JPH0625322B2 - 塩化ビニルプラスチゾル組成物 - Google Patents

塩化ビニルプラスチゾル組成物

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JPH0625322B2
JPH0625322B2 JP15371386A JP15371386A JPH0625322B2 JP H0625322 B2 JPH0625322 B2 JP H0625322B2 JP 15371386 A JP15371386 A JP 15371386A JP 15371386 A JP15371386 A JP 15371386A JP H0625322 B2 JPH0625322 B2 JP H0625322B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、塩化ビニルプラスチゾル組成物に関する。更
に詳しくは、金属のカチオン型電着塗装面に比較的低
温、短時間の熱処理で良く接着し、熱処理後の退色性が
なく、貯蔵安定性が良く、貯蔵後も優れた接着性を有す
る塩化ビニル重合体或いは共重合体のプラスチゾル組成
物に関するものである。
〔従来の技術と問題点〕
近年、自動車業界では、車輌の耐食性を増すために、ア
ニオン型電着塗装から耐食性の良いカチオン型電着塗装
に変わっている。更に、自動車組立ラインでは省エネル
ギーの観点から塗料等の焼付炉の温度及び時間が従来の
150℃、30分程度から140℃、30分以下の条件に移行する
方法にある。
ところが、従来使用されている塩化ビニル系プラスチゾ
ルでは、アニオン型電着塗装面には接着するが、カチオ
ン型電着塗装面には十分な接着性、物性が得られない
し、更に130℃以下の低温度では接着性の発現が悪くな
る傾向にあった。よって、塩化ビニルプラスチゾルがカ
チオン型電着塗装面に対して前記低温度焼付条件下でも
十分に接着し、十分な物性を持ち、且つ貯蔵安定性の良
いものが強く望まれている。
従来、塩化ビニルプラスチゾルの接着性、物性を改良す
べく、種々の検討がされてきた。例を挙げると、(1)ア
クリルモノマー、(2)液状エポキシ樹脂と硬化剤、、(3)
ポリアミドとブロック化ウレタンプレポリマー(特公昭
59-52901号)、(4)ポリアミド及び/又はポリアミンと
カルボン酸(特開昭59-120651号)等を配合する方法が
知られているが、カチオン型電着塗装に対し、スリップ
又はダレ現象、比較的低温熱処理での十分な接着力、塩
化ビニルプラスチゾルの高温による熱処理に対する退色
性、貯蔵安定性などの点について上記のすべての要望を
満足させられるものではなかった。
本発明者らはこれらの欠点を改良すべく鋭意検討を重ね
た結果、特定の接着付与剤を配合した塩化ビニルプラス
チゾルがカチオン型電着塗装に対しスリップがなく、比
較的低温短時間の熱処理で非常に強く接着し、比較的高
温での熱処理でも退色がなく、貯蔵安定性もよいことを
見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の塩化ビニルプラスチゾル組成物は、必須
の構成成分として、塩化ビニル重合体及び/又は共重合
体(I)、可塑剤(II)、脂肪族ポリアミン/脂環族ジ
アミンを20〜80/80〜20重量%の割合で含有するアミン
混合物と脂肪酸又はその誘導体とから得られるポリアミ
ドポリアミンからなる接着付与剤(III)又は脂肪族ポ
リアミン/脂環族ジアミンを20〜80/80〜20重量%の割
合で含有するアミン混合物と脂肪酸又はその誘導体とか
ら得られるポリアミドポリアミンと、ポリオールと脂環
式ポリイソシアネートから得られるブロック化ウレタン
プレポリマーとからなる接着付与剤(IV)を含有するこ
とを特徴とする。
本発明に使用する塩化ビニル重合体及び/又は共重合体
(I)は、通常使用されているものを使用できる。例え
ば、塩化ビニルとこれと共重合しうる他のビニル単量
体、例えば酢酸ビニル、無水マレイン酸もしくはマレイ
ン酸エステル、ビニルエーテルなどとの共重合体が挙げ
られる。
塩化ビニル重合体或いは共重合体の重合度は通常1000〜
1700である。塩化ビニル重合体或いは共重合体の市販品
としては、ゼオン121、ゼオン135J及びゼオン103ZX(以
上日本ゼオン製)、デンカビニルPA-100、デンカビニル
ME-180(以上電気化学工業製)、カネビニルPSL-10、カ
ネビニルPSH-10、カネビニルPSM-30及びカネビニルPCH-
12(以上鐘渕化学工業製)が挙げられる。これらは2種
以上混合して使用することもできる。
本発明において可塑剤(II)は、塩化ビニルプラスチゾ
ルに通常使用されているものを使用できる。例えば、ジ
エチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフ
タレート、ジラウリルフタレート、ジステアリルフタレ
ートなどのフタル酸エステル、ジオクチルアジペートな
どのアジピン酸エステル、ジオクチルセバケートなどの
セバチン酸エステル、トリクレジルホスフェートなどの
リン酸エステルなどのエステル型可塑剤、及びこれらの
2種以上の混合物が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、フタル酸エステル類、特
にジオクチルフタレートである。
本発明の接着付与剤(III)であるポリアミドポリアミ
ンの製造に用いられる脂肪族ポリアミンとしては、ジエ
チレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエ
チレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサ
エチレンヘプタミン、ヘプタエチレンオクタミン、ノナ
エチレンデカミン、ジ−1,2−プロパントリアミンなど
が挙げられ、その他アミノエチルエタノールアミン、ア
ミノエチルプロパノールアミンの如きジアミンも本発明
の目的の範囲内で使用することができる。また上記のも
のの他にエチレンジアミン、N−アミノエチルピペラジ
ン、ヘキサメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレ
ンジアミン等が用い得る。また、これらの2種以上の混
合物も使用できる。
また本発明に用いる脂環式ジアミンとして使用されるも
のは、イソホロンジアミン、1,3−ビス(アミノメチ
ル)シクロヘキサン、1−シクロヘキシルアミノ−3−
アミノプロパン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−
ジアミノシクロペンタン、ジ−(アミノシクロヘキシ
ル)メタン、ジ−(アミノシクロヘキシル)スルホン、
1,3−ジ−(アミノシクロヘキシル)プロパン、4−イ
ソプロピル−1,2−ジアミノシクロヘキサン、2,4−ジア
ミノ−シクロヘキサン、N,N′−ジエチル−1,4−ジアミ
ノシクロヘキサン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノ
ジシクロヘキシルメタン及び3−アミノメチル−3,3,5
−トリメチル−シクロヘキシルアミンがある。これらは
2種以上混合し使用することもできる。これらのうち好
ましいものは、イソホロンジアミン、1,3−ビス(アミ
ノメチル)シクロヘキサンである。
一方、脂肪酸又はその誘導体としては、酪酸、吉草酸、
カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミ
リスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン
酸、ベヘン酸などの炭素数4以上の飽和脂肪酸及びこれ
らのエステル、トウハク酸、リンデル酸、ラウロレイン
酸、ツズ酸、フイセトレイン酸、ミリストレイン酸、ゾ
ーマリン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エライジン
酸、リノール酸、リノエライジン酸、エレオステアリン
酸、リノレイン酸、バリナリン酸、アラキドン酸及びこ
れらのエステル、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン
酸、オクチル酸及びこれらのエステル、パルプ製造廃液
から得られるトール油脂肪酸及びこのエステル、乾性
油、半乾性油、又はこれらの遊離脂肪酸の重合により得
られるダイマー酸、トリマー酸などの重合脂肪酸及びこ
れらのエステルが挙げられる。ここで上記の乾性油又は
半乾性油としては、リノール酸、リノレイン酸などの不
飽和度の高い脂肪酸を含む大豆油、アマニ油、桐油、エ
ノ油、綿実油、ヒマワリ油、ベニバナ油、及び脱水ヒマ
シ油などが挙げられる。更にアクリル酸とリノレイン酸
との重合物、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等
の飽和二塩基酸、これらのエステル、不飽和直鎖二塩基
酸、不飽和分岐二塩基酸、これらのエステルも用い得、
商品名としては、例えばDAICID-550(播磨化成工業(株)
性、商品名)、OSK-DAUL-16(岡村製油(株)製、商品
名)、OSK-DAUB-20(同)なども用いることができる。
これらの脂肪族ポリアミンと脂環式ジアミンとの比率
は、脂肪族ポリアミン/脂環式ジアミン=20〜80/80〜
20重量%の割合である。
上記アミン混合物に対する脂肪酸又はその誘導体の比率
は下記のような配合が好ましい。
本発明のポリアミドポリアミンの製造方法は公知の方
法、例えばイミダゾリン環を形成させる場合は常圧下17
0〜320℃、好ましくは250〜290℃で、また特にイミダゾ
リン環の生成を意図しない場合は常圧下120〜200℃、好
ましくは140〜180℃で反応させればよく、何れの反応も
減圧下とする事により反応温度を低くして行うこともで
きる。
また脂肪酸又はその誘導体としては、重合脂肪酸或いは
二塩基酸単独又はこれと飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸との
混合物を用いるのが好ましく、上記のポリアミンとの反
応においては、反応温度、反応時間を適当に調整するこ
とによって、所望のアミド結合を含有する化合物を得る
ことができる。
本発明に於けるポリアミドポリアミンからなる接着付与
剤(III)の塩化ビニルプラスチゾルに対する効果は、
カチオン電着塗装に対する比較的低温での熱処理による
強固な接着と熱処理に対する色焼け防止に優れているこ
とである。これに対し脂肪族ポリアミンだけで作られた
ポリアミドは接着は良いが色焼けが非常に悪く使用に耐
えず、脂環式ジアミンだけで作られたポリアミドは色焼
けは良いが、接着が非常に悪く使用に耐えない。
本発明の組成物においてポリアミドポリアミンと、ポリ
オールと脂環式ポリイソシアネートから得られるブロッ
ク化ウレタンプレポリマーとからなる接着付与剤(IV)
を含有せしめると、接着性付与と高温での焼け着色防止
に更に効果がある。
上記ブロック化ウレタンプレポリマーの製造に用いられ
るポリオール類としては、ポリエーテルポリオール、ポ
リエステルポリオール、又はこれらとイソシアネートと
からの水酸基末端ウレタンプレポリマーが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、多官能低分子活性水
素含有化合物、例えば官能基数2〜3の低分子ポリオー
ル、もしくはフェノール類にアルキレンオキシドを付加
させて得られるものが挙げられる。
上記官能基数2〜3の低分子ポリオールとしては、エチ
レングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリ
コール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、トリメチロールプロパン、グリセリン、ヒマシ油及
びこれらの混合物が挙げられる。これらのうち好ましい
ものは、グリセリン、トリメチロールプロパンである。
官能基数2〜3のフェノール類としては、カテコール、
レゾルシン、ヒドロキノン及びビスフェノール(ビスフ
ェノールAなど)が挙げられる。
上記の低分子活性水素含有化合物のうち好ましいのが低
分子ポリオールである。
またアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド
(EO)、プロピレンオキシド(PO)、ブチレンオキ
シド、スチレンオキシド及びこれらの1種及び2種以上
のものが挙げられる。好ましいものはプロピレンオキシ
ド、プロピレンオキシドとエチレンオキシドとの併用
(プロピレンオキシドの含有量はエチレンオキシドとの
合計量に対して通常50重量%以上)である。2種以上の
アルキレンオキシドを使用する場合は、これらはランダ
ム又はブロック的に低分子ポリオールなどに付加させる
ことができる。
また、テトラヒドロフランを開環重合して得られるポリ
テトラメチレンエーテルグリコールが挙げられる。
またポリエステルポリオールとしては、ポリカルボン
酸、そのエステルもしくはハライドと低分子ポリオール
とを重縮合させることにより得られるポリエステルポリ
オール又はラクトン類(ε−カプロラクトンなど)を低
分子ポリオール(エチレングリコールなど)の存在下開
環重合させて得られるポリラクトンポリオールエステル
が挙げられる。
かかるポリカルボン酸としては、例えばベンゼントリカ
ルボン酸、アジピン酸、琥珀酸、スベリン酸、セバシン
酸、蓚酸、メチルアジピン酸、グルタル酸、ピメリン
酸、アゼライン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタ
ル酸、チオジプロピオン酸、マレイン酸、フマル酸、シ
トラコン酸、イタコン酸又はこれらに類する任意の適当
なカルボン酸を使用することができる。また、これらの
2種以上の混合物も使用できる。
また、低分子ポリオールとしては、例えばエチレングリ
コール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオー
ル、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,
6−ヘキサンジオール、ビス(ヒドロキシメチルクロル
ヘキサン)、ジエチレングリコール、2,2−ジチメルプ
ロピルグリコール、1,3,6−ヘキサントリオール、トリ
メチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビト
ール、グリセリン又はこれらに類する任意の適当な低分
子ポリオールを使用することができる。また、これらの
2種以上の混合物も使用できる。
本発明のブロック化ウレタンプレポリマーに使用される
ポリオール類の分子量は100〜4000、好ましくは200〜30
00である。
脂環式ジイソシアネートとしては従来公知のものが用い
られ、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニ
ルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネー
ト、水添トリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、水添フェニルメタンジイ
ソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシ
リレンジイソシアネートである。
これらは芳香族ジイソシアネートに比べ、接着付与剤
(IV)並びに本発明の組成物に対し、夏場の50℃での貯
蔵安定性に効果がある。
ブロック化ウレタンプレポリマーを得るために使用され
るブロック化剤としては、活性メチレン化合物例えばマ
ロン酸ジエステル(マロン酸ジエチルなど)、アセチル
アセトン、アセト酢酸エステル(アセト酢酸エチルな
ど);オキシム化合物例えばアセトオキシム、メチルエ
チルケトオキシム(MEKオキシム)、メチルイソブチ
ルケトオキシム(MIBKオキシム)、フェノール類例
えばフェノール、m−クレゾール;ラクタム類例えばε
−カプロラクタムが挙げられる。
この中で好適なブロック化剤はイソシアネートの種類、
またプラスチゾル適用時の焼付温度により異なるが、一
般にイソシアネート基を再生する解離温度が100〜160℃
の範囲にあるものである。
特に好ましいブロック化剤はオキシム化合物(特にケト
オキシム)である。ケトオキシムはイソシアネートとの
反応が容易であり、更にブロック体の解離温度が他のも
のに比べ比較的低温であるため特に有利である。
ウレタンプレポリマーを得るに際し、イソシアネート基
の水酸基に対するモル比は通常0.9〜2.0、好ましくは1.
0〜1.8である。該プレポリマーのイソシアネート基当量
は通常200〜2000、好ましくは300〜1500である。イソシ
アネート当量が200未満の場合は樹脂が硬くて脆くなる
ためプラスチゾルの焼成物の物理的性質に好ましくない
影響を与え、2000を越えた場合は良好な接着性が得られ
ない。
また該プレポリマーのNCO%は通常1〜20%、好ましく
は2〜15%である。
ウレタンプレポリマーは通常の方法により得ることがで
きる。ウレタンプレポリマー生成反応を行う場合、反応
温度は通常40〜110℃、好ましくは50〜100℃である。ウ
レタンプレポリマー生成反応を行うに際し、反応を促進
するために公知のウレタン重合用触媒、例えばジブチル
スズジラウレート、第一スズオクトエート、スタナスオ
クトエート、オクチル酸鉛、ナフテン酸鉛、オクチル酸
亜鉛などの有機金属化合物、トリエチレンジアミン、ト
リエチルアミンなどの第3級アミン系化合物を使用する
ことも可能である。
ブロック化剤は上記反応の任意の段階で添加し反応さ
せ、ブロック化ウレタンプレポリマーを得ることができ
る。その添加量は遊離のイソシアネート基に対して通常
1当量以上、2当量未満、好ましくは1.05〜1.5当量で
ある。また添加方法は所定の重合終了時に添加するか、
或いは重合初期に添加するか、又は重合初期に一部添加
し重合終了時に残部を添加するなどの方法が可能であ
る。好ましくは重合終了時に添加する方法である。この
場合所定の重合終了時の目安としては、イソシアネート
%(例えば「ポリウレタン」槙書店、昭和35年発行、第
21頁記載の方法により測定できる)を基準とすればよ
い。ブロック化剤を添加する場合の反応温度は通常60〜
100℃である。反応に際し前掲の公知のウレタン重合用
触媒を添加して反応を促進することも可能である。ま
た、本発明の可塑剤を任意の量加えてもよい。
本発明のポリアミドポリアミンと、ポリオールと脂環式
ジイソシアネートから得られるブロック化ウレタンプレ
ポリマーとからなる接着付与剤((IV)の配合比は、ポ
リアミドポリアミン/ブロック化ウレタンプレポリマー
=95〜5/5〜95重量%が好ましく、更に好ましくは90
〜10/10〜90重量%である。ブロック化ウレタンプレポ
リマーが5%以下であると、色焼け着色防止に効果がな
く、95%以上であると接着付与に効果がないので好まし
くない。
接着付与剤(IV)の製造方法は、接着付与剤(III)で
作られるポリアミドポリアミンとブロック化ウレタンプ
レポリマーとを50〜80℃で30分〜1時間混合するだけで
よい。
本発明の組成物には前記(I)、(II)、(III)又は
(IV)成分の他の種々の添加剤、例えば充填剤或いは安
定剤も配合できる。充填剤としては、無機系充填剤(炭
酸カルシウム、タルク、珪藻土、カオリンなど)及び有
機系充填剤(セルロース粉、粉末ゴム、再生ゴムなど)
を挙げることができる。また安定剤としては、金属石鹸
類(ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウ
ムなど)、無機酸塩類(二塩基性亜リン酸塩、二塩基硫
酸塩など)、及び有機金属化合物(ジブチルチンジラウ
レート、ジブチルチンマレートなど)が挙げられる。ま
た、顔料などの着色剤も任意に添加できる。
本発明の塩化ビニルプラスチゾル組成物において各成分
の比率は特に限定されないが、例えば下記のような配合
が使用される。
また、接着付与剤(IV)を加えるときは通常0.1〜20重
量%、好ましくは0.2〜10重量%がよい。
本発明の塩化ビニルプラスチゾル組成物は通常の方法で
混練して製造することができる。
本発明の組成物において接着付与剤(III)は0.05重量
%未満では効果が得られず、また10重量%を越えるとプ
ラスチゾルの増粘現象が起こるので好ましくない。接着
付与剤(IV)は0.1重量%未満では効果が得られず、20
重量%を越えるとプラスチゾルの増粘現象が起こるので
好ましくない。
本発明の組成物は、各種金属面及び金属の各種下塗り塗
装面に適用できるが、特にカチオン型電着塗装面に有用
である。カチオン型電着塗装としては、通常の電着塗
装、例えばエポキシ樹脂と第1又は第2アミンとの付加
物を酸で中和することによって水可溶化し、ブロックイ
ソシアネートと共に、陰極の金属面に直流通電により塗
装する方法が挙げられる。
本発明の塩化ビニルプラスチゾル組成物の塗装面に対す
る塗布量は、通常1000〜5000g/台であり、膜厚は0.3
〜2mmである。塗布後、120〜150℃、20〜40分加熱硬化
される。塗布方法は通常の方法でよく、例えば圧送ポン
プより供給し、フローガン、エアレススプレー等で吐
出、塗布する方法をとることができる。
〔発明の効果〕
本発明の塩化ビニルプラスチゾル組成物は、以上詳述し
たとおり、カチオン型電着塗装面に対し、室温垂直面で
塩化ビニルプラスチゾルのスリップがなく、120〜140℃
の温度で30分以下の焼付条件下で強固に接着し且つ温水
浸漬後、加熱処理後の接着にも優れ、また高温加熱処理
後も着色退色がなく、また塩化ビニルプラスチゾル組成
物の貯蔵安定性にも優れており、自動車車体のボデーシ
ーラー又はアンダーコート用塗料として使用でき、特に
低温度、短時間の硬化条件から省エネルギー面でも優れ
ている。
〔実施例〕
以下本発明の効果を実施例、比較例にて具体的に示す
が、これらは本発明を限定するものではない。
(1)接着付与剤(III)の製造 参考例1 撹拌機、温度計及び窒素導入管を付けた2の4つ口フ
ラスコでダイマー酸(カルボン酸当量=290)700部と、
トール油脂肪酸(カルボン酸当量=290)300部と、トリ
エチレンテトラミン(分子量=146)252部と、イソホロ
ンジアミン(分子量=170)293部(カルボン酸当量/ト
リエチレンテトラミン(モル)/イソホロンジアミン
(モル)=1/0.5/0.5)とを窒素を吹き込みながら200
℃、5時間脱水しながら反応して、接着付与剤(III)
−1を得た。
参考例2 ダイマー酸メチルエステル600部と、大豆油脂肪酸メチ
ルエステル(カルボン酸エステル当量=280)400部と、
トリエチレンテトラミン204部と、トリメチルヘキサメ
チレンジアミン(分子量=158)221部と、イソホロンジ
アミン119部(カルボン酸エステル当量/トリエチレン
テトラミン(モル)/トリメチルヘキサメチレンジアミ
ン(モル)/イソホロンジアミン(モル)=1/0.4/0.4/
0.2)とを参考例1と同様な方法で反応し、接着付与剤
(III)−2を得た。
参考例3 ダイマー酸800部と、オレイン酸(カルボン酸当量=28
0)200部と、テトラエチレンペンタミン(分子量=189)3
28部と、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン
(分子量=142)297部(カルボン酸当量/テトラエチレ
ンペンタミン(モル)/1,3−ビス(アミノメチル)シ
クロヘキサン(モル)=1/0.5/0.6)とを参考例1と同様
な方法で反応し、接着付与剤(III)−3を得た。
(2)ブロック化ウレタンプレポリマーの製造 参考例4 撹拌機、温度計及び窒素導入管を付けた4つ口フラスコ
に、グリセリンベースのポリプロピレントリオール(分
子量=700)700部、水添ジフェニルメタンジイソシアネ
ート(分子量=262)825部、ジオクチルフタレート320
部、ジブチルチンジラウレート0.3部を仕込み、窒素吹
き込み下80℃、5時間反応させ、NCO含量7.5%のウレタ
ンプレポリマーを得た。更にメチルエチルケトオキシム
301部(メチルエチルケトオキシム/NCO当量比=1.05)
を徐々に加え、80℃、2時間反応し、NCO基が完全にブ
ロック化されたブロック化ウレタンプレポリマーを得
た。
参考例5 アデカニューエースF-1212-29(旭電化工業製ポリエス
テルポリオール、OH当量=840)840部、イソホロンジイ
ソシアネート(分子量=222)222部、ジブチルチンジラ
ウレート0.1部、ジオクチルフタレート204部、メチルエ
チルケトオキシム92部を参考例4と同様な方法で反応し
てブロック化ウレタンプレポリマーを得た。
(3)接着付与剤(IV)の製造 参考例6 参考例1〜3で作られた接着付与剤(III)−1〜3と
参考例4〜5で作られたブロック化ウレタンプレポリマ
ー〜を下記の配合で60℃、30分混合して接着付与剤
(IV)−1〜6を得た。
(IV)−1:(III)−1/=1/1 (IV)−2:(III)−2/=1/1 (IV)−3:(III)−3/=1/1 (IV)−4:(III)−1/=1/1 (IV)−5:(III)−2/=1/1 (IV)−6:(III)−3/=1/1 実施例1〜3 ポリ塩化ビニル粉末(a)(日本ゼオン製ゼオン121)60
部、ポリ塩化ビニル共重合粉末(b)(日本ゼオン製ゼオ
ン103ZX)20部、ジオクチルフタレート(DOP)100
部、炭酸カルシウム(a)(白石カルシウム製白艶華CC)80
部、炭酸カルシウム(b)(白石カルシウム製ホワイトンS
B)20部、酸化チタン(チタン工業製KR-380)3部、老化
防止剤1.5部、流動調整剤0.5部、及び参考例1〜3で得
た接着付与剤(III)−1〜3をそれぞれ2部ずつ加
え、混練して塩化ビニルプラスチゾル組成物を作り、こ
の組成物についてカチオン電着板に対し、スリップ性、
ゲル化後の接着性、焼けを評価した。その結果を表−1
に示す。
参考例1〜2 参考例1の配合でイソホロンジアミン293部の代わりに
トリエチレンテトラミン252部を使用し、同様の方法で
ポリアミドポリアミンAを得た。また参考例1の配合で
トリエチレンテトラミン252部の代わりにイソホロンジ
アミン293部を使用し、同様の方法でポリアミドポリア
ミンBを得た。
実施例1〜3と同様の塩化ビニルプラスチゾル組成物に
おいて、接着付与剤(III)−1〜3の代わりにポリア
ミドポリアミンA又はBを使用した。その試験結果を表
−1に示す。
表−1の試験方法 1.被着体 カチオン電着板 2.塗布方法 スペーサにて2mmの厚さ 3.スリップ性試験方法 塩化ビニルプラスチゾルを塗布した電着板を垂直に立
て、スリップ性を調べる(室温、30分間)。
評価方法 4.焼付方法 140℃×15分間 5.接着力評価方法 爪剥離 6.焼け評価方法 実施例4〜9 ポリ塩化ビニル粉末(a)60部、ポリ塩化ビニル共重合粉
末(b)20部、DOP100部、炭酸カルシウム(a)80部、炭
酸カルシウム(b)20部、酸化チタン3部、老化防止剤1.5
部、流動調整剤0.5部及び参考例6で得た接着付与剤(I
V)−1〜6を各々4部ずつを実施例1と同様に混練し
て試験した結果を表−2に示す。
比較例3〜4 上記と同様の配合で接着付与剤の代わりにACRハード
ナーH-270(重合脂肪酸系ポリアミド、アミン価=300)
2部又はACRハードナーH-2702部とブロック化ウレ
タンプレポリマー2部を使用し試験した。結果を表−
2に示す。
表−2の試験方法 1.被着体 カチオン電着板 2.塗布方法 スペーサにて2mmの厚さ 3.スリップ性試験方法 塩化ビニルプラスチゾルを塗布した電着板を垂直に立
て、スリップ性を調べる(室温、30分間)。
評価方法 4.焼付方法 140℃×20分間 5.接着力評価方法 爪剥離 6.焼け評価方法 7.発泡状態評価方法
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C09D 127/06 177:06) (72)発明者 中山 隆 大阪府高槻市明田町7番1号 サンスター 技研株式会社内 (72)発明者 南堀 考志 大阪府高槻市明田町7番1号 サンスター 技研株式会社内 (56)参考文献 特開 昭55−118948(JP,A) 特開 昭62−190267(JP,A) 特開 昭59−120651(JP,A) 特開 昭59−1558(JP,A)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】必須の構成成分として、塩化ビニル重合体
    及び/又は共重合体(I)、可塑剤(II)、脂肪族ポリ
    アミン/脂環族ジアミンを20〜80/80〜20重量%の割合
    で含有するアミン混合物と脂肪酸又はその誘導体とから
    得られる(但し、脂肪酸又はその誘導体のカルボン酸当
    量又はカルボン酸エステル当量1に対する脂肪族ポリア
    ミンと脂環族ジアミンとのモル数の和は0.5〜1.2)ポリ
    アミドポリアミンからなる接着付与剤(III)を含有す
    ることを特徴とする塩化ビニルプラスチゾル組成物。 但し、該塩化ビニルプラスチゾル組成物において各成分
    の比率は(I)が10〜50重量%、(II)が10〜50重量
    %、(III)が0.05〜10重量%である。
  2. 【請求項2】必須の構成成分として、塩化ビニル重合体
    及び/又は共重合体(I)、可塑剤(II)、脂肪族ポリ
    アミン/脂環族ジアミンを20〜80/80〜20重量%の割合
    で含有するアミン混合物と脂肪酸又はその誘導体とから
    得られる(但し、脂肪酸又はその誘導体のカルボン酸当
    量又はカルボン酸エステル当量1に対する脂肪族ポリア
    ミンと脂環族ジアミンとのモル数の和は0.5〜1.2)ポリ
    アミドポリアミンと、ポリオールと脂環式ポリイソシア
    ネートから得られるブロック化ウレタンプレポリマーと
    からなる接着付与剤(IV)を含有することを特徴とする
    塩化ビニルプラスチゾル組成物。 但し、該塩化ビニルプラスチゾル組成物において各成分
    の比率は(I)が10〜50重量%、(II)が10〜50重量
    %、(IV)が0.1〜10重量%である。
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