JPH08505430A - ポリテトラフルオロエチレン製の一軸延伸成形品 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 タルク、雲母及び／又は耐熱性の良いポリイミド及び／又は白亜をフィラーとして有し、延伸方向で少なくとも１０ｃＮ／テクスの強度を有するポリテトラフルオロエチレン製の一軸延伸成形品。本発明の成形がフィラーとして白亜を有する場合、デンタルフロスの製造に適している。

Description

【発明の詳細な説明】 ポリテトラフルオロエチレン製の一軸延伸成形品 本発明は、フィルム、テープ、糸又は繊維の形状を成し得るポリテトラフルオ ロエチレン（ＰＴＦＥ）製の一軸延伸成形品に係り、特にその製造工程に関する 。 熱安定性及び化学的不活性のおかげで、ＰＴＦＥは有用な材料である。オース トリア特許第370,674号は、延伸方向において、５０Ｎ／ｍｍ²（ニュートン毎平 方ミリメートル）乃至１４０Ｎ／ｍｍ²の強度を有する焼結ＰＴＦＥ製の一軸延 伸フィルムを開示している。これらのフィルムは、円筒形の成形品を形成するた めにＰＴＦＥ粉体を最初にプレス成形することによって製造される。次に、この 成形品が焼結され、その後、フィルムが剥離され、少なくとも３２７℃に加熱さ れ、延伸される。 イギリス特許第2,025,835号は、ペースト押出法による多孔性ＰＴＦＥ成形品 の製造を記載している。実質的に、ＰＴＦＥ粉体と潤滑剤（炭化水素油）とを含 むペースト状組成物が押出ダイに押込まれ、その後、潤滑剤は乾燥により除去さ れる。次に、この成形品がＰＴＦＥの微結晶融点（３２７℃）以上に加熱され、 加熱中に延伸される。 オーストリア特許第391,473号は、ＰＴＦＥ製の一軸延伸成形品の製法を開示 している。ペースト状ＰＴＦＥ組成物が連続加工されて、成形品（モールド）を 形成し、この成形品が複数のローラー又はロールの上を通され、加熱、延伸され る。この成形品は、この延伸を行う前に、３２７℃乃至４５０℃に加熱され、焼 結される。この処理が、延伸方向で少なくとも２２ｃＮ／テクス（繊度）（即ち 、５００Ｎ／ｍｍ²）の強度値を有する一軸延伸成形品のＰＴＦＥからの製造を 可能にする。 米国特許第2,893,105号及び米国特許第2,933,154号によるマトリックス紡糸に よって製造されたＰＴＦＥマルチフィラメント糸、及びオーストリア特許第340, 561号の間隙剥離法によって製造されたＰＴＦＥマルチフィラメント糸を、パッ キングランド（パッキンの押さえ蓋）のプリーツ（襞）コード（plait cord）を 製造するために使用することができる。オーストリア特許第347,003号では、滑 り特性を改善するためにＰＴＦＥ及びグラファイト（黒鉛）でこの種の糸を被覆 する方法がさらに開示されている。 ペースト押出によっ製造され、ＰＴＦＥ分散剤が含浸され、さらにパラフィン 油によって滑りやすくなった配向されているが非焼結のフィルムテープがパッキ ングランドの製造に使用されることも公知である。グラファイトフィリング（充 填剤）を含んでいるこれらのフィルムテープも市販されている。 グラファイトを充填されたこれらの全製品は、滑り特性を高めるために入れら れるグラファイトフィリング（充填物）の色が黒であるため、ある分野の産業で は使用できないという欠点を有している。また、これらの製品は高い流れ（常温 流れ（cold flow））傾向を示すので、自ずと磨耗が大きくなる。他の欠点は、 一軸延伸され、グラファイトのみが充填された成形品は１０ｃＮ／テクス以下の 強度値しか有さないことである。 本発明の目的は、これらの欠点を克服することによって、ＰＴＦＥ材料の適用 範囲を広げ、グラファイト充填のＰＴＦＥ成形品より薄い色、高い強度、低い常 温流れ傾向を有する一軸延伸成形品を提供することである。さらに、異なる滑り 特性を有する前記ＰＴＦＥ成形品を製造することを可能とするものである。 本発明によるポリテトラフルオロエチレン（ＰＴＦＥ）製の一軸延伸成形品は 、タルク及び／又は雲母及び／又は耐熱性の良いポリイミド及び／又は白亜をフ ィラーとして含み、少なくとも１０ｃＮ／テクス、好ましくは、１６ｃＮ／テク ス以上の強度値を有することを特徴とする。耐熱性の良いポリイミドとしては、 欧州特許第0,119,185号及び米国特許第3,985,934号に開示されているポリイミド が特に適している。 ＰＴＦＥ粉体をペースト押出を用いて前記フィラーと混合し、それを例えばフ ィルムに加工し、これらのフィルムを焼結し、次いで延伸することは、驚くほど 成功しており、このフィラーの存在にもかかわらず、非常に高い強度値を得るこ とができる。（オーストリア特許第370,674号に従って製造された）例えば、充 填されないＰＴＦＥ糸の強度は５乃至１５ｃＮ／テクスであるのに対して、本発 明によって製造された充填された糸は２５ｃＮ／テクスまでの強度を有する。本 発明による成形品は４０重量％までのフィラーを含んでいてもよい。破断点にお ける引張強さを減少することに伴って、破断点における伸びが減少し、耐クリー プ性が大きくなることが生じ、これがパッキングランドのシールとしてこれらの 糸を使用するための重要な特徴となる。 本発明による成形品は、上記の最小強度１０ｃＮ／テクスを超過せずに、４０ 重量％までのフィラーを含むことができる。 本発明による成形品の好ましい具体例は、この成形品が、フィラーとして、２ ０乃至３０重量％のタルク及び／又は雲母及び／又は耐熱性の良いポリイミドを 含むことを特徴としている。このような成形品は良好な滑り特性を示す。ＤＩＮ （ドイツ工業規格）No．53,375によって行われた測定によれば、純ＰＴＦＥ製の 糸は１５０（１１０−２００）の動摩擦値（μ_p）を示し、フィラーとしてグラ ファイトを有する糸が５０乃至１００の値を示し、フィラーとしてタルクを有す る本発明による糸は３０乃至７０の値を示すことが明らかとなった。 さらに本発明による成形品が都合良く３０％以下の伸びを有している場合、例 えば、それは（パッキングランドのケーシング内の）シャフトをシールするため のポンプ内の材料として特に適している。これまで、グラファイトフィリング（ 充填物）を有するＰＴＦＥ成形品は、この目的のために使用されていた。これら の公知の成形品は不充分な耐クリープ性と高い摩耗性を示したため、グラファイ トフィリングの場合に黒色の摩耗物がパッキングランドのケーシングから出て、 例えば、シールされるべき薄色の液体を、好ましくなく、変色させ、汚染するこ ともある。本発明による成形品の具体例はこれらの欠点のいずれも示さない。 本発明による成形品が糸として形成される場合、プリーツ（襞）シーリングの 製造に有効に使用することができる。 本発明による成形品の他の好ましい具体例は、少なくとも５重量％の白亜をフ ィラーとして含むことを特徴とする。白亜は動摩擦値μ_pを少なくとも２００ま で高めるので、この種の材料が高い動摩擦率を必要とする全ての用途に特に適し ていることが示されている。 本発明による成形品の好ましい具体例は、この成形品がフィラーとして白亜だ けを有し、それがデンタルフロス形態であることを特徴としている。本発明によ るデンタルフロスを用いた場合、従来の技術のデンタルフロスを用いた場合より も歯茎を良く保護することが示されている。白亜の量を調整することによってデ ンタルフロスの動摩擦率が改善される。０．１乃至１５重量％の白亜を含むデン タルフロスが特に適していることが実験によって示されていた。 本発明はさらに本発明による成形品の製造方法に関し、前記方法が以下の特徴 の組み合わせにより特徴とされる。 （ａ）ポリテトラフルオロエチレン粉体がタルク及び／又は雲母及び／又は耐熱 性の良いポリイミド及び／又は白亜及び炭化水素と混合される。 （ｂ）得られた混合物によって予備成形品（pre-shaped）が形成され、炭化水素 が除かれる。 （ｃ）炭化水素を除いた予備成形品は焼結され、次に、焼結状態で延伸される。 フィラーは、好ましくは、成形品中で４０重量％を超過しない量で使用される 。 付形前の製品は、焼結のために、少なくとも３２７℃、好ましくは３８０℃乃 至４００℃に加熱される。 本発明による成形品の表示強度を達成するには、焼結された予備成形品は、好 ましくは、１：５乃至１：２０、好ましくは、１：５乃至１：１５の比率で延伸 される。 本発明による製法の特別の具体例において、予備成形品は、焼結、延伸された 後でテープ状にカットされるフィルムであり、これらのテープは、ニードルロー ラによってフィブリル化処理を行うのが好都合である。 本発明の好ましい具体例は、以下の実施例によってより詳細に説明される。本 発明の成形品は、オーストリア特許第391,473号に開示されている焼結及び延伸 装置を用いて製造される。 ［実施例１］ ヘキスト社（Hochst AG）より市販されている１００重量部のＰＴＦＥ粉体「 ホスタフロン（Hostaflon）ＴＦ２０２９」が、２５部のタルク（ナインシュ（N aintsch）Ａ−３０）及びペースト押出で通常使用される３０部の潤滑剤（沸点 温度１８６℃乃至２１４℃を示す炭化水素）と混合され、円筒形の成形品にプレ スされる。これらの円筒形の製品は引き続きプレスされてストランド（ひも）状 に形成され、さらに圧延されてフィルムを形成し、乾燥によって潤滑剤が除かれ る。乾燥されたフィルムは３８５℃で焼結され、１：７の比率で延伸される。良 好な滑り特性をあらわす極めて軟質のフィルム（３０乃至３８ショアー硬度、Ｄ スケール）と６．５％の伸びで２１．３ｃＮ／テクスの強度とが得られる。 ［実施例２］ ７０重量部のＰＴＦＥ粉体「ホスタフロンＴＦ２０２９」は、３０部のタルク Ａ−３０及び３０部の潤滑剤と混合され、実施例１と同様に、圧延されてフィル ムを形成し、乾燥され、焼結され、延伸される。強度は、５．５％の伸びで１９ ．５ｃＮ／テクスである。 ［実施例３］ 実施例１に記述されている混合は実施例１と同様に処理されてフィルムに加工 されるが、３９５℃で焼結され、１：８．５の比率で延伸される。強度は、５％ の伸びで２４．５ｃＮ／テクスである。フィルムはフィブリル化処理を受け、２ ２％のパラフィン油に浸漬される。 最終生成物は、ある程度において、直接プリーツコードに加工できるマルチフ ィラメント糸である。パラフィン油は潤滑剤として作用する。 ［実施例４］ 「アルゴフロン（Algoflon）ＤＦ２００（製造者：オージモント（Ausimont） 社（Ｓ．ｐ．Ａ）」タイプの１００部のＰＴＦＥ粉体は、４７部のタルクＡ−６ ０及び３０部の潤滑剤と混合され、フィルムに加工される。このフィルムが３９ ０℃で焼結され、１：６の比率で延伸される。得られるフィルムの強度は、８％ の伸びで１６ｃＮ／テクスである。 ［実施例５］ 実施例４で記述された混合物が同様にフィルムに加工されるが、３９５℃で焼 結され、１：７で延伸される。強度は５％の伸びで１７．５ｃＮ／テクスである 。延伸後、フィルムはさらにフィブリル化され、２０％のパラフィン油に浸漬さ れる。 ［実施例６］ ホスタフロンＴＦ２０２９タイプの７５部のＰＴＦＥ粉体が２５部の雲母と２ ７部の潤滑剤と混合され、実施例１と同様にフィルムに加工され、延伸される。 強度は８．５％の伸びで１６．５ｃＮ／テクスである。 ［実施例７］ 「アルゴフロンＤＦ２００」タイプの１００部のＰＴＦＥ粉体は、１０部の白 亜及び２５部の潤滑剤と混合され、フィルムに加工される。このフィルムは３９ ０℃で焼結され、１：１３．５で延伸され、テープ状にカットされる。得られた テープの強度は４．５％の伸びで２６ｃＮ／テクスである。白亜を組み込むこと によって、この生成物の動摩擦率が大きくなる。この生成物はデンタルフロスと して使用することができる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ Ｃ０８Ｌ 79/08 ＬＲＣ 9285−4Ｊ Ｄ０１Ｆ 6/00 Ａ 7199−3Ｂ 6/12 Ａ 7199−3Ｂ 6/48 Ｃ 7199−3Ｂ // Ｂ２９Ｋ 27:18 105:16

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １． タルク及び／又は雲母及び／又は耐熱性の良いポリイミド及び／又は白亜 をフィラーとして含むポリテトラフルオロエチレン（ＰＴＦＥ）から作製され、 延伸方向に少なくとも１０ｃＮ／テクスの強度を有する一軸延伸成形品。 ２． ４０重量％以下のフィラーを含むことを特徴とする請求の範囲１に記載の 成形品。 ３． ２０乃至３０重量％のタルク及び／又は雲母及び／又は耐熱性の良いポリ イミドをフィラーとして含むことを特徴とする請求の範囲２に記載の成形品。 ４． 少なくとも５重量％の白亜をフィラーとして含むことを特徴とする請求の 範囲２に記載の成形品。 ５． ３０％以下の伸びを有することを特徴とする請求の範囲１乃至４のいずれ か一つに記載の成形品。 ６． フィラーとして白亜だけを含み、それがデンタルフロスの形態であること を特徴とする請求の範囲２に記載の成形品。 ７． ０．１乃至１５重量％の白亜を含むことを特徴とする請求の範囲６に記載 の成形品。 ８． （ａ）ポリテトラフルオロエチレン粉体をタルク及び／又は雲母及び／又 は耐熱性の良いポリイミド及び／又は白亜及び炭化水素と混合し、 （ｂ）得られた前記混合物を予備成形品になるように形成し、前記炭化水素を 除き、 （ｃ）炭化水素を除いた前記予備成形品を焼結し、次いで前記焼結状態で延伸 する、 ことからなる特徴を組み合わせて特徴とされる請求の範囲１乃至７のいずれか 一つに記載の成形品の製造のための方法。 ９． 前記フィラーが前記成形品中で４０重量％を超過しない量で使用されるこ とを特徴とする請求の範囲８に記載の方法。 １０． 前記予備成形品が焼結のために少なくとも３２７℃、好ましくは、３８ ０乃至４００℃に加熱されることを特徴とする請求の範囲８又は９に記載の方法 。 １１． 前記焼結された予備成形品が、１：５乃至１：２０、好ましくは、１： ５乃至１：１５の比率で延伸されることを特徴とする請求の範囲８乃至１０のい ずれか一つに記載の製造方法。 １２．前記予備成形品が焼結、延伸された後でテープ状にカットされるフィルム であることを特徴とする請求の範囲８乃至１１のいずれか一つに記載の製造方法 。 １３．前記焼結、延伸されたテープがフィブリル化処理を受けることを特徴とす 請求の範囲１２に記載の製造方法。