JPH073156A - ポリイミド樹脂組成物 - Google Patents

ポリイミド樹脂組成物

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JPH073156A
JPH073156A JP14736893A JP14736893A JPH073156A JP H073156 A JPH073156 A JP H073156A JP 14736893 A JP14736893 A JP 14736893A JP 14736893 A JP14736893 A JP 14736893A JP H073156 A JPH073156 A JP H073156A
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polyimide resin
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JP14736893A
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Hiroaki Tomimoto
裕昭 富本
Tomohito Koba
友人 木場
Toshiaki Takahashi
敏明 高橋
Atsushi Morita
淳 森田
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】ポリイミド樹脂60〜99重量部に対して、メ
ルトフローインデックス(400℃,10kg)の値が
3.0g/10min以下であるフッ素樹脂40〜1重
量部を含有してなることを特徴とするポリイミド系樹脂
組成物。 【効果】ポリイミド系樹脂が本来有する優れた特性を損
なうことなく、優れた摺動特性、ポリイミドと同レベル
の弾性率を有し、かつ成形品の剥離が生じないポリイミ
ド系樹脂組成物を得ることにある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は優れた摺動特性、機械特
性を有し、かつ成形品の剥離が生じないポリイミド樹脂
組成物である。
【0002】
【従来の技術】従来から、ポリイミド樹脂は機械的、化
学的、熱的性質及び耐摩耗性に優れたエンジニアリング
プラスチックとして良く知られている。特に、ポリイミ
ド樹脂はフッ素樹脂を添加することにより、その摺動特
性が著しく改善されることが良く知られている。しかし
ながら、フッ素樹脂を含有するポリイミド樹脂組成物を
成形体にした場合、例えば特開昭63−8455号公報
等では、しばしば成形品の表面より層状剥離が生じると
いう問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本願の課題は、ポリイ
ミド樹脂にフッ素樹脂を用いることにより、優れた摩擦
・摩耗特性を維持し、かつ成形品の表面より層状剥離の
ない組成物を開発することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記の課題
を達成するため、ポリイミド樹脂とフッ素樹脂の流動性
を鋭意検討し、特定の流動性を有するポリイミド樹脂及
び特定の流動性を有するフッ素樹脂を特定量配合するこ
とにより、剥離が起きず、かつポリイミド樹脂と同じレ
ベルのポリイミド樹脂組成物を得られることを見出し、
本発明を完成した。すなわち、本発明は、メルトフロー
インデックスの400℃、1.06kgでの値が20.
0g/10min以下であるポリイミド樹脂60〜99
重量部に対して、メルトフローインデックスの400
℃,10kgでの値が3.0g/10min以下である
フッ素樹脂40〜1重量部を含有してなることを特徴と
するポリイミド樹脂組成物である。
【0005】本発明に用いられるポリイミド樹脂は、メ
ルトフローインデックスの400℃,1.06kgの値
が、20.0g/10min以下のものである。通常の
ポリイミド樹脂のメルトフローインデックスの400
℃,1.06kgのときの値は、40.0g/10mi
n以下のものであり、それに対し、本発明では、20.
0g/10min以下のポリイミド樹脂を用いることに
特徴がある。すなわち、本発明は、メルトフローインデ
ックスの400℃、1.06kgでの値が20.0g/
10min以下である式(1)〔化2〕で表される繰り
返し単位を有するポリイミド樹脂および/またはそのポ
リマー分子の末端が本質的に置換基を有しないかあるい
はアミンまたはジカルボン酸無水物と反応しない基で置
換された芳香族環であるポリイミド樹脂60〜99重量
部に、メルトフローインデックスの400℃,10kg
での値が3.0g/10min以下であるフッ素樹脂4
0〜1重量部を含有してなるポリイミド樹脂組成物であ
る。
【0006】
【化2】 (式中、Xは直結、イオウ、炭素数1〜10の二価の炭
化水素基、六フッ素化されたイソプロピリデン基、カル
ボニル基、チオ基、スルホニル基、エーテル基から成る
群より選ばれた基を表わし、Y1 、Y2 、Y3 およびY
4 はそれぞれ水素、炭素数1〜10の低級アルキル基、
炭素数1〜10の低級アルコキシ基、塩素または臭素か
ら成る群より選ばれた基を表わし、またR1 は炭素数4
〜9の脂肪族基、炭素数4〜10の単環式脂肪族基、単
環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳香族基が直接又
は架橋員より相互に連結された非縮合多環式芳香族基か
ら成る群より選ばれた4価の基を表わす。) 本発明における一般式(1)で表わされる繰り返し構造
単位を有するポリイミド樹脂の式中のR1 はより具体的
には、次の(a)〜(e)からなる群より選ばれた少な
くとも1種である。すなわち、 (a) 炭素数4〜9の脂肪族基 (b) 炭素数4〜10の環式脂肪族基 (c) 次式〔化3〕で表される単環式芳香族基
【0007】
【化3】 (d) 次式〔化4〕で表される縮合多環式芳香族基
【0008】
【化4】 (e)次式〔化5〕で表わされる芳香族基が直接又は架
橋員より相互に連結された非縮合多環式芳香族基
【0009】
【化5】 である。
【0010】本発明に用いられるポリイミド系樹脂組成
物における式(1)で表わされる繰り返し単位を基本骨
格として有するポリイミド樹脂の原料として用いるジア
ミン成分は、式(2)〔化6〕
【0011】
【化6】 (式中、Xは前記に同じ)に示すエーテルジアミンと式
(2)〔化7〕
【0012】
【化7】 (式中、R1 は前記に同じ)に示す1種以上のテトラカ
ルボン酸二無水物とを有機溶媒の存在下または不存在下
において反応させ、得られたポリアミド酸を化学的にま
たは熱的にイミド化して製造することができる。反応温
度は通常250℃以下であり、反応圧力は特に限定され
ず、常圧で充分実施できる。また反応時間は使用するテ
トラカルボン酸二無水物、溶剤の種類、反応温度により
異なり、通常中間生成物であるポリアミド酸の生成が完
了するのに充分な時間反応させる。反応時間は24時
間、場合によっては1時間以内で充分である。
【0013】このような反応により式(1)の繰り返し
単位に対応するポリアミド酸が得られ、ついでこのポリ
アミド酸を100〜400℃に加熱脱水するか、または
通常用いられるイミド化剤を用いて化学イミド化するこ
とにより式(1)の繰り返し構造単位を有するポリイミ
ドが得られる。また、ポリアミド酸の生成と熱イミド化
反応を同時に行ってポリイミドを得ることもできる。
【0014】この方法て使用される式(2)のエーテル
ジアミンとしては、式(2)中のXが脂肪属基であるも
のとして、〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕
メタン、1,1−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)
フェニル〕エタン、1,2−ビス〔4−(3−アミノフ
ェノキシ)フェニル〕エタン、2,2−ビス〔4−(3
−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2−〔4−
(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−2−〔4−(3
−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル〕プロパ
ン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)−3
−メチルフェニル〕プロパン、2−〔4−(3−アミノ
フェノキシ)フェニル〕−2−〔4−(3−アミノフェ
ノキシ)−3,5−ジメチルフェニル〕プロパン、2,
2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)−3,5−ジ
メチルフェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(3−
アミノフェノキシ)フェニル〕ブタン、2,2−ビス
〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,
1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、
【0015】式中のXが直接結合のものとして、4,
4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,
4’−ビス(3−アミノフェノキシ)−3−メチルビフ
ェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)−
3,3’−ジメチルビフェニル、4,4’−ビス(3−
アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルビフェニル、
4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,3’,
5,5’−テトラメチルビフェニル、4,4’−ビス
(3−アミノフェノキシ)−3,3’−ジクロロビフェ
ニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,
5−ジクロロビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノ
フェノキシ)−3,3’,5,5’−テトラクロロビフ
ェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)−
3,3’−ジブロモビフェニル、4,4’−ビス(3−
アミノフェノキシ)−3,5−ジブロモビフェニル、
4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,3’,
5,5’−テトラブロモビフェニル、
【0016】式中のXが−CO−基のものとして、ビス
〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビ
ス〔4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}
フェニル〕ケトン、式中のXが−S−基のものとして、
ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフ
ィド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)−3−メト
キシフェニル〕スルフィド、〔4−(3−アミノフェノ
キシ)フェニル〕〔4−(3−アミノフェノキシ)3,
5−ジメトキシフェニル〕スルフィド、ビス〔4−(3
−アミノフェノキシ)−3,5−ジメトキシフェニル〕
スルフィド、
【0017】式中のXが−SO2 −基のものとして、ビ
ス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホ
ン、ビス〔4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノ
キシ}フェニル〕スルホン、式中のXが−O−基のもの
として、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニ
ル〕エーテル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フ
ェニル〕エーテル、
【0018】式中のXがその他のものとして、1,4−
ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ〕ベン
ゼン、1,4−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フ
ェノキシ〕ベンゼン、1,4−ビス〔4−(3−アミノ
フェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4
−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、ビ
ス〔4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}
フェニル〕スルホンなどが挙げられ、これらは単独ある
いは2種以上混合して用いられる。
【0019】また、上記熱可塑性ポリイミド樹脂の溶融
流動性を損なわない範囲で他のジアミンを混合して用い
ることもできる。混合して用いることのできるジアミン
としてはm−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジ
ルアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、
3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジ
アミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェ
ニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフ
ィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,
3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミ
ノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニル
スルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,
4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベ
ンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)
ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベン
ゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼ
ン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、
2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニ
ル〕プロパン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキ
シ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキ
シ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−アミノフェノキシ)
フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(4−アミノフェノ
キシ)フェニル〕スルホン等が挙げられ、これらのジア
ミンは通常30重量%以下、好ましくは5重量%以下混
合して用いられる。
【0020】また、式(1)で表されるポリイミドを製
造するのに用いられる一方の原料であるテトラカルボン
酸二無水物の具体例としては、式(3)において、式中
のR1 が脂肪族基であるエチレンテトラカルボン酸二無
水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、式中のR1
環式脂肪族基であるものとしてはシクロペンタンテトラ
カルボン酸二無水物、式中のR1 が単環式脂肪族基であ
るものとしてはピロメリット酸二無水物、1,2,3,
4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、式中のR1 が
次式〔化8〕で表され、
【0021】
【化8】 同式中のX1 が−CO−基である3,3’,4,4’−
ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,
3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、
同式中のX1 が直接結合である3,3’,4,4’−ビ
フェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,
3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、同式中の
1 が脂肪族基である2,2−ビス(3,4−ジカルボ
キシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,
3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1
−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水
物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無
水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二
無水物、同式中のX1 が−O−基であるビス(3,4−
ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、同式中のX
1 が−SO2 −基であるビス(3,4−ジカルボキシフ
ェニル)スルホン二無水物、また、式(3)中のR1
縮合多環式芳香族基である2,3,6,7−ナフタレン
テトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレ
ンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタ
レンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペ
リレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ア
ントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8
−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、同式中の
1 がその他のものとして、ビス(3,4ジカルボキ
シ)(p−フェニレンジオキシ)二無水物などであり、
これらテトラカルボン酸二無水物は単独または2種以上
混合して用いられる。
【0022】また、本発明に用いられる式(1)で表さ
れる繰り返し構造単位を有し、かつ、そのポリマー分子
の末端に置換基を有しない基で置換された芳香族環を有
するポリイミドは、前記式(2)の芳香族アミンと、主
として前記一般式(3)で表されるテトラカルボン酸二
無水物を、式(4)〔化9〕
【0023】
【化9】 〔式中、Z1は炭素数が6〜15の脂肪族基、環式脂肪
族基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳香族基
が直接または架橋員により相互に連結された非縮合多環
式芳香族基からなる群から選ばれた2価の基を示す〕で
表される芳香族ジカルボン酸無水物または、式(6) Z2−NH2 (6) 〔式中、Z2は炭素数6〜15の脂肪族基、環式脂肪族
基、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳香族基が
直接または架橋員により相互に連結された非縮合多環式
芳香族基からなる群から選ばれた1価の基を示す〕で表
される芳香族モノアミンの存在下に反応させ、得られる
ポリアミド酸を熱的または化学的にイミド化することに
より得られる。
【0024】ここで、式(4)、式(5)中のZ1およ
びZ2は前記式(1)で表されるポリイミド式中のRと
同じ定義の物が含まれ、具体的にはこれらの方法で使用
されるカルボン酸無水物として、無水フタル酸、2,3
−ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、3,4−ベンゾ
フェノンジカルボン酸無水物、2,3−ジカルボキシフ
ェニルフェニルエーテル無水物、3,4−ジカルボキシ
フェニルフェニルエーテル無水物、2,3−ビフェニル
ジカルボン酸無水物、3,4−ビフェニルジカルボン酸
無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルスルホ
ン無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルスル
ホン無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルス
ルフィド無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニ
ルスルフィド無水物、1,2−ナフタレンジカルボン酸
無水物、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,
8−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,2−アントラ
センジカルボン酸無水物、2,3−アントラセンジカル
ボン酸無水物、1,9−アントラセンジカルボン酸無水
物等が挙げられる。これらのジカルボン酸無水物はアミ
ンまたはジカルボン酸無水物と反応を有しない基で置換
されても差し支えない。
【0025】これらのジカルボン酸無水物の中で、無水
フタル酸が得られるポリイミドの性質面及び実用面から
最も好ましい。すなわち、高温成形時における成形安定
性の優れたポリイミドであり、優れた耐薬品性を有して
おり、前記の優れた加工性を考え合わせると、例えば、
宇宙航空機用基材、電気・電子部品として、極めて有用
なポリイミドである。
【0026】また、無水フタル酸を使用する場合、ポリ
イミドの良好な物性を損なわない範囲でその一部を他の
カルボン酸無水物で代替して用いることはなんら差し支
えない。用いられるジカルボン酸無水物の量は、式
(3)で表される芳香族ジアミン1モル当り0.001
〜1.0モル比である。0.001モル未満では高温成
形時に粘度の上昇がみられ、成形加工性低下の原因とな
る。また、1.0モルを越えると機械的特性が低下す
る。好ましい使用量は0.0.〜0.5モルである。
【0027】また、芳香族モノアミンを使用する場合、
芳香族モノアミンとしては、例えばアニリン、o−トル
イジン、m−トルイジン、p−トルイジン、2,3−キ
シリジン、2,6−キシリジン、3,4−キシリジン、
3,5−キシリジン、o−クロロアニリン、m−クロロ
アニリン、p−クロロアニリン、o−ブロモアニリン、
m−ブロモアニリン、p−ブロモアニリン、o−ニトロ
アニリン、m−ニトロアニリン、p−ニトロアニリン、
o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−ア
ミノフェノール、o−アニシジン、m−アニシジン、p
−アニシジン、o−フェネジン、m−フェネジン、p−
フェネジン、o−アミノベンズアルデヒド、m−アミノ
ベンズアルデヒド、p−アミノベンズアルデヒド、o−
アミノベンゾニトリル、m−アミノベンゾニトリル、p
−アミノベンゾニトリル、2−アミノビフェニル、3−
アミノビフェニル、4−アミノビフェニル、2−アミノ
フェニルフェニルエーテル、3−アミノフェニルフェニ
ルエーテル、4−アミノフェニルフェニルエーテル、2
−アミノベンゾフェノン、3−アミノベンゾフェノン、
4−アミノベンゾフェノン、2−アミノフェニルフェニ
ルスルフィド、3−アミノフェニルフェニルスルフィ
ド、4−アミノフェニルフェニルスルフィド、2−アミ
ノフェニルフェニルスルホン、3−アミノフェニルフェ
ニルスルホン、4−アミノフェニルフェニルスルホン、
α−ナフチルアミン、β−ナフチルアミン、1−アミノ
−2−ナフトール、2−アミノ−1−ナフトール、4−
アミノ−1−ナフトール、5−アミノ−1−ナフトー
ル、5−アミノ−2−ナフトール、7−アミノ−2−ナ
フトール、8−アミノ−1−ナフトール、8−アミノ−
2−ナフトール、1−アミノアントラセン、2−アミノ
アントラセン、9−アミノアントラセン等が挙げられ
る。これらの芳香族モノアミンは、アミンまたはジカル
ボン酸無水物と反応性を有しない基で置換されても差し
支えない。
【0028】用いられる芳香族モノアミンの量は、一般
式(3)で表されるテトラカルボン酸二無水物1モル当
り、0.001〜1.0モル比である。0.001モル
未満では、高温成形時に粘度の上昇がみられ成形加工性
低下の原因となる。また、1.0モル比を越えると機械
的特性が低下する。好ましい使用量は、0.01〜0.
5モルの割合である。
【0029】このように、本発明のポリイミドの末端が
置換基を有しないか、または置換芳香環であるポリイミ
ドを製造する場合、テトラカルボン酸二無水、芳香族ジ
アミン、およびジカルボン酸無水物または芳香族モノア
ミンのモル比は、テトラカルボン酸二無水物1モル当
り、芳香族ジアミンは0.9〜1.0モル、ジカルボン
酸無水物または芳香族モノアミンは0.001〜1.0
モルである。
【0030】式(1)で表わされる繰り返し単位を有す
るポリイミド樹脂の対数粘度は通常0.35〜0.75
dl/g、好ましくは0.40〜0.60dl/gの範
囲のものである。この対数粘度が上記の範囲を越えて
0.35以下であると機械物性、耐久性が不十分とな
り、また0.75以上であると成形性悪化し射出成形困
難となる。この対数粘度はパラクロロフェノール/フェ
ノール(90/10重量比)の混合溶媒中、濃度0.5
g/100mlの溶媒で加熱溶解した後、35℃に冷却
して測定される。
【0031】尚、本発明に用いられるポリイミド樹脂組
成物には、必要に応じガラス繊維、炭素繊維、光学繊
維、セラミック繊維、チタン酸カリウム繊維、金属繊
維、ボロン繊維、炭化ケイ素繊維、アスベスト、ロック
ウール等の繊維状強化材、炭酸カルシウム、マイカ、ガ
ラスビーズ、グラファイト、二硫化モリブデン、クレ
ー、シリカ、アルミナ、タルク、ケイソウ土、水和アル
ミナ、シラスバルーン等の充填剤、滑剤、離型剤、安定
剤、着色剤、結晶核剤の他、他の熱可塑性樹脂(例え
ば、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミ
ド、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルケトン、ポリ
エーテルエーテルケトン等)、熱硬化性樹脂(例えば、
エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミドイミド樹脂
等)を併用してもよい。
【0032】本発明のポリイミド樹脂組成物に用いるフ
ッ素樹脂はメルトフローインデックスの400℃,10
kgでの値が、3.0g/10min以下のものである
ことが必須である。それに対し、一般に用いられるフッ
素樹脂はメルトフローインデックスの400℃,10k
gでの値は、3.0〜数十g/10minの範囲のもの
であり、本発明のポリイミド樹脂組成物に用いるメルト
フローインデックスの400℃,10kgでの値が3.
0g/10min以下のものであるフッ素樹脂は下記で
表される構造を有するものが特に好ましい。 (a)分子内に、−(CF2 CF2 )−で表わされる繰
り返し構造単位を有する四フッ化エチレン樹脂、(b)
分子内に、−(CF2 CF2 )− および−〔CF(C
3) CF2 〕−で表わされる繰り返し構造単位を有す
る四フッ化エチレン樹脂−六フッ化プロピレン共重合樹
脂、(c)分子内に、−(CF2 CF2 )− および−
〔CF(OCm 2m+1)CF2 〕(式中、mは正の整
数)で表される繰り返し構造単位を有する四フッ化エチ
レン−パーフロロアルキルビニルエーテル共重合樹脂、
(d)分子内に、−(CF2 CF2 )− および−(C
2CH2 )−で表される繰り返し構造単位を有する四
フッ化エチレン−エチレン共重合樹脂、(e)分子内
に、−(CH2 CH2 )− および−(CFClC
2 )−で表される繰り返し構造単位を有する三フッ化
塩化エチレン−エチレン共重合樹脂、(f)分子内に、
−(CF2 CH2 )−で表わされる繰り返し構造単位を
有するフッ化ビニリデン樹脂、である。
【0033】本発明のポリイミド樹脂組成物において、
ポリイミド樹脂の配合量は、ポリイミド60〜99重量
部に対し、フッ素樹脂40〜1重量部である。フッ素樹
脂の配合量が40重量%を越えると弾性率が低下し、ポ
リイミド系樹脂の弾性率と比べてかなり小さくなる。ま
た、フッ素樹脂の配合量が1重量%未満であると、ポリ
イミド樹脂組成物の摺動特性が著しく低下する。
【0034】さらに、本発明のポリイミド樹脂組成物に
おいて、ポリイミド樹脂のメルトインデックスの400
℃,1.06kgでの値が20.0g/10minより
大きいと、ポリイミド樹脂組成物の機械強度が著しく低
下する。即ち、ポリイミド樹脂のメルトインデックスの
値が大きいことは、ポリイミド樹脂の分子量が小さいこ
とを意味しており、その場合には、機械強度が低下す
る。また、ポリイミド樹脂のメルトインデックスの40
0℃,1.06kgでの値が2.0g/10minより
小さいと、剥離が生じやすくなる。
【0035】本発明のポリイミド樹脂組成物において、
フッ素樹脂のメルトインデックスの400℃,10.0
kgでの値が、3.0g/10minを超えると、本樹
脂組成物成形品での剥離現象が起こり好ましくない。本
樹脂組成物は、ポリイミド樹脂とフッ素樹脂の溶融粘度
のコントロールにより、分散するフッ素樹脂の形態を制
御し、成形品近傍でのフッ素樹脂の引き延ばされること
を防ぎ、その結果剥離を抑えるものである。
【0036】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例により詳
細に説明する。なお、実施例および比較例で用いたポリ
イミド樹脂及びフッ素樹脂は次の通りである。 (1)ポリイミド樹脂 ポリイミド樹脂として、メルトフローインデックスの4
00℃での1.06kgでの値が、1.2〜48.0g
/10minのポリイミド樹脂(三井東圧化学社製商品
名”AURUM”)を用いた。 (2)フッ素樹脂 フッ素樹脂として、メルトフローインデックスの400
℃,10kgでの値が12.0g/10min以下の四
フッ化エチレン樹脂PTFEを用いた。
【0037】実施例1〜6,比較例1〜5 ポリイミド樹脂とフッ素樹脂を第1表に示すような割合
で乾式混合した後、二軸押出機を用いて380〜400
℃で押出して造粒し、得られたペレットを射出成形機
(シリンダー温度380〜410℃、射出圧力800k
g/cm2 、金型温度180℃)に供給し、後述する各
試験法に定められた試験片を成形した。メルトフローイ
ンデックスの測定には、上記ペレットを用いた。なお、
各試験方法は次の通りである。
【0038】1)摩擦係数 スラスト型摩擦摩耗試験機を用い、摺動荷重10kg/c
m2、滑り速度毎分10m,相手材ステンレススチール4
5C,無潤滑、運転時間1時間後の動摩擦係数を求め
る。 2)引張強度 ASTM D−638による。 3)曲げ強度 ASTM D−790による。 4)剥離強度 図1に示す形状の剥離強度測定用の、成形品(板)を上
記ペレットを用いて成形し(シリンダー温度380℃〜
400℃、射出圧力900kg/cm2、金型温度180
℃)、剥離強度を測定した。図1に示すように、AA’
部,B1 B2 部,B3 B4 部にナイフにてすじを付け、
B1 B3 部より10mm表層をめくる。その後、めくっ
た表層部を固定されたチャックにてはさみ、表層部と板
が垂直になるように保持しながら、板を毎分2mmの速
さにてD方向に移動させる。チャック部には応力検出器
が装備されており、30mm移動後の応力即ちB1 B3
部 より40mmのところでの応力を剥離強度とした。
この剥離強度の値は、1kg未満のときには、実用的に
使われる、ワッシャー、リング、分離爪等の部品におい
て、ゲート近傍の剥離が観察される。 5)メルトフローインデックス JIS K 7210に準じた。但し、温度と荷重につ
いては、ポリイミド樹脂については、400℃、1.0
6kgにて、フッ素樹脂については、400℃、10k
gにて行なった。
【0039】実施例と比較例より、本樹脂組成物は優れ
た摺動特性、機械特性を有し(弾性率はポリイミド系樹
脂と同じレベル)、かつ成形品の剥離が生じないポリイ
ミド樹脂組成物であることが容易にわかる。従って、本
樹脂組成物のシート状、フィルム状、棒状、繊維状、リ
ング状その他の成形品は、電気・電子機器、航空、宇宙
機器、自動車機器、事務用機器、一般産業機器その他各
種機器の摺動部品に広く利用することができるので、こ
の発明の意義は極めて大きい。
【0040】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】剥離測定用の成形品の平面図である。
【図2】図1の剥離測定用成形品の側面図である。
【符号の説明】
1.AA’は剥離強度測定時のナイフにてスジを入れら
れた箇所である。 2.B1 B2 は剥離強度測定時のナイフにてスジを入れ
られた箇所である。 3.B3 B4 は剥離強度測定時のナイフにてスジを入れ
られた箇所である。 4.D方向は、成形品を動かす方向である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森田 淳 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メルトフローインデックスの400℃、
    1.06kgでの値が20.0g/10min以下であ
    る式(1)〔化1〕で表される繰り返し単位を有するポ
    リイミド樹脂および/またはそのポリマー分子の末端が
    本質的に置換基を有しないかあるいはアミンまたはジカ
    ルボン酸無水物と反応しない基で置換された芳香族環で
    あるポリイミド樹脂60〜99重量部に対して、メルト
    フローインデックスの400℃,10kgでの値が3.
    0g/10min以下であるフッ素樹脂40〜1重量部
    を含有してなるポリイミド樹脂組成物。 【化1】 (式中、Xは直結、イオウ、炭素数1〜10の二価の炭
    化水素基、六フッ素化されたイソプロピリデン基、カル
    ボニル基、チオ基、スルホニル基、エーテル基から成る
    群より選ばれた基を表わし、Y1 、Y2 、Y3 およびY
    4 はそれぞれ水素、炭素数1〜10の低級アルキル基、
    炭素数1〜10の低級アルコキシ基、塩素または臭素か
    ら成る群より選ばれた基を表わし、またR1 は炭素数4
    〜9の脂肪族基、炭素数4〜10の単環式脂肪族基、単
    環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、芳香族基が直接又
    は架橋員より相互に連結された非縮合多環式芳香族基か
    ら成る群より選ばれた4価の基を表わす。)
  2. 【請求項2】メルトフローインデックスの400℃,1
    0kgでの値が3.0g/10min以下であるフッ素
    樹脂が、次の(a)〜(f)からなる群より選ばれた少
    なくとも1種である請求項1記載のポリイミド樹脂組成
    物。 (a)分子内に、−(CF2 CF2 )−で表わされる繰
    り返し構造単位を有する四フッ化エチレン樹脂。 (b)分子内に、 −(CF2 CF2 )− および−〔CF(CF3) CF
    2 〕−で表わされる繰り返し構造単位を有する四フッ化
    エチレン樹脂−六フッ化プロピレン共重合樹脂。 (c)分子内に、 −(CF2 CF2 )− および−〔CF(OCm 2m+
    1)CF2 〕(式中、mは正の整数)で表される繰り返
    し構造単位を有する四フッ化エチレン−パーフロロアル
    キルビニルエーテル共重合樹脂。 (d)分子内に、 −(CF2 CF2 )− および−(CH2 CH2 )−で
    表される繰り返し構造単位を有する四フッ化エチレン−
    エチレン共重合樹脂。 (e)分子内に、 −(CH2 CH2 )− および−(CFClCF2) −
    で表される繰り返し構造単位を有する三フッ化塩化エチ
    レン−エチレン共重合樹脂。 (f)分子内に、−(CF2 CH2 )−で表わされる繰
    り返し構造単位を有するフッ化ビニリデン樹脂。
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