JPH0711483A - 湿潤下での経時塗料密着性に優れたスズめっき鋼板の製造法 - Google Patents

湿潤下での経時塗料密着性に優れたスズめっき鋼板の製造法

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JPH0711483A JP17979693A JP17979693A JPH0711483A JP H0711483 A JPH0711483 A JP H0711483A JP 17979693 A JP17979693 A JP 17979693A JP 17979693 A JP17979693 A JP 17979693A JP H0711483 A JPH0711483 A JP H0711483A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 常温における塗料密着性および高温での耐レ
トルト性、さらには湿潤下での経時塗料密着性に優れた
スズめっき鋼板の製造法を提供する。 【構成】 前処理工程,スズめっき工程,リフロー工
程,アルカリ性の炭酸塩を含む水溶液での清浄化処理工
程,硫酸またはフッ化物を含むクロム酸浴での後処理工
程を順次行うスズめっき鋼板の製造法において、前記後
処理工程後に、さらに80℃以上で0.3秒〜10秒
間、スズめっき鋼板を洗浄する洗浄工程を付加してな
る、潤下での経時塗料密着性に優れたスズめっき鋼板の
製造法。 【効果】 スズめっき後の清浄化陰極処理,電解クロム
酸処理および温水中での洗浄処理の相乗効果により、従
来のスズめっき鋼板では得られなかった有機接着剤によ
る缶胴接合法の製缶に適したスズめっき鋼板を得ること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、湿潤下での経時塗料密
着性に優れたスズめっき鋼板の製造法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術および問題点】ティンフリー・スチール
(以下TFS)の出現と相まって、ナイロン系の有機接
着剤を用いた缶胴接合法が普及し、多くのレトルト飲料
缶,果汁飲料缶に応用されている。このナイロン系の有
機接着剤を用いる缶胴接合法においては、被着材表面に
塗装された塗料間に有機接着剤を介在させるものであ
り、被着材と塗料との密着性、有機接着剤と塗料との接
着力により、缶胴接合が達せられる。しかし、スズめっ
き鋼板は、見栄え及び内容物保護の面でTFSより優れ
ているにもかかわらず、塗料密着性が劣り、有機接着剤
による缶胴接合法は困難とされている。さらに、この缶
胴接合法を熱殺菌を必要とする飲料缶や食缶に適用する
場合、たとえば、約80〜100℃の温度で加熱殺菌さ
れた内容物を充填する、いわゆるホットパックを行う果
汁飲料缶、また、100℃以上での加熱殺菌を行う、い
わゆるレトルト殺菌を必要とする缶への適用は湿潤下で
の塗料密着性が要求されるため、スズめっき鋼板の場合
不可能とされてきた。スズめっき鋼板の塗料密着性の改
善案として、特開昭53−10331号は、塗料密着性
に優れた鋼板について言及しているが、金属クロムとク
ロム酸化物中のクロムとの合計が0.2〜4mg/m2
と被覆量が小さく、目的とする塗料密着強度を得ること
が難しい。また、特開昭54−142135号は、優れ
た塗料密着性と耐スマッジ性,耐酸化性,半田性を有す
る錫めっき鋼板を得る方法として、アルカリ水溶液中で
陰極電解を行いSnO以外のスズ酸化物を除去し、塗料
の密着性を向上させるとしているが、この方法では製造
直後の密着性は向上するものの、経時による塗料密着性
の劣化が大きい。さらに、特公昭60−34637号で
は、後処理によって被覆するクロム量の制限を行うこと
により、また、特公昭60−35440号ではスズ被覆
後、通常のニッケルをめっきし、スズとクロムとの接合
を強固なものにすることにより、それぞれ塗料密着性の
向上を提案している。しかしながら、湿潤下では、経時
塗料密着性が目的とする強度に達しない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
の欠点を解消し、常温における塗料密着性および高温で
の耐レトルト性、さらには湿潤下での経時塗料密着性に
優れたスズめっき鋼板の製造法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の製造法は、前処
理工程,スズめっき工程,リフロー工程,アルカリ性の
炭酸塩を含む水溶液での清浄化処理工程,硫酸またはフ
ッ化物を含むクロム酸浴での後処理工程を順次行うスズ
めっき鋼板の製造法において、前記後処理工程後に、さ
らに80℃以上で0.3秒〜10秒間、スズめっき鋼板
を洗浄する洗浄工程を付加してなることを特徴とする。
さらに本発明の製造法では、前記清浄化処理工程が、ニ
ッケルイオンを含む強酸性の水溶液中で処理されること
が望ましい。
【0005】以下、本発明を工程順に詳細に説明する。 (前処理工程,スズめっき工程,リフロー工程)本発明
のスズめっき鋼板は、冷延鋼板をアルカリ水溶液中で電
解脱脂後、酸洗を行う通常の前処理工程後、電気スズめ
っきを施し、リフロー工程によりめっきされたスズを溶
融光沢化される。電気スズめっき工程に先立ち、ニッケ
ル系のめっき、例えばニッケルめっき,ニッケル−鉄合
金めっきなどを施してもよい。電気スズめっきの方法は
特に制限されるものではなく、公知のスズめっき浴、た
とえば、硫酸スズ浴,塩化スズ浴などの酸性浴、ピロリ
ン酸スズ浴,スズ酸ナトリウム浴などのアルカリ性浴が
使用できる。本発明においてめっきされるスズ量は、
0.3〜5.6g/m2が適しているが、スズめっき鋼
板特有の色調と塗料密着性を併せ持つためには、スズ量
は、0.7〜5.6g/m2が適している。スズ量を増
加すると、一般にスズめっき鋼板特有の色調を得ること
ができる反面、常温における塗料密着性,耐レトルト
性、さらに湿潤下での経時塗料密着性などの特性を得る
のが難しくなる。
【0006】(清浄化処理工程)前記めっき工程に引き
続き、スズを被覆した鋼板は清浄化溶液中で鋼板側が陰
極となるような電解処理を行う。一般のスズめっき鋼板
の場合、塗膜の剥離はクロム水和酸化物と塗膜との界面
ではなく、スズ層とクロム層との界面で起こりやすいこ
とが知られている。これは、スズ層とクロム層との界面
に存在するスズ酸化物層がスズ層とクロム層との密着性
を阻害していると考えられる。このため、清浄化処理
で、スズめっき後あるいは溶融処理後生成した密着性を
阻害する表層のスズ酸化物を取り除くのである。清浄化
溶液には、通常の炭酸ナトリウム,炭酸水素ナトリウム
等の炭酸塩アルカリ水溶液が用いられる。例えば、スズ
めっき鋼板を0.5〜20A/dm2,0.1〜1秒の
条件で陰極電解すれば、発生する水素により表面のスズ
酸化物を取り除くことができる。また、清浄化溶液とし
てpHが2以下でニッケルイオンを含む強酸性の水溶液
を使用してもよい。ニッケルイオンは硫酸ニッケル,塩
化ニッケル,スルファミン酸ニッケルなどにより供給さ
れ、硫酸などの添加によってpHを2以下として、ニッ
ケルの析出効率を50%以下に低下させ、効果的に水素
発生を促進させることができる。
【0007】(ニッケルイオンを含む強酸性の水溶液を
用いた清浄化処理工程)ニッケルイオンを含む酸性の水
溶液を用いた清浄化処理は、通常の清浄化処理同様スズ
酸化物を除去する働きがあるほか、酸化膜を除去した面
をニッケルが薄く被覆するため、清浄化のあと後処理ま
での間で生成しやすいスズの酸化膜を効果的に抑制する
ことができる。
【0008】(後処理工程)これらの清浄化処理により
酸化物を除去されたスズめっき鋼板には直ちに電解クロ
ム酸処理が施される。この電解クロム酸処理浴として
は、TFSに用いられる無水クロム酸を主成分として、
硫酸、フッ化ナトリウム,ほうフッ化ナトリウムの助剤
を1種または2種添加した浴を使用する。これらの浴中
で陰極電解処理を行い、金属クロム層とクロム水和酸化
物層を形成させる。電気スズめっきの後処理として通常
用いられている重クロム酸ナトリウム溶液中で陰極処理
する方法では、金属クロムの析出が難しく、本目的に適
さない。析出させる金属クロム量は、25〜75mg/
2の範囲が適している。25mg/m2未満では塗膜密
着性、高温での耐レトルト性,経時塗料密着性が向上せ
ず、金属クロム量の増加とともに上述の特性は向上す
る。しかしながら、75mg/m2をこえても効果が飽
和するほか、スズめっき鋼板特有のスズ層の光沢を失
う。一方、クロム水和酸化物量は耐レトルト性,湿潤下
での経時塗料密着性の面からクロム量に換算して3mg
/m2以上必要であるが、20mg/m2をこえると、黄
色度が増加しスズ層の光沢を失う。上記条件において被
覆されたスズ層上の金属クロム層およびクロム水和酸化
物層は、スズを完全に被覆するため、塗装時の加熱によ
り生成する密着性を阻害するスズ酸化膜の成長を抑制す
る働きがある。
【0009】(洗浄工程)しかしながら、一般に、前記
後処理において形成されるクロム水和酸化物皮膜中に
は、助剤成分である硫酸イオン,フッ化物イオン等が取
り込まれ、密着性を著しく低下させる。本発明では、電
解クロム酸処理を施したスズめっき鋼板を80℃以上の
温水で洗浄することにより、クロム水和酸化物皮膜中に
取り込まれた不純物の除去を行うのである。また、一般
に塗膜の密着性は、クロム水和酸化物皮膜中に、Cr−
Oで示されるオキソ結合よりも、Cr−OHで示される
オール結合の含有される比率が高いほど優れているが、
電解クロム酸処理直後の鋼帯が80℃以上の温水で洗浄
されることにより、オール結合の比率が高くなり、いわ
ゆるオール化が促進される。このため、温水で洗浄した
スズめっき鋼板は常温における塗料密着性、耐レトルト
性、湿潤下での経時塗料密着性を大幅に改善することが
できるのである。洗浄の方法は、特に制限されるもので
はないが、連続的に生産する場合、80℃以上の温水中
に浸漬するか、温水をスプレーする方法が容易である。
不純物の除去には0.3秒をこえる処理時間を必要とす
る。処理時間が10秒をこえると不純物除去の効果は飽
和する。このため処理時間は、0.3秒〜10秒とす
る。洗浄温度は、塗膜の密着性の改善のためには80℃
以上であることが必要とされる。
【0010】
【作用】請求項1の方法により、クロム水和酸化物皮膜
中にCr−OHで示されるオール結合の比率が高くな
り、常温における塗料密着性、耐レトルト性、湿潤下で
の経時塗料密着性が大幅に改善されたスズめっき鋼板を
得ることができる。また、清浄化処理工程において、ニ
ッケルイオンを含む強酸性の水溶液中で処理することに
より、さらに優れた湿潤下での経時塗料密着性を有する
スズめっき鋼板を得ることができる。以下、本発明を実
施例により具体的に説明する。
【0011】
【実施例】
実施例 1 0.20mm厚の冷延鋼板を10%の水酸化ナトリウム
水溶液中で電解脱脂し、水洗し、7%硫酸溶液中に浸漬
酸洗し、水洗した後、公知のスズめっき浴中で1.3g
/m2スズめっきを施した。リフローでスズを溶融した
後、炭酸ナトリウム水溶液中で清浄化陰極処理し、水洗
後、硫酸を含むクロム酸水溶液中で30mg/m2の金
属クロムとクロム換算で10mg/m2のクロム水和酸
化物を生成させた。さらに水洗後、80℃の温水を2秒
間スプレーし、乾燥した。
【0012】実施例 2 実施例1と同様の前処理を行い、公知のスズめっき浴中
で0.3g/m2のスズめっきを施し、リフローでスズ
を溶融した後、下記のニッケルイオンを含む強酸性の水
溶液中で清浄化陰極処理し、20mg/m2のニッケル
を析出させた。水洗後、フッ化ナトリウムを含むクロム
酸水溶液中で25mg/m2の金属クロムとクロム換算
で3mg/m2のクロム水和酸化物を生成した。さらに
水洗後、80℃の温水を0.3秒間スプレーし、乾燥し
た。 ニッケルイオンを含む強酸性の水溶液中での清浄化処理
条件 浴組成 硫酸ニッケル:100g/l ほう酸 : 30g/l 硫酸 : 10g/l 処理条件 電流密度 : 5A/dm2 処理時間 : 0.8秒 浴温度 : 60℃
【0013】実施例 3 実施例1と同様の前処理を行い、公知のスズめっき浴中
で1.3g/m2のスズめっきを施し、リフロー工程で
スズを溶融した後、ニッケルイオンを含む強酸性の水溶
液中で清浄化陰極処理し、10mg/m2のニッケルを
析出させた。水洗後、硫酸を含むクロム酸水溶液中で5
0mg/m2の金属クロムとクロム換算で20mg/m2
のクロム水和酸化物を生成させた。さらに水洗後、90
℃の温水を2秒間スプレーし、乾燥した。 ニッケルイオンを含む強酸性の水溶液中での清浄化処理
条件 浴組成 スルファミン酸ニッケル : 200g/l ほう酸 : 30g/l 硫酸 : 20g/l 処理条件 電流密度 : 10A/dm2 処理時間 : 0.2秒 浴温度 : 50℃
【0014】実施例 4 実施例1と同様の前処理を行い、公知のスズめっき浴中
で2.8g/m2のスズめっきを施し、リフローでスズ
を溶融した後、ニッケルイオンを含む強酸性の水溶液中
で清浄化陰極処理し、6mg/m2のニッケルを析出さ
せた。水洗後、硫酸を含むクロム酸水溶液中で30mg
/m2の金属クロムとクロム換算で12mg/m2のクロ
ム水和酸化物を生成させた。さらに水洗後、沸騰水中に
4秒間浸漬し、乾燥した。 ニッケルイオンを含む強酸性の水溶液中での清浄化処理
条件 浴組成 硫酸ニッケル : 200g/l 塩化ニッケル : 30g/l ほう酸 : 30g/l 硫酸 : 15g/l 処理条件 電流密度 : 5A/dm2 処理時間 : 0.1秒 浴温度 : 40℃
【0015】実施例 5 実施例1と同様の前処理を行い、公知のスズめっき浴中
で5.6g/m2のスズめっきを施し、リフローでスズ
を溶融した後、炭酸水素ナトリウム水溶液中で清浄化陰
極処理した。水洗後、硫酸を含むクロム酸水溶液中で7
5mg/m2の金属クロムとクロム換算で15mg/m2
のクロム水和酸化物を生成させた。さらに水洗後、95
℃の温水を0.5秒間スプレーし、乾燥した。 実施例 6 実施例1と同様の前処理を行い、公知のニッケル−鉄め
っき浴からニッケル30mg/m2,鉄15mg/m2
ニッケル−鉄合金めっきを行い、次いで、公知のスズめ
っき浴中で1.3g/m2のスズめっきを施し、リフロ
ーでスズを溶融した後、ニッケルイオンを含む強酸性の
水溶液中で清浄化陰極処理し、7mg/m2のニッケル
を析出させた。水洗後、硫酸を含むクロム酸水溶液中で
30mg/m2の金属クロムとクロム換算で10mg/
2のクロム水和酸化物を生成した。さらに水洗後、8
0℃の温水を1秒間スプレーし、乾燥した。 ニッケルイオンを含む強酸性の水溶液中での清浄化処理
条件 浴組成 硫酸ニッケル : 240g/l 硫酸 : 5g/l 処理条件 電流密度 : 10A/dm2 処理時間 : 0.2秒 浴温度 : 60℃
【0016】比較例 1 実施例1で、温水洗浄の効果を明確にするために、温水
洗浄を省略した。 比較例 2 実施例2で、温水洗浄の効果を明確にするために、温水
洗浄を省略した。 比較例 3 実施例3で、清浄化処理の効果を明確にするために、清
浄化処理を省略した。 比較例 4 実施例4で、強酸性のニッケルイオンを含む水溶液での
清浄化処理の効果を明確にするために、特公昭60−3
5440号に開示された方法、すなわち、弱酸性のニッ
ケルイオンを含む水溶液で清浄化処理を行った。 ニッケルイオンを含む酸性の水溶液中での清浄化処理条
件 浴組成 硫酸ニッケル : 200g/l 塩化ニッケル : 30g/l ほう酸 : 30g/l 処理条件 電流密度 : 5A/dm2 処理時間 : 0.1秒 浴温度 : 40℃ 比較例 5 実施例5で、金属クロム量の効果を明確にするために、
特開昭53−10331号に開示された方法により、重
クロム酸ナトリウム水溶液中で、0.2mg/m2の金
属クロムとクロム換算で4.7mg/m2のクロム水和
酸化物を生成させた。 実施例1〜6、比較例1〜5に示した試料作成条件を表
1に示した。
【0017】
【表1】
【0018】実施例1〜6、比較例1〜5で得られたス
ズめっき鋼板について、次に示す各種塗料密着性試験等
(評価試験)を行い、その結果を表2に示した。 (1)塗料密着性試験 試料表面にフェノール・エポキシ系塗料を6g/m2
布し、215℃で10分加熱した後室温まで冷却し、再
度200℃で20分間焼き付けた。この試料を幅5m
m,長さ100mmに切断し、塗料面を重ねて、そのあ
いだに50μmのナイロンフィルムを2枚重ねで挟み込
み、ホットプレスを用いて、200℃,180秒の予熱
を行った後、10kg/cm2の加圧下で200℃,2
0秒間圧着を行った。この試験片を引っ張り試験機でT
字型90゜ピールを行い、その剥離強度はkgf/5m
mで評価した。剥離速度は100mm/分で行った。 (2)湿潤下の経時塗料密着性試験 前記(1)における接着試験片を90℃で0.4%のク
エン酸水溶液中に5日間浸漬し、その後、試験片を引っ
張り試験機でT字型90゜ピールを行い、その剥離強度
はkgf/5mmで評価した。剥離速度は100mm/
分で行った。 (3)塗料密着性の耐レトルト試験 前記(1)と同様に塗料の焼き付けを行った後、試料を
幅70mm,長さ60mmに切断し、塗料面を長さ方向
の両端を5mmだけ重ねて、そのあいだに50μmのナ
イロンフィルムを2枚重ねで挟み込み、ホットプレスを
用いて、前記(1)と同条件で圧着した。この試験片を
10組作成し、円形状の缶胴のように半径100mm程
度の半円形に丸めたのち、両端を固定して130℃のレ
トルト釜中で3時間及び5時間経時させたときの剥離の
有無を10組中の剥離個数で示した。
【0019】
【表2】
【0020】表2において、実施例1,2および比較例
1,2は温水洗浄の効果を、実施例3,4および比較例
3,4は清浄化処理の効果を、さらに実施例5および比
較例5はクロム後処理量の効果を、それぞれ本発明との
比較において示したものである。表2に示すように、本
発明のスズめっき鋼板は、優れた塗料密着性、耐レトル
ト性、さらに湿潤下での経時塗料密着性を有することが
認められた。
【0021】
【発明の効果】スズめっき後の清浄化陰極処理,電解ク
ロム酸処理および温水中での洗浄処理の相乗効果によ
り、従来のスズめっき鋼板では得られなかった有機接着
剤による缶胴接合法の製缶に適したスズめっき鋼板を得
ることができる。また、本発明によれば、工業的にスズ
めっき鋼板を製造する際にも、基本的に現状の工程のま
まで可能であり、大きな工程変更がないために設備変更
などの費用も安価に抑えることができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 前処理工程,スズめっき工程,リフロー
    工程,アルカリ性の炭酸塩を含む水溶液での清浄化処理
    工程,硫酸またはフッ化物を含むクロム酸浴での後処理
    工程を順次行うスズめっき鋼板の製造法において、前記
    後処理工程後に、さらに80℃以上で0.3秒〜10秒
    間、スズめっき鋼板を洗浄する洗浄工程を付加してなる
    ことを特徴とする、湿潤下での経時塗料密着性に優れた
    スズめっき鋼板の製造法。
  2. 【請求項2】 前記清浄化処理工程が、ニッケルイオン
    を含む強酸性の水溶液中で処理されることを特徴とする
    請求項1記載のスズめっき鋼板の製造法。
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