JPH0688987B2 - 1、3―チアゾリジンのβ―カルボニルカルボキシアミド - Google Patents

1、3―チアゾリジンのβ―カルボニルカルボキシアミド

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JPH0688987B2
JPH0688987B2 JP1502573A JP50257389A JPH0688987B2 JP H0688987 B2 JPH0688987 B2 JP H0688987B2 JP 1502573 A JP1502573 A JP 1502573A JP 50257389 A JP50257389 A JP 50257389A JP H0688987 B2 JPH0688987 B2 JP H0688987B2
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、2−置換チアゾリジンのβ−カルボニルカル
ボキシアミド誘導体,その製造方法及びそれを含有する
薬剤に関する。
3−アシル−2−置換チアゾリジン誘導体が鎮咳作用と
粘膜調整作用をもつことはすでにEP−A−169,581に開
示されている。
粘膜調整作用は上記公開明細書のすべての化合物に共通
のものであるが、一方、鎮咳作用は1,3−チアゾリジン
環のN−アシル置換によるものである。N−アシル置換
基がシュウ酸、コハク酸、グルタル酸及びシクロプロピ
ルカルボン酸残基であるときは、鎮咳作用は失われる。
今回驚くべきことに、N−アシル置換基が例えばマロン
酸残基のようなβ−カルボニル酸残基である3−アシル
−2−置換−1,3−チアゾリジン化合物は、有効かつ選
択的な鎮咳効果を有することが見出された。
本発明は、下記の一般式(I)で表わされる1,3−チア
ゾリジンのβ−カルボニルカルボキシアミド化合物に関
するものである。
[式中、Rは、水素、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分
岐状のアルキル、アリル又はプロパルギルであり、Xは
酸素、メチレン又は硫黄であり、R1は、−(CH2)nRa、ヒ
ドロキシ、−O(CH2)nRa、−NRbRc、−NH(CH2)mNRbRcか
らなる群から選択される基である。ここに、Raは、水
素、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル、
フェニル、p−メトキシフェニル、3,4,5−トリメトキ
シフェニル、β−ピリジル、シクロペンチル又はシクロ
ヘキシルであり、Rb,Rcは同一又は異なって、水素、炭
素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル、シクロ
ヘキシル、シクロペンチル、ベンジル、ヘキサヒドロベ
ンジル、α、βもしくはγ−ピリジルメチルから選択さ
れる基であり、あるいはRbとRcは結合する窒素原子と一
緒になって、モルホリノ、ピペリジノ又は式 (式中、Rdは、水素、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分
岐状のアルキル、ベンジル、ヘキサヒドロベンジル、ベ
ンズヒドリル、ビス−(p−フルオロフェニル)メチル
又はβ−ピリジルメチルである。)で示されるピペラジ
ノ残基を形成してもよい。mは2又は3、nは0又は1
から3までの整数である。] 一般式(I)の化合物は、少なくとも一つのキラル(ch
iral)炭素原子を有し、従って、一つ以上の光学的対掌
体をもつ。本発明は、上記すべての対掌体及びその混合
物、ラセミ体を含む。さらに、一般式(I)の化合物の
薬理的に許容される酸又は塩基との塩も本発明に含まれ
る。
一般式(I)の化合物と薬理的に許容される塩基の薬理
的に許容される塩は、例えばメチルアミン、ジメチルア
ミン、トリメチルアミン、リジン、アルギニン、N−メ
チル−N−シクロヘキシルアミン、エチルアミン、ジイ
ソプロピルアミン、トロメタミン、N,N−ジメチルエタ
ノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、β−
フェニルエチルアミン、モルホリン、ピペリジン、ピペ
ラジン、ガラクトサミン、N−メチルグルカミンのよう
な有機塩基との塩、又は例えばアルカリもしくはアルカ
リ土金属の水酸化物並びに亜鉛やアルミニウム水酸化物
のような無機塩基との塩である。
一般式(I)の化合物と薬理的に許容される酸の薬理的
に許容される塩は、例えば酢酸、蟻酸、プロピオン酸、
フマル酸、マイレン酸、リンゴ酸、マロン酸、酒石酸、
安息香酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、乳酸、アス
パラギン酸、グルタミン酸、LもしくはD−2−フェニ
ルチアゾリジンカルボン酸、N−アセチル−システイン
のような有機酸との塩、又は例えば硝酸、燐酸、塩酸、
臭化水素酸のような無機酸との塩である。
本発明の化合物を具体的に示すと、以下の通りである。
(R,S)−2−(2−メトキシフェノキシメチル)−3
−エトキシカルボニルアセチル−1,3−チアゾリジン (R,S)−2−(2−メトキシフェノキシメチル)−3
−カルボキシアセチル−1,3−チアゾリジン (R,S)−2−(2−メトキシフェノキシメチル)−3
−(3−オキソブタノイル)−1,3−チアゾリジン (R,S)−2−(2−メトキシフェノキシメチル)−3
−(3−β−ピリジル−3−オキソプロパノイル)−1,
3−チアゾリジン (R,S)−2−(2−メトキシフェニルチオメチル)−
3−(3−フェニル−3−オキソプロパノイル)−1,3
−チアゾリジン (R,S)−2−(2−メトキシフェニルエチル)−3−
(3−シクロヘキシル−3−オキソプロパノイル)−1,
3−チアゾリジン (R,S)−2−(2−メトキシフェノキシメチル)−3
−[(β−ピリジルメチルカルバモイル)アセチル〕−
1,3−チアゾリジン (+)−2−(2−メトキシフェノキシメチル)−3−
[(β−ピリジルメチルカルバモイル)アセチル〕−1,
3−チアゾリジン (−)−2−(2−メトキシフェノキシメチル)−3−
[(β−ピリジルメチルカルバモイル)アセチル]−1,
3−チアゾリジン (R,S)−2−(2−アリルオキシフェノキシメチル)
−3−[(β−ピリジルメチルカルバモイル)アセチ
ル]−1,3−チアゾリジン (R,S)−2−(2−プロパギルオキシフェノキシメチ
ル)−3−[(β−ピリジルメチルカルバモイル)アセ
チル]−1,3−チアゾリジン (R,S)−2−(2−メトキシフェニルチオメチル)−
3−[(β−ピリジルメチルカルバモイル)アセチル]
−1,3−チアゾリジン (R,S)−2−(2−メトキシフェニルエチル)−3−
[(β−ピリジルメチルカルバモイル)アセチル]−1,
3−チアゾリジン (R,S)−2−(2−メトキシフェノキシメチル)−3
−(N−メチルカルバモイルアセチル)−1,3−チアゾ
リジン (R,S)−2−(2−メトキシフェノキシメチル)−3
−[N−(ジエチルアミノエチル)カルボバモイルアセ
チル]−1,3−チアゾリジン (R,S)−2−(2−メトキシフェノキシメチル)−3
−[(4−メチル−1−ピペラジニル)カルボニルアセ
チル]−1,3−チアゾリジン (R,S)−2−(2−メトキシフェノキシメチル)−3
−[α−(1−モルホリニルカルボニル)アセチル]−
1,3−チアゾリジン (R,S)−2−(2−メトキシフェニルエチル)−3−
[α−(1−ピペリジニルカルボニル)アセチル]−1,
3−チアゾリジン 本発明の化合物は、一般式(II) (式中、R、Xは、前記に定義された通りである。)で
表わされる1,3−チアゾリジン誘導体を一般式(III) R′1COCH2CO2H (III) (式中、R′1は下記に定義する通りである。)で表わ
されるβ−カルボニルカルボン酸誘導体又はそのカルボ
ン酸の反応性誘導体と反応させることにより、一般式
(Ia) (式中、R′1は一般式(I)においてR1として定義し
た通りか、又はR1に変換可能な基である。)で表わされ
る2−置換−1,3−チアゾリジンのβ−カルボニルカル
ボキシアミド化合物が製造される。
上記一般式(Ia)の化合物は、所望により、下記の工程
a)〜d)の1又はそれ以上に付され、前記一般式
(I)の化合物に変換される。
a) R′1がR1と異なるときは,置換基R′1を置換基R1
に変換する、 b) R′1がR1のときは、置換基R1を他の置換基R1に変
換する、 c) 一般式(I)で表わされる化合物の塩及び/又は溶
媒和物を形成する、 c′) 一般式(I)で表わされる化合物の塩を脱塩す
る、 d) 一般式(I)で表わされる化合物の異性体混合物か
ら単一の異性体を分離する。
一般式(III)で表わされるβ−カルボニルカルボン酸
の適当な反応性誘導体は酸クロライド又は酸無水物であ
る。他の好適な化合物は、一般式(III)のカルボン酸
とベンジル及び/又はアルキルクロロホルメイトの混合
酸無水物であり、また、一般式(III)のカルボン酸の
アジド又はイミダゾライドである。
周知の方法により、一般式(II)の1,3−チアゾリジン
誘導体を反応させることができる。すなわち、 a) 有機又は無機塩基の存在下、一般式(III)の酸ク
ロライドと反応させる; b) ジシクロヘキシルカルボジイミド、N−ジメチルア
ミノプロピル−N′−エチルカルボジイミド又はカルボ
ニルジイミダゾールの存在下、一般式(III)の遊離酸
と反応させる; c) ベンジル及び/又はアルキルクロロホルメイト、例
えばエチルクロロホルメートと一般式(III)の酸と反
応させて、そのまま生成した混合酸無水物と反応させ
る。
一般式(Ia)及び/又は一般式(I)の化合物は、所望
により、置換基R1を適当に変換することによって、一般
式(I)の他の化合物に変換されることができるので、
一般式(Ia)及び/又は一般式(I)の化合物のいくつ
かは、本発明によるその他の化合物の製造のために有用
な中間生成物であることは明らかである。すなわち、例
えば、適当なアミン及び/又はアルコールとの反応によ
り、一般式(I)又は一般式(Ia)の遊離カルボキシル
基がエステル又はカルボキシアミド基に変換される。
一般的に、上述の工程はラセミ体を生成する。これに対
して、キラルアミン又はアルコールはジアステレオマー
の混合物を生成する。所望により、これらのジアステレ
オマーの混合物は、引き続き通常の方法、例えばカラム
クロマトグラフィによって単一の各異性体に分離するこ
とができる。
一般式(I)の化合物の薬理的に許容される塩は、適当
な無機又は有機塩基と一般式(I)の酸化合物との反応
によって、あるいは有機酸又は鉱酸と一般式(I)の塩
基化合物の処理によって得られる。
化合物(I)の溶媒和物は、溶媒からの結晶化又は再結
晶により得られる。例えば、水和物は水又は水と有機溶
媒の混合物からの結晶化又は再結晶により得ることがで
きる。
さらに、薬理的には許容できない化合物(I)の塩又は
溶媒和物は、薬理的に許容できる塩又は溶媒和物の製造
中間体として有用である。従って、薬理的に許容できな
い塩又は溶媒和物もまた、本発明の範囲に含まれる。上
述したように、化合物(I)はキラル物質であり、本発
明の方法によれば(R,S)混合物(ラセミ体)が生成す
る。単一の対掌体は、光学活性の酸及び/又は塩基の両
方を使用する光学分割により得ることができる。他方、
単一の対掌体は不整合成により製造することができる。
一般式(III)のアシル化剤と一般式(II)の化合物と
のアシル化反応は、塩基の存在下又は不存在下に、反応
剤の化学量論量又はアシル化剤を若干過剰量使用して、
不活性溶媒中で反応させることにより実施することがで
きる。
一般式(II)の化合物が純粋な対掌体として使用される
ときは、この化合物は、アルキルアミン、イミダゾー
ル、4−ジメチルアミノピリジン等のような塩基の触媒
量乃至化学量論量の存在下で塩として反応させるのが好
ましい。
ジケテン、すなわちアセト酢酸の分子内エノールエステ
ルは、一般式(Ia)の化合物(式中、R′1はメチル)
を得るために一般式(II)の化合物と反応させる一般式
(III)(式中、R′1はメチル)の酸の好ましい反応性
誘導体である。
好ましい不活性溶媒は、1,2−ジクロロエタン、メチレ
ンクロライド、クロロホルムのようなハロゲン化溶媒、
酢酸エチル、蟻酸エチルのようなエステル、アセトン、
メチルエチルケトンのようなケトン、ジエチルエーテ
ル、1,2−ジメトキシエタン、ジメチレル(dimethylal
e)、ジオキサン、テトラヒドロフランのようなエーテ
ル及びそれらの混合溶媒であり、水は存在又は存在しな
くてもよい。
アシル化反応において使用される塩基は、アルカリもし
くはアルカリ土金属の水酸化物、カルボン酸塩、炭酸水
素酸塩であり、又はピリジン、トリメチルアミン、4−
ジメチルアミノピリジン、イミダゾールのような有機塩
基でる。
アシル化反応は、好ましくは−10℃から溶媒の還流温度
の範囲で行われるが、好ましい温度範囲は、−10℃から
室温である。反応時間は数分から3日間までであり、通
常は30分から4〜5時間である。
一般式(II)の化合物は、英国特許出願84-19254(1984
年7月27日)及び85-17553(1985年7月11日)に記載さ
れている。
一般式(III)の化合物は公知であり、あるいは公知の
方法により製造される。一般式(III)の化合物のいく
つかは、ジケテン、マロニルクロライド又はマロニルモ
ノクロライドモノアルキルエステルのような市販のもの
が用いられる。
下記の式(IVa)及び式(IVb) RbRcNCOCH2CO2H (IVa) RbRcN(CH2)mNHCOCH2CO2H (IVb) (式中、Rb、Rc及びmは、前記に定義した通りであ
る。) で示されるマロン酸モノアミドは、マロニルモノクロラ
イドモノアルキルエステルとアミンRbRcNH2又はRbRcN(C
H2)mNH2を反応させ、続いてこのエステルをケン化する
か、あるいは上記の無機塩基水溶液の過剰量の存在下に
マロニルクロライドとアミンを等モル反応させ、得られ
る中間生成物のモノアミドマロニルクロライドを加水分
解することにより、マロン酸モノアミドが得られる。
本発明の化合物は、持続性のある鎮咳剤として使用する
ことができる。
本発明の1,3−チアゾリジン化合物のアシル化残基R1COC
H2CO−が、すでにEP−A−169,581で特許されている式
R′1CO(CH2)m1CO−のアシル残基の特別なサブグループ
の一部であるという事実を考慮すると、化合物(I)の
持続性鎮咳作用は、特に予想外のものである。
R′1CO(CH2)m1CO−のm1が0又は整数2,3であるEP−A
−169,581に記載の3−アシル−1,3−チアゾリジン誘導
体は、選択的粘膜調整作用のみを有し、一方、m1が整数
1である本発明の化合物は鎮咳作用を有する。この作用
は公知の高級又は低級の同族体には全く欠如している。
鎮咳特性として、粘液喀たんを抑制することは粘膜調整
物質においては望ましいものではないといえる。同様
に、粘膜調整特性は、鎮咳物質においては不必要又は無
用であろう。従って、一般式(I)の化合物の選択的鎮
咳作用は治療目的にかなう。
本発明の化合物は、治療上有用な物質であり、特に急
性、亜急性、慢性中毒がない。マウスとラットに本発明
の化合物を経口及び膜腔(i.p.)投与した測定結果によ
れば、LD50値は、通常1g/kg(体重)より高い。(R,S)
−2−(2−メトキシフェノキシメチル)−3−[N−
(ジエチルアミノエチル)カルバモイルアセチル]−1,
3−チアゾリジン及び(R,S)−2−(2−メトキシフェ
ノキシメチル)−3−[(β−ピリジルメチルカルバモ
イル)アセチル]−1,3−チアゾリジンのみが、ラット
に経口投与後14日目の観察でLD50値がそれぞれ0.25と0.
85g/kgを示す。
シャルリエ(Charlier)等より開示された技術(Arch.I
nt.Pharmacodyn.,134,306,1961)が、その細部を一部変
更することにより、本発明の化合物の鎮咳特性の研究に
利用される。
動物(モルモット)に経口及び皮下投与後、クエン酸エ
アゾールの噴霧により誘発される咳発作に対するこれら
の物質の防止作用を評価する。
咳発作は7.5%のクエン酸エアゾール水溶液の噴霧によ
り動物に誘発される。各動物は対照としても用いられ
る。薬物の投与の24時間前と1時間後にエアゾールに5
分間さらされる。
各投与量に対して6匹の動物(オス)を一群とする。咳
発作の回数が各動物及び各投与量の両方について記録さ
れる。
薬物の薬理活性、すなわち鎮咳保護効果は、各動物の薬
物投与前(すなわち、薬物の不存在)の24時間の咳発作
の回数に対する薬物投与後の咳発作回数のパーセントの
減少により評価される。本発明の化合物の薬理的効果は
投与量に依存する。リン酸コデイン(CP)が標準対照と
して使用される。すなわり、CPの30mg/kg投与はその投
与動物において50%の減少をもたらす。
本発明及び一般式(I)の化合物特有の鎮咳特性を一層
明らかにするために、本発明化合物の3−アシル−2−
(2−メトキシフェノキシメチル)−1,3−チアゾリジ
ン誘導体(化合物番号6〜14)と2−(2−ヒドロキシ
フェノキシメチル)−3−エトキシカルボニルアセチル
−1,3−チアゾリジン(化合物番号15)及び非常に類似
するEP−A−169,581に記載された幾つかのアシル−1,3
−チアゾリジン誘導体(化合物番号1〜5)を表1に示
す。
化合物番号1〜15の物質及び内部標準(internal stand
ard)としてのリン酸コデインは、全て投与量30mg/kgで
経口投与した。
この比較結果によれば、すでに開示された化合物2〜4
が低い効果を示すのに対して、式(I)の化合物は標準
対照と比して少なくとも同程度か又はそれ以上の優れた
鎮咳効果をを示す。本発明の化合物7及び10は、特に皮
下投与において60mg/kgの投与量で持続性の減少率がそ
れぞれ90%、83%であるので化合物7は、化合物10と実
際上同等の効果があることが指摘されるべきである。こ
の作用は、EP−A−169,581のアセチル誘導体(化合物
番号1)の効果が投与の2時間後に40%から25%と急速
に減少するのとは異なる。
表3は、一般式(I)の化合物の電気的刺激による咳発
作試験の結果をリン酸コデインと比較して示している。
試験は動物に対して15mg/kgで経口投与した。
カバノウ(Cavanaugh)等(Arch.Ing.Pharmacodyn.,22
0,258,1976)によれば、モルモットの気管粘膜の電気的
刺激により咳発作が誘発される。電気的刺激は、薬物投
与の前(すなわち、薬物投与をしてない)及び薬物投与
の1時間後に行う。この場合、各動物について、薬物が
投与されていない場合を基準値とし、薬物投与後の咳発
作の回数の減少率を計算して薬物の活性を測定する。6
匹の動物を1グループとし、同じ投与量で試験する。こ
の試験は特に投与から3時間前と後の持続性効果を評価
するのに有効である。
鎮咳作用の持続性効果をリン酸コデインと比較して表4
に示す。すべての3−アシル−2−(2−メトキシフェ
ノキシメチル)−1,3−チアゾリジンは経口により30mg/
kg投与された。
本発明の化合物は、各種の刺激により誘発される咳発作
の防止に特に効果がある。この防止効果は量的及び質的
な観点からも特に長く持続し、その治療効果は鎮咳剤開
発において対照薬として認識されているリン酸コデイン
に匹敵するものである。
本発明の化合物は、その膜結合側から[H3]−ナロキソ
ンを移動させることができないアヘン受容体と結合親和
性を示さないので、その作用のメカニズムはコデインと
は異なる。
生体内でのナロキソンによる試験において、この物質は
投与量(皮下投与、s.c.)5mg/kgでは、モルモットに対
して2つの試験モデルによって誘発された咳発作を防ぐ
ことはできない。
ナロキソン(5mg/kg;s.c.)の投与に続くリン酸コデイ
ン(30mg/kg;o.s.)の投与は咳発作の防止効果を完全に
消滅させてしまうが、ナロキソンの投与に続いて(R,
S)−2−(2−メトキシフェノキシメチル)−3−エ
トキシカルボニルアセチル1,3−チアゾリジンを30mg/kg
の投与量で経口投与する二次的投与は、この2つの試験
モデルによる咳発作に対して咳の発作を完全に防止す
る。
従って、本発明の化合物は、アヘン剤受容体との結合性
物質を特に制限することのない鎮咳剤として臨床上有用
である。
さらに、式(I)の化合物は、新規で驚くべき、かつ特
別な作用を有する。すなわち、これらの物質は、ぜんそ
く患者にしばしば見られるような、臨床上の症状である
気道過剰反応、すなわち外部刺激にさらされた後、及び
肉体的な運動、霧や汚染物質やアレルゲンやオータコイ
ドの吸引後の気管支平滑筋の異常収縮を防止及び/又は
減少させることができる。
この驚くべき薬理的特性を示すために、本発明の化合物
は、最近研究開発された気管支過剰反応動物モデル(Om
ini C.et al.,23rd Ann.Med.S.E.P.C.R.,アテネ、1988
年6月22日−24日、Abstract 15s Eur.J.Resp.Dis.inpr
ess)により試験が行われた。
気道過剰反応は、10分間強制的にタバコの煙にさらした
後に、オータコイドを投与した結果悪化する気管支収縮
反応によって引き起こされた肺膨張圧力(PIP)の異常
増加として測定される。この異常PIP増加は、同一の動
物においてタバコの煙にさらす前及びオータコイドを投
与した後に観察されるPIPの増加と比較する。エチルウ
レタンと臭化パンクロニウムにより麻酔をかけたオスの
モルモット(体重400-450g)を用いた。PIPはコンツェ
ットとロスラーの方法(Naumm.Schiededeberg Arch.Ex
p.Path/Pharmacol.,195,71,1940)により記録した。こ
の気管支平滑筋の過剰反応に適したオータコイドとして
は、アセチルコリン、ヒスタミン、セロトニン、ブラデ
ィキニンが挙げられる。
コルチコステロイド、例えば6α−メチル−プレドニソ
ロン−21−ヘミコハク酸ナトリウム塩(6MPHE)(タバ
コの煙にさらす7時間前に筋肉注射により10〜15mg/体
重kg投与)は、効果的な薬物であり、標準対照として使
用される。
ジクロモグリケート(DSCG)(タバコの煙にさらす2時
間前に筋肉内注射により20〜100mg/体重kg投与)と、サ
ルブタモール(タバコの煙にさらす20分前に静脈注射に
より0.5mcg/体重kg投与)もまた、効果的な薬物であ
り、同様に標準対照として使用できる。
タバコの煙にさらされ、薬物投与されていない気管支肺
胞洗浄(BAL)液の細胞学的研究は、細胞総数の統計的
に有意な増加を示している。特に、上皮細胞と好酸球の
数は、煙にさらされていない動物の細胞においては増加
する。
気道過剰反応を防止する6MPHE(50mg/kg)及びDSCG(10
0mg/kg)の有効投与量は、投与され、煙にさらされた動
物のBAL液中の細胞パターンを正常化することができ
る。
それに対して、過剰反応をもたらすサルブタモールの有
効投与量(0.5mg/kg)では、煙によるBAL液の細胞学上
の病的変化を緩和することができない。
(R,S)−2−(2−メトキシフェノキシメチル)−3
−エトキシカルボニルアセチル−1,3−チアゾリジン、
(R,S)−2−(2−メトキシフェノキシメチル)−3
−カルボキシアセチル−1,3−チアゾリジン及び(R,S)
−2−(2−メトキシフェノキシメチル)−3−[(β
−ピリジルメチルルカルバモイル)アセチル]−1,3−
チアゾリジンは、一般式(I)の化合物の意義ある例で
あり、経口投与量20〜60mg/kg、静脈投与量0.25〜5mg/k
g、皮下投与量2〜15mg/kgで試験したとき過剰反応の有
効な抑制剤である。
同一方法及び同一量の薬理的投与は、タバコの煙にさら
された動物のBAL液の細胞パターンを正常化する。
強制的にタバコの煙にさらされた後にこれらの動物にお
いて観察されるBAL細胞パターンの変化(上皮細胞と好
酸球が2倍以上)は、喘息又は喘息でないヒトの喫煙者
において観察される場合に似ており、気道組織の重い炎
症状態を明らかに示している。従って、BAL液の細胞数
と細胞パターンを正常化する本発明の化合物の性質は、
臨床的観点からみて特に適合しており、有用である。こ
のように、一般式(I)の化合物は、鎮咳薬としてばか
りでなく、例えば急性及び亜急性気管支炎のような気道
炎症疾患、慢性気管支閉塞症及び関連する疾患の治療に
も特に有用であるといえる。
一般式(I)の化合物、コルチコイド及びDSCGが有する
BAL細胞を正常化する特性及び外部刺激により気管支平
滑筋の明白で悪化した収縮性を保護する特性により、苦
痛と気管支収縮発作から開放するための喘息患者の予防
措置において治療上非常に有用であり、患者の苦痛と気
管支収縮発作を和らげる。
本発明の化合物は、経口、舌下、静脈、皮下、筋肉、直
腸又は吸入で投与することができる。
吸入投与は、気道過剰反応の治療が必要な場合に特に好
ましい。この化合物の投与量は、患者の状態、体重、年
齢や投与方法により0.05から約5mg/kg/日の範囲が好ま
しい。吸入投与の好ましい投与量は0.02から1mg/kg/日
である。
高レベルかつ長期の投与量は、本発明の化合物の毒性が
限られていることを考慮すると、問題はない(not coun
terindicated)。本発明の化合物は、“Remington's Ph
armaceutical Sciences Handbook"(Hack,Publ.Co.New
York,U.S.A.)に記載されているような、従来の技術と
佐薬(excipients)により、慣用の薬理的製剤で臨床的
に使用することができる。この製剤の例には、カプセ
ル、錠剤、パケット、シロップ、飲用液、座薬、非経口
用又は吸入投与用バイアル、放出の制御されたデバイス
等を含む。
次に実施例を記載するが、これらは本発明を限定するも
のではない。
実施例1 0〜5℃の冷却下に強力に攪拌しながら、(R,S)−2
−(2−ヒドロキシフェノキシメチル)−1,3−チアゾ
リジン5.3gの酢酸エチル溶液50mlに炭酸水素カリウム2.
65gの水溶液8mlを加える。エチルマロニルクロライド3.
2mlの酢酸エチル10ml溶液を30分かけて滴下し、混合物
を更に30分間攪拌した後、有機層と水層に分離する。
有機層を2N硫酸水溶液(2×50ml),水(3×5ml),10
%アンモニア水溶液(3×1ml)により洗浄し、硫酸ナ
トリウム2.5gで乾燥する。溶媒を真空下に留去した後、
油状の残渣をイソプロピルエーテルで結晶化して、融点
61〜63℃の(R,S)−2−(2−ヒドロキシフェノキシ
メチル)−3−エトキシカルボニルアセチル−1,3−チ
アゾリジンを6.4g得る。
同様にして、2−置換−1,3−チアゾリンジン誘導体か
ら下記の化合物が得られる。
(R,S)−2−(2−メトキシフェノキシメチル)−3
−エトキシカルボニルアセチル−1,3−チアゾリジン,m.
p.64-66℃、 (R,S)−2−(2−メトキシフェニルチオメチル)−
3−エトキシカルボニルアセチル−1,3−チアゾリジ
ン、 (R,S)−2−(2−メトキシフェニルエチル)−3−
エトキシカルボニルアセチル−1,3−チアゾリジン、 (R,S)−2−(2−アリルオキシフェノキシメチル)
−3−エトキシカルボニルアセチル−1,3−チアゾリジ
ン、 (R,S)−2−(2−プロパルギルオキシフェノキシメ
チル)−3−エトキシカルボニルアセチル−1,3−チア
ゾリジン。
実施例2 0〜5℃の冷却下に強力に攪拌しながら、(R,S)−2
−(2−メトキシフェノキシメチル)−1,3−チアゾリ
ジン200gの酢酸エチル21ml溶液に炭酸水素カリウム107g
の水溶液200mlを加える。次いで、メチルマロニルクロ
ライド97.2mlを1時間かけて滴下する。
1時間後、有機層と水層に分離し、有機層を、2N硫酸で
洗浄する。溶液を200mlに濃縮した後に、結晶化した固
形物を濾取し、真空下(40℃,15mmHg)で乾燥して、融
点84〜85℃の(R,S)−2−(2−メトキシフェノキシ
メチル)−3−メトキシカルボニルアセチル−1,3−チ
アゾリジンを256g得る。
実施例3 0℃の冷却下に攪拌しながら、(+)−2−(2−メト
キシフェノキシメチル)−1,3−チアゾリジニウム−D
−O,O′−ジベンゾイル酒石酸塩5.8gの酢酸エチル懸濁
液にエチルマロニルクロライド1.28mlの酢酸エチル6ml
溶液を加える。混合液を攪拌して、約2時間後に透明な
溶液を得る。次いで、炭素水素ナトリウムの飽和水溶液
100mlで処理し、更に15分間攪拌した後、有機層と水層
に分離する。
有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。真空
下に溶媒を除去し、油状残渣をシリカ(50g、溶出液;
ヘキサン−酢酸エチル2:1)を用いたクロマトグラフィ
で精製して、(+)−2−(2−メトキシフェノキシメ
チル)−3−エトキシカルボニルアセチル−1,3−チア
ゾリジン,融点62-64℃,[α]D=+74.3°(C=2.8
%EtOH)を1.5g得る。
実施例4 (−)−2−(2−メトキシフェノキシメチル)−3−
エトキシカルボニルアセチル−1,3−チアゾリジン,融
点64-65℃,[α]D=−78°(C=2.2%EtOH)を、実
施例3の方法で(−)−2−(2−メトキシフェノキシ
メチル)−1,3−チアゾリジン−L−O,O′−ジベンゾイ
ル酒石酸塩から製造する。
実施例5 0〜10℃の冷却下に強力に攪拌しながら、炭酸カリウム
22gの水溶液25mlと(R,S)−2−(2−メトキシフェノ
キシメチル)−1,3−チアゾリジンの酢酸エチル溶液200
mlの混合液に、マロニルクロライド10mlの酢酸エチル10
ml溶液を40分かけて加える。1時間後に1N水酸化ナトリ
ウム水溶液25mlと水100mlを混合液に加え、更に30分間
攪拌した後、水層と有機層に分離する。
有機層を0.5N水酸化ナトリウム水溶液により再抽出した
後に廃棄する。アルカリ性水層を合わせ37%塩酸水溶液
によりpH2の酸性とし、次いで、酢酸エチルにより抽出
する。水洗(2×25ml)後、有機層を合わせて硫酸ナト
リウムで乾燥し、有機層を少量まで濃縮して、融点120
〜122℃の(R,S)−2−(2−メトキシフェノキシメチ
ル)−3−カルボキシアセチル−1,3−チアゾリジンの
結晶性固形物を濾取する。
実施例6 (R,S)−2−(2−メトキシフェノキシメチル)−3
−エトキシカルボニルアセチル−1,3−チアゾリジン25g
と1N水酸化ナトリウム水溶液75mlとのエタノール250ml
混合液を室温で30分間攪拌すると、一旦透明な溶液とな
りその後結晶性固形物が析出する。この懸濁液を0℃に
冷却し、更に1時間攪拌する。
結晶性固形物を濾取し、乾燥して、融点78〜81℃の(R,
S)−2−(2−メトキシフェノキシメチル)−3−カ
ルボキシアセチル−1,3−チアゾリジンのナトリウム塩
が得られる。濾液を濃縮し、2N硫酸によってpH4.2の酸
性とし、(R,S)−2−(2−メトキシフェノキシメチ
ル)−3−カルボキシアセチル−1,3−チアゾリジン4.2
gを得る。
実施例7 以下の各化合物は、実施例5の方法により、マロニルク
ロライドで2−置換−1,3−チアゾリジン誘導体とアシ
ル化するか、又は実施例6の方法により、原料化合物と
して実施例1、2及び3の方法に従って製造される3−
アルコキシカルボニルアセチル−1,3−チアゾリジン誘
導体を鹸化することによって製造される。
(R,S)−2−(2−メトキシフェニルチオメチル)−
3−カルボキシアセチル−1,3−チアゾリジン (R,S)−2−(2−アリルオキシフェノキシメチル)
−3−カルボキシアセチル−1,3−チアゾリジン (R,S)−2−(2−プロパルギルオキシフェノキシメ
チル)−3−カルボキシアセチル−1,3−チアゾリジン (R,S)−2−(2−メトキシフェニルエチル)−3−
カルボキシアセチル−1,3−チアゾリジン (+)−2−(2−メトキシフェノキシメチル)−3−
カルボキシアセチル−1,3−チアゾリジン (−)−2−(2−メトキシフェノキシメチル)−3−
カルボキシアセチル−1,3−チアゾリジン 実施例8 96%硫酸0.3mlを(R,S)−2−(2−メトキシフェノキ
シメチル)−3−カルボキシアセチル−1,3−チアゾリ
ジン3gの2−プロパノール溶液30mlに加える。混合液を
還流温度で2時間加熱し、少量まで濃縮し、残渣を水と
酢酸エチルに分配する。
有機層を水、5%炭酸水素ナトリウム及び水の順で洗浄
し、硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を真空下で留去す
る。残渣をカラムクロマトグラフィ(シリカ;ヘキサン
−酢酸エチル2:1)で精製して、(R,S)−2−(2−メ
トキシフェノキシメチル)−3−イソプロポキシカルボ
ニルアセチル−1,3−チアゾリジンを2g得る。
実施例9 ジシクロヘキシルカルボジイミド3.46gをβ−ピリジル
メチルアミン1.63mlと(R,S)−2−(2−メトキシフ
ェノキシメチル)−3−カルボキシアセチル−1,3−チ
アゾリジン5gの無水ジクロロエタン50ml溶液に加える。
混合液を2時間攪拌し、N,−ジクロロヘキシル尿素の
沈澱物を濾取する。5%炭酸水素ナトリウム水溶液(2
×10ml)、水(2×10ml)及び4N硫酸水溶液(3×25m
l)で抽出した後、有機層を廃棄する。酸性の水溶性抽
出物を合わせ、20%水酸化ナトリウム水溶液でpH8.5の
アルカリ性とし、酢酸エチル(3×20ml)で抽出する。
有機層を合わせて水洗した後、硫酸ナトリウムで乾燥
し、真空下で溶媒を留去して、(R,S)−2−(2−メ
トキシフェノキシメチル)−3−[(β−ピリジルメチ
ルカルバモイル)アセチル]−1,3−チアゾリジン5.6g
の油状残渣を得る。
この化合物4.73gの酢酸エチル40ml溶液をフマル酸1.37g
のメタノール溶液14mlで処理する。混合物を濾過して、
ジエチルエーテル150mlで希釈し、2時間かけて0〜5
℃に冷却し、(R,S)−2−(2−メトキシフェノキシ
メチル)−3−[(β−ピリジルメチルカルバモイル)
アセチル]−1,3−チアゾリジンのヘミフマル酸塩を得
る。
同様にして、3−カルボキシアセチル−1,3−チアゾリ
ジン誘導体を原料として下記の化合物が製造される。
(+)−2−(メトキシフェノキシメチル)−3−
[(β−ピリジルメチルカルバモイル)アセチル]−1,
3−チアゾリジン (−)−2−(2−メトキシフェノキシメチル)−3−
[(β−ピリジルメチルカルバモイル)アセチル]−1,
3−チアゾリジン (R,S)−2−(2−アリルオキシフェノキシメチル)
−3−[(β−ピリジルメチルカルバモイル)アセチ
ル]−1,3−チアゾリジン (R,S)−2−(プロパルギルオキシフェノキシメチ
ル)−3−[(β−ピリジルメチルカルバモイル)アセ
チル]−1,3−チアゾリジン (R,S)−2−(メトキシフェニルチオメチル)−3−
[(β−ピリジルメチルカルバモイル)アセチル]−1,
3−チアゾリジン (+)−2−(メトキシフェニルチオメチル)−3−
[(β−ピリジルメチルカルバモイル)アセチル]−1,
3−チアゾリジン 実施例10 ジシクロヘキシルカルボジイミド5.34gを4−メチル−
ピペラジン2.82gと(R,S)−2−(メトキシフェノキシ
メチル)−3−カルボキシアセチル−1,3−チアゾリジ
ン8gの無水酢酸エチル80ml溶液に加える。混合液を40℃
で3時間加熱し、冷却後、N,N′−ジシクロヘキシル尿
素の沈澱物を濾過により除去する。濾液の有機層を2N硫
酸水溶液で数回洗浄し、廃棄する。酸性抽出水溶液を合
わせ、pH9のアルカリ性とし、酢酸エチルにより抽出
し、通常の方法で処理をして、融点78〜80℃の(R,S)
−2−(2−メトキシフェノキシメチル)−3−[(4
−メチル−1−ピペラジニル)カルボニルアセチル]−
1,3−チアゾリジン7gを得る。
同様にして、原料の3−カルボキシアセチル−1,3−チ
アゾリジン誘導体を適切なアミンと反応させると、下記
の化合物が製造される。
(R,S)−2−(2−メトキシフェニルエチル)−3−
[α−(1−ピペリジニルカルボニル)アセチル]−1,
3−チアゾリジン (R,S)−2−(2−メトキシフェノキシメチル)−3
−[α−(1−ピペリジニルカルボニル)アセチル]−
1,3−チアゾリジン (R,S)−2−(2−メトキシフェノキシメチル)−3
−[α−(1−モルホリニルカルボニル)アセチル]−
1,3−チアゾリジン (R,S)−2−(2−メトキシフェニルチオメチル)−
3−[α−(1−モルホリニルカルボニル)アセチル]
−1,3−チアゾリジン (R,S)−2−(2−メトキシフェノキシメチル)−3
−[(4−ベンジル−1−ピペラジニル)カルボニルア
セチル]−1,3−チアゾリジン (R,S)−2−(2−メトキシフェノキシメチル)−3
−[(4−ベンズヒドリル−1−ピペラジニル)カルボ
ニルアセチル]−1,3−チアゾリジン (R,S)−2−(2−メトキシフェノキシメチル)−3
−[[4−ビス−(4−フルオロフェニル)メチル−1
−ピペラジニル]カルボニルアセチル]−1,3−チアゾ
リジン (R,S)−2−(2−メトキシフェニルチオメチル)−
3−[(4−ヘキサヒドロベンジル−1−ピペラジニ
ル)カルボニルアセチル]−1,3−チアゾリジン 実施例11 攪拌しながら、(R,S)−2−(2−メトキシフェノキ
シメチル)−1,3−チアゾリジン4.5gの0℃に冷却した
アセトン50ml溶液にジケテン5mlを滴下する。混合液を
0℃で1時間攪拌し、更に15〜18℃で2時間攪拌する。
反応混合液を5%炭酸水素ナトリウム水溶液10mlで希釈
し、真空下で過剰アセトンを留去した後、残渣を水と酢
酸エチル(20:60)に分配する。
有機層を分離し、0.5N硫酸水溶液により洗浄する。真空
下で溶媒を留去した後、油状残渣6gをシリカ(100g、溶
出液;ヘキサン−酢酸エチル2:1)クロマトグラフィに
より精製して、融点61〜63℃の(R,S)−2−(2−メ
トキシフェノキシメチル)−3−(3−オキソブタノイ
ル)−1,3−チアゾリジン4.2g得る(エチルエーテルか
ら)。
実施例12 3−(β−ピリジル)−3−オキソプロピオン酸0.165g
のテトラヒドロフラン4ml溶液をカルボニルジイミダゾ
ール0.18gのテトラヒドロフラン4ml溶液に加え、5〜10
℃で25分間撹拌する。この混合液に(R,S)−2−(2
−メトキシフェノキシメチル)−1,3−チアゾリジン0.2
gのテトラヒドロフラン5ml溶液を滴下し、室温で1晩放
置する。
その後、真空下で溶媒を留去し、残渣をシリカに吸着さ
せる。ヘキサン−酢酸エチル(2:1)で溶出して、(R,
S)−2−(2−メトキシフェノキシメチル)−3−
(3−β−ピリジル−3−オキソプロパノイル)−1,3
−チアゾリジンを0.28g得る。
同様にして、1、3−チアゾリジン誘導体を適切なβ−
ケト酸と反応させると、下記の化合物が製造される。
(R,S)−2−(2−メトキシフェノキシメチル)−3
−(3−フェニル−3−オキソプロパノイル)−1,3−
チアゾリジン (R,S)−2−(2−メトキシフェニルチオメチル)−
3−(3−フェニル−3−オキソプロパノイル)−1,3
−チアゾリジン (R,S)−2−(2−メトキシフェノキシメチル)−3
−(3−シクロヘキシル−3−オキソプロパノイル)−
1,3−チアゾリジン (R,S)−2−(2−メトキシフェニルエチル)−3−
(3−シクロヘキシル−3−オキソプロパノイル)−1,
3−チアゾリジン 実施例13 (R,S)−2−(2−メトキシフェノキシメチル)−3
−エトキシカルボニルアセチル−1,3−チアゾリジン1g
の33%メチルアミン溶液を含有するエタノール8ml溶液
を35〜40℃で6時間加熱する。次いで、冷却して30%リ
ン酸二水素ナトリウム水溶液20mlにより希釈した後、混
合液をジクロロメタン(2×15ml)で抽出する。有機層
を合わせ、2N硫酸水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液及
び水によって洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒
を留去後、残渣を酢酸エチルで結晶化して、融点136〜1
38℃の(R,S)−2−(2−メトキシフェノキシメチ
ル)−3−(N−メチルカルバモイルアセチル)−1,3
−チアゾリジンを0.8g得る。
実施例14 ジエチルアミノエチルアミン10.3mlと(R,S)−2−
(2−メトキシフェノキシメチル)−3−エトキシカル
ボニルアセチル−1,3−チアゾリジン5gのエタノール50m
l溶液を48時間還流する。その後、溶媒を留去し、残渣
を酢酸エチルと硫酸水溶液に分配する。有機層を廃棄
し、酸性水層を合わせpH8.5のアルカリ性とし、酢酸エ
チルで抽出する。有機抽出液を合わせ、通常の方法で処
理後、蒸気乾固し、残渣をエチルエーテルで結晶化し
て、融点63〜66℃(R,S)−2−(2−メトキシフェノ
キシメチル)−3−[N−(ジエチルアミノエチル)カ
ルバモイルアセチル]−1,3−チアゾリジンを2.1g得
る。
実施例15 シクロヘキシルメチルアミン1.13gの酢酸エチル20ml溶
液と炭酸水素カリウム1.01gの水溶液5mlを激しく攪拌し
ながら、この混合液にエチルマロニルクロリド1.5gの酢
酸エチル5ml溶液を加える。1時間後に水層と有機層を
分離し、有機層を水洗して溶媒を除いた後に、粗製残渣
のエタノール20ml溶液を1N水酸化ナトリウム水溶液10ml
で1時間処理する。
少量まで濃縮した後に、混合液を水で希釈し、酢酸エチ
ルで抽出する。抽出液を廃棄し、水層を37%塩酸水溶液
でpH2の酸性とし、酢酸エチルで抽出する。有機抽出液
を合わせ、水洗、蒸発乾固、乾燥して、N−シクロヘキ
シルメチルマロン酸モノアミドを2.1g得る。
この化合物の無水テトラヒドロフラン20ml溶液を0℃で
カルボニルジイミダゾール2gで処理し、1時間攪拌し、
次いで(R,S)−2−(2−メトキシフェノキシメチ
ル)−1,3−チアゾリジン2.2gを加えた後、混合液を3
時間攪拌する。溶媒を除去した後に、残渣をシリカゲル
カラムに吸着させ、ヘキサン−酢酸エチル(2:1)で溶
出して、(R,S)−2−(2−メトキシフェノキシメチ
ル)−3−[N−(シクロヘキシルメチル)カルバモイ
ルアセチル]−1,3−チアゾリジン3.45gを得る。
実施例16 雄のモルモット(400〜450g)にエチルウレタン(腹腔
内投与)及び臭化パンクロニウム(静注)で麻酔をかけ
る。気管にカニューレを挿入し、肺をロデント(Roden
t)呼吸器(Basile mod.7025装置)に接続して一定の容
量で通気する。肺膨張圧(PIP)をベックマンダイノグ
ラフ(mod.R611)に接続しベルアンドハウエル圧力変換
器(Bell ando Howell pressure transducer)(mod.P1
7570)の気管カニューレの側腕に接続して計測する。右
頚部静脈にオータコイドと薬剤を静注するためにカテー
テルを挿入する。薬理実験は、PIPの増加により測定さ
れる可逆的な気管支収縮反応を誘導するために、先ずオ
ータコイド(例えば間隔をあけて行う静注2.5-10mcg/kg
によるアセチルコリン)で動物を処理することから始め
る。この増加を記録し、これをオータコイドに対する動
物の気管支収縮反応の基礎値を表わすものとする。
次いで、動物を火の付いた紙巻タバコの煙に10分間積極
的にさらす(動物に直接吸い込ませる)。その後、動物
に基礎気管支収縮反応を引き起こすために再度オータコ
イドを前と同量投与する。この新たな投与は気管支収縮
反応の悪化を引き起こし、気道過剰反応をたばこの煙に
さらした後のPIPの増加の差として基礎値に基づいて測
定する。この投与は、再生可能な過剰反応が得られまで
の時間内(タバコの煙にさらしてから、更に2−3時
間)、またはタバコの煙にさらしてから何度か繰り返
す。
実験の終わりに及び/又は煙にさらした後の望ましい時
間に動物を解剖し、その気管支−肺組織を気管に生理ア
ルカリ溶液(10ml×3回)を注入して洗浄することによ
り検査する。これらのBAL液を合わせ、15分間150gの遠
心分離にかけ、生理食塩水(1ml)中に懸濁するペレッ
トを得る。BAL液の細胞総数をバーチャー(Burcher)カ
メラで計測する。
各サンプルについて少なくとも細胞数300をカウントす
るDiff-Quick(登録商標)で着色し遠心分離した調整細
胞から、特異的なものを計測し、上皮細胞、好中球、好
塩基球、リンパ球、マクロファージの%数を算出する。
物質は、静注、経口、皮下または筋肉投与により、タバ
コの煙にさらされる前に何度か投与してよい。化合物は
悪化によるPIP増加がほとんど完全に阻止できる場合及
び同量の投与でBAL細胞の細胞パターンが正常化した場
合に効果があるとみなされる。
オータコイド投与の後の基礎値を越えるPIPの150〜200
%の範囲の特異的な増加は、動物対照群(即ち、いずれ
の薬理的処置も行わないグループ)を煙にさらした後に
観察される。
薬物投与は、異なる投与方法、即ち、静脈、経口、皮下
及び/又は筋肉下により実施してよい。薬物は煙にさら
す前に異なる投与量で何度か投与してもよい。
投与量と反応の関係は6α−メチル−プレドニソロン−
21−ヘミコハク酸ナトリウム塩(6MPHE、筋肉注射、7
時間b.s.l.)、ナトリウムジクロモグリケート(DSCG、
筋肉注射、2時間b.s.e.)及び、サルブタモール(静
注、煙にさらす20分前)のような対照薬を基準にして算
出した。表5に示した結果は、過剰反応の防止率として
示されている。50%防止率とは、投与を受けた動物にお
いては、PIPの増加が対照群(グループにつき6匹)に
おけるPIPの増加に対して50%であることを意味する。
(R,S)−2−(2−メトキシフェノキシエチル)−3
−エトキシカルボニルアセチル−1,3−チアゾリジン
(化合物番号7)が、煙にさらされる2時間前に異なる
方法で投与されたとき、この薬理的なモデルにおいて高
い効果が現われる。この化合物及び本発明の他の化合物
(化合物番号10,14)により得られた結果を表6に示
す。
フロントページの続き (72)発明者 ガーリコ リシア イタリー国 I‐20126 ミラノ市 ヴィ ア エス.ウグツォーネ 5 (72)発明者 ルマチ ブルノ イタリー国 I‐20126 ミラノ市 ヴィ ア エス.ウグツォーネ 5 (72)発明者 トグネーラ セルジオ イタリー国 I‐20126 ミラノ市 ヴィ ア エス.ウグツォーネ 5 (56)参考文献 特開 昭64−29370(JP,A) 特開 昭61−63669(JP,A)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I) 〔式中、Rは、水素、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分
    岐状のアルキル、アリル又はプロパルギルであり、Xは
    酸素、メチレン又は硫黄であり、R1は−(CH2)nRa、ヒド
    ロキシ、−O(CH2)nRa、−NRbRc、−NH(CH2)mNRbRcから
    なる群から選択される基である。 ここに、Raは、水素、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分
    岐状のアルキル、フェニル、p−メトキシフェニル、3,
    4,5−トリメトキシフェニル、β−ピリジル、シクロペ
    ンチル又はシクロヘキシルであり、Rb、Rcは同一又は異
    なって、水素、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状の
    アルキル、シクロヘキシル、シクロペンチル、ベンジ
    ル、ヘキサヒドロベンジル、α、βもしくはγ−ピリジ
    ルメチルから選択される基であり、あるいはRbとRcは結
    合する窒素原子と一緒になって、モルホリノ、ピペリジ
    ノ又は式Rd-N(CH2-CH2)2-N−(式中、Rdは、水素、炭素
    数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル、ベンジ
    ル、ヘキサヒドロベンジル、ベンズヒドリル(C6H5)2CH
    −、ビス−(p−フルオロフェニル)メチル(p-F-C6H4)
    2CH−又はβ−ピリジルメチルである。)で示されるピ
    ペラジノ残基を形成してもよい。mは2又は3、nは0
    又は1から3までの整数である。〕 で表わされる1,3−チアゾリジンのβ−カルボニルカル
    ボキシアミド化合物。
  2. 【請求項2】Xが酸素である請求項1記載の1,3−チア
    ゾリジンのβ−カルボニルカルボキシアミド化合物。
  3. 【請求項3】Rがメチルである請求項1記載の1,3−チ
    アゾリジンのβ−カルボニルカルボキシアミド化合物。
  4. 【請求項4】R1がメチル、エトキシ、ヒドロキシ、アミ
    ノメチル、ジエチルアミノ−エチルアミノ、4−メチル
    ピペラジノ、β−ピリジルエチルアミノからなる群から
    選択される基である請求項1〜3のいずれかに記載の1,
    3−チアゾリジンのβ−カルボニルカルボキシアミド化
    合物。
  5. 【請求項5】一般式(II) (式中、R、Xは、請求項1に定義した通りである。)
    で表わされる1,3−チアゾリジン誘導体を一般式(III) R′1CO-CH2-COOH (III) (式中、R′1は請求項1においてR1として定義した通
    りか又はR1に変換可能な基である。)で表わされるβ−
    カルボニルカルボン酸誘導体又はそのカルボン酸の反応
    性誘導体を反応させ、場合により得られた化合物を a)R′1がR1と異なるときは、置換基R′1を置換基R1
    変換する、 b)R′1がR1のときは、置換基R′1を他の置換基R1に変
    換する、 c)前記一般式(I)で表わされる化合物の塩及び/又は
    溶媒和物を形成する、 d)前記一般式(I)で表わされる化合物の立体異性体を
    分離する、 の工程a)〜d)の1つ又はそれ以上に付すことを特徴とす
    る請求項1記載の一般式(I)で表わされる1,3−チア
    ゾリジンのβ−カルボニルカルボキシアミド化合物の製
    造方法。
  6. 【請求項6】ジケテンをアセト酢酸CH3-COCH2CO2Hの反
    応性誘導体として用いることを特徴とするR1がメチルで
    ある一般式(I)の請求項5記載の1,3−チアゾリジン
    のβ−カルボニルカルボキシアミド化合物の製造方法。
  7. 【請求項7】鎮咳剤として用いられる請求項1〜4のい
    ずれかに記載の1,3−チアゾリジンのβ−カルボニルカ
    ルボキシアミド化合物。
  8. 【請求項8】請求項1〜4のいずれかに記載の1,3−チ
    アゾリジンのβ−カルボニルカルボキシアミド化合物を
    活性物質として含有し、薬理的に許容されるビヒクルと
    混合したことを特徴とする鎮咳剤。
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