JP3964648B2 - 一液湿気硬化型ポリウレタン系接着剤及びこれを用いた床材の接着方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂製床材の下地への接着性に特に優れた一液湿気硬化型ポリウレタン系接着剤、及びこれを用いた床材の接着方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、建築現場施工分野においては、二液混合型エポキシ系接着剤が、接着性が高いという理由で一般的に使用されているが、二液混合型であるため混合に手間がかかる、硬化剤として毒性の高いアミン系硬化剤を使用しているため作業者がカブレを起こすなどの欠点を有していた。
それに対し、一液湿気硬化型ポリウレタン系接着剤は、一液で湿気により硬化する方式であるため、主剤と硬化剤の計量、混合の手間が不要で、計量ミスや混合不良などによる硬化不良等の間違いが起こらず使い易いため、熟練工でなくても容易に安定した接着作業ができ、更に多種多様な材料に対して良好な接着性を有するという特徴を有し、かつ硬化剤を使用しないためカブレの心配もなく安全衛生面でも有利であるため、二液混合型エポキシ系接着剤の代替として近年使用量が増加している。
【0003】
また、一液湿気硬化型ポリウレタン系接着剤は、硬化後の接着剤層がゴム弾性を有し、変位に対して追従性があるという特徴を有しているため、柔軟で変位の大きな樹脂製の材料に対する接着剤として使用される場合が多く、建築現場施工分野における例としては、コンクリート、モルタル、合板等の各種下地に、樹脂製の床材や防水材を、接着剤を使用して直張りする工法がある。樹脂製の床材や防水材にはゴム製や塩化ビニル製フロアーカーペット、塩化ビニル製タイル、軟質塩化ビニル製シートなど各種あるが、これらの樹脂製床材や防水材は元々接着が困難な材料であり、例えば特開平6−240226号公報などの従来公知の一液湿気硬化型ポリウレタン系接着剤は接着強さが未だ不十分なため、施工後、歩行などしているうちに床材や防水材がはく離してくるという問題を有している。そのため各種下地に対して、樹脂製の床材や防水材を接着施工するときに使用される接着剤にはこれらに対して高い接着性を有していることが要求される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来公知技術の問題点に鑑み、接着施工後、速やかに湿気と反応して硬化が短時間で進んで強靭なゴム状弾性体を形成して、各種下地に対して各種樹脂製のタイルやシートなどの床材、防水材など、特に軟質塩化ビニル製シートを強固に接着することができる一液湿気硬化型ポリウレタン系接着剤、及びこれを用いた床材の接着方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明は、以下の(1)〜(3)である。
【0006】
(1) ジフェニルメタン系ポリイソシアネートと高分子ポリオールとを反応させて得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーと、イソホロンジイソシアネートを三量化して得られるイソシアヌレート基含有変性ポリイソシアネートとを含有すること、を特徴とする一液湿気硬化型ポリウレタン系接着剤。
【0007】
(2) 添加剤を更に含有する、前記(1)の一液湿気硬化型ポリウレタン系接着剤。
【0008】
(3) 下地に前記(1)又は(2)の一液湿気硬化型ポリウレタン系接着剤により樹脂製床材を接着すること、を特徴とする床材の接着方法。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の一液湿気硬化型ポリウレタン系接着剤におけるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、イソシアネート基が湿気(水分)と反応し、尿素結合を形成して架橋、硬化するものであり、ジフェニルメタン系ポリイソシアネートと、高分子ポリオールとを、活性水素(基)に対してイソシアネート基過剰の条件で反応させて得られるものである。
【0010】
このジフェニルメタン系ポリイソシアネートとしては、例えば、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(ポリメリックMDI)、これらの混合物など、また、更に、これらのアダクト変性体、ビュレット変性体、イソシアヌレート変性体、ウレトンイミン変性体、ウレトジオン変性体、カルボジイミド変性体などが挙げられる。これらのうち、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートと4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物が好ましい。
これらは単独で或いは2種以上を混合して使用することができる。
【0011】
高分子ポリオールとしては、数平均分子量500以上の、ポリオキシアルキレンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、動植物系ポリオール、これらのコポリオール等、又はこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらの高分子ポリオールのうち、接着性が特に優れている点から、ポリオキシアルキレンポリオールが好ましい。
【0012】
ポリオキシアルキレンポリオールとしては、具体的には、アルキレンオキシドを開環付加重合させたものや、開始剤にアルキレンオキシドを開環付加重合させたものなどが挙げられる。
開始剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、シュークローズ等の低分子アルコール類、ビスフェノールA等の多価フェノール類、エチレンジアミン等の低分子ポリアミン類、ジエタノールアミン等の低分子アミノアルコール類などが挙げられる。
アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
すなわち、ポリオキシアルキレンポリオールは、具体的には例えば、ポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルポリオール、ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシプロピレン)−ポリオール、ポリ(オキシエチレン)−ポリ(オキシブチレン)−ポリオールを挙げることができ、このうちポリオキシプロピレンポリオールが特に好ましい。また、これらのポリオールと、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のポリイソシアネートとを、イソシアネート基に対し水酸基過剰で反応させて、分子末端を水酸基としたものも挙げられる。
ポリオキシアルキレンポリオールは、硬化物の高い伸びなどの点から、数平均分子量が500〜30,000、更に8,000〜20,000のものが好ましく、また、1分子当たり平均の水酸基の数は1〜8、特に2〜4が好ましく、更に、総不飽和度が0.07meq/g以下、特に0.04meq/g以下の分子量分布の狭いものが好ましい。
【0013】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、トリメリット酸等のポリカルボン酸、酸エステル、又は酸無水物等の1種以上と、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の低分子アルコール類、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン等の低分子アミン類、モノエタノールアミン等の低分子アミノアルコール類の1種以上との脱水縮合反応で得られる、ポリエステルポリオール又はポリエステルアミドポリオールが挙げられる。
また例えば、低分子アルコール類、低分子アミン類、低分子アミノアルコール類を開始剤として、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル(ラクトン)モノマーの開環重合で得られるラクトン系ポリエステルポリオールも挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、前述のポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子アルコール類とホスゲンとの脱塩酸反応、或いは前記低分子アルコール類とジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート等とのエステル交換反応で得られるものが挙げられる。
ポリオレフィンポリオールとしては、例えば、水酸基含有ポリブタジエン、水素添加した水酸基含有ポリブタジエン、水酸基含有ポリイソプレン、水酸基含有塩素化ポリエチレンが挙げられる。
アクリルポリオールとしては、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル等の水酸基を含有した(メタ)アクリル酸系化合物のモノマーと、これら以外のエチレン性不飽和化合物の1種以上とを、ラジカル重合させて得られるものが挙げられる。
動植物系ポリオールとしては、例えば、ヒマシ油系ポリオールが挙げられる。
また、活性水素基を有するものであれば、例えば、ダイマー酸系ジオール、水素添加ダイマー酸系ジオール、エポキシ樹脂、ロジン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、クマロン樹脂、ポリビニルアルコール等の樹脂類も使用できる。
【0014】
本発明におけるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、一括仕込み反応法、多段階仕込み反応法のいずれでも合成できる。ジフェニルメタン系ポリイソシアネートのイソシアネート基と高分子ポリオールの活性水素(基)とのイソシアネート基/活性水素(基)の当量比は、1.1〜10.0が好ましく、更に2.0〜8.0が好ましい。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基含有量は0.1〜15.0質量%が好ましく、特に0.3〜10.0質量%が好ましく、最も好ましくは2.0〜6.0質量%である。イソシアネート基含有量が0.1質量%未満の場合は、分子量が大きくなりすぎて粘度が増大し作業性が低下する。また、樹脂中の架橋点が少ないため、十分な接着性が得られない。イソシアネート基含有量が15.0質量%を越える場合は、生成樹脂の分子量が小さくなりすぎて、ゴム弾性が悪化する。
【0015】
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの合成には、亜鉛、錫、鉛、ジルコニウム、ビスマス、コバルト、マンガン、鉄などの金属とオクチル酸、ナフテン酸などの有機酸との金属塩、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート等の有機金属化合物、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン等の有機アミンやその塩等のウレタン化触媒を用いることができる。
また更に、公知の有機溶媒を用いることもできる。
【0016】
本発明の一液湿気硬化型ポリウレタン系接着剤におけるイソホロンジイソシアネートを三量化して得られるイソシアヌレート基含有変性ポリイソシアネートとは、イソホロンジイソシアネートのイソシアネート基を三量化して得られる少なくともイソシヌレート基を含有する変性イソシアネート化合物であり、接着性を高める効果が大きい。
【0017】
イソホロンジイソシアネートを三量化して得られるイソシアヌレート基含有変性ポリイソシアネートのイソシアネート基含有量は、1〜40質量%、特に10〜30質量%であることが好ましい。
【0018】
本発明の一液湿気硬化型ポリウレタン系接着剤において、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー/イソホロンジイソシアネートを三量化して得られるイソシアヌレート基含有変性ポリイソシアネートの存在割合は、50重量部/50重量部〜99重量部/1重量部、更に80重量部/20重量部〜97重量部/3重量部、特に85重量部/15重量部〜95重量部/5重量部であることが好ましい。
【0019】
本発明の一液湿気硬化型ポリウレタン系接着剤には、更に必要に応じて、硬化促進触媒、充填剤、着色剤、揺変付与剤、接着性付与剤などの添加剤を加えて使用できる。これらのうち、硬化促進触媒と充填剤のうちいずれか一方或いは両方を併用するのが好ましい。
【0020】
硬化促進触媒としては、例えば、2−エチルヘキサン酸錫、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ビスアセテート、ジブチル錫ビスアセチルアセトナートなどの有機錫化合物や、トリエチレンジアミン、N−エチルモルフォリンなどの3級アミン類が挙げられる。これらのうち、有機錫化合物を代表例とする有機金属系触媒が好ましい。
硬化促進触媒の使用量は、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーとイソホロンジイソシアネートを三量化して得られるイソシアヌレート基含有変性ポリイソシアネートの合計100重量部に対して、0.005〜10重量部、更に0.1〜2重量部であることが好ましい。
【0021】
充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、脂肪酸処理炭酸カルシウム、フュームドシリカ(コロイダルシリカ)、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、酸化亜鉛、活性亜鉛華、シラスバルーン、ガラスバルーン、木粉、パルプ、木綿チップ、マイカ、くるみ穀粉、もみ穀粉、グラファイト、アルミニウム微粉末、フリント粉末などの粉体状充填剤、石綿、ガラス繊維、ガラスフィラメント、炭素繊維、ケブラー繊維、ポリエチレンファイバーなどの繊維状充填剤が挙げられる。
充填剤の使用量は、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーとイソホロンジイソシアネートを三量化して得られるイソシアヌレート基含有変性ポリイソシアネートの合計100重量部に対して0〜500重量部、特に50〜300重量部であることが好ましい。
【0022】
接着性付与剤としては、例えば、シランカップリング剤などのカップリング剤が挙げられる。
着色剤としては、例えば、酸化鉄、酸化クロム、酸化チタンなどの無機顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどの有機顔料が挙げられる。
揺変付与剤としては、例えば、(充填剤としても挙げた)脂肪酸処理炭酸カルシウム、水添ひまし油、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、コロイダルシリカが挙げられる。
【0023】
本発明の一液湿気硬化型ポリウレタン系接着剤において、前記各添加剤成分はそれぞれ1種又は2種以上を混合して使用することができる。
【0024】
本発明の一液湿気硬化型ポリウレタン系接着剤には、必要に応じて、酢酸エチルなどのエステル系溶剤、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、n−ヘキサンなどの脂肪族系溶剤、シクロヘキサンなどの脂環族系溶剤、トルエンやキシレンなどの芳香族系溶剤など従来公知の有機溶剤でイソシアネート基に反応しないものであればどのようなものでも、単独で或いは2種以上を混合して使用することができる。
【0025】
次に、本発明の床材の接着方法について説明する。
本発明の接着方法を適用する下地は、各種素材によって形成される建造物の下地であり、本発明の一液湿気硬化型ポリウレタン系接着剤は具体的にはモルタル、コンクリート、繊維強化セメント板又は合板により形成された建造物下地に好適に適用することができる。
本発明の接着方法に適した床材や防水材は樹脂製のものであり、例えば形状としては大小のタイル状、シート状、長尺シート状などの各種の形状があり、材質としてはポリ塩化ビニル系、軟質ポリ塩化ビニル系、ポリプロピレンやポリスチレンなどのポリオレフィン系、ポリウレタン系、スチレン−ブタジエンゴムなどの合成ゴム系、ポリカーボネート系、ポリフェニレンオキサイド系、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系、メラミン樹脂系、天然ゴム系、ABS樹脂などの各種樹脂製(発泡体も含む)のものが挙げられ、また表層が前記の各種樹脂でできていて、バッキング材(裏打材)としてポリウレタン、ポリオレフィン、合成ゴムなどの各種樹脂(発泡体も含む)を1層あるいは数層積層させているものも挙げられる。また表層が木質製でバッキング材として前記の各種樹脂(発泡体も含む)を積層しているものも挙げられる。これらのうち軟質ポリ塩化ビニル製長尺シートが適している。
本発明の一液硬化型ポリウレタン系接着剤は、下地に塗布し、次いで床材をその上に敷き、押圧して接着してもよく、また、床材側に塗布し、次いで接着剤塗布側から下地上に敷いて押圧して接着してもよく、更に、下地と床材の両方の面に塗布し、次いで接着剤塗布面同士を接合させ押圧して接着してもよいが、作業しやすさの点から、下地表面にのみ予め接着剤を塗布して接着する方法が好ましい。
具体的には、本発明の一液湿気硬化型ポリウレタン系接着剤を下地に塗布した後、例えば、常温、常態湿度で0〜120分間、好ましくは5〜60分間放置してから(錘りなどで荷重をかけて)圧着するのが好ましい。
塗布方法としては、くし目ゴテなどのコテ類、ヘラ類、刷毛類、ロールコーターなどを使用して塗布する方法、或いは、ノズルを使用してビード状又は点状に塗布する方法、スプレー塗布する方法など公知の方法を用いることができる。
本発明の一液湿気硬化型ポリウレタン系接着剤の塗布量は、固形分100質量%換算で100〜1000g/m2、更には150〜500g/m2であることが好ましい。
【0026】
【実施例】
以下、本発明について実施例等により更に詳細に説明する。
合成例1
攪拌機、温度計、窒素シール管及び冷却器の付いた加温反応容器に、窒素ガス気流下で、ポリオキシプロピレントリオール(旭硝子社製プレミノール3012、数平均分子量12,000)400gを仕込み、この中に2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートと4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物(BASFINOACポリウレタン社製ルプラネートMI、質量比:2,4′−体/4,4′−体=1/1、分子量250)75gとオクチル酸ジルコニウム0.05gを攪拌しながら徐々に添加し、70〜80℃で1時間攪拌して、イソシアネート基含有量が理論値以下となった時点で反応を終了し、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを合成した。
このイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの滴定による実測イソシアネート基含有量は4.4質量%、粘度は6,000mPa・s/25℃であった。
【0027】
実施例1
〔接着剤の調製〕
温度計、窒素シール管及び加熱・冷却装置の付いた混練容器に、合成例1で得たイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー416.6gを仕込み、この中に、乾燥した炭酸カルシウム378.9gと、脂肪酸処理炭酸カルシウム(丸尾カルシウム社製カルファイン200M)78.0gと、イソシアヌレート基含有イソホロンジイソシアネート三量化変性体(ヒュルスジャパン社製、VESTANAT T 1890E、70質量%n−ブチルアセテート溶液、イソシアネート基含有量12質量%)44.6gと、溶剤として酢酸エチル19.2gと、触媒としてジブチル錫ジラウレート1.7gを攪拌しながら添加して混練し、接着剤を調製した。
〔性能試験〕
前記で調製した接着剤を用いて、JIS A 5536(1996年)「ビニル系床材用接着剤」、4.3.3の90度はく離接着強さに準拠して、90度はく離接着強さ試験を行った。
その際、下地材として幅70mm、長さ150mm、厚さ8mmのフレキシブルボード(繊維強化セメント板)を使用し、その中央部表面(30mmの幅)に、23℃、55%相対湿度において、くし目ゴテを用いて接着剤を約350g/m2 の量で塗布した。23℃、55%相対湿度の条件でオープンタイムを30分とった後、試験用床シートとして、市販の厚さ3mmの軟質塩化ビニル製床シートを幅25mm、長さ200mmの大きさに切り取ったものを貼り付け、ハンドローラーで約5kgの荷重で2往復して圧着した後、シート上面に1cm2あたり質量10gのおもりを載せて72時間、23℃、55%相対湿度の条件で養生したものを試験体として、引張り速度200mm/minで試験した。
接着性は、90度はく離接着強さが60N/25mm以上のものを○と評価し、60N/25mm未満のものを×と評価した。
この結果と接着剤の組成をまとめて表1に示す。
【0028】
比較例1
実施例1において、イソシアヌレート基含有イソホロンジイソシアネート三量化変性体のかわりに4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業社製ミリオネートMT)を使用した以外は同様にして接着剤を調製し、その90度はく離接着強さを試験した。
この結果と接着剤の組成をまとめて表1に示す。
【0029】
比較例2
実施例1において、イソシアヌレート基含有イソホロンジイソシアネート三量化変性体を使用しない以外は同様にして接着剤を調製し、その90度はく離接着強さを試験した。
この結果と接着剤の組成をまとめて表1に示す。
なお、表1中、90度はく離接着強さの破壊状況において、
G100は軟質塩化ビニル製床シートの100%材料破壊
A100は接着剤層と軟質塩化ビニル製床シート間の100%界面はく離を表す。
【0030】
【表1】
【0031】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明により初めて、接着施工後速やかに湿気と反応して硬化が短時間で進んで強靭なゴム状弾性体を形成して、建築用、土木用の塩化ビニル製、ポリプロピレン製、ゴム製などの各種樹脂製のタイル、シートなどの床材、防水材など、特に軟質塩化ビニル製シートを強固に接着することができる一液湿気硬化型ポリウレタン系接着剤、及びこれを用いた床材の接着方法の提供が可能となった。
Claims (3)
- ジフェニルメタン系ポリイソシアネートと高分子ポリオールとを反応させて得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーと、イソホロンジイソシアネートを三量化して得られるイソシアヌレート基含有変性ポリイソシアネートとを含有すること、を特徴とする一液湿気硬化型ポリウレタン系接着剤。
- 添加剤を更に含有する、請求項1に記載の一液湿気硬化型ポリウレタン系接着剤。
- 下地に請求項1又は2に記載の一液湿気硬化型ポリウレタン系接着剤により樹脂製床材を接着すること、を特徴とする床材の接着方法。
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