JP2002179760A - アクリル樹脂微粉末を含有するゾル組成物 - Google Patents

アクリル樹脂微粉末を含有するゾル組成物

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JP2002179760A JP2000380384A JP2000380384A JP2002179760A JP 2002179760 A JP2002179760 A JP 2002179760A JP 2000380384 A JP2000380384 A JP 2000380384A JP 2000380384 A JP2000380384 A JP 2000380384A JP 2002179760 A JP2002179760 A JP 2002179760A
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Tatsuro Ota
達郎 大田
Osamu Mizobuchi
治 溝渕
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Kyoeisha Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ポリ塩化ビニル樹脂を含まず、下地塗料として
の優れた物性を有するアクリル樹脂微粉末含有ゾル組成
物を提供する。 【解決手段】アクリル樹脂微粉末含有ゾル組成物は、
(メタ)アクリル酸エステルが不飽和基含有カルボン酸
またはそのエステルまたはビニルエーテルと共重合した
アクリル樹脂、および(メタ)アクリル酸エステルが重
合したアクリル樹脂の少なくともいずれか一方の樹脂か
らなる微粉末と、有機ジイソシアネート重合物の末端ブ
ロック体と、ウレタンプレポリマーの末端ブロック体と
を含んでいる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車車体等の基
材の下地塗料に用いられる、アクリル樹脂微粉末を含有
するゾル組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車車体等の基材にシーリング塗料や
耐チッピング塗料のような下地塗料で下地を形成した上
に、上塗り塗料で塗装が施される。
【0003】従来、下地塗料として、ポリ塩化ビニル樹
脂を多量に含有するプラスチゾル組成物が汎用されてい
た。ポリ塩化ビニル樹脂は柔軟性、抗張力、接着力、難
燃性、伸び性等の物性が優れており、これを含むプラス
チゾル組成物で形成された被膜も同様な優れた物性を有
している。
【0004】しかしポリ塩化ビニル樹脂は焼却時に有害
物質を発生する虞がある。そのため、ポリ塩化ビニル樹
脂に代えて水系エマルション樹脂、水性樹脂またはウレ
タン樹脂を含有する組成物が検討されているものの、い
ずれで形成した被膜もポリ塩化ビニル樹脂プラスチゾル
組成物で形成した被膜ほどの物性が得られない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記の課題を
解決するためなされたもので、ポリ塩化ビニル樹脂を含
まず、下地塗料としての優れた物性を有するアクリル樹
脂微粉末含有ゾル組成物、およびそれが硬化した被膜を
提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めになされた本発明のアクリル樹脂微粉末含有ゾル組成
物は、(メタ)アクリル酸エステルが不飽和基含有カル
ボン酸またはそのエステルまたはビニルエーテルと共重
合したアクリル樹脂、および(メタ)アクリル酸エステ
ルが重合したアクリル樹脂の少なくともいずれか一方の
樹脂からなる微粉末と、有機ジイソシアネート重合物の
末端ブロック体と、ウレタンプレポリマーの末端ブロッ
ク体とを含んでいる。
【0007】このアクリル樹脂は、平均分子量が50,
000〜4,000,000であり、そのガラス転移温
度(Tg)が20〜120℃であることが好ましい。こ
のようなアクリル樹脂からなる微粉末は、ポリ塩化ビニ
ル樹脂ほどの柔軟性、抗張力、接着力、難燃性、伸び性
の物性を有していない。しかしアクリル樹脂微粉末含有
組成物中に有機ジイソシアネート重合物末端ブロック体
と、ウレタンプレポリマー末端ブロック体とが含まれて
いると、この組成物から形成される被膜は、ポリ塩化ビ
ニル樹脂プラスチゾル組成物から形成される被膜と同等
な物性が付与される。
【0008】このアクリル樹脂を形成するためのモノマ
ーである(メタ)アクリル酸エステルとしては例えば
(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メ
タ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、
(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸te
rt-ブチル、(メタ)アクリル酸 2−エチルヘキシル、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒド
ロキシプロピル(メタ)アクリレートが挙げられる。不
飽和基含有カルボン酸やそのエステルとしては、(メ
タ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸が例示される不
飽和カルボン酸;ジエチルマレートやジブチルマレート
のマレイン酸エステル、ジエチルフマレートやジブチル
フマレートのフマール酸エステルが例示される不飽和カ
ルボン酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、
ステアリン酸ビニルが例示されるカルボン酸ビニルエス
テルが挙げられる。ビニルエーテルには、ビニルエチル
エーテル、ビニルブチルエーテルの例示されるビニルア
ルキルエーテルが挙げられる。
【0009】これらの化合物から得られるアクリル樹脂
からなる微粉末には、コーティング塗料、ペースト加
工、プレゲル接着剤、プリプレグ化剤、壁紙等に使用さ
れている市販の微粉末、例えばゼオンアクリルレジンが
用いられ、具体的にはゼオンF−301、ゼオンF−3
03、ゼオンF−303D、ゼオンF−303L、ゼオ
ンF−320、ゼオンF−325、ゼオンF−340
A、ゼオンF−340、ゼオンF−345、ゼオンF−
351、ゼオンF−360(いずれも日本ゼオン(株)社
製の商品名)が挙げられる。これらの2種以上を任意の
割合で混合して用いてもよい。アクリル樹脂微粉末の粒
径は、大きくても100μmであることが好ましい。1
00μmより大きいと、基材にアクリル樹脂微粉末含有
ゾル組成物を下地塗料として塗布して被膜を形成した
後、外観上美麗に上塗り塗料を被覆することが困難とな
ってしまう。30μm以下であると一層好ましい。ゾル
組成物にアクリル樹脂微粉末が含有されていると、従来
の組成物と同様な操作により被膜を形成することができ
る。
【0010】本発明のアクリル樹脂微粉末含有ゾル組成
物を構成する有機ジイソシアネート重合物の末端ブロッ
ク体は、アルキルフェノールまたはヒドロキシ安息香酸
エステルによりこの重合物の末端イソシアネート基がブ
ロック化されたものであって、その平均分子量が1,0
00〜10,000であることが好ましい。平均分子量
が1,000よりも小さいと、アクリル樹脂微粉末含有
ゾル組成物を硬化させて被膜を形成する際に添加される
可塑剤と有機ジイソシアネート重合物の末端ブロック体
との相溶性が高くなりすぎて、基材と被膜との相互作用
が弱くなり、接着強度が不充分となってしまう。逆に平
均分子量が10,000よりも大きいと、可塑剤との相
溶性が低くなりすぎて、有機ジイソシアネート重合物の
末端ブロック体がゾル組成物中に均一に分散できなくな
り、ゾル組成物の粘度を著しく上昇させてしまう。
【0011】有機ジイソシアネート重合物は、少なくと
も芳香族ジイソシアネートを含む複数個の有機ジイソシ
アネートがシアヌレート化して重合したものであること
が好ましい。例えば、3分子の有機ジイソシアネートか
らなる3量体である。この芳香族ジイソシアナートに
は、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリ
レンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジ
イソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシ
アネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジ
イソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリフ
ェニルメタンジイソシアネート、トルイジンジイソシア
ネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジ
フェニルスルホンジイソシアネートが挙げられる。トリ
レンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネ
ート、キシリレンジイソシアネートであると一層好まし
い。有機ジイソシアネート重合物は、一種類の芳香族ジ
イソシアネートが重合していてもよく、複数種の芳香族
ジイソシアナートが任意の割合で混合されて重合したも
のであってもよい。有機ジイソシアネート重合物は、ヘ
キサメチレンジイソシアネートの例示される脂肪族ジイ
ソシアネートやイソホロンジイソシアネートの例示され
る環状脂肪族ジイソシアネートと、この芳香族ジイソシ
アナートとが混合されて重合したものであってもよい。
有機ジイソシアナート重合物は、末端にイソシアネート
基が残存している。
【0012】有機ジイソシアネート重合物の末端ブロッ
ク体は、この残存したイソシアネート基に、アルキルフ
ェノールやヒドロキシ安息香酸エステルの水酸基が付加
してブロック化したものである。アルキルフェノールに
は、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、オク
チルフェノール、ノニルフェノールの例示される炭素数
3以上のアルキル基を有するフェノールが挙げられる。
ヒドロキシ安息香酸エステルには、ortho−、meta−ま
たはpara−ヒドロキシ安息香酸エステルが挙げられ、pa
ra-ヒドロキシ安息香酸エステルであると一層好まし
い。meta−またはpara−ヒドロキシ安息香酸エステル
は、n−へプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキ
シル基、ノニル基、ドデシル基の例示される長鎖アルキ
ル基;ポリオキシエチレン基置換アルキル基、パラオキ
シプロピレン基置換アルキル基、オキシエチレン基置換
長鎖アルキル基、オキシプロピレン基置換長鎖アルキル
基の例示されるアルコキシアルキル基のいずれかの基
と、meta−またはpara−ヒドロキシ安息香酸とからなる
エステルであることが好ましい。ortho−ヒドロキシ安
息香酸エステルは、メチル基、エチル基、iso−プロピ
ル基、iso−アルミ基、n−ブチル基、sec−ブチル基、
tert−ブチル基、n−へプチル基、n−オクチル基、2
−エチルヘキシル基、ノニル基、ドデシル基の例示され
るアルキル基;オキシエチレン基置換アルキル基、ポリ
オキシエチレン基置換アルキル基、オキシプロピレン基
置換アルキル基、ポリオキシプロピレン基置換アルキル
基の例示されるアルコキシアルキル基;フェニル基、ベ
ンジル基の例示されるアリール基のいずれかの基と、or
tho−ヒドロキシ安息香酸とからなるエステルであるこ
とが好ましい。
【0013】有機ジイソシアネート重合物末端のブロッ
ク体は以下のようにして合成される。先ず、ゾル組成物
に含ませる可塑剤中で、有機ジイソシアネートをシアヌ
レート化して重合させることにより、有機ジイソシアネ
ート重合物を合成する。このとき重合触媒としてマンニ
ッヒ塩基、脂肪酸アルカリ金属塩を用いてもよく、酢酸
ブチルの例示される不活性溶剤を用いてもよい。この有
機ジイソシアネート重合物に、アルキルフェノールまた
はヒドロキシ安息香酸エステルを加え、重合物の末端イ
ソシアネート基に反応させて、有機ジイソシアネート重
合物末端ブロック体を得る。このとき、ジブチル錫ジラ
ウレートを触媒として用いてもよい。
【0014】有機ジイソシアネート重合物である2,4
−トリレンジイソシアナートの3量体に、tert−ブチル
フェノールを反応させた例を下記化学反応式(I)に示
す。
【0015】
【化1】
【0016】アクリル樹脂微粉末含有ゾル組成物が加熱
により硬化する際、有機ジイソシアネート重合物の末端
ブロック体は、アルキルフェノールやヒドロキシ安息香
酸エステルが熱解裂して、イソシアネート基を再生し、
ウレタンプレポリマーの水酸基と反応し網目状の架橋を
形成して高分子化して、粘着性を付与するためのもので
ある。
【0017】アクリル樹脂微粉末含有ゾル組成物中の有
機ジイソシアネート重合物末端ブロック体の配合量は、
ゾル組成物100重量部に対して1〜5重量部であっ
て、アクリル樹脂微粉末100重量部に対して4〜10
0重量部好ましくは8〜60重量部である。
【0018】本発明の組成物を構成するウレタンプレポ
リマー末端ブロック体は、ポリオールと有機ジイソシア
ネートとからなるウレタンプレポリマーの有する末端イ
ソシアネート基がオキシム、アルキルアミン、アルキル
フェノール、またはヒドロキシ安息香酸エステルにより
ブロック化されたものであって、その平均分子量が2,
000〜100,000であることが好ましい。
【0019】ウレタンプレポリマーは、ポリエーテルポ
リオール、ポリエステルポリオール、およびポリマーポ
リオールのいずれかのポリオールと有機ジイソシアナー
トとからなる末端水酸基含有ウレタンプレポリマーであ
ることが好ましい。ウレタンプレポリマーは、末端にイ
ソシアナート基が残存している。
【0020】ポリオールの平均分子量をポリオール1分
子中の平均水酸基数で除した1水酸基あたりの分子量が
50〜2,000であることが好ましい。1水酸基あた
りの分子量が50未満であると、アクリル樹脂微粉末含
有ゾル組成物を加熱して得られる被膜は結晶性が高くな
って柔軟性が低くなり、2000より大きいと、被膜の
強度が著しく低くなってしまう。100〜1500であ
ると一層好ましい。
【0021】ポリエーテルポリオールとしては、活性水
素含有多官能低分子化合物、例えば、2〜3つの官能基
を有するものであって、低分子ポリオール、低分子アミ
ン、およびフェノールのいずれかにアルキレンオキサイ
ドを付加させた化合物が好ましいが、低分子ポリオール
のアルキレンオキサイド付加物であるとなお好ましい。
低分子ポリオールとしては、エチレングリコール、プロ
ピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブ
タンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロ
ールプロパン、グリセリン、ヒマシ油およびこれらの誘
導体が挙げられるが、プロピレングリコール、グリセリ
ンであると一層好ましい。低分子アミンとして、モノエ
タノールアミンやジエタノールアミンやトリエタノール
アミンの例示されるアルカノールアミン;エチレンジア
ミンの例示される脂肪族ポリアミンのn−アルキル置換
体やアリール置換体、トリレンジアミンの例示される芳
香族ポリアミンのn−アルキル置換体やアリール置換
体、ピペリジンやn−アミノエチルピペラジンの例示さ
れる複素環ポリアミンが挙げられるが、これらの混合物
であってもよい。フェノールとして、カテコール、レゾ
ルシン、ヒドロキノン、およびビスフェノールが挙げら
れる。アルキレンオキサイドとして、エチレンオキサイ
ド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、また
はこれらの二種以上の混合物が挙げられるが、プロピレ
ンオキサイド、含有量50重量%以上のプロピレンオキ
サイドとエチレンオキサイドとの混合物であると一層好
ましい。二種以上のアルキレンオキサイドの混合物を用
いる場合、低分子ポリオール等に対して付加重合する
際、ランダム重合またはブロック重合とすることができ
る。
【0022】ポリエステルポリオールは、ジカルボン
酸、ジカルボン酸エステル、ジカルボン酸のハライドの
いずれかと低分子ポリオールとを重縮合させたポリエス
テルポリオール;ε−カプロラクトンやδ−バレロラク
ロンの例示されるラクトンをグリセリンやプロピレング
リコールの例示される低分子ポリオールと開環重合させ
たポリラクトンポリオールエステルが挙げられる。ジカ
ルボン酸として、アジピン酸、セバシン酸、マレイン
酸、ダイマー酸の例示される脂肪族ジカルボン酸または
その酸無水物;テレフタル酸、イソフタル酸の例示され
る芳香族ジカルボン酸またはその酸無水物が挙げられる
が、脂肪族ジカルボン酸が好ましく、なかでもアジピン
酸が特に好ましい。また、ジカルボン酸のハライドと重
縮合させる低分子ポリオールとしては、ポリエーテルポ
リオールに用いられるものと同種の低分子ポリオールや
そのアルキレンオキサイド付加物が挙げられるが、グリ
セリンが一層好ましい。
【0023】ポリマーポリオールとしては、前記のアク
リル樹脂を形成するために例示されたものの同種のモノ
マーと、β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと
のコポリマーが挙げられる。
【0024】ポリオールは、ポリエーテルポリオール、
ポリエステルポリオール、およびポリマーポリオールの
2種以上を混合して用いてもよい。
【0025】ウレタンプレポリマーを形成する有機ジイ
ソシアネートは、2,4’−ジフェニルメタンジイソシ
アネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネー
ト、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネ
ート、ポリメライズドジフェニルメタンジイソシアネー
ト、ウレタン変性ジフェニルメタンジイソシアネート、
変性ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイ
ソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレ
ンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ト
リフェニルメタンジイソシアネート、トルイジンジイソ
シアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネー
ト、ジフェニルスルホンジイソシアネートの例示される
芳香族ジイソシアナートであることが好ましい。また、
これら芳香族ジイソシアナートから得られる、ウレタン
変性体、二量体、三量体、カルボジイミド変性体、アロ
ハネート変性体、ウレア変性体、またはビウレット変性
体であってもよい。これらを単独で用いてもよく、複数
種を任意の比率に混合して用いてもよい。ヘキサメチレ
ジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシ
アネートの例示される脂肪族ジイソシアナート;水添ジ
フェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシ
アネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−ト
リメチルシクロヘキシルイソシアネート、3−イソシア
ネートエチル−3,5,5−トリエチルシクロヘキシル
イソシアネートの例示される環状脂肪族ジイソシアネー
トのうちのいずれかと、この芳香族ジイソシアナートと
の混合物であってもよい。有機ジイソシアナートは、ト
リレンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタン
ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソ
シアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイ
ソシアネート、ポリメライズドジフェニルメタンジイソ
シアネートであると一層好ましい。
【0026】ポリオールと有機ジイソシアネートとが重
付加反応したウレタンプレポリマーは、末端にイソシア
ナート基が残存している。
【0027】ウレタンプレポリマー末端ブロック体は、
ウレタンプレポリマーの有するイソシアネート基に、例
えばオキシムの水酸基が付加してブロック化したもので
ある。ウレタンプレポリマー末端ブロック体は、ウレタ
ンプレポリマーの末端イソシアネート基が、アセトオキ
シム、メチルエチルケトオキシム、メチルイソブチルケ
トオキシムの例示されるオキシム、ジブチルアミン、ジ
−2−エチルヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン
の例示されるアルキルアミン、または前記の有機ジイソ
シアネート重合物末端ブロック体の形成に用いられるも
のと同種のアルキルフェノールやヒドロキシ安息香酸エ
ステルによりブロック化されている。この中から、ウレ
タンプレポリマーを構成する有機ジイソシアネートの種
類や、アクリル樹脂微粉末含有ゾル組成物の加熱処理温
度に応じて、適宜選択されて用いられる。その中でもケ
トオキシムが一層好ましい。
【0028】ウレタンプレポリマーを合成して調製する
際、ポリオールの水酸基の1当量に対し、有機ジイソシ
アナートのイソシアネート基1.2〜2当量、より好ま
しくは1.3〜1.8当量となる量のポリオールと有機
ジイソシアナートとを反応させることが好ましい。ウレ
タンプレポリマーの平均分子量をウレタンプレポリマー
中の平均イソシアネート基数で除したイソシアネート基
当量は、200〜2000であることが好ましい。20
0未満の場合にはアクリル樹脂粉末含有組成物を加熱し
て得た樹脂が硬くて脆くなり、一方、2000を越えた
場合には接着が悪い。イソシアネート基当量は、300
〜1500であると一層好ましい。又、ウレタンプレポ
リマー中のNCO%、すなわちイソシアネート基の分子
量42をウレタンプレポリマーのイソシアネート基1個
当たりの分子量で除したものの百分率は、1〜20%で
あることが好ましく2〜15%であると一層好ましい。
【0029】ウレタンプレポリマー末端ブロック体は以
下のようにして合成される。先ず、ポリオールと有機ジ
イソシアネートとを、40〜120℃、一層好ましくは
50〜100℃で加熱することにより、ウレタンプレポ
リマーを合成する。このとき、ジブチル錫ジラウレー
ト、第一錫オクトエートの例示される有機錫化合物、ト
リエチルアミン、トリエチレンジアミン、ジメチルベン
ジルアミンの例示される第三級アミンを反応促進のため
のウレタン重合触媒として用いてもよい。このウレタン
プレポリマーに、オキシム、アルキルアミン、アルキル
フェノールまたはヒドロキシ安息香酸エステルを加え、
ウレタンプレポリマーの末端イソシアネート基に反応さ
せて、ウレタンプレポリマー末端ブロック体を得る。
【0030】グリセリンにプロピレンオキサイドが付加
したポリオールと、2,4−トリレンジイソシアネート
および2,6−トリレンジイソシアネートの混合物とか
らなるウレタンプレポリマーに、メチルエチルケトンオ
キシムを反応させてウレタンプレポリマーブロック体が
生成する一例を下記化学反応式(II)に示す。なお式に
は2,4−トリレンジイソシアネートの場合の例を示し
ている。
【0031】
【化2】
【0032】ウレタンプレポリマー末端ブロック体は、
アクリル樹脂微粉末の物性を改質し、アクリル樹脂微粉
末含有ゾル組成物の硬化した被膜が、ポリ塩化ビニル樹
脂プラスチゾル組成物の硬化した被膜と同等の物性を付
与するためのものである。ウレタンプレポリマーのオキ
シムによる末端ブロック体を例にして説明すると、アク
リル樹脂微粉末含有ゾル組成物を100〜160℃に加
熱処理する際、末端ブロック体からオキシムが解裂して
末端イソシアナート基を再生し、別なウレタンプレポリ
マー分子の有する水酸基と順次反応して網目状に架橋す
ることにより、塩化ビニル樹脂プラスチゾル組成物を硬
化させたものと同等な柔軟性、抗張力、接着性、難燃
性、伸び性が付与される。
【0033】アクリル樹脂微粉末含有ゾル組成物中のウ
レタンプレポリマー末端ブロック体の配合量は、ゾル組
成物100重量部に対して2〜25重量部であって、ア
クリル樹脂微粉末100重量部に対して8〜100重量
部であることが好ましい。
【0034】アクリル樹脂微粉末含有ゾル組成物は、さ
らに可塑剤、硬化剤、充填剤、増粘剤、発泡剤の例示さ
れる添加剤を含んでいてもよい。
【0035】可塑剤としては、ジイソノニルフタレート
(DINP)、ジ−n−オクチルフタレート、ジ−2−
エチルヘキシルフタレート、ジヘプチルフタレートの例
示されるフタル酸系可塑剤;ジ−2−エチルヘキシルア
ジペート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、ジ−2
−エチルヘキシルセバテートの例示される脂肪酸エステ
ル系可塑剤;リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチ
ルヘキシルの例示されるリン酸エステル系可塑剤が挙げ
られ、これらの複数を任意の比率で混合して用いてもよ
い。可塑剤は、アクリル樹脂微粉末含有ゾル組成物の安
定性、硬化性、硬化後の硬度、耐熱性、粘度および相溶
性の性能の要求性能に応じて適宜選ばれる。アクリル樹
脂微粉末含有ゾル組成物中の可塑剤の配合量は、アクリ
ル樹脂微粉末100重量部に対して30〜300重量部
であることが好ましい。
【0036】硬化剤としては、アジピン酸ジヒドラジ
ド、セバシン酸ジヒドラジドの例示される酸ヒドラジド
系硬化剤;ジシアンジアミド、n−ブチルジシアンジア
ミドの例示されるジシアンジアミド系硬化剤;ジエチレ
ントリアミンまたはトリエチレンテトラミンまたはヘキ
サメチレンジアミンのいずれかとノボラックフェノール
との付加物が用いられる。具体的には、アミキュアーP
N−23、MY−24、PN−D、MY−D、またはP
N−H(いずれも味の素(株)社製の商品名)、フジキ
ュアーFXE−1000またはFXR−1030(いず
れも富士化成工業(株)社製の商品名)、アジピン酸ジ
ヒドラジド(ADH)が挙げられる。硬化剤は、アクリ
ル樹脂微粉末含有ゾル組成物の貯蔵安定性、硬化性を考
慮し、融点、Tg等の物性により適宜選択する。
【0037】充填剤としては、炭酸カルシウム、酸化カ
ルシウム、タルク、ケイソウ土、カオリンの例示される
無機系充填剤;再生粉末ゴム、再生塗料微粉末の例示さ
れる有機系充填剤;ガラスバルーン、シラスバルーンの
例示される軽量化のための中空体が用いられる。増粘剤
としては、ヘントナイト、無水シリカ、金属石鹸が用い
られる。発泡剤としては、アゾジカルボンアミドの例示
されるアゾ化合物、N,N’−ジニトロソペンタメチレ
ンテトラミンの例示されるニトロソ化合物、ヒドラゾジ
カルボンアミド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスル
フォニルヒドラジド)の例示されるヒドラジン誘導体、
炭酸水素ナトリウムの例示される重炭酸塩が挙げられ、
単独または複合物として用いられる。発泡助剤として尿
素が用いられることもある。
【0038】アクリル樹脂微粉末含有ゾル組成物は、例
えばアクリル樹脂の微粉末、有機ジイソシアネート重合
物末端ブロック体、ウレタンプレポリマー末端ブロック
体、可塑剤、および必要に応じて硬化剤、充填剤、増粘
剤、安定剤、難燃剤、発泡剤の添加剤を分散混練機によ
って均一混練した後、減圧脱泡すると得られる。
【0039】アクリル樹脂微粉末含有ゾル組成物を基材
に塗布する方法は、例えば、流し込み、浸漬、スプレー
塗り、刷毛塗りが挙げられるが、その基材の用途によっ
て適宜選択される。
【0040】本発明の被膜は、アクリル樹脂微粉末含有
ゾル組成物が、塗布されて熱で硬化したものである。例
えば基材に塗布されたアクリル樹脂微粉末含有ゾル組成
物は、比較的低温例えば100〜160℃で短時間、加
熱処理すると、焼き付けられて被膜が形成する。加熱処
理は約120℃で30分程度行うことが一層好ましい。
この被膜は、ポリ塩化ビニルプラスチゾル組成物の加熱
処理した被膜と同等な優れた物性を有している。
【0041】
【実施例】以下、本発明を適用するアクリル樹脂微粉末
含有ゾル組成物について具体的に説明する。
【0042】有機ジイソシアネート重合物末端ブロック
体を製造した例を製造例A〜D、ウレタンプレポリマー
末端ブロック体を製造した例を製造例E〜Hに示す。
【0043】〔有機ジイソシアネート重合物末端ブロッ
ク体の製造例〕 (製造例A)攪拌機、温度計および窒素導入管の付いたフ
ラスコに、トリレンジイソシアネートの三量体174重
量部およびジイソノニルフタレート(DINP)129
6重量部を加えた後、さらにtert−ブチルフェノール1
50重量部およびジブチル錫ジラウレート0.3重量部
を加え、窒素気流下、50〜80℃で攪拌して反応させ
た。反応混合物を赤外吸収スペクトル測定したとき22
60cm−1のイソシアネート基の吸収ピークが観測さ
れなくなるまで反応させると、20%のトリレンジイソ
シアネート重合物アルキルフェノールブロック体を含む
ジイソノニルフタレート溶液が得られた。
【0044】(製造例B)tert-ブチルフェノールに代
えて、ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシルエステル
を用いたこと以外は製造例Aと同様にして、20%のト
リレンジイソシアネート重合物ヒドロキシ安息香酸2−
エチルヘキシルエステルブロック体を含むジイソノニル
フタレート溶液が得られた。
【0045】(製造例C)攪拌機、温度計、および窒素
導入管の付いたフラスコに、ヘキサメチレンジイソシア
ネートの三量体168重量部、ジイソノニルフタレート
(DINP)1272重量部を加えた後、tert−ブチル
フェノール150重量部、およびジブチル錫ジラウレー
ト0.3重量部を加え、窒素気流下、50〜80℃で攪
拌して反応させる。反応混合物を赤外吸収スペクトル測
定したとき2260cm−1のイソシアネート基の吸収
ピークが観測されなくなるまで反応させると、20%の
濃度のヘキサメチレンジイソシアネート重合物のアルキ
ルフェノールブロック体を含むジイソノニルフタレート
(DINP)溶液が得られる。
【0046】(製造例D)ヘキサメチレンジイソシアネ
ートの三量体に代えてトリレンジイソシアネートの三量
体174重量部を用いたことと、ジイソノニルフタレー
ト(DINP)1044重量部としたことと、tert−ブ
チルフェノールに代えてメチルエチルケトンオキシム8
7重量部を用いたこと以外は製造例Cと同様にして、ト
リレンジイソシアネート重合物のメチルエチルケトンオ
キシムブロック体を含むジイソノニルフタレート溶液を
製造した。
【0047】〔ウレタンプレポリマー末端ブロック体の
製造例〕 (製造例E)攪拌機、温度計および窒素導入管の付いた
フラスコに、トリレンジイソシアネート174重量部、
グリセリン1当量にプロピレンオキサイド50当量が付
加した平均分子量3,000のポリオール1,000重
量部、ジブチル錫ジラウレート0.3重量部を加え、窒
素気流下、50〜80℃で攪拌して反応させた。次いで
この反応混合物にメチルエチルケトンオキシム43.5
重量部を滴下し反応させた。反応混合物を赤外吸収スペ
クトル測定したとき2260cm−1のイソシアネート
基の吸収ピークが観測されなくなるまで反応させると、
ウレタンプレポリマー末端ブロック体が得られた。
【0048】(製造例F)トリレンジイソシアネートに
代えて、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート
(2,4’-MDI)と4,4’−ジフェニルメタンジイ
ソシアネート(4,4’-MDI)との当量混合物を用い
たこと以外は製造例Eと同様にして、ウレタンプレポリ
マー末端ブロック体を得た。
【0049】(製造例G)グリセリンにプロピレンオキ
サイドが付加したポリオールに代えて、グリセリンにδ
−バレロラクトンが開環重合した平均分子量3000の
ポリオールを用いたこと以外は、製造例Eと同様にし
て、ウレタンプレポリマー末端ブロック体を得た。
【0050】(製造例H)メチルエチルケトンオキシム
に代えて、ジブチルアミンを用いたこと以外は、製造例
Eと同様にして、ウレタンプレポリマー末端ブロック体
を得た。
【0051】(製造例I)メチルエチルケトンオキシム
に代えて、tert−ブチルフェノールを用いたこと以外
は、製造例Eと同様にして、ウレタンプレポリマー末端
ブロック体を得た。
【0052】(製造例J)攪拌機、温度計および窒素導
入管の付いたフラスコにヘキサメチレンジイソシアネー
ト168重量部、エチレングリコール1当量にプロピレ
ンオキサイド50当量が付加した平均分子量3,000
のポリオール1500重量部、ジブチル錫ジラウレート
0.3重量部を加え、窒素気流下、50〜80℃で反応
させた。次いでこの反応混合物にメチルエチルケトン4
3.5重量部を滴下し反応させた。反応混合物を赤外吸
収スペクトル測定したとき2260cm−1のイソシア
ネート基の吸収ピークが観測されなくなるまで反応させ
ると、ウレタンプレポリマー末端ブロック体が得られ
た。
【0053】(製造例K)エチレングリコールにプロピ
レンオキサイドが付加したポリオールに代えて、グリセ
リン1当量にプロピレンオキサイド50当量が付加した
平均分子量3,000のポリオールを用いたこと以外は
製造例Jと同様にして、ウレタンプレポリマー末端ブロ
ック体を得た。
【0054】〔アクリル樹脂微粉末含有ゾル組成物の試
作例〕前記製造例A〜Dの有機ジイソシアネート重合物
末端ブロック体、および製造例E〜Hのウレタンプレポ
リマー末端ブロック体を用い、本発明を適用するアクリ
ル樹脂微粉末含有ゾル組成物の試作の例を実施例1〜7
に示し、本発明を適用外のアクリル樹脂微粉末含有ゾル
組成物の試作の例を比較例1〜4に示す。
【0055】(実施例1)製造例Aで得た有機ジイソシ
アネート重合物末端ブロック体の20%溶液の5重量
部、製造例Eで得たウレタンプレポリマー末端ブロック
体8重量部、アクリル樹脂微粉末としてゼオンF−34
0の24重量部、可塑剤としてジイソノニルフタレート
(DINP)36重量部、充填剤として炭酸カルシュウ
ムであるカルシーズPL−10(神島化学工業(株)社製
の商品名)40重量部、硬化剤としてアミキュアーPN
−23の0.5重量部、同じく硬化剤としてアジピン酸
ジヒドラジド(ADH)0.2重量部を混練機に仕込
み、30分間混練した後、脱泡し、アクリル樹脂微粉末
含有ゾル組成物を得た。
【0056】(実施例2〜7、および比較例1〜4)有
機ジイソシアネート重合物末端ブロック体と、ウレタン
プレポリマー末端ブロック体とは製造例A〜Kのいずれ
かにより得られたものを表1に記載のとおりに用いたこ
と以外、実施例1と同様にしてアクリル樹脂微粉末含有
ゾル組成物を得た。
【0057】なお、アクリル樹脂微粉末含有ゾル組成物
には、必要に応じて難燃剤、発泡剤、安定剤が添加され
ていてもよい。シーリング・コーティングには難燃剤は
不要であり、耐チッピング塗料には発泡剤が添加され難
燃剤が添加されてもよい。
【0058】〔物性評価試験〕実施例1〜7と比較例1
〜4の各アクリル樹脂微粉末含有ゾル組成物の物性の評
価試験を以下のようにして行った。夫々の結果は表1に
示してある。
【0059】(引張り剪断接着強度試験)カチオン電着
塗装の施された金属板を、試験片25.4mm×90m
mの試験片とした。この試験片に各アクリル樹脂微粉末
含有ゾル組成物を、25.4mm四方で厚さ1.0mm
に塗布した後、120℃で30分間熱処理すると、試験
用塗膜が形成された。この塗膜について、JIS K−
6830に従って、その引張り剪断接着強度を測定し
た。表1に示すとおり、実施例はいずれも20kg/c
以上と強く、比較例は弱かった。また、その剪断破
壊面の状態を目視で観察し、凝集破壊であればcf、界
面破壊であればafと表1に示している。実施例はいず
れも凝集破壊であり、比較例はいずれも界面破壊であっ
た。
【0060】(貯蔵安定性試験)アクリル樹脂微粉末含
有ゾル組成物を35℃で10日間貯蔵した。貯蔵前後の
25℃における粘度をBH型粘度計を用いて測定し、貯
蔵前後の増粘率を求めた。いずれも増粘率は40%未満
であり、良好であった。
【0061】(塗膜の黄変試験)カチオン電着塗装板を
基材として、各アクリル樹脂微粉末含有ゾル組成を塗布
して、厚さ5mmの下地塗膜を形成した。これを140
℃で10分間加熱処理した後、さらに上塗り塗料 スー
パーホワイト326(関西ペイント(株)社製)を塗布し
て膜厚5μmの上塗り塗膜を形成した。これを140℃
で20分間加熱処理したものを試験片とし、フェードメ
ーターで200時間曝露した後の黄変の有無を目視で観
察したが、いずれも黄変していなかった。
【0062】(伸び率測定試験)ガラス板上に各アクリ
ル樹脂微粉末含有ゾル組成物を塗布して膜厚1mmのと
なるダンベル型スペーサーを置いて塗布し、120で3
0分間加熱処理した後、25℃で1日間放置し試験片を
作製した。20℃恒温恒湿の状態での試験片の伸び率
を、レオメーターMODEL CR−2000Dまたは
CR−300(いずれもSUN SCIENTIFIC CO.LTD社製の
商品名)により測定した。実施例1〜7、比較例2はい
ずれも伸び率が200%を超え優れた伸び性を示した
が、比較例1、3、4は200%に至らず伸び性が悪か
った。
【0063】(低温特性試験)前記の伸び率測定試験と
同様にして試験片を作製した。−30℃雰囲気中での試
験片の伸び率を、同様のレオメーターにより測定した。
実施例1〜7および比較例1〜2は低温にも係わらずい
ずれも伸び率が60%を超え優れた伸び性を示したが、
比較例3〜4は60%に至らず伸び性が悪かった。
【0064】(耐熱試験)カチオン電着塗装板を基材と
して、各アクリル樹脂微粉末含有ゾル組成物を塗布して
厚さ5mmの試験用塗膜を形成し、120℃で30分間
加熱処理した後、さらに160℃で60分間の追加熱処
理を行った。塗膜表面の状態を観察し、壊重合していな
いものを○、壊重合しているものを×で示した。実施例
1〜6と比較例1〜2はいずれも壊重合しておらず耐熱
性に優れていたが、実施例7と比較例3〜4は壊重合し
ており耐熱性が良くなかった。
【0065】(耐水性試験)カチオン電着塗装板を基材
として、各アクリル樹脂微粉末含有ゾル組成物を塗布し
て厚さ1mmの試験用塗膜を形成し、常温にて1日放置
した後、30℃の水の中に1日浸漬した。これを取り出
し、水分を拭きとり常温で開放乾燥して試験片とした。
次に、塗膜を碁盤目状にカットしセロハンテープを貼付
した後、塗膜面と平行に、引裂くようにセロハンテープ
を引張って剥離したときに、100/100であるもの
を○、ないものを×で示した。実施例1〜6は耐水性に
優れていたが、実施例7と比較例1〜4は耐水性が良く
なかった。
【0066】
【表1】
【0067】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
アクリル樹脂微粉末含有ゾル組成物は、ポリ塩化ビニル
樹脂を含有しない。このゾル組成物を塗布し加熱処理後
に形成される被膜は、ポリ塩化ビニルプラスチゾル組成
物の加熱処理した被膜と同等な優れた柔軟性、抗張力、
接着力、伸び性、耐久性の物性を有している。
【0068】アクリル樹脂微粉末含有ゾル組成物は、比
較的低温、短時間の熱処理で簡便に金属塗装面、特にカ
チオン電着塗装面に被膜を形成することができる。その
ため、自動車工業における車体の防錆、飛石の緩衝、お
よびピンホールの目止め等を目的としたシーリング剤、
コーティング剤、耐チッピング塗料として用いられる。
さらに、既存のポリ塩化ビニルプラスチゾル組成物の被
膜設備や熱処理設備をそのまま使用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J034 BA03 DA01 DB03 DC02 DF01 DF11 DF12 DF14 DG01 DG02 DG03 DG04 DG05 DP03 DP18 HA01 HA02 HA07 HA13 HC01 HC03 HC06 HC07 HC12 HC22 HC37 HC52 HC64 HD02 HD03 HD07 HD12 JA01 JA41 JA42 JA43 JA44 MA22 QA05 QA07 QB12 QC08 RA07 4J038 CE052 CF102 CG032 CG062 CG142 CH032 CH042 CH122 DG111 DG112 DG131 DG132 DG191 DG192 DG301 DG302 MA14 NA11 NA12 NA27 PA19 PB07 PC02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (メタ)アクリル酸エステルが不飽和
    基含有カルボン酸またはそのエステルまたはビニルエー
    テルと共重合したアクリル樹脂、および(メタ)アクリ
    ル酸エステルが重合したアクリル樹脂の少なくともいず
    れか一方の樹脂からなる微粉末と、有機ジイソシアネー
    ト重合物の末端ブロック体と、ウレタンプレポリマーの
    末端ブロック体とを含むことを特徴とするアクリル樹脂
    微粉末含有ゾル組成物。
  2. 【請求項2】 前記有機ジイソシアネート重合物の末
    端ブロック体は、アルキルフェノールまたはヒドロキシ
    安息香酸エステルにより該重合物の末端イソシアネート
    基がブロック化されたものであって、その平均分子量が
    1,000〜10,000であることを特徴とする請求
    項1に記載のアクリル樹脂微粉末含有ゾル組成物。
  3. 【請求項3】 前記ウレタンプレポリマー末端ブロッ
    ク体は、ポリオールと有機ジイソシアネートとからなる
    ウレタンプレポリマーの有する末端イソシアネート基が
    オキシム、アルキルアミン、アルキルフェノール、また
    はヒドロキシ安息香酸エステルによりブロック化された
    ものであって、その平均分子量が2,000〜100,
    000であることを特徴とする請求項1に記載のアクリ
    ル樹脂微粉末含有ゾル組成物。
  4. 【請求項4】 前記ポリオールは、ポリエーテルポリ
    オール、ポリエステルポリオール、およびポリマーポリ
    オールのいずれかであって、該ポリオールの平均分子量
    を該ポリオール1分子中の平均水酸基数で除した1水酸
    基あたりの分子量が50〜2,000であることを特徴
    とする請求項3に記載のアクリル樹脂微粉末含有ゾル組
    成物。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載のアクリル樹脂微粉末
    含有ゾル組成物が、塗布されて熱で硬化した被膜。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003102077A1 (fr) * 2002-05-31 2003-12-11 Asahi Denka Co., Ltd. Composition de sol acrylique
WO2004050739A1 (ja) * 2002-12-02 2004-06-17 Kyoeisha Chemical Co., Ltd. 硬化性ウレタン樹脂組成物
JP2008502774A (ja) * 2004-06-18 2008-01-31 ヘンケル・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチエン コーティング組成物において有用なブロックポリウレタンプレポリマー

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