JPH0637707B2 - 耐フレーキング性に優れた多層めっき鋼板 - Google Patents
耐フレーキング性に優れた多層めっき鋼板Info
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- JPH0637707B2 JPH0637707B2 JP63328714A JP32871488A JPH0637707B2 JP H0637707 B2 JPH0637707 B2 JP H0637707B2 JP 63328714 A JP63328714 A JP 63328714A JP 32871488 A JP32871488 A JP 32871488A JP H0637707 B2 JPH0637707 B2 JP H0637707B2
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、プレス成形性に優れためっき鋼板、より具
体的には高面圧摺動による焼きつきに起因するめっき皮
膜のフレーキングがなく、特に張り出し、深絞り、摺動
等が複雑に関与する加工を受ける自動車車体用鋼材とし
て好適な多層めっき鋼板に関する。
体的には高面圧摺動による焼きつきに起因するめっき皮
膜のフレーキングがなく、特に張り出し、深絞り、摺動
等が複雑に関与する加工を受ける自動車車体用鋼材とし
て好適な多層めっき鋼板に関する。
(従来の技術) 自動車外装材などに広く使用される耐食性鋼材のひとつ
に亜鉛系合金めっき鋼板がある。このめっき鋼材は、鋼
材に亜鉛もしくはAl、Si、Ti、Cr、Mn、Mg、Zr、Ca、B
a、Cu、Ni、Co、Sb、Sn等の1種以上を含む亜鉛合金
を、電気めっき、溶融めっき、真空蒸着、イオンプレー
ティング等のプロセスにより被覆した後、熱拡散処理
(溶融塩浸漬加熱、可燃性ガス燃焼加熱、レーザービー
ム加熱、N2+H2混合ガス雰囲気加熱、赤外線加熱、電気
抵抗加熱、電磁誘導加熱等)して、めっき層と鋼素地と
の相互拡散を行わせしめ、めっき層をZn−Fe又はZn−Fe
−X(Xは前記の元素)合金化することにより得られる
ものである。そして、このZn−Fe系合金めっき鋼板は優
れた耐食性をもち、特に亜鉛又は亜鉛合金めっきを溶融
めっき法で施す場合は、比較的安価に量産できるため、
多くの産業分野で賞用されている。
に亜鉛系合金めっき鋼板がある。このめっき鋼材は、鋼
材に亜鉛もしくはAl、Si、Ti、Cr、Mn、Mg、Zr、Ca、B
a、Cu、Ni、Co、Sb、Sn等の1種以上を含む亜鉛合金
を、電気めっき、溶融めっき、真空蒸着、イオンプレー
ティング等のプロセスにより被覆した後、熱拡散処理
(溶融塩浸漬加熱、可燃性ガス燃焼加熱、レーザービー
ム加熱、N2+H2混合ガス雰囲気加熱、赤外線加熱、電気
抵抗加熱、電磁誘導加熱等)して、めっき層と鋼素地と
の相互拡散を行わせしめ、めっき層をZn−Fe又はZn−Fe
−X(Xは前記の元素)合金化することにより得られる
ものである。そして、このZn−Fe系合金めっき鋼板は優
れた耐食性をもち、特に亜鉛又は亜鉛合金めっきを溶融
めっき法で施す場合は、比較的安価に量産できるため、
多くの産業分野で賞用されている。
しかしながら、自動車外装材のように、複雑で高度の成
形加工を受ける部材の素材としては、次に述べるような
問題がある。
形加工を受ける部材の素材としては、次に述べるような
問題がある。
上記のように、この種のめっき鋼板は、亜鉛めっき又は
亜鉛合金めっきを施した後、熱拡散処理によって合金化
することに特徴がある。Zn−Fe合金相は、合金化度によ
って、η相、ξ相、δ1相、Γ相等の数種の組み合わせ
から成る。Fe含有量が低い程、軟質のη相、ξ相が多く
なり、脆いδ1相、Γ相は少くなる。合金化がすすみ過
ぎためっき皮膜ではFe合金量の高い相の比率が高くな
り、皮膜が脆くなって第1図(a)に示すようなプレス成
形の際に皮膜表層部が微粉状に剥離する現象、いわゆる
パウダリングが起こりやすいことが知られている。
亜鉛合金めっきを施した後、熱拡散処理によって合金化
することに特徴がある。Zn−Fe合金相は、合金化度によ
って、η相、ξ相、δ1相、Γ相等の数種の組み合わせ
から成る。Fe含有量が低い程、軟質のη相、ξ相が多く
なり、脆いδ1相、Γ相は少くなる。合金化がすすみ過
ぎためっき皮膜ではFe合金量の高い相の比率が高くな
り、皮膜が脆くなって第1図(a)に示すようなプレス成
形の際に皮膜表層部が微粉状に剥離する現象、いわゆる
パウダリングが起こりやすいことが知られている。
一方、皮膜中のFe含有量を少なくすればパウダリングを
抑制することができる。ところが、耐パウダリング性の
改善だけを目的として、Zn−Fe合金皮膜の軟質化を図る
ために合金化層のFe含有量を下げていくと、低融点金属
間化合物であるη相やξ相の比率が高くなり、プレス成
形の際に金型との焼きつきによる表面剪断力によって合
金めっき層が、第1図(b)に示すように母材鋼板との界
面から剥離するフレーキング現象が生じる。
抑制することができる。ところが、耐パウダリング性の
改善だけを目的として、Zn−Fe合金皮膜の軟質化を図る
ために合金化層のFe含有量を下げていくと、低融点金属
間化合物であるη相やξ相の比率が高くなり、プレス成
形の際に金型との焼きつきによる表面剪断力によって合
金めっき層が、第1図(b)に示すように母材鋼板との界
面から剥離するフレーキング現象が生じる。
(発明が解決しようとする課題) 本発明の目的は、Zn−Fe系合金化層を有する亜鉛系めっ
き鋼板であって、塑性変形破壊によるパウダリングと高
面圧摺動による焼きつきに起因するフレーキングとがと
もに少ない、即ち、耐パウダリング性と耐フレーキング
性とを兼備するプレス成形性に極めて優れためっき鋼板
を提供することにある。
き鋼板であって、塑性変形破壊によるパウダリングと高
面圧摺動による焼きつきに起因するフレーキングとがと
もに少ない、即ち、耐パウダリング性と耐フレーキング
性とを兼備するプレス成形性に極めて優れためっき鋼板
を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 焼きつきが起こる理由は、固体間ですべり合う際に、固
体表面は原子レベルよりもはるかに大きな凹凸(表面粗
さ)があるため、真の接触面積は見掛けの投影面積より
極めて小さく、高面圧荷重により局部的な接触点が塑性
変形、流動を起こし、局所的に表面温度上昇が生じ、固
体間凝着(焼付)に至るのである。
体表面は原子レベルよりもはるかに大きな凹凸(表面粗
さ)があるため、真の接触面積は見掛けの投影面積より
極めて小さく、高面圧荷重により局部的な接触点が塑性
変形、流動を起こし、局所的に表面温度上昇が生じ、固
体間凝着(焼付)に至るのである。
本発明者らは、金型とZn−Fe系合金化層との間、即ち、
Zn−Fe系合金皮膜の上にCr基又はNi基の上層皮膜を施す
ことにより、高面圧摺動による凝着及び溶着を効果的に
抑制することができることを確認した。
Zn−Fe系合金皮膜の上にCr基又はNi基の上層皮膜を施す
ことにより、高面圧摺動による凝着及び溶着を効果的に
抑制することができることを確認した。
ここに本発明の要旨は、「母材鋼板の少なくとも片面
に、Fe含有量が30重量%以下のZn−Fe系合金の下層皮膜
と、その上に付着量が1〜10000mg/m2であるCr基又は付
着量が10〜10000mg/m2であるNi基の上層皮膜とを有する
耐フレーキング性に優れた多層めっき鋼板」にある。
に、Fe含有量が30重量%以下のZn−Fe系合金の下層皮膜
と、その上に付着量が1〜10000mg/m2であるCr基又は付
着量が10〜10000mg/m2であるNi基の上層皮膜とを有する
耐フレーキング性に優れた多層めっき鋼板」にある。
本発明において、上記Cr基の上層皮膜としては、次のよ
うなめっき層が好ましい。即ち、金属Crめっき層および
Cr、FeおよびZnを含み、更に酸素、Sの1種以上を含有
し、酸素とSの合計含有量が5〜50重量%、Zn含有量と
Fe含有量の比が重量比で0.10以上、およびCr含有量とFe
含有量の比が重量比で0.10以上であるめっき層、また、
Ni基の上層皮膜としては、P、BおよびSの1種又は2
種以上を0.0001〜50重量%含んだNi合金めっき層或いは
Ni−Zn合金めっき層が好ましい。
うなめっき層が好ましい。即ち、金属Crめっき層および
Cr、FeおよびZnを含み、更に酸素、Sの1種以上を含有
し、酸素とSの合計含有量が5〜50重量%、Zn含有量と
Fe含有量の比が重量比で0.10以上、およびCr含有量とFe
含有量の比が重量比で0.10以上であるめっき層、また、
Ni基の上層皮膜としては、P、BおよびSの1種又は2
種以上を0.0001〜50重量%含んだNi合金めっき層或いは
Ni−Zn合金めっき層が好ましい。
また、これらの上層皮膜の上に更に付着量が金属Crで1
〜500mg/m2であるCr化合物層を施した多層めっき鋼板と
すれば、耐フレーキング性とともに塗膜の耐水密着性を
も改善することができる。
〜500mg/m2であるCr化合物層を施した多層めっき鋼板と
すれば、耐フレーキング性とともに塗膜の耐水密着性を
も改善することができる。
(作用) 第2図は、本発明にかかる多層めっき鋼板の概念を示す
一部断面模式図である。
一部断面模式図である。
図示するように本発明を多層めっき鋼板は、母材鋼板
(1)の上にZn−Fe系合金の下層皮膜(2)があり、その上に
Cr基又はNi基の上層皮膜(3)がある。
(1)の上にZn−Fe系合金の下層皮膜(2)があり、その上に
Cr基又はNi基の上層皮膜(3)がある。
母材鋼板(1)は、通常の亜鉛めっき鋼板の母材となる冷
延鋼板又は熱延鋼板である。その材質には特に制約はな
い。一般的にはプレス成形性のよいAlキルド鋼、極低炭
素Ti鋼、Nb添加鋼、OCA脱炭Alキルド鋼、遅時効性R
BH鋼などが使用される。
延鋼板又は熱延鋼板である。その材質には特に制約はな
い。一般的にはプレス成形性のよいAlキルド鋼、極低炭
素Ti鋼、Nb添加鋼、OCA脱炭Alキルド鋼、遅時効性R
BH鋼などが使用される。
下層皮膜は、母材鋼板の少なくとも片面に、電気めっ
き、溶融めっき、真空蒸着、イオンプレーティング等の
プロセスにより、亜鉛又は亜鉛と他の金属を含む亜鉛合
金をめっきした後、熱拡散処理し、めっき層と鋼素地と
の相互拡散を行わせしめて、めっき層をZn−Fe合金化又
はZn−Fe−X(Xは他の元素)合金化することで形成す
る。熱拡散処理はめっき後、引き続いて同ラインで実施
してもよく、又別工程としてバッチ処理してもよい。
き、溶融めっき、真空蒸着、イオンプレーティング等の
プロセスにより、亜鉛又は亜鉛と他の金属を含む亜鉛合
金をめっきした後、熱拡散処理し、めっき層と鋼素地と
の相互拡散を行わせしめて、めっき層をZn−Fe合金化又
はZn−Fe−X(Xは他の元素)合金化することで形成す
る。熱拡散処理はめっき後、引き続いて同ラインで実施
してもよく、又別工程としてバッチ処理してもよい。
前記のZn−Fe−Xの下層皮膜とは、例えば、Zn−Fe−A
l、Zn−Fe−Al−Ti、Zn−Fe−Mn、Zn−Fe−Al−Cr、Zn
−Fe−Al−Cr−Mn、Zn−Fe−Mg、Zn−Fe−Mo、Zn−Fe−
Al−Mg、Zn−Fe−Al−Mg−Mn、Zn−Fe−Mn−Ti、Zn−Fe
−Al−Zr、Zn−Fe−Zr、Zn−Fe−Al−Zr−Mn、Zn−Fe−
Al−Sb、Zn−Fe−Al−Co、Zn−Fe−Al−Y、Zn−Fe−Mg
−Cu、Zn−Fe−Al−Mg−Cu、Zn−Fe−Mn−Cu、Zn−Fe−
Al−Mn−Cu、Zn−Fe−Ni−Ca、Zn−Fe−Al−Ni−Ca、Zn
−Fe−Al−La−Ce、Zn−Fe−Al−Si、Zn−Fe−Al−Ti−
Cr、等である。
l、Zn−Fe−Al−Ti、Zn−Fe−Mn、Zn−Fe−Al−Cr、Zn
−Fe−Al−Cr−Mn、Zn−Fe−Mg、Zn−Fe−Mo、Zn−Fe−
Al−Mg、Zn−Fe−Al−Mg−Mn、Zn−Fe−Mn−Ti、Zn−Fe
−Al−Zr、Zn−Fe−Zr、Zn−Fe−Al−Zr−Mn、Zn−Fe−
Al−Sb、Zn−Fe−Al−Co、Zn−Fe−Al−Y、Zn−Fe−Mg
−Cu、Zn−Fe−Al−Mg−Cu、Zn−Fe−Mn−Cu、Zn−Fe−
Al−Mn−Cu、Zn−Fe−Ni−Ca、Zn−Fe−Al−Ni−Ca、Zn
−Fe−Al−La−Ce、Zn−Fe−Al−Si、Zn−Fe−Al−Ti−
Cr、等である。
下層皮膜の付着量は防食効果を確保するために、およそ
20g/m2以上とするのが望ましい。上限は、主として経済
的な理由からおよそ100g/m2程度とするのがよい。
20g/m2以上とするのが望ましい。上限は、主として経済
的な理由からおよそ100g/m2程度とするのがよい。
下層皮膜の合金化度、即ちFe含有量は熱拡散処理の加熱
温度および加熱時間を調整することで行うことができ
る。温度を高く、又時間を長くすれば、母材鋼板と亜鉛
めっき層又は亜鉛合金めっき層との相互拡散による皮膜
中のFe量が多くなり、Fe含有量の多いZn−Fe系合金皮膜
が得られる。本発明では、皮膜中のFe含有率を30重量%
以下、望ましくは7〜20重量%となるようにする。
温度および加熱時間を調整することで行うことができ
る。温度を高く、又時間を長くすれば、母材鋼板と亜鉛
めっき層又は亜鉛合金めっき層との相互拡散による皮膜
中のFe量が多くなり、Fe含有量の多いZn−Fe系合金皮膜
が得られる。本発明では、皮膜中のFe含有率を30重量%
以下、望ましくは7〜20重量%となるようにする。
下層皮膜中のFe含有量を30重量%以下とするのは、次の
理由による。
理由による。
本発明のめっき鋼板は、Cr基又はNi基の上層皮膜を有す
るのであるが、このCr基又はNi基の上層皮膜は比較的硬
質のものであるからクラックを生じやすく、それ自体は
耐パウダリング性の改善には余り寄与しない。
るのであるが、このCr基又はNi基の上層皮膜は比較的硬
質のものであるからクラックを生じやすく、それ自体は
耐パウダリング性の改善には余り寄与しない。
従って、耐パウダリングの向上のためには、下層皮膜の
Fe含有量を適正な範囲に規制しておくのがよい。
Fe含有量を適正な範囲に規制しておくのがよい。
下層皮膜の合金化がすすみ過ぎてFeの含有量が30重量%
を超えると、脆いZn−Fe系金属間化合物が多くなり、厳
しいプレス深絞り加工やプレスビード部通過の際の曲げ
−曲げ戻し変形によって、めっき層の表面近傍が微細粉
状になって脱離する前記のパウダリングが発生する。ま
た、脱離した微粉は金型に付着堆積し、金型と被加工材
との間の摩擦を高め、プレス枚数の増加とともにかじり
型焼きつきを発生させ、高面圧摺動が付加されるとやが
てはめっき皮膜が母材鋼板との界面から細片状に剥離す
るフレーキングを起こし始める。下層皮膜のFe含有量
を30重量%以下に制限して耐パウダリングを持たせるこ
とは、フレーキングの防止にも役立つのである。また、
下層皮膜を上記のように、Fe含有量の低い軟質のものに
することによって、上層皮膜を含めた全皮膜層の延性
(加工性)をも確保することができるのである。
を超えると、脆いZn−Fe系金属間化合物が多くなり、厳
しいプレス深絞り加工やプレスビード部通過の際の曲げ
−曲げ戻し変形によって、めっき層の表面近傍が微細粉
状になって脱離する前記のパウダリングが発生する。ま
た、脱離した微粉は金型に付着堆積し、金型と被加工材
との間の摩擦を高め、プレス枚数の増加とともにかじり
型焼きつきを発生させ、高面圧摺動が付加されるとやが
てはめっき皮膜が母材鋼板との界面から細片状に剥離す
るフレーキングを起こし始める。下層皮膜のFe含有量
を30重量%以下に制限して耐パウダリングを持たせるこ
とは、フレーキングの防止にも役立つのである。また、
下層皮膜を上記のように、Fe含有量の低い軟質のものに
することによって、上層皮膜を含めた全皮膜層の延性
(加工性)をも確保することができるのである。
上層皮膜は、高面圧摺動による金型との焼きつきによる
フレーキングを防止するため、Cr基又はNi基の皮膜とす
る。
フレーキングを防止するため、Cr基又はNi基の皮膜とす
る。
Cr基又はNi基の上層皮膜が金型との焼付性を向上させる
作用機構は必ずしも学理的に明らかではないが、低融点
で軟質のZnリッチ相であるη相やξ相の表面に、より融
点が高く硬質のCr基又はNi基の上層皮膜がバリヤ層とし
て存在するために、工具から荷重を受けたときの真実接
触点での局部的温度上昇による固体間(金型と下層皮膜
との間)の凝着(溶着)が防止されるからではないかと考
えられる。
作用機構は必ずしも学理的に明らかではないが、低融点
で軟質のZnリッチ相であるη相やξ相の表面に、より融
点が高く硬質のCr基又はNi基の上層皮膜がバリヤ層とし
て存在するために、工具から荷重を受けたときの真実接
触点での局部的温度上昇による固体間(金型と下層皮膜
との間)の凝着(溶着)が防止されるからではないかと考
えられる。
本発明において、Cr基皮膜とは、前記の金属Crめっきお
よびCr、FeおよびZnを含み、更に酸素、Sの1種以上を
含有し、酸素とSの合計含有量が5〜50重量%、Zn含有
量とFe含有量の比が重量比で0.10以上、およびCr含有量
とFe含有量の比が重量比で0.10以上であるめっき層等の
皮膜である。また、Ni基皮膜とは、後述するNi合金めっ
き、Ni−Zn合金めっき等の皮膜である。
よびCr、FeおよびZnを含み、更に酸素、Sの1種以上を
含有し、酸素とSの合計含有量が5〜50重量%、Zn含有
量とFe含有量の比が重量比で0.10以上、およびCr含有量
とFe含有量の比が重量比で0.10以上であるめっき層等の
皮膜である。また、Ni基皮膜とは、後述するNi合金めっ
き、Ni−Zn合金めっき等の皮膜である。
また、これらCr基皮膜およびNi基皮膜は、少量のCo、C
r、Mn、Mo、Ni、Sn、Cd、Sr、Ca、Ba、Mg、Al、B、
S、P、C、N、Si、Bi、Ti、Tl、As、Cu、In、Fe、P
b、Sb、Zr、W等の元素の1種以上を単体、合金もしく
は化合物(酸化物、水酸化物、硫化物、リン化物、ホウ
化物、炭化物、窒化物、水和物等)などの形態で含有す
るものであってもよい。これらの元素を適正量Cr基又は
Ni基の皮膜に含ませることにより耐フレーキング性が改
善される。
r、Mn、Mo、Ni、Sn、Cd、Sr、Ca、Ba、Mg、Al、B、
S、P、C、N、Si、Bi、Ti、Tl、As、Cu、In、Fe、P
b、Sb、Zr、W等の元素の1種以上を単体、合金もしく
は化合物(酸化物、水酸化物、硫化物、リン化物、ホウ
化物、炭化物、窒化物、水和物等)などの形態で含有す
るものであってもよい。これらの元素を適正量Cr基又は
Ni基の皮膜に含ませることにより耐フレーキング性が改
善される。
上層皮膜形成方法としては、CVD、PVD、イオンプ
レーティング法、イオンスパッタリング法などの乾式皮
膜形成法、或いは電解もしくは無電解めっきのような湿
式法のいずれも採用できるが、実生産用には後者が望ま
しい。皮膜厚や組成の制御という面からは、電気めっき
法が最も優れている。
レーティング法、イオンスパッタリング法などの乾式皮
膜形成法、或いは電解もしくは無電解めっきのような湿
式法のいずれも採用できるが、実生産用には後者が望ま
しい。皮膜厚や組成の制御という面からは、電気めっき
法が最も優れている。
上層皮膜をCr基とする場合は、付着量を1〜10000mg/
m2、望ましくは100〜6000mg/m2とするのがよい。また、
Ni基とする場合は、10〜10000mg/m2、望ましくは100〜6
000mg/m2の付着量とするのがよい。
m2、望ましくは100〜6000mg/m2とするのがよい。また、
Ni基とする場合は、10〜10000mg/m2、望ましくは100〜6
000mg/m2の付着量とするのがよい。
Cr基皮膜の付着量が1mg/m2未満或いはNi基皮膜の付着量
が10mg/m2未満では、耐フレーキング性の向上が期待で
きない。一方、Cr基皮膜又はNi基皮膜の付着量が、それ
ぞれ10000mg/m2を超えると経済的な面から好ましくな
い。
が10mg/m2未満では、耐フレーキング性の向上が期待で
きない。一方、Cr基皮膜又はNi基皮膜の付着量が、それ
ぞれ10000mg/m2を超えると経済的な面から好ましくな
い。
本発明において、Cr基皮膜は前記の金属Crめっき皮膜や
Cr−Fe−Zn−S−酸素を含有するめっき皮膜が好まし
い。また、Ni基皮膜はP、BおよびSの1種又は2種以
上を含むNi合金めっき皮膜もしくはNi−Zn合金めっき皮
膜が好ましい。上層皮膜をこのようなめっき層とすれ
ば、高面圧摺動下で真実接触点における固体間凝融着を
抑制することができるので、金型との焼つきが起こらな
い。
Cr−Fe−Zn−S−酸素を含有するめっき皮膜が好まし
い。また、Ni基皮膜はP、BおよびSの1種又は2種以
上を含むNi合金めっき皮膜もしくはNi−Zn合金めっき皮
膜が好ましい。上層皮膜をこのようなめっき層とすれ
ば、高面圧摺動下で真実接触点における固体間凝融着を
抑制することができるので、金型との焼つきが起こらな
い。
Cr−Fe−Zn−S−酸素を含有するめっき層は、Cr−Fe、
Cr−Zn、Fe−Zn、Cr−Fe−Zn等の金属間化合物、又はC
r、Fe、Zn金属の硫化物、酸化物、水酸化物(水和もしく
は無水)等の複雑な混合体よりなるが、そのめっき層中
の酸素とSの合計含有量が5重量%未満、Zn含有量とFe
含有量の比が重量比で0.10未満およびCr含有量とFe含有
量の比が重量比で0.10未満、のいずれかである場合には
耐フレーキング性の改善効果が少ない。また、酸素とS
の合計含有量が50重量%を超えると、めっき皮膜が粉末
状となり、密着性が著しく悪くなって実用に耐えない。
Cr−Zn、Fe−Zn、Cr−Fe−Zn等の金属間化合物、又はC
r、Fe、Zn金属の硫化物、酸化物、水酸化物(水和もしく
は無水)等の複雑な混合体よりなるが、そのめっき層中
の酸素とSの合計含有量が5重量%未満、Zn含有量とFe
含有量の比が重量比で0.10未満およびCr含有量とFe含有
量の比が重量比で0.10未満、のいずれかである場合には
耐フレーキング性の改善効果が少ない。また、酸素とS
の合計含有量が50重量%を超えると、めっき皮膜が粉末
状となり、密着性が著しく悪くなって実用に耐えない。
上層皮膜をP、BおよびSの1種又は2種を含有するNi合
金めっき層またはNi−Zn合金めっき層とする場合、P、
BおよびSの含有量が1種又は2種以上で0.0001重量%未
満の場合には、耐フレーキング性の改善効果が少ない。
一方、50重量%を超えると経済的に不利を招くことにな
る。望ましい含有量はP、BおよびSの1種又は2種以上
で0.5 〜35重量%である。
金めっき層またはNi−Zn合金めっき層とする場合、P、
BおよびSの含有量が1種又は2種以上で0.0001重量%未
満の場合には、耐フレーキング性の改善効果が少ない。
一方、50重量%を超えると経済的に不利を招くことにな
る。望ましい含有量はP、BおよびSの1種又は2種以上
で0.5 〜35重量%である。
なお、Ni−Zn合金皮膜中のZn含有量は特に限定する必要
はないが、化成処理性を考慮すれば30〜95重量%程度の
範囲が望ましい。
はないが、化成処理性を考慮すれば30〜95重量%程度の
範囲が望ましい。
第3図は、他の態様の本発明にかかる多層めっき鋼板の
概念を示す一部断面模式図である。
概念を示す一部断面模式図である。
この多層めっき鋼板は、前記のZn−Fe系合金の下層皮膜
(2)およびこの上にCr基又はNi基の上層皮膜(3)があり、
更に、最表層に付着量が金属Cr換算で1〜500mg/m2であ
るCr化合物層(4)を有している。このCr化合物層(4)(Cr
水酸化物、Cr酸化物等)をCr基又はNi基の上層皮膜(3)の
上に被覆することで、塗装後の塗膜の耐水密着性が改善
される。しかし、その付着量が金属Cr換算で1mg/m2未満
では、塗膜の耐水密着性の改善効果が小さく、500mg/m2
を超えると経済的に不利となる。望ましい付着量は、金
属Cr換算で2〜50mg/m2である。
(2)およびこの上にCr基又はNi基の上層皮膜(3)があり、
更に、最表層に付着量が金属Cr換算で1〜500mg/m2であ
るCr化合物層(4)を有している。このCr化合物層(4)(Cr
水酸化物、Cr酸化物等)をCr基又はNi基の上層皮膜(3)の
上に被覆することで、塗装後の塗膜の耐水密着性が改善
される。しかし、その付着量が金属Cr換算で1mg/m2未満
では、塗膜の耐水密着性の改善効果が小さく、500mg/m2
を超えると経済的に不利となる。望ましい付着量は、金
属Cr換算で2〜50mg/m2である。
このCr化合物層は、常用されている反応型クロメート
(浸漬法又はスプレイ法)、塗布型クロメート(ロールコ
ート法)、電解クロメート等の公知の方法によって施す
ことができる。
(浸漬法又はスプレイ法)、塗布型クロメート(ロールコ
ート法)、電解クロメート等の公知の方法によって施す
ことができる。
その中でも無水クロム酸又は重クロム酸を含有する浴
に、硫酸、酢酸、硝酸、ホウフッ酸、フッ化水素酸、シ
ュウ酸、ケイフッ酸等の1種以上を添加した浴で電解処
理を行えば被覆厚の調整が容易である。また、電気伝導
度を上げるために、適宜、硫酸ナトリウム、塩化カリウ
ム、硫酸アンモニウム等の支持塩や、アンモニウムイオ
ン、キレート錯体等の錯化物を添加することも有効であ
る。さらにはポリエチレングリコール、チオ尿素、ヒド
ラジン、グリセリン等の還元剤をCr6+とCr3+とのバラン
スを維持するために随時添加するのも有効である。シリ
カ、アルミナ、チタニア、アンチモン酸化物、リン化鉄
等のコロイドに近いゾルを添加することも有効である。
に、硫酸、酢酸、硝酸、ホウフッ酸、フッ化水素酸、シ
ュウ酸、ケイフッ酸等の1種以上を添加した浴で電解処
理を行えば被覆厚の調整が容易である。また、電気伝導
度を上げるために、適宜、硫酸ナトリウム、塩化カリウ
ム、硫酸アンモニウム等の支持塩や、アンモニウムイオ
ン、キレート錯体等の錯化物を添加することも有効であ
る。さらにはポリエチレングリコール、チオ尿素、ヒド
ラジン、グリセリン等の還元剤をCr6+とCr3+とのバラン
スを維持するために随時添加するのも有効である。シリ
カ、アルミナ、チタニア、アンチモン酸化物、リン化鉄
等のコロイドに近いゾルを添加することも有効である。
以上説明した本発明の多層めっき鋼板では、前記皮膜は
鋼板の両面にあってもよく、又は片面だけにあってもよ
い。また、Cr基又はNi基の上層皮膜およびCr化合物皮膜
は、両面にZn−Fe系合金皮膜を施した後、プレス成形の
ときにビード側になる面だけに施し、耐フレーキング性
を改善してもよい。
鋼板の両面にあってもよく、又は片面だけにあってもよ
い。また、Cr基又はNi基の上層皮膜およびCr化合物皮膜
は、両面にZn−Fe系合金皮膜を施した後、プレス成形の
ときにビード側になる面だけに施し、耐フレーキング性
を改善してもよい。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明す
る。
る。
(実施例) 極低炭素Ti含有キルド鋼板(0.8mm厚×100mm 幅×300mm
長さ)を母材として、第1表に示す各種のめっき鋼板を
下記の方法で製造した。
長さ)を母材として、第1表に示す各種のめっき鋼板を
下記の方法で製造した。
〔下層皮膜の形成方法〕 電気めっき (a)Znめっき 浴組成 … ZnSO4・7H2O:200〜400g/ MgSO4:50〜100g/ (pH: 1.0〜3.0) 浴 温 … 40〜70℃ 電気密度… 20〜200 A/dm2(定電流電解) めっき厚は通電時間を変化させて調整。
(b)電気Zn合金めっき 浴組成 … ZnSO4・7H2O:50〜100g/ MnSO4・H2O:40〜90g/ C6H5O7・Na3・11/2 H2O:180〜300g/ (pH: 1.0〜3.0) 浴 温 … 50℃ 電気密度… 10〜40A/dm2 溶融めっき (a)Znめっき 連続式溶融めっきラインをシミュレートするため、母材
鋼板を10〜100ppmをO2を添加したN2ガス雰囲気中で、60
0℃×30秒の微弱酸化加熱後、H225%−N275%混合ガス
雰囲気中で750〜900℃×30秒加熱し、その後、有効Alが
0.10%の溶融亜鉛浴中に3〜10秒浸漬し、N2ガス・ワイ
ピングにより付着亜鉛量を調整。
鋼板を10〜100ppmをO2を添加したN2ガス雰囲気中で、60
0℃×30秒の微弱酸化加熱後、H225%−N275%混合ガス
雰囲気中で750〜900℃×30秒加熱し、その後、有効Alが
0.10%の溶融亜鉛浴中に3〜10秒浸漬し、N2ガス・ワイ
ピングにより付着亜鉛量を調整。
(b)Zn合金めっき 同様に加熱後、前項溶融亜鉛浴の中にAl、Ti、Mg、Mn、
Cr、La、Ce、Zr、Ca、Ba、Cu、Ni、Co、Sb、Sn等の1種
以上を添加溶解し、溶湯中に3〜10秒浸漬し、合金組成
を調整すると共にN2ガス・ワイピングにより付着量を調
整。
Cr、La、Ce、Zr、Ca、Ba、Cu、Ni、Co、Sb、Sn等の1種
以上を添加溶解し、溶湯中に3〜10秒浸漬し、合金組成
を調整すると共にN2ガス・ワイピングにより付着量を調
整。
真空蒸着めっき (a)Znめっき 真空度10-3Torr.の容器内に500℃の溶融亜鉛の入った
ルツボを置き、その上方10〜20cmの位置に予め200℃に
加熱した母材鋼板をおいてめっき。付着量は蒸着時間を
シャッターの開閉で変えることによって調整。
ルツボを置き、その上方10〜20cmの位置に予め200℃に
加熱した母材鋼板をおいてめっき。付着量は蒸着時間を
シャッターの開閉で変えることによって調整。
(b)Zn合金めっき 真空度10-3Torr.の蒸着室にルツボを合金元素の数だけ
置き、出力100kw の電子ビームをルツボ内の金属に直接
あてて、加熱、溶解し、金属蒸気を発生させて合金を蒸
着。
置き、出力100kw の電子ビームをルツボ内の金属に直接
あてて、加熱、溶解し、金属蒸気を発生させて合金を蒸
着。
溶融塩(53%KNO3−40%NaNO3−7%NaNO2)を400〜650℃
に加熱し、めっきした鋼板を浸漬し、保持時間を変えて
合金化度を変えて合金化度を調整。
に加熱し、めっきした鋼板を浸漬し、保持時間を変えて
合金化度を変えて合金化度を調整。
〔上層皮膜の形成方法〕 Cr基皮膜 (a)金属Crめっき(上層がCrめっき層のみの場合) 浴組成 … CrO3 :50〜100g/ H2SO4 :0.3〜4g/ Na2SiF6 :0.1〜1g/ 浴 温 … 40〜7℃ 電流密度… 1〜150A/dm2 めっき厚は通電時間を変化させて調整。
(b)金属Crめっき+Cr化合物層 ティンフリースチール用として公知の湿式電気めっき方
法を使用。
法を使用。
(i)1ステップ法 浴組成 … CrO3 :50g/ NH4F :1.5g/ HBF4 :0.5g/ SO4 2- :0.1g/ 浴温 … 50℃ 電流密度… 10〜120A/dm2 (ii)2ステップ法 浴組成 … CrO3 :100g/ SO4 2- :1g/ 浴 温 … 50℃ 電流密度… 20〜200A/dm2 で陰極電解処理し、その後、無通電浸漬。
次いで、下記の条件で電解クロメート処理。
浴組成 … Na2Cr2O7 :45g/ (NH4)2CrO4:12g/ SO4 2- :0.5g/ 浴 温 … 60℃ 電流密度… 5〜50A/dm2 で陰極電解処理。
(c)ロールコート法 CrO3:10〜100 g/m2の溶液(常温)に少量の酸(酢酸,ケイ
フッ酸)を添加したものをロールコータにより塗布。
フッ酸)を添加したものをロールコータにより塗布。
(d)Cr−Fe−Zn−S−酸素めっき 浴組成 … ZnSO4・7H2O: 20〜100g/ FeSO4・7H2O:200〜400g/ Na2SO4 :50〜100g/ CrO3 : 5〜 50g/ 浴 温 … 40〜60℃ 電流密度… 5〜200 A/dm2 で陰極電解処理。
Ni基皮膜 (a)Ni−(P、B、S)めっき 浴組成 … NiSO4・6H2O:50g/ NiCl・6H2O:1.5 g/ H3BO3 :0.5 g/ (pH :1.0) 浴温 … 60℃ 電流密度… 1〜1000 A/dm2 このベース浴に、P、BおよびSの1種又は2種以上を
添加。
添加。
Pは、H3PO4、H3PO3、NaH2PO2の形で1種又は2種を0.0
01〜100g/添加。
01〜100g/添加。
Bはメタホウ酸ソーダ、又はジメチルアミンボランの形
で1種又は2種を0.01〜100g/添加。
で1種又は2種を0.01〜100g/添加。
Sはチオシアン酸カリウムの形で1〜100g/添加、もし
くは酸化性の酸(硝酸,過酸化水素過塩素酸,過硫酸
等)を0.1〜50g/添加。
くは酸化性の酸(硝酸,過酸化水素過塩素酸,過硫酸
等)を0.1〜50g/添加。
付着量は通電時間を変化させて調整。
(b)Ni−Zn−(P、B、S)めっき 浴組成 … NiSO4・6H2O: 10〜1000g/ ZnSO4・7H2O: 10〜1000g/ (pH : 1〜5) 浴温 … 40〜80℃ 電流密度… 1〜1000A/dm2 このベース浴に、上記と同様の方法でP、B、Sの1種
又2種以上を添加。
又2種以上を添加。
以上によって得た試料について、耐パウダリング性、耐
フレーキング性および耐水密着性を調査した。
フレーキング性および耐水密着性を調査した。
第4図に示す円筒絞り法による。即ち、予め洗浄し秤量
した円板状試験片(5)を、図示のダイス(7)とポンチ(6)
で潤滑油を使用して円筒形に絞り加工する。そのとき剥
離した微粉末を除去した試験片を秤量して、その重量減
をもって耐パウダリング性を評価。重量減が小さい程、
耐パウダリング性がよい。本実施例では、重量減が 100
mg以下の場合を耐パウダリング性良好(○)、100mgを超
える場合を不良(×)とした。
した円板状試験片(5)を、図示のダイス(7)とポンチ(6)
で潤滑油を使用して円筒形に絞り加工する。そのとき剥
離した微粉末を除去した試験片を秤量して、その重量減
をもって耐パウダリング性を評価。重量減が小さい程、
耐パウダリング性がよい。本実施例では、重量減が 100
mg以下の場合を耐パウダリング性良好(○)、100mgを超
える場合を不良(×)とした。
第5図に示すビード付ハット成形法によって評価。試験
片(5)をビード(8)付の板押さえホルダー(9)に載せ、ダ
イス(10)で押さえてポンチ(11)でハット(高さ55mm)状に
成形し、試験片のホルダー側表面の粘着テープ剥離テス
トによって耐フレーキング性を判定。本実施例では、テ
ープ面に付着している剥離片の量を基準とする相対評価
で、剥離片が殆どない場合もしくは少量の場合を良
(○)、多量の場合を不良(×)とした。
片(5)をビード(8)付の板押さえホルダー(9)に載せ、ダ
イス(10)で押さえてポンチ(11)でハット(高さ55mm)状に
成形し、試験片のホルダー側表面の粘着テープ剥離テス
トによって耐フレーキング性を判定。本実施例では、テ
ープ面に付着している剥離片の量を基準とする相対評価
で、剥離片が殆どない場合もしくは少量の場合を良
(○)、多量の場合を不良(×)とした。
自動車用めっき鋼板は、通常、自動車アセンブリーライ
ンで脱脂→化成処理(浸漬リン酸亜鉛処理)→電着塗装→
中塗り→上塗りの工程を経るが、近年、コスト削減のた
めに化成処理工程を省略する場合がある。従って、ここ
での耐水密着性は脱脂後、化成処理を行わずに表面に直
接、エポキシ系カチオン電着塗装を塗膜厚20μmで施
し、中塗りにアミノアルキッド系塗料を塗膜厚35μm、
更に、上塗りに同塗料を塗膜厚35μmで施した試料をも
って試験した。
ンで脱脂→化成処理(浸漬リン酸亜鉛処理)→電着塗装→
中塗り→上塗りの工程を経るが、近年、コスト削減のた
めに化成処理工程を省略する場合がある。従って、ここ
での耐水密着性は脱脂後、化成処理を行わずに表面に直
接、エポキシ系カチオン電着塗装を塗膜厚20μmで施
し、中塗りにアミノアルキッド系塗料を塗膜厚35μm、
更に、上塗りに同塗料を塗膜厚35μmで施した試料をも
って試験した。
耐水密着性の評価は、試験材を40℃の脱イオン水に240
時間浸漬し、引き上げ後に2mm角のごばん目を100個カッ
トし、テーピングにより剥離したごばん目の数で評価し
た。本実施例では、剥離面積比率が5%以下の場合を良
(○)、同じく5%未満の場合を不良(×)とした。
時間浸漬し、引き上げ後に2mm角のごばん目を100個カッ
トし、テーピングにより剥離したごばん目の数で評価し
た。本実施例では、剥離面積比率が5%以下の場合を良
(○)、同じく5%未満の場合を不良(×)とした。
耐パウダリング性、耐フレーキング性および耐水密着性
の評価結果を、第2表に皮膜構成とともに示す。
の評価結果を、第2表に皮膜構成とともに示す。
試料No.1〜6は従来例であり、上層皮膜をもたない一
般的なZn又はZn合金めっき鋼板である。この場合、Fe含
有量が30重量%を超えなければ耐パウダリング性に優れ
るが、耐フレーキング性は悪い。試料No.7〜No.22は比
較例であり、上層皮膜或いは上層皮膜と最表層皮膜を有
しているが、その付着量が本発明で規定する範囲より少
ないと耐フレーキング性の改善は不十分である。また、
No.9およびNo.20のように下層皮膜のFe含有量が多すぎ
ると耐パウダリング性にも劣る。
般的なZn又はZn合金めっき鋼板である。この場合、Fe含
有量が30重量%を超えなければ耐パウダリング性に優れ
るが、耐フレーキング性は悪い。試料No.7〜No.22は比
較例であり、上層皮膜或いは上層皮膜と最表層皮膜を有
しているが、その付着量が本発明で規定する範囲より少
ないと耐フレーキング性の改善は不十分である。また、
No.9およびNo.20のように下層皮膜のFe含有量が多すぎ
ると耐パウダリング性にも劣る。
試料No.23〜73は本発明例である。下層のZn−Fe系合金
皮膜のFe含有量は、全て30重量%以下にしてあるので、
耐パウダリング性に優れ、且つ上層のCr基又はNi皮膜の
効果も充分に発揮されており耐フレーキング性も良好で
ある。このなかでも最表層にCr化合物層を有するもの
は、無化成耐水密着性にも優れる。
皮膜のFe含有量は、全て30重量%以下にしてあるので、
耐パウダリング性に優れ、且つ上層のCr基又はNi皮膜の
効果も充分に発揮されており耐フレーキング性も良好で
ある。このなかでも最表層にCr化合物層を有するもの
は、無化成耐水密着性にも優れる。
なお、下層皮膜の形成方法による効果の相違は見られ
ず、要するに合金化(皮膜のFe含有量)の程度が重要であ
ることがわかる。
ず、要するに合金化(皮膜のFe含有量)の程度が重要であ
ることがわかる。
表の本発明例に相当するめっき鋼板について、化成処理
を行った後、電着塗装を施し、クロスカットを入れた試
験片を作製し、乾湿繰り返しの塩水噴霧による耐食性の
試験を行った。その結果、塗装疵部での鋼板穴明き耐食
性においても、従来の合金化亜鉛めっき鋼板と同等以上
の優れたものであることが確認できた。
を行った後、電着塗装を施し、クロスカットを入れた試
験片を作製し、乾湿繰り返しの塩水噴霧による耐食性の
試験を行った。その結果、塗装疵部での鋼板穴明き耐食
性においても、従来の合金化亜鉛めっき鋼板と同等以上
の優れたものであることが確認できた。
(発明の効果) 本発明のめっき鋼板は、厳しいプレス加工条件に曝され
たときの合金化亜鉛系めっき鋼板の難点であったパウダ
リングとフレーキングの両者について、対策を講じたも
のである。その耐食性においても従来の合金化亜鉛系め
っき鋼板と同等以上であるから、従来のこの種のめっき
鋼板の用途には勿論、さらに加工条件の厳しい用途にも
使用できるものである。
たときの合金化亜鉛系めっき鋼板の難点であったパウダ
リングとフレーキングの両者について、対策を講じたも
のである。その耐食性においても従来の合金化亜鉛系め
っき鋼板と同等以上であるから、従来のこの種のめっき
鋼板の用途には勿論、さらに加工条件の厳しい用途にも
使用できるものである。
第1図は、亜鉛系合金めっき鋼板のパウダリングとフレ
ーキングを説明する概念図、 第2図は、本発明の多層めっき鋼板を示す一部断面概念
図、 第3図は、他の本発明の多層めっき鋼板を示す一部断面
概念図、 第4図は、耐パウダリングの試験方法を説明する図、 第5図は、耐フレーキングの試験方法を説明する図、で
ある。
ーキングを説明する概念図、 第2図は、本発明の多層めっき鋼板を示す一部断面概念
図、 第3図は、他の本発明の多層めっき鋼板を示す一部断面
概念図、 第4図は、耐パウダリングの試験方法を説明する図、 第5図は、耐フレーキングの試験方法を説明する図、で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 土岐 保 大阪府大阪市東区北浜5丁目15番地 住友 金属工業株式会社内 (72)発明者 坂根 正 大阪府大阪市東区北浜5丁目15番地 住友 金属工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−207597(JP,A) 特公 昭58−15554(JP,B2)
Claims (5)
- 【請求項1】母材鋼板の少なくとも片面に、Fe含有量が
30重量%以下のZn−Fe系合金の下層皮膜と、その上に付
着量が1〜10000mg/m2であるCr基又は付着量が10〜1000
0mg/m2であるNi基の上層皮膜とを有する耐フレーキング
性に優れた多層めっき鋼板。 - 【請求項2】上記上層皮膜が、金属Crめっき層であるこ
とを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の耐フレーキ
ング性に優れた多層めっき鋼板。 - 【請求項3】上層皮膜が、Cr、FeおよびZnを含み、更に
酸素、Sの1種以上を含有し、酸素とSの合計含有量、
Zn含有量とFe含有量の比およびCr含有量とFe含有量の比
がそれぞれ下記値を満たすめっき層であることを特徴と
する特許請求の範囲第1項記載の耐フレーキング性に優
れた多層めっき鋼板。 酸素含有量+S含有量=5〜50重量% Zn含有量(重量%)/Fe含有量(重量%)≧0.10 Cr含有量(重量%)/Fe含有量(重量%)≧0.10 - 【請求項4】上層皮膜が、P、BおよびSの1種又は2
種以上を、0.0001〜50重量%含むNi合金めっき層又はNi
−Zn合金めっき層であることを特徴とする特許請求の範
囲第1項記載の耐フレーキング性に優れた多層めっき鋼
板。 - 【請求項5】上層皮膜の上に、更に、付着量が金属Cr換
算で1〜500mg/m2であるCr化合物層を有することを特徴
とする特許請求の範囲第1項、第2項、第3項又は第4
項記載の耐フレーキング性に優れた多層めっき鋼板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63328714A JPH0637707B2 (ja) | 1988-12-26 | 1988-12-26 | 耐フレーキング性に優れた多層めっき鋼板 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63328714A JPH0637707B2 (ja) | 1988-12-26 | 1988-12-26 | 耐フレーキング性に優れた多層めっき鋼板 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH02173249A JPH02173249A (ja) | 1990-07-04 |
JPH0637707B2 true JPH0637707B2 (ja) | 1994-05-18 |
Family
ID=18213365
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP63328714A Expired - Fee Related JPH0637707B2 (ja) | 1988-12-26 | 1988-12-26 | 耐フレーキング性に優れた多層めっき鋼板 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0637707B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FR2765891B1 (fr) * | 1997-07-10 | 1999-08-20 | Lorraine Laminage | Procede de traitement de surface de toles d'acier revetu au trempe d'alliage comprenant essentiellement du zinc et du fer |
JP5119734B2 (ja) * | 2007-05-16 | 2013-01-16 | Jfeスチール株式会社 | 亜鉛系めっき鋼板 |
RU2752403C1 (ru) * | 2020-09-16 | 2021-07-27 | Общество с ограниченной ответственностью "Технология" | Способ получения стойкого композиционного покрытия на металлических деталях |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5612317A (en) * | 1979-07-10 | 1981-02-06 | Kenji Sato | Retention of fresh tissue transplantable by injection |
JPS60159176A (ja) * | 1984-01-26 | 1985-08-20 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 多層メツキ鋼板 |
JPS62290894A (ja) * | 1986-06-10 | 1987-12-17 | Kawasaki Steel Corp | 合金めつき鋼板 |
-
1988
- 1988-12-26 JP JP63328714A patent/JPH0637707B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH02173249A (ja) | 1990-07-04 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |