JPH0880822A - ブレーキ装置 - Google Patents

ブレーキ装置

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JPH0880822A
JPH0880822A JP21754394A JP21754394A JPH0880822A JP H0880822 A JPH0880822 A JP H0880822A JP 21754394 A JP21754394 A JP 21754394A JP 21754394 A JP21754394 A JP 21754394A JP H0880822 A JPH0880822 A JP H0880822A
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JP
Japan
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brake
hydraulic pressure
moving speed
speed
pedal
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JP21754394A
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English (en)
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Hideki Kusunoki
秀樹 楠
Norio Komoda
紀雄 薦田
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ブレーキの効き遅れを低減させ得るブレーキ
装置において、ブレーキの無駄な作動をできる限り回避
する。 【構成】 スロットル開度センサ124の出力値の単位
時間当たりの変化量に基づいて運転者の足136のアク
セルペダル134を解除する際の移動速度が検出され
る。この移動速度が設定値以上の場合には、緊急度が高
いと推定され、ブレーキが作動させられる。開閉弁66
が連通時間だけ連通状態に切り換えられ、ブレーキ液が
ホイールシリンダ14に供給される。パッドがディスク
ロータに摺接させられ初期制動力が発生させられる。移
動速度が設定値以上の場合には、アクセルペダル134
が解除された後、大抵、ブレーキペダル10が踏み込ま
れるため、ブレーキの作動が無駄になることが殆どな
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両用のブレーキ装置
に関するものであり、特にブレーキの効き遅れの低減に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】特開平5─229413号公報には効き
遅れの少ない車両用ブレーキ装置が記載されている。こ
のブレーキ装置は、(1) 車輪の回転を抑制するブレーキ
と、(2) ブレーキペダルの踏込みに応じて前記ブレーキ
を作動させる第一ブレーキ駆動装置と、 (3)運転者の足
がアクセルペダルの踏込みを解除したことを検出するア
クセル解除検出装置と、(4) そのアクセル解除検出装置
によってアクセルペダルの踏込み解除が検出された場合
に前記ブレーキを作動させる第二ブレーキ駆動装置とを
備えたものである。この公報に記載のブレーキ装置にお
いては、アクセルペダルの踏込みが解除されると、ブレ
ーキクリアランス(例えば、ディスクブレーキにおける
ロータとパッドとの間のクリアランス)をなくすように
ブレーキが作動させられる。所謂ファーストフィルが自
動的に行われるのであり、運転者がアクセルペダルの踏
込みを解除した後ブレーキペダルを踏み込めば、直ちに
制動効果が現れ、ブレーキの効き遅れが低減する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記公報に記
載のブレーキ装置においては、運転者がアクセルペダル
の踏込みを解除すると、必ず、ブレーキが作動させられ
るようになっているため、その後、ブレーキペダルが踏
み込まれなかった場合には、ブレーキの作動が無駄にな
る。運転者がアクセルペダルの踏込みを解除しても、必
ずブレーキペダルを踏み込むとは限らず、スピードを緩
めるためや、エンジンブレーキを効かせるためにアクセ
ルペダルの踏込みを解除することも多いのであり、これ
らの場合にはブレーキの作動が無駄になるのである。
【0004】本発明は以上の事情を背景としてなされた
ものであり、その課題は、ブレーキの効き遅れを低減さ
せ得るブレーキ装置において、ブレーキの無駄な作動を
できる限り回避することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】そして、本発明の要旨
は、ブレーキ装置を、前記(1) ブレーキおよび(2) 第一
ブレーキ駆動装置の他に、(a) アクセルペダルの踏込み
を解除してブレーキペダルへ移動するまでの間の運転者
の足の移動の少なくとも一部の速度を検出する移動速度
検出装置と、(b) その移動速度検出装置によって検出さ
れた移動速度が設定値以上の場合に前記ブレーキを作動
させる第二ブレーキ駆動装置とを含む構成とすることに
ある。
【0006】ここで、ブレーキは、液圧シリンダ等流体
圧シリンダにより作動する流体圧ブレーキのみならず、
電動モータ等電気アクチュエータを駆動源とする電気式
ブレーキ等、他の形式のブレーキでもよい。また、ブレ
ーキの作動は、実質的な制動効果が得られる程度の作動
であっても、ブレーキクリアランスをなくす程度の作動
であってもよい。さらに、ブレーキの作動力は、常に一
定の大きさであっても、足の移動速度等に応じた大きさ
であってもよい。
【0007】さらに、移動速度検出装置は、運転者の足
のアクセルペダルの踏込みを解除してブレーキペダルへ
移動するまでの間の少なくとも一部における移動速度を
検出すればよい。したがって、アクセルペダルの踏込み
を解除する際の移動速度を検出するものであっても、ア
クセルペダルからブレーキペダルに向かう方向へ移動す
る際の移動速度を検出するものであっても、これら両方
の移動速度を検出するものであってもよい。また、移動
速度は、平均移動速度であっても瞬間的な移動速度であ
ってもよい。
【0008】
【作用】本発明のブレーキ装置においては、ブレーキ
が、運転者の足のアクセルペダルの踏込みを解除してブ
レーキペダルへ移動するまでの間の少なくとも一部にお
ける移動速度が設定値以上の場合にのみ作動させられ
る。運転者の足の移動速度は移動速度検出装置によって
検出され、ブレーキは第二ブレーキ駆動装置によって作
動させられる。
【0009】運転者の足がアクセルペダルの踏込みを解
除してブレーキペダルへ移動するまでの間の移動速度
は、運転者が緊急事態であると感じる度合い、すなわち
緊急度が高いほど大きいものである。したがって、移動
速度が設定値以上の場合には、大抵ブレーキペダルが踏
み込まれる。したがって、移動速度が設定値以上の場合
にのみブレーキを作動させれば、その作動が無駄になる
ことが少ない。それに対して、移動速度が設定値より小
さい場合には、ブレーキペダルが踏み込まれない場合が
多い。例えば、アクセルペダルの踏込みは解除された
が、それは単にスピードを緩めるためや、エンジンブレ
ーキを効かせるためであったり、アクセルペダルからブ
レーキペダルへは移動させられたが、ブレーキを踏む準
備が行われたのみで実際には踏まれなかったりすること
が多いのであり、移動速度が設定値より小さい場合にブ
レーキを作動させると、その作動が無駄になる場合が多
いのである。
【0010】
【発明の効果】本発明によれば、足の移動速度が設定値
以上の場合にのみブレーキを作動させることができ、ブ
レーキの作動が無駄になることを少なくすることができ
る。しかも、ブレーキの効き遅れが問題になるのは緊急
度が高い場合であり、緊急度が低い場合には問題になら
ないのが普通である。したがって、緊急度が高く、足の
移動速度が設定値以上の場合に第二ブレーキ駆動装置に
よりブレーキが作動させられれば、効き遅れ低減の目的
は十分に果たされる。
【0011】
【発明の望ましい実施態様】以下、本発明の望ましい実
施態様を列挙するとともに、必要に応じて関連説明を行
う。 (1)前記移動速度検出装置が、アクセルペダルの踏込
みを解除する際の運転者の足の移動速度を検出するアク
セル解除速度検出装置を含む請求項1記載のブレーキ装
置。アクセルペダルの踏込解除は、アクセルペダルの踏
込みを解除してブレーキペダルへ移動するまでの間の初
期の部分であるので、アクセル解除速度に基づけば早期
にブレーキを作動させることができ、効き遅れを効果的
に低減させ得る。
【0012】(2)前記アクセル解除速度検出装置が、
アクセルペダルのストロークを検出するストロークセン
サと、そのストロークセンサの出力値の時間当たりの変
化量を演算するストローク変化速度演算手段とを含む態
様1記載のブレーキ装置。アクセルペダルのストローク
の時間当たりの変化量、すなわちストローク変化速度は
踏込解除速度に対応する。したがって、ストロークセン
サの出力値に基づいて踏込解除速度を検出することがで
きる。
【0013】(3)前記アクセル解除速度検出装置が、
スロットル開度センサと、そのスロットル開度センサの
出力値の時間当たりの変化量を演算するスロットル開度
変化量演算手段とを含む態様1記載のブレーキ装置。ス
ロットルバルブの開度はアクセルペダルのストロークに
応じて決定されるため、スロットルバルブの開度の単位
時間当たりの変化量に基づいてアクセルペダルのストロ
ークの単位時間当たりの変化量、すなわち、踏込解除速
度を検出することができる。スロットル開度センサは大
抵の車両に搭載されているため、アクセル解除速度を検
出するための専用のセンサが不要となり、その分コスト
ダウンを図ることができる。
【0014】(4)前記移動速度検出装置が、運転者の
足のアクセルペダルからブレーキペダルへ渡る速度を検
出する渡り速度検出装置を含む請求項1,態様1〜3の
いずれか1つに記載のブレーキ装置。アクセルペダルか
らブレーキペダルへの渡り、すなわちアクセルペダルか
らブレーキペダルへ向かう方向の移動も、アクセルペダ
ルの踏込みを解除してブレーキペダルへ移動するまでの
間の一部である。アクセルペダルが解除されても、ブレ
ーキペダルが踏み込まれない場合もあるが、運転者の足
がアクセルペダルから離れブレーキペダルに向かう方向
に移動すれば、態様1〜3における場合より、ブレーキ
ペダルが踏み込まれる確率が高くなる。足がアクセルペ
ダルの上から離れてブレーキペダルの上に載せられるま
での間における平均渡り速度を検出しても、瞬間渡り速
度を検出してもよい。
【0015】(5)前記渡り速度検出装置がドップラ式
超音波センサを含む態様4記載のブレーキ装置。運転者
の足がアクセルペダル等操作部材を操作している間は、
その操作速度をストロークセンサやスロットル開度セン
サ等で検出することができる。それに対して、操作部材
を操作していない場合には、これらセンサによって操作
速度を検出することができない。その場合には、ドップ
ラ式超音波センサを利用すれば、足の移動速度を検出す
ることができる。ドップラ式超音波センサによれば、上
記平均渡り速度でも、瞬間渡り速度でも、いずれでも検
出することができる。
【0016】(6)前記渡り速度検出装置が、2個のフ
ォトセンサと、その2個のフォトセンサの出力変化時点
間の経過時間を計測する計時手段とを含む態様4または
5に記載のブレーキ装置。アクセルペダルとブレーキペ
ダルとの間に発光部と受光部とを備えたフォトセンサを
2個設ければ、運転者の足のアクセルペダルからブレー
キペダルへの渡り速度を検出することができる。一方の
フォトセンサが足を検知してから他方のフォトセンサが
足を検知するまで、あるいは一方のフォトセンサが足を
検知しなくなってから他方のフォトセンサが足を検知し
なくなるまでの時間が短いほど足の渡り速度が大きいの
である。
【0017】2個のフォトセンサをそれぞれ反射型とす
ることも可能であるが、透過型とすることが望ましい。
特に、それぞれの透過型フォトセンサの発光部と受光部
とを車両の上下方向に対向させて設けることが望まし
い。運転者は通常靴を履いており、その靴が黒あるいは
それに近い色である場合には反射型フォトセンサで検知
することが困難であり、また、運転者の足がアクセルペ
ダルからブレーキペダルに向かって移動する場合には、
その軌跡が直線を描く場合より上下方向の成分を含んだ
曲線を描く場合の方が多く、発光部と受光部とを上下方
向に対向させておけば、この曲線的な運動でも支障なく
検出できるからである。
【0018】(7)前記ブレーキ制御装置が、前記移動
速度検出装置によって検出された移動速度の大きさに応
じてブレーキの作動度を決定する移動速度対応ブレーキ
作動度決定手段を含む請求項1,態様1〜6のいずれか
1つに記載のブレーキ装置。第二ブレーキ駆動装置によ
るブレーキの作動度は常に一定の大きさとしても、移動
速度等の情報に基づいて決定してもよい。後者の場合に
は、作動度を緊急度に応じて決定することができるた
め、前者の場合より、本発明の効果を有効に享受でき
る。後者の場合、ブレーキの作動度が、例えば、ブレー
キクリアランスを減少あるいはちょうど消滅させる程度
と、実質的な制動効果が現れる程度との2段階に決定さ
れるようにしてもよく、また、実質的な制動効果の程度
が段階的あるいは連続的に決定されるようにしてもよ
い。実質的な制動効果が現れる程度は、液圧シリンダへ
のブレーキ液の供給量,液圧シリンダの液圧,電動モー
タの駆動時間,電動モータの駆動電流,ブレーキ作動
力,車両減速度等で規定することができる。
【0019】(8)前記ブレーキ制御装置が、車体速度
を検出する車体速度検出装置を含み、かつ、ブレーキの
作動度を、その車体速度検出装置によって検出された車
体速度に応じて決定する車体速度等対応作動度決定手段
を含む請求項1,態様1〜7のいずれか1つに記載のブ
レーキ装置。例えば、車体速度が大きいほどブレーキの
効き遅れの影響が大きいのが普通であるため、車体速度
が大きいほどブレーキの作動度が大きく決定されるよう
にすることは合理的なことである。また、作動度が車体
速度と移動速度との両方に応じて決定されるようにする
ことは一層合理的である。
【0020】
【実施例】本発明をアンチスキッド/トラクション制御
可能なブレーキ装置に適用した場合の実施例を図面に基
づいて詳細に説明する。図1において、10はブレーキ
ペダル、12はマスタシリンダ、14〜17はホイール
シリンダであり、ホイールシリンダ14〜17は左右前
後輪20〜23の各ディスクブレーキ26を作動させる
液圧シリンダである。各ディスクブレーキ26(以下、
ブレーキ26と略称する)は、図2に示すようにキャリ
パ28とピストン29とにより構成されるホイールシリ
ンダ14〜17とパッド30とを備えて非回転部材に取
り付けられる制動機構と、車輪20〜23と共に回転す
るディスクロータ31とを含むものであり、液圧に基づ
くホイールシリンダ14〜17の作動力でパッド30を
ディスクロータ31に押し付け、車輪20〜23の回転
を抑制する。
【0021】ホイールシリンダ14〜17にブレーキ液
が供給されれば、ディスクブレーキ26が作動させられ
る。キャリパ28,ピストン29,パッド30等が移動
させられるのである。この場合、ホイールシリンダ14
〜17に供給されるブレーキ液の量が少ない場合には、
パッド30がディスクロータ31に押し付けられること
はなく制動力は発生しない。ブレーキ液の量が多くなる
とパッド30がディスクロータ31に押し付けられ、ホ
イールシリンダ14〜17の液圧が上昇して制動力が発
生する。上記説明から明らかなように、本明細書におい
ては、制動力を発生させることなくキャリパ28,ピス
トン29,パッド30等が移動した場合も、ブレーキ2
6が作動したものとする。ブレーキ26の作動力は、パ
ッド30のディスクロータ31への押付力、すなわち、
ホイールシリンダ14の液圧に対応する。
【0022】マスタシリンダ12はタンデム式であり、
図示しない2つの加圧室を備えている。一方の加圧室に
は液通路32が接続され、他方の加圧室には液通路33
が接続されている。液通路32は、途中で分岐させら
れ、それぞれ、左右前輪20,21のフロントホイール
シリンダ14,15に液圧制御弁34,36を介して接
続され、液通路33も、同様に、左右後輪22,23の
リヤホイールシリンダ16,17に液圧制御弁38,4
0を介して接続されている。また、液通路32のマスタ
シリンダ12と液圧制御弁34,36との間には、開閉
弁42が設けられるとともに、液通路33のマスタシリ
ンダ12と液圧制御弁38,40との間にも開閉弁43
が設けられている。これら開閉弁42,43は、常に
は、マスタシリンダ12と液圧制御弁34〜40とを連
通させる連通状態にあるが、ソレノイド44,45の励
磁によりマスタシリンダ12と液圧制御弁34〜40と
を遮断する遮断状態に切り換えられる。ソレノイド4
4,45の励磁は、後述するブレーキ制御装置50の指
令に基づいて図示しない駆動回路により制御される。
【0023】開閉弁42,43をそれぞれバイパスする
バイパス通路が設けられ、各バイパス通路には、マスタ
シリンダ12から液圧制御弁34〜40へのブレーキ液
の流れを許容するが、逆方向の流れを阻止する逆止弁4
6,48が設けられている。逆止弁46,48は、後に
詳述するように、開閉弁42,43が遮断状態にある間
にマスタシリンダ12の液圧が高くなった場合には、マ
スタシリンダ12のブレーキ液を液圧制御弁34〜40
に供給するために設けられたものである。
【0024】本実施例のブレーキ装置は動力式液圧源5
4を備えている。動力式液圧源54は、前記リザーバ5
2,ポンプ56,ポンプ56を駆動するためのモータ5
8,アキュムレータ60,リリーフ弁62等を備えたも
のである。ポンプ56によってリザーバ52のブレーキ
液が加圧されてアキュムレータ60に蓄えられる。ポン
プ56を作動させるモータ58の駆動は、アキュムレー
タ60の液圧を検出する圧力センサ64の出力値が設定
範囲内になるように図示しないモータ制御装置の指令に
基づいて図示しない駆動回路により制御される。また、
圧力センサ64,モータ制御装置,モータ駆動回路等の
故障等により、万一アキュムレータ60の液圧がリリー
フ圧に達すれば、ブレーキ液がリリーフ弁62を経てリ
ザーバ52に戻される。
【0025】動力式液圧源54は液圧制御弁34〜40
に開閉弁66を介して接続されている。開閉弁66は、
常には、液圧制御弁34〜40を動力式液圧源54から
遮断する遮断位置にあるが、ソレノイド68がブレーキ
制御装置50の指令に基づいて駆動回路により励磁され
ると、連通位置に切り換えられ、液圧制御弁34〜40
を動力式液圧源54に連通させる。
【0026】液圧制御弁34〜40は、アンチスキッド
制御やトラクション制御を行うために設けられた3ポー
ト3位置弁であり、各々のソレノイドの励磁によって切
り換えられる。ソレノイドの励磁はブレーキ制御装置5
0の指令に基づいて図示しない駆動回路により制御され
る。液圧制御弁34〜40は、通常は、図示の原位置に
あり、ホイールシリンダ14〜17をマスタシリンダ1
2あるいは動力式液圧源54等の高圧源に連通させる増
圧位置にあるが、小電流によるソレノイドの励磁によっ
てホイールシリンダ14〜17を高圧源からもリザーバ
52からも遮断する保持位置に、また大電流による励磁
よってホイールシリンダ14〜17を高圧源から遮断し
てリザーバ52に連通させる減圧位置に切り換え可能な
ものである。
【0027】本実施例のブレーキ制御装置50は,車体
速度等演算コンピュータ,アンチスキッド制御コンピュ
ータ,トラクション制御コンピュータ,初期制動力制御
コンピュータ等複数個のコンピュータを備えたものであ
るが、車体速度等演算コンピュータ,アンチスキッド制
御コンピュータ,トラクション制御コンピュータは良く
知られたものであるため、ここでは、初期制動力制御コ
ンピュータについて説明する。
【0028】初期制動力とは、緊急時におけるブレーキ
の効き遅れを低減させるために、運転者がブレーキペダ
ル10を踏み込む前に動力式液圧源54の液圧に基づい
てブレーキ26が作動させられることにより発生させら
れる制動力のことである。初期制動力制御コンピュータ
の入力部には、ブレーキスイッチ120,アクセルスイ
ッチ122,スロットル開度センサ124,車体速度等
演算コンピュータ等が接続されるとともに、出力部に
は、図示しない駆動回路を介して、各液圧制御弁34〜
40のソレノイド,開閉弁42,43のソレノイド4
4,45および開閉弁66のソレノイド68等が接続さ
れている。また、ROMには、図3のフローチャートで
表される初期制動力制御プログラム,図5のグラフで表
される初期制動力決定テーブル,図示しない初期制動力
対応連通時間決定テーブル等が格納されている。
【0029】ブレーキスイッチ120は、ブレーキペダ
ル10が踏み込まれた場合にON状態になるスイッチで
あり、アクセルスイッチ122は、アクセルペダル13
4が踏み込まれた場合にON状態になるスイッチであ
る。また、スロットル開度センサ124は、図示しない
メインスロットルバイブの開度を検出するものである。
メインスロットルバルブの開度はアクセルペダル134
のストロークが大きいほど大きくなるため、スロットル
開度センサ124の出力値の変化量に基づいてアクセル
ペダル134のストロークの変化量を求めることができ
る。また、アクセルペダル134は足136と一体的に
移動するため、スロットル開度センサ124の出力値の
変化量に基づいて、アクセルペダル134の踏込みを解
除する際の運転者の足136の移動速度、すなわちアク
セル解除速度を求めることができる。なお、上述の移動
速度は、緊急度が高いほど大きくなるのが普通であるた
め、スロットル開度センサ124は、移動速度検出装置
の構成要素であると同時に緊急度検出装置の構成要素で
もあると考えることができる。
【0030】車体速度センサ125は、ドップラ式対地
速センサであり、車体速度センサ125の出力値に基づ
いて車体速度等演算コンピュータにおいて車体速度が求
められる。求められた車体速度が初期制動力制御コンピ
ュータに供給される。車輪速センサ126〜132は、
アンチスキッド制御やトラクション制御が行われる場合
にスリップ率を求めるために設けられたものであり、車
輪速センサ126〜132の出力値と、上述の車体速度
とに基づいて車体速度等演算コンピュータにおいてスリ
ップ率が求められる。なお、車体速度は車輪速センサ1
26〜132の出力値に基づいて推定することも可能で
ある。
【0031】以上のように構成されたブレーキ装置の作
動を説明する。常には、液圧制御弁34〜40,開閉弁
42,43および開閉弁66は、図示する原位置にあ
る。ブレーキペダル10が踏み込まれると、その踏力に
応じた液圧がマスタシリンダ12の加圧室に発生させら
れる。マスタシリンダ12の一方の加圧室に発生させら
れた液圧は、開閉弁42,液圧制御弁34,36を経て
フロントホイールシリンダ14,15に供給され、他方
の加圧室に発生させられた液圧は、開閉弁43,液圧制
御弁38,40を経てリヤホイールシリンダ16,17
に供給される。また、開閉弁42,43をバイパスして
逆止弁46,48を経てホイールシリンダ14〜17に
供給されるブレーキ液もある。上述のように、開閉弁6
6がホイールシリンダ14〜17を動力式液圧源54か
ら遮断する遮断位置にあるため、ホイールシリンダ14
〜17に動力式液圧源54のブレーキ液が供給されるこ
とはない。
【0032】ブレーキペダル10の踏込みが解除される
と、ホイールシリンダ14〜17のブレーキ液は、液圧
制御弁34〜40,開閉弁42,43を経てマスタシリ
ンダ12に戻される。なお、この際、液圧制御弁34〜
40を減圧位置に切り換えれば、ブレーキ液をリザーバ
52に早急に戻すことができる。
【0033】ブレーキスイッチ120がON状態にある
場合において、制動スリップが過大傾向になるとアンチ
スキッド制御が開始される。アンチスキッド制御プログ
ラムに従って液圧制御弁34〜40が切り換えられ、ホ
イールシリンダ14〜17の液圧が、各車輪20〜23
のスリップ率がほぼ適正値になるように制御される。ア
ンチスキッド制御中においては開閉弁66が連通状態に
保たれ、増圧時には動力式液圧源54からブレーキ液が
供給される。ブレーキスイッチ120がOFF状態にな
ったり、車体速度が設定値以下になったりする等終了条
件が満たされるとアンチスキッド制御が終了させられ
る。
【0034】また、アクセルスイッチ122がON状態
にある場合において、駆動スリップが過大傾向になると
トラクション制御が開始される。開閉弁66が連通状態
に切り換えられて、トラクション制御プログラムに従っ
て液圧制御弁34〜40が切り換えられることによって
ホイールシリンダ14〜17の液圧が、各車輪20〜2
3のスリップ率がほぼ適正値になるように制御される。
トラクション制御は、アクセルスイッチ122がOFF
状態になったり、車体速度が設定値以上になったりする
等終了条件が満たされると終了させられる。
【0035】車両が通常走行状態にある場合には、開閉
弁66は遮断状態にあり、液圧制御弁34〜40は増圧
位置にある。また、運転者の足136はアクセルペダル
134を踏み込んだ状態にある。そして、運転者が車体
速度を低下させることを望む場合には、アクセルペダル
134の踏込みを、足136を上方へ移動させることに
よって緩める。その後、足136をブレーキペダル10
の方へ移動させてブレーキペダル10を踏み込むことに
なるが、本実施例においては、足136の、アクセルペ
ダル134の踏込みを解除するための上方への移動速度
が設定値以上の場合には、動力式液圧源54の液圧によ
りブレーキ26が作動させられて初期制動力が発生させ
られるが、設定値より小さい場合には初期制動力は発生
させられない。
【0036】初期制動力が足136の移動速度が設定値
以上の場合にのみ発生させられるのは、移動速度が設定
値より小さい場合には、運転者がそれほど緊急事態であ
ると感じていないと推定されるからである。アクセルペ
ダル134の踏込みがゆっくり解除される場合には、単
にスピードを緩めるためであったり、エンジンブレーキ
を効かせるためであったりすることが多い。そのため、
続いてブレーキペダル10が踏み込まれない場合が多
く、もしブレーキ26が動力式液圧源54の液圧により
作動させられれば、その作動が無駄になり、平均引きず
りトルクが無駄に増大して燃費が低下する。一般的に、
ブレーキの解除直後はブレーキパッド,ブレーキシュー
等の摩擦部材のどこかがディスクロータやブレーキドラ
ム等のブレーキ回転体に接触していて、引きずりトルク
が大きいのが普通であるが、時間の経過とともに車輪の
振動等により摩擦部材の殆どがブレーキ回転体から離
れ、引きずりトルクが低減することが多い。しかるに、
上記のように、本来は作動の必要がない時期にブレーキ
が作動させられれば、作動中の制動効果自体は小さいも
のであっても、作動解除後に引きずりトルクの大きい状
態が一定時間続くことは、通常の制動解除後と殆ど同じ
である。そのため、引きずりトルクの大きい状態の発生
頻度が無駄に多くなり、引きずりトルクの大きい状態の
積算時間の総走行時間に対する比率が高くなって、引き
ずりトルクの平均値が増大し、燃費が低下してしまうの
である。それに対して、移動速度が設定値より大きく、
緊急度が高いと推定される場合には、続いてブレーキペ
ダル10が踏み込まれることが多いため、初期制動力が
発生させられるのである。
【0037】上記のように、移動速度が設定値以上であ
ることが検出されるとブレーキ26が動力式液圧源54
の液圧により作動させられるが、以下、左前輪20に対
して設けられたブレーキ26の作動についてのみ代表的
に説明する。上記初期制動力の大きさ、すなわち、ブレ
ーキ26の動力式液圧源54の液圧による作動力の大き
さは、図5に示すように、足136の移動速度vf が大
きく、車体速度Vが大きいほど大きい値に決定される。
初期制動力の大きさは、常に一定とすることもできる
が、本実施例においては、移動速度と車体速度とに基づ
いて決定される。そのため、初期制動力が緊急度と効き
遅れの影響度とに応じて発生させられることになり、本
発明の効果を特に有効に享受することができる。
【0038】決定された初期制動力の大きさに対応した
量のブレーキ液がブレーキ26のホイールシリンダ14
に供給される。ブレーキ液の供給量は、本実施例におい
ては、前述のように、液圧制御弁34は増圧位置にある
ため、開閉弁66を連通状態に保つ時間によって制御さ
れる。連通状態に保たれる時間が長いほどホイールシリ
ンダ14に供給されるブレーキ液の量が多くなり、ホイ
ールシリンダ14の液圧が高くなって、パッド30のデ
ィスクロータ31への押付力が大きくなり、大きな制動
力が発生させられる。
【0039】運転者の足136がアクセルペダル134
を踏み込んでいる間は、ホイールシリンダ14の液圧は
大気圧となっており、一方、動力式液圧源54の液圧は
ほぼ決められた一定値であるため、開閉弁66を連通状
態にする連通時間とホイールシリンダ14の液圧との関
係も一定である。この連通時間とホイールシリンダ14
の液圧との関係は、図示しない初期制動力対応連通時間
決定テーブルとしてROMに記憶されており、このテー
ブルに基づいて開閉弁66を連通状態に保つ時間T1
決定される。
【0040】また、本実施例においては、開閉弁66が
連通状態にされると同時に、開閉弁42が遮断状態に切
り換えられる。開閉弁66が連通状態にされても、開閉
弁42が連通状態にあると、ブレーキペダル10が踏み
込まれる以前はマスタシリンダ12の液圧は大気圧であ
るため、動力式液圧源54のブレーキ液が開閉弁42を
経てマスタシリンダ12へ流れてしまい、ホイールシリ
ンダ14の液圧が実質的に上昇しないからである。開閉
弁66が連通状態に切り換えられると同時に開閉弁42
が遮断状態に切り換えられ、連通時間T1 経過後、開閉
弁66が遮断状態に切り換えられる。これにより、ホイ
ールシリンダ14に決められた初期制動力に対応するブ
レーキ液が供給され、その液圧が保持される。
【0041】また、開閉弁66が連通状態から遮断状態
に切り換えられてから設定時間T2経過後(開閉弁66
が連通状態に切り換えられてから時間T1 +T2 経過後
と同じ)に開閉弁42が連通状態に切り換えられる。こ
れにより、初期制動力が発生させられた後、ブレーキペ
ダル10が踏み込まれなかった場合には、ホイールシリ
ンダ14のブレーキ液がマスタシリンダ12に戻され
る。設定時間T2 は、任意に設定し得るが、短過ぎれ
ば、マスタシリンダ12の液圧に基づく制動力が得られ
るより前に初期制動力が消滅させられてしまって、本発
明の効果が少なくなってしまい、逆に長過ぎれば、ブレ
ーキペダル10が踏み込まれなかった場合に、無駄な初
期制動力が長く維持されることとなる。そのため、本実
施例においては、初期制動力が必要である範囲のうちで
は最も低い解除速度でアクセルペダル134が解除され
る場合に、ブレーキペダル10が踏み込まれると予想さ
れる時間より、時間T1 +T2 がやや長くなるように設
定時間T 2 が設定されている。なお、開閉弁42が連通
状態に切り換えられてからブレーキペダル10が踏み込
まれた場合には、通常の制動時と同様に、マスタシリン
ダ12のブレーキ液が開閉弁42と逆止弁46との両方
からホイールシリンダ14に供給される。
【0042】また、本実施例においては、開閉弁42を
バイパスするバイパス通路に逆止弁46が設けられてい
るため、設定時間T2 経過以前にブレーキペダル10が
踏み込まれ、ホイールシリンダ14の液圧よりマスタシ
リンダ12の加圧室の液圧の方が高くなれば、開閉弁4
2が遮断状態にあっても、マスタシリンダ12のブレー
キ液がホイールシリンダ14に供給される。マスタシリ
ンダ12のブレーキ液と動力式液圧源54のブレーキ液
との両方がホイールシリンダ14に供給されるのであ
る。
【0043】図3において、ステップ1(以下、S1と
略称する。他のステップについても同様)とS2とにお
いて、フラグF2 ,F1 がセットされているか否かが判
定される。この目的は後に説明するが、最初にS1,2
が実行される場合には、いずれのステップにおける判定
もNOとなり、S3以降が実行される。S3において、
スロットル開度センサ124の出力値および車体速度が
読み込まれ、S4においてスロットル開度センサ124
の出力値の変化量、すなわち前回の出力値と今回の出力
値との差が図3のプログラムの1サイクルタイムで割ら
れることにより、アクセル解除速度、すなわち足136
の移動速度vf が求められる。スロットル開度センサ1
24の出力値の変化量を求めるためには前回と今回との
両データが必要であるが、最初にS2が実行される場合
には今回のデータしかないため、正しい変化量が得られ
ない。したがって、変化量が強制的に0にされる。
【0044】S5において、移動速度が設定値v0 以上
である状態が2サイクル分続いたか否かが判定され、こ
の判定がYESの場合には、S6において、S5の判定
がYESになった際の移動速度vf 、すなわち、連続し
て設定値v0 以上となった2つの移動速度vf のうちの
後の方のものを用いて初期制動力Fが決定される。これ
は、前の方の移動速度vf は真の移動速度とは大きく異
なる値になる可能性があるからである。上述のように、
S4における移動速度vf の演算は、前回と今回とのス
ロットル開度センサ124の出力値の差を1サイクルタ
イムで割ることによって行われるため、図4に実線と破
線とで例示するように真の移動速度が明瞭に異なる場合
でも、前回の演算時点tn-1 と今回の演算時点tn との
間における足136の移動開始時点が異なることによっ
て、同じ値として演算されることがあるのである。それ
に対して、後ろの方の移動速度vf (図4の時点tn
n+1 間の移動速度)についてはこのような事態が生じ
ることはなく、真の値に近い移動速度vfが得られる。
【0045】なお、後ろの方の移動速度vf が演算され
る時期にも必ず真の移動速度が定常状態に達していると
は限らず、その意味からすれば、移動速度が設定値v0
以上である状態が3サイク以上分続いたときにS5の判
定がYESになるようにすることが望ましい場合もあ
る。しかし、移動速度が設定値v0 以上となる連続回数
を多くすればそれだけブレーキ26の初期作動時期が遅
れるため、本実施例においては、2サイクル分続いた場
合にS5の判定がYESとなるようにされているのであ
る。また、逆に、移動速度が1回でも設定値v0 以上に
なれば、S5の判定がYESとなるようにすることも可
能である。この場合には、図4を参照して説明したよう
に、真の移動速度とは相当異なる移動速度vf が初期制
動力の決定に使用される場合が生じるが、それでもブレ
ーキ26の初期作動時期を早める方がよいとの考え方も
あるのである。この場合には、ブレーキ26によって少
なくとも一定以上の制動力を発生させることを保証しつ
つ初期作動の時期を早めることができる。移動速度が設
定値v0 以上となる連続回数は、1サイクルタイムの長
さとの関係で適宜に設定されるべきものなのである。
【0046】S6においては、図5で表される車体速度
Vおよび移動速度vf と初期制動力Fとの関係がテーブ
ル化された初期制動力決定テーブルに基づいて初期制動
力Fが決定される。図から明らかなように、車体速度V
が大きく、移動速度vf が大きいほど大きな値に決定さ
れる。そして、初期制動力Fと連通時間Tとの図示しな
い関係がテーブル化された初期制動力対応連通時間決定
テーブルに基づいて開閉弁66を連通状態に保つ連通時
間T1 が決定される。続いて、S7においてソレノイド
44(45も),68が励磁される。開閉弁42が遮断
状態に,開閉弁66が連通状態に切り換えられ、ホイー
ルシリンダ14に動力式液圧源54のブレーキ液が供給
されてブレーキ26が作動される。また、S8において
フラフF1 がセットされる。
【0047】次に、S1,2が実行される場合には、フ
ラグF1 がセットされているためS2における判定がY
ESとなり、S9以降が実行される。S9では、前述の
開閉弁66を連通状態にする連通時間T1 が経過したか
否かが判定される。具体的には、S9が最初に実行され
る際にタイマカウンタが0にリセットされ、2回目以降
の実行時にカウント値が1ずつ増加させられるととも
に、そのカウント値が連通時間T1 に相当する値になっ
たか否かが判定されるのである。最初にS9が実行され
た場合には、判定はNOであるが、連通時間T1 だけ経
過すればYESとなり、S10においてソレノイド68
が消磁され、開閉弁66が遮断状態に戻される。この
時、開閉弁42は遮断状態にあるため、ホイールシリン
ダ14の液圧は、決定された初期制動力に対応する液圧
に保持される。その後、S11において、フラグF1
リセット、フラグF2 がセットされ、S1の実行に戻さ
れる。
【0048】この場合には、フラグF2 がセットされて
いるため、S1の判定がYESとなり、S12におい
て、時間T2 だけ経過したか否かが判定される。時間T
2 が経過すれば、S13においてソレノイド44(45
も)が消磁され、開閉弁42が連通状態に戻される。こ
れにより、マスタシリンダ12のブレーキ液が開閉弁4
2を経てホイールシリンダ14に供給可能となる。しか
し、この際、ブレーキペダル10が踏み込まれていなけ
れば、ホイールシリンダ14のブレーキ液が開閉弁42
を経てマスタシリンダ12に戻される。動力式液圧源5
4から供給されたブレーキ液がマスタシリンダ12に戻
され、初期制動力が消滅させられるのである。S14に
おいてフラグF2 がリセットされた後、S1以降の実行
が繰り返されれる。
【0049】一方、移動速度vf が設定値v0 より小さ
く、S5における判定がNOの場合には、S6〜S8が
バイパスされる。すなわち、本実施例においては、ある
車体速度Vについて示す図6から明らかなように、足1
36の移動速度vf が設定値v0 以上の場合には初期制
動力が発生させられるとともに、その大きさが移動速度
f が大きいほど大きくされるが、移動速度が設定値v
0 より小さい場合には発生させられないのである。
【0050】移動速度vf が設定値v0 以上である場合
の殆どにおいては、アクセルペダル134の踏込みが解
除された後、運転者が足136をブレーキペダル10へ
移動させ、ブレーキペダル10が踏み込まれることにな
るが、この場合のホイールシリンダ14の液圧の変化を
図7に示す。開閉弁42,43が遮断状態に、開閉弁6
6が連通状態に切り換えられれば、液圧制御弁34は増
圧状態にあるため、動力式液圧源54のブレーキ液がホ
イールシリンダ14に供給され、それに応じてピストン
29が移動し、パッド30をディスクロータ31に押し
付ける。それにより、ホイールシリンダ14の液圧に応
じた初期制動力が発生させられる。
【0051】連通時間T1 経過後、開閉弁66が遮断状
態に切り換えられるが、開閉弁42が遮断状態に保たれ
るため、ホイールシリンダ14の液圧は一定に保たれ
る。マスタシリンダ12の液圧は、ブレーキペダル10
の踏み込みに伴って大きくなるが、一点鎖線が示すよう
に、ホイールシリンダ14の液圧に遅れて上昇する。し
かし、開閉弁42が遮断状態にあり、かつ、逆止弁46
は液圧制御弁34からマスタシリンダ12へのブレーキ
液の流通を許容しないため、ホイールシリンダ14のブ
レーキ液が、マスタシリンダ12に戻されることはな
い。
【0052】また、本実施例においては、移動速度vf
が設定値v0 以上になり、開閉弁66が連通状態に切り
換えられてから時間(T1 +T2 )経過後には、開閉弁
42,43が連通状態に切り換えられる。したがって、
移動速度が設定値以上であったがブレーキペダル10は
踏み込まれなかった場合には、ホイールシリンダ14の
ブレーキ液がマスタシリンダ12に戻され、無駄な制動
力が長時間維持されることが回避される。結局、ホイー
ルシリンダ14の液圧は、ブレーキペダル10が踏み込
まれた場合には図7に実線で示すように変化し、ブレー
キペダル10が踏み込まれなかった場合には破線で示す
ように変化することとなる。
【0053】以上が足136の移動速度vf が設定値v
0 以上である場合の通常の作動であるが、万一、ブレー
キペダル10の踏込み速度がきわめて速く、マスタシリ
ンダ12における液圧の上昇勾配が非常に大きく、か
つ、アクセルペダル134の踏込みが解除されてからブ
レーキペダル10が踏み込まれるまでの時間が非常に短
い場合には、動力式液圧源54からブレーキ液が供給さ
れている間にマスタシリンダ12の液圧がホイールシリ
ンダ14の液圧より高くなることもあり得る。その場合
には、マスタシリンダ12のブレーキ液が逆止弁46を
経てホイールシリンダ14に供給される。この場合に
は、ホイールシリンダ14には、マスタシリンダ12か
らも動力液液圧源54からもブレーキ液が供給される。
それにより、ホイールシリンダ14の液圧は図8に実線
で示されているように変化することとなる。
【0054】以上のように、本実施例においては、移動
速度が設定値より大きく、緊急度が高いと推定される場
合にのみ初期制動力が発生させられる。そのため、アク
セルペダル10が解除された場合には必ずブレーキ26
が作動させられるようになっていた前記従来装置に比較
して、ブレーキ26の動力式液圧源による作動が無駄に
なる場合を少なくすることができ、運転者が違和感を感
じることを少なくすることができる。また、ブレーキの
引きずりトルクが大きくなる機会を少なくして、平均引
きずりトルクを小さくし、燃費を改善することができ
る。
【0055】さらに、ブレーキ26が動力式液圧源によ
り作動させられる場合に、その作動度が実質的な制動効
果が生じる程度とされ、かつ、作動力が、足の移動速度
と車体速度とに応じて決定されるため、緊急度および作
動遅れの影響度に応じた初期制動力を得ることができ、
本発明の効果を特に有効に享受することができる。ま
た、足の移動速度がスロットル開度センサ124の出力
値に基づいて検出されるため、移動速度検出するために
専用のセンサを要せず、その分コストダウンを図ること
ができる。さらに、アクセルペダル134の踏込み解除
は、ブレーキ操作を行う場合において最も先に行われる
操作であるため、初期制動力を最も早期に発生させるこ
とができ、一層良好に本発明の効果を得ることができ
る。
【0056】また、本実施例においては、ブレーキ装置
がアンチスキッド制御/トラクション制御可能なブレー
キ装置に適用されているため、アンチスキッド制御/ト
ラクション制御用の液圧制御弁等を初期制動力発生のた
めの装置の一部として利用することができる。そのた
め、専用の液圧制御弁等を設ける場合よりコストダウン
を図ることができる。さらに、開閉弁42,43が設け
られており、開閉弁66が連通状態にされた後、時間
(T1 +T2 )が経過するまでは、遮断状態に保たれる
ため、ホイールシリンダ14〜20の液圧を設定圧に保
持することができる。
【0057】以上の説明から明らかなように、本実施例
においては、マスタシリンダ12がブレーキペダルの踏
込みに応じてブレーキを作動させる第一ブレーキ駆動装
置として機能し、スロットル開度センサ124とブレー
キ制御装置50のS3,S4を実行する部分とが移動速
度検出装置を構成している。そして、車体速度センサ1
25,車体速度等演算コンピュータの車体速度を求める
部分,ブレーキ制御装置50のS2,S5〜S10を実
行する部分,動力式液圧源54,開閉弁42,43,6
6等が第二ブレーキ駆動装置を構成している。
【0058】なお、上記実施例においては、移動速度が
設定値より大きい場合には、制動力が発生させられる程
度にブレーキ26が作動させられるようになっていた
が、ブレーキクリアランスがなくなる程度にディクスブ
レーキ26を作動させることもできる。その場合には、
上記設定値を上記実施例における場合より小さくしても
よい。また、車体速度や移動速度と初期制動力との関係
は上記実施例の直線的関係に限らず、曲線的関係として
もよい。逆に、常に一定の初期制動力が発生させられる
ようにしてもよい。
【0059】上記実施例においては、アクセルペダルの
解除速度が設定値を越えることが設定回数だけ連続すれ
ば、直ちに初期制動力が発生させられるようなっていた
が、予め定められた時期、例えばアクセルペダルが完全
に解除されるまで、解除速度を繰り返し検出し、検出さ
れた解除速度の最大値や平均値が設定値を越えた場合に
初期制動力が発生させられるようにしてもよい。上記実
施例においては、初期制動力を発生させる場合には、決
められた連通時間だけ開閉弁66が連通状態に保たれる
ようにされていたが、各ホイールシリンダ14〜17の
液圧を検出する圧力センサを設け、圧力センサの出力値
が決定された初期制動力に対応する液圧になるまで開閉
弁66が連通状態に保たれるようにしてもよい。
【0060】また、開閉弁42,43,66の代わり
に、3ポート2位置弁を設けてもよい。例えば、その3
ポート2位置弁を、液圧制御弁34〜40をマスタシリ
ンダ12に連通させて動力式液圧源54から遮断する第
一状態と、マスタシリンダ12から遮断して動力式液圧
源54に連通させる第二状態とに切り換え可能なものと
することができる。移動速度が設定値より大きいと第二
状態に切り換えられ、設定時間経過後に第一状態に戻さ
れるようにするのである。
【0061】この場合には、設定時間が経過して3ポー
ト2位置弁が第一状態に戻された際に未だマスタシリン
ダ12の液圧がホイールシリンダ14〜17の液圧より
低ければ、ホイールシリンダ14〜17側からマスタシ
リンダ12側へブレーキ液が逆流し、図7に二点鎖線で
示すように、ホイールシリンダ液圧が低下することにな
るが、それほど支障はない。本発明においては、足の移
動速度が設定値以上の場合にのみ初期制動力が発生させ
られるのであるため、初期制動力が発生させられた場合
にアクセルペダル134の踏み込みが解除された後ブレ
ーキペダル10が踏み込まれるまでの時間は短く、ホイ
ールシリンダ14〜17のブレーキ液がマスタシリンダ
12に逆流する時間が短いはずであるからである。ま
た、緊急度が高く、大きな初期制動力が必要である場合
ほど、アクセルペダルからブレーキペダルへの足の移動
が高速で行われ、液圧低下量、すなわち初期制動力の低
下量が少なくて済むことも好都合である。
【0062】さらに、前記実施例においては、初期制動
力が全輪に発生させられるようになっていたが、後輪の
みあるいは前輪のみに発生させられるようにしてもよ
い。また、液圧制御弁34〜40は、3ポート3位置弁
でなくても、2個の開閉弁を備えたものであってもよ
い。本発明のブレーキ装置をアンキスキッド制御/トラ
クション制御可能な車両に搭載する必要は必ずしもな
い。その場合には初期制動力を制御するために専用の液
圧制御弁を設ければよい。その他、いちいち例示するこ
とはしないが、特許請求の範囲を逸脱することなく当業
者の知識に基づいて種々の変形,改良を施した態様で本
発明を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるブレーキ装置の回路図
である。
【図2】上記ブレーキ装置のディスクブレーキの断面図
である。
【図3】上記ブレーキ装置のブレーキ液圧制御コンピュ
ータのROMに格納された初期制動力決定プログラムを
表すフローチャートである。
【図4】上記ブレーキ装置における時間とアクセルペダ
ルのストロークとの関係を表す図である。
【図5】上記ブレーキ液圧制御コンピュータのROMに
格納されたテーブルにおける車体速度および足移動速度
と初期制動力との関係を示すグラフである。
【図6】上記ブレーキ装置によって発生させられる初期
制動力と足移動速度との関係を表すグラフである。
【図7】上記ブレーキ装置におけるホイールシリンダの
液圧の時間に対する変化を表すグラフである。
【図8】上記ブレーキ装置における図7とは別の場合の
ホイールシリンダの液圧の時間に対する変化を表すグラ
フである。
【符号の説明】
10 ブレーキペダル 14〜17 ホイールシリンダ 26 ディスクブレーキ 34〜40 液圧制御弁 42,43 開閉弁 50 ブレーキ制御装置 54 動力式液圧源 66 開閉弁 124 スロットル開度センサ 134 アクセルペダル

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輪の回転を抑制するブレーキと、 ブレーキペダルの踏込みに応じて前記ブレーキを作動さ
    せる第一ブレーキ駆動装置と、 アクセルペダルの踏込みを解除して前記ブレーキペダル
    へ移動するまでの間の運転者の足の移動の少なくとも一
    部の速度を検出する移動速度検出装置と、 少なくともその移動速度検出装置によって検出された移
    動速度が設定値以上の場合に前記ブレーキを作動させる
    第二ブレーキ駆動装置とを含むことを特徴とするブレー
    キ装置。
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