JPH0688119B2 - ダイカスト鋳造法 - Google Patents

ダイカスト鋳造法

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JPH0688119B2
JPH0688119B2 JP63129366A JP12936688A JPH0688119B2 JP H0688119 B2 JPH0688119 B2 JP H0688119B2 JP 63129366 A JP63129366 A JP 63129366A JP 12936688 A JP12936688 A JP 12936688A JP H0688119 B2 JPH0688119 B2 JP H0688119B2
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明はダイカスト鋳造法に関するものである。
<従来の技術> 鋳造方法にはグラビティ鋳造法やダイカスト鋳造法,低
圧鋳造法等、種々あるが、夫々一長一短がある。即ち、
グラビティ鋳造法や低圧鋳造法では溶湯を低圧低速でキ
ャビティ内に充填させるため、緻密で機械的性質,耐圧
性に優れた鋳物を鋳造できる反面、製品形状や製品肉厚
に制約があると共に生産性が悪い不具合があり、またダ
イカスト鋳造法では溶湯を高速高圧でキャビティ内に充
填させるため、きれいな鋳肌で寸法精度の高い鋳物を生
産性良く鋳造することが出来る反面、射出スリーブ内や
キャビティ内のガスを巻き込み、ピンホールや鋳巣がで
きやすく、均一な高品質の高信頼性のある鋳物を鋳造す
ることが難しい不具合がある。
<発明が解決しようとする課題> 本発明はこの様な従来法の不具合に鑑みてなされたもの
であり、鋳巣など欠陥の少ない健全高品質の鋳物を高い
生産性でもって鋳造することが出来る新規なダイカスト
鋳造法を提供せんとするものである。
<課題を解決するための手段> 斯る目的を達成する本発明ダイカスト鋳造法は、金型の
キャビティ表面に粉状断熱剤を粉状のまま塗布せしめ
て、キャビティ表面に粉状断熱材と空気とからなる断熱
層を形成せしめ、然る後該キャビティ内に溶湯を低速で
充填させ、充填完了後溶湯に高圧を加えるようにした事
を特徴としたものである。
<作 用> 金型のキャビティ表面に粉状断熱剤を塗布せしめること
により、キャビティ表面に粉状断熱剤と空気とからなる
断熱層が形成され、然る後に該キャビティ内に溶湯を低
速で充填させることにより溶湯は初めキャビティ表面に
直接接触することがなく、加えて上記断熱層が持つ保温
作用と相乗して、キャビティ内に充填された溶湯の凝固
が抑制され、然して充填完了後溶湯に高圧を加えること
により上記断熱層が薄くなると同時に溶湯が上記断熱層
からしみ出てキャビティ表面に接触し、その結果キャビ
ティ内に充填された溶湯が急速に凝固して鋳造されるも
のである。
<実施例> 金型のキャビティ表面に塗布せしめる粉状断熱剤として
は、溶湯と非反応性の粉体、詳しくは例えばボロンや滑
石等の帯電性を有する粉体、或いは金属酸化物や金属硫
化物,金属チッ化物等の粉体、又はこれら粉体に樹脂粉
を混合させた粉体などを使用し得る。尚、上記に挙げた
粉体のなかでも特に、キャビティからの鋳造品の離型性
を効果的に図る上で、粉体状態でもって自己潤滑性を有
する粉体を使用することが好ましい。又、粉状断熱剤の
粒径としては、粒径が大きくなるとキャビティ表面に塗
布した粉体が剥落し易くなるので0.2mm前後以下とする
ことが好ましい。
そして、粉状断熱剤を金型のキャビティ表面に塗布させ
る方法としては、エアー等のガスをキャリアとしたスプ
レー法や、或いは静電気を利用した静電塗布法、若しく
はロージンバックのように粉状断熱剤を布袋内に入れて
摺り付けたり叩き付けて塗布する方法などが考えられる
が、金型のキャビティ表面に粉状断熱剤を金型温度の高
低に関係なく容易に且つむらなく均等な厚味で塗布しや
すい静電塗布法が最も好ましい。又、金型のキャビティ
表面に塗布する粉状断熱剤の厚味、換言すれば粉状断熱
剤と空気とで形成される断熱層の厚味は、粉状断熱剤の
粒径によっても異なるが格別な制約はなく、金型のキャ
ビティ内に給湯充填された溶湯をある時間(長くとも数
秒間)保温し得る程度にできるだけ薄く設定することが
好ましい。第1図は金型のキャビティ表面に塗布した粉
状断熱剤の状態を説明する模式図を示し、図中1はキャ
ビティ、2は粉状断熱剤、3は空気(微細な粉状断熱剤
と粉状断熱剤とで形成される空隙)、4は粉状断熱剤2
と空気3とで形成された断熱層である。
而して、金型のキャビティ表面に粉状断熱剤を鋳造サイ
クル毎に塗布させて、キャビティ表面に粉状断熱剤と空
気とからなる断熱層を形成せしめ、然る後にキャビティ
内に溶湯を射出スリーブから低速で射出充填させる。こ
の時、射出スリーブの内面にも粉状断熱剤を塗布せしめ
ておくことにより、射出スリーブ内に給湯した溶湯を、
金型のキャビティ内へ射出充填するまでの間(長くとも
数秒間)、凝固することなく保持させることが出来、そ
の結果射出速度を従来法よりも大巾に遅く(例えば、0.
05m/s〜1m/s)しても湯廻りが良好で、高品質の鋳造品
を安定して鋳造することが出来るようになる。又、射出
スリーブからキャビティ内へ溶湯を射出充填させる際に
は、従来のグラビティ鋳造法や低圧鋳造法とほぼ同じ
く、1m/s前後以下の低速でもってゆっくりと射出充填さ
せるものである。充填速度をあまり速くすると、キャビ
ティ内のガスを巻き込み易くなると共に、キャビティ表
面に形成された断熱層(粉状断熱剤)が溶湯の流れる勢
いでもって剥離する虞れが生じる。
そして、金型のキャビティ内に溶湯を充填した後、湯道
を閉鎖して当該溶湯に例えばピンを押し込む等して高圧
を加える。すると、金型のキャビティ表面に形成された
断熱層が溶湯の圧力でもって押し潰されて薄くなると同
時に溶湯が断熱層からしみ出てキャビティ表面に接触
し、その結果キャビティ内に充填された溶湯が急速に凝
固して鋳造される。尚、キャビティ内の溶湯に高圧を加
える際、溶湯に高圧を加えるためのピンなどをゲート部
に設定することにより、鋳造後の湯口切断を容易ならし
めることが出来る。
<発明の効果> 本発明ダイカスト鋳造法は斯様に、金型のキャビティ表
面に粉状断熱剤を塗布せしめ、然る後該キャビティ内に
溶湯を低速で充填させ、充填完了後溶湯に高圧を加える
ようにしたので、以下の効果を奏する。
金型のキャビティ内に溶湯を充填した際に、溶湯が
キャビティ表面に直接接触することがなく、加えて粉状
断熱剤と空気とで形成された断熱層が持つ断熱保温作用
が相乗して、キャビティ内に充填した溶湯の急速な凝固
を抑制することが出来る。従って、湯廻りが良好となり
且つ焼き付きがなくなり、複雑な形状をした鋳造品や薄
肉の鋳造品でも安定して鋳造することが出来、しかも充
填速度を大巾に遅くしても鋳肌の良好な欠陥の少ない鋳
物を鋳造することが出来る。
金型のキャビティ表面の急激な温度衝撃を和らげる
ことが出来るので、金型の寿命を大巾に延すことが出来
る。
粉状断熱剤として自己潤滑性を有する粉体を用いる
ことにより、金型キャビティへの離型剤塗布工程並びに
エアーブロー工程を省略することが出来、従って鋳造サ
イクルの短縮化を図ることが出来ると共に、従来のよう
な液状のキャリアを用いた離型剤を塗布しなくとも済む
ので、離型剤による環境悪化や、離型剤中のキャリアが
原因のガス巻き込み及びエアーブロー不足による水残り
不良などを起す虞れが全くなくなり、製品の品質を向上
させることが出来る。
金型のキャビティ内に溶湯を低速で充填させるよう
にしたので、充填中のガスの巻き込みがなく、鋳巣やピ
ンホールの少ない高品質高信頼性の鋳物を安定して鋳造
することが出来る。
低速充填する場合、従来法では湯廻り不良を来たす
虞れから適切な充填時間と充填速度の範囲が極く狭かっ
たが、本発明方法ではキャビティ内に充填した溶湯の急
速な凝固を抑制することが出来るので、適切な充填時間
と充填速度の範囲を大巾に広く採れ、鋳造条件を緩和さ
せることが出来る。
金型キャビティ内に溶湯を充填完了後溶湯に高圧を
加えるようにしたので、キャビティ表面に形成された粉
状断熱剤と空気とで形成された断熱層が溶湯の圧力でも
って押し潰されて薄くなると同時に溶湯が断熱層からし
み出てキャビティ表面に接触し、急速に凝固され、従っ
て全体の鋳造サイクルタイムは高圧ダイカスト法と同程
度とすることが出来ると共に、添付図面代用組織写真で
明らかなように、高圧ダイカスト法と同程度の緻密な鋳
造品を寸法精度良く鋳造することが出来る。
以上総じて本発明ダイカスト鋳造法によれば、従来
のグラビティ鋳造法及び低圧鋳造法の長所である緻密で
機械的性質,耐圧性に優れた欠陥の少ない高信頼性の鋳
物を、高圧ダイカスト鋳造法の長所である複雑な形状の
製品でもきれいな鋳肌で高い生産性と寸法精度でもって
鋳造することが出来るものである。
よって所期の目的を達成し得る。
【図面の簡単な説明】
第1図はキャビティ表面に粉状断熱剤を塗布した状態を
説明する模式図、第2図は本発明に係る鋳造法で鋳造し
た鋳造品の凝固組織を示す写真、第3図は本発明に係る
鋳造法においてキャビティ内に充填した溶湯に高圧を加
えなかった場合の凝固組織を示す写真、第4図は従来の
高圧ダイカスト鋳造法により鋳造した鋳造品の凝固組織
を示す写真である。 図中、1はキャビティ、2は粉状断熱剤、である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金型のキャビティ表面に粉状断熱剤を粉状
    のまま塗布せしめて、キャビティ表面に粉状断熱剤と空
    気とからなる断熱層を形成せしめ、然る後該キャビティ
    内に溶湯を低速で充填させ、充填完了後溶湯に高圧を加
    えるようにした事を特徴とするダイカスト鋳造法。
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