JP2007216765A - 制動力保持制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ブレーキ圧の保持のためにだけ必要とされる部品を無くし、車両に備えられるブレーキ装置の構成のみにより停車後の制動力保持制御が行えるようにする。
【解決手段】停車後の制動力保持制御を行う場合に、ブレーキ操作により減速して停車した瞬間の指示圧力を記憶しておき、通常ブレーキ時に使用される車両用ブレーキ制御装置そのものによって、その記憶した指示圧力のブレーキ圧を保持する。つまり、停車した後も通常ブレーキ時から各種制御弁SCSS、SNO1、SNO2、SWC1、SWC2、SLFR、SLRL、SLFL、SLRRへの通電を継続し、第1、第2モータ11、12への通電を継続もしくは遮断するのみで、制動力保持制御を実行することが可能となる。
【選択図】図1
【解決手段】停車後の制動力保持制御を行う場合に、ブレーキ操作により減速して停車した瞬間の指示圧力を記憶しておき、通常ブレーキ時に使用される車両用ブレーキ制御装置そのものによって、その記憶した指示圧力のブレーキ圧を保持する。つまり、停車した後も通常ブレーキ時から各種制御弁SCSS、SNO1、SNO2、SWC1、SWC2、SLFR、SLRL、SLFL、SLRRへの通電を継続し、第1、第2モータ11、12への通電を継続もしくは遮断するのみで、制動力保持制御を実行することが可能となる。
【選択図】図1
Description
本発明は、車両が停車したときに制動力を保持することで、例えば、渋滞停車時の運転者の負担を軽減することや、駆動力が伝達される前に車両が坂路でずり下がってしまうことを防止する等の制動力保持制御を実行する制動力保持制御装置に関するものである。
従来より、車両が坂路等に停車したときに制動力を保持することで、例えば停車後に車両を再発進させるに際し、駆動力が伝達される前に車両が坂路を下ってしまうような、いわゆるずり下がりを防止できる制動力保持制御装置がある(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−29511号公報
しかしながら、上述した制動力保持制御装置では、ブレーキ圧の保持を実現するために、ブレーキ圧の保持のためだけに必要とされる保持弁などを別途備える必要がある。このため、制動力保持制御装置の回路構成の複雑化を招くと共に、制動力保持制御装置のコスト高の要因となる。
本発明は上記点に鑑みて、ブレーキ圧の保持のためにだけ必要とされる部品を無くし、車両に備えられるブレーキ装置の構成のみにより制動力保持制御が行えるようにすることを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、リザーバ(3f)に貯留されたブレーキ液を吸入・吐出する第1〜第4ポンプ(7〜10)により前輪用第1、第2および後輪用第1、第2ホイールシリンダ(6FR〜6RR)を独立して加圧できるように構成された車両用ブレーキ制御装置において、第1〜第4ポンプ(7〜10)に並列的に、リザーバ(3f)へブレーキ液を返流する管路となる第1〜第4調圧回路(H1〜H4)と、第1〜第4調圧回路(H1〜H4)にそれぞれ対応する第1〜第4リニア弁(SLFR、SLRL、SLFL、SLRR)を備える。そして、制御手段(100)にて、ブレーキ操作量センサ(2)に基づいてブレーキ操作部材(1)が操作されたことを検出すると、第1、第2モータ(11、12)および第1〜第4リニア弁(SLFR、SLRL、SLFL、SLRR)への通電を開始すると共に、ブレーキ制動による減速停車時の車体速度が0km/hとなった瞬間の前輪用第1、第2および後輪用第1、第2ホイールシリンダ(6FR〜6RR)の指示圧力に関する情報を記憶手段に記憶させておき、ブレーキ操作量センサ(2)に基づくブレーキ操作部材(1)の操作量が無くなっても、アクセル操作量の信号が検出されるまで記憶手段に記憶させた指示圧力を発生させるように第1〜第4リニア弁(SLFR、SLRL、SLFL、SLRR)への通電量を制御し、モータへの通電を継続もしくは遮断することを特徴としている。
このように、停車後の制動力保持制御を行う場合に、ブレーキ操作量により減速して停車した瞬間の指示圧力を記憶しておき、第1〜第4リニア弁(SLFR、SLRL、SLFL、SLRR)への通電量を制御することにより記憶した指示圧力を保持している。このため、通常ブレーキ時に使用される車両用ブレーキ制御装置そのものによって、制動力保持制御を実行することが可能となる。これにより、制動力保持制御を実行するためだけに必要とされる保持弁などを別途備える必要なく、通常ブレーキ時の動作に必要とされる構成のみを用いて制動力保持制御を実行することが可能となる。
また、上記の構成に対して、例えば、請求項2に示すように、第1調圧回路(H1)に、第1リニア弁(SLFR)とリザーバ(3f)の間の連通・遮断を制御する第1常閉弁(SWC1)を備えると共に、第3調圧回路(H3)に、第3リニア弁(SLFL)とリザーバ(3f)の間の連通・遮断を制御する第2常閉弁(SWC2)を備えた構成とすることもできる。この場合、制御手段(100)は、ブレーキ操作量センサ(2)に基づいてブレーキ操作部材(1)が操作されたことを検出すると、第1、第2常閉弁(SWC1、SWC2)への通電を開始し、停車後にブレーキ操作が無くなっても前記アクセル操作量の信号が検出されるまで通電を継続する。
また、請求項3に示すように、主管路(C、G、G1〜G4、I、J)がリザーバ(3f)から1本のみ引き出されてから第1配管系統と第2配管系統それぞれにブレーキ液を供給するための2本の管路に分岐し、該2本の管路がそれぞれさらに2本ずつに分岐することで前輪用第1、第2および後輪用第1、第2ホイールシリンダ(6FR〜6RR)につながれた構成とし、該主管路(C、G、G1〜G4、I、J)のうち第1配管系統として分岐された方の管路に該管路の連通・遮断を制御する第1常閉弁(SWC1)を備えると共に、第2配管系統として分岐された方の管路に該管路の連通・遮断を制御する第2常閉弁(SWC2)を備えた構成とすることもできる。この場合にも、制御手段(100)は、制御手段(100)は、ブレーキ操作量センサ(2)に基づいてブレーキ操作部材(1)が操作されたことを検出すると同時に、第1、第2常閉弁(SWC1、SWC2)への通電を開始し、停車後にブレーキ操作が無くなっても前記アクセル操作量の信号が検出されるまで通電を継続する。
さらに、請求項4に示されるように、主管路(C、G、G1〜G4、I、J)がリザーバ(3f)から1本のみ引き出され、1本が4つに分岐して前輪用第1、第2および後輪用第1、第2ホイールシリンダ(6FR〜6RR)につながれた構成とし、該主管路(C、G、G1〜G4、I、J)のうち、4つに分岐するよりも上流側において常閉弁(SWC)を備えた構成とすることもできる。この場合、制御手段(100)は、ブレーキ操作量センサ(2)に基づいてブレーキ操作部材(1)が操作されたことを検出すると同時に、常閉弁(SWC)への通電を開始し、停車後にブレーキ操作が無くなっても前記アクセル操作量の信号が検出されるまで通電を継続する。
また、上記各請求項の構成に対して、請求項5に示すように、プライマリピストン(3c)およびセカンダリピストン(3d)と、これらによって区画されるプライマリ室(3a)とセカンダリ室(3b)と、プライマリ室(3a)とセカンダリ室(3b)に連通するブレーキ液を貯留したリザーバに相当するマスタリザーバ(3f)を有し、ブレーキ操作部材(1)が操作されることにより、該ブレーキ操作部材(1)に連結されたプッシュロッドを介してプライマリピストン(3c)およびセカンダリピストン(3d)が押されることでプライマリ室(3a)とセカンダリ室(3b)に対してマスタシリンダ圧を発生させるように構成されたマスタシリンダ(3)と、プライマリ室(3a)を前輪用第1ホイールシリンダ(6FR)に前輪用第1ポンプ(7)よりも下流側においてつなぐ第1補助管路(A、E)と、第1補助管路(A、E)に備えられ、該第1補助管路(A、E)の連通・遮断を制御する第1常開弁(SNO1)と、セカンダリ室(3b)を前輪用第2ホイールシリンダ(6FL)に前輪用第2ポンプ(9)よりも下流側においてつなぐ第2補助管路(B、F)と、第2補助管路(B、F)に備えられ、該第2補助管路(B、F)の連通・遮断を制御するた第2常開弁(SNO2)と、を備えることができる。
このような構成の場合、制御手段(100)は、ブレーキ操作量センサ(2)の検出信号よりブレーキ操作部材(1)が操作されたことを検出すると、第1、第2制御弁(SNO1、SON2)への通電を開始し、停車後にブレーキ操作が無くなっても前記アクセル操作量の信号が検出されるまで通電を継続する。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
本発明の一実施形態を適用した制動力保持制御装置に用いられる車両用ブレーキ制御装置の油圧回路構成を図1に示す。また、図2に、本実施形態の車両用ブレーキ制御装置を含めた制動力保持制御装置の制御系を司るブレーキECU100の信号の入出力の関係を示す。以下、これらの図を参照して、本実施形態の制動力保持制御装置の構成について説明する。ここでは右前輪−左後輪、左前輪−右後輪の各配管系統を備えるX配管の油圧回路を構成する車両用ブレーキ制御装置を本実施形態の制動力保持制御装置に備えた例について説明する。
本発明の一実施形態を適用した制動力保持制御装置に用いられる車両用ブレーキ制御装置の油圧回路構成を図1に示す。また、図2に、本実施形態の車両用ブレーキ制御装置を含めた制動力保持制御装置の制御系を司るブレーキECU100の信号の入出力の関係を示す。以下、これらの図を参照して、本実施形態の制動力保持制御装置の構成について説明する。ここでは右前輪−左後輪、左前輪−右後輪の各配管系統を備えるX配管の油圧回路を構成する車両用ブレーキ制御装置を本実施形態の制動力保持制御装置に備えた例について説明する。
図1に示されるように、車両用ブレーキ制御装置には、上述したブレーキECU100(図2参照)に加えて、ブレーキペダル1、ブレーキ操作量センサ2、マスタシリンダ(以下、M/Cという)3、ストローク制御弁SCSS、ストロークシミュレータ4、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ5、W/C6FL、6FR、6RL、6RRが備えられている。
ドライバによってブレーキ操作部材に相当するブレーキペダル1が踏み込まれると、ブレーキペダル1のブレーキ操作量がブレーキ操作量センサ2に入力され、ブレーキ操作量センサ2から操作量に応じた検出信号が出力されるように構成されている。この検出信号はブレーキECU100に入力され、ブレーキECU100でブレーキペダル1のブレーキ操作量が検出される。なお、ブレーキ操作部材の操作量を検出するためのブレーキ操作量センサ2としては、踏力センサやストロークセンサ等を用いても良いし、ストロークセンサの検出信号や後述するM/C圧を検出するための圧力センサ17、18の検出信号に基づいてドライバによるブレーキペダル1の操作状態を検出できるようにしても構わない。
ブレーキペダル1には、加えられた踏力をM/C3に伝達するプッシュロッド等が接続されており、このプッシュロッド等が押されることでM/C3に備えられるプライマリ室3aおよびセカンダリ室3bにM/C圧が発生させられるようになっている。
M/C3には、プライマリ室3aとセカンダリ室3bを構成するプライマリピストン3cおよびセカンダリピストン3dが備えられ、これらがスプリング3eの弾性力を受けることで、ブレーキペダル1が踏み込まれていないときには各ピストン3c、3dを押してブレーキペダル1を初期位置側に戻すように構成されている。
M/C3のプライマリ室3aとセカンダリ室3bからそれぞれブレーキ液圧制御用アクチュエータ5に伸びる管路A、Bが備えられている。
また、M/C3には、マスタリザーバ3fが備えられている。マスタリザーバ3fは、ブレーキペダル1が初期位置のときに、プライマリ室3aおよびセカンダリ室3bのそれぞれと図示しない通路を介して接続されるもので、M/C3内にブレーキ液を供給したり、M/C3内の余剰ブレーキ液を貯留する。
このマスタリザーバ3fからは、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ5に向けて直接管路Cが延設されている。
ストロークシミュレータ4は、管路Bに繋がる管路Dに接続されており、セカンダリ室3b内のブレーキ液を収容する役割を果たす。管路Dには、管路Dの連通・遮断状態を制御できる常閉型の二位置弁により構成されたストローク制御弁SCSSが備えられ、このストローク制御弁SCSSにより、ストロークシミュレータ4へのブレーキ液の流動が制御できるように構成されている。
ブレーキ液圧制御用アクチュエータ5は、以下のように構成されている。
M/C3のプライマリ室3aと前輪FRに対応するW/C(前輪用第1W/C)6FRを接続するように、管路Aに繋げられる管路Eが備えられている。この管路Eには、第1常開弁(第1制御弁)SNO1が備えられている。第1常開弁SNO1は、非通電時には連通状態、通電時には遮断状態となる二位置弁であり、この第1常開弁SNO1によって管路Eの連通・遮断状態が制御される。
また、M/C3のセカンダリ室3bと前輪FLに対応するW/C(前輪用第2W/C)6FLを接続するように、管路Bが繋げられる管路Fが備えられている。この管路Fには、第2常開弁(第2制御弁)SNO2が備えられている。第2常開弁SNO2は、非通電時には連通状態、通電時には遮断状態となる二位置弁であり、この第2常開弁SNO2によって管路Fの連通・遮断状態が制御される。
また、マスタリザーバ3fから延設された管路Cが接続される管路Gが設けられている。この管路Gは、管路G1、G2、G3、G4という4本の管路に分岐して、上述した前輪FL、FRに対応するW/C6FL、6FR、および、後輪RL、RRに対応するW/C(後輪用第1、第2W/C)6RL、6RRに接続される。
各管路G1〜G4には、それぞれ1つずつポンプ(第1〜第4ポンプ)7、8、9、10が備えられている。各ポンプ7〜10は、例えば静寂性に有効なトロコイドポンプにより構成されている。ポンプ7〜10のうち、ポンプ7、8は、第1モータ11によって駆動され、ポンプ9、10は、第2モータ12によって駆動される。
また、ポンプ7〜10のそれぞれには、並列的に管路H1、H2、H3、H4が備えられている。
ポンプ7に対して並列的に接続された管路H1には、直列的に接続された第1常閉弁(第3制御弁)SWC1と第1リニア弁SLFRが備えられ、第1常閉弁SWC1がポンプ7の吸入ポート側(上流側)に第1リニア弁SLFRが吐出ポート側(下流側)に位置するように配置されている。つまり、第1常閉弁SWC1によってマスタリザーバ3fと第1リニア弁SLFRの間の連通・遮断を制御できる構成とされている。
ポンプ8に対して並列的に接続された管路H2には、第2リニア弁SLRLが備えられている。
ポンプ9に対して並列的に接続された管路H3には、直列的に接続された第2常閉弁(第4制御弁)SWC2と第3リニア弁SLFLが備えられ、第2常閉弁SWC2がポンプ9の吸入ポート側(上流側)に第3リニア弁SLFLが吐出ポート側(下流側)に位置するように配置されるている。つまり、第2常閉弁SWC2によってマスタリザーバ3fと第3リニア弁SLFLの間の連通・遮断を制御できる構成とされている。
ポンプ10に対して並列的に接続された管路H4には、第4リニア弁SLRRが備えられている。
そして、管路G1〜G4のうち、各ポンプ7〜10と各W/C6FR〜6RRの間に圧力センサ(第1〜第4圧力センサ)13、14、15、16が配置されることで、各W/C圧が検出できるように構成されていると共に、管路E、Fのうち第1、第2常開弁SNO1、SNO2よりも上流側(M/C3側)にも圧力センサ17、18が配置されることで、M/C3のプライマリ室3aとセカンダリ室3bに発生しているM/C圧を検出できるように構成されている。
さらに、前輪FRに対するW/C6FRを加圧するためのポンプ7の吐出ポートおよび前輪FLに対するW/C6FLを加圧するためのポンプ9の吐出ポートには、それぞれ、逆止弁20、21が備えられている。これら逆止弁20、21は、W/C6FR、6FL側からポンプ7、9側へのブレーキ液の流動を禁止するために備えられている。このような構造により、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ5が構成されている。
このような車両用ブレーキ制御装置では、上述した管路A、管路Eを通じてプライマリ室3aとW/C6FRを繋ぐ油圧回路(第1補助管路)と、管路C、管路G、G1、G2を通じてマスタリザーバ3fとW/C6FR、6RLを繋ぐ油圧回路(主管路)、および、ポンプ7、8に並列的に接続された管路H1、H2の油圧回路(第1、第2調圧回路)が第1配管系統を構成するものとなる。
また、管路B、管路Fを通じてセカンダリ室3bとW/C6FLを繋ぐ油圧回路(第2補助管路)と、管路C、管路G、G3、G4を通じてマスタリザーバ3fとW/C6FL、6RRを繋ぐ油圧回路(主管路)、および、ポンプ9、10に並列的に接続された管路H3、H4の油圧回路(第3、第4調圧回路)が第2配管系統を構成するものとなる。
さらに、制動力保持制御装置には、図2に示すように、アクセルペダル(図示せず)の操作量を検出するアクセル操作量センサ22が備えられ、このアクセル操作量センサ22の検出信号が直接、もしくは図示しないEFI−ECU等を介して間接的にブレーキECU100に入力されるように構成されている。このアクセル操作量センサ22がアクセル操作量に関する情報を取得するアクセル操作量取得手段に相当する。
また、制動力保持制御装置には、図1および図2に示すように、各車輪FR〜RRの車輪速度を検出するための車輪速度センサ23FR、23RL、23FL、23RRが備えられ、これら各車輪速度センサ23FR〜23RRの検出信号がブレーキECU100に入力されるようになっている。これら車輪速度センサ23FR、23RL、23FL、23RRは、後述するように車両の車体速度を演算するために用いられるため、車輪速度検出手段に相当する。
そして、図2に示されるように、上記したブレーキ操作量センサ2や各圧力センサ13〜18の検出信号がブレーキECU100に入力され、これら各検出信号から求められる物理量に基づいて、各種制御弁SCSS、SNO1、SNO2、SWC1、SWC2、SLFR、SLRL、SLFL、SLRRや第1、第2モータ11、12を駆動するための制御信号がブレーキECU100から出力されるようになっている。
次に、上記のように構成される制動力保持制御装置の作動について説明する。まず、制動力保持制御装置に用いられる車両用ブレーキ制御装置の作動から説明する。
車両用ブレーキ制御装置は、通常ブレーキ時と車両用ブレーキ制御装置に異常が発生した場合(以下、異常時という)とで異なる形態で作動する。図3は、通常ブレーキ時と車両用ブレーキ制御装置に異常が発生した場合の各部の駆動状態を示した模式図である。なお、異常が発生したか否かに関しては、従来より行われているイニシャルチェックなどに基づいてブレーキECU100で判定され、一旦異常が発生するとそれが解除されるまでは異常時のブレーキ動作が行われることになる。
(1)通常ブレーキ時の動作
通常ブレーキ時には、ブレーキペダル1が踏み込まれ、ブレーキ操作量センサ2の検出信号がブレーキECU100に入力されると、ブレーキECU100が図3に示すような駆動形態となるように各種制御弁SCSS、SNO1、SNO2、SWC1、SWC2、SLFR、SLRL、SLFL、SLRRや第1、第2モータ11、12を駆動する。
通常ブレーキ時には、ブレーキペダル1が踏み込まれ、ブレーキ操作量センサ2の検出信号がブレーキECU100に入力されると、ブレーキECU100が図3に示すような駆動形態となるように各種制御弁SCSS、SNO1、SNO2、SWC1、SWC2、SLFR、SLRL、SLFL、SLRRや第1、第2モータ11、12を駆動する。
すなわち、第1、第2常開弁SNO1、SNO2への通電は共にONされ、第1、第2常閉弁SWC1、SWC2への通電も共にONされる。これにより、第1、第2常開弁SNO1、SNO2は共に遮断状態、第1、第2常閉弁SWC1、SWC2は共に連通状態とされる。
また、第1〜第4リニア弁SLFR、SLRL、SLFL、SLRRは、通電のON/OFFがデューティ制御(もしくはPWM制御)されることで、単位時間当たりの通電量が制御され、上下流間に発生させる差圧がリニアに制御される。ストローク制御弁SCSSに関しては、通電がONされる。このため、管路B、Dを通じて、ストロークシミュレータ4がセカンダリ室3bと連通状態となり、ブレーキペダル1が踏み込まれたときに、各ピストン3c、3dが移動しても、セカンダリ室3b内のブレーキ液がストロークシミュレータ4に移動することになる。したがって、M/C圧が高圧になることでブレーキペダル1に対して硬い板を踏み込むような感覚(板感)が発生することなく、ブレーキペダル1が踏み込めるようになっている。
さらに、第1、第2モータ11、12への通電が共にONされ、ポンプ7〜10によるブレーキ液の吸入・吐出が行われる。このようにして、ポンプ7〜10によるポンプ動作が行われると、各W/C6FR〜6RRに対してブレーキ液が供給される。
このとき、第1、第2常開弁SNO1、SNO2が遮断状態とされているため、ポンプ7〜10の下流側のブレーキ液圧、つまり各W/C6FR〜6RRのW/C圧が増加させられることになる。そして、第1、第2常閉弁SWC1、SWC2が連通状態とされ、かつ、第1〜第4リニア弁SLFR、SLRL、SLFL、SLRRの通電量がそれぞれデューティ制御されているため、デューティ比に応じて各W/C6FR〜6RRのW/C圧が調整される。
そして、ブレーキECU100にて、各圧力センサ13〜16の検出信号に基づいて各車輪FR〜RRのW/C6FR〜6RRに発生しているW/C圧をモニタリングし、第1、第2モータ11、12の通電量を調整することで第1、第2モータ11、12の回転数を制御すると共に、第1〜第4リニア弁SLFR、SLRL、SLFL、SLRRへの通電のON/OFFのデューティ比を制御することで、各W/C圧が所望の値となるようにする。
これにより、ブレーキペダル1のブレーキ操作量に応じた制動力が発生させられることになる。
(2)異常時のブレーキ動作
異常時には、ブレーキECU100から制御信号が出力できなくなるか、もしくは、各種制御弁SCSS、SNO1、SNO2、SWC1、SWC2、SLFR、SLRL、SLFL、SLRRや第1、第2モータ11、12が正常に駆動されない可能性がある。このため、各種制御弁SCSS、SNO1、SNO2、SWC1、SWC2、SLFR、SLRL、SLFL、SLRRや第1、第2モータ11、12すべてに関して、図3に示されるように通電がOFFされる。
異常時には、ブレーキECU100から制御信号が出力できなくなるか、もしくは、各種制御弁SCSS、SNO1、SNO2、SWC1、SWC2、SLFR、SLRL、SLFL、SLRRや第1、第2モータ11、12が正常に駆動されない可能性がある。このため、各種制御弁SCSS、SNO1、SNO2、SWC1、SWC2、SLFR、SLRL、SLFL、SLRRや第1、第2モータ11、12すべてに関して、図3に示されるように通電がOFFされる。
すなわち、第1、第2常開弁SNO1、SNO2への通電が共にOFFとなるため、これらは共に連通状態となる。第1、第2常閉弁SWC1、SWC2への通電も共にOFFとなるため、これらは共に遮断状態とされる。
また、第1〜第4リニア弁SLFR、SLRL、SLFL、SLRRも、すべて通電がOFFとなるため、すべて連通状態となる。ストローク制御弁SCSSも通電がOFFとなるため、ストロークシミュレータ4とセカンダリ室3bの間が遮断状態となる。
さらに、第1、第2モータ11、12への通電が共にOFFとなり、ポンプ7〜10によるブレーキ液の吸入・吐出も停止される。
このような状態になると、M/C3におけるプライマリ室3aは、管路A、E、G1を介して右前輪FRにおけるW/C6FRとつながった状態となり、セカンダリ室3bは、管路B、F、G3を通じて左前輪FLにおけるW/C6FLとつながった状態となる。
このため、ブレーキペダル1が踏み込まれ、加えられた踏力に応じてプッシュロッド等が押されることで、M/C3におけるプライマリ室3aおよびセカンダリ室3bにM/C圧が発生させられると、それが両前輪FL、FRのW/C6FL、6FRに伝えられる。これにより、両前輪FL、FRに対して制動力が発生させられることになる。
なお、このような異常時の作動において、前輪側の各W/C6FR、6FLのW/C圧が管路G1、G3に発生することになるが、逆止弁20、21を備えているため、このW/C圧がポンプ7、9に加わることによってポンプ7、9でのブレーキ液漏れが発生し、W/C圧が低下してしまうことを防ぐことが可能となる。
続いて、本実施形態に示す車両用ブレーキ制御装置を用いた制動力保持制御について説明する。図4は、制動力保持制御のフローチャートである。この図に示される制動力保持制御は、ブレーキECU100が予めROMなどに記憶されたプログラムに基づいて、演算周期毎に実行される。なお、この図中に示したステップは、各種処理を実行する手段に対応するものである。
まず、ステップ110では、制動中であるか否かを判定する。この判定は、ブレーキ操作量センサ2の検出信号に基づいて行われる。このとき制動中でなければ制動力保持制御を開始する必要がないため、制動中になるまで待機状態となり、制動中である場合にのみステップ115に進んで通常ブレーキ時の動作を実施し、これ以降の各処理を実行する。
続くステップ120では、車速が0km/hであるか否か、つまり停車中であるか否かを判定する。この処理は、ブレーキECU100が車輪速度センサ23FR〜23RRからの検出信号に基づいて演算している車両の車体速度が0km/hになっているか否かに基づいて行われる。ここで否定判定された場合には、制動力保持制御を実行する必要がないものとして、再度ステップ110からの処理を繰り返し、通常ブレーキ時の動作を継続する。そして、肯定判定された場合には、ステップ125に進む。
ステップ125では、車両が制動して、車体速度が0km/hとなった瞬間の指示圧力を記憶したのち、ステップ130に進んで保持制御を開始する。ここでの指示圧力とは、発生させたいW/C圧のことである。この指示圧力を発生させられるように、第1〜第4リニア弁SLFR、SLRL、SLFL、SLRRへの通電のON/OFFのデューティ比を制御し、指示圧力に対応する差圧を発生させて、そのW/C圧を保持するという制動力保持制御を開始する。なお、図示しない別フローによって常時ブレーキペダル1の操作量に対応した指示圧力が求められているため、例えば演算周期毎に別フローで求められている指示圧力を読み込むことで得られる。
このように制動力保持制御が開始されると、仮にブレーキペダル1が緩められたとしても、記憶した指示圧力を発生させるべく、各種制御弁SCSS、SNO1、SNO2、SWC1、SWC2、SLFR、SLRL、SLFL、SLRRへの通電や第1、第2モータ11、12への通電が継続される。なお、第1、第2モータ11、12への通電は消費電力低減のため遮断されてもよく、この場合も指示圧力は保持される。
次に、ステップ135に進み、アクセルペダル1がONされたか否かを判定する。この処理は、制動力保持制御の終了条件を満たすか否かを判定するためのものであり、アクセル操作量センサ22で検出されたアクセルペダル1の操作量に基づいて行われる。アクセルペダル1がONされた場合には、制動力保持制御の終了条件が満たされたとして、ステップ150に進み、アクセルペダル1がOFFのままであれば、制動力保持制御を続けるべくステップ130に戻る。ただし、このとき、一旦ステップ140において、さらに強く踏み込まれたか否かが判定され、強く踏み込まれた場合において、そのブレーキ操作量に対応した指示値が記憶指示値より大となれば、ステップ145に進んで通常ブレーキ制御に戻す。
なお、ここでは制動力保持制御の終了条件として、アクセルペダル1がONされたことを挙げ、それをアクセル操作量センサ22の検出信号から求めているが、実質的にそれが判れば、どのような形態であっても構わない。例えば、図示しないEFI−ECUは、制動力保持制御装置が備えられた車両のエンジンへの燃料噴射制御を行うEFI(電子制御式燃料噴射装置)の電子制御部に相当するものであり、エンジンへの燃料噴射制御を行うべく、スロットルバルブの開度(スロットル開度)、エンジン回転数やエンジントルク、燃料噴射量に関する情報等、エンジンに関する様々な情報を収集している。このため、このEFI−ECUからブレーキECU100にアクセル操作量に関連する情報が入力されるようにし、その情報からアクセル操作量を求めるようにしても良い。
最後に、ステップ150において、W/C圧を解除することで制動力保持制御を終了する。
以上説明した本実施形態の制動力保持制御装置によれば、停車後の制動力保持制御を行う場合に、ブレーキ操作により減速して停車した瞬間の指示圧力を記憶しておき、通常ブレーキ時に使用される車両用ブレーキ制御装置そのものによって、その記憶した指示圧力のブレーキ圧を保持する。つまり、停車した後も通常ブレーキ時から各種制御弁SCSS、SNO1、SNO2、SWC1、SWC2、SLFR、SLRL、SLFL、SLRRへの通電を継続し、第1、第2モータ11、12への通電を継続もしくは遮断するのみで、制動力保持制御を実行することが可能となる。
このため、制動力保持制御を実行するためだけに必要とされる保持弁などを別途備える必要なく、通常ブレーキ時の動作に必要とされる構成のみを用いて制動力保持制御を実行することが可能となる。したがって、制動力保持制御装置の回路構成の複雑化を防止でき、制動力保持制御装置のコスト抑制を図ることが可能となる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して車両用ブレーキ制御装置の構成を一部変更したものであり、基本的には第1実施形態と同様の構成となっているため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して車両用ブレーキ制御装置の構成を一部変更したものであり、基本的には第1実施形態と同様の構成となっているため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図5は、本実施形態の車両用ブレーキ制御装置の油圧回路構成を示したものである。この図に示すように、本実施形態の車両用ブレーキ制御装置では、マスタリザーバ3fに接続される管路Iおよび管路Jを追加している。そして、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ5の外部に備えられる管路Iを内部に備えられる管路Jに接続し、管路Jが管路H1における第1常閉弁SWC1の下流側、つまり第1、第2ポンプ7、8の吸入ポート側に接続されるようにしている。
このような管路Iは、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ5の外部に備えられる。つまり、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ5の外部において、マスタリザーバ3fに接続される管路が管路Gと管路Iの2つに分岐されている。
このような構成の車両用ブレーキ制御装置においても、上記第1実施形態と同様に作動する。つまり、ブレーキ制動による減速停車後の制動力保持制御の際には、停車した瞬間のブレーキ操作量に対応した指示圧力を記憶しておき、各種制御弁SCSS、SNO1、SNO2、SWC1、SWC2、SLFR、SLRL、SLFL、SLRRへの通電を継続し、第1、第2モータ11、12への通電を継続もしくは遮断することにより指示圧力を保持する。これにより、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、2つの管路G、Iそれぞれを通じてブレーキ液が各配管系統に供給されることになるため、より多くのブレーキ液を供給することが可能となる。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して車両用ブレーキ制御装置の構成を一部変更したものであり、基本的には第1実施形態と同様の構成となっているため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対して車両用ブレーキ制御装置の構成を一部変更したものであり、基本的には第1実施形態と同様の構成となっているため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図6は、本実施形態の車両用ブレーキ制御装置の油圧回路構成を示したものである。この図に示されるように、本実施形態の車両用ブレーキ制御装置では、管路Gが2つの管路Ga、Gbに分岐されており、管路Ga(つまり、分岐点よりも下流かつ管路H1、H2の上流側)に第1常閉弁SWC1が備えられ、管路Gb(つまり、分岐点よりも下流かつ管路H3、H4の上流側)に第2常閉弁SWC2が備えられた構成としてある。
このような構成によれば、異常時に第1常閉弁SWC1が遮断状態となっても、管路H1、H2の上流側が遮断状態となるだけであるため、ブレーキペダル1の踏み込みによってM/C3のプライマリ室3aにM/C圧が発生させられると、それが右前輪FRのW/C6FRだけでなく左後輪RLのW/C6RLにも伝えられるようにできる。同様に、異常時に第2常閉弁SWC2が遮断状態となっても、管路H3、H4の上流側が遮断状態となるだけであるため、ブレーキペダル1の踏み込みによってM/C3のセカンダリ室3bにM/C圧が発生させられると、それが左前輪FLのW/C6FLだけでなく右後輪RRのW/C6RRにも伝えられるようにできる。
このように、本実施形態の車両用ブレーキ制御装置によれば、異常時に4輪FR〜RRのすべてについて、W/C6FR〜6RRにW/C圧を発生させることが可能となる。これにより、よりバランス良い制動力を発生させることができる。
そして、このような構成の車両用ブレーキ制御装置においても、上記第1実施形態と同様に作動する。つまり、ブレーキ制動による減速停車後の制動力保持制御の際には、停車した瞬間のブレーキ操作量に対応した指示圧力を記憶しておき、各種制御弁SCSS、SNO1、SNO2、SWC1、SWC2、SLFR、SLRL、SLFL、SLRRへの通電を継続し、第1、第2モータ11、12への通電を継続もしくは遮断することにより指示圧力を保持する。これにより、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、本実施形態では、第1実施形態に示した逆止弁20、21を設けていないが、仮にポンプ7、9からブレーキ液漏れが発生したとしても、各ポンプ7、9の上流に位置する第1、第2常閉弁SWC1、SWC2によってブレーキ液が止められることになるため、W/C圧の低下は起こらない。
また、本実施形態では、異常時に、第1、第2常閉弁SWC1、SWC2により、それぞれ2つずつ、つまり同じ配管系統内の両輪に対してM/C圧を伝えるようにしている。このため、第1、第2実施形態のようにM/C3の小径化などの効果の代わりに、M/C圧に対してより大きな制動力を発生させることが可能となる。
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態は、第3実施形態に対して車両用ブレーキ制御装置の構成を一部変更したものであり、基本的には第3実施形態と同様の構成となっているため、第3実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態は、第3実施形態に対して車両用ブレーキ制御装置の構成を一部変更したものであり、基本的には第3実施形態と同様の構成となっているため、第3実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図7は、本実施形態の車両用ブレーキ制御装置の油圧回路構成を示したものである。この図に示すように、本実施形態の車両用ブレーキ制御装置では、第2実施形態と同様に、マスタリザーバ3fに接続される管路Iおよび管路Jを追加している。そして、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ5の外部に備えられる管路Iを内部に備えられる管路Jに接続し、管路Jを管路H1における第1常閉弁SWC1の下流側、つまり第1、第2ポンプ7、8の吸入ポート側に接続されるようにしている。
このような管路Iは、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ5の外部に備えられる。つまり、ブレーキ液圧制御用アクチュエータ5の外部において、マスタリザーバ3fに接続される管路が管路Gと管路Iの2つに分岐されている。
そして、このような構成の車両用ブレーキ制御装置においても、上記第1実施形態と同様に作動する。つまり、ブレーキ制動による減速停車後の制動力保持制御の際には、停車した瞬間のブレーキ操作量に対応した指示圧力を記憶しておき、各種制御弁SCSS、SNO1、SNO2、SWC1、SWC2、SLFR、SLRL、SLFL、SLRRへの通電を継続し、第1、第2モータ11、12への通電を継続もしくは遮断することにより指示圧力を保持する。これにより、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、2つの管路G、Iそれぞれを通じてブレーキ液が各配管系統に供給されることになるため、より多くのブレーキ液を供給することが可能となる。
さらに、本実施形態でも、異常時に、第1、第2常閉弁SWC1、SWC2により、それぞれ2つずつ、つまり同じ配管系統内の両輪に対してM/C圧を伝えることが可能となるため、M/C圧に対してより大きな制動力を発生させることが可能となる。
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態は、第3実施形態に対して車両用ブレーキ制御装置の構成を一部変更したものであり、基本的には第3実施形態と同様の構成となっているため、第3実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態は、第3実施形態に対して車両用ブレーキ制御装置の構成を一部変更したものであり、基本的には第3実施形態と同様の構成となっているため、第3実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図8は、本実施形態の車両用ブレーキ制御装置の油圧回路構成を示したものである。この図に示すように、本実施形態の車両用ブレーキ制御装置は、第3実施形態のように第1、第2常閉弁SWC1、SWC2の2つを備えた構造ではなく、1つの常閉弁SWCのみを2つの配管系統の双方で共用した構造としている。
このような構成としても、通常ブレーキ時には、4輪FR〜RRのW/C6FR〜6RRのW/C圧を適宜調圧でき、異常時には、4輪FR〜RRのW/C6FR〜6RRに対してブレーキペダル1の踏み込みに応じてM/C3に発生したM/C圧を伝えることが可能となる。
さらに、本実施形態では、異常時に、1つの常閉弁SWCにより、2つの配管系統のすべての車輪FR〜RRに対してM/C圧を伝えることが可能となるため、システムをコンパクトな構成とすることが可能となる。
そして、このような構成の車両用ブレーキ制御装置においても、上記第1実施形態と同様に作動する。つまり、ブレーキ制動による減速停車後の制動力保持制御の際には、停車した瞬間のブレーキ操作量に対応した指示圧力を記憶しておき、各種制御弁SCSS、SNO1、SNO2、SWC1、SWC2、SLFR、SLRL、SLFL、SLRRへの通電を継続し、第1、第2モータ11、12への通電を継続もしくは遮断することにより指示圧力を保持する。これにより、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、本実施形態の車両用ブレーキ制御装置において、常閉弁SWCの駆動形態は、図3に示した第1実施形態の車両用ブレーキ制御装置における第1、第2常閉弁SWC1、SWC2と同様である。
(他の実施形態)
上記各実施形態に示した車両用ブレーキ制御装置は、各実施形態に示したものに限定されるものではなく、様々な形態で変更可能である。
上記各実施形態に示した車両用ブレーキ制御装置は、各実施形態に示したものに限定されるものではなく、様々な形態で変更可能である。
例えば、第1〜第5実施形態では、右前輪−左後輪、左前輪−右後輪の各配管系統を備えるX配管の油圧回路を構成する車両に本実施形態の車両用ブレーキ制御装置を適用した例について説明したが、前後配管など他の系統にも本発明を適用可能である。
また、M/C3のセカンダリ室3bに接続される管路Bに対してストロークシミュレータ4が備えられる構成としているが、プライマリ室3a側に接続される管路Aに対して備えられるようにしても良い。
さらに、上記実施形態では、フェールセーフを考慮して、第1〜第4リニア弁SLFL〜SLRRを駆動しなくてもブレーキペダル1の踏み込みに基づいて発生させられたM/C圧がW/C6FL、6FR等に伝えられるようにしている。しかしながら、異常が発生した場所が第1〜第4リニア弁SLFL〜SLRR以外の部位であれば、これらを駆動することができるため、これらに通電を行い管路H1〜H4を遮断状態にできるようにすれば、上記と同様にM/C圧をW/C6FL、6FR等に伝えることが可能となる。このため、必ずしも第1、第2常閉弁SWC1、SWC2および常閉弁SWCを備えなければならない訳ではなく、図9に示す油圧回路構成に示されるように、第1、第2常閉弁SWC1、SWC2および常閉弁SWCを備えない構造であっても構わない。
ただし、すべて機械的にフェールセーフが行えるようにするという意味では、第1、第2常閉弁SWC1、SWC2および常閉弁SWCが重要となる。
このため、図10に示す油圧回路構成のように、第1リニア弁SLFRと第3リニア弁SLFLを常閉型のリニア弁として構成しておけば、機械的にフェールセーフを行うことも可能となるため、より好ましい構造となる。勿論、第2、第4リニア弁SLRL、SLRRに関しても、常閉型のリニア弁としても構わない。
また、上記各実施形態では、第1、第2常閉弁SWC1、SWC2を常閉型としたが常開型の制御弁としても良い。第1、第2常開弁SNO1、SNO2も常開型としたが、これらを常閉型の制御弁としても構わない。
なお、ブレーキ操作部材としてブレーキペダル1を例に挙げたが、ブレーキレバーなどであっても構わない。
1…ブレーキペダル、2…ブレーキ操作量センサ、3…M/C、3a…プライマリ室、3b…セカンダリ室、3c…プライマリピストン、3d…セカンダリピストン、3e…スプリング、3f…マスタリザーバ、4…ストロークシミュレータ、5…ブレーキ液圧制御用アクチュエータ、6FL、6FR、6RL、6RR…W/C、7〜10…ポンプ、11、12…モータ、13〜18…圧力センサ、20、21…逆止弁、100…ブレーキECU、A、B、C、D、E、F、G1〜G4、H1〜H4、I、J…管路、FL、FR、RL、RR…車輪、SCSS…ストローク制御弁、SLFL、SLFR、SLRR、SLRR…第1〜第4リニア弁、SNO1、SNO2…第1、第2常開弁、SWC、常閉弁、SWC1、SWC2…第1、第2常閉弁。
Claims (5)
- ドライバによって操作されるブレーキ操作部材(1)と、
前記ブレーキ操作部材(1)の操作量を検出するブレーキ操作量センサ(2)と、
アクセル操作量に関する情報を取得するアクセル操作量取得手段(22)と、
車両の車体速度を演算するために用いられる車輪速度検出手段(23FR、23RL、23FL、23RR)と、
指示圧力に関する情報を記憶する指示圧力記憶手段と、
2つの前輪(FR、FL)それぞれに対応して設けられた前輪用第1、第2ホイールシリンダ(6FR、6FL)、および、2つの後輪(RL、RR)それぞれに対応して設けられた後輪用第1、第2ホイールシリンダ(6RL、6RR)と、
ブレーキ液を貯留しているリザーバ(3f)と、
前記リザーバ(3f)と前記前輪用第1、第2および前記後輪用第1、第2ホイールシリンダ(6FR〜6RR)をつなぎ、前記前輪用第1、第2および前記後輪用第1、第2ホイールシリンダ(6FR〜6RR)それぞれに接続されるように4つに分岐された主管路(C、G、G1〜G4、I、J)と、
前記主管路(C、G、G1〜G4、I、J)のうち4つに分岐された部位(G1〜G4)それぞれに対して1つずつ配置され、前記リザーバ(3f)に貯留されたブレーキ液を吸入・吐出して、前記前輪用第1ホイールシリンダ(6FR)を加圧する第1ポンプ(7)、前記後輪用第1ホイールシリンダ(6RL)を加圧する第2ポンプ(8)、前記前輪用第2ホイールシリンダ(6FL)を加圧する第3ポンプ(9)および前記後輪用第2ホイールシリンダ(6RR)を加圧する第4ポンプ(10)と、
前記第1、第2ポンプ(7、8)により加圧される系統を第1配管系統として、該第1配管系統に備えられた前記第1、第2ポンプ(7、8)を駆動するための第1モータ(11)と、
前記第3、第4ポンプ(9、10)により加圧される系統を第2配管系統として、該第2配管系統に備えられた前記第3、第4ポンプ(9、10)を駆動するための第2モータ(12)と、
前記第1〜第4ポンプ(7〜10)に並列的に配置され、前記リザーバ(3f)へブレーキ液を返流する管路となる第1〜第4調圧回路(H1〜H4)と、
前記第1〜第4調圧回路(H1〜H4)にそれぞれ対応して配置された第1〜第4リニア弁(SLFR、SLRL、SLFL、SLRR)とを有し、
前記ブレーキ操作量センサ(2)の検出信号、前記アクセル操作量取得手段(22)が取得する前記アクセル操作量に関する情報および前記車輪速度検出手段(23FR、23RL、23FL、23RR)の検出信号を受け取り、受け取った情報および検出信号に基づいて、前記第1〜第4リニア弁(SLFR、SLRL、SLFL、SLRR)、前記第1、第2モータ(11、12)および前記常閉弁(SWC1、SWC2、SWC)の駆動を行う制御手段(100)と、を備え、
前記制御手段(100)は、前記ブレーキ操作量センサ(2)に基づいて前記ブレーキ操作部材(1)が操作されたことを検出すると、前記第1、第2モータ(11、12)および前記第1〜第4リニア弁(SLFR、SLRL、SLFL、SLRR)への通電を開始すると共に、ブレーキ制動による減速停車時の車体速度が0km/hとなった瞬間の前記前輪用第1、第2および前記後輪用第1、第2ホイールシリンダ(6FR〜6RR)の指示圧力に関する情報を前記記憶手段に記憶させておき、前記ブレーキ操作量センサ(2)に基づく前記ブレーキ操作部材(1)の操作量が無くなっても、前記アクセル操作量の信号が検出されるまで前記記憶手段に記憶させた前記指示圧力を発生させるように前記第1〜第4リニア弁(SLFR、SLRL、SLFL、SLRR)への通電量を制御し、前記第1、第2モータ(11、12)への通電を継続もしくは遮断することを特徴とする制動力保持制御装置。 - 前記第1調圧回路(H1)に、前記第1リニア弁(SLFR)と前記リザーバ(3f)の間の連通・遮断を制御する第1常閉弁(SWC1)が備えられていると共に、前記第3調圧回路(H3)に、前記第3リニア弁(SLFL)と前記リザーバ(3f)の間の連通・遮断を制御する第2常閉弁(SWC2)が備えられており、
前記制御手段(100)は、前記ブレーキ操作量センサ(2)に基づいて前記ブレーキ操作部材(1)が操作されたことを検出すると、前記第1、第2常閉弁(SWC1、SWC2)への通電を開始し、停車後にブレーキ操作が無くなっても前記アクセル操作量の信号が検出されるまで通電を継続することを特徴とする請求項1に記載の制動力保持制御装置。 - 前記主管路(C、G、G1〜G4、I、J)は、前記リザーバ(3f)から1本のみ引き出されてから前記第1配管系統と前記第2配管系統それぞれにブレーキ液を供給するための2本の管路に分岐し、該2本の管路がそれぞれさらに2本ずつに分岐することで前記前輪用第1、第2および前記後輪用第1、第2ホイールシリンダ(6FR〜6RR)につながれており、
該主管路(C、G、G1〜G4、I、J)のうち前記第1配管系統として分岐された方の前記管路に該管路の連通・遮断を制御する第1常閉弁(SWC1)が備えられ、前記第2配管系統として分岐された方の前記管路に該管路の連通・遮断を制御する第2常閉弁(SWC2)が備えられ、
前記制御手段(100)は、前記ブレーキ操作量センサ(2)に基づいて前記ブレーキ操作部材(1)が操作されたことを検出すると、前記第1、第2常閉弁(SWC1、SWC2)への通電を開始し、停車後にブレーキ操作が無くなっても前記アクセル操作量の信号が検出されるまで通電を継続することを特徴とする請求項1に記載の制動力保持制御装置。 - 前記主管路(C、G、G1〜G4、I、J)は、前記リザーバ(3f)から1本のみ引き出され、1本が4つに分岐して前記前輪用第1、第2および前記後輪用第1、第2ホイールシリンダ(6FR〜6RR)につながれており、
該主管路(C、G、G1〜G4、I、J)のうち、前記4つに分岐するよりも上流側において前記常閉弁(SWC)が備えられ、
前記制御手段(100)は、前記ブレーキ操作量センサ(2)に基づいて前記ブレーキ操作部材(1)が操作されたことを検出すると、前記常閉弁(SWC)への通電を開始し、停車後にブレーキ操作が無くなっても前記アクセル操作量の信号が検出されるまで通電を継続することを特徴とする請求項1に記載の制動力保持制御装置。 - プライマリピストン(3c)およびセカンダリピストン(3d)と、これらによって区画されるプライマリ室(3a)とセカンダリ室(3b)と、前記プライマリ室(3a)と前記セカンダリ室(3b)に連通するブレーキ液を貯留した前記リザーバに相当するマスタリザーバ(3f)を有し、前記ブレーキ操作部材(1)が操作されることにより、該ブレーキ操作部材(1)に連結されたプッシュロッドを介して前記プライマリピストン(3c)および前記セカンダリピストン(3d)が押されることで前記プライマリ室(3a)と前記セカンダリ室(3b)に対してマスタシリンダ圧を発生させるように構成されたマスタシリンダ(3)と、
前記プライマリ室(3a)を前記前輪用第1ホイールシリンダ(6FR)に前記前輪用第1ポンプ(7)よりも下流側においてつなぐ第1補助管路(A、E)と、
前記第1補助管路(A、E)に備えられ、該第1補助管路(A、E)の連通・遮断を制御する第1常開弁(SNO1)と、
前記セカンダリ室(3b)を前記前輪用第2ホイールシリンダ(6FL)に前記前輪用第2ポンプ(9)よりも下流側においてつなぐ第2補助管路(B、F)と、
前記第2補助管路(B、F)に備えられ、該第2補助管路(B、F)の連通・遮断を制御するた第2常開弁(SNO2)と、を備え、
前記制御手段(100)は、前記ブレーキ操作量センサ(2)の検出信号よりブレーキ操作部材(1)が操作されたことを検出すると、前記第1、第2制御弁(SNO1、SON2)への通電を開始し、停車後にブレーキ操作が無くなっても前記アクセル操作量の信号が検出されるまで通電を継続することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の制動力保持制御装置。
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