JP3316749B2 - 成形用化粧シート及び化粧材 - Google Patents

成形用化粧シート及び化粧材

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築物の内装、建
具、家具、車両内装等の用途に、真空プレス法等で成形
して被着体に貼着して使用する成形用化粧シートと、該
成形用化粧シートの貼着で得られる化粧材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、成形用化粧シートを貼着面が
凹凸面の被着体にラミネートした化粧材が各種用途で使
用されている。例えば、特公昭56−45768号公報
(オーバーレイ法)、特公昭60−58014号公報
(真空プレス法)等に開示の所謂真空成形積層法では、
立体形状の被着体上に成形用化粧シートを載置し、被着
体側からの真空吸引による圧力差により成形用化粧シー
トを成形して被着体表面に積層一体化する。また、この
様な成形用化粧シートとしては、例えば次の様なものが
用いられてきた。
【0003】塩化ビニル樹脂シートのみを用いた成形
用化粧シート。塩化ビニル樹脂は成形性に優れる事か
ら、一般的な化粧シート同様に、例えば、基材シートに
は着色した塩化ビニル樹脂シートを使用し、これに装飾
処理として例えば装飾層を印刷形成し、さらに透明な塩
化ビニル樹脂シートを保護層として積層したり(特公昭
28−5036号公報等参照)、或いは更に保護層とす
る該樹脂シートの積層と同時にその表面に所謂ダブリン
グエンボス法で凹凸模様を賦形したり(特公昭58−1
4312号公報等参照)した成形用化粧シート。 ポリオレフィン系樹脂シートのみを用いた成形用化粧
シート。最近では、塩化ビニル樹脂は廃棄時に燃焼させ
ると塩酸ガスを発生する為に、地球環境問題の観点か
ら、塩素を含まない他の樹脂を用いた化粧シートが望ま
れる様になった。そこで、通常の化粧シートの分野で
は、板材に貼着後、Vカット加工で折り曲げる等の用途
に適した化粧シートとして、例えば上記の如き構成に
て、基材シート及び保護層となる樹脂シートに、各々ポ
リオレフィン系樹脂シートを使用した構成の化粧シート
(特開平6−210808号公報等参照)が各種提案さ
れている。そして、この様な化粧シートを成形用化粧シ
ートとして使用する事も試みられた。 或いは、基材シートにはポリオレフィン系樹脂シート
を用い、保護層にはアクリル樹脂シートを用いた成形用
化粧シート、 基材シートには塩化ビニル樹脂シートを用い保護層に
はアクリル樹脂シートを用いた成形用化粧シート等も試
みられた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記の成
形用化粧シートの如く、基材シートや保護層とする樹脂
シートに塩化ビニル樹脂を用いれば、安価に出来る上、
成形性も良好だが、塩化ビニル樹脂は環境問題の点から
嫌われる傾向にあり、環境対応とは言えない。しかし、
上記の成形用化粧シートの如く、基材シート及び保護
層をポリオレフィン系樹脂シートとした構成は、環境対
応にはなるが、成形性が劣った。特に被着体の凹部に成
形用化粧シートを真空成形等で成形する場合、成形不良
となる事があった。それは、図5の概念図で示す如く、
最初は図5(A)の如く、成形用化粧シートSが被着体
Bの凹部である逆R部9の形状に沿う様に追従し成形さ
れたとしても、このシートは(基材シート及び保護層が
ポリオレフィン系樹脂の為)復元力が有る為に、図5
(B)の如く、成形後に成形用化粧シートが徐徐に冷え
てくると、逆R部で成形用化粧シートが表側に向かって
凹形状に成形される逆R部9にて、成形用化粧シートが
元の形状に戻ろうとして、接着剤が固化して成形用化粧
シートを被着体に固定する前に、成形用化粧シートが浮
いてくる「シボ(絞)戻り」が発生する事があった。ま
た、上記の成形用化粧シートでは、基材シートがポリ
オレフィン系樹脂だが保護層をアクリル樹脂とした為
に、上記のシボ戻りによる成形性不足の問題は改善さ
れるが、成形時にシート加熱される為に、アクリル樹脂
の保護層が艶変化し易いといった問題があった。従っ
て、成形性及び艶変化有無として見た成形適性は不十分
であった。なお、シボ戻りは高温にすれば改善方向に向
かうが、熱の影響が大きくなり艶変化が大きくなる。ま
た、基材シートを着色シートとする場合、基材シートが
ポリオレフィン系樹脂であると伸びて白化し易いといっ
た問題もあった。また、上記の成形用化粧シートで
は、基材シートが塩化ビニル樹脂の為にシボ戻りは起き
にくく、初期密着が弱くても成形後の状態を保持し成形
性は良好である。しかし、アクリル樹脂の保護層が艶変
化し易いといった問題があった。
【0005】そこで、本発明の課題は、塩化ビニル樹脂
を使用しない成形用化粧シートであっても、シボ戻りや
艶変化等を起こさず成形適性が良好な成形用化粧シート
を提供する事である。また、成形用化粧シートを貼着し
ても化粧面にシボ戻りや艶変化の無い外観良好な化粧材
を提供する事である。
【0006】
【問題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の成形用化粧シートでは、アクリル樹脂から
なる基材シートに、アタクチックポリプロピレンを含む
ポリオレフィン系樹脂からなる保護層が積層され、基材
シート、保護層のうちの少なくとも片方に装飾処理が施
されている構成とした。例えば、アクリル樹脂からなり
着色された基材シートに、装飾層、易接着層、ポリオレ
フィン系樹脂からなる透明な保護層が順次積層された構
成の成形用化粧シートとした。なお、被着体との貼着面
となる基材シート裏面に接着剤層が積層された構成とし
ても良い。この様に、被着体側となる基材シートの方に
成形性に優れるアクリル樹脂を用い、表側となる保護層
の方にシート等としてポリオレフィン系樹脂を用いた積
層体とする事で、成形後収縮によるシボ戻り、表面の艶
変化等を起こさず成形適性が良好な成形用化粧シートと
なる。また、基材シートや保護層には、塩化ビニル樹脂
が使用されていない為に、環境対応のシートにもなる。
【0007】また、本発明の化粧材は、被着体に、上記
成形用化粧シートが、その保護層が表側となる様な向き
で、貼着されている構成とした。その結果、貼着されて
いる成形用化粧シートには、成形後収縮によるシボ戻
り、表面の艶変化等が無く、外観良好な化粧材となる。
また、成形用化粧シートには、基材シートや保護層に塩
化ビニル樹脂が使用されていない為に、環境対応の化粧
材にもなる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら、本発
明の成形用化粧シート及び化粧材について、実施の形態
を説明する。なお、図1は本発明の成形用化粧シートの
形態例を例示する断面図で、図1(A)は基本的構成を
示し、図1(B)は装飾処理として装飾層を有する或る
一形態を示す。また、図2は本発明の化粧材の一形態を
例示する断面図である。また、図3は本発明の成形用化
粧シートの他の形態例としてその幾つかを例示する断面
図、図4は本発明の成形用化粧シートを成形して被着体
に貼着する一方法として真空プレスによる真空成形積層
法を説明する概念図、図5は被着体の凹部にて発生する
成形用化粧シートの成形後収縮を説明する概念図であ
る。
【0009】成形用化粧シート 本発明の成形用化粧シートSでは、図1及び図3の各種
形態例に示す如く、アクリル樹脂からなる基材シート1
(或いは1a)、及びポリオレフィン系樹脂からなる保
護層2のうちの少なくとも片方に装飾処理が施された構
成のシートである。なお、基本構成を示す図1(A)に
於ける基材シート1は無着色又は(不透明或いは透明
に)着色されている。また、図1(B)及び図3に於け
る基材シート1aは、(不透明或いは透明に)着色され
ている。なお、装飾処理とは後で詳述するが、例えば、
図1(B)の基材シート1aの如く、基材シート(或い
は保護層とするポリオレフィン系樹脂の保護シート)へ
の絵柄印刷等による装飾層3の形成、図1(B)及び図
3の様な基材シート1aへの着色剤の練り込みによる着
色処理、図1(B)及び図3(C)の如く保護層2への
凹凸模様5の賦形等である。ちなみに、図1(B)に例
示の成形用化粧シートSは、アクリル樹脂からなる着色
された基材シート1aに装飾処理として絵柄等を表現す
る為の装飾層3が印刷等で形成され、そして、易接着層
4を介して、ポリオレフィン系樹脂からなる保護シート
のドライラミネーション、Tダイ等によって透明な保護
層2を積層した構成で、更に保護層2の表面に凹凸模様
5が賦形され、該凹凸模様5の凹部にワイピング加工法
等によって着色部6が形成され、更に上塗り層7が保護
層2の全面に形成され、更に被着体との貼着面となる基
材シートの裏面に接着剤層8が積層された構成である。
【0010】以下、成形用化粧シートを構成する各層に
ついて説明する。
【0011】〔基材シート〕基材シート1、1aとして
は、アクリル樹脂からなる樹脂シートであれば、基本的
には特に制限は無い。基材シートにアクリル樹脂を使用
する事で、成形用化粧シートとしての成形性を良好にで
きる。なお、アクリル樹脂は、ポリ(メタ)アクリル酸
メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)
アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、
(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル
共重合体、(メタ)アクリル酸エチル−(メタ)アクリ
ル酸ブチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メ
チル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸メチル共
重合体等の(メタ)アクリル酸エステルを含む単独又は
共重合体からなる樹脂のことである。また、(メタ)ア
クリルとは、アクリル又はメタクリルを意味する。これ
らアクリル樹脂は、単体又は2種以上の混合物として、
単層又は2層以上の積層体のシートとして用いる。な
お、基材シートは、通常は着色剤等を添加し着色不透明
の層として用いれば、被着体表面の模様や色を隠蔽する
層として使用できる点で好ましい。但し、この必要が無
い場合等では、着色透明、或いは無着色としも良い。な
お、基材シートの厚みは用途等によるが、通常は20〜
300μm程度である。
【0012】〔保護層〕保護層2は、ポリオレフィン系
樹脂から構成する。成形用化粧シートの表面側となる保
護層をポリオレフィン系樹脂とする事で、成形用化粧シ
ートの成形性を損なう事なく、従来、保護層がアクリル
樹脂の場合に発生した艶変化を防止できる。この結果、
深絞りが要求される場合に、成形用化粧シートを伸び易
くする為に高温成形(例えば90〜120℃)しても、
艶変化が起こり難い。保護層の形成方法は特に限定は無
いが、例えばポリオレフィン系樹脂の保護シートを基材
シートに対して積層するか、或いはTダイ等による溶融
押出法で基材シート上に該樹脂の溶融物を積層する事等
で形成すれば良い。なお、前記保護シートは、カレンダ
ー法、インフレーション法、Tダイ押し出し法等の公知
の成膜方法によって得る。また、保護シートの場合、延
伸シート、未延伸シートのいずれでも使用可能である
が、成形性の点では、未延伸シートの方が良好である。
また、保護層の厚みは用途等によるが、通常は20〜3
00μm程度である。
【0013】上記ポリオレフィン系樹脂としては、ポリ
エチレン(低密度、又は高密度)、ポリプロピレン、ポ
リメチルペンテン、ポリブテン、エチレン−プロピレン
共重合体、プロピレン−ブテン共重合体等の高結晶質の
非エラストマーポリオレフィン系樹脂、或いは各種のオ
レフィン系熱可塑性エラストマーが用いられる。オレフ
ィン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば下記のも
のが使用できる。
【0014】特公平6−23278号公報記載の、
(A) ソフトセグメントとして、数平均分子量Mnが2
5,000以上、且つ、重量平均分子量Mwと数平均分
子量Mnとの比Mw/Mn≦7の沸騰ヘプタンに可溶な
アタクチックポリプロピレン10〜90重量%と、(B)
ハードセグメントとして、メルトインデックスが0.1
〜4g/10分の沸騰ヘプタン不溶性のアイソタクチッ
クポリプロピレン90〜10重量%、との混合物からな
る軟質ポリプロピレン。
【0015】この種のオレフィン系熱可塑性エラストマ
ーの中でも、所謂「ネッキング」を生じ難く、加熱、加
圧により各種形状に成形したりエンボス加工する際に適
性良好なものとしては、アイソタクチックポリプロピレ
ンとアタクチックポリプロピレンとの混合割合が、アタ
クチックポリプロピレンの重量比で5重量%以上50重
量%以下のものである。ポリプロピレン系のオレフィン
系熱可塑性エラストマー自体は既に公知のものである
が、包装容器等従来公知の用途に用いられる場合は、強
度を重視する為に、ソフトセグメントとなるアタクチッ
クポリプロピレンの重量比が5重量%未満のものが専ら
使用されていた。しかしながら、三次元形状、乃至凹凸
形状に成形したり、或いはエンボス加工するという新規
な用途にこれを適用しようとすると、前記の如くネッキ
ングを生じて良好な加工が不可能であった。そこで、従
来の組成の設計とは逆に、ポリプロピレン系のオレフィ
ン系熱可塑性エラストマーに於いて、アタクチックポリ
プロピレンの重量比を5重量%以上とする、三次元形
状、乃至凹凸形状の物品表面形状に成形したり、エンボ
ス加工したりする際のネッキングによる不均一なシート
の変形、及びその結果としての皺、絵柄の歪み等の欠点
を解消する事ができる。特にアタクチックポリプロピレ
ンの重量比が20重量%以上の場合が良好である。一
方、アタクチックポリプロピレンの重量比が増加し過ぎ
ると、シート自体が変形し易くなり、シートを印刷機に
通したときにシートが変形し、絵柄が歪んだり、多色刷
りの場合に見当が合わなくなる等の不良が発生し易くな
る。また、成形時にも破れ易くなる為に好ましくない。
アタクチックポリプロピレンの重量比の上限としては、
輪転グラビア印刷等の通常の輪転印刷機を用いて装飾層
を印刷し、また、真空成形(真空成形積層法等)、エン
ボス加工、Vカット加工、射出成形同時ラミネート等を
適用する場合は50重量%以下、より好ましくは40重
量%以下である。
【0016】エチレン−プロピレン−ブテン共重合体
樹脂からなる熱可塑性エラストマー。ここで、そのブテ
ンとして、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレンの3
種の構造異性体のいずれも用いることができる。共重合
体としては、ランダム共重合体で、非晶質の部分を一部
含む上記エチレン−プロピレン−ブテン共重合体の好ま
しい具体例としては次の(i) 〜(iii) が挙げられる。 (i) 特開平9−111055号公報記載のもの。これ
は、エチレン、プロピレン及びブテンの三元共重合体に
よるランダム共重合体である。単量体成分の重量比はプ
ロピレンが90重量%以上とする。メルトフローレート
は、230℃、2.16kgで1〜50g/10分のも
のが好適である。そして、このような三元ランダム共重
合体100重量部に対して、燐酸アリールエステル化合
物を主成分とする透明造核剤を0.01〜50重量部、
炭素数12〜22の脂肪酸アミド0.003〜0.3重
量部を熔融混練してなるものである。 (ii)特開平5−77371号公報記載のもの。これは、
エチレン、プロピレン、1−ブテンの三元共重合体であ
って、プロピレン成分含有率が50重量%以上の非晶質
重合体20〜100重量%に、結晶質ポリプロピレンを
80〜0重量%添加してなるものである。 (iii) 特開平7−316358号公報記載のもの。これ
は、エチレン、プロピレン、1−ブテンの三元共重合体
であって、プロピレン及び/又は1−ブテンの含有率が
50重量%以上の低結晶質重合体20〜100重量%に
対して、アイソタクチックポリプロピレン等の結晶質ポ
リオレフィン80〜0重量%を混合した組成物に対し
て、N−アシルアミノ酸アミン塩、N−アシルアミノ酸
エステル等の油ゲル化剤を0.5重量%添加してなるも
のである。
【0017】なお、エチレン−プロピレン−ブテン共重
合体樹脂は、単独で用いても良いし、上記(i) 〜(iii)
に必要に応じ更に他のポリオレフィン系樹脂を混合して
用いても良い。
【0018】特公昭53−21021号公報記載の如
き、(A) ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペ
ンテン等のオレフィン重合体(結晶性高分子)をハード
セグメントとし、これに(B) 部分架橋したエチレン−プ
ロピレン共重合体ゴム、不飽和エチレン−プロピレン−
非共役ジエン三元共重合体ゴム等のモノオレフィン共重
合体ゴムをソフトセグメントとし、これらを均一に配合
し混合してなるオレフィン系エラストマー。なお、モノ
オレフィンゴム/オレフィン重合体=50/50〜90
/10(重量比)の割合で混合する。
【0019】特公昭53−34210号公報等に記載
の如き、(B) 未架橋モノオレフィン共重合体ゴム(ソフ
トセグメント)と、(A) オレフィン系共重合体(結晶
性、ハードセグメント)と架橋剤とを混合し、加熱し剪
断応力を加えつつ動的に部分架橋させてなるオレフィン
系エラストマー。なお、(B) モノオレフィンゴム/(A)
オレフィン系共重合体=60/40〜80/20(重量
比)である。
【0020】特公昭56−15741号公報等に記載
の如き、(A) アイソタクチックポリプロピレン、プロピ
レン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重
合体等のペルオキシドと混合・加熱すると分子量を減
じ、流動性を増すペルオキシド分解型オレフィン重合体
(ハードセグメント)と、(B) エチレン−プロピレン共
重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン三元
共重合体ゴム等のペルオキシドと混合・加熱することに
より、架橋して流動性が減じるペルオキシド架橋型モノ
オレフィン共重合体ゴム(ソフトセグメント)、(C) ポ
リイソブチレン、ブチルゴム等のペルオキシドと混合・
加熱しても架橋せず、流動性が不変の、ペルオキシド非
架橋型炭化水素ゴム(ソフトセグメント兼流動性改質成
分)、及び(D) パラフィン系、ナフテン系、芳香族系等
の鉱物油系軟化剤、とを混合し、有機ペルオキシドの存
在下で動的に熱処理してなるオレフィン系エラストマ
ー。なお、(A) が90〜40重量部、(B) が10〜60
重量部で、(A) +(B) =100重量部として、これに、
(C) 及び/又は(D) が5〜100重量部の配合比とな
る。
【0021】特開平2−139232号公報に記載の
如き、エチレン−スチレン−ブチレン共重合体からなる
オレフィン系熱可塑性エラストマー。
【0022】極性基として水酸基又は/及びカルボキ
シル基を持たせた、上記からのオレフィン系熱可塑
性エラストマー。例えば、エチレン−ビニルアルコール
共重合体等のグラフト重合で水酸基を、また、マレイン
酸、フマル酸、イタコン酸等の共重合体でカルボキシル
基を導入したオレフィン系熱可塑性エラストマーを用い
る。これら水酸基、カルボキシル基はどちらか一方、又
は両方を併用してもよく、これら極性基は、基材シー
ト、装飾層、易接着層等の他の層との接着性を向上させ
る作用を持つ。
【0023】なお、保護層には、必要に応じ、充填剤、
発泡剤、難燃剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光
安定剤等の各種の添加剤を添加する。
【0024】特に、基材シートに対して保護層は表側と
なるので、耐候(光)性向上が要求される用途では、ベ
ンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤、ヒンダードアミ
ン系ラガシル捕捉剤等の光安定剤のいずれか片方、好ま
しくは両方を耐候剤として添加して、耐候(光)性を向
上させる事が好ましい。添加量は通常0.1〜5重量%
の範囲である。これら耐候剤は、もちろん、基材シート
にも使用できる。
【0025】なお、保護層となる保護シート、或いは基
材シートに積層すべく溶融状態の溶融シートには、必要
に応じ適宜、その片面又は両面に、コロナ放電処理、プ
ラズマ処理、オゾン処理、易接着層の形成等の公知の易
接着処理を行っても良い。
【0026】〔装飾処理〕基材シートや保護層に対する
装飾処理としては、基材シート自体への顔料や染料等の
着色剤の添加による着色(透明又は不透明着色)〔図1
(B)及び図3参照〕、模様等を表現する印刷等による
装飾層4の付与〔図1(B)及び図3参照〕、エンボス
加工等による凹凸模様5の賦形〔図1(B)及び図3
(C)参照〕、等のことである。この様に装飾処理は、
一般的な化粧シートに於ける従来公知の各種装飾処理で
良い。また、各種装飾処理は、用途に応じて適宜組み合
わせても使用する。
【0027】ここで、具体的装飾処理例でもある図1
(B)及び図3に例示した各種成形用化粧シートSの構
成を説明しておく。先ず、図3(A)の成形用化粧シー
トSは、アクリル樹脂からなる着色された基材シート1
aとポリオレフィン系樹脂からなる保護層2とが易接着
層4を介して積層され、更に保護層2の表面側に上塗り
層7が全面に形成された構成のものである。次に、図3
(B)の成形用化粧シートSは、図3(A)の構成に対
して、基材シート1aと易接着層4間に、印刷等で形成
した装飾層3を有する構成である。また、図3(C)の
成形用化粧シートとSは、図3(B)の構成に対して、
保護層2の表面に凹凸模様5が賦形された後に、上塗り
層7が全面に形成された構成である。そして、図1
(B)の成形用化粧シートSは、図3(C)の構成に対
して、凹凸模様5の凹部内に着色部6が形成された後
に、全面に上塗り層7が形成された構成である。
【0028】(着色剤添加)着色剤としては、チタン
白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン
黄、黄鉛、カーボンブラック等の無機顔料、イソインド
リノン、ハンザイエローA、キナクリドン、パーマネン
トレッド4R、フタロシアニンブルー、インダスレンブ
ルーRS、アニリンブラック等の有機顔料(或いは染料
も含む)、アルミニウム、真鍮、等の金属顔料、二酸化
チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の箔粉からなる真珠光
沢(パール)顔料等を用いる。これらは、粉末、或いは
鱗片状箔片として添加、分散せしめられる。なお、着色
剤添加による着色処理は、基材シートの他に保護層に適
用する事も出来る(透明着色の他に、下に透視すべき装
飾層等無ければ不透明着色も可能)。
【0029】(装飾層付与)装飾層は、例えば、グラビ
ア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写
シートからの転写印刷等公知の印刷法によってインキに
て形成する。また、全面ベタ柄の場合は、グラビアコー
ト、ロールコート等の公知の塗工法によって塗料で形成
する事もできる。装飾層の模様としては、木目模様、石
目模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記
号、或いは全面ベタ等がある。装飾層は、通常は基材シ
ートと保護層間とするのが、基材シートの裏面、保護層
の表面、或いは、これらを組み合わせても良い。なお、
基材シートと保護層間に装飾層を設ける場合、基材シー
トに対して形成する方法以外に、保護層を保護シートか
ら形成する場合には、該保護シートに印刷等で形成した
後、基材シートと積層して成形用化粧シートとする事も
出来る。インキ(或いは)塗料としては、バインダーと
して、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢
酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプ
ロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ウ
レタン樹脂、セルロース系樹脂、等を用い、一種又は二
種以上混合して用いる。これに前記着色剤添加で列挙し
た様な公知の顔料等の着色剤を一種又は二種以上添加し
た物を用いる。
【0030】また、装飾層は金属薄膜層でも良い。金属
薄膜の形成は、アルミニウム、クロム、金、銀、銅等の
金属を用い、真空蒸着、スパッタリング等の方法で製膜
する。或いはこれらの組み合わせでも良い。該金属薄膜
は、全面に設けても、或いは、部分的にパターン状に設
けても良い。
【0031】(凹凸模様賦形)凹凸模様5は、ヘアライ
ン加工、サンドブラスト加工、エンボス加工等により形
成する。例えば、エンボス加工は、熱プレス方式の枚葉
又は輪転式エンボス機を用いて、加熱軟化させた保護シ
ート(或いは基材シート)の表面にエンボス版を押圧し
て形成する。凹凸模様5は、例えば、木目板導管溝、石
板表面凹凸(花崗岩劈開面等)、布表面テクスチュア、
梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等である。なお、凹
凸模様はこれらの組み合わせでも良い。なお、凹凸模様
は通常は保護層の表側面だが、保護層と基材シートとの
層間、基材シート裏側面の場合もある。
【0032】(その他の装飾処理)図1(B)の成形用
化粧シートSの如く、更に必要に応じて、凹凸模様5の
凹部に公知のワイピング法(特公昭58−14312号
公報等参照)等によって、着色インキを充填して着色部
6を形成することもできる。着色インキは前記印刷によ
る装飾層と同様の物が可能である。但し、耐磨耗性の点
では、2液硬化型ウレタン樹脂をバインダーとする物が
好ましい。
【0033】また、図1(B)及び図3の化粧シートS
の如く、装飾処理には、艶調整、塗装感等の意匠性付与
の為の上塗り層7を保護層2の上に更に形成する処理等
もある。但し、上塗り層7は成形用化粧シートの最表面
層となる為に、装飾処理と言うよりは、耐擦傷性、耐汚
染性等の表面物性の向上目的で通常は設ける。もちろ
ん、装飾と表面物性向上の両方を目的に設ける事もあ
る。図1(B)及び図3の上塗り層7は、用途によりこ
れら目的の層となる。
【0034】なお、図示はしないが、上塗り層は装飾処
理として、その表面の光沢をパターン状に形成しても良
い。例えば、高光沢の上塗り層を全面に形成した上に、
低光沢の上塗り層を部分的に形成する。高光沢(グロ
ス)と低光沢(マット)とによるパターンによって、グ
ロス・マット柄を表現できる。低光沢の上塗り層にはマ
ット剤(艶消し剤)を添加すれば良い。一方、高光沢の
上塗り層にはマット剤を添加しない。マット剤は、例え
ばシリカ、アルミナ、炭酸カルシウム等の粉末からなる
公知のマット剤で良い。マットで表現する低光沢の上塗
り層の柄は、例えば木目導管溝柄等である。なお、もち
ろん事、上塗り層は一層のみを設ける場合でも、全面を
高光沢、或いはマット等の低光沢にしても良い。
【0035】上記の如き上塗り層には、要求物性に応じ
た樹脂を適宜使用すれば良く、例えば、2液硬化型ウレ
タン樹脂、紫外線や電子線等の電離放射線で硬化するア
クリル系やエポキシ系等の電離放射線硬化性樹脂等を使
用する。また、上塗り層中には、ワッスク等の滑剤、紫
外線吸収剤、光安定剤、体質顔料等を必要に応じ適宜添
加する。上塗り層の形成は、グラビアコート、ロールコ
ート等の塗工法、グラビア印刷、スクリーン印刷等の印
刷法等で行えば良い。形成対象は、基材シートと保護層
との積層物、或いは保護層とする保護シートである。な
お、上塗り層の厚みは用途にもよるが通常1〜20μm
である。
【0036】〔易接着層〕なお、基材シートと保護層と
の間には、これら層間での密着性向上が必要な場合に
は、易接着層4を設ける事が好ましい〔図1(B)、図
3参照〕。例えば、図1(B)に於ける易接着層4は、
保護層2と装飾層3間の密着性向上の為であり、図3
(A)に於ける易接着層4は、保護層2と基材シート1
間の密着性向上の為である。易接着層は密着性向上が望
まれる層間部分に適宜設ければ良い。特に、保護層は一
般的に密着性が劣るポリオレフィン系樹脂から構成する
ので、保護層に接する他層との間には、易接着層を設け
るのが密着性の点から好ましい。もちろん、密着性が十
分であれば、この様な層間密着性向上の為の易接着層は
省略することも出来る。易接着層としては、易接着目的
で使用される公知の接着剤、プライマー等を使用すれば
良い。例えば、ウレタン樹脂等の熱硬化等による硬化性
樹脂、例えば2液硬化型ウレタン樹脂等の従来公知の接
着剤を使用すれば良い。なお、易接着層は、グラビア印
刷、ロールコート等の公知の印刷又は塗工法で形成すれ
ば良い。
【0037】〔接着剤層〕また、図1(B)の成形用化
粧シートSで例示の如く、成形用化粧シートの裏面、つ
まり基材シート1の裏面には、必要に応じ適宜、成形用
化粧シートを被着体に貼着する為の接着剤層8を設けて
も良い。接着剤層には、被着体の材質や用途に応じて、
ポリアミド等の熱可塑性樹脂、ウレタン樹脂等の熱硬化
等による硬化性樹脂等の従来公知の接着剤、プライマー
等を使用すれば良い。接着形態には熱融着や粘着、溶剤
揮散等がある。なお、接着剤層は、グラビア印刷、ロー
ルコート等の公知の印刷又は塗工法で形成すれば良い。
【0038】化粧材 本発明の化粧材は、図2に例示する化粧材Dの如く、前
述した本発明の成形用化粧シートSが、その保護層2を
基材シート1よりも表側となる様な向きで、被着体Bの
表面に積層してなる構成の化粧材である。なお、同図で
は図示簡略化の為に、成形用化粧シートSは基材シート
1と保護層2とからなる最も基本的な構成で例示してあ
る。しかし、もちろん成形用化粧シートSは当該構成で
もよいが、前述例示した如き各種他の構成のシート等で
も良い。例えば、図1(B)や図3で説明した様な構成
の成形用化粧シートである。また、図示はしないが、被
着体Bと基材シート1間には、接着剤層が介在する事が
ある。例えば、射出成形同時ラミネート法では接着剤層
無しでも射出樹脂自体が接着剤となり得るが、真空成形
積層法では通常は接着剤層を設ける。接着剤層は、成形
用化粧シートの一部として被着体に積層される事もある
が、被着体に対して接着剤をスプレー塗装等で施す事に
よって被転写体に積層される事もある。そして、本発明
の化粧材は、貼着面が凹凸形状の場合は、好ましくは真
空成形積層法等のシート成形可能な積層方法で被着体に
成形用化粧シートを積層する事で得られる。そして、上
記の如き構成とする事で、被着体に貼着されている成形
用化粧シートには、成形後収縮によるシボ戻りや、表面
の艶変化等が無く、外観良好な化粧材となる。また、成
形用化粧シートには、基材シートや保護層に塩化ビニル
樹脂が使用されていない為に、環境対応の化粧材にもな
る。
【0039】〔被着体〕被着体Bとしては、特に制限は
無い。用途に応じたものを使用すれば良い。但し、前述
の本発明の成形用化粧シートを被着体に貼着して本発明
の化粧材とする場合に、該成形用化粧シートの特徴を活
かせるのは、成形用化粧シートが伸ばされ成形される様
な凹凸形状を貼着面に有する被着体である。従って、貼
着面が凹凸形状の被着体は好適な被着体である。しか
し、本発明の化粧材に於ける被着体(或いは前述の本発
明の成形用化粧シートの用途としての被着体も同様)と
しては、貼着面が平面のものを排除するものではない。
また、被着体の全体形状は、平板、曲面板等の板状、成
形品等の如き立体形状、シート(或いはフィルム)状等
と任意である。
【0040】この様な被着体の素材としては、例えば、
木材単板、木材合板、パーティクルボード、MDF(中
密度繊維板)等の木質繊維板等の板材や立体形状物品等
として用いられる木質板素材、鉄、アルミニウム等の板
材、立体形状物品或いはシート等として用いられる金属
素材、ガラス、陶磁器等のセラミックス、石膏等の非セ
メント窯業系材料、ALC(軽量気泡コンクリート)板
等の非陶磁器窯業系材料等の板材や立体形状物品等とし
て用いられる窯業系素材、アクリル樹脂、ポリエステル
樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン等のポリオレ
フィン系樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン
−スチレン共重合体)樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニ
ル樹脂、セルロース系樹脂、ゴム等の板材、立体形状物
品或いはシート等として用いられる樹脂素材、或いは、
専らシートとして用いられる上質紙、和紙等の紙、炭
素、石綿、ガラス、合成樹脂等の繊維からなる不織布ま
たは織布が挙げられる。
【0041】なお、被着体に予め接着剤層を形成してお
く場合には、前述した成形用化粧シートで述べた如き接
着剤を使用すれば良い。また、形成面が凹凸面の場合に
は、接着剤層の形成は、凹凸形状次第ではロールコート
等の塗工法でも可能だが、凹凸が大きい場合には、スプ
レーコート等の公知の塗工法によれば良い。
【0042】成形用化粧シートの被着体への積層法 本発明の化粧材を得る方法として、前述本発明の成形用
化粧シートを被着体に積層する方法は好ましい方法であ
る。また、前述本発明の成形用化粧シートは、各種被着
体に各種積層方法で積層する為に使用される。そこで、
次に、成形用化粧シートの被着体への積層方法について
説明する。特に、本発明の成形用化粧シートの特徴が活
きるのは、貼着面が凹凸面の場合であり、凹凸面に貼着
できる積層方法として好ましい一つの方法である、いわ
ゆる真空成形積層法を、ここでは説明する。
【0043】〔真空成形積層法〕真空成形積層写法と
は、成形用化粧シートをその貼着面が被着体側に向く様
にして配置し、成形用化粧シートの表裏両側の気圧差を
少なくとも被着体側からの真空吸引によって発生させ、
少なくとも該気圧差によって成形用化粧シートを被着体
体に押圧して密着させる積層法である。
【0044】図4は、この真空成形積層法の中でも、真
空プレス法による積層法の説明図である。真空プレス法
は、オーバーレイ法(真空ラミネート法)と似ている
が、成形用化粧シートの被着体への押圧に空気の圧力差
以外に、弾性体膜としてゴム状弾性膜の収縮力(収縮
圧)も利用する点、成形用化粧シートの加熱をヒータに
より加熱されたゴム状弾性膜を通して行う点等が若干異
なり、成形用化粧シートの均一加熱とより強い押圧力等
に特徴がある。
【0045】同図の概略構成図に示す真空プレス装置3
0は、上方には流体圧シリンダー等の上下動作手段13
により上下に移動可能な上室11があり、上室11に対
面して下方に下室21がある。上室11の内部には赤外
線輻射型のヒータ12が配置されている。また上室11
の下部開口面はゴム状弾性膜15にて全面が覆われてい
る。ゴム状弾性膜15には通常シリコーンゴム等が用い
られる。下室21はその上面が複数の排気孔23を有す
る置き台22となっている。上室11及び下室21に
は、それぞれ給排気ポート14、24があり、それぞれ
の内部圧を独立に調整できる。真空プレス法では、先
ず、上室11が上方に移動して下室21と分離した状態
で、被着体Bを置き台22に配置し、さらに成形用化粧
シートSを被着体Bの上から配置する。その際、成形用
化粧シートSの貼着面側が被着体Bと向き合う様にす
る。接着剤を成形用化粧シートや被着体の外表面に施し
ておく場合には、この段階で塗布等しておく。また接着
剤が溶剤を含む場合は、この段階で乾燥させておく。次
いで、上室11を下方に移動し下室21に圧接し、上室
11及び下室21を密閉する。図3はこの状態を示して
いる。次に、下室21内を減圧し、上室11内を加圧す
る。さらに、ヒータ12を用いてゴム状弾性膜15を通
して成形用化粧シートSを加熱軟化させ成形可能状態と
する。この結果、成形用化粧シートSは上室11と下室
21との空気の圧力差及びゴム状弾性膜15の収縮圧に
より押圧されて、被着体Bの外表面に沿って変形圧接さ
れ、成形用化粧シートSが被着体Bへ密着していく。最
後に、下室21の減圧を解除するとともに上室11の加
圧を解除して両室を大気圧にし、上室11を上方に移動
し上室11及び下室21を分離し、成形用化粧シートS
が貼着した被着体Bを化粧材等として取り出す方法であ
る。
【0046】〔その他の積層法〕また、凹凸面にも、成
形用化粧シートを伸ばし成形して貼着できる他の積層方
法としては、特公昭50−19132号公報、特公昭4
3−27488号公報等に記載される様に、成形用化粧
シートを射出成形の雌雄両金型間に配置した後、溶融樹
脂等の流動状態の樹脂を型内に射出充填し、被着体とな
る樹脂成形物の成形と同時にその表面に成形用化粧シー
トを接着積層する、所謂射出成形同時ラミネート方法等
でも良い。
【0047】或いは、上記の様に成形用化粧シートが伸
ばされ成形される方法では無いが、柱状基材の凹凸面に
成形用化粧シートを折り曲げる様にして貼着できる方法
として、特公昭61−5895号公報、特公平3−26
66号公報等に記載されるように、被着体として円柱、
多角柱等の柱状基材の長軸方向に、成形用化粧シートを
間に接着剤を介して供給しつつ、複数の向きの異なるロ
ーラーにより、柱状基材を構成する複数の側面に順次成
形用化粧シートを加圧接着して積層してゆく、所謂ラッ
ピング加工方法もある。また、貼着面が平面ならば、接
着剤を間に介して板状基材に加圧ローラーで加圧して積
層する方法もある。
【0048】〔化粧材の用途〕本発明の化粧材、或いは
本発明の成形用化粧シートの貼着物の用途は、特に限定
されるものでは無く、化粧面が凹凸面でも可能な特徴を
活かして、各種用途に用いられ得る。例えば、壁、天
井、床等建築物の内装、窓枠、扉、手摺等の建具の表面
化粧、家具又は弱電・OA機器のキャビネットの表面化
粧、自動車、電車、航空機、船舶等の乗物内装等であ
る。
【0049】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例により更に
説明する。
【0050】〔実施例〕図1(B)の如き成形用化粧シ
ートSを次の様にして作製した。アクリル樹脂からなる
厚み80μmの着色樹脂シートを着色不透明の基材シー
ト1aとして、バインダーの樹脂が酢酸ビニル系樹脂か
らなる着色インキで木目柄の装飾層3をグラビア印刷で
形成して印刷シートを得た。そして、装飾層が内側とな
る様にして、この印刷シートと、保護層2としてポリプ
ロピレン系樹脂(アタクチックポリプロピレンのハード
セグメントと水素添加スチレンブタジエンゴムのソフト
セグメントとからなるオレフィン系熱可塑性エラストマ
ー)からなる厚み60μmの保護シートとを、保護シー
トの接着面をコロナ放電処理後、2液硬化型ウレタン樹
脂系接着剤(ポリエステルポリオールの主剤とヘキサメ
チレンジイソシアネート系の硬化剤との100対5重量
比混合物)を用いて、ドライラミネートして、基材シー
ト1、装飾層3、易接着層4、保護層2の順に積層され
た積層シートとした。次いで、この積層シートの保護層
の表面に、エンボスローラで木目導管溝の凹凸模様5を
賦形した。更に、2液硬化型アクリルウレタン樹脂(ア
クリルポリオールの主剤とヘキサメチレンジイソシアネ
ート系の硬化剤との100対5重量比混合物)による着
色インキを用いたワイピング法で、凹凸模様の凹部内に
着色部6を形成した後、全面に2液硬化型アクリルウレ
タン樹脂系塗料(アクリルポリオールの主剤とヘキサメ
チレンジイソシアネート系の硬化剤との100対5重量
比混合物)による厚さ2μmの上塗り層7をグラビアコ
ートして、成形用化粧シートSとした。
【0051】次に、上記成形用化粧シートを、図4の如
き真空プレス装置による真空成形積層法によって、貼着
面に凹部を有するMDF(中密度繊維板)からなる木質
系の板状の被着体Bに対してラミネートして、図2の如
き化粧材Dを得た。ラミネ−トは、被着体の貼着面に先
ず、2液硬化型ウレタン樹脂系接着剤をスプレー塗布し
てから行った。シートの成形は、成形用化粧シートを加
熱面温度100℃の予備ヒータで15秒間、輻射加熱で
予熱後、加熱面温度140℃のヒータで輻射加熱してシ
ート表面温度(シート加熱温度)を表1の如き所定温度
まで加熱し、被着体側からの真空吸引(真空時間120
秒)と、成形用化粧シート側からの空気加圧(4kgf
/cm2 )とにより、シートを成形し被着体に押圧して
積層一体化して行った。その結果、被着体表面が木目柄
で装飾された化粧材が得られた。なお、前記シート加熱
温度は、60℃、70℃、80℃、100℃の各々につ
いて化粧材を得た。成形性は他の比較例と共に表1に纏
めて示す。
【0052】〔比較例1〕実施例に於いて、成形用化粧
シートは、基材シートには厚み80μmの着色塩化ビニ
ル樹脂シートを使用し、保護層には厚み80μmの透明
塩化ビニル樹脂シートを使用した。そして、基材シート
にバインダーの樹脂が塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体
からなる着色インキで木目柄の装飾層をグラビア印刷で
形成した印刷シートを、上記保護層となる透明塩化ビニ
ル樹脂シートと、ダブリングエンボス法によって積層す
ると同時に保護層面に凹凸模様を賦形し、後は実施例同
様にワイピング法による着色部形成、グラビアコートに
よる上塗り層形成を行い、成形用化粧シートを作製し
た。そして、実施例同様にして、MDFの被着体に真空
成形積層法で積層して化粧材を作製した。
【0053】〔比較例2〕実施例に於いて、成形用化粧
シートは、基材シートには厚み80μmのポリオレフィ
ン系樹脂シート(アタクチックポリプロピレンのハード
セグメントと水素添加スチレンブタジエンゴムのソフト
セグメントとからなるオレフィン系熱可塑性エラストマ
ー)を使用し、保護層には厚み60μmのポリオレフィ
ン系樹脂シート(エチレン−プロピレン−ブテン3元共
重合体からなるオレフィン系熱可塑性エラストマー)を
使用した。そして、実施例と同様にして成形用化粧シー
トを作製し、実施例同様に化粧材を作製した。
【0054】〔比較例3〕実施例に於いて、成形用化粧
シートは、基材シートには厚み80μmの塩化ビニル樹
脂シートを使用し、保護層には厚み50μmのアクリル
樹脂シートを使用した。そして、実施例と同様にして成
形用化粧シートを作製し、実施例同様に化粧材を作製し
た。
【0055】〔比較例4〕実施例に於いて、成形用化粧
シートは、基材シートには厚み100μmのポリオレフ
ィン系樹脂シート(ポリエチレンのハードセグメントと
水素添加スチレンブタジエンゴムのソフトセグメントと
からなるオレフィン系熱可塑性エラストマー)を使用
し、保護層には厚み75μmのアクリル樹脂シートを使
用した。そして、実施例と同様にして成形用化粧シート
を作製し、実施例同様に化粧材を作製した。
【0056】〔性能評価〕実施例及び比較例にて、真空
成形積層時の成形用化粧シートの成形適性について、次
の様にして評価した。結果は表1に纏めて示す。 成形性:被着体貼着面の凹凸形状へ成形用化粧シート
が追従して成形されるか否かを評価した。凹凸形状に追
従しない場合、シートが一旦凹凸形状に追従しても、そ
の後凹部で戻るシボ戻りが発生する場合は、不良とし、
どちらもでも無い場合は良好とした。 艶変化:シートが絞られた部分で、特に逆R部でシー
ト表面の艶が変化(艶が減少)したものは不良、艶変化
発生無しは良好とした。
【0057】
【表1】
【0058】その結果、表1の如く、基材シートにアク
リル樹脂、保護層にポリオレフィン系樹脂を用いた実施
例では、シート加熱温度60℃及び70℃では加熱温度
不十分の為に成形出来なかったが、80℃及び100℃
では成形でき成形適性は良好で、しかも100℃に於い
てもシボ戻りも艶変化も無く成形適性は良好であった。
これに対して、基材シート及び保護層共に塩化ビニル樹
脂を用いた比較例1では、シート加熱温度が60℃及び
70℃ではシボ戻りも艶変化も無く成形適性は良好であ
った。しかし、80℃ではやや艶変化し不良となり、1
00℃では艶変化が発生し不良となった。但し、比較例
1はシート加熱温度60℃及び70℃で成形適性良好と
は言え、塩化ビニル樹脂を用いている為に、環境対応の
製品とはなり得ない。また、基材シート及び保護層共に
ポリオレフィン系樹脂を用いた比較例2では、成形性自
体に十分な性能が得られず、被着体の凹凸形状にシート
を追従させる事が出来なかった。なお、これ以上(10
0℃超)のシート加熱温度で加熱すれば、シートはより
柔軟になり成形し易くなるが、生産性、コストを考慮す
ると、やはり実用的では無い。また、100℃では着色
された基材シートの白化も起きた。
【0059】また、基材シートには塩化ビニル樹脂、保
護層にはアクリル樹脂を用いた比較例3では、シート加
熱温度が60℃ではシボ戻りも艶変化もく無く成形適性
は良好であった。しかし、より高温では艶変化が発生し
不良であった。この為、シート加熱温度を高めにして絞
りが深い成形をする場合には、対応できない成形用化粧
シートであった。また、基材シートにはポリオレフィン
系樹脂、保護層にはアクリル樹脂を用いた比較例4で
は、シート加熱温度60℃及び70℃では加熱温度不十
分の為に成形出来ず、また70℃では艶変化も発生し
た。そして、より高温の80℃及び100℃では成形は
出来たが、艶変化が発生し不良となった。この為、シー
ト加熱温度を高めにして絞りが深い成形をする場合に
は、対応できない成形用化粧シートであった。また、1
00℃では着色された基材シートの白化も起きた。
【0060】
【発明の効果】本発明の成形用化粧シートによれば、
成形後収縮によるシボ戻り、表面の艶変化等を起こさず
成形適性が良好となる。そして、絞りが深くなる様に高
温成形(例えば80〜120℃)される場合でも、艶変
化が起きにくい。また、基材シートや保護層には、塩化
ビニル樹脂が使用されていない為に、環境対応のシート
にもなる。 本発明の化粧材では、その化粧面に、成形用化粧シー
トの成形後収縮によるシボ戻り、表面の艶変化等が無
く、外観良好な化粧材となる。また、基材シートや保護
層に塩化ビニル樹脂が使用されていない為に、環境対応
の化粧材にもなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の成形用化粧シートの形態例を例示する
断面図。
【図2】本発明の化粧材の一形態を例示する断面図。
【図3】本発明の成形用化粧シートの他の形態例の幾つ
かを例示する断面図。
【図4】真空プレスによる真空成形積層法を説明する概
念図。
【図5】被着体凹部で発生する成形用化粧シートの成形
後収縮を説明する概念図。
【符号の説明】
1 基材シート 1a 着色された基材シート 2 保護層 3 装飾層 4 易接着層 5 凹凸模様 6 着色部 7 上塗り層 8 接着剤層 9 逆R部 11 上室 12 ヒータ 13 上下動作手段 14 給排気ポート 15 ゴム状弾性膜 21 下室 22 置き台 23 排気孔 24 給排気ポート 30 真空プレス装置 B 被着体 S 成形用化粧シート

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリル樹脂からなる基材シートに、
    タクチックポリプロピレンを含むポリオレフィン系樹脂
    からなる保護層が積層され、基材シート、保護層のうち
    の少なくとも片方に装飾処理が施されている、成形用化
    粧シート。
  2. 【請求項2】 アクリル樹脂からなり着色された基材シ
    ートに、装飾層、易接着層、ポリオレフィン系樹脂から
    なる透明な保護層が順次積層された、請求項1記載の成
    形用化粧シート。
  3. 【請求項3】 被着体との貼着面となる基材シート裏面
    に接着剤層が積層された、請求項1又は2記載の成形用
    化粧シート。
  4. 【請求項4】 被着体に、請求項1〜3のいずれか1項
    記載の成形用化粧シートが、その保護層が表側となる様
    な向きで、貼着されている化粧材。
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