JPH076508B2 - ポンピングチユーブ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、スクイーズポンプに取付けられ、生コンやモ
ルタルの圧送に用いられるポンピングチユーブに関す
る。

〔従来の技術〕

スクイーズポンプは、第３図に示す如く円弧状の内周面
を有する固定ドラム１と、該固定ドラム１の内周面の中
心に設けた回転軸２と、回転軸２に固定された回転枠３
と、回転枠３に固定ドラム１の内周面に沿い移動可能に
設けた回転ローラ４とを備えた構造になつている。この
固定ドラム１の内周面に沿い円弧状にポンピングチユー
ブ５が配置され、第３図では省略してあるが、その一端
を生コン等の貯溜室側に及び他端を生コン圧送用のブー
ム等に接続してある。

ポンピングチユーブ５は断面が円形に形成されている
が、自転しながら回転軸３の回りに回転移動する回転ロ
ーラ４により固定ドラム１の内周面に押し付けられて偏
平に圧潰し、回転ローラ４の通過後はゴムの弾性により
断面円形に復元されるので、ポンピングチユーブ５は固
定ドラム１の内周面と回転ローラ４との間で圧潰と復元
とが繰返され、この圧潰と復元の繰返しによつて生コン
やモルタルを一端から吸入し他端から吐出するようにな
つている。

しかし、ポンピングチユーブ５に圧潰と復元が繰返され
ることによつて、主構成材料であるゴムの弾性が次第に
劣化するため回転ローラ４が離れても次第に断面が元の
円形に復元しにくくなり、逐には圧潰方向に圧し潰され
た偏平は断面形状になる。このように生コン等の吸入と
吐出を繰返すことによりポンピングチユーブ５の復元力
が劣化すると、それに伴い吸込み効率が低下する。例え
ば第５図に示す如く、内径が105mmの断面円形のポンピ
ングチユーブでは、積算吸込み量が2000m³を超えると吸
込み効率が使用可能の限度とされる約38％（図中×印）
以下になり、この時点でチユーブ寿命に至つたものとし
て交換されていた。

〔発明が解決しようとする課題〕

本発明はかかる従来の事情に鑑み、吸込み効率の低下を
招く復元性能の劣化を防ぐことにより、チユーブ寿命を
大幅に向上させたポンピングチユーブを提供することを
目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するため、本発明では、円弧状の内周面
を有する固定ドラムと、固定ドラム内周面の円弧の中心
に設けた回転軸と、該回転軸に固定した回転枠と、固定
ドラム内周面に沿い回転可能に回転枠に設けた回転ロー
ラとを備えたスクイーズポンプに、前記固定ドラムの内
周面に沿い円弧状に配置され、回転ローラの移動に伴い
順次偏平に圧潰されるポンピングチユーブにおいて、全
体がほぼ円弧状であつて、前記回転ローラと接する部分
の断面が前記回転ドラム内周面の円弧の径方向を長径と
する楕円形に形成されていることを特徴とする。

〔作用〕

本発明では、第１図に示すようにポンピングチユーブ５
の断面が楕円形になつており、且つ全体形状がほぼ円弧
状であつて、楕円形断面の長径方向が固定ドラム１の内
周面と回転ローラ４を結ぶ方向に一致するようになつて
いる。

その結果、本発明の断面楕円形のポンピングチユーブは
楕円の長径方向からの回転ローラによる圧潰に対して優
れた復元力を有し、その復元力は従来の断面円形のもの
よりも大である。従つて、この復元力の大きい分だけ吸
込み効率の低下速度を従来より遅くできチユーブ寿命を
長くすることが出来る。

例えば、内周側の長径が109mmで短径が100mmのポンピン
グチユーブの吸込み効率は第４図のようになり、使用限
度とされる吸込み効率約38％（図中×印）に至るまでの
生コンの積算吸込み量は3500m³を超えることが判る。

又、本発明のポンピングチユーブは、一端から他端まで
すべて断面楕円形であつても良いが、ポンプ及びブール
等への接続を容易にするため第２図に示す如く両方の端
部6aを断面円形に形成し、両方の端部6aを除く中央部6b
を断面楕円形に形成することも出来る。

上記した復元力及び吸込み効率の改善向上を得るために
は、楕円形断面の内周側における短径に対する長径の比
を約105:100〜120:90の範囲とすることが好ましい。

尚、ポンピングチユーブの断面が楕円形であつても、全
体形状が直線状では、固定ドラムの内周面に沿つて円弧
状に取付ける際に楕円形断面形状が維持できず、本発明
の意図するところとは逆に固定ドラム内周面と回転ロー
ラを結ぶ方向に対し直交方向に偏平に変形する。これを
避けるために本発明のポンピングチユーブは最初から全
体をほぼ円弧状に形成する。

〔実施例〕

実施例１ 外径105mmの円形マンドレルの外周に、内面ゴムとしてN
R/BRを施し、その外周に1640デニールのナイロン糸２本
を撚り合わせたスダレコードを４層巻き付け、更にその
外周に外面ゴムとしてNRを施した後147℃で加硫した。

得られた断面円形のチユーブを、全体が曲率半径2400mm
で湾曲した円弧状であり且つ断面がこの円弧のなす径方
向を長径とした楕円形で長径109mm及び短径100mmの外径
を有する楕円形マンドレルに差し込み、147℃で再度加
硫した。

得られたポンピングチユーブは、全長2.4mで全体が円弧
状に湾曲し、断面がチユーブが描く円弧のなす径方向を
長径とする楕円形でその内周側での長径109mm及び短径1
00mmであり、肉厚が26であつた。

このポンピングチユーブをスクイーズポンプに取付け、
生コンの吸入と吐出を繰返したところ、吸込み率38％に
なるまでの積算吸込み量は約3700m³であつた。

実施例２ 円形マンドレル及び楕円形マンドレルを代えることによ
り、寸法が異なる以外は実施例１と同様にしてポンピン
グチユーブを製造した。

このポンピングチユーブは全長2.4mで全体が円弧状に湾
曲し、断面が両端から300mmの部分が直径105mmの円形で
あり、断面円形の両端部を除く中央部分がチユーブの円
弧の径方向を長径とする楕円形であつて、その内周側で
の長径111mm及び短径100mmであり、肉厚が26mmのポンピ
ングチユーブを製造した。

このポンピングチユーブをスクイーズポンプに取付け生
コンの吸入と吐出を繰返したところ、吸込み率38％にな
るまでの積算吸込み量は約3800m³であつた。

〔発明の効果〕

本発明によれば、スクイーズポンプによる圧潰に対して
優れた復元力を有し、従つてチユーブ寿命を大幅に向上
させたポンピングチユーブを提供することが出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図はスクイーズポンプの固定ドラムと回転ローラの
間に配置された本発明のポンピングチユーブの一具体例
の斜視図であり、第２図は本発明のポンピングチユーブ
の別の具体例であつて、（ａ）は横断面図、（ｂ）及び
（ｃ）はそれぞれ端部及び中央部における縦断面図であ
る。第３図はポンピングチユーブを備えたスクイーズポ
ンプの要部を示す概略の側面図である。第４図は本発明
のポンピングチユーブ及び第５図は従来のポンピングチ
ユーブについて、それぞれの吸込み効率と積算吸込み量
の関係を示すグラフである。 １……固定ドラム、２……回転軸 ３……回転枠、４……回転ローラ ５……ポンピングチユーブ 6a……端部、6b……中央部

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】円弧状の内周面を有する固定ドラムと、固
   定ドラム内周面の円弧の中心に設けた回転軸と、該回転
   軸に固定した回転枠と、固定ドラム内周面に沿い回転可
   能に回転枠に設けた回転ローラとを備えたスクイーズポ
   ンプに、前記固定ドラムの内周面に沿い円弧状に配置さ
   れ、回転ローラの移動に伴い順次偏平に圧潰されるポン
   ピングチユーブにおいて、全体がほぼ円弧状であつて、
   前記回転ローラと接する部分の断面が前記回転ドラム内
   周面の円弧の径方向を長径とする楕円形に形成されてい
   ることを特徴とするポンピングチユーブ。
2. 【請求項２】両端部の断面が円形であり、該両端部を除
   く他の部分の断面が楕円形であることを特徴とする、請
   求項（１）記載のポンピングチユーブ。