒子(A)の細孔構造は、反応物、および生成物の拡散、移動に関係しており、触媒粒子(A)の細孔構造は全細孔容積や平均細孔直径の値によって示される。全細孔容積や平均細孔直径が大きすぎると拡散は速いが触媒表面への到達頻度が下がることがある。一方、触媒粒子(A)の全細孔容積や平均細孔直径が小さすぎると逆に拡散が遅くなることがある。
触媒粒子(A)の比表面積は、通常50〜550m2/gであり、好ましくは60〜500m2/gである。本発明においては、触媒粒子(A)の表面に存在する銅元素が活性点として機能することで、塩化水素の酸化反応が進行する。触媒粒子(A)の比表面積が大きくなると、活性点が増加するために好ましい。しかしながら、触媒粒子(A)の比表面積が大きくなると、後述する担体の材料として、表面に多くの空隙を有する多孔質材料を使用しなければならならない。多孔質材料としては、表面の空隙が多くなればなるほど、該多孔質材料で構成された触媒粒子(A)の強度が下がり、流動床反応器内で、塩素を酸化する反応の際に、摩耗等により崩壊しやすくなる傾向がある。以上のような観点から、触媒粒子(A)の比表面積は上記範囲にあることが好ましい。
触媒粒子(A)において、銅元素は活性成分として作用し、該銅元素は、原子価が1価、2価いずれの状態で含まれていてもよい。
本発明に用いる触媒粒子(A)は、触媒粒子(A)100重量%あたり、銅元素を0.5〜12.0重量%含み、好ましくは0.5〜10.0重量%含み、より好ましくは0.5〜4.5重量%含む。
触媒粒子(A)は、銅元素の他に、活性成分として、アルカリ金属元素および/または希土類元素を含有することが好ましく、アルカリ金属元素および希土類元素を含有することがより好ましい。
上記アルカリ金属元素としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウムが挙げられる。これらのアルカリ金属は単独でまたは2種以上で使用されても良い。このうち、ナトリウムおよび/またはカリウムが好ましく、カリウムがより好ましい。
上記希土類元素としては、周期律表第3族のスカンジウム、イットリウム、原子番号57〜71のいわゆるランタノイドが挙げられる。これらの希土類金属は、単独または2種以上で使用されても構わない。このうち、イットリウム、スカンジウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユ−ロピウム、ガドリニウム、ディスプロシウム、イッテルビウムが好ましく、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウムがより好ましい。
本発明の触媒粒子(A)は、銅元素とともに、アルカリ金属元素、および希土類元素を含むことが好ましい。触媒粒子(A)が銅元素、希土類元素およびアルカリ金属元素を含有する場合には、銅元素と、希土類元素との重量比が1:0.2〜1:6.0であり、銅元素と、アルカリ金属元素との重量比が1:0.1〜1:4.0であることが好ましく、銅元素と、希土類元素との重量比が1:0.2〜1:3.0であり、銅元素と、アルカリ金属元素との重量比が1:0.1〜1:2.5であることがより好ましい。また、銅元素と、希土類元素との重量比が1:0.5〜1:1.6であり、銅元素と、アルカリ金属元素との重量比が、1:0.4〜1:1.3であることが特に好ましい。上記範囲では各元素が複合化しやすく、触媒の活性に優れる。
本発明の塩化水素から塩素を製造する方法で使用される触媒粒子(A)は、通常上記活性成分が担体に担持されてなる。この活性成分を分散、担持する担体は、塩化水素、塩素に対して分解しない耐腐食性を有する素材からなるものであれば特に限定されないが、上記担体の素材としては、シリカ、シリカアルミナ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなどが挙げられる。このなかでも、シリカが好ましい。シリカ担体としては、通常の市販のシリカゲル、ヒュームドシリカ等のいずれも用いることができる。なお、担体として、シリカ担体を用いる場合には、市販されているシリカをそのまま使用することもできるが、30〜700℃の温度で乾燥または焼成されたシリカを使用することもできる。
また、上記担体の平均粒子径や嵩密度は、当該担体を用いて調製される触媒粒子(A)の平均粒子径や嵩密度を考慮して決定される。例えば、上記担体において、平均粒子径が70〜300μmであり、嵩密度が200〜700kg/m3であることが好ましく、平均粒子径が80〜250μmであり、嵩密度が300〜600kg/m3であることがより好ましい。上記担体の平均細孔直径は、3〜60nmで、全細孔容積は、0.3〜2.5ml/gで、比表面積は、50〜600m2/gであることが好ましく、平均細孔直径は、5〜60nm、全細孔容積は、0.4〜2.0ml/g、比表面積は、70〜570m2/gであることがより好ましい。
なお、上記担体の平均粒子径は、粒度分析計を用いてレーザー光回折散乱法(測定波長21nm〜1408μm)により求められる値であり、上記担体の嵩密度は、100mlメスシリンダーに20mlの容積に粒子を充填した際の重量より求められる値である。
上記担体の形状は、流動床触媒として一般に用いられる形状であり、例えば、多角柱状、円柱状、多角錐状、円錐状、球状等でも構わない。反応時の触媒粒子(A)の摩耗を抑えるためには、担体の形状は球状であることが好ましい。
触媒粒子(A)中の上記担体の含有量は、触媒粒子(A)100重量%あたり、通常99.2〜65重量%、好ましくは98〜69重量%、より好ましくは96〜72重量%である。上記範囲では、触媒粒子(A)の活性と強度とを両立することができるため好ましい。
また、触媒粒子(A)は、上記活性成分および担体以外の成分(その他の成分)を含んでいてもよい。その成分としては、パラジウム元素、イリジウム元素、クロム元素、バナジウム元素、ニオブ元素、鉄元素、ニッケル元素、モリブデン元素、アルカリ土類金属元素などが挙げられる。これら他の成分が含まれる場合には、担体100重量部あたり、通常0.001〜10重量部の範囲で含まれる。
触媒粒子(A)を製造するための方法としては、特に限定されないが、例えば、銅化合物と、任意にアルカリ金属化合物と希土類化合物とを担体に分散する工程と、これらの化合物が分散した担体を焼成する工程、必要により、触媒を成形する工程を経て、触媒粒子(A)を製造することができる。
上記化合物を担体に分散する工程において、銅元素、任意に含まれるアルカリ金属元素、希土類元素は、それぞれ銅化合物、アルカリ金属化合物、希土類化合物として担体に分散される。
これらの化合物を担体に分散する方法については特に限定されず、真空チャンバー内での上記元素の蒸着、気相担持、液相担持のいずれの方法も使用できるが、操作性や、均一分散性を考慮すると、液相担持が望ましい。
液相担持の場合、各活性成分を含む化合物を溶媒に添加し、原料溶液や原料が溶媒中に分散した原料分散液とした後に、触媒担体に吹き付けてもよいし、あるいは、触媒担体を、前記原料溶液や原料分散液中に浸した後、そのまま、原料溶液や原料分散液を攪拌しながら蒸発乾固を行ってもよく、また、触媒担体を、前記原料溶液や原料分散液中に浸した後、触媒担体をこの原料溶液や原料分散液中から引き上げ、乾燥する方法でも構わない。
上記担体を原料溶液や原料分散液中に浸して分散担持する場合は、担持量が少ない場合には、再度触媒担体を原料溶液や原料分散液中に浸すことにより、活性成分の含有率を上げることができる。原料溶液や原料分散液中の活性成分は、担体の細孔内へ入る大きさであれば、溶媒中に溶解していない、固体状態のままでも構わないが、活性成分を均一に細孔内へ分散させるためには、各活性成分が溶媒中に溶解した状態すなわち原料溶液であることが好ましい。
これらの各活性成分を担体に分散することにより得られた触媒は、該触媒に残存する、原料溶液や原料分散液由来の溶媒量が、該触媒の細孔容積より少ない量にすることが好ましい。触媒に残存する溶媒量が、触媒の細孔容積よりも大きいと、活性成分を分散した触媒を反応器に充填した後に、触媒表面に出ている溶媒が触媒表面から蒸発、あるいは揮散する際に、活性成分が移動することになり、活性成分の触媒担体への担持量が不均一となる。触媒に残存する溶媒量が、触媒の細孔容積よりも少ない量であれば、触媒中に溶媒を含んでいても、表面は濡れずに、活性成分は触媒細孔内に固定されたままのため、担持量は均一で変化することはない。
これら液相で担持する場合の各活性成分の溶媒としては、活性成分を含む化合物を溶解または分散できるものであれば特に限定されないが、取り扱いの容易さから水が好ましい。活性成分を溶媒に溶解、分散するときの濃度は、活性成分の化合物が均一に溶解または分散できれば、特に制限されないが、濃度が低すぎると、担持に時間がかかるため、活性成分および溶媒の合計100重量%当たりの、活性成分量は、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは2〜40重量%である。
また、前記分散後の触媒に細孔容積以上の量の溶媒が残存する場合には、前記分散後、反応器への充填前に溶媒除去が必要となるが、細孔容積以下の溶媒量であれば、そのままの状態で反応に用いても、溶媒除去を行ってもよい。溶媒を除去する場合には、乾燥だけでも良いが、更に焼成を行ってもよい。
乾燥条件としては、特に限定はないが、通常、大気中または減圧下、0〜120℃、10分〜24時間の条件で実施される。
焼成条件としては、特に限定はないが、通常、大気中、200〜600℃、10分〜24時間の条件で実施される。
本工程において、担体に分散される銅化合物、アルカリ金属化合物、および希土類化合物は、どのような化合物でもよいが、通常、それぞれ独立にハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、炭酸塩、シュウ酸塩、アルコキシドまたは錯塩である。中でも塩化物、硝酸塩または酢酸塩であることが複合塩を形成しやすいという点で好ましい。
銅化合物、アルカリ金属化合物、希土類化合物および担体の使用量はその担持方法によって異なるが、得られる触媒に含まれる銅元素、アルカリ金属元素、および希土類元素を前述の範囲内になる量で用いることが好ましい。
さらに上記銅化合物とアルカリ金属化合物、および希土類化合物に加えて、パラジウム化合物、イリジウム化合物、クロム化合物、バナジウム化合物、ニオブ化合物、鉄化合物、ニッケル化合物、モリブデン化合物、アルカリ土類金属化合物などその他の化合物を担体に分散させる場合にも、その添加方法は特に限定されず、銅化合物とアルカリ金属化合物、および希土類化合物と一緒に溶液にして担体に分散しても良いし、別途、先に担体に分散しても、あるいは後から担体に分散しても良い。このようにして上記活性成分および担体以外の、その他の化合物の成分を含む触媒を得ることができる。また、触媒にこれらその他の化合物の成分が含まれる場合には、該成分の含有量は、担体100重量部あたり、金属元素換算で通常0.001〜10重量部の範囲である。
上記化合物が分散した担体を焼成する工程において、銅化合物、任意に含まれるアルカリ金属化合物および希土類化合物を分散した担体を、例えば室温〜600℃で乾燥あるいは焼成して、担持触媒を調製することが好ましい。温度以外の焼成条件としては、通常大気中、1〜10時間の条件で実施される。
次いで、得られた担持触媒を、必要により、粒子状で、平均粒子径が所望の範囲(例えば70〜300μm)の触媒粒子(A)へ調製する。具体例としては、担持触媒を、グラニューレーターやその他の造粒機などの公知の整粒装置に供して、成形し、得られた粒子の平均粒子径を、所望の範囲(例えば70〜300μm)になるように調製することにより、触媒粒子(A)を得ることができる。また乾燥時に、流動床乾燥機などにより粒子の平均粒子径を所望の範囲(例えば70〜300μm)になるように調製して触媒粒子(A)を得ることができる。
なお、触媒粒子(A)を調製するにあたり、前工程にて調製された担持触媒を、触媒粒子(A)としてもよい。特に、前記担持触媒の形状が粒子状であり、平均粒子径が70〜300μmである場合、必ずしも本工程を実施する必要はなく、本発明の塩化水素から塩素を製造する方法において、触媒粒子(A)として、そのまま使用することができる。例えば、70〜300μmの平均粒子径を有する粒子状の担体を使用して触媒を調製することで、本工程を実施することがなく触媒粒子(A)を得ることができる。
本発明の塩化水素から塩素を製造する方法において使用される反応不活性な粒子(B)(不活性粒子(B))は、反応物(塩化水素、酸素)および生成物(塩素、水)に対して反応性を有しない限り、特に限定されるものではない。
不活性粒子(B)の素材としては、シリカ、シリカアルミナ、シリカチタニア、アルミナ、チタニア、ジルコニア、ガラスなどが挙げられるが、なかでもシリカ、シリカアルミナ、アルミナおよびジルコニアが好ましく、特にシリカ、アルミナがさらに好ましい。なお、不活性粒子(B)としては、1種単独で用いても、2種以上を用いてもよい。
シリカとしては、通常の市販の溶融シリカ、シリカゲル、ヒュームドシリカ等、いずれも用いることができるが、シリカゲルが特に好ましい。アルミナとしては、γ−アルミナ、α−アルミナ等いずれも用いることができるが、γ−アルミナが特に好ましい。なお、これらの市販品を、そのまま使用することもできるが、30〜700℃の温度で乾燥または焼成したものを使用することもできる。
不活性粒子(B)としては、前述の要件(B1)を満たす粒子であり、その平均粒子径としては、特に限定はない。
不活性粒子(B)の少なくとも一部として、平均粒子径が50μmを超えて、300μm以下である粒子を含むことが好ましい。前記平均粒子径が50μmを超えて、300μm以下である粒子を、不活性粒子(B‐1)とも記す。不活性粒子(B‐1)の平均粒子径は、好ましくは、60〜250μm、より好ましくは、70〜230μmである。ここで、不活性粒子(B)の平均粒子径は、粒度分析計を用いてレーザー光回折散乱法(測定波長21nm〜1408μm)により求められる値である。
なお、シリカ等の市販品が、上記平均粒子径を有してない場合、グラニューレーターやその他の造粒機などの公知の整粒装置に供して、成形し、平均粒子径を、前記範囲になるように調製、不活性粒子(B‐1)を調製することができる。
不活性粒子(B)の形状は、多角柱状、円柱状、多角錐状、円錐状、球状等いずれの形状でも構わないが、反応時の摩耗を抑えるためには、球状であることが好ましい。不活性粒子(B)の嵩密度は、好ましくは、200〜700kg/m3、より好ましくは300〜650kg/m3である。
不活性粒子(B)の嵩密度をこのような範囲にすることで、反応時の流動性を維持しやすくできる。
不活性粒子(B)の比表面積は、特に限定されるものではないが、通常100〜600m2/gであるが、好ましくは120〜550m2/gである。
触媒粒子(A)どうしの接触機会を低減するという観点から、流動床反応器中には不活性粒子(B)の一部として、平均粒子径が50μm以下である粒子を含んでいてもよい。前記平均粒子径が50μm以下である粒子を、不活性粒子(B‐2)とも記す。不活性粒子(B‐2)の平均粒子径は、好ましくは、5〜50μmである。
また、不活性粒子(B‐2)の使用量は、触媒粒子(A)と不活性粒子(B)との合計重量100重量部に対して、好ましくは20重量部以下であり、より好ましくは、1〜20重量部である。
不活性粒子(B‐2)の嵩密度は、好ましくは、800〜2600kg/m3、より好ましくは900〜2500kg/m3である。反応不活性な粒子(B-2)の嵩密度がこのような範囲にあると、触媒粒子(A)どうしの接触機会をさらに低減することが可能である。
本発明の塩化水素から塩素を製造する方法で使用される流動床反応器内には、上記触媒粒子(A)および上記不活性粒子(B)が存在する。本発明では、反応器内の流動性の向上が可能であり、このため触媒粒子(A)どうしの接触機会を低減することが可能である。触媒粒子(A)どうしの接触機会が低減されるため、触媒粒子(A)として、反応活性の維持に必要な活性成分を高濃度で含有する触媒粒子を用いることが可能である。また、触媒粒子(A)として、活性成分を高濃度で含有する触媒粒子を用いることによって、塩素を製造する際に必要な触媒量を低減することが可能である。必要な触媒量が低減されるため、塩素を製造する際に必要な量の触媒を製造するためのコストを低減することが可能である。
ここで、流動床反応器に充填する前に、触媒粒子(A)と不活性粒子(B)とを、ミキサー等の混合手段により混合してから、流動床反応器に仕込むことも可能であるが、流動床反応器内に、触媒粒子(A)および不活性粒子(B)を仕込み、室温〜反応温度で塩化水素が含まれない、窒素あるいは酸素含有ガス気流下で、触媒粒子(A)および不活性粒子(B)を流動させながら混合してもよい。
本発明の塩化水素から塩素を製造する方法において、触媒粒子(A)および反応不活性な粒子(B)との合計100重量%あたり、銅元素の含有量が0.3〜4.5重量%であり、好ましくは0.5〜3.5重量%であり、より好ましくは0.7〜1.9重量%である。
また、触媒粒子(A)と不活性粒子(B)との重量比((A)/(B))は、通常は5/95〜99/1であり、好ましくは50/50〜99/1であり、より好ましくは60/40〜98/2であり、さらに好ましくは70/30〜95/5である。重量比((A)/(B))が、前記範囲内であると、触媒粒子(A)の流動性向上の効果が大きく、塩化水素の転化率にも優れるため好ましい。
触媒粒子(A)100重量%あたりの銅元素含有量ならびに、触媒粒子(A)および不活性粒子(B)との合計100重量%あたりの銅元素含有量を上述した。銅元素の含有量が、上述の範囲を超えて、過度に多い場合には、本発明の塩化水素から塩素を製造する方法において、その反応中に、触媒粒子(A)の表面に存在する銅元素を介して、触媒粒子(A)が凝集する場合がある。触媒粒子(A)が凝集すると、流動性が悪化し、触媒粒子(A)が塊状になってしまい、反応を継続することができない場合がある。このため、銅元素の含有量は前記範囲であることが好ましい。
本発明の塩化水素から塩素を製造する方法は、塩化水素を流動床反応器内で酸化して、塩化水素から塩素を製造する方法であって、前記流動床反応器内に、前記触媒粒子(A)と、前記反応不活性な粒子(B)とが存在し、前記触媒粒子(A)および前記反応不活性な粒子(B)との合計100重量%あたり、銅元素の含有量が0.3〜4.5重量%であればよい。前記酸化を行うための反応条件としては、通常以下の条件で行われる。
本発明の塩化水素から塩素を製造する方法で用いられる流動床反応器としては、反応器内部で触媒粒子(A)および不活性粒子(B)が流動している状態にできる反応器を指し、特に限定されるものではない。
典型的には、塩化水素および酸素を供給するためのガス入口と、生成した塩素を排出するためのガス出口とを備え、当該ガス入口とガス出口との間に触媒粒子(A)および不活性粒子(B)が存在し、ガス入口側(上流側)からの塩化水素および酸素の供給により生じる風圧によって、触媒粒子(A)および不活性粒子(B)が流動される流動床反応器が挙げられる。
なお、触媒粒子(A)および不活性粒子(B)は、通常、触媒粒子(A)および不活性粒子(B)を通さない程度の孔径を有するエキスパンドメッシュや有孔板の直上に(下流側の面に)存在している。
塩化水素と酸素とから塩素が生成する反応は、発熱反応であるとともに平衡反応であるため、反応温度が高すぎると転化率が低下し、低すぎると触媒の活性が充分でない。そのため、反応温度は、通常250〜500℃であり、好ましくは320〜420℃である。反応時の圧力は、操作性を考慮すれば、通常大気圧〜50気圧である。
塩化水素の酸化反応に用いる酸化剤としては、通常酸素が使用される。酸素源としては、コストが低いことから、空気をそのまま使用してもよいが、平衡反応であるため、転化率は100%に至らない。したがって、未反応塩化水素と生成物である塩素とを分離して、未反応の塩化水素をリサイクルする場合、酸素源として、不活性な窒素ガスを含まない純酸素を使用することが好ましい。
また、酸素に対する塩化水素の理論モル比(塩化水素/酸素)は4であるが、一般的に理論量よりも酸素を過剰に供給する方が高い転化率を達成することができるため、酸素に対する塩化水素のモル比(塩化水素/酸素)を1以上、3.0未満とすることが好ましく、1.0以上、2.5未満とすることがより好ましい。
上述のように、塩化水素を酸化する反応は、発熱反応である。そのため、反応容器内に、たとえば、冷却する装置を備え、充分に除熱できる限り、触媒粒子(A)および反応不活性粒子(B)の合計重量に対する塩化水素の供給速度は、特に限定されるものではない。一般的には、触媒粒子(A)および反応不活性粒子(B)の合計重量に対する塩化水素の供給速度は、触媒粒子(A)および反応不活性粒子(B)の合計1kgあたり、好ましくは100NL/h以上、2000NL/h未満であり、より好ましくは200NL/h以上、1000NL/h未満である。
また、流動床反応容器内で上記反応を行うにあたり、ガス空塔速度(ug)は、触媒粒子(A)および反応不活性な粒子(B)の平均粒子径、嵩密度に応じて適宜設定される。
本発明の塩化水素から塩素を製造する方法を実施するにあたり、未反応の塩化水素を、反応容器外(系外)に排出してもよいし、リサイクルしてもよい。
先に述べたように、平衡反応である塩化水素を酸化する反応において、可能な限り、平衡状態近くに至るまで、塩化水素を酸化させ続けて塩素に転化することが好ましい。このように反応させると、未反応の塩化水素の量を低減できるので経済的に好適である。
また、ガス空塔速度(Ug)は、流動層高(流動層の厚さ)などを考慮して、適宜選択されるが、通常、0.01〜0.9m/sであり、好ましくは、0.01〜0.6m/sである。
ガス空塔速度(Ug)が前記範囲を下回ると、反応は充分に進むものの、塩素の生成速度が遅いために非効率であり、さらには、触媒粒子の流動性が悪化する場合もある。一方で、ガス空塔速度(Ug)が前記範囲を超えると、反応が不完全になってしまい、充分な転化率で塩素が得られないために、未反応の塩化水素の量が増大してしまう場合がある。この未反応の塩化水素を廃棄するにしても、あるいはリサイクルするにしても、運転エネルギーを多量に使用することになるために、効率的ではない。ガス空塔速度(ug)が上記範囲にあると、反応を継続して、安定的に進行させることができるので好ましい。
なお、ガス空塔速度が大きくなったり、触媒粒子(A)や不活性粒子(B)の終末速度とガス空塔速度との差が小さくなったりすると、各粒子が反応器内部で浮遊あるいは上昇しやすくなる。このような粒子の浮遊や上昇を防ぐために、本発明の塩化水素から塩素を製造する方法では、前記流動床反応器内または反応器よりも下流側にサイクロンを配置し、該サイクロンにより、上昇した触媒粒子(A)や不活性粒子(B)の一部を、捕集し、サイクロンよりも上流側の反応容器内に戻してもよい。
前記流動床反応器内または反応器よりも下流側にサイクロンを配置し、該サイクロンにより、触媒粒子(A)や不活性粒子(B)の一部を、捕集し、サイクロンよりも上流側の反応容器中に戻すための態様としては特に限定はないが、例えば図1(a)、(b)に示す態様が挙げられる。
図1(a)、(b)に示す態様では、流動床反応器の最上流側に、塩化水素および酸素(原料ガスA1)を供給するためのガス入口10bと、流動床反応器の最下流側に、生成物である塩素や未反応ガス(生成ガスA2)を排出するためのガス出口10cと、反応容器の内部に、直上(下流側)に触媒粒子(A)および反応不活性な粒子(B)14を載置する有孔板10dと、が設置されている。このような有孔板10dは、粒子とガスとの混合を促進するために設置されており、有孔板の開孔率、動床反応容器のガス入り口10bとガス出口cとの間における設置間隔、枚数などは、状況に応じて適宜調整することができる。
さらに、図1(a)に示す態様では、流動床反応器10の内部にサイクロン11が配置されており、図1(b)に示す態様では、反応器の外部、すなわち反応器よりも下流側にサイクロン11が配置されている。
図1(a)に示す態様では、反応器内部10aにサイクロン11が配置されており、図1(b)に示す態様では、反応器よりも下流側にサイクロン11が配置されており、該サイクロンによって、触媒粒子(A)や不活性粒子(B)の一部(反応器内部で浮遊・上昇した粒子)を捕集する。
捕集された反応器内部で浮遊・上昇した粒子は、サイクロンの粒子出口13から、サイクロンよりも上流側の反応器内部10aに戻される。
図1(a)、(b)の態様のように、サイクロンを配置することにより、触媒粒子(A)や不活性粒子(B)の一部が、反応器内部で浮遊・上昇した場合であっても、触媒粒子(A)や不活性粒子(B)を反応器内部10aに好適に循環させることが可能である。
なお、上記サイクロンは、粒子の捕集ができれば、どのような形状、仕様のものでも使用することができる。また、反応条件に応じて、サイクロンは、適宜配置することができ、図1(a)に示されるように反応器内に配置されていてもよく、図1(b)に示されるように反応器外に配置されていてもよい。また、本反応は発熱反応であるため、熱交換器を反応器内部に配置し、除熱しやすい構造とすることも可能である。
以下、本発明を実施例、比較例によって更に詳述するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
各実施例および比較例において使用された触媒粒子(A)の調製、各粒子(触媒粒子(A)および反応不活性な粒子(B))の平均粒子径、嵩密度および終末速度の測定、ならびに各実施例および比較例の評価は、以下の条件・基準に基づいて実施された。
(1)触媒粒子(A)の調製
各実施例および比較例で使用された触媒粒子1〜5は、下記条件により調製された。
(i)触媒粒子1の調製
水150gに、塩化第二銅(和光純薬、特級)2.98g、塩化サマリウム・六水和物(和光純薬、特級)3.26g、塩化カリウム(和光純薬、特級)1.54gを加え、攪拌して溶液Aを得た。
次いで、シリカゲル担体(富士シリシア化学製、Q−15、粒径75〜150μm)50gを、直径25cmのパン型ミキサ−に入れ、回転数30rpmで回転させながら、このシリカゲル担体に、溶液Aを、1流体スプレーノズルを用いスプレー状にして吹き付けながら加えて、回転を2h行い、シリカゲル担体に溶液Aを吸液させた。その後、溶液Aを吸液したシリカゲル担体をロータリーエバポレーターに移し、95℃で30min乾燥して、Cu:K:Sm:SiO2=2.5:1.5:2.5:93.5の重量比率(触媒粒子100重量%あたりの銅元素の重量:2.36重量%)の担持触媒(触媒粒子1)を得た。
得られた触媒粒子1の平均粒子径および嵩密度を、下記「平均粒子径および嵩密度の測定」に基づいてそれぞれ測定したところ、触媒粒子1の平均粒子径は110μmであり、嵩密度は410kg/m3であった。また、得られた触媒粒子1の終末速度を、下記「終末速度の測定」に基づいて測定したところ、触媒粒子1の終末速度は0.25m/sであった。
(ii)触媒粒子2の調製
担体を、シリカゲル担体(富士シリシア化学製、Q−15、粒径75〜500μm)に変更し、Cu:K:Sm:SiO2=3.5:2.1:3.5:90.9の重量比率(触媒粒子100重量%あたりの銅元素の重量:3.20重量%)の担持触媒を得たこと以外は、触媒粒子1と同様の調製条件で、担持触媒(触媒粒子2)を得た。
また、触媒粒子1の場合と同様に、平均粒子径、嵩密度および終末速度を測定したところ、触媒粒子2の平均粒子径は220μmであり、嵩密度は450kg/m3、終末速度は1.10m/sであった。
(iii)触媒粒子3の調製
担体を、シリカゲル担体(富士シリシア化学製、Q−10、粒径75〜150μm)に変更し、Cu:K:Sm:SiO2=1.5:0.9:1.5:96.1の重量比率(触媒粒子100重量%あたりの銅元素の重量:1.45重量%)の担持触媒を得たこと以外は、触媒粒子1と同様の調製条件で、担持触媒(触媒粒子3)を得た。
また、触媒粒子1の場合と同様に、平均粒子径、嵩密度および終末速度を測定したところ、触媒粒子3の平均粒子径は96μmであり、嵩密度は450kg/m3であり、終末速度は0.21m/sであった。
(iv)触媒粒子4の調製
担体を、シリカゲル担体(富士シリシア化学製、Q−15、粒径75〜300μm)に変更し、Cu:K:Sm:SiO2=5:3:5:87の重量比率(触媒粒子100重量%あたりの銅元素の重量:4.50重量%)の担持触媒を得たこと以外は、触媒粒子1と同様の調製条件で、担持触媒(触媒粒子4)を得た。
また、触媒粒子1の場合と同様に、平均粒子径、嵩密度および終末速度を測定したところ、触媒粒子4の平均粒子径は140μmであり、嵩密度は460kg/m3であり、終末速度は0.45m/sであった。
(v)触媒粒子5の調製
担体を、シリカゲル担体(富士シリシア化学製、Q−15、粒径75〜300μm)に変更し、Cu:K:Sm:SiO2=10:6:10:74の重量比率(触媒粒子100重量%あたりの銅元素の重量:8.09重量%)の担持触媒を得たこと以外は、触媒粒子1と同様の調製条件で、担持触媒(触媒粒子5)を得た。
また、触媒粒子1の場合と同様に、平均粒子径、嵩密度および終末速度を測定したところ、触媒粒子5の平均粒子径は140μmであり、嵩密度は500kg/m3であり、終末速度は0.49m/sであった。
(2)平均粒子径および嵩密度の測定
各実施例および比較例で使用される触媒粒子(A)および反応不活性な粒子(B)の、平均粒子径を、MicrotracMT3300EXII(Microtrac社製粒度分析計)を用いてレーザー光回折散乱法(測定波長21nm〜1408μm)により求めた。
また、各実施例および比較例で使用される触媒粒子および不活性粒子について、それぞれの嵩密度を、100mlメスシリンダーに20mlの容積に粒子を充填した際の重量より求めた。
(3)終末速度の測定
各実施例および比較例で使用される触媒粒子(A)および反応不活性な粒子(B)の終末速度(m/s)を、下記のストークスの式から算出した。
なお、各粒子の嵩密度は、粒子密度の0.6倍の値とし、流動床反応器内の気体を20℃の空気であるとし、流動床反応器内における空気の密度(ρg)を1.2kg/m3、空気の粘度を0.018mPa・s、重力加速度を9.807m/s2とした。
Figure 2010248062
(g:重力加速度、ρs:粒子の密度、ρg:流動床反応器内における20℃の空気の密度、dp:粒子の平均粒子直径、μ:流動床反応器内における20℃の空気の粘度)
また、各粒子の終末速度と、実施例および比較例におけるガス空塔速度との比も求めた。
(4)評価方法
各実施例または比較例で使用された触媒粒子(A)および反応不活性な粒子(B)について、特に記述がない限りは、以下の条件にて、活性評価および流動性評価を行った。
(i)活性評価
ヨウ化カリウム(関東化学、オキシダント測定用)を水に溶解し、0.2mol/l溶液を調整した。この溶液300mlに生成ガスを8分間吸収させた。生成ガスを吸収した溶液を、0.1mol/lチオ硫酸ナトリウム溶液(関東化学)で滴定し、該チオ硫酸ナトリウム溶液の滴定量に基づいて、各実施例または比較例にて生成した塩素のモル量を測定し、塩化水素の転化率を求めた。
(ii)流動性評価
反応開始から2時間経過時において、熱電対を用いてガラスフィルター直上(フィルターより下流側0cm)およびフィルターより下流側4cmの各位置の温度を測定し、その温度差を求めた。この温度差が小さいほど蓄熱が小さく、流動性良好であると判断できる。
[実施例1]
触媒粒子1と、不活性粒子(B1)としてシリカゲル(富士シリシア化学製、Q−6、粒径75〜150μm、平均粒子径100μm、嵩密度500kg/m3、終末速度0.25m/s)とを、触媒粒子1:Q−6=9:1の重量比となるように混合して、混合粒子1を得た。混合粒子1には、該混合粒子(触媒粒子1およびシリカゲル(Q−6))100重量%あたり、銅元素が2.12重量%含まれる。
次いで、両端の一方にガス入口、他方にガス出口を備え、ガス入口から下流側130mmの位置にガラスフィルター(孔径;16〜40μm)を備えたハステロイ製反応管(内径;23mm、長さ;500mm、メッシュ直上(メッシュより下流側0cm)とメッシュより下流側4cmの位置にそれぞれ温度測定用熱電対内挿管(直径3mm)を備える。)を設置した。21.5mlの混合粒子1を、ガラスフィルター直上に、下流側から充填した。この反応管に、ガス入口から、塩化水素:酸素:窒素=50:30:20の割合(モル比)で混合された原料ガスを合計130ml/minで供給し、原料ガスの風圧により、メッシュ上の触媒粒子1および不活性粒子を流動させながら、原料ガスを空塔速度1.2cm/s、反応温度360℃、反応時間2時間の反応条件において反応させて、生成ガスを採取した。
得られた生成ガスについて、上記「(4)評価方法」に基づき、活性評価および流動性評価を行った。得られた結果を表1に示す。
[実施例2]
触媒粒子1と、不活性粒子(B1)としてシリカゲル(Q−6、粒径75〜150μm、平均粒子径100μm、嵩密度500kg/m3、終末速度0.25m/s)とを、触媒粒子1:Q−6=7:3の重量比となるように混合して、混合粒子2を得た。得られた混合粒子2を反応管に充填したこと以外は、実施例1と同様に反応させて生成ガスを採取し、活性評価および流動性評価を行った。得られた結果を表1に示す。なお、混合粒子2には、該混合粒子(触媒粒子1およびQ−6)100重量%あたり、銅元素が1.65重量%含まれる。
[比較例1]
触媒粒子1のみを、反応管に充填したこと以外は、実施例1と同様に反応させて生成ガスを採取し、活性評価および流動性評価を行った。得られた結果を表1に示す。
[実施例3]
不活性粒子(B1)であるシリカゲルと、それと平均粒子径および嵩密度が異なる不活性粒子(不活性粒子(B2))を添加することによる活性および流動性への影響を確認するために、触媒粒子1と、不活性粒子(B1)としてシリカゲル(Q−6、粒径75〜150μm、平均粒子径100μm、嵩密度500kg/m3、終末速度0.25m/s)および不活性粒子(B2)として溶融シリカ(電気化学工業製、FB−40S、平均粒子径40μm、嵩密度1300kg/m3、終末速度0.10m/s)とを、触媒粒子1:Q−6:FB−40S=8:1:1の重量比になるように混合して、混合粒子3を得た。得られた混合粒子3を反応管に充填したこと以外は、実施例1と同様に反応させて生成ガスを採取し、活性評価および流動性評価を行った。得られた結果を表1に示す。なお、混合粒子3には、該混合粒子(触媒粒子1、Q−6およびFB−40S)100重量%あたり、銅元素が1.89重量%含まれる。
[実施例4]
触媒粒子2と、不活性粒子(B1)としてシリカゲル(Q−15、粒径75〜500μm、平均粒子径220μm、嵩密度350kg/m3、終末速度0.85m/s)とを、8:2の重量比となるように混合して、混合粒子4を得た。得られた混合粒子4を反応管に充填したこと以外は、実施例1と同様に反応させて生成ガスを採取し、活性評価および流動性評価を行った。得られた結果を表1に示す。なお、混合粒子4には、該混合粒子(触媒粒子2およびQ−15)100重量%あたり、銅元素が2.56重量%含まれる。
[比較例2]
触媒粒子2のみを、反応管に充填したこと以外は、実施例1と同様に反応させて生成ガスを採取し、活性評価および流動性評価を行った。得られた結果を表1に示す。
[実施例5]
触媒粒子3と、不活性粒子(B1)としてシリカゲル(Q−6、粒径75〜150μm、平均粒子径100μm、嵩密度500kg/m3、終末速度0.25m/s)とを、8:2の重量比となるように混合して、混合粒子5を得た。得られた混合粒子5を反応管に充填したこと以外は、実施例1と同様に反応させて生成ガスを採取し、活性評価および流動性評価を行った。得られた結果を表1に示す。なお、混合粒子5には、該混合粒子(触媒粒子3およびQ−6)100重量%あたり、銅元素が1.16重量%含まれる。
[比較例3]
触媒粒子3のみを、反応管に充填したこと以外は、実施例1と同様に反応させて生成ガスを採取し、活性評価および流動性評価を行った。得られた結果を表1に示す。
[実施例6]
触媒粒子4と、不活性粒子(B1)としてシリカゲル(Q−15、粒径75〜300μm、平均粒子径140μm、嵩密度360kg/m3、終末速度0.36m/s)とを、2:8の重量比となるように混合して、混合粒子6を得た。得られた混合粒子6を反応管に充填したこと以外は、実施例1と同様に反応させて生成ガスを採取し、活性評価および流動性評価を行った。得られた結果を表1に示す。なお、混合粒子6には、該混合粒子(触媒粒子4およびQ−15)100重量%あたり、銅元素が0.90重量%含まれる。
[実施例7]
触媒粒子5と、不活性粒子(B1)としてシリカゲル(Q−15、粒径75〜300μm、平均粒子径140μm、嵩密度360kg/m3、終末速度0.36m/s)とを、3.5:6.5の重量比となるように混合して、混合粒子7を得た。得られた混合粒子7を反応管に充填したこと以外は、実施例1と同様に反応させて生成ガスを採取し、活性評価および流動性評価を行った。得られた結果を表1に示す。なお、混合粒子7には、該混合粒子(触媒粒子5およびQ−15)100重量%あたり、銅元素が2.83重量%含まれる。
[実施例8]
触媒粒子3と、不活性粒子(B1)としてシリカゲル(Q−6、粒径75〜150μm、平均粒子径100μm、嵩密度500kg/m3、終末速度0.25m/s)とを、4:6の重量比となるように混合して、混合粒子8を得た。得られた混合粒子8を反応管に充填したこと以外は、実施例1と同様に反応させて生成ガスを採取し、活性評価および流動性評価を行った。得られた結果を表1に示す。なお、混合粒子8には、該混合粒子(触媒粒子3およびQ−6)100重量%あたり、銅元素が0.58重量%含まれる。
[比較例4]
触媒粒子4と、不活性粒子(B1)としてシリカゲル(Q−15、粒径75〜300μm、平均粒子径140μm、嵩密度360kg/m3、終末速度0.36m/s)とを、0.4:9.6の重量比となるように混合して、混合粒子9を得た。得られた混合粒子9を反応管に充填したこと以外は、実施例1と同様に反応させて生成ガスを採取し、活性評価および流動性評価を行った。得られた結果を表1に示す。なお、混合粒子9には、該混合粒子(触媒粒子4およびQ−15)100重量%あたり、銅元素が0.18重量%含まれる。
[比較例5]
触媒粒子5と、不活性粒子(B1)としてシリカゲル(Q−15、粒径75〜300μm、平均粒子径140μm、嵩密度360kg/m3、終末速度0.36m/s)とを、6:4の重量比となるように混合して、混合粒子10を得た。得られた混合粒子10を反応管に充填したこと以外は、実施例1と同様に反応させて生成ガスを採取し、活性評価および流動性評価を行った。得られた結果を表1に示す。なお、混合粒子10には、該混合粒子(触媒粒子5およびQ−15)100重量%あたり、銅元素が4.85重量%含まれる。
[比較例6]
終末速度とガス空塔速度との比が小さい場合の影響を確認するために、触媒粒子2と、不活性粒子(B1)としてシリカゲル(Q−15、粒径75〜500μm、平均粒子径220μm、嵩密度350kg/m3、終末速度0.85m/s)とを、8:2の重量比となるように混合して、混合粒子11を得た。得られた混合粒子11を反応管に充填したことと、原料ガスの反応条件において、空塔速度を1.2cm/sから0.7cm/sに変更したこと以外は、実施例1と同様に反応させて生成ガスを採取し、活性評価および流動性評価を行った。得られた結果を表1に示す。なお、混合粒子11には、該混合粒子(触媒粒子2およびQ−15)100重量%あたり、銅元素が2.56重量%含まれる。
Figure 2010248062
Figure 2010248062
10:流動床反応器
10a:反応器内部
10b:ガス入口
10c:ガス出口
10d:有孔板
11:サイクロン
12:粒子循環用配管
13:粒子出口
14:触媒粒子(A)および反応不活性粒子(B)
A1:原料ガス
A2:生成ガス

Claims (9)

  1. 塩化水素を流動床反応器内で酸化して、塩化水素から塩素を製造する方法であって、
    前記流動床反応器内に、下記要件(A1)および(A2)を満たす触媒粒子(A)と、下記要件(B1)を満たす反応不活性な粒子(B)とが存在し、
    前記触媒粒子(A)および前記反応不活性な粒子(B)との合計100重量%あたり、銅元素の含有量が0.3〜4.5重量%であることを特徴とする塩化水素から塩素を製造する方法。
    (A1)触媒粒子(A)のストークスの式から算出される20℃における空気中での終末速度が、前記流動床反応器内でのガス空塔速度の1.1〜100倍である。
    (A2)触媒粒子(A)が、触媒粒子(A)100重量%あたり、銅元素を0.5〜12重量%含む。
    (B1)反応不活性な粒子(B)のストークスの式から算出される20℃における空気中での終末速度が、前記流動床反応器内でのガス空塔速度の1.1〜100倍である。
  2. 前記流動床反応器内に、前記触媒粒子(A)および反応不活性な粒子(B)が流動状態で存在することを特徴とする塩化水素から塩素を製造する方法。
  3. 前記触媒粒子(A)の平均粒子径が70〜300μmであり、前記反応不活性な粒子(B)の少なくとも一部として、平均粒子径が50μmを超えて、300μm以下の粒子を含む、請求項1または2に記載の塩化水素から塩素を製造する方法。
  4. 前記流動床反応器内に含まれる触媒粒子(A)と反応不活性な粒子(B)との重量比((A)/(B))が、5/95〜99/1の範囲にある、請求項1〜3のいずれか一項に記載の塩化水素から塩素を製造する方法。
  5. 前記触媒粒子(A)が、触媒粒子(A)100重量%あたり、銅元素を0.5〜4.5重量%含み、
    前記流動床反応器内に含まれる触媒粒子(A)と反応不活性な粒子(B)との重量比((A)/(B))が、50/50〜99/1の範囲にある、請求項1〜3のいずれか一項に記載の塩化水素から塩素を製造する方法。
  6. 前記触媒粒子(A)が、銅元素、希土類元素およびアルカリ金属元素を含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の塩化水素から塩素を製造する方法。
  7. 前記触媒粒子(A)が、銅元素、希土類元素およびアルカリ金属元素を含有し、
    銅元素と希土類元素との重量比が、1:0.2〜1:6.0の範囲にあり、
    銅元素とアルカリ金属元素との重量比が、1:0.1〜1:4.0の範囲にある、請求項1〜5のいずれか一項に記載の塩化水素から塩素を製造する方法。
  8. 前記触媒粒子(A)が、銅元素、希土類元素およびアルカリ金属元素を含有し、
    銅元素と希土類元素との重量比が、1:0.2〜1:3.0の範囲にあり、
    銅元素とアルカリ金属元素との重量比が、1:0.1〜1:2.5の範囲にある、請求項1〜5のいずれか一項に記載の塩化水素から塩素を製造する方法。
  9. 前記反応不活性な粒子(B)が、シリカおよびアルミナから選択される少なくとも1種の粒子である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の塩化水素から塩素を製造する方法。
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