JP3294947B2 - 被覆用シート及びその製造方法 - Google Patents

被覆用シート及びその製造方法

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JP3294947B2
JP3294947B2 JP20051594A JP20051594A JP3294947B2 JP 3294947 B2 JP3294947 B2 JP 3294947B2 JP 20051594 A JP20051594 A JP 20051594A JP 20051594 A JP20051594 A JP 20051594A JP 3294947 B2 JP3294947 B2 JP 3294947B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車の内装や、オフ
ィスオートメーション(OA)機器・家電製品などのハ
ウジングや文具、サニタリー、日用品、建材内装などの
成形品の、人が触る可能性のある部位に被覆することに
より成形品に良好な接触感及び艶消し感を付与できる被
覆用シート及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】プラスチック成形体、または金属成形体
などの表面にスエード感(ソフトタッチ感)を付与する
ために、一般にスエード調(ソフトタッチ)塗料が用い
られてきた。例えば、特開昭63−199776号公報
にはナイロン粉末と着色剤または着色ナイロン粉末を、
60〜700%の伸びを有する塗膜形成用樹脂として含
んだ樹脂液に分散してなる塗料が開示されている。
【0003】しかしながら、特開昭63−199776
号公報のように塗料を用いて塗装する際には、塗料の粘
度や濃度を調整する必要があり、その作業が煩雑とな
る。また、有機溶剤を用いた塗料では溶剤を乾燥させる
ブースが必要であり、さらに、作業環境の汚染及び安全
衛生上の問題が生じる。
【0004】これらの問題を解決するために、例えば、
特開平2−41243号公報には成形性のよい基材フィ
ルムの上に、ビーズ顔料を電離放射線硬化樹脂のビヒク
ルに添加した艶消し塗料を塗布し、電子線によって架橋
硬化させたスエード調シートが塗料に代わるものとして
提案されている。また、シートを用いて射出成形時に加
飾する装置が、例えば、特開昭59−202830号公
報に提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開平2−4
1243号公報に記載されたシートは、シートの塗膜が
電子線によって架橋硬化された樹脂からなるので、シー
ト全体の展延性に劣っていた。
【0006】したがって、このシートと、特開昭59−
202830号公報に提案されている装置とを用いて表
面にソフトタッチ感や艶消し感を付与された成形品を得
ようとした場合、つぎのような問題がある。
【0007】すなわち、凹凸や曲面を有する被着体表面
にシートを貼付けようとすると、シートの展延性が悪い
ので、シートが破れることがあり、特に深絞り成形にお
いて簡易に成形品にソフトタッチ感や艶消し感を付与す
ることは困難であった。
【0008】又、ソフトタッチ感を付与するために、シ
ートに発泡体を積層する方法も考えられる。かかる場
合、基材を介して積層することが考えられ、該基材とし
ては、リサイクル性、焼却性が良好なポリオレフィン系
エラストマーが考えられる。
【0009】しかし、オレフィン系エラストマーは、オ
レフィン系樹脂とゴム成分の分散性が低く、他の樹脂を
ブレンドしなければ押出によるシート化が困難であり、
又延伸性に劣るといった問題がある。
【0010】本発明は、上記の問題点を改善し、ソフト
タッチ感や艶消し感を備えた被覆を形成しうるソフトタ
ッチ(スエード調)や艶消し感に優れた被覆用シート及
び該被覆用シートを簡易に製造可能な製造方法を提供す
るを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明で得られる被覆用
シートの表面層に使用される熱可塑性エラストマー樹脂
とは、常温でゴム弾性を有し、高温では可塑化されて各
種の成形加工が可能な高分子材料を言い、その種類はポ
リスチレン系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、ポ
リエステル系、ポリ塩化ビニル系、ポリアミド系、アイ
オノマー系、天然ゴム系、フッ素系、1,2ポリブタジ
エン系、トランス1,4ポリイソプレン系などに分類さ
れる。
【0012】これらの熱可塑性エラストマーは、一般
に、分子中にエントロピー弾性を有するゴム成分(ソフ
トセグメント)と塑性変形を防止するための分子拘束成
分(ハードセグメント)とを共有していることが多く、
成形可能な範囲においては一部架橋構造を有する場合も
あるが、広範囲の三次元編目構造は有していない。
【0013】これらの熱可塑性エラストマーの硬さとし
ては、得たい感触や、用いる弾性微粒子(弾性ビーズが
多用される)の硬さによっても異なるが、一般的にはJ
ISK 6301のA硬度で50〜98の範囲のものが
好ましい。
【0014】上記熱可塑性エラストマーとしては、例え
ば、ポリウレタン系のものでは、ハードセグメントとし
てポリウレタン、ソフトセグメントとしてポリエーテ
ル、ポリエステル、ポリカーボネートなどをもつブロッ
ク共重合体などがある。ポリスチレン系のものでは、ハ
ードセグメントとしてポリスチレンを、ソフトセグメン
トとしてポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリエチレ
ンーポリブチレンを持つブロック共重合体や、さらにこ
れに水素添加や、官能基を付与したものなどがある。
【0015】ポリオレフィン系のものでは、ハードセグ
メントとしてポリプロピレンを持ち、ソフトセグメント
としてエチレンを持つものや、エチレンと共に少量のジ
エン成分を持つもの(順にEPM(エチレン−プロピレ
ン−メチレン結合)、EPDM(エチレン−プロピレン
−ジエンメチレン結合)、総称してEPR(エチレン−
プロピレンゴム))、これらをブレンドして得られたも
のや、これらにさらに有機過酸化物を添加することによ
り部分架橋したものや、不飽和ヒドロキシ単量体、不飽
和カルボン酸の誘導体でグラフト変性されたもの、その
他ブチルゴムグラフトポリエチレン等がある。
【0016】ポリエステル系のものでは、ハードセグメ
ントとしてポリエステル、ソフトセグメントとしてポリ
エーテルをもつ共重合体などがある。ポリ塩化ビニル系
のものでは、ポリ塩化ビニルの重合度を極端に上げる方
法、ポリ塩化ビニルの一部に3次元架橋構造を導入する
方法、イオン架橋構造を導入する方法により得られたも
のなどがある。
【0017】ポリアミド系のものでは、ハードセグメン
トとしてポリアミドをソフトセグメントとしてポリエー
テルを用いたものなどがある。また、熱可塑性エラスト
マーの種類の選択は、ソフトタッチシートとして得たい
性能を考慮して、例えば耐スクラッチ性、耐摩耗性が必
要な場合はウレタン系の熱可塑性エラストマーが好まし
く用いられる。
【0018】上記弾性微粒子とは、その形状が変形する
まで加圧した後、開放する時、弾性回復する性質を有す
るもので、例えば、ポリウレタン、アクリル−ウレタン
共重合体、ポリスチレン、スチレン−イソプレン共重合
体等からなるものが挙げられ、上記熱可塑性エラストマ
ーの押出条件下で溶融しないものが用いられる。その理
由は、熱可塑性エラストマーと共に混合して押出成形機
よりシート状に押し出す際に、弾性微粒子が熱可塑性エ
ラストマーに溶融一体化してしまうと、その後伸長して
も良好な表面層の形成が困難となるからである。
【0019】これら弾性微粒子は、その粒径分布の極大
が、1〜50μmの範囲のものを熱可塑性エラストマー
樹脂100重量部(以下、「部」とのみ記す)に対して
20〜200部、好ましくは50〜150部添加するの
が好ましい。すなわち、粒径が1μmを下回ると、得ら
れたシートに十分なソフトタッチ感や艶消し感が得られ
ず、シートの膜厚にもよるが、粒径が50μmを上回る
と、展延または延伸してシートを伸長した際に、その表
面に亀裂が生じ易くなる。また、添加量が20部より少
ないと十分な凹凸が得られずソフトタッチ感や艶消し感
が低下し、添加量が200部より多いと展延または延伸
してシートを伸長した際に、その表面に亀裂が生じ易く
なる。
【0020】なお、この弾性微粒子は1種に限らず、2
種以上を併用してもよい。また、柔軟な熱可塑性エラス
トマーを用いる場合や、少し硬い感触でもよい場合は、
例えば、架橋ポリメタクリル酸メチルや、無機材料でで
きた硬い微粒子を用いてもよい。
【0021】基材層2層以上からなり、該基材層は、
熱可塑性エラストマーを主成分とすると共に、そのうち
の少なくとも1層がクロス分別法による0℃での樹脂溶
出量が全オレフィン系エラストマー量の25〜75重量
%、80〜100℃での樹脂溶出量が全オレフィン系エ
ラストマー量の1〜45重量%、100〜125℃での
樹脂溶出量が全オレフィン系エラストマー量の1〜40
重量%の範囲内にあるオレフィン系エラストマーを主成
分とする組成物からなる。
【0022】このように基材層の少なくとも1層を所定
のオレフィン系エラストマーを主成分とするものからな
ることとすることにより、得られる被覆用シートの延伸
性やソフトタッチ感の優れたものが得られる。
【0023】又、他の層を上記所定樹脂溶出量を有する
オレフィン系エラストマーと密着性の良好なオレフィン
系エラストマーとすると、得られる被覆用シートの均一
延伸性が向上し好適である。
【0024】更に、ハードセグメントとしてポリプロピ
レンを持ち、ソフトセグメントとして、エチレンや、エ
チレンとともに少量のジエン成分を持つものをブレンド
し、更に部分架橋されたもの、例えば、ポリオレフィン
系樹脂と、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムの
部分架橋物のブレンドにより得られるオレフィン系エラ
ストマーを用いると更に均一延伸性が向上し好適であ
る。
【0025】基材層を構成するオレフィン系エラストマ
ーのクロス分別法による樹脂溶出量はが上記の如く限定
されるのは、以下の理由による。即ち、0℃での樹脂溶
出量が、少なくなると、得られる被覆用シートが固くな
りソフトタッチ感が低下し、又、多くなると、基材層の
耐熱性が低下するので、全オレフィン系エラストマー量
の25〜75重量%とされ、好ましくは30〜70重量
%である。
【0026】80〜100℃での樹脂溶出量が、少なく
なると、得られる被覆用シートの延伸性が低下し、又、
多くなると、得られる被覆用シートのソフトタッチ感が
低下するので、全オレフィン系エラストマー量の1〜4
5重量%とされ、好ましくは1〜40重量%である。
【0027】100〜125℃での樹脂溶出量が、少な
くなると、得られる被覆用シートの延伸性が低下し、
又、多くなると、得られる被覆用シートのソフトタッチ
感が低下し、全オレフィン系エラストマー量の1〜40
重量%とされ、好ましくは1〜35重量%である。
【0028】なお、上記クロス分別法による樹脂溶出量
の測定は、下記操作により行われる。即ち、樹脂を、1
40℃又は樹脂が完全に溶融する温度のo−ジクロロベ
ンゼンに溶解して溶解液を得、得られた溶解液を1℃/
minの速度で冷却し、予め用意しておいた不活性担体
の表面に薄いポリマー層を形成させる。このとき、樹脂
成分は、結晶性の高い順及び分子量の大きい順に生成す
る。その後、温度を連続的又は段階的に昇温し、順次溶
出する樹脂成分の濃度を検出し、組成分布(結晶性分
布)を測定する(温度上昇溶離分別)。それと同時に、
高温型GPC(GAS Phase Chromatograph)により溶出
した成分の分子量及び分子量分布(重量平均分子量/数
平均分子量)を測定する。
【0029】上記所定樹脂溶出量を有するオレフィン系
エラストマーの製造方法は、特に限定されないが、例え
ば、特開平4−96912、特開平4−96907、特
開平3−174410、特開平2−170803、特開
平2−170802、特開昭61−42553、特開平
3−205439、特開平3−97747号公報に記載
された方法等が挙げられ、徳山ソーダ社から商品名「P
ER」で、ハイモント社から商品名「キャタロイ」で市
販されている。
【0030】上記熱可塑性樹脂とは、例えば上記熱可塑
性エラストマーや、ポリスチレン、アクリル系ポリマ
ー、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ABS(アクリロニトリル−ブタ
ジエン−スチレン共重合体)、変性ポリフェニレンオキ
サイド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイ
ミド、ポリエーテルエーテルケトン、アイオノマーなど
が挙げられるが、より柔軟なソフトタッチ感を付与する
ためには熱可塑性エラストマーを採用することが好まし
い。
【0031】上記発泡体層を構成する材料としては、例
えばポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィ
ン系樹脂、ポリスチレン、スチレン−無水マレイン酸共
重合体などのポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹
脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、各種熱可塑性エラストマー
樹脂など発泡可能な樹脂材料が挙げられる。また、これ
らの発泡体の発泡倍率は、低くなると、得られる被覆用
シートのソフトタッチ感が低下し、又、高くなると、得
られる被覆用シートの強度が低下し、真空成形等の延伸
成形時に発泡層が破断したり、発泡セルは潰れやすくな
るため、5〜50倍程度が好ましく、10〜40倍が更
に好ましい。又、発泡体層を構成する材料は、発泡性向
上の点から部分的に架橋したものが好ましい。
【0032】被覆用シートの製造方法としては、特に限
定されないが、例えば、表面層を構成する組成物、基材
層を構成する組成物とを共押出して得られた、シート状
積層体を伸長した後、基材層側に発泡体層を積層する方
法が挙げられる。
【0033】共押出成形は、2台以上の押出機を使いお
のおの押出された樹脂を1つに合流して多層構造の製品
を作る方法をさす。この共押出による合流方法には大別
してフィードブロック法、マルチマニホールド法、マル
チスロットルダイ法がある。フィードブロック法はダイ
に入る直前に取付けた特殊ブロックで合流させるもので
ブラックボックス法とも呼ばれる。マルチマニホールド
法はダイ内に層数分だけのマニホールドを有するもので
ある。マルチスロットルダイ法は、ダイ内では別々の流
れにして、ダイを出た直後に接着させる方法である。
【0034】これらのどの方法でも、本発明のシート状
積層体は作成できるが、各層の厚み精度を良くし、各層
の接着を良くするため、マルチマニホールド法が好まし
い。又、フィードブロック法とマルチマニホールド法等
の様に異なる共押出成形方法を組み合わせてもよい。
【0035】表面層を構成する熱可塑性エラストマーと
弾性微粒子は、混合したのち、2軸タイプの押出機を用
いて溶融混練して押出し、他の押出機から押出した基材
層となる樹脂と共押出成形するか、予め熱可塑性エラス
トマーと弾性微粒子とを混練してペレット化し、このペ
レットを通常用いられる押出機で押出して他の押出機か
ら押出した基材層となる樹脂と共押出成形することがで
きる。
【0036】なお、あらかじめ熱可塑性エラストマーと
弾性微粒子とを混練してペレット化する場合、熱可塑性
エラストマーと弾性微粒子との混合には、バンバリーミ
キサー等で混合することができる。押出温度条件は、例
えば熱可塑性ウレタンエラストマーを用いた表面層用組
成物の場合、150〜215℃とされる。
【0037】本発明の被覆用シートの製造方法において
は、上記組成物を押出機よりシート状に共押出した後の
伸長は、勿論、シート状積層体が固体状態で行われても
よい(この場合は一般に延伸と称される)が、この場合
に限られることなく、シート状の形態がほぼ保持されて
いれば、押出し直後の半固体状態で行われてもよい。
【0038】具体的には、上記組成物を押出機より共押
出した直後に引き取りロール等で伸長してもよく、ある
いはシートを巻き取り可能な程度に十分に冷却賦形した
後に延伸してもよい。
【0039】延伸する場合は、通常、シートの温度が用
いた熱可塑性エラストマーの軟化温度以下になってか
ら、冷却されたロールをシートに接触させ、更に樹脂の
吐出速度より高速で回転する引き取りロールで引き取っ
て行われる。表面を粗面化した冷却されたゴムロール等
を用いる場合は、軟化温度近辺でも構わない。又、テン
ター延伸法などを採用してもよい。
【0040】伸長の倍率は、用いる熱可塑性エラストマ
ーと弾性微粒子の相溶性によっても異なるが、好ましく
は1.2倍以上で、より好ましくは2倍以上とする。こ
のように伸長されることにより、得られたソフトタッチ
シート表面には微細な凹凸が形成されて、ソフトタッチ
感を発現することとなる。さらに、このようにして得ら
れたソフトタッチシートは必要に応じてアニーリングが
される。
【0041】上記のようにして共押出で得られたソフト
タッチシートと、発泡体層となる合成樹脂の発泡体とを
積層する方法としては、例えば、共押出、伸長直後に、
溶融状態にある混合物をソフトタッチシートの基材層側
にラミネートする方法(押出ラミネート)がある。この
時、ラミネート用ロール表面にエンボスを設け、ラミネ
ートと同時に表面層にエンボスを施してもよい。
【0042】なお、上記共押出時、表面層と基材層の密
着が悪い場合は両層の間に接着剤層を共押出(3層押
出)で設けたり、表面層又は基材層を構成する材料を酸
変性したり、グラフト変性したりしてよい。
【0043】上記接着剤層を構成する材料としては、基
材層を構成する樹脂に相溶する接着性のポリマーが用い
られる。このようなポリマーとしては、主鎖または側鎖
に水酸基、アミド基、エポキシ基、カルボン酸基、カル
ボン酸エステル基等の官能基を有する化合物等を含むポ
リマーであり、例えば、酸変性されたSBS(スチレン
−ブタジエン−スチレン共重合体)、同じく酸変性され
たSEBS(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン
共重合体)や酸変性されたポリプロピレン、ポリエチレ
ン等が挙げられる。これらの酸変性は一般的には無水マ
レイン酸、フマル酸、イタコン酸、テトラヒドロ無水フ
タル酸等により行われる。また、カルボン酸の量として
はポリマーの酸価が1〜30mg KOH/gが好まし
い。
【0044】同様に、基材層と発泡体層の密着性が悪い
場合も、発泡体層の表面(基材層側の面)に、プライマ
ー層や、接着剤層を予め設けたり、基材層側に、プライ
マー層や、接着層を共押出(4層押出)で設けたりして
もよい。
【0045】上記プライマー層を構成する材料として
は、例えばポリオレフィン系の基材層にポリウレタン系
の熱可塑性エラストマーよりなる発泡体を積層する場合
は、塩素化ポリオレフィンの層や酸変性されたSEBS
(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体)
などが挙げられる。
【0046】上記接着剤層を構成する材料としては、例
えばゴム系、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系な
ど感圧型接着剤、溶剤型接着剤や、エチレン−酢酸ビニ
ル系共重合体(EVA)系、スチレン−イソブレン−ス
チレンブロック共重合体(SIS)系などのホットメル
ト系接着剤がある。また、例えばマイクルカプセル硬化
型の後硬化型の接着剤も使用できる。後硬化型接着剤に
は、例えば、未架橋型不飽和ポリエスエル系接着剤、未
架橋型アクリル系接着剤などが包含される。
【0047】本発明で用いられる被覆用シートには、さ
らに必要に応じて顔料,染料等の着色剤、酸化防止剤、
紫外線吸収剤、紫外線安定剤(例えば、ヒンダードアミ
ン)などの材料を添加することができる。
【0048】上記着色剤としては塗料で用いられる顔
料、染料を使用しうる。顔料としては、例えば、酸化チ
タン、酸化鉄、カーボンブラック、シアニン系顔料、キ
ナクリドン系顔料などがある。染料としては、例えば、
アゾ系染料、アントラキノン系染料、インジゴイド系染
料、スチルベンゼン系染料などがある。また、アルミフ
レーク、ニッケル粉、金粉、銀粉などの金属粉などを着
色剤として用いてもよい。これら材料はできるだけ微粒
子のものが好ましい。しかし、これら着色剤が加わると
弾性微粒子によって付与されるソフトタッチ感や艶消し
感が異なることがあるので、着色剤を加えた系では適正
な弾性微粒子の量が変わることがある。
【0049】本発明で用いられる被覆用シートに種々の
機能を付与するために各種機能性付与剤も添加すること
ができる。上記機能性付与剤とは、導電性材料、結露防
止剤、フォトクロミック化合物などを挙げることができ
る。さらに上記シートに意匠性を上げるため印刷等の模
様付けを行う場合もある。この場合は、印刷は表面層の
裏面(基材層上)に設けられるのが好ましい。
【0050】このようにして得られる本発明に用いられ
る被覆用シートの厚みは、シート構成により異なるが、
被覆用シートのソフトタッチ感、成形性等を考慮する
と、一般的には、表面層は5〜500μm、基材層は2
00〜3000μm、発泡体層は1000〜4000μ
m、接着剤層又はプライマー層は5〜150μmが好ま
しい。なお、基材層が2層以上からなる場合、基材層の
厚みとは、基材層を構成する各々の層の厚みを合計した
厚みをいう。
【0051】〔本発明で得られる被覆用シートを用いた
成形品の製造方法の一例〕 本発明で得られる被覆用シートを用いて成形品を製造す
る場合は、例えば次のように行われる。
【0052】1)被覆用シートを予め表面層が表面とな
るように金型内に導入し、成形品本体となる成形樹脂を
射出成形やスタンピング成形によって成形すると同時に
シートを成形品本体表面に被覆用シートを貼付する。す
なわち、シートの表面層が得られる成形品の表面側を向
くように金型に導入した後、スタンピング成形の時は金
型に成形樹脂を導入した後に金型を閉じ、射出成形の時
は金型を閉じた後、樹脂を導入して成形品が得られる。
【0053】2)被覆用シートを予め空気圧成形により
予備成形し、この予備成形品をソフクタッチ層が得られ
る成形品の表面側を向くように金型内に導入した後、成
形品本体となる成形樹脂を射出成形やスタンピング成形
によって成形すると同時にシートを成形品本体表面に被
覆用シートを貼付する。すなわち、スタンピング成形の
時は金型に成形用樹脂を導入した後に金型を閉じ、射出
成形の時は金型を閉じた後、樹脂を導入して成形品が得
られる。
【0054】3)被覆用シートを空気圧成形により成形
後、樹脂等からなる成形品に貼付し、成形品を得る。
【0055】なお、空気圧成形とは、真空成形、圧空成
形等をさす。また、予備成形は射出成形などの樹脂の成
形を行う金型を用いて行ってもよく、それとは別のシー
ト成形用の金型を用いてもよい。
【0056】上記で使用する成形樹脂については、通常
成形される材料であればどの材料でも使用できる。例え
ば、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン
共重合体)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化
ビニル、ポリスチレン、ポリカーボネート、アクリル樹
脂、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイ
ド、ナイロンや、上記のような熱可塑性エラストマー、
さらに、これらの材料にガラス繊維や無機充填剤を有す
るものなどが挙げられる。
【0057】本発明の成形品の製造方法で得られる成形
品は、製品表面にソフトタッチ感や艶消し感が付与され
ているので、人が触れやすい場所等に好適に用いること
ができる。
【0058】すなわち、例えば、ドアパネル、インスツ
ルメントパネル、ハンドル、ギヤーレバーノブ、ドアノ
ブ、各種スイッチ等の自動車として内装部材、携帯用製
品(電話、カセットテープレコーダー、コンパクトディ
スク、テレビ等)、冷蔵庫、テレビ等の家電製品類のハ
ウジング、スイッチなど、パーソナルコンピュータ,プ
リンタ,キーボード等のオフィスオートメーション製品
類のハウジング、洋式便器の腰掛け部,風呂桶,椅子,
マット,棚等のサニタリー製品や溶室製品、バット,ラ
ケット,クラブなどのグリップ等のスポーツ用品、ケー
ス,容器等の日用品、文具製品のハウジング、その他、
ベンチ、椅子、台、ソファー等に用いることができる。
【0059】
【作用】本発明の被覆用シートは、基材層のうちの少な
くとも1層が、所定樹脂溶出量を有するオレフィン系エ
ラストマーを主成分とし、かかるオレフィン系エラスト
マーはゴム成分の分散性が優れるため、製造する場合の
押出成形性に優れると共に、延伸性にも優れる。
【0060】更に、材層のうち少なくとも1層所定
樹脂溶出量を有するオレフィン系エラストマーを主成分
とし、それ以外の層をオレフィン系エラストマーを主成
分とした場合には、均一延伸性に優れている
【0061】又、本発明の被覆用シートの製造方法は、
上記構成であり、表面層となる熱可塑性エラストマーと
弾性微粒子とを主成分として含有する組成物と、基材層
となる熱可塑性エラストマーとが共押出により積層され
るから、両層の間に空気を巻き込むこともなく、容易に
積層することができる。
【0062】そして、得られたシート状積層体を伸長す
るようにしたため、表面層が表面層1層のみで伸長する
のが困難であるような薄さであっても、表面層が基材層
とともに容易に伸長できる。
【0063】
【実施例】以下に、本発明を、実施例と比較例とを対比
させつつ詳細に説明する。なお、以下において、「部」
とは固形分での重量部を示す。
【0064】(実施例1) 熱可塑性ウレタンエラストマー樹脂(旭硝子(株)製、
PN3429−215、JIS−A硬度85)100部 弾性ビーズ(積水化成品工業(株)製、UB15(ブラ
ック)、架橋されたポリウレタンの弾性ビーズ、平均粒
径24μm)120部 上記熱可塑性エラストマーと弾性ビーズを2軸混練押出
機で押出し、冷却後軟質用カッターでペレット化した。
【0065】なお、押出機での各部の設定温度は次の条
件で行った。スクリュー後部200℃、中間部210
℃、前部210℃、ダイ部205℃ b)基材層−A材料 オレフィン系エラストマー(三井石油化学工業(株)
製、ミラストマー8030N)80部に低密度ポリエチ
レンを20部ペレットブレンドしたもの。 b’)基材層−B材料 オレフィン系エラストマー(ハイモント(株)製、NK
S052P、クロス分別法による0℃での樹脂溶出量が
全オレフィン系エラストマー量の49.5重量%、80
〜100℃での樹脂溶出量が全オレフィン系エラストマ
ー量の20.0重量%、100〜125℃での樹脂溶出
量が全オレフィン系エラストマー量の5.5重量%) c)接着剤層 酸変性されたポリプロピレン(三井石油化学工業(株)
製、アドマーQF551) 上記a),b),b’)、c)4層を共押出した。それ
ぞれの樹脂温度はa)が210℃、b)が210℃、
b’)が210℃、c)が210℃、ダイの温度190
℃であった。用いた装置、その他の条件は後述の比較
1と同様であるが、金型リップの真下約15cmの位置に
おけるシート状積層体4の温度は約160℃であった。
【0066】引き取りロール3によりシート状積層体4
は伸長され、更に後述の比較例1と同様にして発泡ポリ
プロピレンシート(発泡倍率25倍)6をラミネートし
て被覆用シート7を得た。得られた被覆用シート7の表
面層5を電子顕微鏡で確認したところ表面に微細な凹凸
が得られていた。得られた被覆用シート7の表面層,接
着剤層,基材層−A、基材層−B、発泡体層の厚みは、
それぞれ表面層が30μm、接着剤層が10μm、基材
層−Aが100μm、基材層−Bが400μm、発泡体
層が2000μmであっり、リップ断面積/得られたシ
ートの断面積=7であった。
【0067】(比較例1) a)表面層材料 熱可塑性ウレタンエラストマー樹脂(日本ミラクトラン
(株)製、E375MNAT、JIS−A硬度75)1
00部 弾性ビーズ(積水化成品工業(株)製、UB15(ブラ
ック)、架橋されたポリウレタンの弾性ビーズ、平均粒
径24μm)120部 上記熱可塑性エラストマーと弾性ビーズを2軸混練押出
機で押出し、冷却後軟質用カッターでペレット化した。
なお、押出機での各部の設定温度は次の条件で行った。
スクリュー後部140℃、中間部160℃、前部170
℃、ダイ部170℃。
【0068】b)基材層材料 オレフィン系エラストマー(ハイモント(株)製、キャ
タロイNKS052P、クロス分別法による0℃での樹
脂溶出量が全オレフィン系エラストマー量の49.5重
量%、80〜100℃での樹脂溶出量が全オレフィン系
エラストマー量の20.0重量%、100〜125℃で
の樹脂溶出量が全オレフィン系エラストマー量の5.5
重量%)
【0069】c)接着剤層 酸変性されたSEBS(旭化成工業(株)製、タフテッ
クM1943)上記a),b),c)3層を、図1に示
すようにそれぞれプラスチック工学研究所製の50
φ、、40φ、40φの押出機1a,1b,1c及びマ
ルチマニホールドタイプのダイを備えた3層共押出装置
2より下向きに押出した。それぞれの樹脂温度はa)が
180℃、b)が210℃、c)が210℃、ダイの温
度190℃であった。
【0070】空冷されつつ伸長されて金型リップ(幅2
mm,長さ1m)の真下約15cmの位置で温度が約170
℃になったシート状積層体4を、樹脂の吐出速度より高
速回転している温度40℃の冷却引取ロール3で伸長し
ながら引き取る一方、発泡ポリプロピレンシート(発泡
倍率15倍)6を、冷却引取ロール3及びラミネートロ
ール8間に導入・加圧し、積層体4及びシート6を積層
一体化して被覆用シート7を得た。
【0071】得られた積層用シート7の表面層,接着剤
層,基材層,発泡体層の厚みは、それぞれ表面層が50
μm、接着剤層が30μm、基材層が400μm、発泡
体層が3000μmであり、リップ断面積/得られたシ
ートの断面積=5であった。
【0072】(比較例2) a)表面層材料 熱可塑性ウレタンエラストマー樹脂(旭硝子(株)製、
PN3429−215、JIS−A硬度85)100部 弾性ビーズ(積水化成品工業(株)製、UB15(ブラ
ック)、架橋されたポリウレタンの弾性ビーズ、平均粒
径24μm)120部 上記熱可塑性エラストマーと弾性ビーズを2軸混練押出
機で押出し、冷却後軟質用カッターでペレット化した。
なお、押出機での各部の設定温度は次の条件で行った。
スクリュー後部150℃、中間部165℃、前部175
℃、ダイ部175℃。
【0073】b)基材層材料 オレフィン系エラストマー(ハイモント(株)製、NK
S052P、クロス分別法による0℃での樹脂溶出量が
全オレフィン系エラストマー量の49.5重量%、80
〜100℃での樹脂溶出量が全オレフィン系エラストマ
ー量の20.0重量%、100〜125℃での樹脂溶出
量が全オレフィン系エラストマー量の5.5重量%)
【0074】c)接着剤層 酸変性されたポリプロピレン(三井石油化学工業(株)
製、アドマーQF551)
【0075】上記a),b),c)3層を、比較例1と
同様にして下向きに共押出した。それぞれの樹脂温度は
a)が180℃、b)が210℃、c)が210℃、ダ
イの温度190℃であった。また、用いた装置、その他
の条件は比較例1と同様であるが、金型リップの真下約
15cmの位置におけるシート状積層体4の温度は約18
0℃であった。
【0076】引き取りロール3によりシート状積層体4
は伸長され、更に比較例1と同様にして発泡ポリプロピ
レンシート(発泡倍率25倍)6をラミネートして被覆
用シート7を得た。得られた被覆用シート7の表面層5
を電子顕微鏡で確認したところ表面に微細な凹凸が得ら
れていた。
【0077】また、得られた被覆用シート7の表面層,
接着剤層,基材層,発泡体層の厚みは、それぞれ表面層
が30μm、接着剤層が10μm、基材層が500μ
m、発泡体層が2000μmであり、リップ断面積/得
られたシートの断面積=7であった。
【0078】(比較例3) 熱可塑性ウレタンエラストマー樹脂(日本ミラクトラン
(株)製、E375MNAT、JIS−A硬度75)1
00部 弾性ビーズ(大日本インキ(株)製 バーノックCFB
101−40、ポリウレタンの弾性ビーズ、平均粒径8
μm)60部 上記熱可塑性エラストマーと弾性ビーズを2軸混練押出
機で押出し、冷却後軟質用カッターでペレット化した。
なお、押出機での各部の設定温度は次の条件で行った。
スクリュー後部140℃、中間部160℃、前部170
℃、ダイ部170℃。
【0079】b)基材層材料 オレフィン系エラストマー(ハイモント(株)製、NK
S025P、クロス分別法による0℃での樹脂溶出量が
全オレフィン系エラストマー量の39.2重量%、80
〜100℃での樹脂溶出量が全オレフィン系エラストマ
ー量の8.4重量%、100〜125℃での樹脂溶出量
が全オレフィン系エラストマー量の32.3重量%)
【0080】c)接着剤層 酸変性されたSEBS(旭化成工業(株)製、タフテッ
クM1943)
【0081】上記a),b)c)3層を、比較例1と同
様に下向きに共押出した。それぞれの樹脂温度はa)が
180℃、b)が210℃、c)が210℃、ダイの温
度190℃であった。
【0082】得られたシート状積層体をテンター延伸装
置により140℃で2倍に延伸してソフトタッチシート
を得た。得られたソフトタッチシートの表面層を電子顕
微鏡で確認した表面に微細な凹凸ができていた。
【0083】つぎに、上記ソフトタッチシートの基材層
表面を150℃に加熱するとともに、表面を170℃に
加熱した発泡ポリプロピレンシート(発泡倍率25倍)
にラミネートして被覆用シートを得た。
【0084】得られた被覆用シートの表面層,基材層,
接着剤層,発泡体層の厚みは、それぞれ表面層が50μ
m、接着剤層が80μm、基材層が300μm、発泡体
層が2000μmであった。
【0085】(比較例4) 表面層を構成する材料として、熱可塑性ウレタンエラス
トマー樹脂(日本ミラクトラン(株)製、E375MN
AT、JIS−A硬度75)100部を用いた以外は、
比較例2と同様にして被覆用シートを得た。
【0086】得られた被覆用シートのリップ断面積/シ
ートの断面積=10であり、引き取りロールによりエラ
ストマーシートは伸長されたが、電子顕微鏡で確認した
ところシート表面には微細な凹凸が得られていなかっ
た。
【0087】(比較例5) a)表面層材料 熱可塑性ウレタンエラストマー樹脂(旭硝子(株)製、
PN3429−215、JIS−A硬度85)100部 弾性ビーズ(積水化成品工業(株)製、UB15(ブラ
ック)、架橋されたポリウレタンの弾性ビーズ、平均粒
径24μm)120部 上記熱可塑性エラストマーと弾性ビーズを2軸混練押出
機で押出し、冷却後軟質用カッターでペレット化した。
なお、押出機での各部の設定温度は次の条件で行った。
スクリュー後部150℃、中間部165℃、前部175
℃、ダイ部175℃。
【0088】b)基材層材料 オレフィン系エラストマー(ハイモント(株)製 キャ
タロイKT−011P、クロス分別法による0℃での樹
脂溶出量が全オレフィン系エラストマー量の2.5重量
%、80〜100℃での樹脂溶出量が全オレフィン系エ
ラストマー量の67.6重量%、100〜125℃での
樹脂溶出量が全オレフィン系エラストマー量の0重量
%)
【0089】c)接着剤層 酸変性されたポリプロピレン(三井石油化学工業(株)
製、アドマーQF551)
【0090】上記a),b),c)3層を、比較例1と
同様にして下向きに共押出した。それぞれの樹脂温度は
a)が180℃、b)が210℃、c)が210℃、ダ
イの温度190℃であった。また、用いた装置、その他
の条件は比較例1と同様であるが、金型リップの真下約
15cmの位置におけるシート状積層体4の温度は約18
0℃であった。
【0091】引き取りロール3によりシート状積層体4
は伸長され、更に比較例1と同様にして発泡ポリプロピ
レンシート(発泡倍率15倍)6をラミネートして被覆
用シート7を得た。得られた被覆用シート7の表面層5
を電子顕微鏡で確認したところ表面に微細な凹凸が得ら
れていた。
【0092】また、得られた被覆用シート7の表面層,
接着剤層,基材層,発泡体層の厚みは、それぞれ表面層
が30μm、接着剤層が10μm、基材層が500μ
m、発泡体層が2000μmであり、リップ断面積/得
られたシートの断面積=7であった。
【0093】実施例、比較例1〜5で得られた被覆用
シートの延伸性、均一延伸性、光沢を下記に示す方法に
より測定し、その結果を表1に示した。
【0094】(延伸性) JISK6301に従って、120℃での最大伸びを測
定した。
【0095】(均一延伸性) 図11に示すような、真空孔29を有し、底面の内径1
00mm、内部高さが40mmの円柱状の真空成形型2
8を用いて、真空成形を行い、成形された被覆用シート
30を得、(底面部の被覆用シートの厚みA/コーナー
部の被覆用シートの厚みB)を測定し、均一延伸性とし
た。
【0096】(光沢) JIS K7105に従って、60°鏡面光沢を測定し
た。
【0097】
【表1】
【0098】(A)成形品の製造法 (A)−1射出成形 上記実施例、比較例2、3、4で得られた被覆用シー
トを用いて、図2〜5に示す射出成形機で以下に示す方
法にしたがって射出成形を行い成形品を得た。
【0099】この射出成形機は、図2に示すように成形
用の凹部10aと真空に引くための通気口10bを有す
る移動金型10と、凸部12aを有する固定金型12
と、両金型10、12間に配設されており、両金型1
0、12間から外側へ移動可能な、真空及び圧空のため
の孔を有する熱盤14と樹脂射出機15とを具備してい
る。
【0100】そして、まず、図3に示すように上記移動
金型10と熱盤14との間に被覆用シート13を配設し
て該シート13を熱盤14で吸引しながら加熱し、該シ
ート13を真空および/または圧空成形し、図4に示す
ように金型10の凹部10a内面に密着させた。次に、
熱盤14を両金型10、12間から外側へ移動し、その
後図4に示すように、移動金型10を固定金型12側へ
移動させて金型を閉合した。ついで、樹脂射出機15か
ら成形樹脂を両金型10、12にて成形されるキャビテ
ィ内へノズル先端温度230℃で射出した。用いた樹脂
はポリプロピレン(三菱油化株式会社製、BC3)であ
る。成形後成形品を金型より取り出して射出成形品を得
た。各実施例または比較例のシートの成形温度、得られ
た成形品の外観、ソフトタッチ感を表2に示す。
【0101】
【表2】
【0102】ソフトタッチ感評価 1点・・・・ソフトタッチでない 2点・・・・ややソフトタッチでない 3点・・・・ソフトタッチである 10人が評価し、合計が25点以上を良好、15点以下
を不良とした。
【0103】外観評価 良好・・・・成形品コーナー部において成形樹脂が被覆
用シートを通し見えなかったもの 不良・・・・成形品コーナー部において成形樹脂が被覆
用シートを通して見えたもの
【0104】(A)−2スタンピング成形 比較例1、比較例5で得られた被覆用シートを用い、図
6〜図9に示すスタンピング成形装置によって下記方法
にしたがってスタンピング成形を行った。 この成形機
は、図6に示すように上型20、下型21および樹脂射
出機22を有する。上型20の下面には凸部20aが設
けられ、下型21の上面には上記凸部20aに対応する
位置に凹部21aが設けられている。また、下型21の
中央部には樹脂注入路21bが形成され、この樹脂注入
路21bに樹脂射出機22のノズル22aが隣接されて
いる。
【0105】そして、まず、図7に示すように、所定温
度に加熱された上型20と下型21との間に被覆用シー
ト23を導入して下型21の周縁部位にシート23の周
囲を固定ピン24で固定した。ついで、図8に示すよう
に樹脂射出機22のノズル22aから成形樹脂25を下
型21内にノズル先端温度230℃で射出した。成形樹
脂25としてはポリプロピレン(住友化学工業(株)
製、AZ564)を用いた。次に、図9に示すように上
型20を所定圧力で閉じることによりシート23を賦形
すると共に樹脂25をスタンピング成形をし、図10に
示す形状の成形品27を得た。図9、10中L1 は20
0mm、L2 は300mm、L3 は30mm、L4 は150m
m、L5 は280mm、L6 は60mm、L7 は500mmで
ある。各比較例のシートの予備加熱温度、得られた成形
品の外観、ソフトタッチ感を表3に示す。
【0106】
【表3】
【0107】ソフトタッチ感評価 1点・・・・ソフトタッチでない 2点・・・・ややソフトタッチでない 3点・・・・ソフトタッチである 10人が評価し、合計が25点以上を良好、15点以下
を不良とした。
【0108】外観評価 良好・・・・成形品コーナー部において成形樹脂が被覆
用シートを通し見えなかったもの 不良・・・・成形品コーナー部において成形樹脂が被覆
用シートを通して見えたもの
【0109】
【発明の効果】本発明の被覆用シートは、2層以上の基
材層のうち少なくとも1層を、所定樹脂溶出量を有する
オレフィン系エラストマーとしているので、得られる被
覆用シートは、延伸性に優れたものとなる。
【0110】本発明にかかる成形品の製造方法は、以上
のように構成されているので、成形品表面を被覆するだ
けで、触ったときのソフトタッチ感及び触外観上の艶消
し感を成形品に付与することができる被覆用シートを容
易に得ることができる。
【0111】そして、本発明の被覆用シートを用いる
と、射出成形やスタンピング成形等の成形方法によっ
て、ソフトタッチ(スエード)の感触を有する成形品を
簡単に、かつ、安価に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる被覆用シートの製造方法を実施
する装置の1例をあらわす説明図である。
【図2】実施例および比較例1〜5で得た被覆用シー
トを用いて成形品を製造する場合に使用した射出成形機
の説明図である。
【図3】図2の射出成形機で被覆用シートを予備成形す
る前の状態を説明する説明図である。
【図4】図2の射出成形機で被覆用シートを予備成形し
た状態を説明する説明図である。
【図5】成形品本体となる成形樹脂を射出成形する状態
を説明する説明図である。
【図6】実施例および比較例1〜5で得た被覆用シー
トを用いて成形品を製造する場合に使用したスタンピン
グ成形装置の説明図である。
【図7】図6のスタンピング成形装置の下型に被覆用シ
ートをセットした状態を説明する説明図である。
【図8】図7の被覆用シートをセットしたスタンピング
成形装置の下型内に成形品本体となる成形樹脂を注入し
た状態を説明する説明図である。
【図9】図8の成形樹脂を注入した下型に上型を閉合し
てスタンピング成形した状態を説明する説明図である。
【図10】スタンピング成形よって得た成形品の断面図
である。
【図11】実施例、比較例1〜5で得られた被覆用シ
ートの均一延伸性を測定する際に用いた真空成形用金型
の横断面模式図である。
【図12】真空成形用金型を用いて成形した後の被覆用
シートの断面模式図である。
【符号の説明】
4 シート状積層体 5 表面層 6 発泡ポリプロピレンシート(発泡体層) 7 被覆用シート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−190986(JP,A) 特開 平6−218886(JP,A) 特開 平3−205439(JP,A) 特開 平2−170803(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性エラストマーおよび弾性微粒子
    を主成分とする表面層、熱可塑性エラストマーを主成分
    とすると共に2層以上からなる基材層及び発泡体層が順
    次積層されてなる被覆用シートであって、前記基材層を
    構成する少なくとも1層が、クロス分別法による0℃で
    の樹脂溶出量が全オレフィン系エラストマー量の25〜
    75重量%、80〜100℃での樹脂溶出量が全オレフ
    ィン系エラストマー量の1〜45重量%、100〜12
    5℃での樹脂溶出量が全オレフィン系エラストマー量の
    1〜40重量%の範囲内にあるオレフィン系エラストマ
    ーを主成分とする組成物からなることを特徴とする被覆
    用シート。
  2. 【請求項2】 基材層がオレフィン系エラストマーを主
    成分とすることを特徴とする請求項1に記載の被覆用シ
    ート
  3. 【請求項3】 熱可塑性エラストマーおよび弾性微粒子
    を主成分とする表面層を構成する組成物と、熱可塑性
    ラストマーを主成分とすると共に2層以上からなる基材
    層を構成する組成物とを共押出して得られた、シート状
    積層体を伸長した後、基材層側に発泡体層を積層する被
    覆用シートの製造方法であって、基材層を構成する少な
    くとも1層が、クロス分別法による0℃での樹脂溶出量
    が全オレフィン系エラストマー量の25〜75重量%、
    80〜100℃での樹脂溶出量が全オレフィン系エラス
    トマー量の1〜45重量%、100〜125℃での樹脂
    溶出量が全オレフィン系エラストマー量の1〜40重量
    %の範囲内にあるオレフィン系エラストマーを主成分と
    する組成物からなることを特徴とする被覆用シートの製
    造方法。
  4. 【請求項4】 基材層がオレフィン系エラストマーを主
    成分とすることを特徴とする請求項3に記載の被覆用シ
    ートの製造方法
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