JP6965750B2 - フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、風合いの特徴であるせん断変形性、すべり性、および外観に優れたフィルムに関するものである。
近年、フィルムとして用いるために必要な機械特性を備えた上で、さらに別の機能を有する単体のフィルムが要求されている。例えば、医療・衛生材料の分野では、フィルムとして用いるために必要な機械特性を備え、かつ風合いの特徴であるせん断変形性、すべり性、および外観に優れるフィルムが望まれている。
これまでにフィルムの触感を改善するため、種々の開発がなされている。例えば、特許文献1には、オレフィン樹脂に平均粒径2μm以上の硫酸バリウムを混合して延伸することにより、触感が改善された透湿フィルムが開示されている。また、特許文献2には、表面が粒子で被覆されたフィルムが開示されている。
特開昭60−063241号公報 特開2010−85843号号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、オレフィン樹脂を用いているため風合いの特徴であるせん断変形性は優れるが、硫酸バリウムが樹脂に埋包されているためフィルムに光沢があり、フィルムの外観が劣るという課題があった。また、特許文献2に記載の技術により得られるフィルムは、表面が粒子で覆われているため、風合いの特徴であるすべり性には優れるが、製造工程で剛質なフィルムを用いる必要があり、十分なせん断変形性が得られない。また、粒子の溶剤分散液をコートする方法を用いているため、最終的に得られるフィルムに微量の溶剤が残留しており、フィルムを医療・衛生材料の分野では用いることが困難であるという課題もあった。
本発明はかかる従来技術の欠点を改良し、フィルムとして用いるために必要な機械特性を備え、かつ風合いの特徴であるせん断変形性、すべり性、および外観に優れたフィルムを提供することを、その課題とする。
上記課題を解決するため、本発明は、下記の構成からなる。
(1) 基材フィルムの少なくとも一方の最表面に有機粒子を有し、前記有機粒子の平均粒径(μm)と、前記基材フィルムの平均厚み(μm)との比(基材フィルムの平均厚み/有機粒子の平均粒径)が0.5以上3.0以下であり、かつKES法におけるせん断かたさが0.1gf/(cm・deg)以上6.0gf/(cm・deg)以下であることを特徴とする、フィルム。
(2) 有機粒子を有する面において、フィルム全体の面積を100%としたときに、有機粒子の占める面積の割合が20%以上100%未満であることを特徴とする、(1)に記載のフィルム。
(3) 有機粒子を有する面において、KES法に従い測定される摩擦係数が0.05以上0.80以下であることを特徴とする、(1)または(2)に記載のフィルム。
(4) フィルムの透湿度が、500g/(m・day)以上5,000g/(m・day)以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のフィルム。
(5) 前記有機粒子の形状が球形状であることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載のフィルム。
(6) 前記基材フィルムと前記有機粒子との剥離強度が30gf/25mm以上であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のフィルム。
(7) 前記基材フィルムが、熱可塑性エラストマーを含むことを特徴とする、(1)〜(6)のいずれかに記載のフィルム。
(8) 前記基材フィルムが、少なくとも、前記有機粒子と接する層(A層)と、A層を挟んで前記有機粒子と反対側に位置する層(B層)の積層構成からなることを特徴とする、(1)〜(7)のいずれかに記載のフィルム。
(9) 溶解度パラメータの差の絶対値が最も小さくなるように、前記A層中の樹脂成分全体を100質量%としたときに、前記A層中に5質量%以上含まれる樹脂の中から1つの樹脂(樹脂A)を選択し、前記有機粒子の樹脂成分全体を100質量%としたときに、前記有機粒子中に5質量%以上含まれる樹脂の中から1つの樹脂(樹脂B)を選択した際に、前記樹脂Aと前記樹脂Bの溶解度パラメータの差の絶対値が0.10(MPa)0.5以下であることを特徴とする、(8)に記載のフィルム。
本発明により、フィルムとして用いるために必要な機械特性を備え、かつ風合いの特徴であるせん断変形性、すべり性、および外観に優れたフィルムを提供することができる。
本発明のフィルムの例を示す模式断面図の一例である。 本発明のフィルムの例を示す模式断面図の一例である。
本発明のフィルムは、基材フィルムの少なくとも一方の最表面に有機粒子を有し、前記有機粒子の平均粒径(μm)と、前記基材フィルムの平均厚み(μm)との比(基材フィルムの平均厚み/有機粒子の平均粒径)が0.5以上3.0以下であり、かつKES法におけるせん断かたさが0.1gf/(cm・deg)以上6.0gf/(cm・deg)以下であることを特徴とする。
以下に、本発明を実施するための望ましい形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1、2は、本発明のフィルムの一例を示す模式断面図である。図1、2において、符号1が有機粒子、符号2が基材フィルムを示している。基材フィルム表面における有機粒子は、その半分以上が表面に突出していてもよいし(図1(A))、その半分未満が突出していてもよい(図1(B))。有機粒子は、図1(A)や図1(B)に示すように個別に存在しても、複数個の粒子が集合あるいは凝集した状態でもよい(図1(C))。また、基材フィルム表面に平面的にほぼ隙間なく有機粒子が配列されていても(図2(A))、フィルムの厚み方向に複数個の粒子が重なった状態であってもよい(図2(B))。ここで厚み方向とは、フィルム面に垂直な方向をいう。
(基材フィルム)
本発明における基材フィルムは、せん断変形性の観点から、熱可塑性エラストマーを含むことが好ましい。ここで熱可塑性エラストマーとは、25℃でゴム弾性を有する高分子量体をいう。
熱可塑性エラストマーとしては、本発明の効果を損なわない限り、結晶性を有する熱可塑性エラストマー、非晶性の熱可塑性エラストマーのいずれであってもよく、また、両者を混合してもよい。ここで、結晶性を有する熱可塑性エラストマーとは、100℃の熱風オーブン中で24時間加熱させた後に、25℃から昇温速度20℃/分で250℃まで昇温した際に、結晶融解ピークが観測される熱可塑性エラストマーをいう。一方、非晶性の熱可塑性エラストマーとは、同様の条件で結晶融解ピークが観測されない熱可塑性エラストマーをいう。
基材フィルムにおける結晶性を有する熱可塑性エラストマーとしては、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、例えば、ポリエステル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、およびポリアミド系エラストマーなどを単独でまたは組み合わせて用いることができる。中でも、せん断変形性、製膜安定性、および耐熱性等の観点から、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマーを単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いることが好ましい。
前記ポリエステル系エラストマーとしては、例えば、芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルとのブロック共重合体、芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエーテルとのブロック共重合体等が挙げられるが、フィルムに透湿性を付与する観点から、芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエーテルとのブロック共重合体を用いることが好ましい。
基材フィルムに用いることができるポリエステル系エラストマーとしては、例えば、東レ・デュポン(株)製の“ハイトレル”(登録商標)のG3548やHTR8206グレード等が挙げられる。
また、前記ポリアミド系エラストマーとしては、例えば、脂肪族ポリアミドと脂肪族ポリエステルとのブロック共重合体、脂肪族ポリアミドと脂肪族ポリエーテルとのブロック共重合体等が挙げられるが、フィルムに透湿性を付与する観点から、脂肪族ポリアミドと脂肪族ポリエーテルとのブロック共重合体を用いることが好ましい。
基材フィルムに用いることができるポリアミド系エラストマーとしては、例えば、アルケマ社製の“PEBAX”(登録商標)のMV1074、MV1041、MV3000、MH1657グレード等が挙げられる。
基材フィルム中の結晶性を有する熱可塑性エラストマーの含有量は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、製膜安定性の観点から、基材フィルム中の樹脂全体を100質量%としたときに、10質量%以上100質量%以下であることが好ましく、10質量%以上95質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上90質量%以下であることがさらに好ましい。なお、基材フィルム中の結晶性を有する熱可塑性エラストマーが複数種である場合においては、結晶性を有する熱可塑性エラストマーの含有量は全ての結晶性を有する熱可塑性エラストマーを合算して算出するものとする。
基材フィルムに用いることができる非晶性の熱可塑性エラストマーとしては、ポリウレタン系エラストマー、スチレン系エラストマー、アクリル系エラストマー等が挙げられるが、その中でも特にせん断変形性の観点から、ポリウレタン系エラストマーを用いることが好ましい。
前記ポリウレタン系エラストマーとしては、例えば、短鎖グリコールとジイソシアネートによりなるハードセグメント相とポリエーテルよりなるソフトセグメント相とのブロック共重合体や、同ハードセグメント相とポリエステルよりなるソフトセグメント相とのブロック共重合体等が挙げられるが、透湿性付与の観点から、ポリエーテルよりなるソフトセグメント相を有するブロック共同重合体であることが好ましい。
基材フィルムに用いることができる非晶性のポリウレタン系エラストマーとしては、例えば、BASFジャパン(株)製“エラストラン”(登録商標)のOP85A10グレードやET885FGグレード等が挙げられる。
また、基材フィルムは、後述する基材フィルムと有機粒子との密着性の観点から、有機粒子と相溶性が高い樹脂を含んでいてもよい。ここで有機粒子と相溶性が高い樹脂とは、溶解度パラメータ(MPa0.5)が、有機粒子中に最も多く含まれる樹脂の溶解度パラメータ±0.10(MPa0.5)の範囲である樹脂をいう。
なお、有機粒子中に最も多く含まれる樹脂が2種類以上ある場合は、基材フィルム中に、溶解度パラメータ(MPa0.5)が有機粒子中に最も多く含まれるいずれかの樹脂の溶解度パラメータ(MPa0.5)±0.10MPa0.5の範囲である樹脂を含むのであれば、基材フィルムは有機粒子と相溶性が高い樹脂を含むものとみなす。
また、有機粒子と相溶性が高い樹脂の種類は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、前述の結晶性の熱可塑性エラストマーや、非晶性の熱可塑性エラストマーとして、「有機粒子と相溶性が高い樹脂」の条件に該当するものを使用することも、前述の結晶性の熱可塑性エラストマーや、非晶性の熱可塑性エラストマーが「有機粒子と相溶性が高い樹脂」でない場合に、別の樹脂を加えることも可能である。
溶解度パラメータとは、樹脂を構成する各原子団の凝集エネルギー密度とモル分子量を基に計算されるパラメータであり、具体的には、山本秀樹著「SP値 基礎・応用と計算方法」((株)情報機構発行(2005年)第66〜67項)に記載のFedorの推算法に基づき計算されるものである。なお、樹脂の構造が不明瞭であり前記方法により計算できない場合においては、溶解度パラメータが既知である溶媒に対して溶解するか否かの判定による実験法(「ポリマーハンドブック 第4版(Polymer Handbook Fourth Edition)」 ジェー・ブランド(J.Brand)著、ワイリー(Wiley)社 1998年発行)によりSP値を算出し、その値を代用することができる。なお、Fedorの推算法は、通常は高分子重合体を構成する繰り返し単位が単一の場合に、その単位に対して計算した値を高分子重合体の溶解度パラメータとしているが、繰り返し単位が2成分以上存在する場合(例えば、繰り返し単位Aと繰り返し単位Bが存在する場合)は、以下の式(1)ように計算することができる。
繰り返し単位Aと繰り返し単位Bからなる重合体の溶解度パラメータ
=(繰り返し単位Aの溶解度パラメータ)×(繰り返し単位Aのモル分率)+(繰り返し単位Bの溶解度パラメータ)×(繰り返し単位Bのモル分率)・・・式(1)
基材フィルムが有機粒子と相溶性が高い樹脂を含むことにより、後述する有機粒子を熱履歴により基材フィルムの最表面に固定する方法において、有機粒子と基材フィルムとの密着性を向上しやすくなる。
本発明の基材フィルムにおける非晶性の熱可塑性エラストマーの含有量は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、せん断変形性、透湿性、および製膜安定性の観点から、本発明の基材フィルム中の樹脂全体を100質量%としたときに、5質量%以上50質量%以下であることが好ましく、10質量%以上45質量%以下であることがより好ましく、15質量%以上40質量%以下であることがさらに好ましい。なお、基材フィルム中の非晶性の熱可塑性エラストマーが複数種である場合においては、非晶性の熱可塑性エラストマーの含有量は全ての非晶性の熱可塑性エラストマーを合算して算出するものとする。
本発明の基材フィルムの厚みは、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、取り扱い性と生産性の観点から、3μm以上200μm以下であることが好ましい。ここでいう基材フィルムの厚みは、例えば、以下のようにして測定することができる。まず、ミクロトームを用いてサンプル片の機械方向−厚み方向断面(以下、フィルム断面ということがある。)を観察面とするように−100℃で超薄切片を採取し、走査型電子顕微鏡を用いて倍率500倍でフィルム断面の写真を撮影する。得られた断面の写真を用いて、顕微鏡の測長機能によりフィルムの最表面に有機粒子がない部分の厚みを測定する。なお、ミクロトームとしては、例えば日本ミクロトーム研究所(株)製ロータリー式ミクロトーム等を、走査型電子顕微鏡としては、例えば(株)日立製作所製S−3400N等を使用することができる。以下、これらを使用する測定方法について同様である。
基材フィルムの厚みを3μm以上とすることで、フィルムのコシが強くなり、取り扱い性が向上し、また、ロール巻姿や巻出し性も良好となる。基材フィルムの厚みを200μm以下とすることで、特にインフレーション製膜法においては、自重によりバブルが安定化する。このような点から、基材フィルムの厚みは、5μm以上150μm以下であることがより好ましく、6μm以上40μm以下であることがさらに好ましい。
(有機粒子)
本発明のフィルムは、フィルムに布のような触感を付与する観点から、基材フィルムの少なくとも一方の最表面に有機粒子を有することが重要である。このような態様とすることにより、フィルムを指で触れたときの両者の接触面積が小さくなるため、両者間の摩擦が軽減され、すべり性が向上する。本発明における有機粒子は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されるものではなく、例えば、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ナイロン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂粒子等を主成分とする有機粒子が用いられる。中でも、得られるフィルムのすべり性の観点から、ポリオレフィン系樹脂やアクリル系樹脂を主成分とする有機粒子を用いることが好ましい。ここでポリオレフィン系樹脂を主成分とするとは、有機粒子を構成する樹脂成分全体を100質量%としたときに、ポリオレフィン系樹脂を50質量%以上含むことをいう。以下、「主成分とする」については同様に解釈することができる。
また、有機粒子の形状は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されるものではなく、例えば、球形状、楕円体形状、多面体形状、およびこれらの立体を多孔質化した形状等とすることができる。但し、フィルムのすべり性の観点から、有機粒子の形状が球形状であることが好ましい。
有機粒子の形状が球形状であるか否かは、以下の手順により判別するものとする。まず、フィルムの最表面に有機粒子を有する面を、フィルム面と垂直な方向からレーザー顕微鏡で対物レンズの倍率を150倍に拡大して観察し、最表層に位置する有機粒子を観察視野の中心から近い順に100個抽出する。抽出した各有機粒子について、2次元投影形状の面積および周囲長を測定し、以下の式1により円形度を算出する。得られた円形度の平均値が0.3以上1.0以下である場合、有機粒子の形状が球形状であると判断する。なお、円形度の最大値は1.0であり、円形度が1.0であることは、測定対象の形状が真円であることと同義である。
式1:円形度=4π×(2次元投影形状の面積)/(2次元投影形状の周囲長)
有機粒子の形状は、円形度が大きく真球に近い(2次元投影形状が真円に近い)ほど、フィルムに触れたときの有機粒子の引っかかりを軽減することができ、摩擦係数を低く抑えやすくなる。このような観点から、上記円形度は0.4以上1.0以下であることがより好ましく、0.5以上1.0以下であることがさらに好ましい。
有機粒子の形状を球形状とするための方法は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、例えば、懸濁重合法や乳化重合法により得られた樹脂を有機粒子として用いる方法や、有機粒子中の樹脂の重量平均分子量を大きくして、製造工程での熱履歴による有機粒子の変形を軽減する方法等が挙げられる。
本発明における有機粒子の平均粒径は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、基材フィルムと有機粒子と密着性の観点から、1μm以上200μm以下であることが好ましく、3μm以上150μm以下であることがより好ましく、5μm以上100μm以下であることがさらに好ましい。
なお、有機粒子の平均粒径は以下の方法で測定することができる。まず、ミクロトームを用いてナイフ傾斜角度3°でフィルム面に垂直な方向にフィルムを切断する。得られた断面を走査型電子顕微鏡で観察し、1個の有機粒子を完全に囲みかつ面積が最も小さくなるように正方形または長方形を描いて、正方形の場合は1辺の長さ、長方形の場合は長辺と短辺の長さの平均値を該有機粒子の粒子径とする。同様の測定を100個の有機粒子について行い、得られた値の平均値を有機粒子の平均粒径とする。
本発明のフィルムは、後述するように基材フィルムと有機粒子を熱履歴により圧着させる製造工程をとる場合、熱履歴による粒子の変形を抑制する観点から、有機粒子の重量平均分子量が50万以上であることが好ましい。重量平均分子量をかかる範囲として粒子の変形を軽減することにより、フィルムを指で触った際における指とフィルムの接触面積を低減しやすくなり、フィルムの触感が向上する。熱履歴による粒子の変形を抑制する観点から、有機粒子の重量平均分子量は、100万以上であることがより好ましく、さらに好ましくは150万以上である。上記観点からは、有機粒子の重量平均分子量は高ければ高いほど好ましく上限は特に制限されないが、実用的な観点から1,000万あれば十分である。
なお、有機粒子の構成成分が単一の樹脂である場合、該樹脂の重量平均分子量を有機粒子の重量平均分子量とする。有機粒子の構成成分が複数の樹脂である場合は、各樹脂の重量平均分子量に含有比率(質量比)を掛け合わせて合計した値を有機粒子の重量平均分子量とする。樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定することができ、詳細な条件は後述する。
有機粒子に用いることができるポリオレフィン系樹脂としては、例えば、三井化学(株)製“ミペロン”(登録商標)、“ハイゼックスミリオン”(登録商標)、旭化成ケミカルズ(株)製“サンファイン”(登録商標)、住友精化(株)製“フローセン”(登録商標)等が挙げられる。また、有機粒子に用いることができるアクリル系樹脂としては、例えば、アイカ工業(株)製“ガンツパール”(登録商標)、松本油脂製薬(株)製“マツモトマイクロスフェアー”(登録商標)Mシリーズ等が挙げられる。
本発明のフィルムは、有機粒子の平均粒径(μm)と、基材フィルムの平均厚み(μm)との比(基材フィルムの平均厚み/有機粒子の平均粒径)が0.5以上3.0以下であることが重要である。「基材フィルムの平均厚み/有機粒子の平均粒径」が0.5以上であることにより、有機粒子の平均粒径が大きくなり過ぎず、フィルムから有機粒子の脱落が起こり難くなり、すべり性や触感が損なわれにくくなる。一方、「基材フィルムの平均厚み/有機粒子の平均粒径」が3.0以下であることにより、基材フィルムの厚みが大きくなり過ぎず、フィルムのせん断変形性が向上する。このような点から、「基材フィルムの平均厚み/有機粒子の平均粒径」は0.6以上2.5以下であればより好ましく、0.7以上2.0以下であればさらに好ましい。
本発明のフィルムは、有機粒子を有する面において、フィルム全体の面積を100%としたときに、有機粒子の占める面積の割合が20%以上100%未満であることが好ましい。フィルム全体の面積を100%としたときに、有機粒子の占める面積の割合が20%以上であれば、フィルムの外観およびすべり性が向上する。一方、有機粒子の占める面積の割合が100%である場合は、基材フィルムの表面に有機粒子と同一成分よりなる層が形成されている状態となる。通常、すべり性向上のために用いられる有機粒子は基材フィルムよりも硬いため、有機粒子の占める面積の割合が100%であると、後述するせん断かたさが過度に大きくなり、フィルム自体の柔らかさが損なわれることがある。このようにフィルムのすべり性と柔軟性を両立する観点から、フィルム全体の面積を100%としたときの、有機粒子の占める面積の割合は、20%以上90%以下がより好ましく、30%以上90%以下がさらに好ましく、40%以上85%以下が特に好ましい。
フィルム全体に占める有機粒子の面積の割合は、例えば、以下のようにして求めることができる。まず、フィルムの有機粒子を有する面を走査型電子顕微鏡で200倍に拡大して観察し、フィルム表面の有機粒子の個数を数える。次いで、フィルム表面における有機粒子の個数と前述した有機粒子の平均粒径との積を求め、これを有機粒子の面積とする。さらに、観察画像の面積をフィルム全体の面積とし、フィルム全体に占める有機粒子の面積の割合を算出する。
(有機粒子の密着性)
本発明のフィルムは、最表面の有機粒子の脱落を抑制してすべり性を持続する観点から、基材フィルムと有機粒子との剥離強度が30gf/25mm以上であることが好ましい。ここでいう、剥離強度とは後述する剥離試験において得られる剥離曲線の平坦部分の平均値を指す。剥離強度をかかる範囲とすることで、基材フィルムと有機粒子との密着性が強固になるため有機粒子の脱落が抑えられ、フィルムのすべり性がより持続する。
有機粒子の脱落を抑制する観点から、基材フィルムと有機粒子との剥離強度は、40gf/25mm以上がより好ましく、45gf/25mm以上がさらに好ましい。有機粒子の密着力の上限値は高ければ高いほどよいが、実用的な観点から300gf/25mmあれば十分である。
基材フィルムと有機粒子との剥離強度を30gf/25mm以上、または上記の好ましい範囲とするための方法は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、後述する製造工程での有機粒子にかかる熱履歴を大きくすることや、基材フィルムに有機粒子と相溶性の高い成分を含有させること等により、基材フィルムと有機粒子との剥離強度を上げることができる。
(せん断かたさ)
本発明のフィルムは、せん断変形性を布に近づける観点から、KES法に従い測定されるせん断かたさが0.1gf/(cm・deg)以上6.0gf/(cm・deg)以下であることが重要である。
せん断変形とは、経糸と緯糸とが交差することにより構成されている布が最も容易に受ける変形様式をいう。2次元の布が3次元の曲面を容易にカバーすることができるのはこのせん断変形に大きく依存し、せん断変形が大きい、つまり、せん断かたさが小さい方が人体のような曲面によりフィットし易く、着用感がよいものとなる。つまり、せん断かたさが0.1gf/(cm・deg)以上6.0gf/(cm・deg)以下であるフィルムは、例えば衛生材等の人体に着用する可能性のある用途に使用される際に好ましいものとなる。
KES法に従い測定されるせん断かたさとは、Kawabata Evaluation System法に従い測定される機械方向および幅方向のせん断応力より算出するせん断かたさをいう。ここで、機械方向とはフィルム製造時にフィルムが進行する方向を指し、幅方向とはフィルムの搬送面に平行であり、機械方向と直交する方向を指す(以下同じ)。より具体的には、せん断変形が−2.5°、−0.5°、0.5°、および2.5°である点における、機械方向および幅方向のせん断応力をKES法により測定し(以下、各点におけるせん断応力をそれぞれHG−2.5、HG−0.5、HG0.5、HG2.5ということがある)、機械方向および幅方向について、式2を用いて正方向のせん断かたさ(G(+))を、式3用いて負方向のせん断かたさ(G(−))を算出し、機械方向および幅方向のG(+)およびG(−)を平均して得られるせん断かたさをいう。なお、せん断応力の測定時の条件は、室温23℃、相対湿度65%、強制荷重10gf、せん断ずり速度0.417mm/sec、および試料のせん断変形範囲−8°〜8°である。なお、以後、KES法に従い測定されるせん断かたさのことを、単にせん断かたさと記すことがある。
式2:G(+)=(HG2.5−HG0.5)/(2.5°−0.5°)
式3:G(−)=(HG−2.5−HG−0.5)/(−2.5°−(−0.5°))
上記観点から、せん断かたさは、0.1gf/(cm・deg)以上3.5gf/(cm・deg)以下であることがより好ましく、0.1gf/(cm・deg)以上2.0gf/(cm・deg)以下であることがさらに好ましく、0.1gf/(cm・deg)以上1.5gf/(cm・deg)以下であることが特に好ましい。
本発明のフィルムのせん断かたさを0.1gf/(cm・deg)以上6.0gf/(cm・deg)以下、または上記の好ましい範囲とするための方法は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、基材フィルムにおける熱可塑性エラストマーの含有量を増やすこと、フィルムの厚みを薄くすること、後述するエンボス加工を施すこと等によりせん断かたさを低くすることができる。
(摩擦係数)
本発明のフィルムは、フィルムのすべり性、および生産性の観点から、有機粒子を有する面において、KES法に従い測定される摩擦係数が0.05以上0.80以下であることが好ましい。KES法に従い測定される摩擦係数が0.05以上であると、フィルムの生産性が向上する。また、KES法に従い測定される摩擦係数が0.80以下であると、フィルムのすべり性が向上する。有機粒子を有する面におけるKES法に従い測定される摩擦係数は、上記観点から、0.05以上0.35以下がより好ましく、0.05以上0.15以下がさらに好ましい。
KES法に従い測定される摩擦係数とは、具体的には、試料の大きさを10cm(機械方向)×10cm(幅方向)、荷重を25gf、滑り子(標準摩擦子(指紋タイプ))の移動速度を1mm/sec、室温を23℃、相対湿度を65%としてKES法により測定する摩擦係数をいう。なお、以後、KES法に従い測定される摩擦係数のことを、単に摩擦係数ということがある。
本発明のフィルムの摩擦係数を0.05gf/(cm・deg)以上0.80gf/(cm・deg)以下、または上記の好ましい範囲とするための方法は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、フィルム全体の面積に対する有機粒子の占める面積の割合を大きくすることや、有機粒子の形状をより球形状に近づけること等により、摩擦係数を低くすることができる。
(圧縮仕事量)
本発明のフィルムは、心地良い触感のフィルムとする観点から、クッション性を有することが好ましい。ここでいうクッション性とは、嵩高性と柔軟性を表す指標であり、フィルムを圧縮したときの仕事量(圧縮仕事量)を尺度として表現することができる。圧縮仕事量は、KES法に従い測定することができる。具体的には、室温23℃、相対湿度65%の雰囲気下でフィルムを面積2cmの円形平面を持つ鋼板間で圧縮速度20μm/sec、圧縮最大荷重10gf/cmの条件で圧縮して、KES法により測定することができる。以後、KES法に従い測定した圧縮仕事量のことを、単に圧縮仕事量と記す。
本発明のフィルムは、上記観点から、圧縮仕事量が0.02gf・cm/cm以上であることが好ましく、0.04gf・cm/cm以上であることがより好ましく、0.06gf・cm/cm以上であることがさらに好ましい。フィルムの圧縮仕事量が0.02gf・cm/cm未満であれば、そのクッション性や触感が低下することがある。一方、圧縮仕事量が高すぎると、フィルムの取り扱い性や、印刷や貼り合わせなどの後加工を施す際の後加工適性が低下することがある。これらの観点から、圧縮仕事量の上限は0.5gf・cm/cmであることが好ましい。
本発明のフィルムの圧縮仕事量を0.02gf・cm/cm以上、または上記の好ましい範囲とするための方法は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、有機粒子の平均粒径を調整する方法、後述するエンボス加工により凹凸形状を付与する方法等が挙げられる。具体的には、有機粒子の平均粒径を大きくすることや、凹凸部の高さを高くすること等により、圧縮仕事量を大きくすることができる。
(フィルムの透湿度)
本発明においては、フィルムの透湿度が、500g/(m・day)以上5,000g/(m・day)以下であることが好ましい。このような態様とすることにより、フィルムは衛生材などの透湿性が要求される用途に好適に用いることができるものとなる。衛生材などの透湿性が要求される用途に好適に用いる観点から、フィルムの透湿度は、1,500g/(m・day)以上であることがより好ましく、2,000g/(m・day)以上であることがより好ましい。また、フィルムの透湿度の上限は、衛生材に適用するとの観点からすると、5,000g/(m・day)程度あれば十分である。
なお、ここでフィルムの透湿度とは、25℃、90%RHに設定した恒温恒湿装置にて、JIS Z0208(1976)に規定された方法により測定する透湿度をいう。
フィルムの透湿度を500g/(m・day)以上5,000g/(m・day)以下または上記の好ましい範囲とする方法は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、例えば、基材フィルムを構成する樹脂として、透湿性に優れたポリエステル系エラストマーを用いることによりフィルムの透湿度を向上させることができる。
(基材フィルムの層構成)
本発明の基材フィルムは、本発明の効果を損なわない限り、単層構成でも積層構成でもよいが、最表面の有機粒子の基材フィルムからの脱落を軽減しつつ、フィルム全体の特性であるせん断かたさや、透湿度を前記の好ましい範囲とする観点から、積層構成であることが好ましい。より具体的には、有機粒子と直接接する層は、有機粒子との相溶性に優れた樹脂成分を含有するとともに、その他の層は前記のせん断かたさや透湿度を好ましい範囲とするのに適した組成とすることにより、透湿度、せん断かたさ、および有機粒子の密着性に優れたフィルムを得やすくなる。
上記観点から、基材フィルムが、少なくとも、有機粒子と接する層(A層)と、A層を挟んで前記有機粒子と反対側に位置する層(B層)の積層構成からなることが好ましい。ここで、「少なくとも、有機粒子と接する層(A層)と、A層を挟んで前記有機粒子と反対側に位置する層(B層)の積層構成からなる」とは、A層とB層が接しており、かつA層表面に有機粒子が付着している状態をいう。このような態様の基材フィルムとしては、例えば、A層/B層の2種2層構成の基材フィルムや、A層/B層/C層(A層及びB層と異なる層)の3種3層構成の基材フィルムが挙げられる。
本発明のフィルムにおけるA層及びB層は、せん断変形性の観点から、熱可塑性エラストマーを含むことが好ましい。熱可塑性エラストマーとしては、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、結晶性を有する熱可塑性エラストマー、非晶性の熱可塑性エラストマーのいずれであってもよく、また、両者を混合してもよい。
A層における熱可塑性エラストマーとしては、有機粒子との密着を容易にする観点から、ポリエステル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、およびアクリル系エラストマーなどを単独でまたは組み合わせて用いることが好ましい。B層における熱可塑性エラストマーとしては、得られるフィルムの透湿性の観点から、ポリエステル系エラストマーを用いることが好ましい。
(A層および有機粒子中の樹脂成分の溶解度パラメータ、樹脂A、および樹脂B)
本発明のフィルムは前述のA層及びB層を有する場合、溶解度パラメータの差の絶対値が最も小さくなるように、A層中の樹脂成分全体を100質量%としたときに、A層中に5質量%以上含まれる樹脂の中から1つの樹脂(樹脂A)を選択し、有機粒子の樹脂成分全体を100質量%としたときに、有機粒子中に5質量%以上含まれる樹脂の中から1つの樹脂(樹脂B)を選択した際に、樹脂Aと樹脂Bの溶解度パラメータの差の絶対値が0.10(MPa)0.5以下であることが好ましい。
A層は、熱可塑性エラストマーの他、有機粒子を構成する成分として列挙した成分を含んでいてもよい。これらの成分のうち、有機粒子の樹脂成分全体を100質量%としたときに、有機粒子中に5質量%以上含まれる成分や、それに化学構造の近い成分が、A層の樹脂成分全体を100質量%としたときに、A層中に5質量%以上含まれることにより、樹脂Aと樹脂Bの溶解度パラメータの差の絶対値が小さくなる。樹脂Aと樹脂Bの溶解度パラメータの差の絶対値が0.10(MPa)0.5以下であると、A層と有機粒子の密着力が強固となり、フィルム表面への負荷や接触により有機粒子の脱落が軽減されるため、フィルムに布のような触感を付与することが容易となる。
安定してフィルムに布のような触感を付与する点では、A層と有機粒子の密着力は高ければ高いほど好ましい。そのため、樹脂Aと樹脂Bの溶解度パラメータの差の絶対値は0.05(MPa)0.5以下であることがより好ましく、0.01(MPa)0.5以下であることがさらに好ましい。なお、樹脂Aと樹脂Bの溶解度パラメータの差の絶対値は、有機粒子の脱落を軽減するには小さければ小さいほど好ましいため、その下限値は0(MPa)0.5とすることができる。
樹脂Aと樹脂Bの溶解度パラメータの差の絶対値を0.10(MPa)0.5以下とする方法としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限されないが、例えば、A層に含まれる樹脂Aと有機粒子に含まれる樹脂Bを同一成分、若しくはそれらの化学構造をできるだけ近いものとする方法が挙げられる。例えば、樹脂Aと樹脂Bを同一成分とすることにより、溶解パラメータの差は0(MPa)0.5となる。
本発明のフィルムは、A層と有機粒子の密着力の観点から、A層中の樹脂成分全体を100質量%としたときに、A層が樹脂Aを5質量%以上100質量%以下含むことが好ましい。A層中の樹脂成分全体を100質量%としたときのA層における樹脂Aの量が5質量%より少ないと、後述する樹脂Bとの溶解度パラメータの差の絶対値が小さかったとしても、A層最表面に占める樹脂Aの割合が小さすぎるため、A層と有機粒子の間に十分な密着力が得られないことがある。A層と有機粒子の密着力を向上させる観点から、A層中の樹脂成分全体を100質量%としたときのA層における樹脂Aの含有量は、10質量%以上100質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは15%質量以上100質量%以下である。
本発明の有機粒子は、A層と有機粒子の密着力の観点から、有機粒子中の樹脂成分全体を100質量%としたときに、有機粒子が樹脂Bを50質量%以上100質量%以下含むことが好ましい。有機粒子中の樹脂成分全体を100質量%としたときの、有機粒子における樹脂Bの含有量を50質量%以上とすることにより、A層と有機粒子との密着力を向上させることができる。A層と有機粒子の密着力を向上させる観点からは、有機粒子中の樹脂Bの量は、有機粒子の樹脂成分全体を100質量%としたときに、90質量%以上100質量%以下であることがより好ましい。
なお、本発明において前記の樹脂Aおよび樹脂Aの条件を満たす組み合わせが複数存在する場合は、候補となる樹脂のうち、A層に占める含有量(質量%)が最も大きいものを樹脂Aとする組み合わせを採用するものとする。なお、A層に占める含有量(質量%)が等しい樹脂が複数存在する場合は、候補となる樹脂から任意に樹脂Aを選択することができる。
(添加剤)
本発明のフィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で前述した成分以外の成分を含有してもよい。例えば、充填剤、酸化防止剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、抗菌剤、消臭剤、耐候剤、抗酸化剤、イオン交換剤、粘着性付与剤、着色顔料、染料などを含めてもよい。
(エンボス加工)
本発明のフィルムは、フィルムの触感と柔らかさを布に近づける観点から、エンボス加工を施すことにより、凹凸構造を付与することも好ましい。このような態様とすることにより、フィルムの嵩高さを調節することができるため、圧縮仕事量を前記の好ましい範囲とすることが容易となる。また、凹凸構造の程度により空間自由度を調節することができるため、せん断かたさを前記の好ましい範囲とすることも容易となる。エンボス加工に用いるエンボスロールの表面の形状は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、目的とする圧縮仕事量やせん断かたさの大きさ等に応じて適宜選択することができる。例えば、エンボスロールの表面の凸部の高さを大きくすることで、圧縮仕事量を大きく、せん断かたさを小さくすることができる。
(フィルムの製造方法)
次に、基材フィルムが単層構成である場合を例に挙げて、本発明のフィルムを製造する方法について具体的に説明する。但し、本発明のフィルムの製造方法はこれに限定されるものではない。
本発明のフィルムにおける基材フィルムを得るために用いる組成物、つまり、熱可塑性エラストマー、添加剤などを含有する組成物を得るにあたっては、各成分を溶融混練することにより組成物を製造する溶融混練法が好ましい。溶融混練方法については、特に制限はなく、ニーダー、ロールミル、バンバリーミキサー、単軸または二軸押出機などの公知の混合機を用いることができる。中でも生産性の観点から、単軸または二軸押出機の使用が好ましい。
次に、上記した方法により得られた組成物を用いて、インフレーション法、チューブラー法、Tダイキャスト法などの公知のフィルム製造法により、無配向フィルムを製造することができる。
さらに、機械特性向上、軽量化、および透湿性向上の観点から、得られた無配向フィルムを一軸または二軸延伸することが好ましく、さらに経済性や生産性も考慮すると、機械方向のみに一軸延伸することがより好ましい。機械方向への一軸延伸は、ロール式の縦延伸装置やステンターなど公知の延伸装置により行うことができる。また、このときの延伸倍率は、機械特性向上、軽量化、透湿性向上、経済性、および生産性の観点から、1.1倍以上が好ましく、1.5倍以上8.0倍以下がより好ましい。
基材フィルムを製膜した後に、有機粒子を基材フィルムの表面に吹きつけ、熱ラミネートすることにより本発明のフィルムを得ることができる。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるものではない。
[測定および評価方法]
実施例中に示す測定や評価は次に示すような条件で行った。
(1)基材フィルムの厚み
フィルムの幅方向のセンター部からサンプル片を切り出し、ウルトラミクロトームを用いて該サンプル片の機械方向−厚み方向断面(以下、フィルム断面ということがある。)を観察面とするように−100℃で超薄切片を採取した。走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製 S−3400N)を用いて倍率500倍でフィルム断面の写真を撮影し、顕微鏡の測長機能を用いてフィルムの最表面に有機粒子がない部分の厚みを測定した。測定は、観察箇所を変えて10回行い、得られた値の平均値を基材フィルムの厚み(μm)とした。
(2)有機粒子の平均粒径
まず、ウルトラミクロトームを用いてナイフ傾斜角度(厚み方向とナイフ面のなす角度)3°でフィルムを切断し、得られた断面を走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製 S−3400N)により倍率500倍で拡大観察し、顕微鏡の測長機能により1個の有機粒子を完全に囲みかつ面積が最も小さくなるように正方形または長方形を描いて、正方形の場合は1辺の長さ、長方形の場合は長辺と短辺の長さの平均値を該有機粒子の粒子径とした。同様の測定を100個の有機粒子について行い、得られた粒子径の値の平均値を有機粒子の平均粒子径(μm)とした。このとき、測定対象の有機粒子は、観察画像の中心部から近い順に100個選定するものとした。なお、顕微鏡の観察画像に含まれる粒子が100個未満の場合は、その観察画像に含まれる粒子は全て測定対象とし、さらに別の部位における観察画像より、合計が100個に達するまで中心部から近い順に選定するものとした。
(3)フィルムのせん断かたさ(G)
フィルムを12cm(機械方向)×12cm(幅方向)の大きさに切り取り試料とし、試験台に取り付けた。次いで、カトーテック社製のせん断試験機KES−FB1−Aを用いて、23℃、相対湿度65%の雰囲気下、強制荷重10gf、せん断ずり速度0.417mm/secの条件で、試料に−8°〜8°のせん断変形を与え、せん断変形が−2.5°、−0.5°、0.5°、および2.5°である点におけるせん断応力を測定した(以下、各点におけるせん断応力をそれぞれHG−2.5、HG−0.5、HG0.5、HG2.5ということがある。)。HG0.5およびHG2.5より下記式2を用いて正方向のせん断かたさ(G(+))を、HG−2.5およびHG−0.5より下記式3を用いて負方向のせん断かたさ(G(−))をそれぞれ算出した。せん断応力の測定およびG(+)、G(−)の算出は、機械方向、幅方向ともに3回(合計6回)行い、その全てのG(+)、G(−)の値の平均値の小数第3位を四捨五入した値をそのフィルムのせん断かたさ(G)(gf/(cm・deg))とした。
式2:G(+)=(HG2.5−HG0.5)/(2.5°−0.5°)
式3:G(−)=(HG−2.5−HG−0.5)/(−2.5°−(−0.5°))
なお、機械方向のせん断かたさ(G)を測定する場合は、フィルムの機械方向がせん断変形方向と直交するように試料を取り付け、幅方向のせん断かたさ(G)を測定する場合は、フィルムの幅方向がせん断変形方向と直交するように試料を取り付けた。
(4)フィルムの有機粒子を有する面の摩擦係数
カトーテック社製の表面特性試験機KES−SEを用いて、フィルムを12cm(機械方向)×12cm(幅方向)の大きさに切取り試料とし、フィルムの有機粒子を有する面が測定面となるように試験台に取り付けて、滑り子として標準摩擦子(指紋タイプ)を取り付け、荷重25gf、1mm/secの速度で滑り子をフィルムの有機粒子を有する面で移動させ、室温23℃、相対湿度65%の雰囲気の条件にて摩擦係数を測定した。機械方向、幅方向ともに測定をそれぞれ3回(合計6回)行い、その全てのデータの平均値をそのフィルムの有機粒子を有する面の摩擦係数とした。
(5)フィルムの透湿度
25℃、相対湿度90%に設定した恒温恒湿装置にて、JIS Z0208(1976)に規定された方法に従って測定した。測定は3回行い、得られた値の平均値をフィルムの透湿度(g/(m・day))とした。なお、フィルムの透湿度は有機粒子を有する面から測定した。
(6)フィルムの外観
有機粒子を有する面の外観について、24人にアンケートをとり、以下の基準で評価した。
A:布のような自然な外観であると回答した人数が20〜24人。
B:布のような自然な外観であると回答した人数が15〜19人。
C:布のような自然な外観であると回答した人数が10〜14人。
D:布のような自然な外観であると回答した人数が5〜9人。
E:布のような自然な外観であると回答した人数が0〜4人。
外観はAが最も優れ、D以上の評価があれば実用性に耐えうると判断した。
(7)フィルムにおける有機粒子の占める面積の割合
まず、フィルムの有機粒子を有する面を走査型電子顕微鏡で200倍に拡大して観察し、フィルム表面の有機粒子の個数を数えた。次いで、フィルム表面における有機粒子の個数と「(2)有機粒子の平均粒径」に記載の方法で測定した有機粒子の平均粒径との積を有機粒子の面積とした。さらに、観察画像の面積をフィルム全体の面積とし、フィルム全体の面積に対する有機粒子の面積の割合を算出した。同様の測定をフィルムの有機粒子を有する面の任意の10箇所で行い、得られた値の平均値をフィルムにおける有機粒子の占める面積の割合とした。
(8)有機粒子の形状
フィルムの有機粒子を有する面を、(株)キーエンス製レーザー顕微鏡VK−9700を用いて対物レンズ倍率150倍で観察し、表面の高低差を色で表示したカラー画像を採取した。続いて同画像をpngファイル形式にて保存した後、アメリカ国立衛生研究所により開発された画像解析ソフトImageJ(バージョン:1.44p)により解析した。画像解析は以下の手順により行った。まず、得られたカラー画像をImageJにて赤、青、緑の3種類の輝度に分割した。次いで、赤の輝度を有する画像に対してImageJで大津の2値化機能による自動処理を施し、有機粒子部を赤色、それ以外の部分を白色とした。こうして得られた赤白画像に対してImageJで粒子解析の自動処理を施し、赤色の粒子部の円形度を求めた。なお、自動処理に際してはExclude on edges機能を用い、画像の端部と接する粒子は、解析対象から除外した。
なお、粒子解析を行う際の各設定パラメータは以下の通りとした。
Size:1−40,000μm
circularity:0−1
show:outlines
上記方法により、有機粒子100個の円形度を測定し、その平均値を有機粒子の円形度とし、この円形度の値が0.3以上1.0以下である場合は有機粒子が球形状であるものと判断した。なお、観察画像に含まれる粒子が100個以上の場合は、中心部から近い順に100個の粒子を選定し、観察画像に含まれる粒子が100個未満の場合は、さらに別の部位における観察画像より、合計が100個に達するまで中心部から近い順に有機粒子を選定するものとした。
(9)基材フィルムと有機粒子との剥離強度
フィルムサンプルの最表層に有機粒子を有する面に、25mm幅×30cm長のセロハンテープ(“セロテープ”(登録商標)CT405AP ニチバン(株)製)を、フィルムの機械方向とセロハンテープの長さ方向が平行となるように貼り付け、ハンドローラーで1.5kg/cmの荷重で押しつけた。得られたサンプルを表面性測定機 “HEIDON”(登録商標)TYPE 14DR(新東科学(株)製)の試料台に、セロハンテープを貼り付けた面が上面になるようにサンプル周囲を固定し、同装置により以下の条件でセロハンテープを引き剥がし、その時に得られる剥離曲線において、試験開始後の変位量10cm〜20cmの領域において観測される剥離力の平均値を求めた。同様の測定を、測定箇所を変えて5回行い、得られた値の平均値を有機粒子の剥離強度(gf/25mm)とした。
剥離角度:180°
剥離速度:100mm/分
剥離方向:機械方向
(10)溶解度パラメータ、基材フィルムと有機粒子との相溶性レベル
構造が既知である樹脂については、山本秀樹著「SP値 基礎・応用と計算方法」((株)情報機構発行(2005年)第66〜67項)に記載のFedorの推算法に基づき溶解度パラメータを算出した。なお、樹脂の構造が不明瞭であり前記方法により計算できない場合においては、溶解度パラメータが既知である溶媒に対して溶解するか否かの判定による実験法(「ポリマーハンドブック 第4版(Polymer Handbook Fourth Edition)」 ジェー・ブランド(J.Brand)著、ワイリー(Wiley)社 1998年発行)によりSP値を算出し、その値を代用するものとした。但し、実施例において樹脂の構造が不明瞭な例はなく、全て先に記載の方法を用いた。
得られた各樹脂の溶解度パラメータより、基材フィルムを構成する各樹脂と有機粒子を構成する樹脂の溶解度パラメータの差の絶対値を算出し、この値が最小となる基材フィルムを構成する樹脂を、有機粒子との相溶性が最も高い樹脂とした。なお、基材フィルムを構成する樹脂が1種類の場合は、該樹脂を有機粒子との相溶性が最も高い樹脂とした。次いで、有機粒子との相溶性が最も高い樹脂と有機粒子を構成する樹脂の溶解度パラメータの差の絶対値を求め、以下の基準で基材フィルムと有機粒子との相溶性レベルを評価した。
A.有機粒子との相溶性が最も高い樹脂と有機粒子を構成する樹脂の溶解度パラメータの差の絶対値が、0.10(MPa0.5)以下であった。
B.有機粒子との相溶性が最も高い樹脂と有機粒子を構成する樹脂の溶解度パラメータの差の絶対値が、0.10(MPa0.5)より大きかった。
(11)有機粒子の重量平均分子量
有機粒子を構成する樹脂の重量平均分子量は、以下の条件で、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した。有機粒子の構成成分が単一の樹脂である場合は、各測定値を有機粒子の重量平均分子量とした。有機粒子の構成成分が複数の樹脂である場合は、各測定値に含有比率(質量比)を掛け合わせて合計した値を有機粒子の重量平均分子量とした。
測定装置:Polymer Laboratories社製 PL−20
カラム:昭和電工(株)製“Shodex”(登録商標)UT806M
カラム温度:145℃
溶媒(移動相):o−ジクロルベンゼン
溶媒流速:1.0mL/分
試料調整:試料10mgに測定溶媒5mLを添加し、140〜150℃で約20分加熱攪拌
インジェクション量:0.200mL
検出器:示差屈折率検出器RI
標準試料:単分散ポリスチレン
(12)フィルムの圧縮仕事量
フィルムを12cm角の大きさに切り取り試料とし、試験台に取り付けた。次いで、カトーテック社製の自動化圧縮試験装置KES−FB3−Aを用いて、室温23℃、相対湿度65%の雰囲気下において、取り付けた試料を面積2cmの円形平面を持つ鋼板間で、圧縮速度20μm/sec、圧縮最大荷重10gf/cmの条件で圧縮し、フィルムの圧縮仕事量(gf・cm/cm)を測定した。フィルムの巻内面、巻外面の両面ともに測定をそれぞれ3回(合計6回)行い、その全てのデータの平均値の小数第3位を四捨五入した値をそのフィルムの圧縮仕事量とした。
(13)フィルムの触感
有機粒子を有する面の触感について、24人にアンケートをとり、以下の基準で評価した。
A:布のような自然な触感であると回答した人数が20〜24人。
B:布のような自然な触感であると回答した人数が15〜19人。
C:布のような自然な触感であると回答した人数が10〜14人。
D:布のような自然な触感であると回答した人数が5〜9人。
E:布のような自然な触感であると回答した人数が0〜4人。
触感はAが最も優れ、D以上の評価があれば実用性に耐えうると判断した。
[基材フィルムの原料樹脂]
(A1)ポリエステル系エラストマー(商品名:“ハイトレル”(登録商標)G3548、東レ・デュポン(株)製)使用前には回転式真空乾燥機にて90℃で5時間乾燥した。結晶性の熱可塑性エラストマーである。
(A2)
ポリオレフィン系エラストマー(商品名:“アクリフト”(登録商標)WH303、住友化学工業(株)製) 結晶性の熱可塑性エラストマーである。
(A3)
低密度ポリエチレン(商品名:“スミカセン”(登録商標)F200、住友化学工業(株)製)
(A4)
アクリル系エラストマー(商品名:“クラリティ”(登録商標)LA4285、クラレ(株)製) 非晶性の熱可塑性エラストマーである。
[有機粒子]
(B1)ポリエチレン系粒子(商品名:“ミペロン”(登録商標)XM220、三井化学(株)製)
(B2)
超高分子量ポリエチレン(商品名:“ハイゼックスミリオン”(登録商標)240S、三井化学(株)製、重量平均分子量200万、平均粒子径120μm)を凍結粉砕により、平均粒径20μmの微粒子にしたもの。
(B3)
超高分子量ポリエチレン(商品名:“ハイゼックスミリオン”(登録商標)240S 、三井化学(株)製)。
(B4)
低密度ポリエチレン粉砕品(商品名:“フローセン”(登録商標)UF−4、住友精化(株)製)。
(B5)
ポリメチルメタアクリレート(商品名:“ガンツパール”(登録商標)GM2801、アイカ工業(株)製)。
[添加剤]
(C1)炭酸カルシウム(商品名:SCP E♯810、アスペクト比2、平均粒径3.0μm、三共精粉(株)製)
[フィルムの作製]
(実施例1)
基材フィルムの原料樹脂、添加剤を表1に記載の含有量でシリンダー温度175℃のスクリュー径44mmの真空ベント付二軸押出機に供給して溶融混練し、均質化した後にペレット化して組成物を得た。この組成物のペレットを、回転式ドラム型真空乾燥機を用いて、温度80℃で5時間真空乾燥した。真空乾燥した組成物のペレットをインフレーション法により、シリンダー温度190℃で、スクリュー径60mmの単軸押出機に供給し、直径250mm、リップクリアランス1.0mm、温度を175℃に設定した環状ダイスにより、ブロー比2.0にてバブル状に上向きに押出し、冷却リングにより空冷し、ダイス上方のニップロールで折りたたみながら、引き取りしてロール状に巻き取った。引き取り速度の調整により、表1に示す厚みの基材フィルムを得た。次いで、得られた基材フィルムを20cm×20cmのサイズにカットし、カットした基材フィルムの上から表1に記載の有機粒子について表1に記載の質量を150メッシュのふるいを用いて振りかけたのち、基材フィルムを垂直に引き上げ余分な有機粒子を落とした。樹脂粒子を振りかけた基材フィルムを熱ラミネーター((株)エム・シー・ケー製、MRK−600)で以下の条件で熱ラミネートすることで表面に有機粒子を有するフィルムを得た。得られたフィルムの物性および評価結果を表1に示す。
<熱ラミネート条件>
ロール温度:150度
ロール速度:1m/min
ロール線圧力:0.5MPa
(実施例2〜15、実施例22〜25、比較例1、3〜5)
基材フィルムの原料樹脂、有機粒子、および添加剤を表1に記載の量としたこと以外は実施例1に記載の方法で表面に有機粒子を有するフィルムを得た。なお、実施例10および比較例5においては、50メッシュのふるいを使用した。得られたフィルムの物性および評価結果を表1〜3に示す。
(比較例2)
実施例1と同様の方法にて表1に示す厚みの基材フィルムを得た。得られた基材フィルムの片面に、バーコーターを使用して、コート厚みが約5μmとなるように、下記の樹脂層塗布液を塗布し、80度で乾燥してコート層を積層し、フィルムを得た。得られたフィルムの物性および評価結果を表3に示す。
<コート層塗布液>
ベンゾトリアゾール含有アクリル系共重合体樹脂((株)日本触媒製“ハルスハイブリッド”(登録商標)UV−G720T 濃度40質量%溶液)が70質量部、B1が12質量部、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業(株)“コロネート”(登録商標)HL、濃度75質量%)が2.7質量部、酢酸エチルが55質量部となるように混合した組成物を塗布液とした。
(実施例16)
実施例1で得られたフィルムを、由利ロール社製電気加熱式エンボス機“HTEM−300型”にセットした算術平均粗さ50μmの不織布柄エンボスロールとゴムロールの間を、有機粒子を有する面と反対の面を不織布柄エンボスロール側として、ロール温度120℃(上段、下段両方)、ニップ圧力(線圧)50kg/cm、ロール回転速度5.0m/minの条件で通した。得られたフィルムの物性および評価結果を表2に示す。
(実施例17)
不織布柄エンボスロールとして算術平均粗さ80μmのロールを用いた以外は、実施例16と同様にフィルムを得た。得られたフィルムの物性および評価結果を表2に示す。
(実施例18、19)
A層用、およびB層用の各原料について、表2に記載の配合比となるようにシリンダー温度190℃のスクリュー径44mmの真空ベント付二軸押出機に供給して溶融混練し、均質化した後にペレット化して組成物を得た。この組成物のペレットを、回転式ドラム型真空乾燥機を用いて、温度90℃で5時間真空乾燥し、A層用、およびB層の組成物を得た。続いてこれらの組成物をシリンダー温度200℃、スクリュー径60mmの、それぞれ独立した層用単軸押出機に供給し、直径250mm、リップクリアランス1.0mm、温度190℃のスパイラル型環状ダイスより、A層/B層の2種2層構成となるように、ブロー比:2.0にてバブル状に上向きに押出し、冷却リングにより空冷し、ダイス上方のニップロールで折りたたみながら引き取ってロール状に巻き取った。得られた積層フィルムについて実施例1と同様の方法により表2に記載の有機粒子をA層側の面に散布し、有機粒子を有するフィルムを得た。得られたフィルムの物性および評価結果を表2に示す。
(実施例20)
実施例18で得られたフィルムに実施例16と同様の方法でエンボス加工を施した。得られたフィルムの物性および評価結果を表2に示す。
(実施例21)
実施例18で得られたフィルムに実施例17と同様の方法でエンボス加工を施した。得られたフィルムの物性および評価結果を表2に示す。
Figure 0006965750
Figure 0006965750
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表1〜3において、基材フィルムの原料樹脂(質量%)は基材フィルム中の樹脂成分全体を100質量%として算出した。また、添加剤(質量部)は基材フィルム中の樹脂成分全体を100質量部として算出した。
本発明のフィルムを用いることにより、せん断変形性およびすべり性に優れたフィルムを提供することができる。本発明のフィルムは、せん断変形性およびすべり性を必要とする用途、具体的には、ベッド用シーツ、枕カバー、衛生ナプキンや紙おむつなどの吸収性物品のバックシートといった医療・衛生材料、雨天用衣類、手袋などの衣料材料、ゴミ袋や堆肥袋、あるいは野菜や果物などの食品用袋、各種工業製品の袋などの包装材料、ビル、住宅、化粧板といった建材、鉄道車両、船舶、航空機といった輸送機内での内装材料、建築用材料などに好ましく用いることができる。
1 有機粒子
2 基材フィルム

Claims (9)

  1. 基材フィルムの少なくとも一方の最表面に有機粒子を有し、前記有機粒子の平均粒径(μm)と、前記基材フィルムの平均厚み(μm)との比(基材フィルムの平均厚み/有機粒子の平均粒径)が0.5以上3.0以下であり、かつKES法におけるせん断かたさが0.1gf/(cm・deg)以上6.0gf/(cm・deg)以下であることを特徴とする、フィルム。
  2. 有機粒子を有する面において、フィルム全体の面積を100%としたときに、有機粒子の占める面積の割合が20%以上100%未満であることを特徴とする、請求項1に記載のフィルム。
  3. 有機粒子を有する面において、KES法に従い測定される摩擦係数が0.05以上0.80以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載のフィルム。
  4. フィルムの透湿度が、500g/(m・day)以上5,000g/(m・day)以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフィルム。
  5. 前記有機粒子の形状が球形状であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のフィルム。
  6. 前記基材フィルムと前記有機粒子との剥離強度が30gf/25mm以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のフィルム。
  7. 前記基材フィルムが、熱可塑性エラストマーを含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のフィルム。
  8. 前記基材フィルムが、少なくとも、前記有機粒子と接する層(A層)と、A層を挟んで前記有機粒子と反対側に位置する層(B層)の積層構成からなることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のフィルム。
  9. 溶解度パラメータの差の絶対値が最も小さくなるように、前記A層中の樹脂成分全体を100質量%としたときに、前記A層中に5質量%以上含まれる樹脂の中から1つの樹脂(樹脂A)を選択し、前記有機粒子の樹脂成分全体を100質量%としたときに、前記有機粒子中に5質量%以上含まれる樹脂の中から1つの樹脂(樹脂B)を選択した際に、前記樹脂Aと前記樹脂Bの溶解度パラメータの差の絶対値が0.10(MPa)0.5以下であることを特徴とする、請求項8に記載のフィルム。
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