JPH0899803A - 水面浮遊拡展性非崩壊粒剤 - Google Patents

水面浮遊拡展性非崩壊粒剤

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JPH0899803A
JPH0899803A JP19945895A JP19945895A JPH0899803A JP H0899803 A JPH0899803 A JP H0899803A JP 19945895 A JP19945895 A JP 19945895A JP 19945895 A JP19945895 A JP 19945895A JP H0899803 A JPH0899803 A JP H0899803A
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欽次 谷澤
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毅 平田
Yasuhiro Tsujino
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Abstract

(57)【要約】 【目的】手軽に処理でき、散布者や環境に危害を与えな
い農薬製剤を提供すること。 【構成】水面浮遊性で且つ水中で非崩壊性とした造粒キ
ャリヤーに、融点が50℃以上の農薬有効成分の粉末プ
レミックスを被覆し、更に水面展開剤を配合した水面浮
遊拡展性農薬粒剤。 【効果】安全性と省力化が求められている農業及び農薬
業界の発展に寄与する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の目的】本発明の目的は手軽に処理でき、散布者
や環境に危害を与えない農薬製剤を提供することにあ
る。
【0002】
【産業上の利用分野】本発明は、水中で非崩壊性の水面
浮遊性の造粒キャリヤーに、融点が50℃以上の農薬有
効成分の粉末プレミックスを被覆し、更に水面拡展剤を
配合することを特徴とする水面浮遊拡展性農薬粒剤、及
び該農薬粒剤を、振込口を付した箱、瓶、袋等に包装し
た水田振込用農薬製剤、並びに該農薬粒剤を水溶紙に分
包とした水田投げ込み用農薬製剤に関する。
【0003】
【従来の技術】従来、水田用農薬はその使用の便のため
に、種々の剤型、例えば、粉剤、水和剤、乳剤、粒剤等
に製剤され、水面又は稲体に散布されている。
【0004】しかし、粉剤や水和剤は、粉立ちによる使
用者や生産者の健康上の問題や環境汚染の問題があり、
乳剤の場合は、有機溶媒の毒性の問題や火災の危険があ
る。粒剤はこういった欠点は少ないが、物流や経費性の
面で不利であるばかりでなく、活性成分によっては十分
な防除効果が得られない場合も多い。
【0005】これらのことから、最近、フロアブル(以
下FLと略す)やドライフロアブル(以下DFと略す)
といわれる新しい剤型が開発されてきた。これらは水に
希釈して、水溶液、懸濁液又は乳化液として使用され
る。これらFLやDFといわれる剤型は、粉立ちがなく
流動性があるという点で水和剤の上記欠点を解決した剤
型といえるが、従来の剤型を含めて、これらの製剤を散
布するためには、まずそれを水に溶解又は分散させねば
ならず、その後多くの場合、散布器具が必要であり、
又、散布に際し水田に入ることが必要となる。特に小規
模な兼業農家にとって、溶解又は分散させる容器と散布
器具を準備し、水田に入って散布することは、経済的負
担や安全面の不安ばかりでなく、労力的にも時間的にも
負担は大きい。特に、高齢者と女性に依存することの大
きい最近の農家にとっては、このような負担は耐え難い
ものとなっている。
【0006】このため、最近、散布に特殊な器具を必要
とせず、手軽に散布できる方法として、除草剤のFLを
プラボトルに入れ、これをキャップ部に開けた小孔から
水田中に振り込む方法が開発された。この方法によれ
ば、散布に特殊な器具を必要とせず、手軽に散布できる
利点があるが、散布に際しては依然として水田に入る必
要があり労力を要することや、散布方法や風向きによっ
ては薬液の飛沫が作業者にかかる等の欠点があるため、
必ずしも従来法の欠点を完全に除去し得たとは言い難
い。また、使用済みの空き瓶の処理も安全面や環境上の
問題を引き起こす可能性がある。
【0007】また、水面浮遊性粒剤としては、(1)水
浮遊性の担体を用いて浮遊させるもの(特公昭48−1
5613号公報、特公昭47−1240号公報)、
(2)特定の吸水能を有する軽石や蛭石を担体とするも
の(特公昭44−8600号公報)、(3)揮散性殺虫
化合物を用いた粒剤(特公昭49−11421号公
報)、(4)カーバメート系農薬活性成分と、その水に
対する分配系数が102 以上の有機化合物を固体担体に
保持させたもの(特開平2−174702号公報)、
(5)固体担体と、殺菌剤、除草剤又は植物成長調節性
の有効成分と、油とからなる組成物(特開平3−193
705号公報)等の技術が開示されている。しかしなが
ら、これらは散布法の点においては従来の粒剤と何ら代
わることなく、散布労力の軽減にはなり得なかった。
【0008】さらに、最近、有効成分に界面活性剤及び
発泡剤を加えた水田用除草剤(特開平3−128301
号公報)や、有効成分、界面活性剤、及び結合剤を含有
する水田除草用錠剤又はカプセル(特開平3−1738
02号公報)に関する技術が開示された。これらの製剤
を処理するに当たっては、散布者の安全や環境保護の面
から、ポリビニルアルコールのフィルムのような水溶紙
にこれらの製剤を包み、これを水田中に投げ込むのが有
力な方法となる(特開平4−226901号公報)。
【0009】このような水田投げ込み製剤は、簡単に水
田農薬の処理ができるという利点はあるものの、従来の
粒剤や粉剤のように均一散布をしないうえ、これら固形
製剤を水中に投じると、製剤は土壌表面に沈降し、ここ
で発泡して有効成分を田面水中に分散させることになる
ため、溶けきらない原体粒子は投下地点の周辺に沈降
し、また、溶解した有効成分も投下地点近傍の土壌表面
近くで高濃度の溶液を形成するため、土壌に吸着され易
い。このため、有効成分の水溶解度がかなり高い化合物
であっても製剤投下点付近の土壌に有効成分が高濃度に
吸着され、圃場条件、気象条件等によっては有効成分の
不均一による薬害や効力のムラ、また場合によっては後
作物への影響といった欠陥が生じ易いという欠点があっ
た。このような有効成分の偏在をできるだけ解消するた
めに、投げ込み製剤には通常発泡剤を配合し、固形剤を
できるだけ早く崩壊分散させるようにするとともに、発
泡力によって有効成分を拡散させるように工夫がされて
いることが多い。この際、発泡剤には、有機酸と炭酸塩
を配合し、水の存在下で両者が反応して炭酸ガスが生成
するメカニズムを利用するが、一方で発泡剤を含有する
製剤は保存中に製剤中の成分によって両者が反応してし
まうという欠点を有しており、包装が膨張したり、使用
時に発泡が弱くなったりといったトラブルが生じること
が多い。特に、投げ込み製剤は、水温の低い水田でも発
泡力によって有効成分を水中に分散させて、できるだけ
早く溶解拡散させ、土壌表面に均一な処理層を形成する
必要があるため、発泡力の低下が生じると有効成分の拡
散が不十分となり、上記のような欠陥の原因となる懸念
があった。
【0010】このため、最近、発泡剤を含有しない投げ
込み製剤の技術が開発されてきた。例えば、特開平5ー
78207号公報には水溶性フィルムで包装した水面展
開性農薬製剤包装体が開示されている。この技術は農薬
有効成分を有機溶媒等に溶解し、水面展開性油状物質を
得、これをそのまま、或いは固体状物質に保持させて水
溶性フィルムに分包とするものであるが、油状物質をそ
のまま包装するには、有機溶媒の使用に伴う危険物の問
題があり、固体状物質に保持させる場合には、その固体
状物質が水溶性でないと、油状物質が完全に浮上するこ
とが出来ず、投下点に残留するため、薬害や効力不足の
原因となるし、固体状物質が水溶性の場合には、造粒時
の機器腐食の問題や有効成分の安定性の問題等がある。
【0011】また、特開平5ー58804号公報、特開
平5ー78204号公報には、それぞれ、農薬活性成
分、平均粒子径250μm以下のガラス中空体及び水溶
性高分子からなり、1個当たり10〜100gの重量に
成形した水面施用浮遊性農薬製剤、及び農薬活性成分、
平均粒子径250μm以下の無機浮遊性物質及び高沸点
溶剤を含有する粒子径600μm以下の固体状組成物の
10〜100gを水溶性高分子フィルムに包装した水面
施用浮遊性農薬製剤に関する技術が開示されている。し
かし、前者は、成形方法に経済性の問題があり、後者に
は、製剤方法の問題や、有効成分の物理性によっては水
面で十分な拡展性を示さなくなるという問題点がある。
【0012】また、特開平5ー155703号公報に
は、見かけ比重が1より小さい粒核に、農薬有効成分及
び空気・水界面張力を変化させる物質を油状物質で被覆
した農薬製剤が開示されている。この方法は、確かに経
済性や製法の点で有利であるが、ある種の粒核では、特
に液状原体の場合に、粒核に有効成分が吸着され、全量
溶出しなかったり、かさが大きくなりすぎて処理しにく
かったり、有効成分の被覆が難しかったりといった問題
点があった。これらのことは、生物効果や薬害、生産
性、流通等に影響を与える重大な問題点となる。
【0013】特公昭44−8600号公報には、粒状軽
石又は蛭石からなる担体に主剤を吸着し、高級脂肪酸で
被覆した浮遊性粒状殺虫剤組成物に関する技術が、特公
昭47−1240号公報には、焼成パーライトにポリブ
テンにより殺虫剤を固着させた浮遊性粒剤の技術が、特
公昭48−1179号公報には、稲菌核病類に有効な薬
剤を田面水上に浮上させることを特徴とする粒剤の技術
が、特公昭48−1181号公報には、発泡パーライト
に殺虫剤と発水剤を担持させた水面浮遊性粒剤の技術
が、特公昭48−1182号公報には、除草剤の乳剤を
水に浮く無機質担体に担持せしめた粒剤の技術が、特公
昭48−15612号公報には、拡展剤としてセルロー
スエーテル又はポリカルボン酸型高分子界面活性剤を担
持させた水に浮く粒状農薬組成物の技術が、特公昭64
−25702号公報には、農薬主剤と固状担体にポリオ
キシアルキレンシリコーンを配合してなる水浮遊性固状
製剤に関する技術が、また、特公平3−76281号公
報には、有効成分と乳化剤を含有する液状原液を熱膨張
岩石粉粒体に吸蔵させた水中易溶出乳化性粉粒剤に関す
る技術がそれぞれ開示されている。しかしながら、これ
らの技術は先述した技術と同様に散布法の点で従来の粉
剤や粒剤と何ら変わることなく散布労力の軽減にはなり
得ないものであり、省力を目的として、特別な散布装置
を用いることなく、粒剤を振込口を付した適当な容器に
入れて、畦畔等から水田中に振り込むか、農薬の分包を
水田中に10a当たり数個から数十個投げ込み、投げ込
まれた農薬製剤をできるだけ早く水面に拡展させ、その
後は短時間のうちに有効成分を水面浮遊性粒核から遊離
させ、水中に溶解分散させて風による吹き寄せを防止す
ることを目的とする下記本発明の組成物とは、発明の思
想、技術内容を本質的に異にするものである。
【0014】特開昭58−65203号公報(特公平2
−56323号公報)には、無機又は有機の多孔質体又
は中空体に生物活性成分を合成樹脂又は石膏によって付
着させ、外界に通ずる穴をふさいで中空体にし、かつ、
比重を1.0以下、粒径5mm以下に調製した成形水面
浮遊生物活性物質含有組成物に関する技術が開示されて
おり、シラスバルーンを用いたダイアジノン5%粉粒剤
や、コルク粉末を用いたMIPC4%粉粒剤が例示され
ている。しかしながら、この技術は先述した技術と同様
に散布法の点で従来の粉剤や粒剤と何ら変わることなく
散布労力の軽減にはなり得ないのみならず、浮遊率に示
されるごとく、含有する生物活性物質の発現速度を物理
化学的に調節する効果を有する組成物に関するものであ
り、下記本発明の組成物とは、発明の思想、技術内容を
本質的に異にする。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】このため、 散布に際し特別な器具を必要としない 省力的である 散布者及び環境に対して安全 容器の処理が簡単 有効成分の偏析による薬効不足や薬害の恐れがない 経時的に安定な製剤である を満足する製剤及び処理方法が要望されていた。
【0016】このような現状に鑑みて、本発明者らは上
記の条件を満たす製剤及び処理方法の開発を目指して鋭
意検討を重ねた。
【0017】この結果、発泡パーライト、発泡シラス、
コルクより選ばれる1種以上を含有し、水面浮遊性で、
且つ水中で非崩壊性とした造粒キャリヤーに、融点が5
0℃以上の農薬有効成分の粉末プレミックスを被覆し、
更に水面拡展剤を配合した粒剤は、水中に投じると水面
を広く拡展し、被覆された有効成分は、粒剤が水面を拡
展する間に、大部分が水中に遊離するので、拡展し終わ
った後に浮遊する粒剤中の有効成分は殆ど無く、粒剤が
風で吹き寄せられても、有効成分の偏在は殆ど問題にな
らないことを見いだした。また、有効成分は水面で遊離
され、水中に溶解・分散するため、土壌による吸着や土
壌表面への沈降も遅く、水の移動にともなって十分に水
田全体の水に溶解拡散した後、土壌に吸着され処理層を
形成するため、この意味からも薬害や効力のムラの心配
が少ない。これらのことから、得られる粒剤は、通常の
粒剤のように均一な散布をしなくても、薬害が生じるこ
とはなく、効力的にも良好な結果が得られるので、いわ
ゆる投げ込み製剤や額縁散布に好適な製剤になり得るこ
とを見いだし、かかる知見に基づき本発明を完成した。
【0018】
【発明の構成】
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は、水中で非崩壊
性の水面浮遊性の造粒キャリヤー、並びに該造粒キャリ
ヤーに、融点が50℃以上の農薬有効成分の粉末プレミ
ックスを被覆し、更に水面拡展剤を配合することを特徴
とする水面浮遊拡展性農薬粒剤、及び該農薬粒剤を、振
込口を付した箱、瓶、袋等に包装した水田振込用農薬製
剤、並びに該農薬粒剤を水溶紙に分包とした水田投げ込
み用農薬製剤である。
【0020】本発明においては、粒剤に水面浮遊性を付
与するために、発泡パーライト、発泡シラス、コルクよ
り選ばれる1種以上を配合する。
【0021】本発明において使用するパーライトの原料
となる黒曜石、真珠岩、松脂岩は、主として第三紀以後
の比較的新しい火山岩地帯に分布し、世界的にはアメリ
カ大陸の西部、ヨーロッパを経てアイスランド南部から
地中海にまたがる地域と、日本からニュージーランド、
オーストラリアにまたがって分布する1種の天然産ガラ
スである。我が国でも、秋田、山形、福島、長野、佐
賀、大分、北海道等の各地で産する。パーライトはこれ
ら黒曜石、真珠岩、松脂岩を1000℃前後の高温で加
熱焼成し、結晶水や揮発性成分を気化させることによっ
て、軟化しているガラス質を急激に膨張させたもので、
内部に真珠状の空泡を有する軽石であり、建築用、断熱
用、園芸用等に広く利用されている。粒度的には1mm
以下の細かいものから5mm以上のものを含むものまで
多くのグレードがある。原石の種類と粒度及び膨張条件
によって、製品の形状、密度、粒度分布等が変化する。
一般には、各サイズの粒子が適度に混合したものの製造
には、真珠岩及び松脂岩が用いられ、特に細粒、極軽量
の製品には黒曜石が使用される。黒曜石からは丸くて比
較的硬度のある粒子が得られる。
【0022】本発明において使用する発泡シラスの原料
となるシラスは、主として南九州に広く分布する軽石流
降下軽石層及びこれらの二次堆積層で非晶質の火山ガラ
スが約7割を示す。我が国ではこの他に北海道、十和田
湖周辺、関東地方にも一部産出する。発泡シラスは、こ
のシラス中の火山ガラスを高温で処理して発泡させた中
空状のもので、嵩比重が小さく、不活性で混合性・流動
性が良い微細粒〜粒状体である。比較的低温で処理した
ものは、膜厚6μm程度で嵩比重が比較的大きく水に浮
きにくいものが混入する。高温で処理したものは膜厚3
μm程度で嵩比重が小さく水に浮き易くなる。しかし、
さらに高温で処理するとバルーンが破れて水に沈むよう
になる。粒度的には平均粒径が数十μmの細かいものか
ら数mmの大きいものまで各種グレードがあり、各粒度
別に嵩比重の大きいものと小さいものとがある。通常の
発泡シラスは、バルーン率が65〜95%程度である
が、発泡シラスを風ひ又は水ひして軽い部分だけを分取
すればバルーン率が高いグレードを得ることもできる。
本発明においては、これらのうちで水に浮くタイプのも
のであればどのグレードのものも使用することができ
る。
【0023】本発明において使用するコルクは、主とし
てポルトガルに産するコルク樫の樹皮の部分を砕いて粉
末〜粒状にしたもので、一般的にはこれを種々の形に加
工して壜栓やコースター、インテリア、掲示板等のボー
ド、着火剤等に使用されている。原料となるコルクには
その粒度や上記の加工メーカーから返品される成形カス
再生品の混入率によって種々のグレードがある。本発明
においてはこれらのどのグレードも使用することができ
るが、余り大きすぎるものよりも粒径が1mm程度以下
に砕いたものの方が使い易い。
【0024】これら本発明に使用する粒剤に水面浮遊性
を付与する物質は、どのグレードのものも使用できる
が、本発明は、これらの物質が水に浮く性質を利用し、
農薬粒剤を水面で拡展させ、有効成分を水田中に均一に
処理することを目的とするものであるから、少なくと
も、粒剤が水面を拡展し、広い範囲に広がるまでの間は
水面に浮いている必要がある。従って、未発泡部分や破
砕された区分、或いは重いコルク樹皮の部分が多く、水
中で浮遊しないような成分を多く含有するものを用いる
と、造粒キャリヤーが浮きにくくなり、配合量を多くし
なければならなくなるので好ましくない。また、余り粒
度が粗いと造粒時にバルーンが壊れたり、造粒出来なか
ったりするので、粗すぎるものは使いにくく、通常は粒
径が1mm以下、好ましくは0、5mm以下の細かいも
のが良い。これらを粉砕すると粒は浮きにくくなるの
で、粉砕することは避けねばならない。
【0025】発泡パーライト、発泡シラス及びコルクの
配合量は、造粒キャリャー及び農薬粒剤が水中で浮遊す
る量であれば十分である。発泡パーライト、発泡シラス
の場合、これらの種類やグレード、有効成分の種類やそ
の他の助剤の種類、配合量等処方によっても異なるが、
本発明の目的とする浮遊性を農薬粒剤に付与するために
は、造粒キャリャー中に通常15%以上必要であり、好
ましくは30〜90%配合する。コルクの場合はこれら
に比べると少ない量で浮かすことができるが、通常3%
以上は必要であり、好ましくは5%以上配合する。これ
らを混合して造粒キャリャーを調製する場合には、上記
を目安として農薬粒剤が水中で浮遊するように調製すれ
ば良い。
【0026】本発明に使用できる農薬有効成分は、殺虫
剤や殺菌剤の場合、稲体に吸収されて移行する性質のあ
るものが望ましいが、浸透移行性がなくても、水中又は
水面に生息する虫或は水中や水面から感染する菌には有
効である。いずれの場合も、薬害の少ない化合物である
ことが必要である。除草剤の場合、その本来の性質や使
用時期の点から、特に薬害のない化合物を選択すること
が望ましい。有効成分は、水溶性でも水に難溶性でも構
わないが、融点が50℃以上で、粉末プレミックスに調
製し得る化合物であることが必要である。有効成分が液
状や低融点の化合物の場合、経時的に造粒キャリヤーに
吸着され、水田に投入しても速やかに水中に遊離されな
くなる。
【0027】本発明の粒剤は、2種以上の有効成分を含
有することも可能である。
【0028】本発明に好適な有効成分は、殺虫剤では、
モノクロトフォス、アセフェート、カルボフラン、チオ
シクラム、カルタップ、ベンスルタップ、カルバリル、
ブプロフェジン、メトールカルブ、プロポクシュア、メ
ソミル、イミダクロプリド、ニッテンピラム、N−(2
−クロロ−5−ピリジルメチル)−N’−シアノ−N−
メチルアセトアミジン(NI−25、アセタミプリド)
等の浸透移行性殺虫剤及びイネミズゾウムシやイネドロ
オイムシのような水中又は水面近くに生息する害虫に有
効な化合物を挙げることができる。殺菌剤では、プロベ
ナゾール、イソプロチオラン、トリシクラゾール、ピロ
キロン、0301の有効成分等のいもち剤、フルトラニ
ル、メプロニル、MON−240、S−658(フラメ
トピル)、(RS)−2−(4−フルオロフェニル)−
1−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)−
3−トリメチルシリル−プロパン−2−オール(F−1
55)等のもんがれ剤、テクロフタラム、ベノミル等を
挙げることができる。除草剤では、ピラゾレート、ベン
ゾフェナップ、ピラゾキシフェン、ピリブチカルブ、ブ
ロモブチド、メフェナセット、ベンスルフロンメチル、
アニロホス、クロルニトロフェン、クロメトキシフェ
ン、ダイムロン、ビフェノックス、ナプロアニリド、オ
キサジアゾン、ベンダゾン、ジチオピル、イマゾスルフ
ロン、キノクラミン、MCPA及びそのナトリウム塩、
カリウム塩等の塩及びエステル、2,4−D及びそのナ
トリウム、カリウム塩等の塩並びにエステル、MCP
B、キンクロラック、ピラゾスルフロンエチル、3−N
−(2−フルオロ−4−クロロ−5−シクロペンチロキ
シフェニル)−5−イソプロピリデン−1,3−オキサ
ゾリジン−2,4−ジオン(KPP−314)、N−
[2−(3−メトキシ)チエニルメチル]−N−クロロ
アセト−2,6−ジメチルアニリド(NSK−850、
テニルクロール)、1−(2−クロロベンジル)−3−
(α,α−ジメチルベンジル)ウレア(JC−94
0)、シノスルフロン、シメトリン、ジメタメトリン、
2’,3’−ジクロロ−4−エトキシメトキシベンズア
ニライド(HW−52、エトベンザニド)、1−(ジエ
チルカルバモイル)−3−(2,4,6−トリメチルフ
ェニルスルホニル)−1,2,4−トリアゾール(CH
−900、カフェンストロール)、HOE−404、1
H−ピラゾール−5−スルホンアミド、N−{[(4,
6−ジメトキシピリミジン−2−イル)アミノカルボニ
ル]}−1−メチル−4−(2−メチル−2H−テトラ
ゾール−5−イル)(DPX47、アジムスルフロ
ン)、N−[(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イ
ル)アミノカルボニル]−3−メチル−5−(2−クロ
ロ−2,2−ジフルオロエトキシ)−4−イソチアゾー
ルスルホンアミド、2−[2−(3−クロロフェニル)
−2,3−エポキシプロピル]−2−エチル−インダン
−1,3−ジオン(MK243)等の水田除草剤を挙げ
ることができる。植物成長調節剤ではイナベンフィド、
パクロブトラゾール、ウニコナゾール、トリアペンテノ
ール等に適用できる。
【0029】これらのうちでも特に好ましい有効成分
は、水に対する溶解度が1ppm以上、更に好ましくは
5ppm以上の溶解度を有する化合物である。これらの
比較的溶け易い有効成分の場合には、前記した従来技術
で得られる投げ込み製剤の施用では投下地点に高濃度の
溶液を形成してしまい、その周辺の土壌に高濃度に吸着
されて有効成分の偏在が生じ易いが、本発明の農薬製剤
の場合、固形剤自体が水面で広く拡展しながら有効成分
が溶出し、水中に溶解拡散した後、土壌表面に処理層を
形成するため上記のような土壌中における有効成分の局
在が極めて少なくなるという利点を有する。
【0030】固体の有効成分は、粒度が粗いと粒核に十
分被覆できず、水田の投入点に有効成分が濃厚に沈降す
る原因となる。有効成分は水田に投入後、早い内に田面
水中に溶解拡散し、効力を発揮する必要がある。長期間
にわたり有効成分が局在すると効力不足や薬害などの不
都合を生じることは言うまでもない。従って、たとえ水
に対する溶解度が高いものでも、ある程度微粉砕してお
く必要がある。水に対する溶解度が低いものでは特に微
粉砕が必要である。このため、ハンマーミル、ジェット
ミル等による乾式粉砕を行って粉末プレミックスとする
か、サンドミル又はアトライター等による湿式粉砕を行
ったのち、必要であれば、無晶形二酸化珪素、珪藻土、
珪酸カルシウムのような適当な粉末キャリヤーを加えて
乾燥粉砕し、粉末プレミックスとする。粉末プレミック
ス中の有効成分の含量は、可能な限り高い方がよい。含
量が低いと、造粒キャリヤーに被覆する粉末プレミック
スの量が多くなりすぎて、粒剤が浮かなくなったり、低
含量の粒剤しか作れないために、単位面積当たりの薬量
が増えたりすることになる。
【0031】本発明の水面浮遊性で、且つ水中で非崩壊
性の造粒キャリヤーを調製するには、発泡パーライト、
発泡シラス、コルクより選ばれる、粒に浮遊性を付与す
る物質の1種以上に、必要であれば、結合剤、増量剤、
造粒性向上剤、安定剤等を加えて、湿式造粒し、乾燥整
粒する。
【0032】これら粒に浮遊性を付与する物質は、ハン
マーミルのような粉砕機にかけると、粒が浮きにくくな
るので、これらを粉砕することは避けねばならない。
【0033】粒剤の崩壊性の程度は、結合剤の種類に依
存するために、適当な結合剤を選択することが必要であ
る。結合剤には比較的高分子量のデキストリンやα化で
んぷん、βーでんぷん、その他種々のでんぷん誘導体、
タブ粉、比較的高分子量或いは鹸化率の高いポリビニル
アルコールや比較的高分子量のポリビニルピロリドン、
カルボキシメチルセルロースの塩、メチルセルロース、
ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメ
チルセルルロース、ヒドロキシエチルセルロース等の水
溶性高分子物質をあげることが出来る。
【0034】これらの内で、でんぷんを原料とするもの
は比較的安価で使い易い。
【0035】冷水に溶けないものでも熱水に溶けるもの
であれば、加温した練合水に溶かして糊状として用いる
ことが出来る。
【0036】結合剤の配合量は、処方構成や造粒方法、
粒の大きさ等によって異なるが、通常、造粒キャリヤー
中に0.1〜30%程度、好適には0.5〜10%程度
である。
【0037】増量剤は、浮遊性付与物質のみでは造粒性
が悪い、得られる粒が軽すぎて取扱いにくい、経済性が
悪いといった場合に配合する。増量剤には、一般に農薬
のキャリヤーとして用いられるベントナイト、タルク、
炭酸カルシウム、珪藻土、無晶形二酸化珪素、クレー等
の他に、でんぷん、木粉、オガクズ、コーヒー豆粉末、
タブ粉、セルロース粉末、微結晶セルロース、籾殻粉
末、米ぬか、ふすま、ヤシ殻粉末等の植物質粉末を用い
ることが出来る。これらの中で、特に、植物質粉末は比
較的安いものが多く、それ自身が比較的軽いので、浮遊
性付与物質の配合量を減らすことが出来るという利点が
ある。また、ベントナイトは、それ自身が可塑性を有
し、造粒性向上剤及び結合剤としての役目を兼ねるので
有利である。炭酸カルシウムは、有効成分の安定性に悪
影響を与えない場合が多く、使い易い。
【0038】これら増量剤の配合量は、通常、造粒キャ
リヤー中に0〜80%程度である。
【0039】造粒性向上剤は、農薬粒剤の造粒性向上剤
として一般的に用いられる各種の界面活性剤や、組成物
に可塑性を付与するような粘性を有するものが有用であ
る。ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポ
リオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレ
ンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアリールアリ
ールエーテルのようなノニオン界面活性剤、ジアルキル
スルホサクシネートのナトリウム塩、アルキルベンゼン
スルホン酸のナトリウム塩等のアニオン界面活性剤の他
に、ベントナイトやタブ粉は安価で増量剤としても用い
ることが出来るので有用である。
【0040】造粒キャリヤー中に配合する造粒性向上剤
の配合量は、用いるものによって異なるが、界面活性剤
の場合、通常0.02〜3%程度、ベントナイトやタブ
粉の場合で、1〜50%程度である。
【0041】安定剤は、有効成分が不安定な場合に、必
要に応じて配合する。例えば、pH調節剤、酸化防止
剤、光安定剤、乾燥剤等を挙げることができる。
【0042】これら安定剤の配合量は、造粒キャリヤー
中に、通常0.001%〜5%程度である。
【0043】これらの原料は、必要であれば粉砕した
後、適当な造粒機を用いて湿式で造粒し、乾燥・整粒し
て水に浮く造粒キャリヤーを得る。
【0044】造粒は、横押しまたはバスケットタイプの
押し出し造粒機、混合造粒機、流動層造粒機、転動造粒
機、噴霧乾燥機等の造粒機を用いることが出来る。発泡
シラスや発泡パーライトは、強く加圧すると、バルーン
が潰れ浮力が低下する。また、コルクも強く加圧すると
浮力が低下するので、バスケット型押し出し造粒機や流
動層造粒機のような強い圧力やせん断力がかからない造
粒機を用いるのが好ましい。
【0045】造粒キャリヤーの粒度は、細かすぎると、
振込処理の場合に、風の影響を受け易くなるうえ、投げ
込み処理の場合には、袋の中で粒が塊状となり、十分な
拡展を示さなくなる。逆に、大きすぎると、粒の乾燥が
難しくなり、有効成分を多く被覆することが難しくな
る。更に、粒剤は水面で風の影響を受け易くなる。従っ
て、0.710〜4.760mm程度、好ましくは1〜
3mm程度のものが望ましい。粒の形状は、円柱状で
も、球状でも、不定形でもかまわない。
【0046】かくして得られた造粒キャリヤーには、先
述した農薬有効成分の粉末プレミックスを被覆し、本発
明の粒剤とする。
【0047】水面浮遊性の造粒キャリヤーの表面に有効
成分及びその他の助剤を被覆する際には、適当な液体又
は液状化できる結合剤を用いて水面浮遊性の造粒キャリ
ヤーの表面に被覆するのが良い。このような結合剤は被
覆後、蒸発させても良いが、揮散しにくい油状(又は液
状化した)結合剤を用いて被覆し、製品中にこれら結合
剤を残せば、乾燥工程を省略できるので、有利な方法と
なる。この場合、結合剤には有効成分に粒子成長、分解
等の悪影響を与えず、水面浮遊性の粒核の表面に有効成
分を均一に被覆できる性質を有するものが好ましい。一
般には、高沸点、低毒性で引火性が低く、低粘度で、比
重が1より小さく、有効成分に対して溶解力の低い溶媒
が良い。このような油状結合剤の例としては、低粘度の
流動パラフィン、塩素化パラフィン、イソパラフィン、
マシン油、ポリブテン、パラフィン系、ナフテン系、芳
香族系の各種高沸点溶媒等の鉱物油、ヤシ油、大豆油、
ナタネ油等の植物油、鯨油、鰯油等の動物油、シリコー
ンオイル及びその誘導体、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、
マレイン酸、フマール酸、フタール酸、アジピン酸等の
モノ−又はジ−カルボン酸の種々のエステル、トリブチ
ルホスフェートやトリスクロルエチルホスフェート等の
リン酸の種々のエステル等の可塑剤、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、
プロピレングリコール、ブタンジオール等のグリコール
類及びそれらの種々のエステル及び/又はエーテル類、
ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン等のラクトン
類、N−メチルピロリドン、種々の液状界面活性剤等を
挙げることができ、中でも流動パラフィン、マシン油、
ポリブテン、カルボン酸エステル等は比較的安価で有効
成分に悪影響を与えないものが多く、それら自身も安定
で、かつ揮散性の低いものが多いので好適である。
【0048】もちろん、これら油状の結合剤は、2種以
上を混ぜ合わせて混合使用することができる。これらの
うちで、界面活性剤の中には種類と配合量によって、ア
セチレン系水面拡展剤の水面拡展性を阻害したり、逆
に、アセチレン系水面拡展剤によってそれ自身のもつ水
面拡展性や湿潤性、分散性等の特性を阻害されたりする
場合があるので注意を要する。又、親水性の高い油状物
質を用いる場合には、得られる農薬固形剤を水中に投入
した場合に、沈み易くなるので、農薬有効成分によって
は注意を要する。
【0049】この目的で用いる油状結合剤の配合量は、
水面浮遊性粒核の種類や組成、油状結合剤の種類、有効
成分の種類や物理性、その他の補助剤の種類や配合量
等、処方によって異なるが、通常、3〜50%程度、好
ましくは10〜40%程度である。
【0050】造粒キャリヤーに有効成分のプレミックス
を被覆するには、まず、造粒キャリヤーを、例えばリボ
ンブレンダー、ナウタミキサー、V型混合機、ドラムミ
キサー等の混合機に仕込み、混合しながら油状結合剤を
加え、造粒キャリヤーの表面を油状結合剤で濡らし、次
いで有効成分のプレミックスを加えて混合し、被覆する
方法が最も簡便である。被覆量が多い場合には、一度に
被覆しょうとすると、プレミックスの団粒が生じ易いの
で、油状結合剤及び有効成分のプレミックスをいくつか
に分割し、上記操作を繰り返すことにより団粒の生成を
少なくすることが出来る。
【0051】有効成分の被覆量は多すぎると造粒キャリ
ヤーの浮力よりもこれら被覆物の重力の方が大きくな
り、粒剤を浮かせられなくなる。造粒キャリヤーの処方
や、有効成分プレミックスの処方、結合剤の種類や配合
量等によって、被覆できるプレミックスの量は異なる
が、これらをうまく選択すれば、30%程度のプレミッ
クスを被覆することは十分可能である。
【0052】本発明の水面浮遊拡展性非崩壊粒剤には、
更に水面拡展剤を配合する。水面拡展剤としては、アク
リル酸、マレイン酸等カルボン酸の共重合物やそれらに
スチレンスルホン酸、ビニル基等を共重合させたものの
ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩のようなポ
リカルボン酸型のポリソープ、ポリスチレンスルホン酸
のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩のような
ポリスルホン酸型のポリソープ、オレイン酸ナトリウム
やステアリン酸カリウムのような石鹸類、ジアルキルス
ルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸
ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、パーフルオロア
ルキルカルボン酸塩等のようなアニオン界面活性剤、ポ
リオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアル
キルエステル、ソルビタンのアルキルエステル等のノニ
オン界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、アセチレン
系界面活性剤、プルロニックタイプの界面活性剤等の種
々のノニオン界面活性剤、さらには、これらノニオン界
面活性剤をリン酸又は硫酸のエステルとし、場合によっ
てはそれらを適当なアルカリで中和した界面活性剤、フ
ッ素を含有する界面活性剤、各種のカチオン又は両性イ
オン性界面活性剤、流動パラフィンやナフテン系高沸点
溶媒、低粘度のポリブテン、シリコーンオイル、マシン
油等の鉱物油類、種々の動植物油、松脂等種々の樹脂
類、樟脳白油、αピネン、樟脳、ナフタレン等が使用で
きるが、これらの内アセチレン系界面活性剤、シリコー
ン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤が特に有用であ
る。
【0053】アセチレン系界面活性剤にはアセチレンア
ルコール、アセチレンジオール、及びこれらにアルキレ
ンオキサイドを付加した界面活性剤を包含する。
【0054】アセチレンアルコールは、HOCR12
−C≡CH(R1 、R2 はそれぞれ炭素数が1〜8のア
ルキル基を示す)で表される一連の化合物で、R1 がメ
チル基、R2 がイソブチル基のものがサーフィノール6
1、R1 及びR2 がメチル基のものがオルフィンB、R
1 がメチル基、R2 がエチル基のものがオルフィンPの
商品名で市販されている。
【0055】アセチレンジオールは、HOCR12
C≡C−CR12 OH(R1 及びR2 は同一でも異な
っていてもよく、それぞれ炭素数が1〜8のアルキル基
を示す)で表される一連の化合物で、R1 がメチル基、
2 がエチル基のものがサーフィノール82、R1 がメ
チル基、R2 がイソブチル基のものがサーフィノール1
04、R1 及びR2 がメチル基のものがオルフィンYの
商品名で市販されている。
【0056】又、これらにアルキレンオキサイドを付加
した界面活性剤は、例えば、上記アセチレンアルコー
ル、アセチレンジオールにエチレンオキサイド又は/及
びプロピレンオキサイド等を付加した界面活性剤であ
る。アルキレンオキサイドを付加したものとしては、サ
ーフィノール104にエチレンオキサイドを付加したも
のがサーフィノール400シリーズの商品名で市販され
ている。又、サーフィノール104Sは、サーフィノー
ル104(ワックス状)と無晶形二酸化ケイ素を40:
60の比率で混合粉砕した、粉末状のプレミックスであ
る。これらは、それぞれエアプロダクツ社が製造し、我
が国では日信化学(株)が販売している。
【0057】シリコーン系界面活性剤は、ジメチルポリ
シロキサンの末端及び(または)側鎖のメチル基の一部
に、ポリエチレンオキサイド及び(または)ポリプロピ
レンオキサイドを導入し、場合によっては、末端のOH
基をアルキル基でエーテル化した、ポリエーテル変性シ
リコーンオイルを主成分とするノニオン界面活性剤で、
シルガードシリーズ(ダウコーニングシリコーン(株)
製)、シルウェットシリーズ(ユニカー(株)製)、シ
リコーンオイルKFシリーズ(信越化学(株)製)、カ
イネチック(ヘレナケミカル(株)製)等の商品名で市
販されている。
【0058】フッ素系界面活性剤は通常のアニオン、ノ
ニオン、カチオン、両性イオン系界面活性剤の水素原子
の一部または全部をフッ素原子で置換した界面活性剤
で、表面張力低下力に優れることで知られている。わが
国では、ユニダインシリーズ(ダイキン工業(株)
製)、メガファックシリーズ(大日本インキ化学工業
(株)製)フタージェントシリーズ((株)ネオス
製)、サーフロンシリーズ(旭硝子(株)製)、エフト
ップ(トーケムプロダクツ(株)製)等の商品名で販売
されている。
【0059】これら水面拡展剤は、造粒キャリヤーの造
粒工程、有効成分プレミックスの粉砕工程、有効成分プ
レミックスの被覆工程、有効成分プレミックスを被覆し
た後の工程の任意の工程で添加することが出来る。
【0060】水面拡展剤は、固体のものでも液体のもの
でもかまわない。
【0061】また、その添加方法は、水面拡展剤を単独
で添加しても良いし、必要であれば、例えば、無晶形二
酸化珪素のような他の適当な粉砕助剤とともに粉砕して
も良い。また、場合によっては、造粒キャリヤーの造粒
時に、練合水に溶解して添加しても良い。疎水性の無晶
形二酸化珪素を粒剤中に少量配合しておくと、粒剤を浮
かせ易くなるので有利である。
【0062】これら水面拡展剤の配合量は、有効成分の
種類と含有量、水面拡展剤の種類、その他成分の種類と
配合量等製剤処方や剤型によって異なるが、通常0.1
〜10%程度、好ましくは0.3〜5%程度、更に好ま
しくは0.5〜3%程度である。
【0063】かくして得られる本発明の水面浮遊拡展性
農薬粒剤は、田面水上に浮遊し、短時間の内に広範囲に
拡展したのちは、有効成分を出来るだけ早く水中に遊離
する必要がある。このため以下の方法で測定した場合に
おいて、(1)有効成分遊離率が、1分後20%以下、
2時間後80%以上であること、(2)拡展距離が、4
m以上であること、の両方を満足することが望ましい。
また、有効成分を遊離したのちは、造粒キャリヤー自体
が沈降する方が商品イメージの点で望ましい。
【0064】(有効成分遊離率の測定法)容量1Lのガ
ラス製のビーカーに、水温25℃の精製水500mlを
入れる。25℃の恒温下に静置し、開口径0.5mmの
網を張った直径7.5cmのふるいを、網が水中に沈
み、ふるい枠が水面にでるように水平に設置する。本発
明の水面浮遊拡展性粒剤1gをふるい枠の中に投入す
る。粒剤投入1分後に、ふるいを持ち上げて取り出し、
粒剤を取り除き、残りの水を均一に混合し、水中に遊離
した有効成分の量を分析する。投入した粒剤の含量から
投下薬量を求め、水中に遊離した薬量の遊離率(%)を
求める。別に、全く同様に操作してふるいを設置し、粒
剤投入2時間後の有効成分遊離率を求める。
【0065】(水中投入3分後における水面での拡展距
離の測定法)無風の室内に幅90cm、長さ7m、深さ
10cmの枠を発泡スチロールで作成し、水平に設置し
た。内面に黒色のビニールシートを張り、水を入れて水
深5cmに調整した。端から50cmの位置に粒剤2g
を投入し、3分後に粒剤の先端が移動した距離を測定し
た。水が汚れると拡展距離が大きく異なるので、1試験
毎に水とビニールシートを取り替える。
【0066】かくして得られた本発明の農薬粒剤は、適
当な振込口を付けた箱、瓶、袋等から直接水田中に振込
処理するか、水溶紙に分包として畦畔等から投げ込み処
理する。本発明の農薬製剤は、拡展しながら有効成分を
遊離するから、一般的な粒剤のように水田に入って均一
散布しなくても畦畔等から水田中に適宜処理すれば十分
な生物効果をあげることが出来る。
【0067】箱、瓶、袋等を用いて直接水田中に振り込
み処理する場合の包装形態は、紙、合成樹脂、ガラス、
金属等の箱、瓶または袋に適当な振込口を付けたものが
便利である。振込口は、樹脂製のキャップに数mm〜数
cm程度の穴を開けたような簡単なもので十分であり、
商品形態としてこのような容器に本発明の粒剤を直接封
入しても良いし、通常の包装形態で製品としたものを振
込口の付いた専用の容器に移し変えて処理しても良い。
包装材質は紙のものであれば使用後直ちに焼却処分が出
来るので有利である。
【0068】投げ込み処理の場合は、本発明の製剤を適
当な水溶紙に分包とする。水溶紙とは、水の中で溶解ま
たは分散するような性質を有するフィルムまたはシート
を意味する。水溶紙は例えばポリビニルアルコールまた
はその誘導体よりなるもの、プルランフィルムよりなる
もの、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩とセ
ルロースよりなるもの、ポリエチレンオキサイド及びそ
の誘導体よりなるもの等を挙げることが出来る。
【0069】本発明の水面で浮遊拡展性を有するように
調製した農薬粒剤は、拡展性を有しない水溶紙に分包と
した場合、水溶紙が農薬粒剤の拡展を阻害してしまうこ
とがある。この間に水面拡展剤が水に溶け出してしまい
拡展力を失うため、分包とせずに水面に処理した状態か
ら期待するほどの水面拡展性は見られなくなる。このた
め有効成分は投下点近傍の狭い範囲に局在してしまい、
好ましい結果を得ることはできない。従って、本発明に
おいては拡展性水溶紙を用いるのが望ましい。
【0070】拡展性水溶紙とは、それ自体水中で容易に
分散又は溶解し、当該農薬粒剤を水面に拡展させる性質
を有するフィルム又はシ−トである。このような拡展性
水溶紙としては、例えば、ポリビニルアルコール及び/
又はその誘導体よりなるフィルム(以下、PVAフィル
ムと略す)を挙げることができる。
【0071】PVAフィルムは重合度1000〜200
0程度、ケン化度85〜95%程度のポリビニルアルコ
ールを少量の可塑剤、安定剤等と共にフィルム化したも
ので、重合体の中に少量のカルボン酸等の共重合物を含
有するフィルムをも包含する。フィルムは機械強度、耐
寒強度が大きく水溶性であることが必要であり、その意
味で原料となるポリビニルアルコールの重合度が高すぎ
たり、ケン化度が高すぎたりすると冷水に溶けにくくな
るので好ましくない。フィルムの厚さは25〜70μm
程度のものが使用できるが、フィルム強度、溶解時間の
点で30〜50μm程度のものが好ましい。
【0072】水溶紙の端部は糊で封じてもよいが、作業
性に問題があるうえ、糊付けした部分が溶解しにくくな
ることが多い。この点でヒートシールできるものが好都
合である。
【0073】分包にする場合の1包みの重量は約30〜
150gが投げ込み易い。この程度の重さであれば、子
供、女性、高齢者でも容易に15m以内の目標とした地
点に投げ込むことが可能である。これ以上重いと、投げ
込むのが苦痛となり、広い面積を処理するのは容易では
ない。また、これ以下では風の影響を受けて目標とした
地点に到達し得ない。
【0074】本発明の農薬粒剤は、水面浮遊性農薬粒剤
中に水面展開剤を配合し、これを拡展性水溶紙に分包と
するので、水面で広範囲に拡展し有効成分の拡散も広範
囲に達するから、通常の水田では無理に遠くまで投げ入
れる必要はなく、畦畔から2〜3m先の水面に落とす程
度で十分である。
【0075】水田に投げ込む分包の個数は多過ぎると投
げ込むのが面倒となり省力にならないし経済的にも不利
である。また、少くな過ぎると農薬粒剤の拡展が不十分
となる。一般的には10a当たり数個から数十個程度、
好ましくは5個から20個程度である。
【0076】かくして得られた本発明の農薬粒剤は、水
面に拡展した後は、速やかに有効成分が水中に分散・溶
解し、順次溶解拡散しなければならない。粒剤が沈降す
るようだと沈降した地点に有効成分の偏析が生じる。ま
た、粒剤より有効成分が分散せず長時間水面に漂ってい
ると風による吹寄せがおこる。
【0077】従って、本発明の農薬粒剤は、先述したよ
うな有効成分の遊離率と拡展距離とを有することが望ま
しい。
【0078】得られた粒剤を振込処理する場合には、
紙、樹脂、またはこれらにアルミ箔を貼り合わせたりア
ルミやシリカを蒸着したもの、ガラス、金属、木等より
なる袋や箱、瓶に包装する。これらの容器に、適当な振
込口を付しておき、畦畔等からそのまま振込処理できる
ようにしておけば便利である。
【0079】分包を投げ込み処理する場合は、紙、樹
脂、またはこれらにアルミ箔を貼り合わせたりアルミや
シリカを蒸着したもの、金属、木等よりなる袋や箱に外
装する。
【0080】本発明の粒剤は、物理性の点では、吸湿に
対して経時的に安定である。従って、発泡製剤ほど吸湿
に対して注意を払う必要はないが、水溶紙は水がかかる
と破れるので、適当な防水加工を施した外装を用いるべ
きである。
【0081】
【実施例】
(参考例1〜5)造粒キャリヤーの例 表1に示す処方の混合物各1kgをニーダーに仕込み、
ニューコール291PG(日本乳化剤(株)製、ジエチ
ルヘキシルスルホサクシネートのナトリウム塩を主成分
とする界面活性剤)0.2%液の表1に示す量で練合
し、バスケット型造粒機L−5型(菊水制作所(株)
製)を用いて、押し出し粒径1.2または1.5mmの
スクリーンから押し出し造粒した。流動層乾燥機を用い
て熱風温度100℃で乾燥し、開口径4.760mmの
ふるいを強制し過し、0.710mmのふるいで微粒部
分を除去した。
【0082】(参考例6〜10)造粒キャリヤーの例 表1に示す参考例1〜5と同一の処方により、スパルタ
ンリューザー(混合型造粒機、不二パウダル(株)製)
を用いて造粒し、流動層乾燥機を用いて乾燥温度100
℃で乾燥し、造粒物を開口径4.760mm及び0.7
10mmのふるいを用いてふるい分け、4.760〜
0.710mmの粒度区分を得た。
【0083】(実施例1〜10)粒剤例 ピロキロン原体24部、タルク(局方)3部、カープレ
ックス#80(塩野義製薬(株)製、無晶形二酸化珪
素)1部を混合し、ハンマーミルにより粉砕してピロキ
ロン85%を含有するプレミックスを得た。参考例1〜
10の造粒キャリヤー73.4部をナウタミキサーに仕
込み、スーパーオイルC(日本石油(株)製、粗製流動
パラフィン)10.0部を加えて粒の表面を湿らせ、上
記プレミックス14.1部を加えて混合し、粒の表面に
被覆した。次いで、サーフィノール104Sの2.5部
を加えて混合・被覆し、ピロキロン12%を含有する粒
剤を得た。得られた粒剤の物理性を表2に示した。
【0084】(実施例11)粒剤例 F−155原体85.0部、カープレックス#100
(塩野義製薬(株)製、無晶形二酸化珪素)11.5
部、ネオペレックスNo.6F(花王(株)製、ドデシ
ルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩を主成分とする界
面活性剤)1.5部、ゴーセノールGL05(ポリビニ
ルアルコール粉末、日本合成化学工業(株)製)の2.
0部を混合し、ジェットオーマイザー0101型(セイ
シン企業(株)製、ジェットミル)により粉砕し、F−
155を85%含有するプレミックスを得た。参考例4
の造粒キャリヤー73.4部をナウタミキサーに仕込
み、スーパーオイルCの10.0部を加えて粒の表面を
しめらせ、上記プレミックス14.1部を加えて混合
し、粒の表面に被覆した。次いで、サーフィノール10
4Sの2.5部を加えて混合・被覆し、F−155を1
2%含有する粒剤を得た。
【0085】(実施例12)粒剤例 チオシクラム原体(85.3%)87.92部、アエロ
ジールR972(疎水性合成シリカ、日本アエロジル
(株)製)5.00部、カープレックス#100の2.
08部、粉末生石灰5.00部を混合し、ジェットオー
マイザー0101型により粉砕し、チオシクラムを75
%含有するプレミックスを得た。参考例1で得た造粒キ
ャリヤー49.0部をナウタミキサーに仕込み、マレイ
ン酸nーブチル(試薬1級)27.6部を加えて混合
し、粒の表面を湿らせた。次いで、チオシクラムのプレ
ミックス21.9部を加えて混合し、粒の表面に被覆し
た。更にサーフィノール104Sの1.5部を加えて混
合し、粒の表面に被覆してチオシクラム16.4%を含
有する粒剤を得た。
【0086】(実施例13)粒剤例 ベンタゾン原体85部、カープレックス#80の3部、
エマルスター#30(澱粉系乳化分散剤、松谷化学
(株)製)12部を混合し、ジェットオーマイザー01
01型により粉砕し、ベンタゾンを85%含有するプレ
ミックスを得た。参考例2の造粒キャリヤー55.3部
をナウタミキサーに仕込み、スーパーオイルC15.0
部を加えて混合し、粒の表面を湿らせた。次いでベンタ
ゾンプレミックス28.2部を加えて混合し、粒の表面
に被覆した。更に、サーフィノール104Sの1.5部
を加えて混合し、粒の表面に被覆してベンタゾン24.
0%を含有する粒剤を得た。
【0087】(実施例14)粒剤例 メフェナセット原体56.0部、ダイムロン原体24.
0部、ロンダックス原体2.68部、エマルスター#3
0A(澱粉系乳化分散剤、松谷化学(株)製)の10.
0部,ネオペレックスNo.6Fの1.32部、サーフ
ィノール420の6.0部を混合し、ジェットオーマイ
ザー0101型により粉砕し、原体の混合プレミックス
を得た。参考例2の造粒キャリヤー58.0部をナウタ
ミキサーに仕込み、スーパーオイルCの15.0部を加
えて混合し、粒の表面を湿らせた。次いで原体プレミッ
クス25.0部を加えて混合し、粒の表面に被覆した。
更に、サーフィノール104Sの2.0部を加えて混合
し、粒の表面に被覆してメフェナセット14.0%、ダ
イムロン6.0%、ベンスルフロンメチル0.67%を
含有する粒剤を得た。
【0088】(実施例15)粒剤例 ピリブチカルブ原体48.0部、ダイムロン原体36.
0部、ロンダックス原体4.0部、ネオペレックスN
o.6Fの1.2部、バニレックスN(リグニンスルホ
ン酸のナトリウム塩、日本製紙(株)製)の5.8部、
サーフィノール104Sの5.0部を混合し、ジェット
オーマイザー0101型により粉砕し、原体の混合プレ
ミックスを得た。参考例1の造粒キャリヤー58.0部
をナウタミキサーに仕込み、スーパーオイルCの15.
0部を加えて混合し、粒の表面を湿らせた。次いで原体
プレミックス25.0部を加えて混合し、粒の表面に被
覆した。更に、サーフィノール104Sの2.0部を加
えて混合し、粒の表面に被覆して、ピリブチカルブ1
2.0%、ダイムロン9.0%、ベンスルフロンメチル
1.0%を含有する粒剤を得た。
【0089】(実施例16)粒剤例 メガファック110の1部とカープレックス#80の4
部を混合し、ハンマーミルで粉砕してメガファック11
0の20%プレミックスを得た。参考例1の造粒キャリ
ヤー73.4部をナウタミキサーに仕込み、スーパーオ
イルCの10.0部を加えて混合し、粒の表面を湿ら
せ、実施例1のピロキロンプレミックス14.1部を加
えて混合し、粒の表面に被覆した。次いで、メガファッ
ク110のプレミックス2.5部を加えて混合・被覆
し、ピロキロン12.0%を含有する粒剤を得た。
【0090】(実施例17)粒剤例 シリコーンオイルKF6017の2部とカープレックス
#100の3部を混合し、ハンマーミルで粉砕して、シ
リコーンオイルKF6017の40%プレミックスを得
た。実施例16と同様にして、シリコーンオイルKF6
017のプレミックスを被覆したピロキロンの12%粒
剤を得た。実施例11〜17で得られた粒剤の物理性を
表3に示した。
【0091】(試験例1)実施例で得られた粒剤の各5
0gを、ハイセロンC200(ポリビニルアルコールフ
ィルム、厚さ40μm、日合フィルム(株)製)に分包
とした。1区画を10x10mに畦シートで区切った水
田の中央に、直径が約10cmになるように6本の箸を
立てて袋が動かないようにし、その中に得られた粒剤の
分包を落とした。分包が破袋し、内部の粒剤が水面に拡
展したのち、風下の吹き寄せ部に棒を立てた。処理4日
目に、投下点、吹き寄せ部、吹き寄せの反対側の3地点
から、直径10cm、深さ10cmの土壌を採取し、凍
結させた。凍結した土壌を取り出し、表層から1cmの
層を輪切りにし、土壌中に存在する各成分を分析して、
投下点及び吹き寄せ部に存在する有効成分量の、吹き寄
せの反対側地点の量に対する倍率を求めた。結果を表4
に示した。
【0092】表に示したように、実施例のサンプルは、
いずれも投下点及び吹き寄せ部に存在する有効成分量
の、吹き寄せの反対側地点の量に対する比率が、約2倍
以下であった。
【0093】(試験例2)実施例1の粒剤を、振出口を
付した箱に入れ、1kg/10aの割合で畦畔から約3
mの範囲に振込処理したところ、粒剤は水面を広範囲に
拡展した。いもち病に対する効果を、コラトップ粒剤5
(ピロキロン5%を含有する粒剤、三共(株)製)の4
kg/10a均一散布区と比較したところ、同等の効果
が得られ、薬害も見られなかった。粒は翌日には全量沈
降した。
【0094】(試験例3)実施例12の粒剤を、振出口
を付した箱に入れ、1kg/10aの割合で、畦畔から
約3mの範囲に振込処理したところ、粒剤は水面を広範
囲に拡展した。コブノメイガに対する効果を、パダン粒
剤(カルタップ4%を含有する粒剤、武田薬品工業
(株)製)の4kg/10a均一散布区と比較したとこ
ろ、同等の効果が得られ、薬害も見られなかった。粒は
翌日には全量沈降した。
【0095】(試験例4)実施例14の粒剤を、振出口
を付した箱に入れ、0.75kg/10aの割合で、畦
畔から約3mの範囲に振込処理したところ、粒剤は水面
を広範囲に拡展した。除草効果を、ザークD粒剤(ベン
スルフロンメチル0.17%、メフェナセット3.5%
及びダイムロン1.5%を含有する粒剤、三共(株)
製)の3kg/10a均一散布区と比較したところ、同
等の効果が得られ、薬害も見られなかった。粒は翌日に
は全量沈降した。
【0096】(試験例5)実施例15の粒剤を、振出口
を付した箱に入れ、0.5kg/10aの割合で、畦畔
から約3mの範囲に振込処理したところ、粒剤は水面を
広範囲に拡展した。除草効果を、カルショットフロアブ
ル(ベンスルフロンメチル1%及びピリブチカルブ12
%を含有する懸濁濃縮製剤、三共(株)製)の均一散布
区と比較したところ、同等の効果が得られ、薬害も見ら
れなかった。粒は翌日には全量沈降した。
【0097】
【表1】
【0098】
【表2】
【0099】
【表3】
【0100】
【表4】
【0101】
【発明の効果】以上述べたように、本発明は手軽に処理
でき、散布者や環境に危害を与えない農薬製剤を提供す
るものであり、安全性と省力化が求められている農業及
び農薬業界の発展に寄与するところが大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A01N 43/28 43/32 43/40 101 C 43/78 101 43/80 103 43/88 105 43/90 102 104 47/12 B 47/36 101 E 57/28 F (72)発明者 平田 毅 滋賀県野洲郡野洲町野洲1041 三共株式会 社内 (72)発明者 辻野 泰宏 滋賀県野洲郡野洲町野洲1041 三共株式会 社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】発泡パーライト、発泡シラス、コルクより
    選ばれる1種以上を含有し、水面浮遊性で、且つ水中で
    非崩壊性とした造粒キャリヤーに、融点が50℃以上の
    農薬有効成分の粉末プレミックスを被覆し、更に水面拡
    展剤を配合した水面浮遊拡展性農薬粒剤。
  2. 【請求項2】水中投入1分後の有効成分遊離率が20%
    以下であり、水中投入2時間後の有効成分遊離率が80
    %以上である請求項1に記載の水面浮遊拡展性農薬粒
    剤。
  3. 【請求項3】チオシクラム、カルタップ、ベンタゾン、
    ピロキロン、イミダクロプリド、ニッテンピラム、プロ
    ベナゾール、トリシクラゾール、イソプロチオラン、フ
    ルトラニル、メプロニル、アセフェート、メフェナセッ
    ト、ベンスルフロンメチル、イマゾスルフロン、ピラゾ
    スルフロンエチル、CH−900、HOE404、DP
    X−47より選ばれる1種以上の農薬有効成分を含有す
    る請求項1または2に記載の水面浮遊拡展性農薬粒剤。
  4. 【請求項4】水中投入3分後の拡展距離が4m以上であ
    る請求項1乃至3に記載の水面浮遊拡展性農薬粒剤。
  5. 【請求項5】水面拡展剤としてアセチレン系界面活性
    剤、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤よ
    り選ばれる1種又は2種以上を含有する請求の範囲1乃
    至4のいずれかに記載の水面浮遊拡展性農薬粒剤、
  6. 【請求項6】請求項4または5に記載の水面浮遊拡展性
    農薬粒剤を、振込口を付した箱、瓶、袋等に包装した水
    田振込用農薬製剤。
  7. 【請求項7】請求項4または5に記載の水面浮遊拡展性
    農薬粒剤を、水溶紙に分包とすることを特徴とする水田
    投げ込み用農薬製剤。
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