WO2020138137A1 - バナジウム酸化物の精製方法 - Google Patents

バナジウム酸化物の精製方法 Download PDF

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Abstract

[課題]カチオン成分を含むバナジウム酸化物原料から、バナジウム酸化物を精製する方法を提供する。 [解決手段]カチオン成分を含むバナジウム酸化物原料を110℃以上0.9N以上の酸性水溶液に浸漬する工程を有する、バナジウム酸化物の精製方法。

Description

バナジウム酸化物の精製方法
 カチオン成分を含むバナジウム酸化物原料から、バナジウム酸化物を精製する方法に関する。
 燃焼飛灰や使用済み水素化脱硫触媒にはバナジウムやニッケルなどの有用な元素が含まれており、バナジウムは可能な限り回収して有効利用することが望まれている。バナジウムの用途はおもに鉄鋼用の添加剤と化成品用の原料とに分けられる。鉄鋼用では工具鋼、高速度鋼、高張力鋼、ステンレス鋼、橋梁の建築用鋼および耐熱鋼などに添加され、化成品では脱硝触媒、硫酸製造触媒、ゴム重合触媒および顔料などの原料に用いられている。最近ではチタン合金、水素吸蔵合金、形状記憶合金および二次電池などの新素材や新材料の重要な構成成分として利用され、その使用量も増大している。
 このようなバナジウムから回収する方法としては、アルカリ性または酸性の水溶液を抽出液として用いて固体物質中のバナジウム分を抽出した後、得られたバナジウムを含む混合溶液に、硫酸アンモニウムや塩化アンモニウムなどのアンモニウム塩を添加して中和させて沈殿・回収する方法が採用されている(例えば、特許文献1~4)。
 バナジウム、モリブデン等の重金属を含む混合溶液に、硫酸アンモニウムや塩化アンモニウムなどのアンモニウム塩を加えると、メタバナジン酸アンモニウムが析出して沈殿する。
 そして、このメタバナジン酸アンモニウムの沈殿に対して種々の処理を行うことによって、バナジウムを五酸化バナジウムの状態で回収する。
 この中間生成物であるメタバナジン酸アンモニウムの純度が高くない場合、得られる五酸化バナジウムは不純物であるナトリウム等を含有することが知られている(特許文献5)。
 五酸化バナジウムに不純物のナトリウムが含まれていると、特殊鋼などを製造する際に、熔融状態にした時に突沸したり、また、製造された特殊鋼が脆くなったりして、特殊鋼自体の強度に悪影響を及ぼす可能性がある。
 しかも、固体状になった五酸化バナジウムに混入したナトリウムは除去することが困難であるので、高純度の五酸化バナジウムを得るために、メタバナジン酸アンモニウムの状態で不純物を除去する方法(特許文献5)や、メタバナジン酸アンモニウムの純度を上げるために塩析を繰り返すことが検討されている。
 また、五酸化バナジウムをいったん硫酸に溶解させて、バナジウムが5価バナジウムイオンとし、塩基性陰イオン交換樹脂と接触させてバナジウムを吸着させたのち、該樹脂から脱着させる方法も提案されている(特許文献6)
特開2000-247644号公報 特開2005-298925号公報 特開平10-114525号公報 特開昭63-100019号公報 特開2012-036024号公報 特開2002-193620号公報
 燃焼灰や廃触媒のような、不純物を多く含む原料からバナジウムを回収する場合、最終的にカチオン成分を含むバナジウム酸化物が得られてしまい、特殊鋼製造工程や得られる特殊鋼自体の強度に悪影響を及ぼす可能性がある等の問題がある。従来検討されていた精製方法ではバナジウムの回収量が少なくなったり、処理効率が低くカチオンの除去が不十分になることがあった。
 本発明は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、カチオン成分を含むバナジウム酸化物原料に所定の浸漬工程を行うことで、バナジウムの回収率を高く、かつカチオン成分を低減した精製バナジウム酸化物が製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
 本発明の構成は以下の通りである。
[1]カチオン成分を含むバナジウム酸化物原料を110℃以上0.9N以上の酸性水溶液に浸漬する工程を有する、バナジウム酸化物の精製方法。
[2]前記工程では、前記バナジウム酸化物原料を、前記バナジウム酸化物原料中のバナジウム量が前記酸性水溶液の容量に対して0.02g/mL以上0.7g/mL以下となるように浸漬させる[1]のバナジウム酸化物の精製方法。
[3]前記工程では前記酸性水溶液の水素イオンの量n(H+)と、前記バナジウム酸化物原料中のカチオン成分を構成するカチオンの総量n(Cz+)と、カチオンの電荷zとの間に、
 関係式n(H+)/{n(Cz+)×z}≧1
 を満足する、[1]または[2]のバナジウム酸化物の精製方法。
[4]前記カチオンが、ナトリウムイオン、アンモニウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、バリウムイオンからなる群から選ばれる1つ以上を含む、[1]~[3]のバナジウム酸化物の精製方法。
[5]前記酸性水溶液が、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸、酢酸のいずれか1つ以上を含む水溶液である、[1]~[4]のバナジウム酸化物の精製方法。
[6]前記バナジウム酸化物原料中のカチオン成分が、2~20質量%の範囲にある、[1]~[5]のバナジウム酸化物の精製方法。
[7]前記工程において、前記バナジウム酸化物原料を110~300℃の水溶液に、0.1~100MPaの加圧下でバナジウム酸化物原料を浸漬する、[1]~[6]のバナジウム酸化物の精製方法。
 本発明によれば、バナジウム酸化物の回収率を高く、かつカチオンの含量を低減した精製バナジウム酸化物を得ることができる。このような精製方法を用いて、燃焼灰や廃触媒からのバナジウムの回収と組み合わせると、回収率が高くなるばかりか、バナジウムの利用性も著しく向上する。
5価のバナジウムイオンの溶解度とpHの関係を示した相図である。 本発明の精製方法の概略を示すフロー図を示す。
 以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの記載に何ら限定されるものではない。
(原料)
 本発明のバナジウム化合物の精製方法において使用される精製前のバナジウム酸化物原料は、燃焼灰や使用済み廃触媒を酸またはアルカリ性溶液に浸出させ、その浸出液であるバナジウム含有液を硫酸等の酸やアルカリでpH調整して得られる。
 たとえば、本出願人による国際公開2017/208471号明細書にあるように、アルカリ浸出工程と、ろ過工程と、pH調整工程と、熟成工程と、分離工程とを有する製造方法で調製される。
 アルカリ浸出工程では、アルカリ性溶液に燃焼灰または廃触媒を浸漬する。アルカリ性溶液に浸漬することで、燃焼灰や廃触媒中のバナジウムイオンがアルカリ性溶液中に浸出する。「アルカリ性溶液」とは、pHが8以上の溶液を意味する。以下、pHが6より大きく8より小さいpH領域を中性、pHが6以下のpH領域を酸性とする。なお、本発明でのpHは、各工程を実施する際の温度でのpHであり、特に温度の記載がない場合は室温での値である。
 アルカリ性溶液を構成する材料は特に問わない。例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム等を用いることができる。これらアルカリの濃度は、特に限定されず、例えば、0.007~16mol/L、より好ましくは0.007~5mol/Lである。
 燃焼灰は、火力発電所等におけるボイラー等で燃料を燃やした際に生じる燃焼残渣である。燃焼残渣は、大きく分けて飛灰と炉内灰に分けられる。飛灰は、電気集塵機で集められることが多く、EP灰とも呼ばれる。一般に燃料として用いられる化石燃料には、バナジウムが含まれる。そのため、燃焼後の飛灰および炉内灰にもバナジウムは含まれる。燃焼灰には、飛灰および炉内灰のいずれも含まれる。また、脱硫反応塔から排出された使用済み水素化脱硫触媒も本発明のバナジウム酸化物原料を得るために使用される。
 たとえば、飛灰は、60~95質量%の未燃のカーボンと、0~20質量%の硫酸アンモニウムと、その他の金属とを含む。その他の金属としては、アルミニウムが0~5質量%、バリウムが0~1質量%、カルシウムが0~5質量%、コバルトが0~0.5質量%、クロムが0~3質量%、鉄が0~20質量%、マグネシウムが0~3質量%、マンガンが0~1質量%、ナトリウムが0~3質量%、ニッケルが0~20質量%、チタンが0~3質量%、バナジウムが0.01~30質量%、シリコンが0~20質量%、さらにその他の微量金属が0~0.1質量%含まれる。これらの比率は、燃料を燃焼する際の炉内の温度、投入物質の違いによって異なる。
 準備したアルカリ性溶液に燃焼灰または廃触媒を浸漬する。これらからバナジウムイオンが浸出することで、浸出液が得られる。以下、燃焼灰または廃触媒を添加した後のアルカリ性溶液スラリーを「浸出液スラリー」といい、その溶液部を「浸出液」という。
 燃焼灰を添加するアルカリ性溶液は、燃焼灰を添加する前の状態で、pHは10以上であることが好ましい。
 pHが3以下の強酸性の水溶液中に燃焼灰や廃触媒を浸漬すると、バナジウムイオンとともに鉄イオンが浸出して、用途によっては悪影響することがある。ただし、鉄などの影響が少ない場合、酸性水溶液に燃焼灰または廃触媒を浸漬して浸出液を調製することが可能である。
 燃焼灰や廃触媒に含まれるバナジウムは5価のものばかりではなく、4価または3価のバナジウムも含まれている。5価のバナジウムは溶液中に浸出しやすいが、4価または3価のバナジウムは溶液中に浸出しにくい。酸化剤を用いて、4価または3価のバナジウムを酸化処理して5価の状態にすることで、浸出液中へのバナジウムイオンの浸出量を増やすことができる。
 酸化剤としては 次亜ハロゲン酸およびその塩、亜ハロゲン酸およびその塩、ハロゲン酸およびその塩、過ハロゲン酸およびその塩、過マンガン酸およびその塩、クロム酸およびその塩、過酸化水素などを好適に用いることができる。
 必要に応じて、アルカリ浸出工程で得られた浸出液スラリーをろ過する。浸出液スラリーをろ過することにより、バナジウムイオンが浸出した浸出液と、不溶分の鉄等が含まれる燃焼灰とを分離することができる。
 pH調整工程では、ろ過後の浸出液に酸を添加し、浸出液を酸性にする。用いる酸は、特に限定されない。例えば、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸や、高次カルボン酸やフェノールなどの有機酸も用いることができる。
 図1は、5価のバナジウムイオンの溶解度とpHの関係を示した相図である。 図1に示すV25の領域が固体の領域であり、V25の領域では固体が析出する。すなわち、溶液のpHを4未満にすることで、バナジウム化合物が析出する。
 pH調整後のpHは、1.3~2.9であることが好ましい。相図によると、pH=0~4未満の領域に、固体が析出するV25の領域を有するが、pH調整後のpHを上記範囲内にすると、バナジウム化合物の析出が生じやすい。
 熟成工程では、pH調整後の浸出液に析出物が析出するまで、一定条件下に放置する。相図によると、V25の領域では固体が析出する。しかしながら、実際には浸出液が、V25の領域内の条件を満たしたからと言って、すぐに析出物が析出する訳ではない。
 pHを1.3~2.9にした段階では5価のバナジウムイオンは、バナディックイオン(VO2 +)およびデカバナジン酸イオン(V1026(OH)24 -)などの形態で、過飽和状態で存在していると考えられる。時間の経過とともに、水和イオンなどから脱水縮重合が起こり、5価バナジウム酸化物の骨格ができ、結晶が生成すると理解される。酸化剤を酸性条件下で使用しても、バナジウム酸化物を固形分として析出させることができる。
 熟成工程では、pH調整後の浸出液を所定の温度条件下で所定時間保持する。 pH調整後の浸出液のpHは、pH調整直後のpHと同等であり、1.3~2.9であることが好ましい。
 また熟成工程における温度は、20℃以上200℃以下であることが好ましく、20℃以上100℃未満であることがより好ましい。温度が低いと析出に要する時間が長くなる。一方で、温度が高いと析出は早く起こる。
 本発明で使用されるバナジウム酸化物原料は燃焼灰や廃触媒をアルカリまたは酸に浸出したバナジウム含有液を、必要に応じてpH調整し、酸化剤で酸化処理されたもので、バナジウム酸化物は通常、固体として析出している。通常、本発明では、スラリーとして使用するが、濾過によって得られたケーキであっても、また、その乾燥紛体であってもよい。
 このバナジウム酸化物原料には、浸出液の成分として、またpH調整の際に、アルカリが使用されるため、主にカチオン成分が、取り込まれる。カチオン成分には、アルカリ成分の他に、処理に使用される鉱石等に含まれるカルシウムやマグネシウムなどの成分も包含されるが、特に限定されない。
 前記バナジウム酸化物原料中のカチオン成分は、通常、2~20質量%、好ましくは3~7質量%の範囲にある。この範囲にあれば、後述する酸性水溶液での溶解を調整しやすくできる。
カチオン成分
 原料のバナジウム酸化物に含まれるカチオン成分は、水溶液中でナトリウムイオン、アンモニウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、バリウムイオンからなる群から選ばれる1つ以上を含むものである。通常は、上述した浸出工程の浸出液や、pH調整工程で使用される、ナトリウムイオンやアンモニウムイオンが含まれる。
 本発明によれば、従来、低減させることが非常に困難であった、ナトリウム等のカチオン成分を低減できる方法が提供される。
(酸性水溶液)
 本発明では、前記原料のバナジウム酸化物を、酸性水溶液に溶解させる。詳しい方法は後述するので、ここでは、酸性水溶液の組成について説明する。
 水性水溶液は、水素イオンH+を解離するものであればどのような水溶液でもよい。一般的には硫酸や硝酸が用いられるが、塩酸やリン酸、酢酸でも用いることができる。
酸性水溶液の濃度
 カチオンを含むバナジウム酸化物は、酸には非常に溶けにくいことが知られている。酸性水溶液の酸の当量濃度としては、0.9N以上が好ましく、2N以上がより好ましく、5N以上がさらに好ましい。0.9N未満では、バナジウム化合物の溶解度が低い、あるいは溶解速度が非常に遅くカチオンを溶出させることが難しいため、原料からカチオンを低減させることが難しくなる。
 酸性水溶液と前記カチオンを含むバナジウム酸化物との混合は、バナジウム酸化物原料中のバナジウム換算の含有量が前記酸性水溶液の容量に対して0.02g/mL以上0.7g/mL以下となるようにすることが好ましく、0.05g/mL以上0.12g/mL以下がより好ましい。酸性水溶液はカチオンを溶出させるとともに、バナジウム酸化物を溶解させる役割を持つ。
 また、本発明では、水素イオンの量と、バナジウム酸化物原料中のカチオンの量が所定の関係を満たすことが好ましい。
 すなわち酸性水溶液の水素イオンの量n(H+)(mol)と前記カチオンを含むバナジウム酸化物に含まれるカチオンの総量n(Cz+)(mol)とカチオンの電荷zとの間に、
 関係式、n(H+)/{n(Cz+)×z}≧1
 を満足することが好ましい。
 なお、ここでカチオンの総量とは、ナトリウムイオン、アンモニウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、バリウムイオンの合計量である。
 n(H+)/{n(Cz+)×z}をAとすると、Aは1以上であり、好ましくは5以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは15以上が好ましい。Aが大きくなるほど十分にカチオンを除去することができる。アンモニウムイオン以外のカチオンは、ICP発光分光分析法(ICP法)を用いて測定する。なおアンモニウムイオンについては、イオンクロマトグラフ(IC)法によって分析し、カチオンの総量は、前記のICP発光分光分析法で得られた値とアンモニウムイオンの量を加算することによって求められる。
 カチオンを溶出させるためには酸性水溶液がカチオン含有したバナジウム酸化物原料に対して多量にあったほうが良い。一方、溶出後にバナジウム酸化物として再沈殿させるには酸性水溶液が少量の方が好ましい。バナジウム酸化物(V25)は、一般的に図1で示す通り、pHが2より低くなると溶解度が高くなることが知られている。しかし、本発明では、上記関係式および、所定の混合量とすることで、pHを低くしてもバナジウム酸化物を固体として回収でき、さらに原料のカチオンを低減できる。
(バナジウム酸化物の精製方法)
 次に、本発明のバナジウム化合物の精製方法を説明する。図2は本発明の精製方法を概略フロー図で示す。
 本発明のバナジウム化合物の精製方法(以下、単に本発明の方法という)は、バナジウム酸化物原料である、ナトリウムなどのカチオンを含むバナジウム酸化物に酸性水溶液を作用させて、バナジウム酸化物をいったん溶解させる。このとき、同時に不純物のカチオンも水溶液中に溶解する。
 次に本発明ではカチオンが低減されたバナジウム酸化物として析出させて、回収することにより、精製されたバナジウム酸化物を得る。
 本発明の方法では、バナジウム酸化物原料である、カチオンを含むバナジウム酸化物を酸性水溶液とともにオートクレーブ等の密封容器に入れ、所定の時間、高温の条件にする。このとき、一旦カチオンを含むバナジウム酸化物が酸性水溶液に溶解する。その際の温度は110℃以上が好ましく、140℃以上、さらに180℃以上がより好ましい。110℃より下では、溶解速度が遅くなり実用的ではない。攪拌しながら溶解させると、より反応が進みやすいという利点がある。また、圧力は、特に限定されないが、水の蒸気圧以上の加圧下で行われるのが好ましい。すなわち0.1~100MPaの加圧下で行うことが好ましい。
 温度の上限は、生産効率や、反応器の耐久性などを鑑み、300℃が好ましい。
 加熱する時間は特に限定されず、酸性水溶液の温度、酸の濃度、酸性水溶液の液量によって変化する。加熱する時間は、目安として、1時間以上、より好ましくは3時間以上が望ましい。3時間以上であれば反応が進み、カチオンを含むバナジウム酸化物がほぼ溶解していると考えられる。特に溶解が遅い場合は、攪拌すると溶解が早くなり、好ましい。
 なお、温度が低めでも、撹拌等の条件や加熱条件によって、バナジウム酸化物は溶解しやすくなるため、加熱処理の際の温度、時間、撹拌などは、バナジウム酸化物の溶解状態によって適宜選択される。
 加熱処理をした後、室温に冷却することで固体を得ることができる。この固体がバナジウム酸化物である。カチオンが低減され五酸化バナジウムになるときれいな黄色を呈する。なお、得られた固体を、例えばフィルタープレスを用いた濾過等により回収し、その後回収した固体を五酸化バナジウムが溶解しにくい水や酸等で洗浄しても良い。
 また、回収した五酸化バナジウム固体は適宜乾燥してもよく、さらに、必要に応じて、粉砕や分級等の処理が行われてもよい。
 上記のように、燃焼灰や使用済み廃触媒を酸またはアルカリ性溶液に浸出させたバナジウム含有液を硫酸等の酸やアルカリでpH調整して得られる粗バナジウム酸化物を原料として、前述の精製方法を行うことにより、燃焼灰や使用済み廃触媒から精製バナジウム酸化物を回収する方法を提供できる。
 以下、本発明を実施例により、具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例になんら限定されるものではない。
[実施例1]
 ナトリウムを含むバナジウム酸化物原料として、Na2616・3H2Oを用意した。これを2.778g(0.0042mol)秤量し、テフロン(登録商標)内筒をもつステンレス製オートクレーブに投入した。また4.5mol/L硫酸を1.87mL(9N)加えた。このとき、硫酸がもつH+とバナジウム酸化物中のNa+のモル比(H+/CZ+)は計算値で2であった。オートクレーブの蓋を閉め、2時間で200℃まで昇温し、8時間、200℃のオーブンで保持した。降温は12時間程度かけて自然放冷した(このとき『8時間反応させた』、あるいは『反応時間は8時間であった』と呼ぶことにする)。もともとの5価バナジウム酸化物の色は赤色だったが、反応後にオートクレーブ内にあった固体は黄色であった。これをろ過し、水で洗浄して、固体を回収した。
[実施例2~21、比較例1~2]
 実施例2~21及び比較例1~2は、表1に示すカチオンを含むバナジウム酸化物原料を用い、表1の条件で実施例1と同様に処理を行い、バナジウム酸化物を得た。
 なお、撹拌を行う実施例・比較例では、加熱している間(昇温時及び保持している間)、攪拌子を入れて約200rpmで攪拌を行なった。
 結果を、表1にまとめて示す。原料及び回収した固体は各々乾燥して、バナジウム含有量をICP-AES(型番Vista-Pro 日立ハイテクサイエンス製)により測定した。
 また実施例1~21及び比較例1~2のカチオン総量は、表1に示したカチオン種が他のカチオンを無視できる含有量であることを確認し、n(H+)/[n(CZ+)×z]は表1記載のカチオン種について算出した。各カチオン種の含有量は、原料を硝酸に溶解させ、アンモニウムイオンはイオンクロマトグラフ(型番DIONEX INTEGRION、Thermo Scientific製)を用いて測定し、アンモニウムイオン以外はICP-AES(型番Vista-Pro 日立ハイテクサイエンス製)を用いて測定した。
 バナジウムの回収率(質量%)は、原料に含まれるバナジウムの質量に対する、回収したバナジウム酸化物に含まれるバナジウムの質量の比を百分率にしたものである。またカチオン除去率は、原料に含まれるバナジウムに対するカチオンの質量に対する、回収したバナジウム酸化物に含まれるバナジウムに対するカチオンの質量比を百分率にしたものを残存率(質量%)とし、100%からこの残存率を引いた差をカチオン除去率とした。
 実施例1~21はいずれもバナジウムの回収率は50質量%以上であった。また、カチオン除去率は、比較例では40質量%以下であったのに対し、実施例はいずれも50質量%以上であった。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 [実施例22~37、比較例3~6]
 ナトリウムを含むバナジウム酸化物として、国際公開2017/208471号に記載の方法により燃焼灰をアルカリ抽出して得られたバナジウム酸化物(以下、バナジウムケーキと称する)を用いた。なお、実施例22~30、36および37、比較例4は同じ燃焼灰をアルカリ抽出したバナジウム酸化物を用いた。また、実施例31~35、比較例3、5および6は、それぞれ、実施例22~30などの燃焼灰とロットの異なる燃焼灰を用いて、実施例22と同様にしてアルカリ抽出を行って得られたバナジウム酸化物(バナジウムケーキ)を使用した。
 これら得られた各々のバナジウムケーキに表2に示す条件で処理を行い、その後室温になるまで冷却し、ナトリウムが低減されたバナジウム酸化物固体を回収した。原料のバナジウムケーキおよび回収した固体は各々乾燥して、バナジウムおよびナトリウムの含有量をICP-AES(型番Vista-Pro  日立ハイテクサイエンス製)により測定した。なお実施例22~37のカチオン総量は、実施例1と同様の方法でナトリウム以外のカチオン量を測定した結果、ナトリウムイオンに対して無視できる含有量であることを確認し、n(H+)/[n(CZ+)×z]はナトリウムイオンについて算出した。
 また、比較例3~6は、実施例22~37と同様にして、表2に示す条件で燃焼灰から得られたバナジウムケーキの溶出を行った。なお比較例3~6のカチオン総量は、実施例1と同様の方法でナトリウム以外のカチオン量を測定した結果、ナトリウムイオンに対して無視できる含有量であることを確認し、n(H+)/[n(CZ+)×z]はナトリウムイオンについて算出した。
 これらの測定結果からバナジウムの回収率とナトリウムの除去率を算出した。結果を表2に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 比較例3~6の試料は、処理後のナトリウム除去率が低くなり、実施例22~37では、ナトリウム除去率を高くできることが判明した。
 本発明のバナジウム酸化物の精製方法は、ナトリウムなどのカチオンを含んだバナジウム酸化物の状態から、カチオン量を低減したバナジウム酸化物を得たいという場合に最適の方法である。また従来法よりコストが低く抑えられる。

Claims (7)

  1.  カチオン成分を含むバナジウム酸化物原料を110℃以上0.9N以上の酸性水溶液に浸漬する工程を有する、バナジウム酸化物の精製方法。
  2.  前記工程では、前記バナジウム酸化物原料を、前記バナジウム酸化物原料中のバナジウム量が前記酸性水溶液の容量に対して0.02g/mL以上0.7g/mL以下となるように浸漬させる請求項1に記載のバナジウム酸化物の精製方法。
  3.  前記工程では前記酸性水溶液の水素イオンの量n(H+)と、前記バナジウム酸化物原料中のカチオン成分を構成するカチオンの総量n(Cz+)と、カチオンの電荷zとの間に
     関係式n(H+)/{n(Cz+)×z}≧1
     を満足する、請求項1または2に記載のバナジウム酸化物の精製方法。
  4.  前記カチオンが、ナトリウムイオン、アンモニウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、バリウムイオンからなる群から選ばれる1つ以上を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のバナジウム酸化物の精製方法。
  5.  前記酸性水溶液が、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸、酢酸のいずれか1つ以上を含む水溶液である、請求項1~4のいずれか1項に記載のバナジウム酸化物の精製方法。
  6.  前記バナジウム酸化物原料中のカチオン成分が、2~20質量%の範囲にある、請求項1~5のいずれか1項に記載のバナジウム酸化物の精製方法。
  7.  前記工程において、前記バナジウム酸化物原料を110~300℃の水溶液に、0.1~100MPaの加圧下で浸漬する、請求項1~6のいずれか1項に記載のバナジウム酸化物の精製方法。
PCT/JP2019/050755 2018-12-27 2019-12-25 バナジウム酸化物の精製方法 WO2020138137A1 (ja)

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