JP3139939B2 - 熱成形用積層シート及びその製造方法 - Google Patents

熱成形用積層シート及びその製造方法

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JP3139939B2
JP3139939B2 JP07131849A JP13184995A JP3139939B2 JP 3139939 B2 JP3139939 B2 JP 3139939B2 JP 07131849 A JP07131849 A JP 07131849A JP 13184995 A JP13184995 A JP 13184995A JP 3139939 B2 JP3139939 B2 JP 3139939B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば自動車の内装
材、OA機器や家電製品におけるハウジング、文具、サ
ニタリー製品、日用品あるいは内装建材に用いられる積
層シート及びその製造方法に関し、特に、艶消し感や人
に対しての良好なソフトタッチ感を与えることができ、
かつ加熱時の光沢保持性に優れた熱成形用積層シート及
びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチック成形品や金属製品の質感を
高め、かつ人に対して柔らかな触感(ソフトタッチ感)
を与えるために、圧縮成形体または金属製品表面にスエ
ード調(ソフトタッチ)塗料をコーティングすることが
試みられている。例えば、特開昭63−199776号
公報には、スエード調塗膜を形成するための塗料とし
て、60〜700%の伸びを有する樹脂を塗膜形成用樹
脂として含んだ樹脂液に、ナイロン粉末と着色剤、ある
いは着色ナイロン粉末を分散してなる塗料が開示されて
いる。
【0003】しかしながら、特開昭63−199776
号公報に記載のスエード調塗料を用いて成形体や金属製
品表面にスエード感を与えるには、塗装に際しての塗料
の粘度や濃度を調整する煩雑な作業が強いられる。ま
た、有機溶剤を用いた塗料では、溶剤を乾燥させるため
のブースが必要であり、大きな作業スペースを必要とす
るとともに、作業環境の汚染や安全衛生上の問題が生じ
ることがある。
【0004】上記の問題を解決するものとして、例え
ば、特開平5−38183号公報には、熱可塑性エラス
トマーと弾性微粒子とを主成分とする表面層と、該表面
層に積層されており、かつ熱可塑性樹脂を主成分とする
基材層とを有する積層シートが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
6−246812号公報に記載された上記シートは、共
押出法により得られるものである。従って、表面層及び
基材層を構成している各材料が熱可塑性であるため、共
押出法により得られた上記積層シートを用いて真空成形
などの熱成形を行う場合、真空成形時の加熱により、表
面の樹脂が軟化し、特に、低延伸部において艶が強くな
って艶消し感が低下したり、表面層の感触が劣化したり
することがあった。また、艶を抑制するために成形温度
を低くすると、シートの展延性が強く要求される深絞り
成形に、上記シートを適用することが困難となり、かつ
成形温度範囲が狭い範囲に制限されることになる。
【0006】本発明の目的は、上記のような従来の積層
シートの問題点を解消し、ソフトタッチ感や艶消し感に
優れ、さらに成形性に優れた被覆層を構成するための
成形用積層シート及び上記熱成形用積層シートを簡易に
製造することを可能とする方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1〜6に記載の発
明(本発明)は、上記課題を達成するために成されたも
のであり、それぞれ、下記の構成を備えることを特徴と
する。
【0008】すなわち、請求項1に記載の発明は、熱可
塑性エラストマー及び弾性微粒子を主成分とする表面層
と、熱可塑性エラストマーよりなる基材層とを積層して
なる積層シートであって、前記表面層に添加される弾性
微粒子の平均粒径と、前記表面層の厚みとの関係が、平
均粒径/表面層の厚み=0.5〜3であり、前記弾性微
粒子の添加量が、前記表面層を構成している熱可塑性エ
ラストマー100重量部に対し、80〜130重量部で
あることを特徴とする熱成形用積層シートである。
【0009】また、請求項2に記載の発明では、上記表
面層を形成する熱可塑性エラストマーが、熱可塑性ウレ
タンエラストマーであることを特徴とする。請求項3に
記載の発明は、上記基材層を構成する熱可塑性エラスト
マーが、熱可塑性オレフィン系エラストマーであること
を特徴とする。
【0010】また、請求項4に記載の発明は、上記請求
項3に記載の発明に係る熱成形用積層シートであって、
基材層を構成している前記熱可塑性オレフィン系エラス
トマーが、クロス分別法による0℃における樹脂溶出量
が全オレフィン系エラストマー量の25〜75重量%、
80〜100℃における樹脂溶出量が全オレフィン系エ
ラストマー量の1〜45重量%、100〜125℃にお
ける樹脂溶出量が全オレフィン系エラストマー量の1〜
40重量%の範囲にある熱可塑性オレフィン系エラスト
マーを主成分とする組成物からなることを特徴とする。
【0011】請求項5に記載の発明は、上記請求項1〜
3のいずれかに記載の発明に係る熱成形用積層シートで
あって、基材層が、2以上の層を有し、前記基材層を構
成する少なくとも1層が、クロス分別法による0℃にお
ける樹脂溶出量が全オレフィン系エラストマー量の25
〜75重量%、80〜100℃における樹脂溶出量が全
オレフィン系エラストマー量の1〜45重量%、100
〜125℃における樹脂溶出量が全オレフィン系エラス
トマー量の1〜40重量%の範囲内にある熱可塑性オレ
フィン系エラストマーを主成分とする組成物からなるこ
とを特徴とする。
【0012】請求項6に記載の発明は、熱可塑性エラス
トマー及び弾性微粒子を主成分とする表面層を構成する
組成物と、熱可塑性エラストマーを主成分とする基材層
を構成するための組成物とを共押し出しし、得られたシ
ート状積層体を伸長する熱成形用積層シートの製造方法
であって、前記表面層に添加される弾性微粒子の平均粒
径と、前記表面層の厚みとの間に、平均粒径/表面層の
厚み=0.5〜3の関係があり、かつ前記弾性微粒子の
添加量が、表面層を構成している熱可塑性エラストマー
100重量部に対し、80〜130重量部の範囲である
ことを特徴とする熱成形用積層シートの製造方法であ
る。
【0013】以下、本発明の詳細を説明する。なお、上
記熱成形用積層シートは、以下、単に、「積層シート」
と略記する。 表面層 本発明では、表面層は、熱可塑性エラストマーと弾性微
粒子とを主成分とする。
【0014】上記熱可塑性エラストマーとは、常温では
ゴム弾性を有し、高温では可塑化されて各種の成形加工
が可能な高分子材料をいう。この熱可塑性エラストマー
は、大きくは、ポリスチレン系、ポリウレタン系、ポリ
オレフィン系、ポリエステル系、ポリ塩化ビニル系、ポ
リアミド系、アイオノマー系、天然ゴム系、フッ素系、
1,2−ポリブタジエン系、トランス−1,4−ポリイ
ソプレン系などに分類される。
【0015】上記熱可塑性エラストマーは、一般に、分
子中にエントロピー弾性を有するゴム成分(ソフトセグ
メント)と、塑性変形を防止するための分子拘束成分
(ハードセグメント)とを有していることが多く、成形
可能な範囲においては一部架橋構造を有する場合もある
が、広範囲の三次元網目構造は有していない。
【0016】上記熱可塑性エラストマーの硬度が低いと
表面層の耐磨耗性が低下し、硬度が高くなり過ぎると感
触が悪くなる。従って、上記熱可塑性エラストマーの硬
度は、目的とする感触や用いる弾性微粒子の硬さによっ
ても異なるが、一般的には、JIS K 6301のA
硬度で50〜98の範囲が好ましく、75〜98の範囲
がより好ましい。
【0017】上記熱可塑性エラストマーとしては、例え
ば、ポリウレタン系のものでは、ハードセグメントとし
てポリウレタン、ソフトセグメントとしてポリエーテ
ル、ポリエステル、ポリカーボネートなどをもつブロッ
ク共重合体などがある。
【0018】ポリスチレン系のものでは、ハードセグメ
ントとしてポリスチレンを、ソフトセグメントとしてポ
リブタジエン、ポリイソプレン、ポリエチレン−ポリブ
チレンを持つブロック共重合体や、さらに、これに水素
添加したものや、官能基を付与したものなどがある。
【0019】ポリオレフィン系の熱可塑性エラストマー
としては、ハードセグメントがポリプロピレンを有し、
ソフトセグメントがエチレンを有するもの、エチレンと
ともに少量のジエン成分を有するもの(順にEPM(エ
チレン−プロピレン−メチレン結合)、EPDM(エチ
レン−プロピレン−ジエンメチレン結合)、総称してE
PR(エチレン−プロピレンゴム))、これらをブレン
ドして得られたものや、これらに、さらに有機過酸化物
を添加することにより部分架橋したもの、不飽和ヒドロ
キシ単量体、不飽和カルボン酸の誘導体でグラフト変性
されたもの、その他ブチルゴムグラフトポリエチレンな
どが挙げられる。
【0020】ポリエステル系のものでは、ハードセグメ
ントとしてポリエステル、ソフトセグメントとしてポリ
エーテルをもつ共重合体などがある。ポリ塩化ビニル系
のものでは、ポリ塩化ビニルの重合度を極端に高めたも
の、ポリ塩化ビニルの一部に三次元架橋構造を導入した
もの、イオン架橋構造を導入したものなどがある。
【0021】ポリアミド系のものでは、ハードセグメン
トとしてポリアミドを、ソフトセグメントとしてポリエ
ーテルを用いたものなどがある。また、熱可塑性エラス
トマーの種類は、目標とするソフトタッチシートとして
の性能を考慮して選択され、例えば耐スクラッチ性、耐
摩耗性が必要な場合は、熱可塑性ウレタンエラストマー
が好ましく用いられる。さらに、耐光性や耐熱性などの
耐久性が要求される場合には、脂肪族系のイソシアネー
トを用いた無黄変タイプの熱可塑性ウレタンエラストマ
ーを用いることが好ましい。
【0022】上記弾性微粒子は、その形状が変形するま
で加圧した後開放する際に、弾性回復する性質を有する
ものであり、例えば、ポリウレタン、アクリル−ウレタ
ン共重合体、ポリスチレン、スチレン−イソプレン共重
合体などからなるものが挙げられる。また、弾性微粒子
を熱可塑性エラストマーとともに混合して押し出し成形
機によりシート状に押し出す際に、弾性微粒子が熱可塑
性エラストマーに溶融一体化してしまうと、得られたシ
ートを伸長しても良好な表面層を形成することが困難と
なる。従って、上記弾性微粒子としては、上記熱可塑性
エラストマーの押し出し条件下で溶融しないものを用い
ることが必要である。
【0023】上記弾性微粒子と表面層の厚みの比は、平
均粒径/表面層の厚み=0.5〜3の範囲であることが
必要であり、上記弾性微粒子の添加量は、表面層の熱可
塑性エラストマー100重量部に対し80〜130重量
部であることが必要である。
【0024】上記平均粒径/表面層の厚みが0.5未満
や弾性微粒子の添加量が80重量部未満の場合には、熱
成形時にシート表面の艶が増加し、艶消し感が低下する
ことになる。また、平均粒径/表面層の厚みが3を超え
る場合や、弾性微粒子の添加量が130重量部を超える
場合には、積層シートを得た後、並びに熱成形時の延伸
に際し、表面に亀裂が生じ易くなる。上記と同様の理由
により、平均粒径/表面層の厚みの関係は、より好まし
くは、0.6〜2.5の範囲とされる。
【0025】上記弾性微粒子の粒径としては、その粒径
分布の極大が1〜50μmの範囲のものが好ましい。弾
性微粒子の粒径が1μm未満では、最終的に得られた積
層シートに充分なソフトタッチ感や艶消し感を与えるこ
とができず、積層シートの膜厚にもよるが、粒径が50
μmを上回ると、積層シート表面がザラザラとなり、感
触が劣化することがある。
【0026】なお、上記弾性微粒子は、1種類のみを用
いてもよく、あるいは2種以上を併用して用いてもよ
い。また、柔軟な熱可塑性エラストマーを用いる場合
や、積層シートが少し硬い感触を有するものであっても
よい場合には、例えば、架橋ポリメタクリル酸メチルや
無機材料などからなる硬い微粒子をさらに混合して用い
てもよい。
【0027】基材層 本発明において基材層には熱可塑性エラストマーが使用
される。
【0028】上記基材層を構成する熱可塑性エラストマ
は特に限定されるものではないが、基材層に、表面層
と反対側にオレフィン系発泡体を積層する場合には、加
熱ラミネートなどにより接着層を介在させることなく積
層可能なオレフィン系材料が好ましい。また、人の接触
する部分に用いられる場合には、請求項3に記載のよう
に、柔軟な熱可塑性オレフィン系エラストマーを用いる
ことが好ましい。本発明における積層シートでは、上記
基材層は1層に限定されるものではなく、複数の層を積
層することにより構成されていてもよい。
【0029】また、請求項4に記載の発明では、上記基
材層を構成する熱可塑性オレフィン系エラストマーが、
クロス分別法による0℃における樹脂溶出量が全オレフ
ィン系エラストマー量の25〜75重量%、80〜10
0℃における樹脂溶出量が全オレフィン系エラストマー
量の1〜45重量%、100〜125℃における樹脂溶
出量が全オレフィン系エラストマー量の1〜40重量%
の範囲内である熱可塑性オレフィン系エラストマーを主
成分とする組成物からなる。
【0030】なお、本発明において、上記クロス分別法
による樹脂溶出量の測定は、以下の操作により行われ
る。すなわち、樹脂を140℃または樹脂が完全に溶融
する温度のo−ジクロロベンゼンに溶解し、溶解液を得
る。得られた溶解液を1℃/分の速度で冷却し、予め用
意しておいた不活性担体の表面に薄いポリマー層を形成
させる。このとき、樹脂成分は、結晶性が高い順に及び
分子量が大きい順に生成する。しかる後、温度を連続的
にまたは段階的に昇温し、順次溶出する樹脂成分の濃度
を検出し、組成分布(結晶性分布)を測定する(温度上
昇溶離分別法)。また、同時に、高温型GPC(GAS
Phase Chromatograh)により、溶
出した成分の分子量及び分子量分布(重量平均分子量/
数平均分子量)を測定する。
【0031】上記所定の樹脂溶出量分布を有するオレフ
ィン系エラストマーの製造方法は特に限定されるもので
はないが、例えば、特開平4−96912、特開平4−
96907、特開平3−174410、特開平2−17
0803、特開平2−170802、特開昭61−42
553、特開平3−205439、特開平3−9774
7号公報などに記載された公報を挙げることができ、こ
のような樹脂溶出量を有する熱可塑性オレフィン系エラ
ストマーは、例えば、徳山ソーダ社から商品名「PE
R」として、ハイモント社から商品名「キャタロイ」と
して市販されている。
【0032】請求項4に記載の発明では、基材層は複数
の層からなっていてもよく、その場合には、全ての基材
層が上記特定の樹脂溶出量を有する熱可塑性オレフィン
系エラストマーを主成分とするように構成される。他
方、請求項5に記載の発明では、基材層が2層以上の層
からなり、その内少なくとも1つの層が、上記特定の樹
脂溶出量分布を有する熱可塑性オレフィン系エラストマ
ーを主成分とする組成物からなる。
【0033】従って、請求項4に記載の発明及び請求項
5に記載の発明では、ソフトタッチ感に優れた積層シー
トを得ることができ、かつ得られた積層シートの延伸性
が高められる。
【0034】樹脂溶出量 基材層を構成する熱可塑性オレフィン系エラストマーの
クロス分別法による樹脂溶出量を上記範囲とするのは、
以下の理由による。
【0035】0℃における樹脂溶出量が少なくなると、
得られた積層シートが固くなり、ソフトタッチ感が低下
する。0℃における樹脂溶出量が多くなると、基材層の
耐熱性が低下する。従って、0℃における樹脂溶出量
は、全オレフィン系エラストマー量の25〜75重量
%、好ましくは30〜70重量%とされる。
【0036】80〜100℃における樹脂溶出量が少な
くなると、得られた積層シートの延伸性が低下し、他
方、多くなると得られた積層シートのソフトタッチ感が
低下する。従って、80〜100℃における樹脂溶出量
は、全オレフィン系エラストマー量の1〜45重量%、
好ましくは1〜40重量%とされる。
【0037】100〜125℃における樹脂溶出量が少
なくなると、得られた積層シートの延伸性が低下し、多
くなりすぎると、得られた積層シートのソフトタッチ感
が低下する。従って、100〜125℃における樹脂溶
出量は、全オレフィン系エラストマー量の1〜40重量
%、好ましくは、1〜35重量%とされる。
【0038】発泡体層 本発明においては、上記積層シートの基材層側に、さら
に合成樹脂よりなる発泡体層を積層してもよい。このよ
うな発泡体層を積層することにより、積層シートにクッ
ション性を与えることができる。上記発泡体層を構成す
る材料としては、例えばポリプロピレン、ポリエチレン
などのポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、スチレン
−無水マレイン酸共重合体などのポリスチレン系樹脂、
ポリウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、各種熱可
塑性エラストマー樹脂などの発泡可能な適宜の樹脂材料
が挙げられる。また、これらの発泡体の発泡倍率が低く
なると、得られた積層シートのソフトタッチ感が低下
し、また、高くなると、得られた積層シートの強度が低
下し、真空成形等の延伸成形時に発泡体層が破断した
り、発泡セルが潰れやすくなったりするため、5〜50
倍程度が好ましく、10〜40倍がさらに好ましい。ま
た、発泡体層を構成する材料は、発泡性向上の点から部
分的に架橋したものが好ましい。
【0039】本発明の積層シートを製造する方法 本発明にかかる積層シートを製造する方法は、特に限定
されるものではなく、コーティングなどの方法により表
面層を設けてもよい。もっとも、請求項6の発明のよう
に表面層を構成する組成物と、基材層を構成する組成物
を共押出し、得られたシート状積層体を伸長する方法
が、工程を少なくし得るため好ましい。さらに、上記シ
ート状積層体を伸長した後に、基材層側に発泡体層を積
層することにより、発泡体層が積層された積層シートを
少ない工程で得ることができ、好ましい。
【0040】なお、共押出成形は、2台以上の押出機を
使用し、押出された複数の樹脂を1つに合流させて多層
構造の製品を作る方法をいう。この共押出による合流方
法には大別してフィードブロック法、マルチマニホール
ド法、マルチスロットルダイ法がある。フィードブロッ
ク法はダイに入る直前に取付けた特殊ブロックで合流さ
せるものでブラックボックス法とも呼ばれる。マルチマ
ニホールド法はダイ内に層数分だけのマニホールドを有
するものである。マルチスロットルダイ法は、ダイ内で
は別々の流れにして、ダイを出た直後に接着させる方法
である。
【0041】上記いずれの方法を採用した場合において
も、本発明にかかる積層シートを製造し得るが、各層の
厚み精度を高め、各層間の接着性を高めるためには、マ
ルチマニホールド法が好ましい。また、フィードブロッ
ク法とマルチマニホールド法などのように異なる共押出
成形方法を組み合わせて用いてもよい。
【0042】また、表面層を構成する熱可塑性エラスト
マーと弾性微粒子は、混合した後、2軸タイプの押出機
を用いて溶融混練して押出し、他の押出機から押出した
基材層となる樹脂と共押出成形するか、予め熱可塑性エ
ラストマーと弾性微粒子とを混練してペレット化し、こ
のペレットを通常用いられる押出機で押出して、他の押
出機から押出した基材層となる樹脂と共押出成形するこ
とができる。
【0043】なお、予め熱可塑性エラストマーと弾性微
粒子とを混練してペレット化する場合には、熱可塑性エ
ラストマーと弾性微粒子との混合は、バンバリーミキサ
ーなどを用いて行うことができる。
【0044】表面層を押出成形する場合、押出温度条件
は、例えば熱可塑性ウレタンエラストマーを用いた表面
層用組成物の場合には、150〜215℃程度とされ
る。本発明の積層シートの製造方法では、表面層を構成
する組成物と基材層を構成する組成物とを押出機により
シート状に共押出し、シート状積層体を得た後に、該シ
ート状積層体を伸長する。この伸長は、シート状積層体
が固体状態で行われてもよい(この場合は、一般に延伸
と称される)が、シート状の形態がほぼ保持されていれ
ば、押出直後の半固体状態で行われてもよい。
【0045】具体的には、上記組成物を押出機より共押
出した直後に引き取りロール等で伸長してもよく、ある
いはシートを巻き取り可能な程度に十分に冷却賦形した
後に延伸してもよい。
【0046】延伸する場合は、通常、シートの温度が、
用いた熱可塑性エラストマーの軟化温度以下になってか
ら、冷却されたロールをシートに接触させ、さらに樹脂
の吐出速度より高速で回転する引き取りロールで引き取
ることにより行われる。表面を粗面化した冷却されたゴ
ムロール等を用いる場合は、シートの温度は、軟化温度
近辺でも構わない。また、テンター延伸法などを採用し
てもよい。
【0047】上記伸長の倍率は、用いる熱可塑性エラス
トマーと弾性微粒子との相溶性によっても異なるが、好
ましくは1.2倍以上、より好ましくは2倍以上とされ
る。このような程度で伸長されることにより、得られた
積層シート表面には、微細な凹凸が形成され、ソフトタ
ッチ感を発現することになる。さらに、このようにして
得られた積層シートは、必要に応じてアニーリングされ
る。
【0048】上記のようにして共押出法により得られた
積層シートと、合成発泡樹脂からなる発泡体層とを積層
する方法としては、例えば、共押出・伸長直後に、溶融
状態にある発泡体層構成用混合物を積層シートの基材層
側にラミネートする方法(押出ラミネート)がある。こ
の場合、表面層側に当接されるラミネート用ロールの表
面にエンボスを設けておき、ラミネートと同時に表面層
にエンボスを施してもよい。
【0049】なお、上記共押出時に、表面層と基材層と
の密着性が十分でない場合には、両層の間に接着剤層を
共押出法(3層以上の押出)により設けたり、表面層ま
たは基材層を構成する材料を酸変性したり、グラフト変
性したりしてもよい。
【0050】上記接着剤層を構成する材料としては、基
材層を構成する樹脂に相溶する接着性のポリマーが用い
られる。このようなポリマーとしては、主鎖または側鎖
に水性基、アミド基、エポキシ基、カルボン酸基、カル
ボン酸エステル基等の官能基を有する化合物等を含むポ
リマー、例えば、酸変性されたSBS(スチレン−ブタ
ジエン−スチレン共重合体)、同じく酸変性されたSE
BS(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合
体)や酸変性されたポリプロピレン、ポリエチレン等が
挙げられる。これらの酸変性は一般的には無水マレイン
酸、フマル酸、イタコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸
等により行われる。また、カルボン酸の量としては、ポ
リマーの酸価が1〜30mgKOH/gが好ましい。
【0051】また、接着材層としては、熱成形時に軟化
しない(熱成形温度より軟化温度が高い)ものが好まし
い。このように熱成形時に軟化しない材料で接着層を構
成することにより、熱成形時の艶の上昇、すなわち艶消
し感の低下が抑えられる。
【0052】同様に、基材層と発泡体層との密着性が悪
い場合にも、発泡体層の表面(基材層側の面)に、プラ
イマー層や、接着剤層を予め設けたり、基材層側に、プ
ライマー層や、接着層を共押出(4層以上の押出)で設
けたりしてもよい。
【0053】上記プライマー層を構成する材料として
は、例えばポリオレフィン系の基材層にポリウレタン系
の熱可塑性エラストマーよりなる発泡体を積層する場合
には、塩素化ポリオレフィンや酸変性されたSEBS
(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体)
などが挙げられる。
【0054】上記接着剤層を構成する材料としては、例
えばゴム系、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系な
どの感圧型接着剤もしくは溶剤型接着剤や、エチレン−
酢酸ビニル系共重合体(EVA)系、スチレン−イソプ
レン−スチレンブロック共重合体(SIS)系等のホッ
トメルト系接着剤が挙げられる。また、例えばマイクロ
カプセル硬化型の後硬化型接着剤も使用できる。後硬化
型接着剤には、例えば、未架橋型不飽和ポリエステル系
接着剤、未架橋型アクリル系接着剤などが包含される。
【0055】本発明の積層シートでは、さらに、使用に
応じて、顔料、染料などの着色剤、酸化防止剤、紫外線
吸収剤、紫外線安定剤(例えば、ヒンダードアミン)な
どの材料を添加することができる。
【0056】上記着色剤としては、塗料において用いら
れる適宜の顔料や染料などを用いることができる。上記
顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、カーボン
ブラック、シアニン系顔料、キナクリドン系顔料などが
挙げられる。また、染料としては、例えば、アゾ系染
料、アントラキノン系染料、インジゴイド系染料、スチ
ルベンゼン系染料などが挙げられる。さらに、アルミフ
レーク、ニッケル粉、金粉、銀粉などの金属粉などを、
上記着色剤として用いてもよい。上記顔料及び染料は、
ソフトタッチ感や艶消し感を損なわないためには、でき
るだけ微粒子のものであることが好ましい。しかしなが
ら、上記着色剤が加えられると、弾性微粒子によって付
与されるソフトタッチ感や艶消し感が異なることがある
ため、着色剤を加えた系では、弾性微粒子の適正量は、
着色剤を加えたことによる効果を考慮して選定すればよ
い。
【0057】本発明の積層シートに種々の機能を付与す
るために、各種の機能性付与剤を添加してもよい。上記
機能性付与剤としては、導電性材料、結露防止剤、フォ
トクロミック化合物などを挙げることができる。
【0058】さらに上記シートの意匠性を高めるため
に、印刷等の模様付けを行う場合もある。印刷は、表面
層の裏面(基材層上)に形成されるのが好ましい。上記
のようにして得られた本発明の積層シートの厚みは、シ
ート構成によっても異なるが、積層シートのソフトタッ
チ感や成形性等を考慮すると、一般的には、表面層は5
〜100μm、基材層は200〜3000μm、発泡体
層は1000〜4000μm、接着剤層またはプライマ
ー層は5〜150μmが好ましい。なお、基材層が2層
以上からなる場合、上記基材層の厚みとは、基材層を構
成する各々の層の厚みを合計した厚みをいう。
【0059】本発明の積層シートを用いた成形品の製造
方法の一例 本発明の積層シートを用いて成形品を製造する方法の一
例を説明する。 1)積層シートを予め表面層が表面側となるように金型
内に導入し、成形品本体となる成形品樹脂を射出成形や
スタンピング成形によって成形すると同時に成形品本体
表面に積層シートを貼付する。
【0060】すなわち、積層シートの表面層が、成形品
の表面側とは反対側(すなわち外側)を向くように積層
シートを金型に導入した後、スタンピング成形の時は金
型に成形樹脂を導入した後に金型を閉じ、射出成形の時
は金型を閉じた後、樹脂を導入して成形品が得られる。
【0061】2)積層シートを予め熱成形により予備成
形し、予備成形品の表面層部分が次に成形される成形品
の表面とは反対側を向くように金型内に予備成形品を導
入した後、成形品本体となる成形樹脂を射出成形やスタ
ンピング成形によって成形すると同時に成形品本体表面
に積層シートを貼付する。すなわち、スタンピング成形
の時は金型に成形用樹脂を導入した後に金型を閉じ、射
出成形の時は金型を閉じた後、樹脂を導入して成形品が
得られる。
【0062】3)積層シートを熱成形により成形後、樹
脂等からなる成形品に貼付し、成形品を得る。なお、熱
成形とは、加熱後または加熱下における真空成形、圧空
成形、プレス成形等をさす。また、予備成形は射出成形
などの樹脂の成形を行う金型を用いて行ってもよく、あ
るいは、別のシート成形用の金型を用いて行ってもよ
い。
【0063】上記成形用の樹脂については、通常の成形
材料であれば任意の材料を使用できる。例えば、ABS
(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合
体)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリスチレン、ポリカーボネート、アクリル樹脂、
ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ナ
イロンや、上記のような熱可塑性エラストマー、さら
に、これらの材料にガラス繊維や無機充填剤を混合した
ものなどが挙げられる。
【0064】本発明の積層シートを用いた成形品の製造
方法で得られる成形品では、製品表面にソフトタッチ感
や艶消し感が付与されているので、人が触れやすい場所
等に好適に用いることができる。
【0065】すなわち、例えば、ドアパネル、インスツ
ルメントパネル、ハンドル、ギヤーレバーノブ、ドアノ
ブ、各種スイッチ等の自動車として内装部材、携帯用製
品(電話、カセットテープレコーダー、コンパクトディ
スク、テレビ等)、冷蔵庫、テレビ等の家電製品類のハ
ウジング、スイッチなど、パーソナルコンピューター、
プリンタ、キーボード等のオフィスオートメーション製
品類のハウジング、様式便器の腰掛け部、風呂桶、椅
子、マット、棚等のサニタリー製品や浴室製品、バッ
ト、ラケット、クラブなどのグリップ等のスポーツ用
品、ケース、容器等の日用品、文具製品のハウジング、
その他、ベンチ、椅子、台、ソファー等に用いることが
できる。
【0066】
【作用】本発明の積層シートは、上記のように表面層が
熱可塑性エラストマーと弾性微粒子とを主成分とし、弾
性微粒子の平均粒径と、表面層の厚みとの関係が、上記
特定の範囲とされており、かつ弾性微粒子の添加量が表
面層を構成している熱可塑性エラストマー100重量部
に対し80〜130重量部とされているため、後述の実
施例から明らかなように、熱成形に際し加熱されたり延
伸されたとしても、表面層の艶(光沢)の上昇による艶
消し感の低下、感触の低下及び表面における亀裂の発生
を効果的に抑制することができる。
【0067】また、本発明の積層シートの製造方法で
は、上記のように表面層を構成する熱可塑性エラストマ
及び弾性微粒子を主成分とする組成物と、基材層を構
成する熱可塑性エラストマーとが共押出により積層され
る。従って、両層の間に空気を巻き込むことなく、容易
に表面層及び基材層を積層することができ、それによっ
て本発明の積層シートを安価に提供することができる。
【0068】また、本発明の積層シートの製造方法で
は、上記のようにして共押出されたシート状積層体を伸
長することにより、積層シートとされるため、表面層が
表面層1層のみでは伸長するのが困難な程薄い場合であ
っても、表面層が基材層とともに容易に伸長され得る。
【0069】
【実施例】以下、実施例及び比較例を説明することによ
り、本発明を明らかにする。なお、以下において「部」
とは、固形分としての重量部を示す。
【0070】実施例1 a)表面層構成用材料 熱可塑性ウレタンエラストマー(日本ミラクトラン社
製、E990P無黄変、JIS−A硬度=90)100
部。
【0071】弾性ビーズ(大日本インキ工業社製、バー
ノックCFB101−40(クリアー)、架橋されたポ
リウレタンの弾性ビーズ、平均粒径10μm)90部。
上記熱可塑性エラストマーと弾性ビーズとを2軸混練押
出機で押出し、冷却後軟質用カッターでペレット化し
た。なお、押出機における各部の設定温度は次の条件と
した。スクリュー後部140℃、スクリュー中間部16
0℃、スクリュー前部170℃、ダイ部170℃。
【0072】b)基材層構成用材料 オレフィン系エラストマー(ハイモント社製、キャタロ
イNKS052P、クロス分別法による0℃における樹
脂溶出量が全オレフィン系エラストマー量の43.6重
量%、80〜100℃における樹脂溶出量が全オレフィ
ン系エラストマー量の20.9重量%、100〜125
℃における樹脂溶出量が全オレフィン系エラストマー量
の12.9重量%) c)接着剤層構成用材料 酸変性されたポリオレフィン(三井石油化学工業社製、
アドマーQF500)。
【0073】上記a)表面層構成用材料、b)基材層構
成用材料及びc)接着剤層構成用材料を、図1に示す押
出装置を用いて、共押出した。すなわち、図1において
は、それぞれ、プラスチック工学研究所社製、50mm
径、40mm径及び40mm径の押出機1a,1b,1
c及びフィードブロックタイプのダイ2が備えられた3
層共押出装置3が配置されている。この押出機1aから
表面層構成用材料を、押出機1bから基材層構成用材料
を、押出機1cから接着剤層構成用材料を、それぞれ押
出し、3層共押出装置3から下向きに押出した。なお、
それぞれの樹脂温度は、a)表面層構成用材料を180
℃、b)基材層構成用材料を210℃、c)接着剤構成
用材料を200℃とし、ダイの温度は190℃とした。
上記のようにして押出されたシート状積層体4を空冷し
つつ伸長し、金型リップ(幅2mm、長さ1m)の直下
約15cmの位置で、温度が170℃となった段階で、
樹脂の突出速度よりも高速回転している温度40℃の冷
却引き取りロール5で伸長しながら引き取り、積層シー
ト6を得た。
【0074】得られた積層シート6の表面層、接着剤層
及び基材層の厚みは、それぞれ、表面層が18μm、接
着剤層が10μm、基材層が400μmであった。ま
た、リップ断面積/得られたシートの断面積の比は4で
あった。
【0075】実施例2 表面層の厚みを15μmとした以外は、実施例1と同様
にしてシートを得た。比較例1 表面層の厚みを30μmとした以外は、実施例1と同様
にしてシートを得た。実施例3 表面層の弾性ビーズの添加量を120部とした以外は、
実施例2と同様にしてシートを得た。
【0076】比較例2 表面層の弾性ビーズの添加量を50部とした以外は、実
施例2と同様にしてシートを得た。
【0077】比較例3 表面層の弾性ビーズの添加量を150部とした以外は、
実施例2と同様にしてシートを得た。
【0078】実施例4 a)表面層構成用材料 熱可塑性ウレタンエラストマー樹脂(日本ミラクトラン
社製、E990P無黄変、JIS−A硬度90)100
部 弾性ビーズ(積水化成品工業社製、UB−20(ブラッ
ク)、ウレタンの弾性ビーズ、平均粒径20μm)90
部。
【0079】上記熱可塑性エラストマーと弾性ビーズを
2軸混練押出機で押出し、冷却後軟質用カッターでペレ
ット化した。なお、押出機における各部の設定温度は次
の条件で行った。スクリュー後部140℃、中間部16
0℃、前部170℃、ダイ部170℃。
【0080】b)基材層構成用材料 熱可塑性オレフィンエラストマー1(三井石油化学工業
社製、ミラストマー8030)100部、LLDPE
(三井石油化学工業社製、ウルトゼックス2021L)
20部、PP(三井石油化学工業社製、F650)20
部をペレットブレンドしたもの。
【0081】c)接着剤層構成用材料 酸変性ポリオレフィン(三井石油化学工業社製、アドマ
ーQF500)。上記a),b),c)3層を、図2に
示すように、それぞれプラスチック工学研究所製の50
φ、40φ、40φの押出機1a,1b,1c及びフィ
ードブロックタイプのダイ2を備えた3層共押出装置3
より下向きに押し出した。それぞれの樹脂温度はa)が
180℃、b)が210℃、c)が200℃、ダイの温
度が190℃であった。
【0082】空冷されつつ伸長されて金型リップ(幅2
mm、長さ1m)の真下約15cmの位置で温度が約1
70℃になったシート状積層体4を、樹脂の吐出速度よ
り高速回転している温度40℃の冷却引取ロール5で伸
長しながら引き取る一方、発泡ポリプロピレンシート
(発泡倍率25倍)7を、冷却引取ロール5及びラミネ
ートロール8間に導入、加圧し、シート状積層体4及び
発泡ポリプロピレンシート7を積層一体化して積層シー
ト9を得た。
【0083】得られた積層シート9の表面層を電子顕微
鏡で確認したところ、表面に微細な凹凸が得られてい
た。得られた積層用シート9の表面層、接着剤層、基材
層、発泡体層の厚みは、それぞれ表面層が10μm、接
着剤層が10μm、基材層が400μm、発泡体層が3
000μmであり、リップ断面積/得られたシートの断
面積=4であった。
【0084】実施例5 表面層の厚みを7μmとした以外は、実施例4と同様に
してシートを得た。比較例4 表面層の厚みを5μmとした以外は、実施例4と同様に
してシートを得た。
【0085】実施例6 基材層を第1,第2の基材層の複数の層で構成し、第2
の基材層を構成する材料として、実施例4で用いた熱可
塑性オレフィンエラストマー1(三井石油化学工業社
製、ミラストマー8030)100部、LLTP(三井
石油化学工業社製、ウルトゼックス2021L)20
部、ポリプロピレン(三井石油化学工業社製、F65
0)20部をペレットブレンドしたものを用い、第1の
基材層を構成する材料としては、実施例2で用いた基材
層構成用材料を用い、その他の材料は実施例2と同一の
材料を用い、実施例4と同様にして共押出し、積層シー
トを得た。
【0086】得られた積層シートにおける表面層、接着
剤層、第1の基材層、第2の基材層及び発泡体層の厚み
は、それぞれ、表面層が15μm、接着剤層が10μ
m、第1の基材層が100μm、第2の基材層が400
μm、発泡体層が2000μmである。
【0087】比較例5 表面層の弾性ビーズの添加量を50部とした以外は、実
施例6と同様にして積層シートを得た。
【0088】評価 実施例1〜6、比較例1〜5で得られた被覆用シートに
用いた表面層の弾性微粒子の平均粒径、表面層の厚み、
平均粒径/表面層厚み、弾性微粒子の添加量を表1,2
に示す。
【0089】また、初期、加熱後、加熱真空成形後の光
沢と、初期、加熱真空成形後のシート表面の外観とを下
記に示す方法により測定した。その結果を、表1,2に
示す。
【0090】(加熱真空成形)遠赤外線ヒーターによ
り、シートの表面及び裏面をそれぞれ115℃、140
℃になるように加熱し、図3に示す真空孔11を有し、
底面の内径100mm、内部高さが20mmの円柱状の
真空成形型12を用いて、真空成形を行い、図4に示す
成形体13を得た。
【0091】(光沢)JIS K7105に従って、6
0°鏡面光沢を測定した。評価は初期、オーブンで
120℃で30分間加熱、オーブンで130℃で30
分加熱、上記条件により加熱真空成形後の各時点にお
ける成形品の底面の光沢を底面の4点で測定し、平均値
を求めて光沢とした。
【0092】(外観)初期と、加熱真空成形後のシート
表面の状態を目視により判断。下記の評価基準のように
細かい亀裂が多数ある場合を不良とした。
【0093】良好………亀裂なし 良 ………少し亀裂があるが目立たない 不良………亀裂多数
【0094】
【表1】
【0095】
【表2】
【0096】表2から明らかなように、比較例1では、
平均粒径/厚みが0.3である表面層を用いて積層シー
トが構成されているためか、初期状態及び真空成形後の
何れにおいても外観は良好であるものの、加熱後(13
0℃、30分後)及び真空成形後において、光沢が大幅
に上昇し、艶消し感が大きく損なわれた。同様に、比較
例2においても、初期状態及び真空成型後の何れにおい
ても外観は良好であるものの、弾性微粒子の配合割合が
50重量部と低いため、加熱後(130℃、30分後)
及び真空成形後における光沢が大幅に上昇し、艶消し感
が低下していた。
【0097】また、比較例3では、弾性微粒子の配合割
合が150重量部と高いためか、何れの状態においても
光沢は低く、艶消し感は良好であるものの、初期状態及
び真空成形後の何れにおいても外観に亀裂が多数発生し
ており、外観不良を引き起こしていた。同様に、比較例
4においても、平均粒径/厚み=5と高いためか、光沢
が低く、艶消し感が良好であるものの、初期状態及び真
空成形後の何れにおいても外観に亀裂が多数発生してお
り、外観不良を引き起こしていた。
【0098】また、比較例5においても、初期状態及び
真空成形後の何れにおいても外観が良好であるものの、
弾性微粒子の配合割合が50重量部と低いため、加熱後
(130℃、30分後)及び真空成形後における光沢が
大幅に上昇し、艶消し感が低下していた。
【0099】これに対して、実施例1〜6では、何れに
おいても、初期状態及び真空成形後の外観評価におい
て、表面層に細かな亀裂が発生しなかったか、あるいは
発生したとしても僅かな亀裂が生じていただけであり、
かつ加熱後及び真空成形後の何れにおいても光沢が低
く、艶消し感に優れていた。
【0100】
【発明の効果】以上のように、請求項1に記載の積層シ
ートでは、表面層における上記平均粒径/厚みの値が
0.5〜3の範囲内とされており、弾性微粒子の添加量
が、表面層の熱可塑性エラストマー100重量部に対し
80〜130重量部の範囲とされているため、熱成形時
などの加熱下あるいは延伸下においても、表面層の光沢
が高くなり難く、かつソフトタッチ感の低下や亀裂の発
生を抑制することが可能となる。従って、請求項1に記
載の発明に係る積層シートを成形品表面に適用するだけ
で、ソフトタッチ感に優れ、かつ良好な艶消し感を有す
る成形品を提供することが可能となる。よって、本発明
の積層シートを用いることにより、真空成形、射出成形
またはスタンピング成形などの各種成形方法により、ソ
フトタッチ感(スエード調)艶消し感の優れた高品質の
成形品を提供することができる。
【0101】また、請求項6に記載の本発明の積層シー
トの製造方法によれば、上記のようなソフトタッチ感及
び艶消し感に優れた積層シートを、押出法を用いた比較
的少ない工程を経て簡単にかつ安価に提供することが可
能となる。
【0102】また、請求項2に記載のように、表面層に
使用する熱可塑性エラストマーを熱可塑性ウレタンエラ
ストマーで構成した場合には、耐スクラッチ性及び耐磨
耗性においてより一層優れた積層シートを提供すること
ができる。
【0103】請求項3に記載のように、基材層を構成す
熱可塑性エラストマーとして、熱可塑性オレフィン系
エラストマーを用いた場合には、柔軟性に優れているた
め、ソフトタッチ感をより一層高めることができるとと
もに、加熱ラミネートなどによりオレフィン系の発泡体
を接着層に介在させることなく積層することができる。
【0104】さらに、請求項4,5に記載のような上記
特定の樹脂溶出量分布を有するオレフィン系エラストマ
ーを用いて基材層を構成した場合には、積層シートの延
伸性及びソフトタッチ感をより一層効果的に高め得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において積層シートの製造方法を実施
するための装置を示す説明図。
【図2】実施例4において積層シートの製造方法を実施
するための装置を示す説明図。
【図3】実施例1〜4及び比較例1〜4で得た積層シー
トの加熱真空成形後の評価のために用いた真空成形用金
型の模式的横断面図。
【図4】図3の真空成形金型を用いて成形した後の積層
シートを示す模式的断面図。
【符号の説明】
1a…表面層構成用材料押出機 1b…基材層構成用材料押出機 1c…接着剤層構成用材料押出機 2…ダイ 3…3層共押出し装置 4…シート状積層体 5…冷却引き取りロール 6…積層シート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−344482(JP,A) 特開 平4−96912(JP,A) 特開 平4−96907(JP,A) 特開 平3−174410(JP,A) 特開 平2−170803(JP,A) 特開 平2−170802(JP,A) 特開 昭61−42553(JP,A) 特開 平3−205439(JP,A) 特開 平3−97747(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性エラストマー及び弾性微粒子を
    主成分とする表面層と、熱可塑性エラストマーよりなる
    基材層とを積層してなる積層シートであって、 前記表面層に添加される弾性微粒子の平均粒径と、前記
    表面層の厚みとの関係が、平均粒径/表面層の厚み=
    0.5〜3であり、前記弾性微粒子の添加量が、前記表
    面層を構成している熱可塑性エラストマー100重量部
    に対し、80〜130重量部であることを特徴とする
    成形用積層シート。
  2. 【請求項2】 前記表面層を構成している前記熱可塑性
    エラストマーが、熱可塑性ウレタンエラストマーである
    ことを特徴とする請求項1に記載の熱成形用積層シー
    ト。
  3. 【請求項3】 前記基材層を構成する熱可塑性エラスト
    マーが、熱可塑性オレフィン系エラストマーであること
    を特徴とする請求項1または2に記載の熱成形用積層シ
    ート。
  4. 【請求項4】 基材層を構成している前記熱可塑性オレ
    フィン系エラストマーが、クロス分別法による0℃にお
    ける樹脂溶出量が全オレフィン系エラストマー量の25
    〜75重量%、80〜100℃における樹脂溶出量が全
    オレフィン系エラストマー量の1〜45重量%、100
    〜125℃における樹脂溶出量が全オレフィン系エラス
    トマー量の1〜40重量%の範囲にある熱可塑性オレフ
    ィン系エラストマーを主成分とする組成物からなること
    を特徴とする請求項3に記載の熱成形用積層シート。
  5. 【請求項5】 基材層が2以上の層を有し、 前記基材層を構成する少なくとも1層が、クロス分別法
    による0℃における樹脂溶出量が全オレフィン系エラス
    トマー量の25〜75重量%、80〜100℃における
    樹脂溶出量が全オレフィン系エラストマー量の1〜45
    重量%、100〜125℃における樹脂溶出量が全オレ
    フィン系エラストマー量の1〜40重量%の範囲内にあ
    る熱可塑性オレフィン系エラストマーを主成分とする組
    成物からなることを特徴とする請求項1〜3の何れかに
    記載の熱成形用積層シート。
  6. 【請求項6】 熱可塑性エラストマー及び弾性微粒子を
    主成分とする表面層を構成する組成物と、熱可塑性エラ
    ストマーを主成分とする基材層を構成するための組成物
    とを共押し出しし、得られたシート状積層体を伸長する
    積層シートの製造方法であって、 前記表面層に添加される弾性微粒子の平均粒径と、前記
    表面層の厚みとの間に、平均粒径/表面層の厚み=0.
    5〜3の関係があり、かつ前記弾性微粒子の添加量が、
    表面層を構成している熱可塑性エラストマー100重量
    部に対し、80〜130重量部の範囲であることを特徴
    とする熱成形用積層シートの製造方法。
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