JPH08258199A - 積層成形体 - Google Patents

積層成形体

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JPH08258199A
JPH08258199A JP7064089A JP6408995A JPH08258199A JP H08258199 A JPH08258199 A JP H08258199A JP 7064089 A JP7064089 A JP 7064089A JP 6408995 A JP6408995 A JP 6408995A JP H08258199 A JPH08258199 A JP H08258199A
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JP
Japan
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skin material
laminated molded
base sheet
sheet
layer
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Application number
JP7064089A
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English (en)
Inventor
Hitoshi Nakamichi
均 中道
Tadahiko Inagaki
忠彦 稲垣
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Kyowa Leather Cloth Co Ltd
Original Assignee
Kyowa Leather Cloth Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 リサイクルが容易で、燃焼時等において塩化
水素ガス等の有害物質を発生せず、環境を汚染する恐れ
の少ない、環境に優しいオレフィン系樹脂組成物を用い
た触感に優れた積層成形体を提供すること。 【構成】 熱可塑性オレフィン系樹脂からなる成形基材
11に、表皮材として高意匠性の柄等のデザインを加味
した熱可塑性オレフィン系樹脂主体のフィルム又はシー
トを積層する。表皮材は少なくともベースシート1とポ
リオレフィン系発泡層13とを有する。このべースシー
ト1はハード成分(A)としての熱可塑性性オレフィン
系樹脂と、ソフト成分としての(B)スチレン系共重合
体とのブレンドタイプのオレフィン系樹脂組成物からな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、成形基材に表面の加飾
・高機能化が可能な表皮材を積層することにより、その
意匠性、ソフト感を高め高級化した積層成形体に係り、
特に自動車内装材、電気製品、化粧品ケース、家具・建
材等に使用されるのに好適な外観の優れた表皮材を有す
る積層成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、熱可塑性樹脂成形基材に表皮
材を積層することにより、その意匠性、ソフト感を高め
高級化した成形品は広く知られており、その表皮材とし
て、軟質ポリ塩化ビニル、熱可塑性エラストマー又は軟
質ポリ塩化ビニル表皮層とポリプロピレン系発泡層とか
らなる表皮材や、オレフィン系熱可塑性エラストマー表
皮層とポリプロピレン系発泡層とからなる表皮材、ある
いは裏プリントした2軸延伸ポリエチレンテレフタレー
トフィルムなどが用いられている。これらの表皮材が積
層される成形基材の材質としては、ABS、ポリスチレ
ン、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の積層成形体は、一部を除き熱可塑性樹脂成形基材と表
皮材の材質が異り、表皮材と成形基材との間に接着剤を
使用せざるを得ず、使用済み製品や成形不良品などのリ
サイクルが簡単ではない。一部、オレフィン系熱可塑性
エラストマー表皮層とポリプロピレン系発泡層からなる
表皮材とポリプロピレン系成形基材の組合せの場合に
は、リサイクルが比較的やりやすいが、それらの製品で
も真空成形等の成形加工性が劣る、あるいはスクラッチ
性等の表皮物性が劣る等の問題があった。
【0004】また、表皮材がポリ塩化ビニルを含む場
合、燃焼時に塩化水素ガス等の有害物質を発生するため
に、焼却等の廃棄処理をする際に焼却炉を傷めたり環境
を汚染する恐れがある等の問題があった。
【0005】本発明の目的は、リサイクルが容易で、燃
焼時等において塩化水素ガス等の有害物質が発生せず、
環境を汚染する恐れの少ない、環境に優しく、かつ、ソ
フト感を高めた積層成形体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明の積層成形体は、成形基材と該成形基材
上に積層される表皮材とを備え、前記成形基材が熱可塑
性オレフィン系樹脂を材質とし、前記表皮材の少なくと
もベースシートが、ハード成分としての(A)熱可塑性
オレフィン系樹脂と、ソフト成分としての(B)スチレ
ン系共重合体と、のブレンドタイプのオレフィン系樹脂
組成物を材質とし、さらに前記表皮材がポリオレフィン
系発泡層を有することを特徴とするものである。
【0007】本発明の表皮材のベースシートのハード成
分としての(A)熱可塑性オレフィン系樹脂とは、プロ
ピレン、エチレン、又は炭素数4〜10のα−オレフィ
ン、例えば、ブテン−1、4−メチル−1−ペンテン等
の単独重合体又は共重合体、あるいはそれらの混合物等
が例示される。ポリプロピレンの場合には、得られるフ
ィルム・シートの透明性、メルトフローレート、曲げ弾
性率、融点、および結晶性などの点から目的に応じて任
意に選定すればよいが、特にランダムポリプロピレンが
好適である。このランダムポリプロピレン(以下ランダ
ムPP樹脂と称す)は、ゴム成分が不規則に付加してい
るのでポリマーの立体規則性が乱れて結晶性が比較的低
く、そのため、透明度が高く柔軟性を付与することが可
能である。
【0008】このようなランダムPP樹脂において、特
に透明性に優れ、メルトフローレート(JIS K67
58)は0.3〜30g/10min、より好ましくは
0.3〜9g/10min、曲げ弾性率(JIS K6
758)は3000〜30000kgf/cm2 、より
好ましくは4000〜13000kgf/cm2 、ビカ
ット軟化温度70〜150℃(JIS K6758)の
ものが望ましく、市販品としては、FS6632〔住友
化学工業(株)製〕、ハイポールB230〔三井石油化
学工業(株)製〕、ノーブレンGEB−G5〔三井東圧
化学(株)製〕などを挙げることができる。
【0009】ポリエチレンの場合には、特に耐衝撃強
度、透明性に優れた低密度ポリエチレン又は機械的特
性、耐熱安定性に優れた高密度ポリエチレンが好適であ
り、これらは単独又は併用して使用することができる。
これらのポリエチレンでは、例えば、溶融温度が70〜
140℃程度が好ましく、またメルトフローレート(J
IS K6760)が0.3〜30g/10min、よ
り好ましくは0.3〜10g/10minのものが望ま
しい。
【0010】ポリブテンとしては、ブテン−1を主モノ
マーとし、チーグラー系触媒を用いて重合された高立体
規則性の結晶性ポリマーが好適であり、これらのポリブ
テンでは、溶融温度が70〜140℃程度が好ましく、
またメルトフローレート(JIS K6760)が0.
3〜30g/10min、より好ましくは0.3〜10
g/10minのものが望ましい。
【0011】本発明の表皮材のベースシートにおけるハ
ード成分(A)熱可塑性オレフィン系樹脂は、上記した
熱可塑性オレフィン系樹脂の2種又は3種以上の混合物
の方が望ましい。この混合物としては、ポリプロピレン
を必須成分とし、これに他の熱可塑性オレフィン系樹脂
としてポリエチレン及び/又はポリブテンを混合するこ
とが望ましい。また、ポリプロピレン100重量部に対
するポリエチレン及び/又はポリブテンの混合割合は1
〜100重量部、好ましくは1〜75重量部、さらに好
ましくは1〜50重量部である。ポリプロピレン100
重量部に対してポリエチレン及び/又はポリブテンの混
合割合が、100重量部を越えると表皮材の引っ張り強
度が低下するため好ましくなく、1重量部未満だと加工
性が低下するため好ましくない。
【0012】また、本発明の表皮材のベースシートのソ
フト成分(B)としてのスチレン系共重合体には、水素
添加した共重合体と水素添加していない共重合体とがあ
る。水素添加した共重合体は、必ずしもすべての二重結
合が飽和されていなくともよい。
【0013】このようなスチレン系共重合体には、例え
ば、スチレン系ブロック共重合体、スチレン系ランダム
共重合体等が挙げられる。スチレン系ブロック共重合体
としては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共
重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重
合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレ
ン−SBRブロック共重合体、スチレン−SBR−スチ
レンブロック共重合体等が例示され、水素添加したブロ
ック共重合体と水素添加していないブロック共重合体と
が挙げられる。特に表皮材の耐熱性、耐候性等の物性面
から、スチレン系ブロック共重合体としては、水素添加
したスチレン系ブロック共重合体が好ましい。スチレン
系ブロック共重合体の市販品としては、例えば、クレイ
トンG〔シェル化学(株)製〕、ハイブラー〔(株)ク
ラレ製〕、タフテック〔旭化成工業(株)製〕等が挙げ
られる。
【0014】また、スチレン系ランダム共重合体として
は、スチレンとブタジエンのランダム共重合体等が例示
され、水素添加したランダム共重合体と水素添加してい
ないランダム共重合体とがある。これらの中で、特に表
皮材の耐熱性、耐候性等の物性面から水素添加したラン
ダム共重合体が好ましい。スチレン系ランダム共重合体
の市販品としては、例えば、ダイナロン〔日本合成ゴム
(株)製〕等が挙げられる。
【0015】ハード成分(A)としての熱可塑性オレフ
ィン系樹脂に対するソフト成分(B)としてのスチレン
系共重合体の混合割合は、1〜200重量部:1〜20
0重量部、好ましくは50〜150重量部:10〜80
重量部、さらに好ましくは80〜120重量部:20〜
60重量部である。ハード成分(A)としての熱可塑性
オレフィン系樹脂に対するソフト成分(B)としてのス
チレン系共重合体の混合割合が、200重量部を越える
と柔らかすぎて加工性が低下するため好ましくなく、1
重量部未満だと結晶性が高過ぎて加工性が低下し好まし
くない。
【0016】本発明の表皮材におけるベースシートに
は、必要に応じて特性を改良するために任意の成分を添
加することができる。任意の成分として、例えば、紫外
線吸収剤、光安定剤(HALS等のヒンダードアミン系
光安定剤等)、帯電防止剤、酸化防止剤、耐光安定剤、
着色剤等を挙げることができる。本発明の表皮材は、少
なくとも上記したべースシートを有し、更に積層成形体
の用途等によりベースシートの表面にオレフィン系樹
脂、その他の塩化ビニル系樹脂以外の樹脂等からなるコ
ーテイング層を設けてもよい。
【0017】また、本発明の表皮材はポリオレフィン系
発泡層を有する。このポリオレフィン系発泡層として
は、ポリプロピレン系樹脂(例えば、ホモポリプロピレ
ン、ランダムポリプロピレンあるいはブロックポリプロ
ピレン)及び/又はポリエチレン系樹脂(例えば、高密
度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン)等のポリオ
レフィン系樹脂を主に配合された材料系の発泡体等が好
ましい。
【0018】さらにポリオレフィン系発泡層の圧縮硬さ
は、0.5〜2.1kgf/cm2(JIS K 67
67)が好ましい。圧縮硬さが0.5kgf/cm2
りも小さいと、ポリオレフィン系発泡層をベースシート
と貼り合わせる際にポリオレフィン系発泡層がつぶれる
ため好ましくなく、一方、圧縮硬さが2.1kgf/c
2 よりも大きいと、積層成形体の触感が硬くなり好ま
しくない。
【0019】また、ポリオレフィン系発泡層の発泡倍率
は5〜30倍、好ましくは10〜20倍程度が好まし
い。発泡倍率が5倍よりも小さいと、積層成形体の触感
が硬くなり好ましくなく、一方、発泡倍率が30倍より
も大きくなると、発泡層のみが柔らかくなりすぎて積層
成形体としては底つき感が出て触感が好ましくない。さ
らにポリオレフィン系発泡層は、表皮材中に設けられれ
ばよいが、表皮層の表面の場合、スクラッチ性等の特性
が落ちるとともに高級な意匠性を表現しににくなるの
で、ポリオレフィン系発泡層は表皮材中、最も成形基材
側に位置するように設けられることが望ましい。
【0020】ポリオレフィン系発泡層の厚みは、0.1
mm〜20mm、好ましくは1.0mm〜10mm程度
の範囲で選定されてよい。このようなポリオレフィン系
発泡層に使用される材料としては、PPAM〔東レ
(株)製〕、PPSM〔東レ(株)製〕等が挙げられ
る。表皮材中にポリオレフィン系発泡層を有することに
より極めて良好な触感を有することになる。
【0021】本発明の成形基材に用いられる熱可塑性オ
レフィン系樹脂とは、プロピレン、エチレン、又は炭素
数4〜10のα−オレフィン、例えば、ブテン−1、4
−メチル−1−ペンテン等の単独重合体又は共重合体等
が例示されるが、これらは単独又は併用して使用するこ
とができる。具体的には、市販品としては、ハイポール
J300〔三井石油化学工業(株)製〕、J440〔三
井石油化学工業(株)製〕、B240〔三井石油化学工
業(株)製〕、ノーブレンW531〔住友化学工業
(株)製〕、スミカセンG401〔住友化学工業(株)
製〕、ノーブレンS131〔住友化学工業(株)製〕、
ハイゼックス2100J〔三井石油化学工業(株)
製〕、ウルトゼックス2021L〔三井石油化学工業
(株)製〕などを挙げることができる。
【0022】成形基材に用いられる熱可塑性オレフィン
系樹脂は、表皮材のベースシートに用いられる熱可塑性
オレフィン系樹脂と同一でも良いし異なっていても良
く、また、透明であっても良いし不透明であっても良
い。また、積層成形体の剛性或いは耐衝撃性等を上げる
ため或いは耐熱性を上げるため等の目的で、必要に応じ
て成形基材に任意の成分を添加することができる。任意
成分としては、例えば、充填剤、酸化防止剤、着色剤、
難燃剤等を挙げることができる。
【0023】本発明において、表皮材のベースシート成
形方法としては、カレンダー法、押出し法等が挙げられ
るが、カレンダー法の方が望ましい。また、本発明の積
層成形体の成形方法としては、(1)あらかじめ作製し
た表皮材を、Tダイ等の押出し機によりシーティングし
た成形基材とラミネートしながら所望の積層成形体を
得、その後、さらに真空成形、プレス成形、或いは射出
成形する方法。(2)表皮材と、Tダイ等の押出し機に
よりシーティングした成形基材を、熱プレス機の型内に
重ねてセットし、プレス成形する方法。(3)表皮材を
あらかじめ射出成形機の金型内にセットしておき、成形
基材を射出成形する。この場合、表皮材は金型内にセッ
トする前に真空成形等により予備成形する方法。等が例
示される。
【0024】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1は本発明の積層成形体の一実施例を示す断面
図である。図1において、ベースシート1は、ハード成
分(A)としての熱可塑性オレフィン系樹脂と、ソフト
成分(B)としてのスチレン系共重合体と、のブレンド
タイプのオレフィン系樹脂組成物からなり、以下の図に
おけるベースシートにおいても同様である。
【0025】ベースシート1に対し、絵柄等の印刷によ
る印刷層2が形成されるが、ベースシート1自体に意匠
的効果を付与させるようにしてもよい。ベースシート1
自体に意匠的効果を付与させるには、ベースシート1自
体を公知の顔料等による着色、あるいはパール顔料等を
練り込むことができる。ベースシート1の厚みはシート
の層構造やその用途等により異なるが、強度や後加工又
は取扱い易さ等の点から0.05〜1mm程度が望まし
い。
【0026】印刷層2は顔料等を分散したインキによ
り、グラビア印刷、オフセット印刷、オフセットグラビ
ア印刷、シルクスクリーン印刷等の印刷手段の他に転写
手段を用いて形成することができる。印刷層2には、格
子模様、水玉模様や抽象柄、石目柄、木目柄等の天然物
の柄、文字、記号等から任意のパターンを選定すること
ができる。また、印刷層2を形成するインキとしては通
常の着色インキの他にパール顔料インキやビーズ顔料イ
ンキ等を使用することができる。
【0027】印刷層2は上記したような印刷や転写によ
り形成できるとともに、部分蒸着、グロスマット印刷等
により形成することができる。グロスマット印刷は、例
えば、シートの全面に光沢のあるインキを用いて全面ベ
タ印刷を施し、次いで印刷パターン面に艶消しインキを
用いて模様を印刷する方法である。
【0028】このような印刷層2とベースシート1との
密着性を向上させるために、着色したベースシート1の
面にコロナ放電を施すことが望ましい。また印刷層2と
ベースシート1との界面剥離を防止するためにプライマ
ー層3を設けることが望ましい。プライマー層3として
は、塩素化処理した熱可塑性オレフィン系樹脂、ポリエ
ステル、エチレン−ビニルアルコール共重合体等を主成
分とし、これに必要に応じてイソシアネート等の硬化剤
や充填剤等を添加した溶液を使用できる。
【0029】印刷層2が形成された面には透明シート4
が設けられる。この透明シート4はベースシート1と同
様なオレフィン系樹脂組成物が使用される。透明シート
4は厳密な意味での透明の他に所謂、着色透明であって
もよい。
【0030】この透明シート4の面に任意のエンボスが
施される。エンボスとしては、例えば平版プレス機、ロ
ールエンボス機等の公知のプレス機、エンボス機を用い
ることができ、熱及び圧力によりエンボス版の凹凸形状
がシート上に賦形される。ロールエンボス機による手段
では、円筒状のエンボス版の凹凸形状を熱及び圧力でシ
ートに賦形することができる。凹凸形状の他に鏡面のエ
ンボスも含む。
【0031】エンボス時における材料の熱及び圧力条件
はベースシート1の熱変形温度と溶融温度との間の温度
範囲で加熱し、エンボス版をベースシート1の表面に押
圧して賦形した後、冷却する。加熱方法としては、例え
ば、温風吹き付け、加熱ローラーによる伝導熱、赤外線
照射、誘導加熱等の方法が用いられる。また、シート上
にエンボスを形成する場合、エンボス版を用いることな
く賦形フイルムを用いたキャスト同時賦形等により設け
ることもできる。エンボスは、印刷層2を設けた部分面
のみに設けてよく、また、透明シート4の全面に設けて
もよい。ポリオレフィン系発泡層13は、発泡倍率が5
〜30倍程度であり、厚みが0.1〜20mm程度であ
る。
【0032】成形基材11は、熱可塑性オレフィン系樹
脂が使用される。図1に示す積層成形体の場合、表皮材
の厚みが0.15〜20mm程度であり、成形基材の厚
みが0.30〜30mm程度である。この積層成形体
は、大部分を熱可塑性オレフィン系樹脂で占めるため、
成形基材へのリサイクルが容易となるだけでなく、塩化
ビニル系の樹脂を使用していないために燃焼時における
塩化水素ガス等の有害物質が発生せず、環境を汚染する
恐れが少ない。
【0033】図2は、本発明の積層成形体の他の実施例
を示す断面図である。この積層成形体は、図1における
透明シート4の代わりに表面保護層5が用いられている
点において異なっている。表面保護層5は、表皮材14
の表面における耐候性、耐汚染性、耐摩耗性、耐擦傷性
等を向上させるために設けられる。
【0034】この表面保護層5は、例えば、表面物性に
優れた無色透明又は着色透明の、ポリウレタン系の1液
又は2液硬化型樹脂やポリエステル系樹脂、アクリル系
樹脂、EB硬化型アクリル樹脂、UV硬化型アクリル樹
脂等がコーティング又はスプレイにより成形され、その
表面には砂目模様等の任意のエンボスが施される。
【0035】図3は、本発明の積層成形体の更に他の実
施例を示す断面図である。この積層成形体は、本発明の
ベースシートの材質であるオレフィン系樹脂組成物から
なる透明なベースシート6の表面及び裏面にそれぞれ印
刷層2が施され、それぞれ印刷層2が設けられた面に表
面保護層5と裏面保護層7とが設けられる。
【0036】この積層成形体においても、印刷層2と透
明なベースシート6との密着性を向上させるために透明
なベースシート6の両面をコロナ処理すること、或いは
プライマー層3を設けることは図1及び図2と同じであ
る。またこの積層成形体においては裏面着色層7は、本
発明のベースシートの材質であるオレフィン系樹脂組成
物を用いることができるが、表面保護層5としては図2
の表面保護層5の場合と同様とすることが望ましい。
【0037】図4は、本発明の積層成形体の更に他の実
施例を示す断面図である。この積層成形体は、ベースシ
ート1にプライマー層3を介して印刷層2を形成し、次
いでベースシート1とこのベースシート1に使用されて
いるものと同様なオレフィン系樹脂組成物が使用されて
いる透明シート8とをラミネートエンボスを施し、透明
シート8の表面に木目調等のエンボスを形成した後、ワ
イピングを施しエンボスにより形成された凹部内にワイ
ピングインキ9を充填することによって、例えば、木目
の導管部の外観を発現させるのに有効であり、積層成形
体の意匠的効果を更に向上させることができる。
【0038】このワイピングの手段による加工方法とし
ては、エンボスを設けたシートの表面全面に着色インキ
や塗料等のワイピングインキを塗工し、エンボスにより
形成された凸部のインキや塗料等をドクターブレード、
エアーナイフ或いはスポンジ等で拭き取ることにより形
成される。この際、必要に応じて凸部のインキを若干残
留させても良い。
【0039】ワイピングインキとしては種々のインキを
使用することができるが、ビヒクルとしてアクリル、エ
チレン−酢酸ビニル共重合体等からなる水性エマルジョ
ン、或いはイソシアネート、アミン等の硬化剤を用いた
2液硬化型のポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹
脂、メラミン樹脂等を用いることが表面物性の点から望
ましい。ワイピングインキによる処理の後にその表面に
表面保護層5が設けられる。表面保護層5としては図2
の表面保護層5の場合と同様とすることが望ましい。
【0040】図5は、本発明の積層成形体の更に他の実
施例を示す断面図である。この積層成形体は、着色した
ベースシート1にプライマー層3を介して印刷層2を形
成し、この印刷層2の形成面に透明フィルム10を熱ラ
ミネートしたものである。この際、プライマー層3とし
ては、ベースシート1と透明フィルム10との密着強度
を高めるためにホットメルト接着剤を塗工することが望
ましい。
【0041】透明フィルム10の材質としては、アクリ
ル系樹脂以外にエチレン−ビニルアルコール共重合体系
樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレ
フィン系樹脂、及びフッ素系樹脂等、用途に応じて任意
に選定することができる。そして、この透明フィルム1
0の表面には必要に応じエンボスが施される。
【0042】図6は、本発明の積層成形体の更に他の実
施例を示す断面図である。この積層成形体は、成形基材
11に、パール顔料等の光輝性顔料等を含む着色したベ
ースシート12とポリオレフィン系発泡層13からなる
表皮材を積層したものである。この構成により、メタリ
ック調の高意匠性の成形体が得られる。
【0043】図7は、本発明の積層成形体の更に他の実
施例を示す断面図である。この積層成形体は、透明なベ
ースシート6にコロナ処理なしでプライマー層3を施し
てから印刷層2を設けたものである。プライマー層3と
して、塩素化処理した熱可塑性オレフィン系樹脂を使う
場合はコロナ処理が不要である。図中、5は表面保護
層、11は成形基材、13はポリオレフィン系発泡層で
あり、これらの材質は図1の場合と同様でよい。
【0044】表皮材と成形基材のラミネート或いは接着
については、表皮材側の接着面がポリオレフィン系発泡
層13であり、また成形基材側の接着面が本発明の熱可
塑性オレフィン系樹脂であるため、コロナ処理やプライ
マー処理等の前処理なしで押出し同時ラミネートあるい
は熱プレスあるいは射出同時圧着等の熱成形により容易
に接着する。
【0045】次に、本発明のベースシートのオレフィン
系樹脂組成物について具体的実施例を挙げて本発明を更
に詳細に説明する。
【0046】実施例1 組成A ポリプロピレン 70重量部 水添スチレン系ブロック共重合体 15重量部 ポリエチレン 5重量部 酸化防止剤 0.5重量部 ヒドロキシステアリン酸系滑剤 0.2重量部 顔料 9.3重量部
【0047】 組成B ポリプロピレン 70重量部 水添スチレン系ランダム共重合体 25重量部 ポリブテン 4.4重量部 酸化防止剤 0.5重量部 造核剤 0.1重量部
【0048】 組成C ランダムポリプロピレン 70重量部 線状低密度ポリエチレン 30重量部 架橋反応促進剤 A 0.8重量部 架橋反応促進剤 B 1.2重量部 発泡剤 12重量部 酸化防止剤 0.5重量部
【0049】上記の組成Aからなる厚み0.1mmのベ
ースシートにコロナ放電処理を施し、そのシート面のぬ
れ指数を40dyn/cmとした。次にベースシートの
面に、ポリエステル系樹脂を主成分としたプライマー剤
(特殊色料工業(株))に対し、イソシアネート系硬化
剤を10重量%添加した組成からなるプライマー層を設
けた。このプライマー層面にグラビア印刷によって木目
柄を印刷し、ポリウレタン系の2液硬化型樹脂をコーテ
ィングした組成Bからなる厚み0.1mmの透明シート
と組成Cからなる圧縮硬さ:1.4kgf/cm2 、発
泡倍率:15倍、厚み:3mmのポリオレフィン系発泡
層と木目調のラミネートエンボスを施し、表皮材を得
た。
【0050】押出し機で成形基材を押出ししながら、得
られた表皮材と成形基材とを同時にラミネートして所望
の積層成形体を得た。この積層成形体を、真空成形し、
高意匠性の木目調積層成形体を得た。
【0051】実施例2 実施例1と同じ組成Aからなる厚み0.12mmの着色
したベースシートにグラビア印刷によって抽象柄の印刷
を施した後、その表面に熱可塑性ウレタン系エラストマ
ーからなる厚み10μm/dryの表面保護層を形成さ
せた。この表面保護層に、組成Cからなる圧縮硬さ:
1.4kgf/cm2 、発泡倍率:15倍、厚み:3m
mのポリオレフィン系発泡層をラミネートしながら、砂
目柄のエンボスを行ない、表皮材を得た。
【0052】得られた表皮材を真空成形機で予備成形し
た後、射出成形機の金型内にセットし、成形基材を射出
して所望の積層成形体を得た。この積層成形体は、耐摩
耗性、耐擦傷性に優れていた。
【0053】実施例3 実施例1と同じ組成Bからなる0.15mmの透明なベ
ースシートの表面及び裏面にそれぞれ木目柄を印刷した
後、熱可塑性ウレタン系エラストマーからなる厚み10
μm/dryの表面保護層と前記組成Aと同じ組成から
なる厚み0.20mmの着色裏面層および組成Cからな
る圧縮硬さ:1.4kgf/cm2 、発泡倍率:15
倍、厚み:3mmのポリオレフィン系発泡層を設け、表
皮材を得た。
【0054】得られた表皮材と押出し法による成形基材
を熱プレス機の金型内にセットし、プレスして所望の積
層成形体を得た。この積層成形体は、奥行き、立体感に
優れており、かつ表面の耐摩耗性も優れていた。
【0055】実施例4 実施例1と同じ組成Aからなる厚み0.1mmの着色し
たベースシートにグラビア印刷し、次いで上記組成Bか
らなる厚み0.1mmの透明シートおよび組成Cからな
る圧縮硬さ:1.4kgf/cm2 、発泡倍率:15
倍、厚み:3mmのポリオレフィン系発泡層とラミネー
トエンボスを施し、このエンボスによって透明シートの
表面に形成される凹部内にワイピングインキを充填させ
た。
【0056】この表皮材を真空成形機により予備成形し
た後、射出成形機の金型内にセットし、成形基材を射出
した。その後、UV硬化型アクリル樹脂系塗料をスプレ
イ塗装しUV硬化して所望の積層成形体を得た。
【0057】実施例5 実施例1と同じ組成Aからなる厚み0.12mmの着色
したベースシートにグラビア印刷によって木目柄を印刷
した後、厚み0.05mmの透明なアクリル樹脂系フィ
ルム〔鐘淵化学工業(株)〕を熱ラミネートし、次いで
組成Cからなる圧縮硬さ:1.4kgf/cm2 、発泡
倍率:15倍、厚み:3mmのポリオレフィン系発泡層
をラミネートしながら木目調のエンボスを施し、表皮材
を得た。押出し機で成形基材を押出ししながら、得られ
た表皮材を同時にラミネートして所望の積層成形体を得
た。
【0058】
【発明の効果】以上のように本発明の積層成形体は、成
形基材が熱可塑性オレフィン系樹脂からなり、表皮材の
実質的な材質も熱可塑性オレフィン系樹脂からなるの
で、積層体の大部分を熱可塑性オレフィン系樹脂が占め
るため、表皮材を剥がさずに成形基材へのリサイクルが
容易となるだけでなく、燃焼時に塩化水素ガス等の有害
物質が発生せず環境を汚染する恐れが少ない。また、積
層成形体の表皮材中にポリオレフィン系発泡層を有する
ので、極めて触感に優れており、高級感を付与すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層成形体の一実施例を示す断面図で
ある。
【図2】本発明の積層成形体の他の実施例を示す断面図
である。
【図3】本発明の積層成形体の更に他の実施例を示す断
面図である。
【図4】本発明の積層成形体の更に他の実施例を示す断
面図である。
【図5】本発明の積層成形体の更に他の実施例を示す断
面図である。
【図6】本発明の積層成形体の更に他の実施例を示す断
面図である。
【図7】本発明の積層成形体の更に他の実施例を示す断
面図である。
【符号の説明】
1 ベースシート 2 印刷層 3 プライマー層 4,8 透明シート 5 表面保護層 6 透明なベースシート 7 裏面保護層 9 ワイピングインキ 10 透明フィルム 11 成形基材 12 着色したベースシート 13 ポリオレフィン系発泡層 14 表皮材(11を除く1〜13)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成形基材と該成形基材上に積層される表
    皮材とを備え、前記成形基材が熱可塑性オレフィン系樹
    脂を材質とし、前記表皮材の少なくともベースシート
    が、ハード成分としての(A)熱可塑性オレフィン系樹
    脂と、ソフト成分としての(B)スチレン系共重合体
    と、のブレンドタイプのオレフィン系樹脂組成物を材質
    とし、さらに前記表皮材がポリオレフィン系発泡層を有
    することを特徴とする積層成形体。
  2. 【請求項2】 ポリオレフィン系発泡層が表皮材中、最
    も成形基材側に位置するように設けられている請求項1
    に記載の積層成形体。
  3. 【請求項3】 ポリオレフィン系発泡層の圧縮硬さが
    0.5〜2.1kgf/cm2 (JIS K 676
    7)である請求項1に記載の積層成形体。
  4. 【請求項4】 スチレン系共重合体が、水素添加したス
    チレン系ブロック共重合体及び/又は水素添加したスチ
    レン系ランダム共重合体である請求項1に記載の積層成
    形体。
  5. 【請求項5】 ポリオレフィン系発泡層がポリプロピレ
    ン系発泡層である請求項1に記載の積層成形体。
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