JPH1016141A - 成形用表皮材及び積層成形体 - Google Patents

成形用表皮材及び積層成形体

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JPH1016141A
JPH1016141A JP16635696A JP16635696A JPH1016141A JP H1016141 A JPH1016141 A JP H1016141A JP 16635696 A JP16635696 A JP 16635696A JP 16635696 A JP16635696 A JP 16635696A JP H1016141 A JPH1016141 A JP H1016141A
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JP
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layer
molding
olefin
skin material
skin
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JP16635696A
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Hitoshi Nakamichi
均 中道
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Kyowa Leather Cloth Co Ltd
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Kyowa Leather Cloth Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐擦傷性、成形性及び耐光性に優れた成形用
表皮材とこの成形用表皮材を用いた積層成形体を提供す
る。 【解決手段】 最外層にエステル系共重合体からなる透
明表面層11を有し、かつ、オレフィン系樹脂組成物か
らなる表皮基材層14を有し、透明表面層11と表皮基
材層14との間に印刷層13を有する。また、表皮基材
層14は、(1)ハード成分としての(A)熱可塑性オ
レフィン系樹脂と、ソフト成分としての(B)水添スチ
レン系共重合体のブレンドタイプのオレフィン系樹脂組
成物及び/又は(2)熱可塑性オレフィン系エラストマ
ーを主成分とするオレフィン系樹脂組成物からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形用表皮材及び
この成形用表皮材を用いた積層成形体に係り、特に表皮
基材層の表面に絵柄等を印刷された壁紙、家具、建材、
自動車内装材、自動車外装材、家電製品、化粧品ケース
等に使用され、耐擦傷性、成形性及び耐光性に優れた成
形用表皮材及びこの成形用表皮材を用いた積層成形体に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、成形用表皮材の表皮基材層の材質
としては、加工適性、印刷適性、エンボス適性等に優
れ、可塑剤の添加量により硬度を容易に調節でき、ま
た、安価である等の利点があるため、塩化ビニル樹脂
や、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等からなるシー
ト、フィルム等が広く用いられてきた。
【0003】また、本出願人は、先に成形用表皮材の表
皮基材層の材質として、オレフィン系樹脂組成物を使用
したものを提案している(特願平6−163181)。
表皮基材層の材質としてオレフィン系樹脂組成物を使用
したものは、燃焼時に塩化水素ガス等の有害なガスを発
生させないため、環境を汚染することが少なく、またリ
サイクル性にも優れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うにオレフィン系樹脂組成物を表皮基材層に使用した成
形用表皮材においては、その表面が擦られると傷が発生
し易く、また、耐光性が十分でないため、長期的に使用
すると表面が変色及び劣化しやすく、商品価値が低下す
る問題があった。
【0005】本発明の第1の目的は、燃焼時に塩化水素
ガス等の有害なガスが極めて少なく、かつ、環境を汚染
することが少なく、またリサイクル性にも優れていると
いうオレフィン系樹脂組成物の利点を生かしながら、耐
擦傷性、成形性及び耐光性に優れた成形用表皮材を提供
することにある。本発明の第2の目的は、上記の特性を
有する成形用表皮材と成形基材との積層構造を有する積
層成形体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明の成形用表皮材は、最外層がエステル系
共重合体からなる透明表面層を有し、かつ、(1)ハー
ド成分としての(A)熱可塑性オレフィン系樹脂と、ソ
フト成分としての(B)水添スチレン系共重合体と、の
ブレンドタイプのオレフィン系樹脂組成物及び/又は
(2)熱可塑性オレフィン系エラストマーを主成分とす
るオレフィン系樹脂組成物からなる表皮基材層を有する
と共に前記透明表面層と前記表皮基材層との間に印刷層
を有することを特徴とする。また、上記した目的を達成
するために、本発明の積層成形体は、最外層がエステル
系共重合体からなる透明表面層を有し、かつ、(1)ハ
ード成分としての(A)熱可塑性オレフィン系樹脂と、
ソフト成分としての(B)水添スチレン系共重合体と、
のブレンドタイプのオレフィン系樹脂組成物及び/又は
(2)熱可塑性オレフィン系エラストマーを主成分とす
るオレフィン系樹脂組成物からなる表皮基材層と成形基
材との積層構造を有することを特徴とする。本発明の積
層成形体は、実質的にエステル系共重合体、オレフィン
系樹脂組成物からなるため、燃焼時に塩化水素ガス等の
有害なガスが極めて少なく、かつ、環境を汚染すること
が少なく、またリサイクル性にも優れている。この積層
成形体の表面に形成される透明表面層は、エステル系共
重合体からなり、耐擦傷性,成形性及び耐光性に優れ、
長期の使用に際しても変色及び劣化が少ない。
【0007】以下、本発明をさらに詳細に説明する。本
発明における透明表面層はエステル系共重合体で構成さ
れる。ここでエステル系共重合体は、ソフトセグメント
と、ハードセグメントからなる。エステル系共重合体を
形成するソフトセグメントとしては、ポリエチレングリ
コール、ポリテトラメチレングリコール等のポリオキシ
アルキレングリコール、あるいはポリε−カプロラクト
ン、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダ
イマー酸等のHOOC−(CH2 n −COOHの脂肪
族ジカルボン酸と脂肪族及び/又は脂環族ジオールから
なる脂肪族ポリエステル等が好適に使用されるが、中で
もポリテトラメチレングリコールやポリε−カプロラク
トンが望ましい。
【0008】また、エステル系共重合体を形成するハー
ドセグメントとしては、エチレンテレフタレート、ブチ
レンテレフタレート、シクロヘキサンジメチレンテレフ
タレート、シクロヘキサンジメチレンシクロヘキサンジ
カルボキシレート、ブチレン−2,6−ナフタレンジカ
ルボキシレート等の芳香族及び/又は脂環族エステルユ
ニットから選ばれた少なくとも1つより形成されること
が望ましいが中でもエチレンテレフタレート、ブチレン
テレフタレート、ブチレン−2,6−ナフタレンジカル
ボキシレートから選ばれた少なくとも1つより形成され
ることが望ましい。
【0009】エステル系共重合体からなる透明表面層
は、厚みで5〜300μm、好ましくは5〜200μ
m、さらに好ましくは5〜100μmであることが望ま
しい。厚みが5μmよりも小さいとフィルムの加工性が
低下して好ましくなく、また、厚みが300μmよりも
大きいと予備成形等の成形性が低下するため好ましくな
い。この透明表面層は、成形用表皮材の最も上側(外
側)に形成される。
【0010】表皮基材層を構成するオレフィン系樹脂組
成物は、(1)ハード成分としての(A)熱可塑性オレ
フィン系樹脂と、ソフト成分としての(B)水添スチレ
ン系共重合体とのブレンドタイプのオレフィン系樹脂組
成物、及び/又は(2)熱可塑性オレフィン系エラスト
マーを主成分とするオレフィン系樹脂組成物が望まし
い。
【0011】表皮基材層を構成する(1)オレフィン系
樹脂組成物におけるハード成分としての(A)熱可塑性
オレフィン系樹脂とは、エチレン、プロピレン、又は
炭素数4〜10のα−オレフィン、例えば、ブテン−
1、4−メチル−1−ペンテン等の単独重合体又は共重
合体、エチレン又はプロピレンを主成分とし、これら
と共重合しうる他のモノマー(例えば酢酸ビニル、アク
リル酸エステル、メタクリル酸エステル等)との共重合
体等が例示される。
【0012】プロピレン系樹脂の場合には、得られるフ
ィルム・シートの透明性、メルトフローレート、曲げ弾
性率、融点、及び結晶性などの点から目的に応じて任意
に選定すればよいが、特にプロピレンを主成分とするエ
チレン−プロピレンランダム共重合体が好適である。プ
ロピレンを主成分とするエチレン−プロピレンランダム
共重合体は、ポリマーの立体規則性が乱れて結晶性が比
較的低く、そのため透明度が高く柔軟性を付与すること
ができる。
【0013】このようなプロピレンを主成分とするエチ
レン−プロピレンランダム共重合体において、特に透明
性に優れ、メルトフローレート(JIS K 675
8)は0.3〜30g/10min.好ましくは0.3
〜9g/10min.、曲げ弾性率(JIS K 67
58)は3000〜30000kgf/cm2 、好まし
くは4000〜13000kgf/cm2 、ビカット軟
化点(JIS K 6758)は70〜150℃のもの
が望ましく、市販品としては、FS6632(住友化学
工業(株)製)、ハイポールB230(三井石油化学工
業(株)製)、ノーブレンGEB−G5(三井東圧化学
(株)製)などを挙げることができる。
【0014】エチレン系樹脂の場合には、特に耐衝撃強
度、透明性に優れた低密度ポリエチレン又は機械的特
性、耐熱安定性に優れた高密度ポリエチレンが好適であ
り、これらは単独又は併用して使用することができる。
これらのポリエチレンでは、例えば、溶融温度が70〜
140℃程度が好ましく、またメルトフローレート(J
IS K 6760)が0.3〜30g/10min.
好ましくは0.3〜10g/10min.のものが望ま
しい。
【0015】ブテン系樹脂としては、ブテン−1を主モ
ノマーとし、チーグラー系触媒を用いて重合された高立
体規則性の結晶性ポリマーが好適であり、これらのポリ
ブテンでは、溶融温度が70〜140℃程度が好まし
く、またメルトフローレート(JIS K 6760)
が0.3〜30g/10min.好ましくは0.3〜1
0g/10min.のものが望ましい。
【0016】また、ハード成分としての(A)熱可塑性
オレフィン系樹脂は、上記した熱可塑性オレフィン系樹
脂の2種又は3種以上の混合物の方が望ましい。この混
合物としては、プロピレン系樹脂を必須成分とし、これ
に他の熱可塑性オレフィン系樹脂としてエチレン系樹脂
及び/又はブテン系樹脂を混合することが望ましい。ま
た、プロピレン系樹脂100重量部に対するエチレン系
樹脂及び/又はブテン系樹脂の混合割合は1〜100重
量部、好ましくは1〜75重量部、さらに好ましくは1
〜50重量部である。プロピレン系樹脂100重量部に
対してエチレン系樹脂及び/又はブテン系樹脂の混合割
合が、100重量部を越えると成形用表皮材の引っ張り
強度や伸び率などの物性が低下するため好ましくなく、
1重量部未満であると、加工性が低下し好ましくない。
【0017】また、ソフト成分としての(B)水添スチ
レン系共重合体としては、例えば、水添スチレン系ブロ
ック共重合体、水添スチレン系ランダム共重合体等が挙
げられるが、これらの水添スチレン系共重合体は必ずし
もすべての二重結合が飽和されていなくてもよい。水添
スチレン系ブロック共重合体としては、スチレン−ブタ
ジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプ
レン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエ
ンブロック共重合体、スチレン−SBRブロック共重合
体、スチレン−SBR−スチレンブロック共重合体等の
水添したものが例示される。水添スチレン系ブロック共
重合体の市販品としては、例えば、クレイトンG(シェ
ル化学(株)製)、ハイブラー((株)クラレ)、タフ
テック(旭化成工業(株)製)等が挙げられる。
【0018】また、水添スチレン系ランダム共重合体と
しては、スチレンとブタジエンの水素添加したランダム
共重合体等が挙げられる。水添スチレン系ランダム共重
合体の市販品としては、例えば、ダイナロン(日本合成
ゴム(株)製)等が挙げられる。
【0019】ハード成分としての(A)熱可塑性オレフ
ィン系樹脂に対するソフト成分としての(B)水添スチ
レン系共重合体の混合割合は、1〜200重量部:1〜
200重量部、好ましくは50〜150重量部:10〜
80重量部、さらに好ましくは80〜120重量部:2
0〜60重量部である。ハード成分としての(A)熱可
塑性オレフィン系樹脂に対するソフト成分としての
(B)水添スチレン系共重合体の混合割合が、200重
量部を越えると柔らかすぎて加工性が低下するため好ま
しくなく、1重量部未満だと結晶性が高過ぎて加工性が
低下し好ましくない。
【0020】次に本発明における表皮基材層を構成する
(2)熱可塑性オレフィン系エラストマーを主成分とす
るオレフィン系樹脂組成物中の熱可塑性オレフィン系エ
ラストマーとしては、特公昭53−21021で公知
のエチレン−α−オレフィン共重合ゴムの部分架橋物と
オレフィン系樹脂との逐次混練混合物、特公昭53−
34120で公知のエチレン−α−オレフィンとオレフ
ィン系樹脂との同時混練部分架橋物、特公昭62−5
9139で公知のエチレン−α−オレフィン共重合ゴム
とエチレン系樹脂との部分共架橋物、ゴム状物及びオレ
フィン系樹脂等との混合物等が例示される。熱可塑性オ
レフィン系エラストマーの市販品としては、ミラストマ
ー〔三井石油化学工業(株)製〕、住友TPE 住友化
学工業(株(製〕等が挙げられる。該熱可塑性オレフィ
ン系エラストマーに加工性改良等の目的で熱可塑性オレ
フィン系樹脂、熱可塑性オレフィン系ゴム又は熱可塑性
オレフィン系グラフト共重合体を添加することが望まし
い。
【0021】ここで、熱可塑性オレフィン系樹脂とは、
前記ハード成分としての(A)熱可塑性オレフィン系樹
脂と同一のものである。また、熱可塑性オレフィン系ゴ
ムとは、エチレン−プロピレン−共重合ゴム、エチレン
−プロピレン−非共役ジエンゴム、ポリイソブチレン、
ブチルゴム、プロピレン−1−ブテン共重合ゴム、水添
スチレン−ブタジエン共重合ゴム等が例示される。さら
に熱可塑性オレフィン系グラフト共重合体とは、エチレ
ン−プロピレン共重合ゴムとアクリロニトリル−スチレ
ンのグラフト共重合体、プロピレンを主成分とするエチ
レン−プロピレン共重合体とアクリロニトリル−スチレ
ンのグラフト共重合体等が例示される。また、本発明に
おいて、(1)のオレフィン系樹脂組成物と(2)のオ
レフィン系樹脂組成物は併用することも可能である。
【0022】本発明における透明表面層、表皮基材層に
は、必要に応じて特性を改良するために任意の成分を添
加することができる。任意の成分として、例えば、紫外
線吸収剤、帯電防止剤、酸化防止剤、耐光安定剤、着色
剤等を挙げることができる。
【0023】また、本発明において、上記した透明表面
層と表皮基材層との間には印刷層が形成され、この印刷
層を介して成形用表皮材に高級感、意匠性等が付与され
る。印刷層を形成するインキの主要樹脂としては、低塩
素化オレフィン系樹脂又はウレタン系樹脂が望ましい。
低塩素化オレフィン系樹脂では、低塩素化プロピレン系
樹脂及び/又は低塩素化EVA(エチレン−酢酸ビニル
共重合体)系樹脂が好ましく、これらの中でも低塩素化
ポリプロピレンが望ましい。また、顔料の分散性や印刷
適性の改良等の目的で、水酸基やカルボキシル基などを
導入した変性ポリプロピレンの低塩素化物や変性EVA
(エチレン−酢酸ビニル共重合体)の低塩素化物も好ま
しい。低塩素化プロピレン系樹脂や低塩素化EVA系樹
脂の塩素含有率は、10〜50重量%程度が望ましい。
【0024】低塩素化プロピレン系樹脂や低塩素化EV
A系樹脂の塩素含有率が10重量%よりも少ないと、顔
料の分散性、発色性あるいは印刷適性が低下して好まし
くなく、一方、50重量%よりも多いと表皮基材層への
接着性が乏しくなり、好ましくない。
【0025】低塩素化プロピレン系樹脂や低塩素化EV
A系樹脂の市販品としては、例えば、スーパークロン低
塩素化物(日本製紙(株)製)等が挙げられる。インキ
に使用する低塩素化オレフィン系樹脂は、インキの貯蔵
安定性、塗工性、ベースシートへの接着性等の点から、
塩素含有率や重合度の異なるものをブレンドして使用す
ることが望ましい。また、印刷層を形成するインキは、
上記した低塩素化オレフィン系樹脂を主要樹脂とする
が、インキを形成する樹脂は低塩素化オレフィン系樹脂
単独でもよく、さらにこの低塩素化オレフィン系樹脂に
アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等の樹脂を併用してよ
い。低塩素化プロピレン系樹脂や低塩素化EVA系樹脂
の印刷層を構成するインキ中の含有率は、これらの樹脂
における塩素含有率、印刷層用インキの塗布量等によっ
ても異なるが、ほぼ10〜60重量%程度含有するのが
望ましい。
【0026】また、印刷層を形成するインキの主要樹脂
としては、ウレタン系樹脂も望ましい。従来から包装用
フィルム等に使用されているウレタン系樹脂を使用した
インキなどの他に、2液架橋型のウレタン系樹脂を主要
樹脂としたインキなども望ましい。ウレタン系樹脂を主
要樹脂とするインキを使用する場合には、表皮基材層な
どの印刷面に予め、コロナ放電処理を施すことが接着性
の面で望ましい。施される印刷パターンが飛び柄(印刷
が施されている部分が飛び飛びになっている状態、ある
いは印刷が施されている部分が印刷が施されていない部
分よりも面積的に少ない状態)の場合には、低塩素化オ
レフィン系樹脂又はウレタン系樹脂のいずれでもかまわ
ない。しかし、施される印刷パターンが、ベタ柄(例え
ば、2版又は3版等多版の木目柄等、全面あるいは全面
に近い面積に印刷が施されている状態)の場合、インキ
の主要樹脂は、低塩素化オレフィン系樹脂よりもウレタ
ン系樹脂の方が望ましい。透明表面層と貼り合わせする
際に使用するアンカーコート剤あるいは接着剤と印刷層
との接着性の点で、ウレタン系樹脂を使用したインキの
方が接着強度が確保しやすい。
【0027】印刷層を形成するインキには顔料等の着色
剤が含有される。使用する顔料としては、通常の着色顔
料の他にパール顔料、ビーズ顔料、雲母系やアルミニウ
ム系の光輝性顔料等が使用でき、これらの顔料の使用に
よって化粧シートに意匠性を付与することができる。ま
た、印刷層を形成するインキは、必要に応じて特性を改
良するため、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐光安定剤等
の任意の成分を添加できる。
【0028】本発明において、表皮基材層の成形方法と
しては、カレンダー法、押出し法等が挙げられるが、カ
レンダー法の方が多品種生産に向いている等の点で望ま
しい。また、成形用表皮材に良好な感触を求められる場
合、成形用表皮材は発泡層を有することが望ましい。発
泡層は成形用表皮材中最も成形基材側に位置するように
設けられていることが望ましい。発泡層としては、ポリ
オレフィン系発泡層が望ましく、ポリオレフィン系発泡
層としては、プロピレン系樹脂(例えば、ホモポリプロ
ピレン、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロ
ピレン−エチレンブロック共重合体)及び/又はエチレ
ン系樹脂(例えば、高密度ポリエチレン、線状低密度ポ
リエチレン)等のオレフィン系樹脂を主に配合された発
泡体等が好ましい。
【0029】ポリオレフィン系発泡層の圧縮硬さは、
0.5〜2.1kgf/cm2 (JIS K 676
7)が好ましい。圧縮硬さが0.5kgf/cm2 より
も小さいと、ポリオレフィン系発泡層を表皮基材層と貼
り合わせる際にポリオレフィン系発泡層が潰れるため好
ましくなく、一方、圧縮硬さが2.1kgf/cm2
りも大きいと、積層成形体の感触が硬くなり好ましくな
い。
【0030】また、ポリオレフィン系発泡層の発泡倍率
は5〜30倍、好ましくは10〜25倍が望ましい。発
泡倍率が5倍よりも小さいと、積層成形体の感触が硬く
なり好ましくなく、一方、発泡倍率が30倍よりも大き
くなると、発泡層のみが柔らかくなりすぎて積層成形体
としては底つき感が出て感触が好ましくない。
【0031】ポリオレフィン系発泡層の厚みは、0.1
〜20mm、好ましくは0.5〜5mm程度の範囲で選
定されてよい。このようなポリオレフィン系発泡層に使
用される材料としては、PPAM(東レ(株)製)、P
PSM(東レ(株)製)等が挙げられる。成形用表皮材
中にポリオレフィン系発泡層を有することにより極めて
良好な感触を有することになる。
【0032】表皮基材層の厚みは、成形用表皮材の層構
造やその用途により異なるが、引き裂き強度等の物性又
は取扱い易さの点から、0.05〜1mmが望ましい。
【0033】このように成形される成形用表皮材に対し
てオレフィン系の樹脂及び/又はゴムからなる成形基材
が積層された積層構造からなる積層成形体が形成され
る。成形基材としてのオレフィン系の樹脂及び/又はゴ
ムとしては、熱可塑性オレフィン系エラストマー、熱可
塑性オレフィン系樹脂、熱可塑性オレフィン系ゴム、又
は熱可塑性オレフィン系グラフト共重合体の群から選ば
れる少なくとも1種の重合体からなることが、成形用表
皮材との接着性の点で望ましい。成形基材の厚みは、成
形できる厚みであれば特に制限はないが、0.5〜8.
0mm、好ましくは、1.0〜5.0mm程度である。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の成形用
表皮材の一実施の形態を示す概略的断面図である。図1
において、表皮基材層14は、(1)ハード成分として
の(A)熱可塑性オレフィン系樹脂と、ソフト成分とし
ての(B)水添スチレン系共重合体と、のブレンドタイ
プのオレフィン系樹脂組成物、及び/又は(2)熱可塑
性オレフィン系エラストマーを主成分とするオレフィン
系樹脂組成物からなり、以下の図における表皮基材層に
おいても同様である。表皮基材層14に対し、絵柄等の
印刷による印刷層13が形成されるが、表皮基材層14
自体にも意匠的効果を付与させるようにしてもよい。表
皮基材層14自体に意匠的効果を付与させるには、表皮
基材層14自体に公知の顔料あるいはパール顔料等の光
輝性顔料などを練り込むことにより着色することができ
る。これらの点については、以下の実施例の図における
表皮基材層においても同様である。
【0035】印刷層13を形成するインキは、主要樹脂
に低塩素化オレフィン系樹脂又はウレタン系樹脂を用
い、さらに顔料等を分散したものが望ましい。使用する
顔料としては、通常の着色顔料の他にパール顔料、ビー
ズ顔料、雲母系やアルミニウム系の光輝性顔料等を使用
することができる。印刷方法としては、グラビア印刷、
オフセット印刷、オフセットグラビア印刷、シルクスク
リーン印刷等の印刷手段の他に転写手段を用いて形成す
ることができる。印刷層13には、格子模様、水玉模
様、抽象柄、石目柄、木目柄等の天然物の柄、文字、記
号等から任意のパターンを選定することができる。印刷
層13は、上記したような印刷や転写により形成できる
とともに、部分蒸着、グロスマット印刷等により形成す
ることができる。グロスマット印刷は、例えば、シート
の全面に光沢のあるインキを用いて全面ベタ印刷を施
し、次いで印刷パターン面に艶消しインキを用いて模様
を印刷する方法である。これらの点については、以下の
実施例の図における印刷層においても同様である。
【0036】印刷層13が形成された面には、アンカー
コート層12が設けられる。このアンカーコート層12
は、2液硬化型エステル系樹脂、2液硬化型ウレタン系
樹脂、2液硬化型ポリエステル・ウレタン系樹脂等が好
適である。そして、アンカーコート層12上にエステル
系共重合体からなる透明表面層11が形成される。透明
表面層11は、厳密な意味での透明の他に、所謂、着色
透明であってもよく、また、印刷層13が透けて見える
程度であれば半透明であってもよい。
【0037】この透明表面層11の面に任意のエンボス
(絞付け)が施される。エンボスとしては、例えば平版
プレス機、ロールエンボス機等の公知のプレス機、エン
ボス機を用いることができ、熱及び圧力によりエンボス
版の凹凸形状がシート上に賦形される。ロールエンボス
機による手段では、円筒状のエンボス版の凹凸形状を熱
及び圧力でシートに賦形することができる。皮絞、泥目
絞、布目絞、砂目絞、及び抽象柄の絞等の凹凸形状の他
に鏡面のエンボスも含む。エンボス時における材料の熱
及び圧力条件は、透明表面層11の熱変形温度と溶融温
度との間の温度範囲で加熱し、エンボス版を透明表面層
11の表面に押圧して賦形した後、冷却する。加熱方法
としては、例えば、温風吹き付け、加熱ローラーによる
伝導熱、赤外線照射、誘導加熱等の方法が用いられる。
エンボスは、印刷層13を設けた部分面のみに設けてよ
く、また、透明表面層11の全面に設けてもよい。これ
らのエンボス方法については、以下の実施例の図におい
ても同様である。
【0038】図2は、本発明の積層成形体の一実施の形
態を示す概略的断面図である。この積層成形体15は、
図1に示す成形用表皮材に対して、オレフィン系の樹脂
及び/又はゴムからなる成形基材16を積層した構造か
らなる。
【0039】図3は、本発明の成形用表皮材の他の実施
の形態を示す概略的断面図である。図3において、成形
用表皮材の表面側から、順次、透明表面層31、印刷層
32A、接着剤層33、透明中間層34、印刷層32
B、表皮基材層35が形成された構造からなる。この実
施の形態では、透明中間層34が設けられており、透明
中間層34をはさんで異なる印刷柄を施すことによっ
て、多様な印刷柄を表現することができる。透明中間層
34は、表皮基材層35と同様にオレフィン系の樹脂及
び/又はゴムから任意のものを選定することができる。
【0040】図4は、本発明の積層成形体の他の実施の
形態を示す概略的断面図である。この積層成形体36
は、図3に示す成形用表皮材30に対して、オレフィン
系の樹脂及び/又はゴムからなる成形基材37を積層し
た構造からなる。
【0041】図5は、本発明の成形用表皮材の更に他の
実施の形態を示す概略的断面図である。図5において、
成形用表皮材の表面側から、順次、透明表面層51、ア
ンカーコート層52、印刷層53、表皮基材層54、ポ
リオレフィン系発泡層55が形成された構造からなる。
図5においては、ポリオレフィン系発泡層55が形成さ
れており、この発泡層により成形用表皮材に良好な感触
を付与することができる。
【0042】図6は、本発明の積層成形体の更に他の実
施の形態を示す概略的断面図である。この積層成形体5
6は、図5に示す成形用表皮材50に対して、オレフィ
ン系の樹脂及び/又はゴムからなる成形基材57を積層
した構造からなる。
【0043】図7は、本発明の成形用表皮材の他の実施
の形態を示す概略的断面図である。図7において、成形
用表皮材の表面側から、順次、透明表面層71、アンカ
ーコート層72、印刷層73A、透明中間層74、印刷
層73B、表皮基材層75が形成された構造からなる。
この実施の形態では、透明中間層74が設けられてお
り、透明中間層74をはさんで異なる印刷柄を施すこと
によって、多様な印刷柄を表現することができる。ま
た、印刷層73Aは、ワイピングを施しエンボスにより
形成された凹部内にワイピングインキを充填することに
よって、例えば、木目の導管部の外観を発現させるのに
有効であり、成形用表皮材の意匠的効果をさらに向上さ
せることができる。
【0044】このワイピングの手段による加工方法とし
ては、エンボスを設けたシートの表面全面に着色インキ
や塗料等のワイピングインキを塗工し、エンボスにより
形成された凸部のインキや塗料等をドクターブレード、
エアナイフ、あるいはスポンジ等で拭き取ることにより
成形される。この際、必要に応じて凸部のインキを若干
残留させても良い。
【0045】ワイピングインキとしては、種々のインキ
を使用することができるが、主要樹脂としては、低塩素
化オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、、エチレン−酢
酸ビニル共重合体、イソシアネート、アミン等の硬化剤
を用いた2液硬化型のウレタン系樹脂、エステル系樹
脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂等を用いることが
できるが、低塩素化オレフィン系樹脂が接着性等の点で
好ましい。
【0046】図8は、本発明の積層成形体の更に他の実
施の形態を示す概略的断面図である。この積層成形体7
6は、図7に示す成形用表皮材70に対して、オレフィ
ン系の樹脂及び/又はゴムからなる成形基材77を積層
した構造からなる。
【0047】
【実施例】次に上記した形態からなる成形用表皮材及び
積層成形体の具体的実施例を説明する。 〔実施例1〕図1に示す成形用表皮材10の層構成 透明表面層11:エステル系共重合体(ヌーベランEL
A4100:帝人(株)製)厚み100μm、表面は鏡
面 アンカーコート層12:紫外線吸収剤を0.2重量%添
加した2液硬化型のポリエステル系アンカーコート剤、
厚み3μm(乾燥後) 印刷層13 :ブルー系の着色インキにて幾何学柄を
印刷 表皮基材層14:(プロピレンを主成分とするエチレン
−プロピレンランダム共重合体/ポリブテン/水添スチ
レン−ブタジエン共重合ゴム)配合系に紫外線吸収剤を
0.8重量%添加、厚み200μm、淡いブルー色に着
【0048】図1に示す成形用表皮材の製造方法 表皮基材層14をカレンダー法により形成し、この表面
にコロナ処理を行い濡れ指数を40dyn/cmとし
た。この表皮基材層14の表面に2液型硬化型のウレタ
ン系樹脂を主要樹脂とする着色インキにて全面印刷に近
い幾何学柄模様印刷を施し、印刷層13を形成した。次
いで幾何学柄を施した表皮基材層14の印刷面に2液硬
化型のポリエステル系アンカーコート剤を塗布・乾燥
し、透明表面層11としてエステル系共重合体・ヌーベ
ランELA4100(帝人(株)製)をTダイの押し出
し機にてシーティングしながら、貼り合わせ同時絞押し
を行って、所望の成形用表皮材10を得た。
【0049】図2に示す積層成形体15の製造方法 前記成形用表皮材10を真空成形法で予備賦形し、射出
成形用金型のコア側に固定して成形基材16としてブル
ーに着色したプロピレン系樹脂(プロピレンを主成分と
するエチレン−プロピレンブロック共重合体)を用いて
射出成形し、所望の積層成形体15を得た。
【0050】積層成形体の評価 得られた積層成形体15の表面は、耐擦傷性に優れ、鉛
筆硬度(JIS K−5400鉛筆ひっかき試験)は2
H程度であった。また、耐光性は、紫外線オートフェー
ドメーター(紫外線ロングライフカーボンアークランプ
使用、スガ試験機(株)製)を用い、ブラックパネル温
度83±3℃、相対湿度35〜50%の条件下で100
0時間試験を行ったところ、外観上の変化及び劣化はほ
とんど認められなかった。また、成形用表皮材10の真
空成形性は、形状保持性に優れ、収縮率バラツキが少な
く極めて良好であった。一般に成形用表皮材10のよう
に透明表面層11と表皮基材層14との材質が異なる場
合、成形収縮率の違いから予備成形した後、成形用表皮
材10の表側か又は裏側にカールする不具合が発生する
場合が多い。しかし、本発明のように透明表面層11の
エステル系共重合体と表皮基材層14のオレフィン系樹
脂組成物は、共に成形収縮率が10〜20/1000
(mm/mm)程度であるため、予備成形した後、カー
ルする不具合が発生しない。また、透明表面層11と表
皮基材層14の剥離強度(温度23℃、相対湿度50
%)では、3.0kgf/25mm幅と良好であった。
【0051】〔実施例2〕図3に示す成形用表皮材30の層構成 透明表面層31:エステル系共重合体(ペルプレンP
(東洋紡績(株)製)のフィルム、厚み80μm、表面
は鏡面 印刷層32A :主要樹脂が2液硬化型のウレタン系樹
脂からなる茶色系の着色インキで2つの異なる木目調の
版を重ねて印刷 印刷層32B :主要樹脂が低塩素化オレフィン系樹脂
からなる茶色系の着色インキで、2つの異なる木目調の
版を重ねて印刷 接着剤層33 :2液硬化型のポリウレタン系接着剤、
厚み3μm(乾燥後) 透明中間層34:プロピレンを主成分とするエチレン−
プロピレンランダム共重合体に紫外線吸収剤を0.5重
量%添加、厚み50μm 表皮基材層35:(熱可塑性オレフィン系エラストマー
(ミラストマー8030N:三井石油化学工業(株)
製)/線状低密度ポリエチレン(ウルトゼックス202
1L:三井石油化学工業(株)製/プロピレンを主成分
とするエチレン−プロピレンブロック共重合体)配合系
に紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系耐光安定剤を合
わせて1重量%添加、厚み200μm、茶色系に着色
【0052】図3に示す成形用表皮材30の製造方法 透明表面層31のフィルムとして、ペルプレンPをTダ
イの押し出し方にて成形した。次いで透明中間層34を
Tダイの押し出し法にて成形し、さらに表皮基材層35
をカレンダー法により形成した。次に、透明表面層31
の裏面にコロナ放電処理を施して濡れ指数を54dyn
/cmとした後、紫外線吸収剤を0.1重量%添加した
2液硬化型のウレタン系樹脂を主要樹脂とする着色イン
キにて2版の木目柄をグラビア印刷して印刷層32Aを
形成した。また、透明中間層34の裏面に、紫外線吸収
剤を0.1重量%添加した低塩素化ポリプロピレンを主
要樹脂とする着色インキにて2版の木目柄をグラビア印
刷して印刷層32Bを形成した。印刷層32Bを有する
透明中間層34と表皮基材層35とを鏡面絞のラミネー
トエンボス(貼り合わせ同時絞押し)を行って張り合わ
せた。次いで、透明中間層34と印刷層32Bと表皮基
材層35の構成体の透明中間層34の表面をコロナ放電
処理し、その面の濡れ指数を42dyn/cmとした。
コロナ放電処理を施した透明中間層34の表面に、グラ
ビアロールコーティングにより紫外線吸収剤を0.1重
量%添加した2液硬化型のポリウレタン系接着剤を塗布
・乾燥し、印刷層32Aを有する透明表面層31の印刷
面とドライラミネートして、所望の成形用表皮材30を
得た。
【0053】図4に示す積層成形体36の製造方法 前記成形用表皮材30を真空成形法で予備成形し、射出
成形用金型のキャビティ側に固定して成形基材37とし
てプロピレンを主成分とするエチレン−プロピレンブロ
ック共重合体を主体とするグレー色系のリサイクル材を
用いて射出成形し、その後、外周及び開口部の不要な成
形用表皮材をはさみ、カッター等で取り除いて、所望の
積層成形体36を得た。
【0054】積層成形体の評価 得られた積層成形体36の表面は、耐擦傷性に優れ、鉛
筆硬度(JIS K−5400鉛筆ひっかき試験)は2
H程度であった。また、耐光性は、紫外線オートフェー
ドメーター(紫外線ロングライフカーボンアークランプ
使用、スガ試験機(株)製)を用い、ブラックパネル温
度83±3℃、相対湿度35〜50%の条件下で150
0時間試験を行ったところ、外観上の変色及び劣化はほ
とんど認められなかった。また、成形用表皮材30の真
空成形性は、形状保持性に優れ、カールの発生の不具合
もなく、収縮率バラツキが少なく極めて良好であった。
また、透明表面層31と透明中間層34の剥離強度(温
度23℃、相対湿度50%)では、2.9kgf/25
mm幅、さらに透明中間層34と表皮基材層35の剥離
強度(温度23℃、相対湿度50%)では、2.8kg
f/25mm幅と良好であった。
【0055】〔実施例3〕図5に示す成形用表皮材50の層構成 透明表面層51:エステル系共重合体(ペルプレンP−
70B東洋紡績(株)製)、厚み20μm、表面に抽象
柄の絞付き アンカーコート層52:紫外線吸収剤を0.1重量%添
加した2液硬化型のポリエステル系アンカーコート剤、
厚み4μm(乾燥後) 印刷層53 :グレー系インキにて抽象柄を印刷 表皮基材層54:(プロピレンを主成分とするエチレン
−プロピレンランダム共重合体/ポリブテン/水添スチ
レン−ブタジエン共重合ゴム)配合系に紫外線吸収剤及
びヒンダードアミン系耐光安定剤を合わせて0.7重量
%添加、厚み250μm、ダークグレー系に着色 ポリオレフィン系発泡層55:オレフィン系樹脂発泡
層、発泡倍率20倍、厚み3mm
【0056】図5に示す成形用表皮材50の製造方法 表皮基材層54をカレンダー法により形成した。この表
皮基材層54にコロナ放電処理を施し、その表面の濡れ
指数を40dyn/cmとし、その表面に2液硬化型の
ウレタン系樹脂を主要樹脂とし、紫外線吸収剤を0.1
重量%添加した着色インキにて全面印刷に近い3版の抽
象柄をグラビヤ印刷して印刷層53を形成し、さらに該
印刷面に2液硬化型のポリエステル系アンカーコート剤
を塗布・乾燥し、透明表面層51としてエステル系共重
合体・ペルプレンP−70BをTダイの押し出し機にて
シーティングしながら、貼り合わせを行った。その後、
透明表面層51とアンカーコート層52と印刷層53と
表皮基材層54の構成体と、ポリオレフィン系発泡層5
5を、抽象柄の絞ロールを用いたラミネートエンボス
(貼り合わせ同時絞押し)を行って一体化し、所望の成
形用表皮材50を得た。
【0057】図6に示す積層成形体56の製造方法 前記成形用表皮材50を真空成形法で予備賦形し、巻き
込み代を残してはさみやカッター等で不要な部分をカッ
トした。予備賦形した成形用表皮材50を射出成形用金
型のキャピティー側に固定して成形基材57としてナチ
ュラル色のプロピレンを主成分とするエチレン−プロピ
レンブロック共重合体を用いて低圧射出成形し、その後
外周の巻き込み作業を行って所望の積層成形体56を得
た。
【0058】積層成形体の評価 得れた積層成形体56の表面は、耐擦傷性に優れ、鉛筆
硬度(JIS K−5400鉛筆ひっかき試験)は2H
程度であった。また、耐光性は、紫外線オートフェード
メーター(紫外線ロングライフカーボンアークランプ使
用、スガ試験機(株)製)を用い、ブラックパネル温度
83±3℃、相対湿度35〜50%の条件下で1200
時間試験を行なったところ、外観上の変化及び劣化はほ
とんど認められなかった。また、成形用表皮材50の真
空成形性は、形状保持性に優れ、カール発生の不具合も
なく、収縮率バラツキが少なく極めて良好であった。ま
た、透明表面層51と表皮基材層54の剥離強度(温度
23℃、相対湿度50%)では、2.6kgf/25m
m幅、さらに表皮基材層54とポリオレフィン系発泡層
55の剥離強度(温度23℃、相対湿度50%)では、
2.3kgf/25mm幅と良好であった。
【0059】〔実施例4〕図7に示す成形用表皮材70の層構成 透明表面層71:エステル系共重合体(ヌーベランP4
128AKN:帝人(株)製)厚み50μm、表面は砂
目柄 アンカーコート層72:紫外線吸収剤を0.2重量%添
加した2液硬化型のポリエステル−ポリウレタン系アン
カーコート剤、厚み2μm(乾燥後) 印刷層73A :淡色系黄色インキにて石目柄を印刷 印刷層73B :ライトグレー系インキにて石目柄を印
刷 透明中間層74:紫外線吸収剤を1重量%添加した(プ
ロピレンを主成分とするエチレン−プロピレンランダム
共重合体/ポリブテン/水添スチレン−ブタジエン共重
合ゴム)配合系、厚み100μm 表皮基材層75:紫外線吸収剤を1重量%添加した(熱
可塑性オレフィン系エラストマー/プロピレンを主成分
とするエチレン−プロピレンブロック共重合体)配合
系、厚み150μm、グレー系に着色
【0060】図7に示す成形用表皮材70の製造方法 透明中間層74及び表皮基材層75を別々にカレンダー
法により形成した。次に、表皮基材層75の表面に紫外
線吸収剤を0.2重量%添加した低塩素化オレフィン系
樹脂を主要樹脂とする着色インキにて石目柄をグラビア
印刷して印刷層73Bを設け、その後透明中間層74と
石目柄の絞ロールによるラミネートエンボスを行なっ
た。このエンボス(絞付け)により透明中間層74に形
成された凹部にワイピングインキを充填させ印刷層73
Aを形成させた。使用したワイピングインキの主要樹脂
は、低塩素化オレフィン系樹脂であり、紫外線吸収剤を
0.2重量%添加したインキを使用した。その後、印刷
層73Aと透明中間層74と印刷層73Bと表皮基材層
75の構成体の印刷層73Aの表面にコロナ放電処理を
施して、濡れ指数を41dyn/cmとした。次に該コ
ロナ放電処理面にアンカーコート剤を塗布・乾燥し、透
明表面層71としてヌーベランP4128AKNをTダ
イの押し出し機によりシーティングしながら貼り合わせ
同時絞押し(砂目柄ロール使用)を行って、所望の成形
用表皮材70を得た。
【0061】図8に示す積層成形体76の製造方法 Tダイの押出し機により0.3cmの厚みでプロピレン
を主成分とするエチレン−プロピレンブロック共重合体
にグレー系着色剤5重量%を添加した成形基材77を押
出ししながら、前記成形用表皮材70を張り合わせ、積
層成形体76を得た。この積層成形体76をその後さら
に圧空成形して所望の積層成形体76を得た。
【0062】積層成形体の評価 得られた積層成形体76の表面は、耐擦傷性に優れ、鉛
筆硬度(JIS K−5400鉛筆ひっかき試験)は2
H程度であった。また、耐光性は、紫外線オートフェー
ドメーターを用い、ブラックパネル温度83±3℃、相
対湿度35〜50%の条件下で1200時間試験を行な
ったところ、外観上の変色及び劣化はほとんど認められ
なかった。透明表面層71と透明中間層74の剥離強度
(温度23℃、相対湿度50%)では、2.7kgf/
25mm幅、さらに透明中間層74と表皮基材層75の
剥離強度(温度23℃、相対湿度50%)では、2.1
kgf/25mm幅と良好であった。
【0063】〔比較例1〕図9に示す化粧シート90の層構成 透明シート91:オレフィン系樹脂組成物、厚み0.1
mm、表面に木目調絞 印刷層 92 :グラビヤ印刷により木目柄を印刷 プライマー層93:塩素化処理したオレフィン系樹脂を
主成分としたプライマー剤に対し、イソシアネート系硬
化剤を10重量%添加した組成物 基材シート94:オレフィン系樹脂組成物、厚み0.1
mm
【0064】図9に示す化粧シート90の製造方法 オレフィン系樹脂組成物からなる厚み0.1mmの基材
シート94をカレンダー法により形成した後、その表面
にコロナ放電処理を施し、そのシート表面の濡れ指数を
40dyn/cmとした。次に基材シート94のコロナ
放電処理面に塩素化処理したオレフィン系樹脂を主成分
としたプライマー剤に対し、イソシアネート系硬化剤を
10重量%添加した組成からなるプライマー層93を設
けた。このプライマー層にグラビヤ印刷によって木目柄
を印刷し、オレフィン系樹脂組成物からなる厚み0.1
mmの透明シート91と木目調のラミネートエンボス
(貼り合わせ同時絞押し)を施した。
【0065】化粧シートの評価 得られた化粧シート90の表面は、耐擦傷性が、鉛筆硬
度(JIS K−5400 鉛筆ひっかき試験)で2B
程度であり、使用部位により実用に耐えない場合が生じ
た。また、耐光性は、紫外線オートフェードメーター
(紫外線ロングライフカーボンアークランプ使用、スガ
試験機(株)製)を用い、ブラックパネル温度83±3
℃、相対湿度35〜50%の条件下で700時間試験を
行ったところ、若干外観上の色変化が認められた。
【0066】〔比較例2〕図10に示す化粧シート100の層構成 表面保護層101:熱可塑性ウレタン系エラストマー、
厚み10μm(乾燥後) 表面に砂目柄絞付き 印刷層102 :抽象柄 プライマー層103:塩素化処理したオレフィン系樹脂
を主成分としたプライマー剤に対し、イソシアネート系
硬化剤を10重量%添加した組成物 基材シート104:オレフィン系樹脂組成物、厚み0.
12mm、着色
【0067】図10に示す化粧シートの製造方法 オレフィン系樹脂組成物からなる厚み0.12mmの基
材シート104をカレンダー法により形成してから、そ
の表面にプライマー層103を設けた後、グラビヤ印刷
により抽象柄の印刷を施し、さらにその表面に熱可塑性
ウレタン系エラストマーからなる厚み10μm(乾燥
後)の表面保護層101を形成させた。この表面保護層
の表面に砂目柄の絞押しを行った。
【0068】化粧シートの評価 得られた化粧シート100の表面は、耐擦傷性が鉛筆硬
度(JIS K−5400 鉛筆ひっかき試験)で2B
程度であり、使用部位により実用に耐えない場合が生じ
た。また、耐光性は、紫外線オートフェードメーター
(紫外線ロングライフカーボンアークランプ使用、スガ
試験機(株)製)を用い、ブラックパネル温度83±3
℃、相対湿度35〜50%の条件下で700時間試験を
行ったところ、若干外観上の褪色と折り曲げ白化が認め
られた。
【0069】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、成形用表
皮材の表面を構成する透明表面層は、耐擦傷性、成形性
及び耐光性に優れており、長期の使用に際しても表面に
傷が発生しにくく、また、成形加工性に優れ、さらに変
色、褪色、劣化がなく商品価値が低下しない。また、表
皮基材層は、オレフィン系樹脂組成物からなり、その表
面層のみが、ポリエステル系共重合体からなるので、燃
焼時に塩化水素ガス等の有害なガスが極めて少なく、か
つ、環境を汚染することが少なく、またリサイクル性に
も優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の成形用表皮材の一実施の形態を示す概
略的断面図である。
【図2】本発明の積層成形体の一実施の形態を示す概略
的断面図である。
【図3】本発明の成形用表皮材の他の実施の形態を示す
概略的断面図である。
【図4】本発明の積層成形体の他の実施の形態を示す概
略的断面図である。
【図5】本発明の成形用表皮材の更に他の実施の形態を
示す概略的断面図である。
【図6】本発明の積層成形体の更に他の実施の形態を示
す概略的断面図である。
【図7】本発明の成形用表皮材の更に他の実施の形態を
示す概略的断面図である。
【図8】本発明の積層成形体の更に他の実施の形態を示
す概略的断面図である。
【図9】従来の成形用表皮材(化粧シート)の実施の形
態を示す概略的断面図である。
【図10】従来の成形用表皮材(化粧シート)の他の実
施の形態を示す概略的断面図である。
【符号の説明】
10,30,50,70 成形
用表皮材 11,31,51,71 透明
表面層 12,52,72 アン
カーコート層 13,32A,32B,53,73A,73B 印刷
層 14,35、54,75, 表皮
基材層 16,37,57,77 成形
基材 34,74 透明
中間層 55 ポリ
オレフィン系発泡層 15,36,56,76 積層
成形体 33 接着
剤層

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 最外層がエステル系共重合体からなる透
    明表面層を有し、かつ、(1)ハード成分としての
    (A)熱可塑性オレフィン系樹脂と、ソフト成分として
    の(B)水添スチレン系共重合体と、のブレンドタイプ
    のオレフィン系樹脂組成物及び/又は(2)熱可塑性オ
    レフィン系エラストマーを主成分とするオレフィン系樹
    脂組成物からなる表皮基材層を有すると共に前記透明表
    面層と前記表皮基材層との間に印刷層を有することを特
    徴とする成形用表皮材。
  2. 【請求項2】 透明表面層の厚みが、5〜300μmで
    あることを特徴とする請求項1に記載の成形用表皮材。
  3. 【請求項3】 (B)水添スチレン系共重合体が、水添
    スチレン系ブロック共重合体及び/又は水添スチレン系
    ランダム共重合体からなる請求項1に記載の成形用表皮
    材。
  4. 【請求項4】 最内層にオレフィン系の樹脂及び/又は
    ゴムからなるポリオレフィン系発泡層を有する請求項1
    に記載の成形用表皮材。
  5. 【請求項5】 印刷層が、低塩素化オレフィン系樹脂又
    はウレタン系樹脂を主要樹脂とするインキで形成されて
    いることを特徴とする請求項1に記載の成形用表皮材。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至請求項5に記載の成形用表
    皮材とオレフィン系の樹脂及び/又はゴムからなる成形
    基材との積層構造を有することを特徴とする積層成形
    体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2016031853A1 (ja) * 2014-08-29 2016-03-03 富士フイルム株式会社 光学積層体、偏光板および有機el表示装置

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