JPH08259731A - 樹脂組成物及びそれからなる樹脂成形物 - Google Patents

樹脂組成物及びそれからなる樹脂成形物

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JPH08259731A
JPH08259731A JP7085951A JP8595195A JPH08259731A JP H08259731 A JPH08259731 A JP H08259731A JP 7085951 A JP7085951 A JP 7085951A JP 8595195 A JP8595195 A JP 8595195A JP H08259731 A JPH08259731 A JP H08259731A
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Isamu Harasawa
勇 原澤
Yoshikuni Tobiyo
義邦 飛世
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、長期間に亘って、耐久性が要求さ
れる、看板、鋼板、プラスチック板、シート、フイルム
等の表面保護膜、電子基板及びEL保護膜等の電子材料
膜、さらに特に耐久性の要求される農業用被覆資材、テ
ント及び屋外倉庫等の屋外構築物用膜等に使用される樹
脂組成物及びそれからなる樹脂成形物を提供することを
目的とする。 【構成】 少なくとも、金属複合体(A)微粉末を含有し
てなることを特徴とする樹脂組成物及びそれからなる樹
脂成形物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、樹脂組成物及びそれか
らなる樹脂成形物に関し、さらに詳しくは、金属複合体
を含有してなる樹脂組成物及びそれからなる樹脂成形物
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、樹脂に配合する金属酸化物
は、着色剤、紫外線および可視光線遮蔽剤及び電磁波遮
蔽剤等に使用されて来ている。
【0003】中でも紫外線遮蔽剤としては、特に酸化チ
タン(TiO2)、酸化セリウム(CeO2)、酸化亜鉛(ZnO)
及び酸化鉄等が主に使用されている。これら金属酸化物
を配合したフイルを5年以上の長期間に亘って屋外の風
雨に晒すと、その紫外線遮蔽能が、その環境によっては
低下することが認められて来ている。
【0004】また、金属微粉末を樹脂に配合し、加熱成
形する際、金属表面積が極めて大きく、かつ、活性化さ
れているため、樹脂及びその添加物が熱劣化を受けやす
くなり加熱成形が困難になることがしばしば生じてい
た。
【0005】本発明者等は、長期間に亘って屋外の風雨
によっても紫外線遮蔽能が低下することなく、かつ、容
易に加熱成形が可能となる樹脂組成物の研究を日夜重ね
た結果、本発明に到ったのである。
【0006】
【発明の解決しようとする課題】本発明の目的は、前述
の従来技術が有していた問題点を解決しようとするもの
であり、従来全く知られていなかった樹脂組成物及びそ
れからなる樹脂成形物を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の課題を
解決すべくなされたものであり、少なくとも、金属複合
体(以下、これを「A」ということがある)微粉末を含
有してなることを特徴とする樹脂組成物を提供するもの
である。
【0008】しかして、本発明によれば、樹脂に例えば
長期間に亘って紫外線遮蔽性を付与する目的でAを配合
し、加熱成形する際、使用する樹脂の熱劣化または熱分
解の発生をほとんど起すことなく、実用的に充分使用で
きる成形物が得ることができる。
【0009】この結果、従来より、例えば含フッ素系樹
脂において、樹脂自身は耐候(光)性を充分具備している
ものの、紫外線をほとんど透過する性質があるため、こ
れを例えばフイルムとしてプラスチック板等の表面に貼
付して使用すると、フイルムの下層にある接着剤、プラ
スチック板及びそこに使用されている染料及び顔料等は
紫外線により経時的に劣化してしまい、実用的には、長
期間使用することができなかったが、本発明により、紫
外線を遮蔽したフイルムによりフイルム自身及びその下
層は、紫外線が保護されるため、長期間に亘って、耐久
性のある保護膜として使用可能となるのである。
【0010】以下、本発明の構成要因について、さらに
詳細に説明する。本発明でいう「樹脂」とは、特に限定
するものではなく、いずれの熱可塑性樹脂および熱硬化
性樹脂でも使用できる。
【0011】熱可塑性合成樹脂としては、例えば含フッ
素樹脂(PF)、アクリル樹脂(PA)、ポリアミド樹
脂(NY)、塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリカーボネ
ート樹脂(PC)、オレフイン系樹脂(PO)、エポキ
シ樹脂(EO)、ポリアセタール樹脂(PAC)、ポリ
エステル樹脂(PET)、ポリエーテルイミド樹脂(P
EI)、ポリエーテルスルホン樹脂(PES)、ポリエ
ーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリフェニレ
ンスルフィド樹脂(PPS)、ポリスルホン樹脂(P
S)、ポリアリレート樹脂(PAR)、ポリエチレンナ
フタレート樹脂(PEN)、ポリメチルペンテン樹脂
(PMP)、ABS樹脂、酢酸ビニル樹脂およびポリス
チレン樹脂等があり、中でも加熱成形温度が熱分解温度
に近く、また熱分解には到らないが高温で加熱成形す
る、PF、PA、NY、PVC、PC、PO及びPET
が好ましく、特にPF、PA、PC及びPETが好まし
い。
【0012】ここで、PFとは、樹脂の分子構造式中に
フッ素を含む熱可塑性樹脂であれば特に制限されるもの
ではないが、具体的には、例えば、樹脂の構造中に4個
フッ素原子を有する四フッ化エチレン系樹脂、さらに三
フッ化エチレン系樹脂、二フッ化エチレン系樹脂、一フ
ッ化エチレン系樹脂およびこれら樹脂の複合物であり、
中でも、四フッ化エチレン系樹脂および二フッ化エチレ
ン系樹脂が好ましく、さらに四フッ化エチレン系樹脂が
好ましい。
【0013】ここで、四フッ化エチレン系樹脂とは、具
体的には、例えば四フッ化エチレン系樹脂(PTF
E)、四フッ化エチレン・パーフロロアルキルビニルエ
ーテル共重合体(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ
化プロロピレン・パーフロロアルコキシエチレン共重合
体(EPE)、四フッ化エチレン・六フッ化プロロピレ
ン共重合体(FEP)および四フッ化エチレン・エチレ
ン共重合体(ETFE)等があり、中でもPFA、ET
FE、FEPおよびEPEが好ましく、特にETFEが
好ましい。
【0014】ETFEを具体的に説明すると、ETFE
は、エチレン及びテトラフルオロエチレンを主体とし
(エチレン/テトラフルオロエチレンのモル比は一般に
40/60〜60/40にある)、そして必要により、
これに少量(通常10モル%以下)の第3の含フッ素コ
モノマー成分を共重合させたものである。本発明では殊
に、エチレン/テトラフルオロエチレンの含有モル比が
40/60〜60/40、好ましくは45/55〜55
/45の範囲内である。
【0015】また、第3成分としては、例えば式CH2
=CH−Cn2n+1(ここで、nは2〜10の整数であ
る)で示されるパーフルオロアルキルビニルモノマー単
位(例えばCH2=CH−C49またはCH2=CH−C
613から誘導される単位)さらに、CH2=C(C
3)CH3,CF2=C(CF3)CH3,CH2=CFC
5F10Hのようなフルオロオレフイン等を使用すること
ができ、前者が好適に使用される。この第3成分の含有
量が0.1〜10モル%、好ましくは0.3〜5モル%の
範囲内にあるエチレン−テトラフルオロエチレン系共重
合体が好適に使用される。このエチレン−テトラフルオ
ロエチレン系共重合体はそれ自体既知のものであり、例
えば特公昭59−50163号公報に記載の方法で製造
することができ、また、市販品として旭硝子(株)より
「アフロン COP」なる商品名で市販されているもの
を使用することもできる。
【0016】また、上記三フッ化エチレン系樹脂とは具
体的には、例えば三フッ化塩化エチレン樹脂(CTF
E)および三フッ化塩化エチレン・エチレン共重合体
(ECTFE)等である。前記二フッ化エチレン系およ
び一フッ化エチレン系樹脂とは、具体的には、例えばフ
ッ化ビニリデン樹脂(PVDF)およびフッ化ビニル樹
脂(PVF)等である。さらに本発明においては、上記
含フッ素樹脂を主に含有する他の熱可塑性樹脂との混合
物でも良い。
【0017】さらに熱硬化性樹脂としては、例えば、メ
ラミン樹脂、フエノール樹脂、ユリア樹脂、フラン樹
脂、アルキッド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリ
ルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂、ポリウ
レタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリパラバン酸樹脂等で
あり、中でもエポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、
ポリイミド樹脂が好ましい。
【0018】本発明でいう「金属複合体(A)」とは、金
属単体、合金及びその化合物微粉末の表面を表層物質で
実質的に被覆してなる複合物質の総称である。ここで
「実質的に被覆」とは、上記金属微粉末表面を単に表層
物質で被覆した状態のみならず、表層物質中に金属を分
散せしめてなる状態をも包含するものである。
【0019】上記「金属」とは、例えばチタン、ジルコ
ニウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ランタ
ン、亜鉛、アルミニウム、スズ、アンチモン等の金属単
体及び、その酸化物、複合酸化物、硫化物、炭酸塩等の
中から適宜選択することができ、具体的には、例えば、
酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、雲母、アルミ
ナ(Al2O3)、酸化鉄(Fe2O3)、酸化セリウム(Ce
O2)、酸化バリウム(BaO)、酸化アンチモン(Sb
2O3)、酸化ニッケル(NiO)、酸化クロム(Cr2O3)、
酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化カルシウム(CaO)、
酸化錫(SnO2)及びこれらの混合物等が挙げられる。中
でもTiO2、ZnO、CeO2及びFe2O3が好ましく特にTiO2、Ce
O2及びZnOが好適に使用される。
【0020】さらに「表層物質」とは、特に限定するも
のではなくいずれの物質でも使用できるが、例えばケイ
素及びその化合物、合成樹脂、アルミナ(Al2O3)、雲母、
金(Au)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ビスマス
(Bi2O3)、窒化チタン(TiN)、炭化チタン(TiC)等
であり、中でもケイ素及びその化合物が好ましい。
【0021】ケイ素及びその化合物としては、具体的に
は、例えばシリカ(SiO2)、ガラス、石英及び各種シリ
コーン等があり、中でもシリカ、石英及びガラスが好ま
しく、特にシリカ及び石英が好ましい。
【0022】また、合成樹脂としては、特に制限するも
のではなく、ベースとして使用する樹脂に応じて適宜選
択使用できるが、具体的には、例えば含フッ素樹脂(P
F)、アクリル樹脂(PA)、ポリアミド樹脂(NY)、塩
化ビニル樹脂(PVC)、ポリカーボネート樹脂(PC)、
オレフイン系樹脂(PO)、エポキシ樹脂(EO)、ポリア
セタール樹脂(PAC)、ポリエステル樹脂(PET)、ポリ
エーテルイミド樹脂(PEI)、ポリエーテルスルホン樹
脂(PES)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEE
K)、ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS)、ポリスル
ホン樹脂(PS)、ポリアリレート樹脂(PAR)、ポリエ
チレンナフタレート樹脂(PEN)、ポリメチルペンテン
樹脂(PMP)、ABS樹脂、酢酸ビニル樹脂およびポリ
スチレン樹脂等があり、巾でも加熱成形温度が熱分解温
度に近く、また熱分解には到らないが高温で加熱成形す
る、PF、PA、NY、PVC、PC、PO及びPET
が好ましく、特にPF、PA、PC及びPETが好まし
い。
【0023】これら金属複合体(A)中の金属微粒子の粒
径は、特別に規定するものではないが一般的には、平均
粒径が1,500〜1nm、好ましくは500〜5nm、さ
らに好ましくは100〜10nm、特に好ましくは50〜
20nmである。
【0024】また、Aのサイズは、使用する樹脂及び樹
脂成形物によって、適宜決定されるが、一般的には微粒
子であることが望ましく、例えば、1m/m以下、好まし
くは、0.1m/m以下、さらに好ましくは0.01m/m以下
である。
【0025】これらAの製造方法は、特別に規定するも
のではなく、従来使用されているいずれの方法でも製造
することができるが、以下金属をTiO2、表層物質をシリ
カ(SiO2)とした場合について具体的にその一例を説明
する。
【0026】(1) SiO2をコートしたTiO2微粒子の製造例 ケイフッ化水素酸100Klにシリカ2.5mol/m3を投入
して、シリカ飽和ケイフッ化水素酸溶液を調製した後、
これに0.5mol/m3のホウ酸3Klを添加し、室温で攪拌
し、SiO2被覆処理用溶液を得る。この溶液50Klを分取
し、50℃に加温し、次いで、平均粒径0.5μmのSi
O2、2,000kgを逐次添加しつつ攪拌し、SiO2を充分
分散せしめる。このSiO2を遠心分離し、蒸留水で充分洗
浄することにより、SiO2をコートしたTiO2微粒子を得る
ことができる。
【0027】(2) TiO2微粒子を分散させたSiO2粉末の製
造例 テトラメトキシシラン、イソプロピルアルコール、エチ
ルアルコール、硝酸及び水からなる混合液中に平均粒径
50nmのチタニアゾルを逐次添加しつつ、攪拌し、充分
分散せしめ、養生し均一なゾルを調製する。このゾルを
鏡面仕上処理したステンレスベルト上に薄膜状にキャス
トし、溶液を110〜160℃で一部乾燥せしめ、ステ
ンレスベルトからフレーク状ゲルを得る。さらにこれを
1,000〜1,300℃で熱処理し、次いで、約10μ
mに粉砕することにより、TiO2微粒子を分散させたSiO2
粉末を得る。
【0028】本発明でいう樹脂組成物とは、少なくとも
前記Aを包含してなる樹脂成形物であれば、いずれの状
態であっても良く、塗料組成物をも含有するものでる。
【0029】本発明における、塗料とは、特に規定する
ものではなく、いずれの塗料でも良いが、具体的には、
化学大辞典編集委員会編「化学大辞典6」〔昭和37年
7月25日、初版第2刷、共立出版(株)発行〕第532
〜534頁記載の塗料であり、塗装法による分類のう
ち、常温乾燥塗料及び焼付け塗料であり、中でも焼付け
塗料が好適に使用される。
【0030】本発明でいう「成形物」とは、特に規制す
るものではなく、いずれの加工成形物でも良いが、具体
的には、例えばフイルム、シート、板及び異形物等であ
り、中でもフイルム及びシートが好ましく、特にフイル
ムが好適に使用される。
【0031】本発明によるフイルムは、紫外線領域の光
線の透過を実質的に阻止し、かつ可視光線領域の光線の
透過を実質的に阻止しない特性を有する。
【0032】本発明において、「紫外線領域」とは、特
に制限するものではなく、紫外線領域の波長であればい
ずれの波長でも良いが、波長域に少なくとも280〜3
20nmの範囲の波長域を含有するものであり、一般的に
は、290〜330nm、さらには290〜360nmの範
囲の波長域を含有するものである。
【0033】また「可視光線領域」とは、特に規制する
ものではなく、可視光線領域の波長であれば、いずれの
領域でも良いが、波長域が少なくとも460〜600nm
の範囲の波長域を含有するものであり、一般的には42
0〜800nmの範囲の波長域を含有するものである。
【0034】本明細書において、「紫外線領域の光線の
透過を実質的に阻止する」なる語は、紫外線領域の光線
の透過を完全に阻止する場合のみならず、該紫外線領域
の光線の透過を少なくとも30%以上、好ましくは50
%以上、さらに好ましくは70%以上、特に好ましくは
90%以上阻止する場合も包含する意味で用いるもので
ある。
【0035】また、「可視光線領域の光線の透過を実質
的に阻止しない」なる語は、可視光線領域の光線の透過
を完全に透過する場合のみならず、可視光線領域の光線
の透過を少なくとも70%以上、好ましくは80%以
上、さらに好ましくは85%以上、特に好ましくは88
%以上透過する場合も包含する意味で使用するものであ
る。
【0036】さらにこれらAをフイルムに配合する場合
の配合量は、使用する樹脂及び膜厚によっても異なる
が、一般的には、0.01〜30重量%、好ましくは0.
1〜10重量%、さらに好ましくは1〜5重量%の範囲
とすることができる。
【0037】かかるAを配合した樹脂からのフイルムの
成形はそれ自体既知の方法、例えば押出成形法、インフ
レーション成形法、溶液流延法等により行なうことがで
きる。得られるフイルムの厚さは一般に10〜1,00
0μm、好ましくは30〜200μm、特に好ましくは5
0〜100μmとすることができる。
【0038】また、前述した如き光線透過特性をもつフ
イルムは、予め成形された上記の如き厚さをもつ樹脂フ
イルムの表面に、前述した如きAと樹脂バインダーとか
らなる塗布液をコーティングすることによっても作製す
ることができる。
【0039】その際、例えば、フッ素樹脂フイルム等、
コーティングが容易でない場合には、フッ素樹脂フイル
ムの表面への塗布液の均一な塗布、コーティング層の密
着性の向上等を目的として、フッ素樹脂フイルムの表面
に表面活性化処理を施すことが望ましい。
【0040】そのような表面活性処理の方法としては、
コロナ放電処理、スパッタエッチング処理、ナトリウム
処理、サンドプラスト処理等の方法があげられる。
【0041】ころな放電処理は針状あるいはナイフエッ
ジ電極と対極間で放電を行わせ、その間に試料を入れて
処理を行い、フイルム表面上にアルデヒド、酸、アルコ
ールパーオキサイド、ケトン、エーテルなどの酸素を含
む官能基を生成させる処理である。
【0042】ナトリウム処理は、金属ナトリウムの様な
アルカリ金属の液体アンモニア溶液にフイルムを侵漬さ
せる処理で、表面上からCF2結合を消滅させ、CH、
C−O結合を生成させる処理である。
【0043】スパッタエッチング処理は、低気圧グロー
放電を行っている電極間に試料を入れ、グロー放電によ
って生じた正イオンの衝撃により、フイルム上に多数の
微細な突起を形成するものである。
【0044】サンドプラスト処理は、フイルム面に微細
な砂を吹き付けて、表面上に多数の微細な凹凸を形成す
るものである。これら表面活性処理の中では、コーティ
ングとの密着性、作業性、安全性、コストなどの点から
みて、コロナ放電処理を行うことが好適である。
【0045】塗布液に使用しうる樹脂バインダーとして
は、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フッ素樹脂、これ
らの混合物等が挙げられ、場合により、親水性重合体、
たとえば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリド
ンなどのほかに、−SO4、−SO3H、−COOH、−
CN、−(OCH2CH2)等の一般に親水性官能基を有
する重合体を併用することもできる。
【0046】また塗布液には、必要に応じて、たとえ
ば、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エ
ステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪
酸エステル、ソルビタン脂肪酸二塩基酸エステル、ソル
ビトール脂肪酸二塩基酸エステル、ジグリセリン脂肪酸
二塩基酸エステル、グリセリン脂肪酸二塩基酸エステル
及びこれらとエチレンオキサイド、プロピレンオキサイ
ドなどのアルキレンオキサイドを付加した化合物等の界
面活性剤を配合してもよい。
【0047】以上に述べた各成分を、たとえば水やアル
コール系、ケトン系、エステル系もしくはエーテル系溶
媒中に溶解又は分散せしめて塗布液を調製し、フイルム
表面にコーティングする。コーティングの方法として
は、たとえばハケ塗り、侵漬塗り、グラビアコーティン
グ、スプレーコーティングなど通常知られている方法を
用いることが可能である。
【0048】塗布液における無機質微粉末の濃度は、塗
布膜厚、使用する樹脂バインダーの種類等によって異な
るが、一般には、形成されるコーティング層における無
機質微粉末の含有量が0.5〜95重量%、好ましくは
1〜50重量%、さらに好ましくは3〜30重量%の範
囲内になるようにすることが望ましい。
【0049】また、コーティング層の厚さは、得られる
フイルムが前述した如き光線透過特性を示す限り厳密に
制限されるものではないが、一般には1〜100μm、
好ましくは2〜50μm、さらに好ましくは5〜20μm
の範囲内とすることができる。
【0050】本発明によるフイルムの用途としては、特
に制限するものではなく、いずれの用途でも使用できる
が、一般的には、例えば看板、鋼板、プラスチック板、
シート、フイルム等の表面保護膜用、電子基板及びEL
保護膜等の電子材料用、農業用被覆資材、テント及び屋
外倉庫等の屋外構築物等に使用することができるが、中
でも屋外構築物が好ましく、特に農業用被覆資材に好適
に使用される。
【0051】本発明によるフイルムを表面保護用途に使
用することにより、フイルムより下層にある接着剤、プ
ラスチック板、木板、鋼板及び染料、願料等の着色剤等
は、紫外線から保護されるため長期間に亘って、使用す
ることができる資材となる。
【0052】また、農業用被覆資材として使用すること
により、従来の農業用被覆材では得られなかった種々の
栽培効果を得ることができる。それを要約して示せば次
のとおりである。 従来の農業用被覆材を用いた場合に比べて有用植物
の栽培管理が極めて容易になるので、農家は栽培に失敗
することなく、安定した収穫を得ることが可能となる。 従来の農業用被覆材を用いた場合に比べて高品質の
収穫物を多量に収穫できるようになるので高収益を得る
ことが可能となる。
【0053】ここで、「有用作物」とは、人類の生活に
おいて役立つ農園芸上及び林業上の作物を包含し、具体
的には以下のものが例示される。 (1)農園芸作物 食用作物・・・イネ、コムギ、トウモロコシ、ダイ
ズ、サツマイモ、バレイショ等
【0054】 園芸作物・・・果樹:リンゴ、ナシ、カキ、モモ、ウ
メ、ブドウ、ビワ、イチジク、ブルーベリー、ザクロ、
レモン、ミカン類、等 果菜:キユウリ、スイカ、トマト、イチゴ、カボチャ、
メロン、ナス、エンドウ、オクラ、ピーマン、等 根菜:ニンジン、ゴボウ、サトイモ、ショウガ、レンコ
ン、ワサビ、クワイ、ラッキョ、等
【0055】 葉菜:ハクサイ、ネギ、ニンニク、タマネギ、カンラ
ン、セリ、ホウレンソウ、シソ、フキ、セルリー、ニ
ラ、パセリー、ミツバ、アスパラカス、ウド、等 花類:一・二年草、アサガオ、コスモス、アイスランド
ポピーアスター、イエローサルタン、キンギョソウ、キ
ンセンカ、ストック、パンジー、ヒマワリ、ベニジュウ
ム、ディモルフォセカ、ベニバナ、ホワイトレースフラ
ワー、ヤグルマソウ、トルコギキョウ、ローダンセ、等
【0056】 宿根草:シバ類、東洋ラン、カスミソウ、カーネーショ
ン、ガーベラ、キキョウ、キク、カキツバタ、スターチ
ス、シャクヤク、マーガレット、等 球根草:ユリ類、グラジオラス、アイリス、アネモネ、
カラー、スイセン、フリージア、ラナンキュラス、ヒオ
ウギ、等 花木類:アカシア、ツツジ、バラ、ニューサイラン、サ
ツキ、サルスベリ、ジンチョウゲ、センリョウ、ソテ
ツ、ツバキ、サザンカ、ユーカリ、等 温室植物:洋ラン、シクラメン、等
【0057】 工芸作物・・・油料作物 ナタネ、ゴマ、等 糖料作物 サトウキビ、テンサイ、等 繊維作物 ワタ、アサ、等 デンプン作物 コンニャク、等 薬料作物 ハッカ、ケシ、等 嗜好作物 チャ、タバコ、ホップ、等 紙原料作物 コウゾ、ミツマタ、等 染料作物 アイ 香料作物 ゼラニウム 樹液作物 ウルシ
【0058】 飼料作物・・・飼料作物 オーチャードグラス、アカ
クローバー、シロクローバー、等 飼肥料木 パンノキ、ネムノキ、等 緑肥作物 レンゲ、ウマゴヤシ、等 常緑広葉樹 アオキ、ヤツデ 落葉広葉樹 ナラ、ブナ (2)林業樹木・・・ 針葉樹 スギ、ヒノキ、マツ、等 常緑広葉樹 アオキ、ヤツデ、等 落葉広葉樹 ナラ、ブナ、等
【0059】これら作物のうち、本発明の農業用被覆材
が特に有利に適用できる作物は園芸作物であり、中で
も、上記分類における果菜類、根菜類、葉菜類、花類、
宿根草菜類、花木類及び温室植物が好ましく、さらに果
菜類、花類、宿根草菜類及び花木類が好ましく、果菜類
及び花木類が最も好適である。
【0060】ここで、好適に使用される果菜類として
は、キュウリ、スイカ、トマト、イチゴ、メロン及びピ
ーマンが挙げられ、特にキュウリ、メロン、トマトが好
ましく、根菜類としては、ニンジン及びショウガが好ま
しく、葉菜類として、ハクサイ、ネギ、セルリー及びミ
ツバが好適である。
【0061】また、好適に使用される花類としては、ス
トック及びトルコギキョウが挙げられ、宿根草菜類とし
ては、東洋ラン、カスミソウ、カーネーション、ガーベ
ラ、キク及びスターチスが挙げられ、特にカーネーショ
ン、ガーベラ及びキクが好ましく、球根草類としては、
ユリ類及びアイリスが好ましく、花木類としてはバラが
好適である。
【0062】このようにして得られた樹脂成形物は、例
えば特に耐久性の要求される看板、鋼板、プラスチック
板、シート、フイルム等の表面保護膜、電子基板及びE
L保護膜等の電子材料用膜、さらに特に耐久性の要求さ
れる農業用被覆資材、テント及び屋外倉庫等の屋外構築
物用膜に使用されるもので、業界に寄与するところ多大
である。
【0063】以下実施例により、さらに詳細に説明する
が、本発明は、実施例のみに限定されるものではないこ
とは、いうまでもない。
【0064】〔実施例〕 実施例1〜4、比較例1 市販されているETFE〔旭硝子(株)製、アフロン C
OP,C-88AX〕を使用して、表1に示したAを添
加し、従来通りの製膜方法に準じ、樹脂温度320℃で
膜厚60μのフイルムを押出成形した。
【0065】
【表1】
【0066】〔参考例〕 1.表面保護膜への使用例 参考例1〜3、参考比較例1 実施例で調製したフイルムNO.1〜6の一面を、放電電
流10A、放電電圧120V、ラインスピード13m/mi
nの条件でコロナ放電処理を行った。処理面にグラビア
印刷で、木目印刷を行ない、次いで、アクリル系接着剤
〔ニッセツ(株)製,ニッセツPE−154〕をトルエン
にて不揮発分濃度30%に希釈した後、60g/m2塗布
し、乾燥させた。
【0067】これらフイルムを白色PVC板上にラミネ
ートし、これをサンシャインウェザーメーター(W−O
−M)暴露し、照射時間1,000、2,500、5,0
00時間後、状態観察結果を表2に示した。
【0068】
【表2】
【0069】つぎに観察項目と評価判定基準を示した。 (1)印刷インクの変色度合、 ◎…全く変色が見られない。 ○…僅かに変色が見られるが、実用的にはほとんど問題
ない。 △…変色は見られるが、一部の用途を除き使用可能であ
る。 ×…変色が著しく、実用的には使用できない。
【0070】(2)接着強度の低下度合 ◎…強度の低下が全く見られない。 ○…僅かに低下が見られるが、実用的にはほとんど問題
ない。 △…低下が見られるが、一部の用途を除き使用可能であ
る。 ×…褐変が著しく、実用的には使用できない。
【0071】(3)白色PVC板の黄変度合 ◎…黄変が全く見られない。 ○…僅かに黄変が見られるが、実用的にはほとんど問題
ない。 △…黄変が見られるが、一部の用途を除き使用可能であ
る。 ×…黄変が著しく、実用的には使用できない。
【0072】(4)実用性 ◎…実用性に極めて優れている。 ○…実用性に優れる。 △…用途を限定することにより実用性が認められる。 ×…実用性が認められない。
【0073】表2で明らかなように、本発明によるフイ
ルムNO,2,4〜5を使用することにより、印刷インク、
接着剤及びPVCの劣化が防止されることが判る。特に
フイルムNO,5では、W−O−M5,000Hrs、でもそ
の劣化はほとんど見られなかった。
【0074】これに対し、フイルムNO1では、W−O−
M 1,000Hrsで、フイルム自身は何等損傷は見られ
なかったが、印刷インク、接着剤、PVCの損傷が著し
く、表面保護膜としては、実用性が認められなかった。
【0075】2.農業用被覆資材への使用例 参考例 4〜7、 参考比較例 2、 (1) バラの栽培例 12月15日にフイルムNO.及び1〜5をそれぞれ展張
りしたハウス(間口20m、奥行50m)内にバラ苗(品
種:カールレッド)を株間40cmとなる様に定植し、ハ
ウス内温度を16℃以上に保持しつつ慣行法に準じて栽
培を行ない、バラの収穫を3月20日から11月15日
まで実施した。その結果を表3に示した。
【0076】
【表3】
【0077】ここで、収穫量とは、フイルムNO.1を展張
したハウスにおけるバラの総収穫本数を100とした時
の指数で示したものである。表3からでも明らかなとお
り、フイルムNO.1を展張したハウス内のバラの花弁に
は、縞状の黒いシミが多数発生し、これらは商品として
販売できなかった。
【0078】この対策として、光線を50%遮蔽する黒
色寒冷紗を太陽光線が強くなるたびに、ハウスの天井に
被覆して、バラに強光が直接照射されないように毎日、
日照管理したところ、黒色のシミの発生量は、約1/3
程度までになったが、逆に、寒冷紗の使用頻度を多く
し、太陽光線量を制御すると、バラの花色が淡泊化し、
いわゆる色ボケ現象が発生し、品質が低下してしまっ
た。
【0079】これに対して、フイルムNO.3〜5を展張
したハウス内のバラの生育が促進され、採花時期がNO.
1に比較して3〜4日早まり、その花色は、極めて鮮や
かな紅色となり、商品性の高いものとなった。以上のと
おり、フイルムNO.2〜5を展張したハウスでは、フイ
ルムNO.1を展張したハウスに比較して、栽培管理が極
めて容易になり、農家はバラの栽培に失敗することな
く、安定した収穫を得ることが可能となったばかりか、
高品質のバラを多量に収穫できるようになったので、高
収益を得ることが可能となった。
【0080】参考例8、 参考比較例3 (2)トマトの栽培例 実施例で得られたフイルムNO.1及び5をそれぞれハウ
ス(間口10m、奥行20m)に展張した。 栽培−1 8月25日にトマトの種子(品質:桃太郎)を播種し、
育苗した。第1花房が2〜3花、開花した、10月1日
に生育が均一に揃った若苗をそれぞれのハウス内に株間
が50cmとなるように定植した。
【0081】施肥量は、表4に示すとおりとし、灌水
は、定植後10日間位、若苗が、しおれない程度に控え
目にしてあまり生長させないように管理した。栽培温度
は、午前中は28℃、午後は25℃、夜温は5℃となる
ように管理した。このため、低温期には、暖房機により
温風暖房した。
【0082】
【表4】
【0083】収穫は、12月1日から翌年5月30日ま
で行った。その収量調査結果を表5に示した。
【0084】
【表5】
【0085】ここで、調査項目と評価方法を以下に示
す。 収穫量:フイルムNO.1を展張したハウスにおける収穫
物の総重量を100とした、指数である。 フイルムNO.1の下では、トマトの生育が遅れ気味で、
茎葉部及び果実は硬く、株全体は、小型化してしまっ
た。その結果、収穫時期は他のフイルムを展張したハウ
スより遅れることになった。さらにトマト果実の外皮の
色合と果実内のゼリー部の色合のバランスが崩れてお
り、果実内は未だ緑色(未熟)であるが、外皮は既に熟
したかのような色合を示していた。
【0086】栽培−2 栽培−1の結果に基づいて、次年の栽培管理を次のとお
り変更して、栽培した。フイルムNO.5を展張したハウ
スは、栽培−1と同じ管理条件とした。フイルムNO.1
を展張したハウスでは、施肥料を1割増加し、灌水量
は、合計すると10〜15%増加し、夜温を1℃高く保
持管理し、太陽からの直射日光が強くなったらその都
度、50%遮光性のある黒色寒冷紗をハウスの天井に被
覆した。
【0087】このように、フイルムNO.1を展張したハ
ウスでは、農家の管理作業に費やす時間が、フイルムN
O.5に比較すると約1.5〜2倍にもなり、特にフイル
ムNO.1のハウスでは、常に太陽光線の強さをチェック
する必要があり、他の作業に支障を来たした。その栽培
結果を表6に示した。
【0088】
【表6】
【0089】表6で明らかなように、フイルムNO.1を
展張したハウスでは、前年度より収穫量が相対的に増加
したが、フイルムNO.5までには至らず、品質も、フイ
ルムNO.5を展張したハウスには及ばなかった。
【0090】以上2年間の栽培結果からしてフイルムN
O.5を展張することにより、トマトの栽培管理は、従来
から使用されているフイルムNO.1に比較して、栽培管
理が極めて容易となり、栽培に失敗することなく、安定
した収穫を得ることができた。
【0091】さらに、収穫したトマトの品質も優れたも
のであるためその収益性は極めて高いものとなった。ま
た実施例で使用したETFE以外の樹脂、PVDF及び
PFA等のPF、PA、PVC、PC及びPETでもE
TFEと同様な結果を得た。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 27/18 KJP C08L 27/18 KJP 101/00 KJF 101/00 KJF C09C 3/06 PBT C09C 3/06 PBT

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、金属複合体(A)微粉末を含
    有してなることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 該Aが表面をシリカで被覆した金属酸化
    物である請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 該金属酸化物が酸化チタンである請求項
    2記載の樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 該樹脂が含フッ素系樹脂である請求項1
    〜3いずれか記載の樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 該含フッ素系樹脂がエチレン-テトラフ
    ルオロエチレン共重合体(ETFE)である請求項4記
    載の樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 少なくとも、金属複合体(A)微粉末を含
    有してなることを特徴とする樹脂成形物。
  7. 【請求項7】 該樹脂成形物がフイルムである請求項6
    記載の樹脂成形物。
  8. 【請求項8】 該フイルムが、280〜320nmの波長
    域の紫外線の透過を少なくとも30%以上阻止し、且つ
    460〜600nmの波長域の可視光線の透過率が少なく
    とも70%である請求項7記載の樹脂成形物。
  9. 【請求項9】 該フイルムが農業用被覆資材である請求
    項7〜8いずれか記載の樹脂成形物。
  10. 【請求項10】 該A微粉末を0.05〜10wt%含有
    している請求項6記載の樹脂成形物。
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