JP4233368B2 - アクリルゾル組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗料等に用いられるアクリルゾル組成物に関し、詳しくは、焼却時に塩化水素ガスやダイオキシンを発生することがなく、保存安定性に優れ、比較的低い温度でも硬化し、また、塗膜の基材に対する接着性や、塗膜の耐寒性、及び塗膜強度に優れるアクリルゾル組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
現在、工業的に広く用いられているプラスチゾルは、特別に調整された粒径及び粒度分布を有する重合体粒子を、充填剤とともに可塑剤中に均質に分散させてなる、液状又は糊状の粘稠な組成物である。そして、基材へ塗布し、適切な加工温度を加えることにより、強靱な塗膜を形成するものである。
【0003】
上記重合体粒子としては、通常、塩化ビニル単独重合体や、塩化ビニルと酢酸ビニルとの共重合体等のポリ塩化ビニル系のものが多用されている。このようなポリ塩化ビニル系プラスチゾルは、室温における長期貯蔵安定性が良好で、塗膜も柔軟で耐久性に優れているため、例えば、鋼板被覆、衣料、建材、日用品、雑貨、自動車部品等の分野において幅広く用いられている。
【0004】
しかしながら、ポリ塩化ビニル系プラスチゾルは、熱や光によって分解し、塩化水素ガスを発生する。ここで発生する塩化水素ガスは、オゾン層の破壊原因物質のもととなったり、酸性雨の原因となったり、焼却時に焼却炉の損傷を早めたりする等の問題を有し、さらに焼却の条件によってはダイオキシンを発生するおそれもあるため、安全衛生面や環境汚染の面で好ましいものではない。このため、このポリ塩化ビニル系プラスチゾルに代わるプラスチゾルの出現が待たれている。
【0005】
ポリ塩化ビニル系プラスチゾルに代わるプラスチゾルとしては、下記特許文献1に、アクリレート重合体と有機可塑剤とからなるプラスチゾルが開示されているが、貯蔵安定性及び成膜性が充分でないという欠点を有している。
【0006】
また、下記特許文献2には、メチルメタクリレート重合体又は共重合体、可塑剤、充填剤、ブロック化ポリウレタン、及びポリアミンを含有してなるポリ塩化ビニルを含まないプラスチゾルが開示されているが、塗膜の加工温度が比較的低温の場合には、ウレタン樹脂の硬化反応が進行しないため、得られる塗膜の性能が充分なものではなく、更に、35℃程度で放置すると1〜2日でゲル化するため実用的でない。
【0007】
さらに、下記特許文献3には、アクリル重合体微粒子、ブロック型ウレタン樹脂、固形のヒドラジン系硬化剤、可塑剤、及び充填剤を含むアクリルゾルが提案されており、下記特許文献4には、アクリル重合体微粒子、可塑剤、充填剤、ブロック型ウレタン樹脂、硬化剤及び発泡剤を含む防音アンダーコート用アクリルゾルが提案されているが、基材との密着性が不十分であったり、特に低温における柔軟性が不十分であったりする等の欠点を有していた。
【0008】
本発明は、上記の如き現状に鑑みてなされたものであり、焼却時に塩化水素ガスやダイオキシンを発生することがなく、貯蔵安定性に優れ、且つ比較的低温においても硬化し、また、塗膜の基材に対する接着性や、塗膜の耐寒性、及び塗膜強度に優れたアクリルゾル組成物を提供することを目的とする。
【0009】
【特許文献1】
特公昭55−16177号公報
【特許文献2】
特公昭63−66861号公報
【特許文献3】
特開2001−329135号公報
【特許文献4】
特開2001−329208号公報
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、アクリル重合体微粒子、ブロックポリウレタン等を含有するアクリルゾル組成物中に、ポリアミン化合物及びフェノール樹脂を含有させることによって、上記の如き問題の改善されたアクリルゾル組成物が提供されることを見出し、本発明に到達した。
【0011】
即ち、本発明は、(a)アクリル重合体微粒子、(b)ブロックポリウレタン、(c)ポリアミン化合物、(d)フェノール樹脂、(e)可塑剤、及び(f)充填剤を含むことを特徴とするアクリルゾル組成物を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のアクリルゾル組成物の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0013】
本発明において使用される(a)アクリル重合体微粒子としては、アクリルゾル組成物に通常用いられているアクリル重合体微粒子を使用することができる。例えば、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル等から選ばれるモノマーの単一重合体や共重合体を使用することができる。これらのモノマーとして、具体的には、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、ter−ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、ter−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等が挙げられる。
また、共重合成分として、スチレン、α−メチルスチレン等も使用することができる。
【0014】
上記(a)アクリル重合体微粒子としては、コア部とシェル部とから構成されるコア−シェル型のアクリル重合体微粒子を使用することが好ましい。コア−シェル型のアクリル重合体微粒子を用いてアクリルゾル組成物を調製した場合には、該アクリルゾル組成物の貯蔵安定性がより向上し、塗布した際の粘度上昇や、加熱硬化後のブリード発生をより抑制するという利点がある。
【0015】
さらに、(a)アクリル重合体微粒子をコア−シェル型とする場合には、コア部を可塑剤親和性ポリマーにて構成し、シェル部を可塑剤非親和性ポリマーで構成することが好ましい。可塑剤との相溶性に乏しいシェル部のポリマーが、可塑剤との相溶性があるコア部を被覆することにより、貯蔵中のアクリルゾル組成物の粘度上昇を抑制し、貯蔵安定性がより向上する。また、このようなシェル部のポリマーは、適当な温度に加熱することによって、可塑剤との相溶性を有するようになるため、加熱硬化後にブリードを発生することはない。
【0016】
上記コア部は、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、エチルメタクリレート等から選ばれるメタクリレートの単一重合体又はこれらの共重合体を、50重量%以上含有することが好ましい。このように、コア部を可塑剤との相溶性が高いものにすることで、加熱硬化後におけるブリードの発生を抑制することができる。特に、塗膜に柔軟性を付与するという観点から、コア部は、ブチルメタクリレートとイソブチルメタクリレートとの共重合体を主体とすることが好ましい。
【0017】
また、上記シェル部は、メチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、スチレン等から選ばれるメタクリレートの単一重合体又はこれらの共重合体を、50重量%以上含有することが好ましい。このように、シェル部を可塑剤との相溶性が低いものとすることで、貯蔵中のアクリルゾル組成物の粘度上昇を抑制し、貯蔵安定性がより向上する。特に、この貯蔵安定性をより向上させるという観点から、シェル部は、メチルメタクリレート重合体を主体とすることが好ましい。
【0018】
さらに、コア部とシェル部とのポリマー比(前者/後者)は、重量比で25/75〜70/30が好ましい。シェル部75重量部に対してコア部が25重量部より少ない場合には、上記の望ましい範囲のものと比較して、加熱硬化後にブリードが発生する可能性が高くなる。また、シェル部30重量部に対してコア部が70重量部より多い場合には、上記の望ましい範囲のものと比較して、シェル部によるコア部の被覆が不充分となることがあり、貯蔵安定性に影響することがある。
【0019】
上記(a)アクリル重合体微粒子の分子量は、塗膜強度、貯蔵安定性等の観点より、重量平均分子量で10万〜数100万が好ましく、平均粒子径は、可塑剤への拡散性や貯蔵安定性の観点より、0.1〜10μmが好ましい。
【0020】
本発明において使用される(b)ブロックポリウレタンは、ポリイソシアネートとポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール等のポリオールとを反応して得られるポリウレタンを、ブロック化剤を用いてブロックして得られるものである。
【0021】
上記ポリイソシアネートとしては、プロパン−1,2−ジイソシアネート、2,3−ジメチルブタン−2,3−ジイソシアネート、2−メチルペンタン−2,4−ジイソシアネート、オクタン−3,6−ジイソシアネート、3,3−ジニトロペンタン−1,5−ジイソシアネート、オクタン−1,6−ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート、メタテトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート)、1,3−又は1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート(MDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4'−ジイソシアネート(水添MDI)、水添トリレンジイソシアネート等、及びこれらの混合物が挙げられる。これらのポリイソシアネートは、三量化してなるイソシアヌル体であってもよい。
【0022】
ここで、ポリイソシアネートのイソシアヌル体は、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、ジオキサン等の不活性溶媒中、又はジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、アルキル基の炭素原子数7〜11(以下C7〜C11のように記す)の混合アルキルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ヘキサノールベンジルフタレート等のフタル酸エステル、トリスクレジルホスフェート、トリスフェニルホスフェート等のリン酸エステル、ジ−2−エチルヘキシルアジペート等のアジピン酸エステル若しくはC7〜C11の混合アルキルトリメリテート等のトリメリット酸エステル等の可塑剤中で、周知の触媒、例えば、三級アミン、四級アンモニウム化合物、マンニッヒ塩基、脂肪酸のアルカリ金属、アルコラート等を使用して、既知の方法で重合して得られる。高揮発性の溶剤下で重合反応したものは、最終的に適当な高沸点の溶剤、例えば可塑剤で溶剤置換処理するのが望ましい。
【0023】
上記ポリエーテルポリオールとしては、多価アルコールのポリアルキレングリコール(分子量100〜5500程度)付加物が好ましく使用される。
【0024】
上記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ネオペンタングリコール等の脂肪族二価アルコール;グリセリン、トリオキシイソブタン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、2−メチル−1,2,3−プロパントリオール、2−メチル−2,3,4−ブタントリオール、2−エチル−1,2,3−ブタントリオール、2,3,4−ペンタントリオール、2,3,4−ヘキサントリオール、4−プロピル−3,4,5−ヘプタントリオール、2,4−ジメチル−2,3,4−ペンタントリオール、ペンタメチルグリセリン、ペンタグリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、トリメチロールプロパン等の三価アルコール;エリトリット、ペンタエリトリット、1,2,3,4−ペンタンテトロール、2,3,4,5−ヘキサンテトロール、1,2,3,5−ペンタンテトロール、1,3,4,5−ヘキサンテトロール等の四価アルコール;アドニット、アラビット、キシリット等の五価アルコール;ソルビット、マンニット、イジット等の六価アルコール等が挙げられる。上記多価アルコールとして好ましいのは2〜4価のアルコールであり、特にプロピレングリコール、グリセリン等が好ましい。
【0025】
これらのポリエーテルポリオールは、かかる多価アルコールに、常法により炭素数2〜4個のアルキレンオキサイドを、所望の分子量となるように付加せしめることによって製造することができる。炭素数2〜4個のアルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドが挙げられるが、特にプロピレンオキサイドを使用するのが好ましい。
【0026】
上記ポリエステルポリオールとしては、例えば、ポリカルボン酸と多価アルコールとから製造される従来公知のポリエステルあるいはラクタム類から得られるポリエステル等が挙げられる。
【0027】
かかるポリカルボン酸としては、例えば、ベンゼントリカルボン酸、アジピン酸、琥珀酸、スベリン酸、セバシン酸、蓚酸、メチルアジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、アゼライン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、チオジプロピオン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、又はこれらに類する任意の適当なカルボン酸を使用することができる。
【0028】
かかる多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ビス(ヒドロキシメチルクロルヘキサン)、ジエチレングリコール、2,2−ジメチルプロピレングリコール、1,3,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、グリセリン、又はこれらに類する任意の適当な多価アルコールを使用することができる。その他、ポリテトラメチレングリコール、ポリカプロラクトングリコール等のポリヒドロキシ化合物も使用し得る。
【0029】
本発明において使用される(b)ブロックポリウレタンを構成するポリウレタンは、例えば、上記の如きポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオール、あるいはこれらとヒマシ油等のOH基含有グリセライド類との混合物等のポリヒドロキシ化合物と、前述のポリイソシアネートとを反応せしめて得ることができる。
上記ポリウレタンを得るに際し、前述のポリイソシアネートとポリオール等のポリヒドロキシ化合物とのモル比(前者/後者)は、通常1.5〜3.5/1、好ましくは2.0〜3.5/1である。また、該プレポリマーのNCO%は、通常1〜20%、好ましくは1〜10%である。
【0030】
上記ポリウレタンは、通常の方法により得ることができる。反応温度は、通常40〜140℃、好ましくは60〜130℃である。反応を行うに際し、反応を促進するために公知のウレタン重合用触媒、例えば、ジブチル錫ジラウレート、第一錫オクトエート、スタナスオクトエート、オクチル酸鉛、ナフテン酸鉛、オクチル酸亜鉛等の有機金属化合物、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン等の第三級アミン系化合物を使用することも可能である。
【0031】
上記ポリウレタンとしては、ポリエーテルポリオール及びポリイソシアネートを反応させて得られるものが好ましく、該ポリエーテルポリオールとして三官能以上のポリエーテルポリオール、特にグリセリントリス(ポリプロピレングリコール)を用いたものがより好ましい。中でも、グリセリントリス(ポリプロピレングリコール)とトリレンジイソシアネート(TDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)又はイソホロンジイソシアネートとを反応させて得られるものが、基材との密着性に優れるアクリルゾル組成物が得られるため最も好ましい。
【0032】
上記ポリウレタンのブロック化反応に用いられる上記ブロック化剤としては、例えば、マロン酸ジエステル(マロン酸ジエチル等)、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル(アセト酢酸エチル等)等の活性メチレン化合物;アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム(MEKオキシム)、メチルイソブチルケトオキシム(MIBKオキシム)、メチルケトンオキシム等のオキシム化合物;メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ヘプチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、イソノニルアルコール、ステアリルアルコール等の一価アルコール又はこれらの異性体;メチルグリコール、エチルグリコール、エチルジグリコール、エチルトリグリコール、ブチルグリコール、ブチルジグリコール等のグリコール誘導体;ジシクロヘキシルアミン等のアミン化合物等が挙げられる。
【0033】
上記(b)ブロックポリウレタンを得るためのブロック化反応は、公知の反応方法により行われる。ブロック化剤の添加量は、遊離のイソシアネート基に対し、通常1〜2当量、好ましくは1.00〜1.5当量である。
【0034】
通常、前述のポリウレタンのブロック化反応は、最終の反応でブロック化剤を添加する方法をとるが、ブロック化剤を任意の段階で添加し反応させ、(b)ブロックポリウレタンを得ることができる。
【0035】
ブロック化剤の添加方法は、重合終了時に添加するか、或いは重合初期に添加するか、又は重合初期に一部添加し重合終了時に残部を添加する等の方法が可能である。好ましくは重合終了時に添加する。この場合、重合終了時の目安としては、イソシアネート%(例えば「ポリウレタン」槙書店、昭和35年発行、第21頁記載の方法により測定できる)を基準とすればよい。ブロック化の反応温度は、通常50〜150℃であり、好ましくは60〜120℃である。反応時間は1〜7時間程度で行う。反応に際し、前述の公知のウレタン重合用触媒を添加して反応を促進することも可能である。また、反応に際し、後述する可塑剤を任意の量加えてもよい。
【0036】
本発明のアクリルゾル組成物において、(b)ブロックポリウレタンの配合量は、(a)アクリル重合体微粒子と(b)ブロックポリウレタンとの重量比(前者/後者)で90/10〜15/85、特に90/10〜50/50であることが好ましい。(a)アクリル重合体微粒子90重量部に対して(b)ブロックポリウレタンが10重量部より少ない場合は、上記の望ましい範囲の場合と比較して、塗膜の基材への接着性、塗膜の耐寒性、及び塗膜強度が不充分となる。また、(a)アクリル重合体微粒子15重量部に対して(b)ブロックポリウレタンが85重量部より多い場合は、上記の望ましい範囲の場合と比較して、調製されたアクリルゾル組成物の粘度が高くなり、塗布する際の作業性に影響を与える。
【0037】
本発明において使用される(c)ポリアミン化合物としては、例えば、1,2−ジアミノプロパン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン等の脂肪族ポリアミン;イソホロンジアミン、メンセンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルジシクロヘキシル)メタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、N−アミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン等の脂環式ポリアミン;m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、トリレン−2,4−ジアミン、トリレン−2,6−ジアミン、メシチレン−2,4−ジアミン、メシチレン−2,6−ジアミン、3,5−ジエチルトリレン−2,4−ジアミン、3,5−ジエチルトリレン−2,6−ジアミン等の単核ポリアミン;ビフェニレンジアミン、4,4−ジアミノジフェニルメタン、2,5−ナフチレンジアミン、2,6−ナフチレンジアミン等の芳香族ポリアミン;これらをグリシジルエーテル若しくはアクリロニトリルで付加変性してなるか、フェノール類及びアルデヒド類で変性してなるか、又は、カルボン酸化合物でアミド変性してなる変性ポリアミン化合物等が挙げられる。
【0038】
これらのポリアミン化合物の中でも、脂肪族又は脂環式ポリアミン及びポリグリシジル化合物から得られる変性ポリアミン、あるいは脂肪族又は脂環式ポリアミン、フェノール類及びアルデヒド類から得られる変性ポリアミンが、保存安定性の優れたアクリルゾル組成物が得られるため好ましい。
【0039】
上記変性ポリアミンを提供することのできるポリグリシジル化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ピロカテコール、フロログルシノール等の単核多価フェノール化合物のポリグリシジルエーテル化合物;ジヒドロキシナフタレン、ビフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、メチレンビス(オルトクレゾール)、エチリデンビスフェノール、イソプロピリデンビスフェノール(ビスフェノールA)、イソプロピリデンビス(オルトクレゾール)、テトラブロモビスフェノールA、1,3−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,4−ビス(4−ヒドロキシクミルベンゼン)、1,1,3−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,2,2−テトラ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、チオビスフェノール、スルホビスフェノール、オキシビスフェノール、フェノールノボラック、オルソクレゾールノボラック、エチルフェノールノボラック、ブチルフェノールノボラック、オクチルフェノールノボラック、レゾルシンノボラック、ビスフェノールAノボラック、ビスフェノールFノボラック、テルペンジフェノール等の多核多価フェノール化合物のポリグリジルエーテル化合物;上記単核多価フェノール化合物あるいは多核多価フェノール化合物にエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド付加物のポリグリシジルエーテル化合物;上記単核多価フェノール化合物の水添物のポリグリシジルエーテル化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ポリグリコール、チオジグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ビスフェノールA−エチレンオキシド付加物、ジシクロペンタジエンジメタノール等の多価アルコール類のポリグリシジルエーテル;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、グルタル酸、スベリン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸、トリマー酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸等の脂肪族、芳香族又は脂環族多塩基酸のグリシジルエステル類及びグリシジルメタクリレートの単独重合体又は共重合体;N,N−ジグリシジルアニリン、ビス(4−(N−メチル−N−グリシジルアミノ)フェニル)メタン等のグリシジルアミノ基を有するエポキシ化合物;ビニルシクロヘキセンジエポキシド、ジシクロペンタンジエンジエポキサイド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート等の環状オレフィン化合物のエポキシ化物;エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化スチレン−ブタジエン共重合物等のエポキシ化共役ジエン重合体、トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環化合物が挙げられる。また、これらは末端イソシアネートのプレポリマーによって内部架橋されたものでもよい。これらのポリグリシジル化合物の中でも、ビスフェノールA型又はF型エポキシ樹脂が好ましい。
【0040】
上記のポリアミン及びポリグリシジル化合物から変性ポリアミンを製造する方法は、特に制限されるものではないが、ポリアミン1モルに対して、ポリグリシジル化合物0.5〜1.8当量を使用し、必要に応じて溶媒を使用し、100〜200℃で数分〜数時間反応させることで容易に製造することができる。
【0041】
上記変性ポリアミンを提供することのできるフェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、n−プロピルフェノール、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、第三ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、シクロヘキシルフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、レゾルシン、カテコール、ハイドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF、ナフトール等が挙げられ、アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド等が挙げられる。
【0042】
上記のポリアミン、フェノール類及びアルデヒド類から変性ポリアミンを製造する方法は特に制限されるものではないが、ポリアミン1モルに対して、フェノール類0.1〜1.2モル及びアルデヒド類0.5〜3モルを使用し、必要に応じて溶媒を使用し、50〜200℃で脱水反応を行い、さらに減圧脱水反応(及び脱溶剤)を行うことで容易に製造することができる。
【0043】
本発明のアクリルゾル組成物において、上記(c)ポリアミン化合物は、(a)アクリル重合体微粒子100重量部当たり、0.01〜10重量部、特に0.05〜5重量部の割合で配合することが好ましい。
【0044】
本発明において使用される(d)フェノール樹脂としては、例えば、フェノール類の多量体が挙げられ、具体的には、フェノール類として、例えば、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、n−プロピルフェノール、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、第三ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、シクロヘキシルフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、レゾルシン、カテコール、ハイドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールF、ナフトール等を用い、アルデヒド類として、ホルムアルデヒド等を用いて、常法により製造されるフェノール樹脂、あるいは、上記フェノール類とジシクロペンタジエン、テルペン等の不飽和環状炭化水素化合物との縮合反応によって得られるフェノール類の多量体等が挙げられる。
【0045】
本発明のアクリルゾル組成物において、上記(d)フェノール樹脂は、(a)アクリル重合体微粒子100重量部当たり、0.001〜10重量部、特に0.01〜5重量部の割合で配合することが好ましい。
【0046】
本発明において使用される(e)可塑剤としては、従来からポリ塩化ビニル系のプラスチゾルに用いられている可塑剤を用いることができる。例えば、ジイソノニルフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸系可塑剤、ジ−(2−エチルヘキシル)アジペート、ジ−n−デシルアジペート、ジ−(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジブチルセバケート、ジ−(2−エチルヘキシル)セバケート等の脂肪酸エステル系可塑剤、トリブチルホスフェート、トリ−(2−エチルヘキシル)ホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート等のリン酸エステル系可塑剤、エポキシ化大豆油等のエポキシ系可塑剤、その他ポリエステル系可塑剤、安息香酸系可塑剤等を使用することができる。これらの可塑剤は、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。特に、安価で入手しやすいという観点から、ジイソノニルフタレートを用いることが好ましい。また、(e)可塑剤は、塗膜強度、施工作業性等の観点から、(a)アクリル重合体微粒子100重量部当たり、50〜500重量部、特に80〜300重量部の割合で配合されることが好ましい。
【0047】
本発明のアクリルゾル組成物を構成する(f)充填剤としては、従来からポリ塩化ビニル系のプラスチゾルに用いられているものを使用することができ、例えば、炭酸カルシウム、マイカ、タルク、カオリンクレー、シリカ、硫酸バリウム等の他、ガラス繊維、ワラストナイト、アルミナ繊維、セラミック繊維、各種ホイスカー等の繊維状充填剤を使用することができる。特に、安価であるという理由から炭酸カルシウムを用いることが好ましい。また、(f)充填剤は、塗膜強度、コスト等の観点から、(a)アクリル重合体微粒子100重量部当たり、50〜800重量部、特に80〜500重量部の割合で配合されることが好ましい。
【0048】
なお、本発明のアクリルゾル組成物には、従来より公知の他の添加剤、例えば、着色剤、酸化防止剤、発泡剤、希釈剤、紫外線吸収剤等を配合することができる。着色剤としては、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック等の無機顔料、アゾ系、フタロシアニン系等の有機顔料等を使用することができる。酸化防止剤としては、例えば、フェノール系やアミン系等の酸化防止剤を使用することができる。発泡剤としては、加熱によりガスを発生するタイプの発泡剤を使用することができ、例えば、アゾジカルボンアミド、アゾビスホルムアミド等のアゾ系発泡剤が使用できる。希釈剤としては、例えば、キシレン、ミネラルターペン等の溶剤等を、紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤を使用することができる。
【0049】
本発明のアクリルゾル組成物の調製方法については、特に制限はなく、従来からのプラスチゾルの調製に慣用されている方法を用いることができる。例えば、(a)アクリル重合体微粒子、(b)ブロックポリウレタン、(c)ポリアミン化合物、(d)フェノール樹脂、(e)可塑剤、(f)充填剤、及び必要により他の添加剤を、公知の混合機を用いて、充分に混合撹拌することにより、本発明のアクリルゾル組成物を調製することができる。混合機としては、プラネタリーミキサー、ニーダー、グレンミル、ロール等が使用できる。
【0050】
本発明のアクリルゾル組成物は、従来公知の塗装方法、即ち、刷毛塗り、ローラー塗装、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装等により、塗布することが可能である。そして、本発明のアクリルゾル組成物を塗布した後、加熱し、塗膜を形成する。加熱方法も通常の方法に従えばよく、例えば熱風循環乾燥炉等を用いて行うことができる。
【0051】
本発明のアクリルゾル組成物は、塗料、インキ、接着剤、粘着剤、シーリング剤等に好適に用いられ、また、雑貨、玩具、工業部品、電気部品等の成型品にも応用できる。紙、布等に適用すれば、人造皮革、敷物、壁紙、衣料用材料、防水シート等になり、金属板に適用すれば防蝕性金属板とすることができる。
【0052】
【実施例】
以下、本発明のアクリルゾル組成物を実施例等を挙げて具体的に説明する。
【0053】
〔製造例1〕ブロックポリウレタン(BU−1)の製造
グリセリントリス(ポリプロピレングリコール)(分子量4000)785gを仕込み、100〜110℃、30mmHgで1時間減圧脱水反応を行なった。これを60℃まで冷却し、トリレンジイソシアネート103gを添加し、窒素雰囲気下、90〜100℃で4時間反応させた。次いで、60℃まで冷却し、ジシクロヘキシルアミン112gを滴下し、90〜100℃で1時間熟成反応を行い、さらに100〜110℃、30mmHgで1時間脱気反応を行なった。
赤外吸収スペクトルにてNCOの吸収2660cm-1が完全に消えたことを確認し、ブロックポリウレタン(BU−1)を得た。
【0054】
〔製造例2〕ブロックポリウレタン(BU−2)の製造
ジシクロヘキシルアミンをメチルケトンオキシム55gに代えた以外は製造例1と同様にして、ブロックポリウレタン(BU−2)を製造した。
【0055】
〔製造例3〕ブロックポリウレタン(BU−3)の製造
トリレンジイソシアネートをイソホロンジイソシアネート131gに代えた以外は製造例1と同様にして、ブロックポリウレタン(BU−3)を製造した。
【0056】
〔製造例4〕変性ポリアミン(HPA−1)の製造
イソホロンジアミン399gを仕込み、そこにアデカレジンEP−4100E(旭電化工業(株)製;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量190)476gを分割添加しながら100℃まで昇温し、さらに100〜150℃で2時間熟成した。
そこにMP−800K(旭有機材工業(株)製;フェノール樹脂)140gを150〜180℃で分割添加し、1時間熟成し、さらにセバシン酸35gを添加し、170〜180℃、30〜50mmHgで1時間減圧脱水を行なった。これを微粉砕機で30μm以下に粉砕して取り出し、変性ポリアミン(HPA−1)を得た。
【0057】
〔製造例5〕変性ポリアミン(HPA−2)の製造
1,2−ジアミノプロパン225g、トルエン89g及びイソプロパノール89kgを仕込み、70〜95℃でアデカレジンEP−4901E(旭電化工業(株)製;ビスフェノールF型エポキシ樹脂)571gを分割して添加し、95〜100℃で1時間熟成し、155〜165℃、40〜60mmHgで1時間減圧で脱溶剤を行なった。
そこにMP−800K 254gを155〜165℃で分割添加し、155〜165℃、40〜60mmHgで1時間減圧脱水を行なった。これを微粉砕機で30μm以下に粉砕して取り出し、変性ポリアミン(HPA−2)を得た。
【0058】
〔製造例6〕変性ポリアミン(HPA−3)の製造
1,2−ジアミノプロパン225g、トルエン89g及びイソプロパノール89kgを仕込み、70〜95℃でアデカレジンEP−4901E(旭電化工業(株)製;ビスフェノールF型エポキシ樹脂)571gを分割して添加し、95〜100℃で1時間熟成し、155〜165℃、40〜60mmHgで1時間減圧で脱溶剤を行なった。
そこにマイティーエースG−150(ヤスハラケミカル社製;テルペン−フェノール共重合体)254gを155〜165℃で分割添加し、155〜165℃、40〜60mmHgで1時間減圧脱水を行なった。これを微粉砕機で30μm以下に粉砕して取り出し、変性ポリアミン(HPA−3)を得た。
【0059】
〔製造例7〕変性ポリアミン(HPA−4)の製造
イソホロンジアミン516g、フェノール94g及びイソブタノール100gを仕込み、50〜60℃で37質量%ホルムアルデヒド溶液243gを滴下し、90〜100℃で1時間熟成し、170℃まで昇温して脱水、脱溶剤を行い、さらに165〜175℃、30〜50mHgで1時間脱水、脱溶剤を行った。
そこにDPP−6115H(新日本石油化学(株)製;ジシクロペンタジエン−フェノール共重合体)115gを分割添加後、170〜180℃、30〜50mHgで脱水を行った。これを微粉砕機で30μm以下に粉砕して取り出し、変性ポリアミン(HPA−4)を得た。
【0060】
〔製造例8〕変性ポリアミン(HPA−5)の製造
ビス(p−アミノシクロヘキシル)メタン660g、フェノール94g及びイソブタノール100gを仕込み、50〜60℃で37質量%ホルムアルデヒド溶液243gを滴下し、90〜100℃で1時間熟成し、170℃まで昇温して脱水、脱溶剤を行い、さらに165〜175℃、30〜50mHgで1時間脱水、脱溶剤を行った。
そこにDPP−6115H 115gを分割添加後、170〜180℃、30〜50mHgで脱水を行った。これを微粉砕機で30μm以下に粉砕して取り出し、変性ポリアミン(HPA−5)を得た。
【0061】
〔実施例1〜8及び比較例1〜2〕
アクリル重合体微粒子、上記製造例1〜3でそれぞれ得られたブロックポリウレタン、上記製造例4〜8でそれぞれ得られた変性ポリアミン、ジイソノニルフタレート(可塑剤)及び炭酸カルシウム(充填剤)を、表1に示す割合で配合し、ニーダーにより混合分散して、実施例1〜8及び比較例1、2のアクリルゾル組成物をそれぞれ得た。
【0062】
〈評価方法及び結果〉
上記実施例1〜8及び比較例1、2のアクリルゾル組成物について、粘度安定性、接着性及び塗膜強度の評価を、それぞれ以下の方法で行った。それらの結果を表1に示す。
【0063】
(1)粘度安定性
B型回転粘度計を用い、20℃において、アクリルゾル組成物の初期粘度を測定した。その後、アクリルゾル組成物を密封容器に入れ、35℃で10日間保持した後、20℃に冷却し、同様に粘度を測定し、初期からの粘度変化率を求め、下記評価基準に従い評価した。
評価基準 ○:粘度変化率50%未満、×:粘度変化率50%以上
【0064】
(2)接着性
100×25×1.0mmの電着塗装鋼板の端部にアクリルゾル組成物を塗布し、接着部の厚さが3mmとなるようにスペーサーを挟み圧着した。この状態で、130℃で30分間焼き付けを行った後、スペーサーを取り除き、引っ張り速度50mm/minでせん断方向に引っ張り、破壊状態を下記評価基準に従い評価した。
評価基準 ○:凝集破壊、×:界面破壊
【0065】
(3)塗膜強度
アクリルゾル組成物を剥離可能な板の上に塗布し、130℃で20分間焼き付けた後、規定の試験片を打ち抜き、これをJIS K 7113に準じて、23℃、0℃及び−20℃にて引張試験を行い、破断時の強度(MPa)及び伸び(%)を測定し、且つ、JIS K 7128−3に準じて、23℃、0℃及び−20℃にて引き裂き試験を行い、引き裂き時の強度(N)を測定した。
【0066】
【表1】
Figure 0004233368
【0067】
上記表1から明らかなように、アクリル重合体微粒子、ブロックポリウレタン、可塑剤及び充填剤からなるアクリルゾル組成物(比較例1及び2)は、塗膜の接着性が十分ではなく、また塗膜強度に関しても全く不十分なものである。
【0068】
これに対して、アクリル重合体微粒子、ブロックポリウレタン、ポリアミン及びポリグリシジル化合物から得られる変性ポリアミン、フェノール樹脂、可塑剤並びに充填剤からなる本発明のアクリルゾル組成物(実施例1〜8)は、保存安定性に優れ、塗膜の接着性に優れ、且つ強靭な塗膜を形成することができる。
【0069】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明のアクリルゾル組成物は、焼却時に塩化水素ガスやダイオキシンを発生させることがなく、貯蔵安定性に優れ、且つ比較的低温においても硬化し、さらに塗膜の基材に対する接着性や、塗膜の耐寒性、及び塗膜強度に優れ、シーリング材、コーティング材、日用品等の幅広い分野で有用である。

Claims (9)

  1. (a)アクリル重合体微粒子、(b)ブロックポリウレタン、(c)ポリアミン化合物、(d)フェノール樹脂、(e)可塑剤、及び(f)充填剤を含むことを特徴とするアクリルゾル組成物。
  2. 上記(a)アクリル重合体微粒子と上記(b)ブロックポリウレタンとの重量比(前者/後者)が、90/10〜15/85である請求項1記載のアクリルゾル組成物。
  3. 上記(a)アクリル重合体微粒子が、コア部とシェル部とから構成されるコア−シェル型である請求項1又は2記載のアクリルゾル組成物。
  4. 上記(b)ブロックポリウレタンが、ポリイソシアネートとポリエーテルポリオールとを反応して得られるポリウレタンを、ブロック化剤を用いてブロックして得られるものである請求項1〜3のいずれかに記載のアクリルゾル組成物。
  5. 上記ポリエーテルポリオールが、三官能以上のポリエーテルポリオールである請求項4記載のアクリルゾル組成物。
  6. 上記三官能以上のポリエーテルポリオールが、グリセリントリス(ポリプロピレングリコール)である請求項5記載のアクリルゾル組成物。
  7. 上記(c)ポリアミン化合物が、脂肪族又は脂環式ポリアミン及びポリグリシジル化合物から得られる変性ポリアミンである請求項1〜6のいずれかに記載のアクリルゾル組成物。
  8. 上記ポリグリシジル化合物が、ビスフェノールA型又はF型エポキシ樹脂である請求項7記載のアクリルゾル組成物。
  9. 上記(c)ポリアミン化合物が、脂肪族又は脂環式ポリアミン、フェノール類及びアルデヒド類から得られる変性ポリアミンであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のアクリルゾル組成物。
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