JPH1053601A - 安定化された高粘性でんぷん - Google Patents

安定化された高粘性でんぷん

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JPH1053601A
JPH1053601A JP9145618A JP14561897A JPH1053601A JP H1053601 A JPH1053601 A JP H1053601A JP 9145618 A JP9145618 A JP 9145618A JP 14561897 A JP14561897 A JP 14561897A JP H1053601 A JPH1053601 A JP H1053601A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安定化された高粘性でんぷん 【解決手段】 本発明は熱に安定な高粘性でんぷんに関
する。本発明のでんぷんは、アルカリ性条件下で高粘性
でんぷんと活性化された塩素を反応させることによって
得られる。本発明のでんぷんは、通常の化学的架橋結合
によって得られる粘度の安定なでんぷんに代って使用さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱に安定な高粘性
でんぷんに関する。本発明のでんぷんは、高粘性でんぷ
んを活性化された塩素とアルカリ性条件下に反応させる
ことによって得られる。本発明のでんぷんは、通常の化
学架橋結合によって得られる粘度安定なでんぷんに代っ
て使用される。
【0002】
【従来の技術】天然のでんぷん粒を水中に分散して、加
熱すると、その粒状水和物は温度60℃で膨潤する。で
んぷん懸濁液は、温度65〜95℃で最高粘度を示す。
増加された粘度は、多くの食品に於て望まれる特性であ
る。しかし膨潤したでんぷん粒は極めてもろく、崩壊し
がちであり、これが粘度の低下を導く原因となる。剪断
又は極端なpH条件は、この崩壊工程を早めがちであ
る。
【0003】高粘性でんぷんは、加熱の間、粘性特性の
点での重要な増加を示すでんぷんである。高い膨潤力を
有するでんぷんは種々のワクシイから由来するでんぷん
及び塊茎及び根から由来するでんぷん(たとえばジャガ
イモ、タピオカ)である。しかしこの膨潤したでんぷん
粒は、加熱の間著しく破裂し、これが著しい粘度低下を
再び生じさせる。
【0004】望まれない粘度低下を克服するために、で
んぷんを安定化しなければならない。粘度低下は、化学
試剤ででんぷん粒を処理して克服することができる。こ
の試剤は分子内架橋又はでんぷん分子間の架橋を生じさ
せる。安定化された高粘性でんぷんは、加熱が長引く
間、膨潤したでんぷん粒が崩壊することなく、加熱状態
ででんぷん粒の実質上の膨潤を示す。加熱工程での極め
て膨潤したでんぷん粒の無傷性は安定なペースト粘度を
保証する。
【0005】一般にでんぷんの架橋結合は、試剤、たと
えばオキシ塩化リン、トリメタリン酸ナトリウム、無水
アジピン酸、エピクロロヒドリン等を用いて行われる。
最も高い、可能な粘度レベルで安定化を得るために、極
めて低量の架橋剤を使用する。最終生成物の特性は、適
用された反応条件に極めて依存する。配量添加量の僅か
なずれ及び反応時間の僅かな変更は予想されない粘性挙
動を有する化工でんぷんを生じさせる。
【0006】極めて膨潤した(ビスコース)調理用でん
ぷんは、多くの異なる料理、たとえばスープ、ソース、
肉製品、ドレッシング、電子レンジ用食品の調製に及び
製パン用クリーム及び詰め物の調製に使用される。イン
スタント食品は(80〜100℃に)加熱後高い粘度及
びなめらかなテクスチャーを有しなければならない。安
定化された高粘性でんぷんは、上記適用に最適である。
【0007】更に、その適用分野は、これらのでんぷん
がたとえばロール- 乾燥によって得られる前糊化された
形で使用される場合、即時に固まる食品も包含する。特
開平7−106377公報(Japan Maize Products, ダ
ーウェント出版物1971年4月2日、第6頁、AN1
112945S)には、でんぷんの酸化が記載されてい
る。この特許公報には、糊化の開始温度が低下するとい
うような強い酸化が記載されている。その条件はでんぷ
んが脱重合されるような条件であると結論づけられる。
【0008】米国特許第1,937,543号明細書に
は、でんぷんの調製方法が記載されている。そこには二
酸化イオウを酸化するのに十分な、定められた量の次亜
塩素酸ナトリウムの添加によって、望まれない過剰の二
酸化イオウを除去することが記載されている。過剰の塩
素が仕上げ加工された製品の味に不利に影響するのでほ
んの僅かに過剰の次亜塩素酸塩を使用する。したがって
15〜20ppmの量で存在する二酸化イオウに対して
少過剰の次亜塩素酸塩とでんぷんを反応させる。この生
成物は、より一層濃厚な沸騰物(boiling) になると報告
されている。
【0009】米国特許第2,108,862号明細書に
は、ハロゲン化された濃厚な沸騰でんぷんの調製方法が
記載されている。この反応は酸性pHで行われる。米国
特許第2,317,752号明細書中にこの発明者が
“阻害”でんぷんと呼んでいるでんぷんの調製方法が記
載されている。このでんぷんは粗でんぷんと水性媒体中
で調理される間、僅かになめらかで、安定なでんぷんを
生じる点で異なっている。ここにはでんぷんと次亜塩素
酸塩の反応は、僅かに沸騰するでんぷんを生じることが
知られていると報告されている。この特許の阻害でんぷ
んは、次亜塩素酸塩をかなりの量の反応調節剤と組合せ
て使用した場合に得られる。米国特許第2,354,8
38号明細書中に、ワクシイメイズでんぷんを次亜塩素
酸塩処理して、希薄化する方法が記載されている。この
特許によって得られる生成物は、優れた澄明性、粘着力
及び非老化傾向を有する低粘性でんぷんである。
【0010】米国特許第2,989,521号明細書中
に、でんぷんを架橋及び酸化する方法が記載されてい
る。次亜塩素酸塩処理のための出発材料は、エピクロル
ヒドリンを用いて得られる、極めて高度に架橋結合され
たでんぷんであり、測定不可能な粘度を有する。次いで
構造をもろくし、粘度を増加させるために、でんぷんを
多量の次亜塩素酸塩で処理する。ジグリセロールエーテ
ル結合は、アルカリ性次亜塩素酸塩処理の間、切断され
ない。この処理によって多数のカルボキシル基(3〜9
モル/100AGU)が導入される。この親水性基のゆ
えに、でんぷんは水中でより良好に膨潤し、高粘性を生
じる。
【0011】米国特許第4,281,111号明細書に
は、pH約3で、でんぷんを次亜塩素酸処理し、次いで
ヒドロキシプロピル化することが記載されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】でんぷんの広範な化学
架橋結合よって、この生成物の食品中への使用は許可さ
れない。したがって穏やかな条件下に処理され、それで
も熱に安定な高粘性でんぷんの特性を有するでんぷん生
成物が必要である。更にこの様な穏やかに処理されたで
んぷんは、食品中の成分として許可される。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、アルカリ性条
件下ででんぷん又は化学的に化工されたでんぷんを活性
化された塩素と反応させることによって得られた、熱に
安定な高粘性でんぷんに関する。でんぷん又は化工でん
ぷんはワクシイ、根及び塊茎でんぷんより成る群から選
ばれる高粘性でんぷんであるのが好ましい。最も好まし
いものは、ワクシイメイズ、ワクシイ米、ワクシイジャ
ガイモ、ワクシイモロコシ、ワクシイ大麦を包含するワ
クシイでんぷんである。化学的に化工されたでんぷんと
しては、アルケニルコハク酸エステルが使用される。更
に好ましくはn- オクテニルスクシニル化されたでんぷ
んである。
【0014】本発明の安定化された高粘性でんぷんは、
でんぷんと次亜塩素酸塩をアルカリ性条件下に反応させ
て調製される。もしくは塩素を生じる他の剤も使用され
る。更に、本発明は、次亜塩素酸塩及び無水n- アルケ
ニルコハク酸(nASA)で処理されたでんぷんに関す
る。この処理は、先ず無水物で、次いで次亜塩素酸塩の
順序で行われるのが好ましい。特に、処理は無水n- オ
クテニルコハク酸(nOSA)を用いて行われる。
【0015】本発明のでんぷん生成物は、通常の架橋に
よって得られる粘度安定なでんぷんに代って使用され
る。本発明は、通常の架橋剤を使用することなく調製さ
れる熱に安定な高粘性でんぷんに関する。すべてのでん
ぷんを、本発明の熱に安定な高粘性でんぷんの調製に使
用することができる。ワクシイ、根及び塊茎でんぷんよ
り成る群から選ばれたでんぷんを使用するのが好まし
い。最も好ましいものは、ワクシイメイズ、ワクシイ
米、ワクシイジャガイモ、ワクシイモロコシ、ワクシイ
大麦を包含するワクシイでんぷんである。
【0016】でんぷんをそのまま使用するか又は次亜塩
素酸塩処理の前又はその後に化学的に化工してもよい。
本発明は、同一の好ましい結果を示す二重変異でんぷん
ダルワクシイ(dullwaxy)(duwx) 及びワクシイシュルン
ケン(waxy shrunken-1)(wxshr-1)の処理によっても説明
される。更に、処理された二重変異でんぷんは増加され
た酸安定性を示すことが明らかである。この作用は duw
x でんぷんでもっとも顕著である。
【0017】ワクシイでんぷん及び根又は塊茎でんぷん
は、一般に延長された加熱の間著しい粘度低下を受け
る。したがってこの場合、本発明の処理によって生じる
安定化作用は、最も有益である。このグループとは対照
的に、通常の穀物でんぷん(メイズ、小麦、モロコシ)
又はマメでんぷん(スムースピー(smooth pea)、ファバ
ビーン(faba bean))及びハイアミロースでんぷんは、中
性pHで常圧条件下に加熱した場合、粘度低下がない。
それでもこれらのでんぷんは、本発明の処理によって更
に安定化される。
【0018】本発明の生成物は、活性塩素を用いる穏や
かな処理のゆえに延長された加熱の間でさえも高い粘性
を保つように化工されたでんぷんである。本発明の生成
物はアルカリ性又は酸性条件下に加熱した場合高粘性も
保持する。更にこの高粘性は加熱及び冷却をくり返した
後も保たれる。本発明のでんぷんは、ブラベンダービス
コグラフでの測定の間粘度のほんの僅かの低下を示す。
粘度の降下は95℃での加熱の間20%より小さく、好
ましくは10%より小さい。
【0019】でんぷんをスクシニル化した場合同一作用
が見い出されるという知見は、特に興味深いものであ
る。この場合でんぷんを無水n- アルケニルコハク酸
(n- ASA)、好ましくは無水n- オクテニルコハク
酸(n- OSA)で処理する。更に、本発明者は、次亜
塩素酸塩での処理をn- OSAでの処理後に行った場
合、この生成物が、別の順序で反応を行って得られた生
成物と異なることを見い出した。
【0020】本発明のでんぷん生成物は、好ましくはナ
リウム又はカルシウム塩の形の次亜塩素酸塩(活性塩素
100〜4000ppm、好ましくは500〜2000
ppmに相当)と、pH7.5〜11.5、好ましくは
8.5〜10.5で反応させることによって得られる。
一般に反応条件(塩素レベル、時間、温度、pH)は、
でんぷんの分解及びカルボキシル基の実質上形成(<
0.1%)が全く生じないように調節されなければなら
ない。
【0021】通常の反応時間及び温度は夫々0.25〜
5時間で、10〜55℃である。反応を天然でんぷんで
実施するのが好ましい。しかし化学的置換、たとえばア
セチル化、ヒドロキシプロピル化又はn- オクテニルス
クシニル化されたものとの組合せも含まれる。反応を化
学的化工、たとえばアセチル化、ヒドロキシプロピル化
又はn- オクテニルスクシニル化されたものとの組合せ
に於て実施する場合、塩素との処理は、化学的化工反応
の前、その間又はその後に行われる。化学的化工の間又
はその後の処理が、同一の塩素処理レベルを用いてもよ
り一層著しい安定化作用を生じるので有利である(例
5)。
【0022】ときどき調節が困難な化学的架橋結合反応
(たとえばオキシ塩化リン、トリメタリン酸ナトリウム
又は無水アジピン酸による)を、アルカリ性塩素処理に
代えようとする試みがあるという事実にもかかわらず、
このような化工処理との組合せが、一層高められた粘度
安定化に対しても有利に働くことができる。本発明の次
亜塩素酸塩の代りにその場で活性塩素を生じることがで
きる化合物の組合せ、たとえば過剰塩素イオンの存在下
で過酢酸及び(又は)過酸化水素を使用することができ
る。
【0023】アルカリ性条件下に行われる次亜塩素酸塩
反応である本発明の方法の他の利点は、多くの他の可能
な架橋結合反応もアルカリ性条件下で通常行われること
である。その結果としてこの反応は工程間でpHを変え
る必要もなく同時に又は連続的に行われる。これによっ
てバッチ処理が可能になる。この様な他の化工反応は、
ヒドロキシプロピル化及びアセチル化を包含する。
【0024】本発明の熱に安定な高粘性でんぷんは、濃
厚な沸騰でんぷんが使用されるすべての適用領域中で用
いられる。スープ及びソース用増粘剤として、肉製品用
安定剤として、又はドレッシング、スプレッドインスタ
ント食品中に適用するが重要である。高い水結合能力の
ゆえに、本発明の生成物は、製パン製品の新鮮味を改良
する。前- ゲル化された製品(インスタントでんぷん)
は、詰め物及びクリームを含む製パン製品の安定化に特
に適する。更に古典的に架橋されたでんぷんのほんの一
部を本発明のでんぷんに代えて使用することができる。
【0025】本発明の方法の更なる利点は、無色生成物
を生じる反応の漂白作用である。更に、微生物を除い
て、多かれ少なかれ滅菌製品を生じる。本発明を、ワク
シイメイズでんぷんと次亜塩素酸ナトリウムの反応によ
って説明する(例1)。ワクシイメイズでんぷんを、次
亜塩素酸ナトリウムの形で添加された活性塩素1000
ppmと反応させる。反応を夫々1.3時間及び5時間
続ける。反応時間は、ブラベンダービスコスメーター実
験法によって測定される様に、熱粘度安定性に著しく影
響しない。
【0026】例2に於て、粘度安定化作用がpH依存性
であること及びその作用がpHの上昇と共に増加するこ
とを実証する。例3に於て、ワクシイメイズでんぷん以
外のでんぷんを、例1に記載した方法に従って処理す
る。処理はワクシイ大麦でんぷん及びジャガイモでんぷ
んに対してpH9.5で1時間、タピオカでんぷんに対
してpH8.5で行われる。粘度データは、他のワクシ
イでんぷんの及び塊茎及び根でんぷんのアルカリ性条件
下での次亜塩素酸塩処理が、ワクシイメイズでんぷんに
対して示されたとの類似の粘度改良を生じることを明ら
かに示す。
【0027】例4に於て、アセチル化されたワクシイメ
イズでんぷんを過酸化水素又は過酢酸で処理した場合、
この作用が観察されないことを実証する。図3中に、ア
セチル化されたワクシイメイズでんぷんに対する過酸化
水素又は過酢酸処理と比較して次亜塩素酸塩の驚くべき
粘性改良作用を示す。更にこの例によって、化学的に化
工されたでんぷんから出発した場合、その作用が観察さ
れることも実証する。
【0028】例5に於て、より高い安定化作用でさえn
- オクテニルスクシニル化との組合せで得られることを
示す。更にこの例によって連続するn- オクテニルスク
シニル化- 次亜塩素酸塩処理が逆の順序の処理よりも良
好な安定化作用を生じることを実証する。n- オクテニ
ルスクシニル化- 次亜塩素酸塩処理の組合せの特別な利
点は、この化工でんぷんの高い酸安定性である(図
5)。
【0029】例6に於て、二重変異メイズでんぷんが同
一の好ましい結果をもって使用されることを示す。一般
にダルワクシイ(duwx)及びワクシイシュルンケン- 1(w
xshr-1) メイズでんぷんを使用する。次亜塩素酸塩処理
された生成物は著しく増加された熱粘性を示す(図6及
び7)。更に、処理された二重変異でんぷん(この場合
ワクシイでんぷん)が、未処理二重変異でんぷんと比較
して著しく増加された酸安定性を示すことが分る。この
作用は duwx メイズでんぷんを用いた場合最も顕著であ
る(図8)。
【0030】
【実施例】以下に、本発明を例によって説明する。ブラ
ベンダービスコグラムをpH5.5で測定する。但し、
duwx 二重変異でんぷんはpH3.0で測定される(例
6)。 〔例1〕天然のワクシイメイズでんぷん(Cerestar 04
201)2kgを、水道水3l中でスラリー化する。こ
のスラリーに、次亜塩素酸ナトリウムを活性塩素100
0ppmに相当する量で加える。一定の攪拌下に、反応
を1.3時間、次いで5時間続ける。この時間後、サン
プルを採取し、pHを約6にし、過剰の塩素を亜硫酸水
素ナトリウムで中和する。次いでスラリーを2回2倍量
の水で洗滌し、生じる濾過ケーキを流動床ドライヤー(F
a. Retsch)中で60℃で乾燥して、10〜15%含水率
にする。もしくはケーキを室温で一晩ベンチ上で乾燥さ
せる。このでんぷんから、ブラベンダービスコグラムを
30gでんぷん/450ml水の濃度で調べる(図1参
照)。未処理ワクシイメイズでんぷんに反して、この方
法で処理された生成物は高いかつ安定な熱粘性及び低温
粘性(50℃)を示す。これは対照物の粘性の3倍より
多く高い(ブラベンダーユニットBUで表わされる)。
処理時間は粘度変化に最低限の影響しか与えない。ペー
ストは何らのゲル化傾向を示すことなく、これを一晩室
温又は冷却室温度で保存することができる。 〔例2〕この例によって、粘度安定化作用はpH依存性
であること及びその作用はpHの上昇と共に増加するこ
とを実証する。
【0031】ワクシイメイズでんぷんの反応は例1に記
載した様に行われる。但し反応時間は1時間に決めら
れ、反応pHは7.5〜10.5の間を変化する。図2
のブラベンダー曲線から、最高の安定化作用はpH1
0.5で得られること及びpH7.5で95℃での粘度
はまだ僅かに低下することが実証される。したがって低
下した粘度はpHの上昇と共により高くなる。 〔例3〕この例中、ワクシイメイズでんぷん以外のでん
ぷんを例1に記載した方法に従って処理する。反応はワ
クシイ大麦でんぷん及びジャガイモでんぷんに対してp
H9.5で1時間、タピオカでんぷんに対してpH8.
5で行われる。下記表中に、95℃で30分後(BU−
95/30′)の粘度比較を示す。これは次亜塩素酸処
理されたでんぷんの50℃に冷却後(BU−50)の熱
安定性に関する、対応する対照物との比較測定である。
【0032】 でんぷん 未処理 NaOCl- 処理 BU-95/30' BU- 50 ワクシイ大麦 + 450 680 + 850 1320 タピオカ + 420 800 + 880 1670 ジャガイモ* + 430 660 + 1010 1720* 他のでんぷん(30g/450ml水)と異なって、ジャガイモでんぷんのビ スコグラムは、15gでんぷん/450ml水で作製される。
【0033】粘度データから、他のワクシイでんぷんの
及び塊茎及び根でんぷんの、アルカリ性条件下での次亜
塩素酸塩処理は、ワクシイメイズでんぷんに関して示さ
れているのに類似する粘性改良を生じることが明らかで
ある。 〔例4〕ワクシイメイズでんぷん2kgを水4l中にス
ラリー化する。pHを1NNaOHで8.5にする。次
いで活性塩素1000ppmに相当する次亜塩素酸ナト
リウムを加える。pHを1N NaOHの同様な添加に
よって8.0〜8.5に保つ間、30℃で無水酢酸32
gを15分以内に滴加する。無水酢酸すべてを添加した
後、pH及び残存塩素を、例1中に記載した様に中和す
る前にスラリーを15分、pH8.5で保つ。2回洗滌
した後、でんぷんを流動床ドライヤー中で乾燥し、ブラ
ベンダー評価にこの形態で使用する。比較のために、同
一反応を夫々過酸化水素及び過酢酸(活性酸素1000
ppm)の存在下で実施する。
【0034】図3から、アセチル化されたワクシイメイ
ズでんぷんに対する過酸化水素又は過酢酸処理と比較し
て次亜塩素酸塩の粘度を改良する作用は驚くべきことで
あることが実証される。 〔例5〕この例によって、n- オクテニルスクシニル化
と次亜塩素酸塩処理の組合せの特別な利点を実証する。
反応順序は、安定化作用にとって重要である。曲線a
は、ワクシイでんぷんを30℃、pH8.5で3%無水
n- オクテニルコハク酸で1時間処理することによって
得られたn- オクテニルスクシニルでんぷんの変化であ
る。曲線bは30℃で活性塩素2000ppmで1時間
処理し、次いでaに記載した様にn- オクテニルスクシ
ニル化した後に得られる変化を示す。曲線cは、bに記
載したのと逆の順序で処理されたでんぷんから得られ
る。
【0035】pH5.5(図4)でも、pH3(図5)
でも、次亜塩素酸塩での処理はn-オクテニルスクシニ
ルでんぷんの安定性を増加するが、塩素での処理、次い
でn- オクテニルスクシニル化はこれまで最高の安定化
作用を生じることが分る。この場合、酸性条件下でさ
え、延長された加熱の間に粘度低下は起らない。 〔例6〕この例によって、でんぷんの粘度安定化に対す
るアルカリ性次亜塩素酸塩処理の特別の利点は二重変異
メイズから由来することを実証する。 a)ダルワクシイ(duwx)及びb)ワクシイシュルンケン
- 1(wxshr- 1) 反応をpH9.5で、1時間塩素2000ppmを用い
る例に記載した様に行う。
【0036】親でんぷんに反して、次亜塩素酸塩処理さ
れたでんぷんは、著しく高くかつ安定な熱時粘度及び天
然でんぷんの粘度よりも2〜3倍高い対応する低下粘度
を示す。これは図6及び7中に示される。duwx メイズ
でんぷんに対して、次亜塩素酸塩処理されたでんぷん
は、未処理でんぷんよりも酸(pH3)に安定であるこ
とが分る(図8)。天然 duwx でんぷんの粘度がほとん
ど完全に95℃で30分後に低下するが、処理されたで
んぷんは、この条件下でほんの僅かしか減少しない高い
粘度を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】pH10.5で1,3及び5時間、活性塩素1
000ppm(NaOClの形で添加)で処理されたワ
クシイメイズでんぷん(Cerestar 04201、30g/
450ml)のブラベンダービスコグラムである。
【図2】pH7.5,8.5,9.5及び10.5で1
時間、活性塩素1000ppm(NaOClの形で添
加)で処理されたワクシイメイズでんぷん(Cerestar0
4201、30g/450ml)のブラベンダービスコ
グラムである。
【図3】1.6%無水酢酸及び過酸化水素1000pp
m、過酢酸1000ppm又は次亜塩素酸ナトリウム1
000ppmで処理されたワクシイメイズでんぷん(Ce
restar 04201、30g/450ml)のブラベン
ダービスコグラムである。
【図4】3%無水n- オクテニルコハク酸及び活性塩素
2000ppm(次亜塩素酸ナトリウムとして)で処理
されたワクシイメイズでんぷん(Cerestar 04201、
30g/450ml)のブラベンダービスコグラムであ
る。(ブラベンダービスコグラム、pH5.5)
【図5】3%無水n- オクテニルコハク酸及び活性塩素
2000ppm(次亜塩素酸ナトリウムとして)で処理
されたワクシイメイズでんぷん(Cerestar 04201、
30g/450ml)のブラベンダービスコグラムであ
る。(ブラベンダービスコグラム、pH3.0)
【図6】pH9.5で1時間、活性塩素2000ppm
(NaOClの形で添加)で処理されたワクシイシュル
ンケン- 1(wxshr-1) でんぷんのブラベンダービスコグ
ラムである。
【図7】pH9.5で1時間、活性塩素2000ppm
(NaOClの形で添加)で処理されたダルワクシイ(d
uwx)でんぷんのブラベンダービスコグラムである。(ブ
ラベンダービスコグラム、pH5.5)
【図8】pH9.5で1時間、活性塩素2000ppm
(NaOClの形で添加)で処理されたダルワクシイ(d
uwx)でんぷんのブラベンダービスコグラムである。(ブ
ラベンダービスコグラム、pH3.0)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ヨーゼフ・ビクトール・ジャン・マリー・ コッピン ベルギー国、9470デンデルレーウ、リンデ ストラート、190

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 でんぷん又は化工でんぷんをアルカリ性
    条件下で次亜塩素酸塩と又はその場で活性化された塩素
    を生じることができる化合物の組合せと反応させること
    によって得られることを特徴とする、安定化された高粘
    性でんぷん。
  2. 【請求項2】 当該でんぷんがナトリウム又はカルシウ
    ム塩の形の次亜塩素酸塩──100−4000ppm活
    性塩素に相当──と7.5−11.5のpHで反応させ
    ることによって得られる、請求項1記載の安定化された
    高粘性でんぷん。
  3. 【請求項3】 でんぷんがワクシイ、根及び塊茎でんぷ
    ん又はその化工された形より成る群から選ばれる、請求
    項1又は2記載の安定化された高粘性でんぷん。
  4. 【請求項4】 化工された形がでんぷんアルケニルコハ
    ク酸エステルである、請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 アルケニルコハク酸エステルがn- オク
    テニルコハク酸エステルである、請求項4記載の方法。
  6. 【請求項6】 でんぷんが二重変異でんぷんの群から選
    ばれる、請求項1又は2記載の方法。
  7. 【請求項7】 二重変異でんぷんが duwx 又は wxshr-1
    タイプである、請求項6記載の方法。
  8. 【請求項8】 でんぷんを先ず無水n- オクテニルコハ
    ク酸で、次いでアルカリ性条件下で次亜塩素酸塩又は活
    性化された塩素を生じる他の化合物で処理することによ
    って得られるでんぷん生成物。
  9. 【請求項9】 でんぷんをアルカリ条件下で次亜塩素酸
    塩と反応させることを特徴とする、熱に安定な高粘性で
    んぷんを製造する方法。
  10. 【請求項10】 反応をpH7.5〜11.5で次亜塩
    素酸100〜4000ppmを用いて行う、請求項9記
    載の方法。
  11. 【請求項11】 でんぷんがワクシイ、根、塊茎でんぷ
    ん又はその化工された形及び二重変異でんぷんから成る
    群から選ばれる、請求項9又は10記載の方法。
  12. 【請求項12】 請求項1ないし8のいずれかに記載の
    でんぷんを含有する食品。
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