JP2004204197A - 膨潤が抑制された澱粉の製造法 - Google Patents
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Abstract
【目的】膨潤が抑制された澱粉を、多量の架橋剤を用いず、短い反応時間で製造する。
【構成】澱粉の水懸濁液を、澱粉の糊化開始温度より低くかつ成るべく高い温度で、pH9±1で少量のアセチル化剤を加えてアセチル化し、次いでpH11±0.5で微量のオキシ塩化リンを加えてリン酸架橋する。
【選択図】図1
【構成】澱粉の水懸濁液を、澱粉の糊化開始温度より低くかつ成るべく高い温度で、pH9±1で少量のアセチル化剤を加えてアセチル化し、次いでpH11±0.5で微量のオキシ塩化リンを加えてリン酸架橋する。
【選択図】図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は化工澱粉の製造法に関する技術分野に属し、さらに詳細には、膨潤が抑制されたリン酸架橋澱粉を、容易に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】澱粉をアセチル化する技術は、無水酢酸、酢酸ビニール、塩化アセチルなどのアセチル化剤を澱粉と反応させることが知られている(澱粉科学ハンドブック、504頁)。澱粉をアセチル化すると一般に澱粉の糊化開始温度が低下し、粘度が増加することが知られている。
【0003】
澱粉をリン酸架橋するには、アルカリ側で澱粉にオキシ塩化リン、無水リン酸、トリメタリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩などを反応させる。(澱粉科学ハンドブック、510頁)リン酸架橋した澱粉は、最高粘度温度が高温側に移行する、ブレークダウンが減少し、遂にはブレークダウンしなくなる、などの特徴がある。
【0004】
さらに強くリン酸架橋すると、遂には全く膨潤しなくなる。たとえば無水リン酸を澱粉の10%(モル比)加えてpH11で7時間反応させると、アミログラフでは全く膨潤していない。(澱粉工業学会誌;14(1)24(1967))
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近時レトルト食品の普及に伴い、高温高圧下でに膨潤して崩壊せず、製品の物性を良好に保持する澱粉が求められている。レトルト条件は多様であるから、アミログラフでブレークダウンしなくなった状態から、より強く架橋して全く膨潤しなくなった状態までの範囲の多様な架橋澱粉の製造法が、この発明の課題である。しかもその方法は前項のような多量の架橋剤を要せず、かつ長時間の反応を必要としないことが望ましい。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、澱粉に軽度のアセチル化反応を施し、次いで軽度のリン酸架橋反応を施すことにより、より強く架橋した澱粉が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
図5に、ネイテイブのタピオカ澱粉のアミログラフ5aと、タピオカ澱粉の40重量%スラリーに、澱粉の0.5重量%の酢酸ビニールモノマー(以下、「VAM」と略記する)を加え、pH9、50℃で30分反応させた後中和した5b、澱粉の0.025重量%のオキシ塩化リンを加え、pH11、50℃で1時間反応後中和した5c、澱粉の0.5重量%のVAMを加えてpH9、50℃で30分反応させ、次いで0.025重量%のオキシ塩化リンを加え、pH11、50℃で1時間反応後中和した5dのアミログラフを示した。5bのアセチル化は反応が微弱なためアミログラフは殆どネイテイブのタピオカ澱粉5aと同じだが、5cはブレークダウンが減少して架橋しているのがわかる。5dはさらに架橋度が増してブレークダウンがほぼ無くなっている。つまり微弱なアセチル化を施してからリン酸架橋すると、単にリン酸架橋する場合よりも架橋度が増強されるのである。
【0008】
図6にオキシ塩化リン0.1重量%で架橋した後VAM3重量%でアセチル化した場合6aと、VAM重量3%でアセチル化した後オキシ塩化リン0.1重量%で架橋した場合6bを比較した。6aは架橋アセチル化澱粉であるが、6bは粘度0で全く膨潤していない。
【0009】
6bのように始めにアセチル化してから架橋すると、著しく架橋度が増強する現象については機構が明らかではないが、最初のアセチル化によりエステル結合したアセチル基が、次のリン酸架橋反応時の高pHにより加水分解して澱粉から離脱すると、そのOH基のみならずその他のOH基も活性化し極端にリン酸架橋し易くなり、微量のオキシ塩化リンにより強固な架橋を生ずると考えられる。
【0010】
【発明の実施の形態】
【0011】
本発明に使用される澱粉は、馬鈴薯、小麦、とうもろこし、タピオカ、サゴ、米などに由来する澱粉である。
【0012】
本発明に使用されるアセチル化剤は、無水酢酸、VAM、塩化アセチルなどである。
【0013】
本発明に使用されるリン酸架橋剤はオキシ塩化リンである。
【0014】
澱粉は40重量%程度の水懸濁液とし、温度は澱粉の糊化開始温度以下の、なるべく高温の40〜50℃が好ましく、特に50℃が最も好ましい。pHはアセチル化反応時には8〜10が好ましく、特に9が最も好ましい。架橋反応時にはpH10〜11が好ましく、特に11が最も好ましい。水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリを加えてpHを調節する。
【0015】
アセチル化反応はpH調整後強く攪拌しながらアセチル化剤を添加して行う。添加量はオキシ塩化リンの添加量が澱粉に対して0.1重量%の場合、VAMならば0.2重量%以上である。pHが低下するからアルカリを追加してpHを保持する。反応は開始後5〜15分後が最も激しく、その後は緩やかになる。30〜40分後アルカリを加えてpHを11付近にし、架橋反応のためオキシ塩化リンを添加する。その添加量は、VAMの添加量が澱粉に対して2.0重量%の場合、0.01重量%以上である。反応時間は1時間だが、より長時間でもよい。反応終了後希硫酸か希塩酸で中和し、水洗、脱水、乾燥して製品とする。
【0016】
アセチル化剤としてVAMを用い、架橋剤としてオキシ塩化リンを用いた時の、それぞれの添加量によるアミログラフの変化を図1から図4に示した。図1はオキシ塩化リン0.1重量%の場合、図2は0.05重量%の、図3は0.025重量%の、図4は0.01重量%の場合で、何れも温度50℃、アセチル化反応は30分、次のリン酸架橋反応は1時間である。澱粉の膨潤の程度を次の記号で表わすと下表のように分類される。
A:粘度がなく、全く膨潤しない
B:少し膨潤し、AとCの中間に位置する
C:ブレークダウンはしないで、粘度がほぼ一定
D:ブレークダウンする
【表1】
【0017】
アセチル化せず、オキシ塩化リン単独でリン酸架橋した場合を図7に示した。オキシ塩化リン0.1重量%ではブレークダウンするが、0.4重量%ではブレークダウンしなくなる。しかし0.4重量%から2.0重量%まで増やしても粘度はほぼ変わらず、架橋が増加していない。このことから、予め軽度のアセチル化を施すことによって架橋の程度が増加することがわかる。
【0018】
【実施例】
【0019】
(実施例1)タピオカ澱粉1kgに水1250mlに分散させ、50℃に加温し3%−水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを9にする。激しく攪拌しながらVAM10mlを加え、pHが低下したら3%−水酸化ナトリウム水溶液を追加し、30分間pH9を保持する。30分間後3%−水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH11とし、オキシ塩化リン1gを加え、1時間攪拌を続ける。途中pHが低下したら3%−水酸化ナトリウム水溶液を追加してpH11を保持する。1時間後7%−塩酸を加えてpH5に中和し濾過、ケーキの水分散と濾過を反復し、乾燥して製品とする。製品のアミログラフ粘度は0であった。
【0020】
(実施例2)馬鈴薯澱粉500gを水625mlに分散し、50℃に加温し、3%−水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを9にする。強く攪拌しながら無水酢酸5gを加え、pH9を保持しながら30分間保ち、次いで3%−水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを11にする。オキシ塩化リン0.5gを加え、pH11を保持しながら1時間経過後、7%−塩酸を加えてpH5に中和し濾過、ケーキの水分散と濾過を反復し、乾燥して製品とする。製品のアミログラフ粘度は0であった。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、膨潤が抑制された任意の架橋度の澱粉を、多量の架橋剤や長時間の反応を必要とせず、微量の架橋剤により短い反応時間で製造することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】タピオカ澱粉のアセチル化に、澱粉の0.1重量%から2.0重量%までのVAMを用い、オキシ塩化リン0.1重量%で架橋した澱粉のアミログラフである。
【図2】アセチル化に澱粉の0.25重量%から3.0重量%までのVAMを用い、オキシ塩化リン0.05重量%で架橋した澱粉のアミログラフである。
【図3】アセチル化に澱粉の0.5重量%から3.0重量%までのVAMを用い、オキシ塩化リン0.025重量%で架橋した澱粉のアミログラフである。
【図4】アセチル化に澱粉の2.0重量%から3.0重量%までのVAMを用い、オキシ塩化リン0.01重量%で架橋した澱粉のアミログラフである。
【図5】アセチル化、リン酸架橋をそれぞれ単独で行った場合と、アセチル化してからリン酸架橋した場合のアミログラフである。
【図6】アセチル化とリン酸架橋の順序効果を示すアミログラフである。
【図7】オキシ塩化リン単独でリン酸架橋した場合のアミログラフである。
【符号の説明】
1a:0.1重量%のVAMでアセチル化し、オキシ塩化リン0.1重量%で架橋
1b;0.25重量%のVAMでアセチル化し、オキシ塩化リン0.1重量%で架橋
1c:0.5重量%のVAMでアセチル化し、オキシ塩化リン0.1重量%で架橋
1d:0.7重量%のVAMでアセチル化し、オキシ塩化リン0.1重量%で架橋
1e:2.0重量%のVAMでアセチル化し、オキシ塩化リン0.1重量%で架橋
2a:0.25重量%のVAMでアセチル化し、オキシ塩化リン0.05重量%で架橋
2b:0.5重量%のVAMでアセチル化し、オキシ塩化リン0.05重量%で架橋
2c:2.0重量%のVAMでアセチル化し、オキシ塩化リン0.05重量%で架橋
2d:3.0重量%のVAMでアセチル化し、オキシ塩化リン0.05重量%で架橋
3a:0.5重量%のVAMでアセチル化し、オキシ塩化リン0.025重量%で架橋
3b:0.7重量%のVAMでアセチル化し、オキシ塩化リン0.025重量%で架橋
3c:1.0重量%のVAMでアセチル化し、オキシ塩化リン0.025重量%で架橋
3d:3.0重量%のVAMでアセチル化し、オキシ塩化リン0.025重量%で架橋
4a:2.0重量%のVAMでアセチル化し、オキシ塩化リン0.01重量%で架橋
4b:3.0重量%のVAMでアセチル化し、オキシ塩化リン0.01重量%で架橋
5a:ネイテイブのタピオカ澱粉
5b:0.5重量%のVAMでアセチル化
5c:オキシ塩化リン0.025重量%で架橋
5d:0.5重量%のVAMでアセチル化し、オキシ塩化リン0.025重量%で架橋
6a:オキシ塩化リン0.1重量%で架橋してからVAM3.0重量%でアセチル化
6b:VAM3.0重量%でアセチル化してからオキシ塩化リン0.1重量%で架橋
7a:オキシ塩化リン0.1重量%でリン酸架橋
7b:オキシ塩化リン0.4重量%でリン酸架橋
7c:オキシ塩化リン2.0重量%でリン酸架橋
【産業上の利用分野】
この発明は化工澱粉の製造法に関する技術分野に属し、さらに詳細には、膨潤が抑制されたリン酸架橋澱粉を、容易に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】澱粉をアセチル化する技術は、無水酢酸、酢酸ビニール、塩化アセチルなどのアセチル化剤を澱粉と反応させることが知られている(澱粉科学ハンドブック、504頁)。澱粉をアセチル化すると一般に澱粉の糊化開始温度が低下し、粘度が増加することが知られている。
【0003】
澱粉をリン酸架橋するには、アルカリ側で澱粉にオキシ塩化リン、無水リン酸、トリメタリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩などを反応させる。(澱粉科学ハンドブック、510頁)リン酸架橋した澱粉は、最高粘度温度が高温側に移行する、ブレークダウンが減少し、遂にはブレークダウンしなくなる、などの特徴がある。
【0004】
さらに強くリン酸架橋すると、遂には全く膨潤しなくなる。たとえば無水リン酸を澱粉の10%(モル比)加えてpH11で7時間反応させると、アミログラフでは全く膨潤していない。(澱粉工業学会誌;14(1)24(1967))
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近時レトルト食品の普及に伴い、高温高圧下でに膨潤して崩壊せず、製品の物性を良好に保持する澱粉が求められている。レトルト条件は多様であるから、アミログラフでブレークダウンしなくなった状態から、より強く架橋して全く膨潤しなくなった状態までの範囲の多様な架橋澱粉の製造法が、この発明の課題である。しかもその方法は前項のような多量の架橋剤を要せず、かつ長時間の反応を必要としないことが望ましい。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、澱粉に軽度のアセチル化反応を施し、次いで軽度のリン酸架橋反応を施すことにより、より強く架橋した澱粉が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
図5に、ネイテイブのタピオカ澱粉のアミログラフ5aと、タピオカ澱粉の40重量%スラリーに、澱粉の0.5重量%の酢酸ビニールモノマー(以下、「VAM」と略記する)を加え、pH9、50℃で30分反応させた後中和した5b、澱粉の0.025重量%のオキシ塩化リンを加え、pH11、50℃で1時間反応後中和した5c、澱粉の0.5重量%のVAMを加えてpH9、50℃で30分反応させ、次いで0.025重量%のオキシ塩化リンを加え、pH11、50℃で1時間反応後中和した5dのアミログラフを示した。5bのアセチル化は反応が微弱なためアミログラフは殆どネイテイブのタピオカ澱粉5aと同じだが、5cはブレークダウンが減少して架橋しているのがわかる。5dはさらに架橋度が増してブレークダウンがほぼ無くなっている。つまり微弱なアセチル化を施してからリン酸架橋すると、単にリン酸架橋する場合よりも架橋度が増強されるのである。
【0008】
図6にオキシ塩化リン0.1重量%で架橋した後VAM3重量%でアセチル化した場合6aと、VAM重量3%でアセチル化した後オキシ塩化リン0.1重量%で架橋した場合6bを比較した。6aは架橋アセチル化澱粉であるが、6bは粘度0で全く膨潤していない。
【0009】
6bのように始めにアセチル化してから架橋すると、著しく架橋度が増強する現象については機構が明らかではないが、最初のアセチル化によりエステル結合したアセチル基が、次のリン酸架橋反応時の高pHにより加水分解して澱粉から離脱すると、そのOH基のみならずその他のOH基も活性化し極端にリン酸架橋し易くなり、微量のオキシ塩化リンにより強固な架橋を生ずると考えられる。
【0010】
【発明の実施の形態】
【0011】
本発明に使用される澱粉は、馬鈴薯、小麦、とうもろこし、タピオカ、サゴ、米などに由来する澱粉である。
【0012】
本発明に使用されるアセチル化剤は、無水酢酸、VAM、塩化アセチルなどである。
【0013】
本発明に使用されるリン酸架橋剤はオキシ塩化リンである。
【0014】
澱粉は40重量%程度の水懸濁液とし、温度は澱粉の糊化開始温度以下の、なるべく高温の40〜50℃が好ましく、特に50℃が最も好ましい。pHはアセチル化反応時には8〜10が好ましく、特に9が最も好ましい。架橋反応時にはpH10〜11が好ましく、特に11が最も好ましい。水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリを加えてpHを調節する。
【0015】
アセチル化反応はpH調整後強く攪拌しながらアセチル化剤を添加して行う。添加量はオキシ塩化リンの添加量が澱粉に対して0.1重量%の場合、VAMならば0.2重量%以上である。pHが低下するからアルカリを追加してpHを保持する。反応は開始後5〜15分後が最も激しく、その後は緩やかになる。30〜40分後アルカリを加えてpHを11付近にし、架橋反応のためオキシ塩化リンを添加する。その添加量は、VAMの添加量が澱粉に対して2.0重量%の場合、0.01重量%以上である。反応時間は1時間だが、より長時間でもよい。反応終了後希硫酸か希塩酸で中和し、水洗、脱水、乾燥して製品とする。
【0016】
アセチル化剤としてVAMを用い、架橋剤としてオキシ塩化リンを用いた時の、それぞれの添加量によるアミログラフの変化を図1から図4に示した。図1はオキシ塩化リン0.1重量%の場合、図2は0.05重量%の、図3は0.025重量%の、図4は0.01重量%の場合で、何れも温度50℃、アセチル化反応は30分、次のリン酸架橋反応は1時間である。澱粉の膨潤の程度を次の記号で表わすと下表のように分類される。
A:粘度がなく、全く膨潤しない
B:少し膨潤し、AとCの中間に位置する
C:ブレークダウンはしないで、粘度がほぼ一定
D:ブレークダウンする
【表1】
【0017】
アセチル化せず、オキシ塩化リン単独でリン酸架橋した場合を図7に示した。オキシ塩化リン0.1重量%ではブレークダウンするが、0.4重量%ではブレークダウンしなくなる。しかし0.4重量%から2.0重量%まで増やしても粘度はほぼ変わらず、架橋が増加していない。このことから、予め軽度のアセチル化を施すことによって架橋の程度が増加することがわかる。
【0018】
【実施例】
【0019】
(実施例1)タピオカ澱粉1kgに水1250mlに分散させ、50℃に加温し3%−水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを9にする。激しく攪拌しながらVAM10mlを加え、pHが低下したら3%−水酸化ナトリウム水溶液を追加し、30分間pH9を保持する。30分間後3%−水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH11とし、オキシ塩化リン1gを加え、1時間攪拌を続ける。途中pHが低下したら3%−水酸化ナトリウム水溶液を追加してpH11を保持する。1時間後7%−塩酸を加えてpH5に中和し濾過、ケーキの水分散と濾過を反復し、乾燥して製品とする。製品のアミログラフ粘度は0であった。
【0020】
(実施例2)馬鈴薯澱粉500gを水625mlに分散し、50℃に加温し、3%−水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを9にする。強く攪拌しながら無水酢酸5gを加え、pH9を保持しながら30分間保ち、次いで3%−水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを11にする。オキシ塩化リン0.5gを加え、pH11を保持しながら1時間経過後、7%−塩酸を加えてpH5に中和し濾過、ケーキの水分散と濾過を反復し、乾燥して製品とする。製品のアミログラフ粘度は0であった。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、膨潤が抑制された任意の架橋度の澱粉を、多量の架橋剤や長時間の反応を必要とせず、微量の架橋剤により短い反応時間で製造することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】タピオカ澱粉のアセチル化に、澱粉の0.1重量%から2.0重量%までのVAMを用い、オキシ塩化リン0.1重量%で架橋した澱粉のアミログラフである。
【図2】アセチル化に澱粉の0.25重量%から3.0重量%までのVAMを用い、オキシ塩化リン0.05重量%で架橋した澱粉のアミログラフである。
【図3】アセチル化に澱粉の0.5重量%から3.0重量%までのVAMを用い、オキシ塩化リン0.025重量%で架橋した澱粉のアミログラフである。
【図4】アセチル化に澱粉の2.0重量%から3.0重量%までのVAMを用い、オキシ塩化リン0.01重量%で架橋した澱粉のアミログラフである。
【図5】アセチル化、リン酸架橋をそれぞれ単独で行った場合と、アセチル化してからリン酸架橋した場合のアミログラフである。
【図6】アセチル化とリン酸架橋の順序効果を示すアミログラフである。
【図7】オキシ塩化リン単独でリン酸架橋した場合のアミログラフである。
【符号の説明】
1a:0.1重量%のVAMでアセチル化し、オキシ塩化リン0.1重量%で架橋
1b;0.25重量%のVAMでアセチル化し、オキシ塩化リン0.1重量%で架橋
1c:0.5重量%のVAMでアセチル化し、オキシ塩化リン0.1重量%で架橋
1d:0.7重量%のVAMでアセチル化し、オキシ塩化リン0.1重量%で架橋
1e:2.0重量%のVAMでアセチル化し、オキシ塩化リン0.1重量%で架橋
2a:0.25重量%のVAMでアセチル化し、オキシ塩化リン0.05重量%で架橋
2b:0.5重量%のVAMでアセチル化し、オキシ塩化リン0.05重量%で架橋
2c:2.0重量%のVAMでアセチル化し、オキシ塩化リン0.05重量%で架橋
2d:3.0重量%のVAMでアセチル化し、オキシ塩化リン0.05重量%で架橋
3a:0.5重量%のVAMでアセチル化し、オキシ塩化リン0.025重量%で架橋
3b:0.7重量%のVAMでアセチル化し、オキシ塩化リン0.025重量%で架橋
3c:1.0重量%のVAMでアセチル化し、オキシ塩化リン0.025重量%で架橋
3d:3.0重量%のVAMでアセチル化し、オキシ塩化リン0.025重量%で架橋
4a:2.0重量%のVAMでアセチル化し、オキシ塩化リン0.01重量%で架橋
4b:3.0重量%のVAMでアセチル化し、オキシ塩化リン0.01重量%で架橋
5a:ネイテイブのタピオカ澱粉
5b:0.5重量%のVAMでアセチル化
5c:オキシ塩化リン0.025重量%で架橋
5d:0.5重量%のVAMでアセチル化し、オキシ塩化リン0.025重量%で架橋
6a:オキシ塩化リン0.1重量%で架橋してからVAM3.0重量%でアセチル化
6b:VAM3.0重量%でアセチル化してからオキシ塩化リン0.1重量%で架橋
7a:オキシ塩化リン0.1重量%でリン酸架橋
7b:オキシ塩化リン0.4重量%でリン酸架橋
7c:オキシ塩化リン2.0重量%でリン酸架橋
Claims (1)
- 澱粉の水懸濁液をpH8〜10で40〜50℃に保ち、アセチル化剤を加えてアセチル化し、次いでpH10〜11でオキシ塩化リンを加えてリン酸架橋反応を行い、反応後中和、水洗、乾燥して製品とすることを特徴とする膨潤が抑制された澱粉の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002383537A JP2004204197A (ja) | 2002-12-25 | 2002-12-25 | 膨潤が抑制された澱粉の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002383537A JP2004204197A (ja) | 2002-12-25 | 2002-12-25 | 膨潤が抑制された澱粉の製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004204197A true JP2004204197A (ja) | 2004-07-22 |
Family
ID=32818221
Family Applications (1)
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JP2002383537A Pending JP2004204197A (ja) | 2002-12-25 | 2002-12-25 | 膨潤が抑制された澱粉の製造法 |
Country Status (1)
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---|---|
JP (1) | JP2004204197A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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