JPH09278444A - 酸素吸収放出能を有する複合酸化物及びその製造法 - Google Patents
酸素吸収放出能を有する複合酸化物及びその製造法Info
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Abstract
を示し、排ガス清浄用触媒、機能性セラミックス等に利
用可能な新規な複合酸化物及びその製造法を提供するこ
と。 【解決手段】金属全量に対して、Ce、Zr、Hf合計
量が90重量%以上の複合酸化物であって、Ce、Z
r、Hf合計量に対する配合割合が、Ce14.0〜7
0.5原子%、Zr29.49〜72.5原子%、Hf
0.01〜13.5原子%であり、固溶度が70%以
上、且つ還元性雰囲気下において600℃の温度に保持
した際、複合酸化物中の4価のセリウムの90%以上が
3価のセリウムに還元される還元性を示す複合酸化物、
及びセリウムイオンの85重量%以上がCe4+の原料溶
液から共沈澱法により複合酸化物を製造する方法。
Description
収・放出能を有し、排ガス清浄用触媒、機能性セラミッ
クス等に利用可能な複合酸化物及びその製造法に関す
る。
媒、セラミックス等として大量に使用されており、例え
ば触媒分野においては、酸化性雰囲気下で酸素吸収し、
還元性雰囲気下で酸素放出するという酸化セリウムの特
性を利用して、排ガス成分であるHC/CO/NOx等
に対する浄化率の向上等が行なわれている。またセラミ
ックス分野においては、前記酸化セリウムの特性を利用
して、他の元素との混合物や化合物として、固体電解質
等の導電性セラミックス等に利用されている。しかしな
がら、従来の酸化セリウムを主成分とする酸化物は、酸
素吸収・放出能を有するものの、600℃程度において
は酸素吸収・放出能が充分とは言い難い。また700℃
を超える高温時においても性能が低下する等の欠点があ
る。
とジルコニウムとを主成分とした複合酸化物が知られて
いる。例えば、セリウムとジルコニウムとを含む複合酸
化物(特開平4−334548号公報)、酸化セリウム
に酸化ジルコニウムを1〜5重量%添加して製造した、
高比表面積を有するジルコニウム含有酸化第二セリウム
(特公平6−74145号公報)、400〜700℃に
おける酸素吸収・放出能が100μmol/g以上を示
すセリウム、ジルコニウム複合酸化物(特開平5−28
672号公報)等が知られている。また、このような複
合酸化物の特性をさらに改善するために、前記セリウム
及びジルコニウムに加えてさらに第三成分を添加した複
合酸化物も知られている。例えば、セリウム、ジルコニ
ウム、ランタン複合酸化物(特開平6−154606号
公報)、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、及び酸化ハ
フニウムを含有する複合酸化物(特開平7−16452
号公報)等が知られている。しかしながら、従来提案さ
れているセリウムを含む複合酸化物は、その結晶相にお
ける固溶度が低い。また600℃程度の温度における還
元性雰囲気下において、充分に還元されうるものについ
ては提案されておらず、従って、低温度においても充分
な酸素吸収放出能を示すセリウムを含む複合酸化物の開
発が望まれている。
の調製は、例えば、セリウムイオンと、複合させるに必
要なジルコニウムイオン、ランタンイオン、ハフニウム
イオン等とを含む硝酸塩溶液又は塩化物溶液等を調製
し、次いでシュウ酸、重炭酸アンモニウム等のアルカリ
化合物を添加して前記各金属を複合塩沈澱物として得、
得られた沈澱物を焼成する方法等が一般的に行なわれて
いる。これらの複合酸化物の調製に使用されるセリウム
イオンは、その価数については言及されていない。その
理由は、例えば、「新版無機化学(上巻)」(千谷利三
著:産業図書(株)出版 p311 (1959))に記載されるよ
うに、4価のセリウム塩溶液は非常に酸化性が強く、4
価のセリウム塩化物の場合、容易に塩素を放出して3価
のセリウム塩化物に変化してしまう。このため、セリウ
ム塩溶液が安定であるのはセリウムイオンが3価の場合
であって、従来の複合酸化物の調製に使用するセリウム
イオンは、価数について言及していない限り、3価のセ
リウムイオンを使用することが常識だからである。しか
も、一般に4価のセリウム塩及びその溶液は流通してい
ない。従って、セリウムを含む複合酸化物を調製するに
あたり、原料として4価のセリウムイオンを用いること
については知られていない。
硝酸塩、硫酸塩、硝酸アンモニウム複合塩等として不安
定ながら4価のセリウム塩及びその溶液が得られること
については従来から知られている。しかし、この4価の
セリウム塩及びその溶液を利用することについてはあま
り知られていない。
は、特に低温度においても優れた酸素吸収・放出能を示
し、排ガス清浄用触媒、機能性セラミックス等に利用可
能な新規な複合酸化物及びその製造法を提供することに
ある。
れる金属全量に対して、セリウム、ジルコニウム及びハ
フニウムの合計量が90重量%以上である複合酸化物で
あって、含有されるセリウム、ジルコニウム及びハフニ
ウムの合計量に対する各金属の配合割合が、セリウム1
4.0〜70.5原子%、ジルコニウム29.49〜7
2.5原子%、ハフニウム0.01〜13.5原子%で
あり、固溶度が70%以上、且つ還元性雰囲気下におい
て600℃の温度に保持した際に、前記複合酸化物中に
含有されている4価のセリウムの90%以上が3価のセ
リウムに還元される還元性を示すことを特徴とする酸素
吸収・放出能を有する複合酸化物が提供される。また本
発明によれば、セリウムイオン、ジルコニウムイオン、
及びハフニウムイオンを含む原料溶液から、複合塩沈澱
物を調製し、その後、焼成して前記複合酸化物を製造す
る方法であって、前記原料溶液中のセリウムイオンの8
5重量%以上が4価のセリウムイオンであることを特徴
とする複合酸化物の製造法が提供される。
る。本発明の複合酸化物は、必須金属として、セリウ
ム、ジルコニウムおよびハフニウムを、含有される金属
全量に対して、90重量%以上含み、これらの必須金属
の合計量に対して、セリウムを14.0〜70.5原子
%、好ましくは40〜60原子%、ジルコニウムを2
9.49〜72.5原子%、好ましくは39.9〜5
9.9原子%、ハフニウムを0.01〜13.5原子
%、好ましくは0.1〜10原子%の配合割合で含有す
る。各金属の配合割合が前記範囲外の場合には、充分な
酸素吸収・放出能を得ることができない。特にジルコニ
ウムおよびハフニウムは共に4価で一定であり、ハフニ
ウムの含有量を前記範囲とすることによって、ジルコニ
ウムとのイオン半径の相違に起因して得られる複合酸化
物の結晶構造を安定化させることができる。
属以外に含有させることができる他の金属としては、チ
タン、タングステン、ニッケル、銅、鉄、アルミニウ
ム、珪素、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ス
トロンチウム、バリウム等の金属;セリウム以外の希土
類金属、又はこれらの混合物等を挙げることができる。
他の金属の含有割合は、含有される金属全量に対して1
0重量%未満である。
合酸化物中の結晶相に存在する固溶体の含有割合が、7
0%以上、好ましくは75%以上という完全固溶体に近
い特徴的な構造を有する。従って、水素気流中等の還元
下で加熱した場合、含有される製造時の4価のセリウム
が容易に3価に還元され、パイロクロア相(Ce2Zr2
O7)もしくは類似の結晶相となり、優れた酸素吸収・
放出能を示すことができる。この固溶度は、以下の方法
により測定できる。
め、該測定した格子定数と、複合酸化物が完全固溶体で
ある場合に得られるであろう理論格子定数との比により
求める(例えば「X線回折分析」 95 (1991)、加藤誠軌
著に記載の測定法)。即ち、結晶構造や格子定数が前も
ってわかっている場合には、格子定数と指数との関係式
を用いて各格子面の面間隔を計算し、測定値との比を計
算することにより測定できる。具体的には、面間隔を複
合酸化物の結晶の(h,k,l)面における面間隔d
hklとして下記式(1)により求める。 2dhklsinθ=λ ・・・(1) 式中λは測定光の波長であり、例えばCu管球を測定光
とすると、λ=1.54056となり、この場合に式
(1)をdhklについて解くと、dhkl=1.54056
/2sinθ(θ=回折角)となり面間隔が求められ
る。一方、複合酸化物の結晶が立方晶系の場合、格子定
数と面間隔dhklとの間には下記式(2)が成り立つ。 1/dhkl 2=h2+k2+l2/A2 (A=格子定数)・・・(2) これを格子定数Aについて解くと、A=(dhkl 2(h2
+k2+l2))1/2 となり格子定数が求められる。仁
田勇監修、「X線結晶学(上)」307 (1959)に基づく
と、Vegardの規則によれば、2種の物質が全ての割合に
渡って溶け合って置換型固溶体を作るには、両者が類似
の格子型を持たなければならない。固溶体を形成する各
物質の原子の大きさの相違も少なくとも15%以下であ
るのが普通である。置換型固溶体を形成する物質の格子
定数をそれぞれA1、A2とし、原子濃度をそれぞれ
C1、C2とすると、固溶体の格子定数Aは一般に下記式
(3)、 An=A1 nC1 n+A2 nC2 n ・・・(3)で表わされ、
式中nは1に近い。ここでCeO2とZrO2及びHfO
2の固溶体では、Ce4+のイオン半径は0.90、Zr
4+は0.79、Hf4+は0.78(安井至;セラミック
ス、14,927(1979))であり、Ce原子とZr原子の大き
さの相違は15%以内であるので、上記のVegardの規則
が使える。立方晶における格子定数は、CeO2は5.
41Å、ZrO2は5.07Åであり(日本化学学会
編、化学便覧 1017 (1958))、原子濃度C1、C2をそれ
ぞれ50mol%とすると、CeO2とZrO2の完全固
溶体の理論格子定数は上記式(3)より、 A=5.41Å×0.5+5.07Å×0.5=5.2
4Å で求められる。このようにして各成分における理論格子
定数を求め、測定値から求めた格子定数との比を%表示
として固溶度を求めることができる。Zr4+及びHf4+
のイオン半径は非常に近似しており、ZrO2中にHf
O2は完全固溶していると考えて差し支えないので、こ
の場合、ZrO2の立法晶における理論格子定数をHf
O2を包含したものとして取り扱って、固溶度を算出し
た。
酸化炭素雰囲気下等の還元性雰囲気下において600℃
の温度に保持した際に、複合酸化物中に含有されている
4価のセリウムの90%以上、好ましくは93%以上が
3価のセリウムに還元されるという低温度において特徴
的な優れた還元性を示す。この還元率の測定は、複合酸
化物に含有される4価のセリウムが100%還元され、
すべて3価のセリウムとなった場合に放出されるであろ
う理論酸素量と、以下に説明する酸素吸収放出能測定法
により測定した600℃までに放出された全酸素量との
比を計算することにより求めることができる。
T. Murota、T Hasegawa、S. Aozasa、Journal of Alloy
s and Compounds, 193 (1993) P298に記載されているF
ig1の装置(三徳金属工業(株)製TPR測定装置)
を用いて測定することができる。具体的には、1gのサ
ンプルを環状炉に装着した石英チューブに装填し、アル
ゴンガスで10%に希釈した0.1気圧の水素ガスを流
通させながら200〜1000℃を1時間で昇温させ
る。サンプルから放出される酸素は、水素と反応してH
2Oとなるので、ガスクロマトグラフの熱伝導度検出部
により、水素ガスとの熱伝導度の差を検出してその量を
求める。そして、600℃までに放出された全酸素量
を、各温度における酸素量から作成したTPR曲線図か
ら求めることができる。
た酸素吸収・放出能を有することを示すために、セリウ
ム、ジルコニウム及びハフニウム複合酸化物を600℃
の還元性雰囲気中に保持した際の複合酸化物中のCe4+
がCe3+に還元される還元率と酸素放出能との関係を図
1に示す。
高い固溶度や低温度における優れた還元率を示すという
性質を、従来のセリウムを含む複合酸化物が有していな
いのは、従来のセリウムを含む複合酸化物が原料として
3価のセリウムイオンを用いて製造されていることに起
因するものと考えられる。例えば、ジルコニウム及びハ
フニウム含有酸性水溶液からジルコニウム及びハフニウ
ムをアルカリ中和によって沈澱させる場合、pH2近傍
から沈澱が生成し、pH4までで沈澱が完結する。一
方、3価のセリウム水溶液にアルカリ化合物を添加して
沈澱生成させる場合、pH4〜6になってようやく沈澱
が生成し、pH6以上でなければ沈澱は完結しない。従
って、セリウムと、ジルコニウム、ハフニウム混合塩と
の水溶液をアルカリ化合物で共沈澱生成させて複合塩沈
澱物を得る場合、まずジルコニウム及びハフニウムが沈
澱し、次いでセリウムが沈澱するため均一組成の複合塩
沈澱物が得られ難く、セリウムとジルコニウム及びハフ
ニウムとが混合水酸化物のような形態となるためと考え
られる。
易に得ることができる。具体的には、本発明の製造法で
は、セリウムイオン、ジルコニウムイオン、及びハフニ
ウムイオンを含む原料溶液から、複合塩沈澱物を調製
し、その後、焼成して本発明の前記複合酸化物を製造す
るにあたり、前記原料溶液中のセリウムイオンの85重
量%以上、好ましくは90〜100重量%が4価のセリ
ウムイオンを含む原料溶液を用いる。
定割合の4価のセリウムイオンを含む原料溶液を用いて
複合塩沈澱物を調製し、次いで焼成することにより、固
溶度の高い複合酸化物を得ることができる。その理由
は、4価のセリウムイオンは、pH2以下の強酸中でな
ければ溶液とならず、またアルカリ中和による沈澱生成
はpH2近傍であるために、原料溶液中に共存するジル
コニウムイオンやハフニウムイオンと非常によく似た溶
解・沈澱挙動をとる。従って、セリウム、ジルコニウ
ム、ハフニウム混合溶液からアルカリ中和による共沈澱
法によって沈澱を生成させれば、セリウム、ジルコニウ
ム、ハフニウムが均一に一体化した複合水酸化物が沈澱
し易い。このようなセリウム、ジルコニウム、ハフニウ
ムの沈澱における均一度を高くすることにより、焼成し
て得られる複合酸化物中の結晶相における固溶度が完全
な固溶体に近似した構造が得られるものと考えられる。
オン、ジルコニウムイオン、ハフニウムイオンを含む原
料溶液を調製するには、4価のセリウムイオンを85重
量%以上含有するセリウム塩溶液と、ジルコニウム硝酸
塩水溶液(若しくは硝酸ジルコニール水溶液)と、ハフ
ニウム含有ジルコニウム硝酸塩水溶液とを混合する方法
等により得ることができる。
上含有するセリウム塩溶液の調製方法としては、(1)
市販の硝酸第一セリウム水溶液をアンモニア水で中和し
て水酸化第一セリウムを生成させ、次いで過酸化水素を
加えて3価のセリウムイオンを4価に酸化させた後、沈
澱物含有溶液を加熱、沸騰させ、残存する過酸化水素を
分解除去し、水酸化第二セリウム沈澱を得、この沈澱を
濃硝酸に溶解して4価のセリウム塩水溶液を得る方法、
(2)市販の硝酸第一セリウム水溶液をアンモニア水で
中和して水酸化第一セリウムを生成させ、フィルタープ
レス等の濾過器で濾過し、得られた沈澱ケーキを平底バ
ットに入れ、大気中100〜150℃で5〜20時間加
熱乾燥することにより、3価のセリウムイオンを4価に
酸化し、得られた水酸化第二セリウムケーキを濃硝酸に
溶解して4価のセリウム塩水溶液を得る方法、(3)市
販の硝酸第一セリウム水溶液を電解酸化用電解槽に入
れ、直流電流を流し、3価のセリウムイオンを4価に陽
極酸化することによって、硝酸第二セリウム水溶液を得
る方法等が挙げられる。この際、これらのセリウム塩水
溶液中に含まれる4価のセリウムイオンの含有率は、例
えば、過マンガン酸カリを用いる酸化還元滴定法によっ
て測定することができる。
る複合酸化物の高温安定性等を高める目的で、必要に応
じてチタンイオン、タングステンイオン、ニッケルイオ
ン、銅イオン、鉄イオン、アルミニウムイオン、珪素イ
オン、ベリリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシ
ウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン、
セリウム以外の希土類金属イオン、又はこれらの混合イ
オン等の他の金属イオンを含む溶液を混合してもよい。
ニウムイオン及びハフニウムイオンの濃度は、各イオン
を酸化物(4価)換算して、好ましくは30〜200g
/リットル、特に好ましくは50〜100g/リットル
の範囲である。またセリウムイオン、ジルコニウムイオ
ン、及びハフニウムイオン、更に必要に応じて添加混合
する他の金属イオンの配合割合は、目的とする複合酸化
物中の金属組成が前述の本発明の複合酸化物の組成とな
るように、適宜選択すれば良い。具体的には、各イオン
を酸化物としての重量比で換算して、CeO2:Zr
O2:HfO2:他の金属の酸化物=17〜76.9:2
3〜63:0.01〜20:0〜10の範囲となるよう
に配合するのが好ましい。
ら複合塩沈澱物を調製するには、前記原料溶液にアルカ
リ化合物を添加して、金属イオンを共沈澱させる方法等
により行なうことができる。前記アルカリ化合物として
は、必須金属イオンであるセリウムイオン(85重量%
以上が4価)、ジルコニウムイオン及びハフニウムイオ
ンが共にpH2の近傍で沈澱を開始するので、アンモニ
ア水溶液及び/又はアンモニアガスが好ましい。アンモ
ニア水溶液を用いる場合の濃度は、好ましくは0.1〜
5N、特に好ましくは0.2〜3Nの範囲である。また
添加量は、原料溶液と、アンモニア水溶液との混合割合
が重量比で、1:1〜1:10となるようにアンモニア
水溶液を添加するのが好ましい。このようにアンモニア
水溶液を用いた場合、得られる複合塩沈澱物は例えば複
合水酸化物等である。一方アンモニアガスを使用する場
合、得られる複合塩沈澱物は、例えば含水複合酸化物、
複合水酸化物である。
ルタプレス等の濾過装置で濾過してもよく、デカンテー
ションで含水率を低下させる等の処理を行なってもよ
い。また、必要に応じて水熱処理、乾燥等を行なうこと
ができる。また、後述する還元剤としての炭素源を含有
させてから次の焼成に供することもできる。前記水熱処
理は、通常のオートクレーブ等により実施でき、その際
の温度は100〜135℃、処理時間は1〜5時間の範
囲で行なうのが好ましい。また、乾燥は、好ましくは2
50℃未満の温度で行なうのが望ましいが、次工程の焼
成の際に、例えば噴霧焼成炉を用いて乾燥と焼成を同一
炉内で行なっても良い。
澱物を調製した後、焼成して目的の複合酸化物を得るこ
とができる。焼成は、例えば、大気中、酸素ガス分圧
中、酸素ガス雰囲気中等の酸化性雰囲気下における酸化
焼成により行なうことができる。この際の酸化焼成条件
は、好ましくは250℃以上、特に好ましくは300〜
1000℃、更に好ましくは600〜1000℃におい
て、1〜10時間の条件で行なうことができる。
の還元率等を更に向上させるため等に、前記酸化性雰囲
気下における酸化焼成の後、更に還元焼成及び酸化焼成
をこの順で1回以上、例えば1〜3回行なうこともでき
る。
に、前記酸化性雰囲気下における酸化焼成により得られ
た複合酸化物を装填し、真空引きの後、水素ガス、一酸
化炭素等の還元気体を導入・充填し、還元性雰囲気中で
好ましくは600〜1000℃、特に好ましくは800
〜1000℃で、0.1秒〜10時間焼成する方法等に
より行なうことができる。この際、還元焼成は、還元気
体を流入させながらも実施でき、使用する還元気体が不
活性ガスで希釈されていてもよい。不活性ガスで希釈さ
れる場合の還元気体濃度は1%以上が好ましい。また、
この還元焼成は、この複合酸化物の使用状態、例えば、
排ガス浄化触媒中に組み込まれるような状態でも、前記
焼成条件において、還元性気体で還元焼成することが可
能である。この還元焼成は、前記酸化性雰囲気下におけ
る酸化焼成により得られた複合酸化物に、還元剤等の炭
素源を混合して行なうこともできる。炭素源を含有させ
た場合の還元焼成条件は、好ましくは800〜1300
℃で1〜10時間の範囲で行なうことができる。
炭粉、煤粉等が好ましく、特に100メッシュ以下の微
粉形態が好ましい。また、炭素源として無機物質を含有
しない有機質油、パラフィン、有機酸、タール、ピッ
チ、油脂などの固形質のものを用いることができ、その
場合には、ケロシンなどの溶媒で溶解した溶液状有機質
として用いても良い。有機質には水素源も存在し、4価
のセリウムをより確実に還元できるので特に好ましい。
炭素源の混合量は、複合酸化物中のセリウム量に対して
1〜1.5倍当量の範囲が好ましい。
酸化性雰囲気下における酸化焼成により得られた複合酸
化物に付着した不純物を除去しておくのが好ましい。該
不純物の除去は、例えば複合酸化物を真空加熱炉に装填
し、真空引きの後、酸素ガス等を導入し、好ましくは2
00〜1000℃において0.5〜5時間保持する方法
等により行なうことができる。
は還元焼成後、再度真空引きを行なって、残存する還元
気体を除去し、次いで前述と同様な酸化性雰囲気下とし
て、好ましくは600〜850℃で0.5〜10時間の
条件で焼成することにより行なうことができる。
剤としての炭素源を含有させ、炭素源含有複合塩沈澱物
に対して、非酸化性雰囲気下における非酸化焼成を行な
った後、酸化性雰囲気下における酸化焼成を行なう一連
の工程を1回以上、例えば1〜3回行なうことによって
も実施できる。
を含有させるには、前記原料溶液に炭素源を含有させる
方法、前記複合塩沈澱物の調製時に炭素源を添加する方
法、前記複合塩沈澱物を調製した後に得られた複合塩沈
澱物に炭素源を混合する方法等により行なうことができ
る。特に得られた複合塩沈澱物に炭素源を混合する方法
の場合には、複合塩沈澱物を泥状物として炭素源を混合
し、次いで乾燥等を行なうのが好ましい。
のものを好ましく挙げることができる。この際、炭素源
の含有割合は、原料溶液中若しくは複合塩沈澱物中のセ
リウム(CeO2換算重量)100gに対して、炭素源
を炭素換算で1〜50g、特に2〜30gが好ましい。
また、炭素源の混合はホモジナイザー等で均一に混合す
るのが望ましい。
とは、例えば、窒素ガス中、不活性ガス中等の炭素源含
有複合塩沈澱物が酸化しない雰囲気下において酸化しな
いように焼成することを言う。従って、非酸化性雰囲気
は、還元性雰囲気を含み、非酸化焼成は還元焼成を含
む。この場合、大気中(通常酸化性雰囲気)において
も、複合塩沈澱物が炭素源を含有しているので、焼成の
温度や時間を選択すれば非酸化焼成は実施できる。しか
し、好ましくは、還元性雰囲気下を含む前述の非酸化性
雰囲気下が望ましい。この非酸化焼成の条件は、600
〜1000℃、特に800〜1000℃の温度範囲で1
〜10時間が好ましい。
下における酸化焼成は、前述の焼成を酸化焼成のみで行
なう場合と同様な条件で行なうことができる。具体的に
は、酸化性雰囲気下において、好ましくは600〜10
00℃、特に好ましくは800〜1000℃の温度範囲
で1〜10時間焼成することにより行なうことができ
る。
素源を含有させ、大気中で行なうこともできる。この
際、前記複合塩沈澱物に炭素源を含有させとは、前記非
酸化焼成と酸化焼成とを行なう場合と同様な意味であ
り、好ましい炭素源や混合量等も同様なものを挙げるこ
とができる。この大気中における焼成は、炭素源混合複
合塩沈澱物に対して行なうので、含有される炭素源が消
失するまで等は非酸化性焼成が行なわれることになり、
その後酸化焼成が行なわれることになる。従って、大気
中、即ち同一雰囲気下において連続して非酸化焼成と酸
化焼成とを実施することができる。この大気中における
焼成の条件は、好ましくは600〜1000℃、特に好
ましくは800〜1000℃の温度範囲で1〜10時間
の条件で行なうことができる。
コニウム、ハフニウムを必須金属組成とし、固溶度が7
0%以上、600℃の温度の還元性雰囲気下に保持した
際に優れた還元性を示すので、従来のセリウム、ジルコ
ニウム複合酸化物等に比して更に優れた酸素吸収・放出
能を有し、触媒及び機能性セラミックス等において極め
て有用である。また本発明の製造法では、セリウム原料
として4価のセリウムイオンを85重量%以上含むもの
を使用するので、前記本発明の複合酸化物を容易に得る
ことができる。
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
度99.9%)を水に溶解して調製した酸化セリウム
(CeO2)換算濃度100g/リットルの硝酸第一セ
リウム水溶液290mlをビーカーに取り、撹拌しなが
ら Nの濃アンモニア水48mlと、過酸化水素水(濃
度35%)12mlを水336mlで希釈した混合液と
を連続的に投入して、セリウムを水酸化物として沈澱さ
せると同時に酸化して水酸化第二セリウムを調製した。
次いで沈澱含有溶液を加熱して、75℃以上まで昇温又
は沸騰させ、さらに2時間撹拌を続け、残存する過酸化
水素を分解除去した。沈澱完結後、デカンテーションで
上澄みを除去後、濃硝酸(濃度66%)52mlを投入
し、沈澱を溶解して酸化セリウム(CeO2)換算濃度
93g/リットルの硝酸第二セリウム溶液312mlを
得た。この溶液を過マンガン酸カリを用いた酸化還元滴
定法で測定したところ、この溶液中に含有される全セリ
ウム量に対する4価のセリウムイオンの含有率は99重
量%であった。この溶液に硝酸ジルコニウム溶液(第一
希元素株式会社:純度99.9%)を水に希釈して調製
した酸化ジルコニウム(ZrO2)換算濃度25g/リ
ットルの硝酸ジルコニウム水溶液841mlと、硝酸ハ
フニウム(和光純薬工業株式会社:純度97%)を水に
溶解して調製した酸化ハフニウム(HfO2)換算濃度
10g/リットルの硝酸ハフニウム水溶液45mlとを
混合して、酸化物換算濃度42.1g/リットルの混合
硝酸塩水溶液を調製した。次いでこの溶液を撹拌槽に入
れ、別に調製した1.1Nのアンモニア水を100ml
/分の速度で添加して、セリウム、ジルコニウム、及び
ハフニウム含有複合塩沈澱物を生成させた。沈澱生成が
完全に終了した後に上澄を除去し、複合塩沈澱物を純水
で2回洗浄した後、ヌッチェ式濾過機で濾過した。この
複合塩沈澱物を焼成炉に入れ、大気雰囲気下で700
℃、5時間酸化焼成し、セリウム、ジルコニウム、及び
ハフニウム複合酸化物50.1gを得た。得られた複合
酸化物中の金属組成を表1に示す。
合酸化物のXRDパターンを測定した(管球:Cu、管
電圧:40KV、管電流:40mA、サンプリング幅:
0.010°、走査速度:4000°/分)。結果を図
2に示す。格子定数は(3,1,1)面において5.2
91Åであった。前述の複合酸化物固溶度測定法に準拠
して得られた複合酸化物の固溶度を算出した。その結果
を表2に示す。この複合酸化物を前述の酸素吸収・放出
能測定法及び還元率測定法に準拠して、複合酸化物1g
あたりの酸素放出能、複合酸化物中のCeをCeO4と
した1molあたりの酸素放出能及び還元率をそれぞれ
測定した。結果を表2に示す。またこの際求めたTPR
曲線図を図4に示す。
含有率を表2に示す割合となるように実施例1と同様の
方法で硝酸第二セリウム水溶液を得、実施例1において
使用した混合硝酸塩水溶液中の金属組成を、表1に示す
金属組成を含む複合酸化物が得られるようにした以外
は、実施例1と全く同様な方法で各々の複合酸化物を調
製した。得られた複合酸化物の固溶度、還元率、及び酸
素放出能を実施例1と同様に測定、算出した。結果を表
2に示す。
9.9%)を水に溶解して調製した酸化セリウム(Ce
O2)換算濃度100g/リットルの硝酸第一セリウム
水溶液290mlをビーカーに取り、撹拌しながら2N
アンモニア水337mlを添加して、水酸化第一セリウ
ムを沈澱させた。沈澱生成終了後、30分間撹拌を続
け、その後静置し、デカンテーション洗浄を2回繰り返
し、ヌッチェ式濾過機で濾過した。得られた沈澱ケーキ
をセラミック容器に入れ、乾燥炉で大気中120℃で5
時間加熱乾燥して、3価セリウムを4価に酸化し、水酸
化第二セリウムを得た。次いでこの水酸化物を水で1:
1に希釈した硝酸150mlで溶解し、酸化セリウム
(CeO2)換算濃度170g/リットルの硝酸第二セ
リウム水溶液170mlを得た。この水溶液を実施例1
と同様に分析したところ、この溶液中に含有される全セ
リウム量に対する4価のセリウムイオンの含有率は98
重量%であった。この溶液に、実施例1で調製した硝酸
ジルコニウム水溶液878mlと、硝酸ハフニウム水溶
液45mlとを混合して、酸化物換算濃度45.7g/
リットルの混合硝酸塩水溶液を調製した。以下、実施例
1と同様な方法で、セリウム、ジルコニウム、及びハフ
ニウム複合酸化物49.8gを得た。得られた複合酸化
物中の金属組成を表1に、固溶度、還元率、及び酸素放
出能を実施例1と同様に測定、算出した結果を表2に示
す。
含有率を表2に示す割合となるように実施例1と同様の
方法で硝酸第二セリウム水溶液を得、実施例1において
使用した混合硝酸塩水溶液中の金属組成を、表1に示す
金属組成を含む複合酸化物が得られるようにした以外
は、実施例1と全く同様な方法で各々の複合酸化物を調
製した。得られた複合酸化物の固溶度、還元率、及び酸
素放出能を実施例1と同様に測定、算出した。結果を表
2に示す。
真空引きの後、純酸素ガスを導入して900℃に加熱
し、1時間保持して、付着している不純物を除去した。
その後100℃まで降温し、真空引きして酸素ガスを脱
ガスしてから、アルゴンガス希釈10%水素ガスを導入
し、1000℃で5時間還元焼成した。次いで600℃
に降温し、真空引きの後、酸素ガスを導入して600℃
で5時間酸化焼成し、複合酸化物を得た。得られた複合
酸化物の中の金属組成を表1に示す。また得られた複合
酸化物の固溶度、還元率、及び酸素放出能を実施例1と
同様に測定、算出した。結果を表2に示す。
算濃度200g/リットルの硝酸第二セリウム水溶液1
46mlに、硝酸ジルコニウム溶液(第一希元素株式会
社製:純度99.9%)を純水に希釈して調製した酸化
ジルコニウム(ZrO2)換算濃度25g/リットルの
硝酸ジルコニウム水溶液55mlと、硝酸ハフニウム
(和光純薬工業株式会社製:純度99.5%)を純水に
溶解して調製した酸化ハフニウム(HfO2)換算濃度
10g/リットルの硝酸ハフニウム水溶液24mlとを
混合し、さらにその容積が1リットルとなるように純水
を加えて、複合酸化物濃度50g/リットルの混合硝酸
塩水溶液を調製した。さらに1.5gの活性炭素粉末
(和光純薬工業株式会社製:特級)を添加、混合した。
次いで得られた溶液1リットルに別に調製した1.2N
アンモニア水溶液1リットルを直ちに添加、混合し、炭
素源含有複合塩沈澱物を生成させた。デカンテーション
で洗浄後、ヌッチェ式濾過機で濾過した。次に回収した
複合塩沈澱物を純水1リットルで10分間洗浄し、濾過
した。この操作を2回繰り返した後に、複合塩沈澱物を
るつぼに入れ、密閉式焼成炉で窒素ガスを流通させなが
ら700℃で2時間還元焼成(非酸化焼成)し、次いで
空気を流通させながら700℃で10時間酸化焼成し
て、セリウム、ジルコニウム、及びハフニウム含有複合
酸化物50gを得た。得られた複合酸化物の金属組成を
表1に示す。また、得られた複合酸化物の固溶度、還元
率、及び酸素放出能を実施例1と同様に測定、算出し
た。結果を表1に示す。
含有率が98重量%の硝酸第二セリウム水溶液を用い
て、実施例9と同様にで調製したセリウム、ジルコニウ
ム、ハフニウムの混合硝酸塩水溶液を調製した。この混
合硝酸塩水溶液に、1.2Nのアンモニア水930ml
を添加して複合塩沈澱物を作成し、デカンテーションで
洗浄したした後沈澱スラリーを80℃に加熱し、パラフ
ィン3gを添加して、ホモジナイザーで均質化してパラ
フィン混合複合塩沈澱物を得た。得られた複合塩沈澱物
をセラミック製平皿に移し、密閉式乾燥器に入れ、窒素
ガス気流中150℃で2時間乾燥後、大気焼成炉に移し
て800℃で5時間焼成して複合酸化物を調製した。こ
の焼成は還元焼成及び酸化焼成を同一炉中で行なったこ
とになる。得られた複合酸化物の金属組成を表1に示
す。また、得られた複合酸化物の固溶度、還元率、酸素
放出能を実施例1と同様に測定した。結果を表2に示
す。
製:純度99.9%)を水に溶解して調製した酸化セリ
ウム(CeO2)換算濃度100g/リットルの硝酸セ
リウム水溶液290mlを得た。この水溶液を実施例1
と同様に分析したところ、この溶液中に含有される全セ
リウム量に対する4価のセリウムイオンの含有率は0重
量%であった。この溶液に、硝酸ジルコニウム溶液(第
一元素株式会社製:純度99.9%)を純水に希釈して
調製した酸化ジルコニウム(ZrO2)換算濃度25g
/リットルの硝酸ジルコニウム水溶液840mlと、硝
酸ハフニウム(和光純薬工業株式会社製:純度99.5
%)を純水に溶解して調製した酸化ハフニウム(HfO
2)換算濃度10g/リットルの硝酸ハフニウム水溶液
45mlとを混合して、複合酸化物濃度42.1g/リ
ットルの混合硝酸塩水溶液を調製した。以下、実施例1
と全く同様な方法で、セリウム、ジルコニウム、ハフニ
ウム複合酸化物を調製した。得られた複合酸化物の金属
組成を表1に示す。また、得られた複合酸化物の固溶
度、還元率、酸素放出能、X線回折、及びTPR曲線を
実施例1と同様に測定、算出した。固溶度、還元率、及
び酸素放出能の結果を表2に、X線回折図を図3に、T
PR曲線を図4にそれぞれ示す。
表1に示す金属組成の複合酸化物が得られるようにした
以外は、比較例1と全く同様な方法で複合酸化物を調製
した。得られた複合酸化物の固溶度、還元率、及び酸素
放出能を実施例1と同様に測定、算出した。結果を表2
に示す。
属組成の複合酸化物となる様に添加元素を加えた以外は
比較例1と全く同様に処理して、複合酸化物を調製し
た。得られた複合酸化物の固溶度、還元率、及び酸素放
出能を実施例1と同様に測定、算出した。結果を表2に
示す。
元焼成及び酸化焼成して複合酸化物を調製した。得られ
た複合酸化物の金属組成を表1に示す。また、得られた
複合酸化物の固溶度、還元率、及び酸素放出能を実施例
1と同様に測定、算出した。結果を表2に示す。
含有率を表2に示す割合となるように実施例1と同様の
方法で調製した硝酸第二セリウム水溶液を用いた以外
は、実施例1と全く同様な方法で各々の複合酸化物を調
製した。得られた複合酸化物の固溶度、還元率、及び酸
素放出能を実施例1と同様に測定、算出した。結果を表
2に示す。
すグラフである。
した、XRDパターンを示すグラフである。
した、XRDパターンを示すグラフである。
酸素放出能を測定した結果を示すTPR曲線図である。
め、該測定した格子定数と、複合酸化物が完全固溶体で
ある場合に得られるであろう理論格子定数との比により
求める(例えば「X線回折分析」 95 (1991)、加藤誠軌
著に記載の測定法)。即ち、結晶構造や格子定数が前も
ってわかっている場合には、格子定数と指数との関係式
を用いて各格子面の面間隔を計算し、測定値との比を計
算することにより測定できる。具体的には、面間隔を複
合酸化物の結晶の(h,k,l)面における面間隔d
hklとして下記式(1)により求める。 2dhklsinθ=λ ・・・(1) 式中λは測定光の波長であり、例えばCu管球を測定光
とすると、λ=1.54056となり、この場合に式
(1)をdhklについて解くと、dhkl=1.54056
/2sinθ(θ=回折角)となり面間隔が求められ
る。一方、複合酸化物の結晶が立方晶系の場合、格子定
数と面間隔dhklとの間には下記式(2)が成り立つ。 1/dhkl 2=h2+k2+l2/A2 (A=格子定数)・・・(2) これを格子定数Aについて解くと、A=(dhkl 2(h2
+k2+l2))1/2 となり格子定数が求められる。仁
田勇監修、「X線結晶学(上)」307 (1959)に基づく
と、Vegardの規則によれば、2種の物質が全ての割合に
渡って溶け合って置換型固溶体を作るには、両者が類似
の格子型を持たなければならない。固溶体を形成する各
物質の原子の大きさの相違も少なくとも15%以下であ
るのが普通である。置換型固溶体を形成する物質の格子
定数をそれぞれA1、A2とし、原子濃度をそれぞれ
C1、C2とすると、固溶体の格子定数Aは一般に下記式
(3)、 An=A1 nC1 n+A2 nC2 n ・・・(3)で表わされ、
式中nは1に近い。ここでCeO2とZrO2及びHfO
2の固溶体では、Ce4+のイオン半径は0.90、Zr
4+は0.79、Hf4+は0.78(安井至;セラミック
ス、14,927(1979))であり、Ce原子とZr原子の大き
さの相違は15%以内であるので、上記のVegardの規則
が使える。立方晶における格子定数は、CeO2は5.
41Å、ZrO2は5.07Åであり(日本化学学会
編、化学便覧 1017 (1958))、原子濃度C1、C2をそれ
ぞれ50mol%とすると、CeO2とZrO2の完全固
溶体の理論格子定数は上記式(3)より、 A=5.41Å×0.5+5.07Å×0.5=5.2
4Å で求められる。このようにして各成分における理論格子
定数を求め、測定値から求めた格子定数との比を%表示
として固溶度を求めることができる。Zr4+及びHf4+
のイオン半径は非常に近似しており、ZrO2中にHf
O2は完全固溶していると考えて差し支えないので、こ
の場合、ZrO2の立方晶における理論格子定数をHf
O2を包含したものとして取り扱って、固溶度を算出し
た。
度99.9%)を水に溶解して調製した酸化セリウム
(CeO2)換算濃度100g/リットルの硝酸第一セ
リウム水溶液290mlをビーカーに取り、撹拌しなが
ら濃アンモニア水48mlと、過酸化水素水(濃度35
%)12mlを水336mlで希釈した混合液とを連続
的に投入して、セリウムを水酸化物として沈澱させると
同時に酸化して水酸化第二セリウムを調製した。次いで
沈澱含有溶液を加熱して、75℃以上まで昇温又は沸騰
させ、さらに2時間撹拌を続け、残存する過酸化水素を
分解除去した。沈澱完結後、デカンテーションで上澄み
を除去後、濃硝酸(濃度66%)52mlを投入し、沈
澱を溶解して酸化セリウム(CeO2)換算濃度93g
/リットルの硝酸第二セリウム溶液312mlを得た。
この溶液を過マンガン酸カリを用いた酸化還元滴定法で
測定したところ、この溶液中に含有される全セリウム量
に対する4価のセリウムイオンの含有率は99重量%で
あった。この溶液に硝酸ジルコニウム溶液(第一希元素
株式会社:純度99.9%)を水に希釈して調製した酸
化ジルコニウム(ZrO2)換算濃度25g/リットル
の硝酸ジルコニウム水溶液841mlと、硝酸ハフニウ
ム(和光純薬工業株式会社:純度97%)を水に溶解し
て調製した酸化ハフニウム(HfO2)換算濃度10g
/リットルの硝酸ハフニウム水溶液45mlとを混合し
て、酸化物換算濃度42.1g/リットルの混合硝酸塩
水溶液を調製した。次いでこの溶液を撹拌槽に入れ、別
に調製した1.1Nのアンモニア水を100ml/分の
速度で添加して、セリウム、ジルコニウム、及びハフニ
ウム含有複合塩沈澱物を生成させた。沈澱生成が完全に
終了した後に上澄を除去し、複合塩沈澱物を純水で2回
洗浄した後、ヌッチェ式濾過機で濾過した。この複合塩
沈澱物を焼成炉に入れ、大気雰囲気下で700℃、5時
間酸化焼成し、セリウム、ジルコニウム、及びハフニウ
ム複合酸化物50.1gを得た。得られた複合酸化物中
の金属組成を表1に示す。 ─────────────────────────────────────────────────────
合酸化物のXRDパターンを測定した(管球:Cu、管
電圧:40KV、管電流:40mA、サンプリング幅:
0.010°、走査速度:4000°/分)。結果を図
2に示す。格子定数は(3,1,1)面において5.2
91Åであった。前述の複合酸化物固溶度測定法に準拠
して得られた複合酸化物の固溶度を算出した。その結果
を表2に示す。この複合酸化物を前述の酸素吸収・放出
能測定法及び還元率測定法に準拠して、複合酸化物1g
あたりの酸素放出能、複合酸化物中のCeをCeO 2 と
した1molあたりの酸素放出能及び還元率をそれぞれ
測定した。結果を表2に示す。またこの際求めたTPR
曲線図を図4に示す。
含有率が98重量%の硝酸第二セリウム水溶液を用い
て、実施例9と同様にで調製したセリウム、ジルコニウ
ム、ハフニウムの混合硝酸塩水溶液を調製した。この混
合硝酸塩水溶液に、1.2Nのアンモニア水930ml
を添加して複合塩沈澱物を作成し、デカンテーションで
洗浄した後沈澱スラリーを80℃に加熱し、パラフィン
3gを添加して、ホモジナイザーで均質化してパラフィ
ン混合複合塩沈澱物を得た。得られた複合塩沈澱物をセ
ラミック製平皿に移し、密閉式乾燥器に入れ、窒素ガス
気流中150℃で2時間乾燥後、大気焼成炉に移して8
00℃で5時間焼成して複合酸化物を調製した。この焼
成は還元焼成及び酸化焼成を同一炉中で行なったことに
なる。得られた複合酸化物の金属組成を表1に示す。ま
た、得られた複合酸化物の固溶度、還元率、酸素放出能
を実施例1と同様に測定した。結果を表2に示す。
Claims (6)
- 【請求項1】 含有される金属全量に対して、セリウ
ム、ジルコニウム及びハフニウムの合計量が90重量%
以上である複合酸化物であって、含有されるセリウム、
ジルコニウム及びハフニウムの合計量に対する各金属の
配合割合が、セリウム14.0〜70.5原子%、ジル
コニウム29.49〜72.5原子%、ハフニウム0.
01〜13.5原子%であり、固溶度が70%以上、且
つ還元性雰囲気下において600℃の温度に保持した際
に、前記複合酸化物中に含有されている4価のセリウム
の90%以上が3価のセリウムに還元される還元性を示
すことを特徴とする酸素吸収・放出能を有する複合酸化
物。 - 【請求項2】 セリウムイオン、ジルコニウムイオン、
及びハフニウムイオンを含む原料溶液から、複合塩沈澱
物を調製し、その後、焼成して請求項1に記載の複合酸
化物を製造する方法であって、前記原料溶液中のセリウ
ムイオンの85重量%以上が4価のセリウムイオンであ
ることを特徴とする複合酸化物の製造法。 - 【請求項3】 前記焼成が、酸化性雰囲気下における酸
化焼成であることを特徴とする請求項2に記載の製造
法。 - 【請求項4】 前記焼成が、酸化性雰囲気下における酸
化焼成の後、還元焼成及び酸化焼成をこの順で1回以上
行なうことを特徴とする請求項2に記載の製造法。 - 【請求項5】 前記複合塩沈澱物に炭素源を含有させ、
且つ前記焼成が、非酸化性雰囲気下における非酸化焼成
を行なった後、酸化性雰囲気下における酸化焼成を行な
う一連の工程を1回以上行なうことを特徴とする請求項
2に記載の製造法。 - 【請求項6】 前記複合塩沈澱物に炭素源を含有させ、
且つ前記焼成を、大気中で行なうことを特徴とする請求
項2に記載の製造法。
Priority Applications (7)
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---|---|---|---|
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PCT/JP1997/001173 WO1997037933A1 (fr) | 1996-04-05 | 1997-04-04 | Oxyde composite ayant certaines capacites d'absorption et d'evacuation d'oxygene, et methode de preparation dudit oxyde |
DE69727192T DE69727192T2 (de) | 1996-04-05 | 1997-04-04 | Mischoxid mit sauerstoff absorbierender und abgebender eigenschaften und verfahren zu dessen herstellung |
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