JP2006283550A - 置き敷き型床表装材及び床構造 - Google Patents

置き敷き型床表装材及び床構造 Download PDF

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Abstract

【課題】建造物の既存床面や床下地を傷つけることなく施工及び撤去可能な置き敷き型床表装材であって、形成される床面での安定性と耐久性に優れた置き敷き型床表装材を提供する。
【解決手段】建造物の既存床面或いは床下地上に載置される置き敷き型床表装材であって、厚さ3mm以下の基材と、この基材上に接合された床表面材とを有し、該基材と床表面材とが、所定の方法で測定した平均接着力が0.5N以上となるように接合されている置き敷き型床表装材。
【選択図】図1

Description

本発明は、建造物の既存床面或いは床下地の上に、該既存床面もしくは床下地に固定されることなく載置される置き敷き型床表装材に関する。詳しくは、本発明は、建造物の既存床面や床下地を傷つけることなく施工及び撤去可能な置き敷き型床表装材に関する。
本発明はまた、このような置き敷き型床表装材を建造物の既存床面或いは床下地上に載置した床構造に関する。
賃貸住宅や貸室では多くの場合、賃貸期間終了時に住宅・貸室を原状回復して家主に明け渡す義務が課せられている。また、このような義務が課せられていない場合であっても、次の入居者が好条件で入居するために、家主側からは汚れのない綺麗な床面とすることが望まれている。
また、賃貸物件に限らず、売却物件や、或いは自家用物件にあっても、改装や転居の際には、多くの場合、床面を美麗で清潔なものとするためのリフォームを行うことが望まれる。
この床面のリフォームにあっては、床全体を改装するのではなく、床表装材のみを取り換えるのが、工期の面においても工事費の面においても有利である。また、その際、床暖房構造となっている場合には、内部の発熱体などの床暖房機能部分は変更することなく、表面から見える床表装材のみを取り替えることができることが望まれる。
しかしながら、従来、床表装材は、既存床面や床下地に、接着剤やビスなどによって固定されている。このように既存床面や床下地に固定された床表装材を撤去するには、大掛かりな改装工事が必要となる。このため、工期、工事費がリフォームとしては見合わないことから、床面についてはリフォームが行われないことも多い。
なお、既存床面の上から、床表装材を更に貼り付ける構造のものも提案されているが、このようなものであるとリフォームする度に床高さが上がってしまい、他のスペースに対して段差が形成されることにより、例えば当初のバリアフリー床面が損なわれたり、扉の開閉に支障をきたしたりする場合がある。
そこで、例えば特許文献1に記載されるように、近年、既存床面や床下地に固定するのではなく、置くだけの、置き敷き型床表装材が提案されている。置き敷き型床表装材は、既存床の上にただ置くだけのものであるので、敷設も撤去も容易である。
USP6,006,486(特表平11−510869号公報)
また、特願2004−206037号の明細書には、暖房パネルの上に表装材を設けた置き敷き型の床暖房構造において、表装材(床表装材)として、厚さが薄く撓みやすいものや、タイルや石材を用いる場合に、合板などの剛性板を介在させ、当該剛性板の上に床表装材を貼着させることが記載されている。
しかしながら、従来において、床表面材の下に基材を配置した置き敷き型床表装材とする場合、床表面材と基材との接着強度、更には基材厚さについて全く検討がなされておらず、このために、形成される床面での安定性と耐久性において問題があった。
ここで、形成される床面での安定性と耐久性を高める方法として、基材の厚みを厚くすることにより、基材を固くして、床表面材の上に加わる静荷重を基材で受ける方法が考えられる。しかし、基材の厚みを厚くすると、隣接する基材同士を一部重ねて施工する際に、重ねた部分で顕著に段差が生じたり、また、基材が重くなるため、搬送性、施工性が悪くなる。
一方、基材を重ねた部分の段差の解消、又は、搬送性、施工性の問題を解決するために、単に基材を薄くするのみでは、床表面材の上に加わる静荷重を基材で受けることができなくなり、床表面材が破損する可能性がある。
また、床下に床暖房構造がある場合、熱によるエージング効果で耐久寿命が短くなる床材がある。このため、耐久寿命にかかわらず、コストや意匠性において、好みの床材を使用した場合には、熱的劣化のためにリフォームが必要となることもある。従って、床リフォームコストを考えた場合、結果的には床暖房用の床材を使用せざるを得ない場合があった。逆に、床材自体のコストが安くても、施工費用が高いために、結果として総コストが高くなるという問題がある場合もあった。
本発明は、上記従来の問題点を解決し、建造物の既存床面や床下地を傷つけることなく施工及び撤去可能な置き敷き型床表装材であって、形成される床面での安定性と耐久性に優れた置き敷き型床表装材と、この置き敷き型床表装材を建造物の既存床面或いは床下地に載置した床構造を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、特定の厚さの基材上に、特定の接着強度で、床表面材が接合された置き敷き型床表装材とすることによって、上記の課題が解決できることを見出して発明を完成した。
即ち、本発明は、以下を要旨とするものである。
[1] 建造物の既存床面或いは床下地上に載置される置き敷き型床表装材であって、厚さ3mm以下の基材と、この基材上に接合された床表面材とを有し、該基材と床表面材とが、下記(1)の方法で測定した平均はく離力又は下記(2)の方法で測定した平均割裂接着強さが0.5N以上となるように接合されていることを特徴とする置き敷き型床表装材。
(1) 下記(2)以外の場合において、JIS K6854−1(1999年版)に規定された「はく離接着強さ試験(90度はく離)」に準拠して以下の方法で90度はく離力を測定する。
5cm角の床表面材よりなる試験片1と幅25mmで長さ10cmの帯状の基材よりなる試験片2とを用い、試験片1の表面(基材との接合面)中央に、試験片2の長さ5cm分を実際の床表装材と同様に接合して試験体を作製する。この試験体を、試験片1を下にして置き、試験片2の非接合部を引っ張り代として引っ張り上げ、90度はく離したときのはく離力の平均値を求める。
(2) 基材も床表面材も共に剛性である場合において、JIS K6853(1994年版)に規定された曲げ試験方法に準拠して、床表面材と基材とを実際の床表装材と同様に接合して、JIS K6853(1994年版)で定められた試験体に加工し、割裂接着強さを測定してその平均値を求める。
なお、上記(1),(2)のいずれの場合も、十分な点数(例えば5〜10点)をとり平均化する。剛性の定義は基材及び床表面材の説明の項に記載される通りである。
以下において、上記方法で測定された平均はく離力又は平均割裂接着強さを「積層方向平均接着力」と称す。また、上記(1)の測定方法を「(1)測定方法」、上記(2)の測定方法を「(2)測定方法」と称す場合がある。
[2] [1]に記載の置き敷き型床表装材において、端面を互いに突き合わせて設置された複数枚の床表面材を有し、該床表面材同士の該突合せ端面における、該床表面材同士の間の隙間を埋める目地材の強度および伸びが以下の(3)及び(4)の条件のいずれかを満足していることを特徴とする置き敷き型床表装材。
(3) JIS A1408(2001年版)に規定された曲げ試験に準拠して、5cm角で4mm厚みの床表面材を3.5mmの間隔をあけ、基材上に実際の置き敷き型床表装材と同様に接合した試験体を作製し、この試験体の基材を上にして、棒状の荷重を目地上にかけ、破壊させたときのスパン中央部の最大たわみ量の平均値が1mm以上。
(4) JIS K7113(1995)に基づいて測定した破壊強度Y(N/mm)と破壊伸び率X(%)の関係がY≧2.5−0.025X。
なお、上記(3)の場合も、十分な点数(例えば5〜10点)をとり平均化する。
この曲げ試験において、実際の床表面材の厚さが4mmより厚い場合は、厚さ4mmに切り出し、厚さが4mm未満である場合には、同一材料で厚さ4mmに作製して、厚さ4mmの試験体とする。
以下において、上記方法で測定された最大たわみ量の平均値を「平均最大たわみ量」と称す。
また、上記(4)の場合も、JIS K7113に記載の通り、十分な点数(例えば5〜10点)をとり平均化する。
[3] [1]又は[2]に記載の置き敷き型床表装材において、前記基材が可撓性を有することを特徴とする置き敷き型床表装材。
このような置き敷き型床表装材とすることで、床下地と基材との間に隙間が生じにくくなる。その結果、床下地の剛性が、基材を介して床表面材に伝わり、歩行により床表面材にかかる荷重や衝撃が局所的に集中することなく、床下地の広い範囲で満遍なく負担されることにより、床表面材の破損を防止しやすくなる。
[4] [1]〜[3]のいずれかに記載の置き敷き型床表装材において、前記基材と前記床表面材とが、水と骨材とウレタン系樹脂を含有する混合物で形成された接着層により前記平均はく離力を満たすように接合されていることを特徴とする置き敷き型床表装材。
[5] [1]〜[4]のいずれかに記載の置き敷き型床表装材において、前記基材と前記床表面材との接合面における前記基材の面積が1m以上であることを特徴とする置き敷き型床表装材。
このような基材の面積とすることにより、施工時間を短縮することができる。さらに、床表面材に隙間、段差、しわ等が発生することを防止しやすくなる。
[6] [1]〜[5]のいずれかに記載の置き敷き型床表装材において、前記床表面材がタイル、防音床、及びカーペットからなる群より選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする置き敷き型床表装材。
[7] [1]〜[6]のいずれかに記載の置き敷き型床表装材において、前記基材と前記床表面材とが施工現場で接合されることを特徴とする置き敷き型床表装材。
[8] [1]〜[7]のいずれかに記載の置き敷き型床表装材が、建造物の既存床面、又は床下地上に、2mm以上の厚さの弾性体、或いは、該弾性体と該弾性体上に設けられた床暖房パネルを介して載置されてなることを特徴とする床構造。
このような床構造とすることにより、床暖房パネル上の床表装材の更新を行なう際、床暖房パネルを更新することなく、置き敷き型床表装材のみを更新すれば良くなる。この結果、床表装材の更新を、低コスト、短時間で行いやすくなる。
なお、本発明において、前述の要旨に、以下の形態を付加することにより、更なる効果を生じさせることが可能となる。
(1)建造物の既存床面或いは床下地上に、前記置き敷き型床表装材が載置されてなる床構造。
(2)建造物の既存床面或いは床下地上に、前記床暖房パネルを介して、前記置き敷き型床表装材が載置されてなる床構造。
(3)(2)の場合において、前記床暖房パネルと前記置き敷き型床表装材との間に高比重シートが介在させている床構造。
(4)(3)の場合において、前記高比重シートと前記置き敷き型床表装材との間に不織布が介在されている床構造。
本発明の置き敷き型床表装材によれば、建造物の既存床面或いは床下地を損傷させることなく、また、床暖房機能を備える床面にあっても、床暖房機能部分に何ら影響を及ぼすことなく、容易に敷設、撤去することができ、床表装部のみを短い工期で簡便かつ低コストにリフォームすることができる。
しかも、本発明の置き敷き型床表装材は、床面での安定性及び強度に著しく優れるため、歩行感、使用感、耐久性に優れた床構造を提供することができる。
即ち、本発明の置き敷き型床表装材では、床表面材と所定の厚さ以下の基材とが、特定強度以上でしっかりと一体化して接合されているため、床表面材上の人の歩行や荷物の載置、温度変動による床表面材の変形を、接着層の変形により置き敷き型床表装材全体が撓うことで、優れた耐久性、安定性を得ることができる。これは、薄い基材であれば、厚い基材に比べて、接着層の変形をむしろ伝えやすく、床表装材全体の撓いを妨げにくくなること、その結果、置き敷き型床表装材が床下地上で動きやすくなることによる。
また、薄い基材であれば、隣接する基材同士を一部重ねて施工する際に、重ねた部分で段差が生じにくくなり、更に、基材が軽くなるため、搬送性、施工性をよくすることができる。しかし、単に、基材を薄くするのみでは、床表面材の上に加わる静荷重を基材で受けることができなくなり、床表面材が破損する可能性がある。そこで、本発明の置き敷き型床表装材では、基材の厚さを薄くするとともに、床表面材と基材とを、特定の強度以上でしっかりと一体化して接合することで、床表面材の上に加わる静荷重により、床表面材を破損しにくくする。
更に、接着層や目地材として弾性の高い接着剤を用いることで、次のような効果を得ることもできる。
即ち、床下地が安定なコンクリート構造であれば問題ないが、根太構造や2重床である場合、基材が薄いと、床表面材の重量を基材だけで支えにくく、1〜3mmほど置き敷き型床表装材が撓む。従って、この程度の撓みでも置き敷き型床表装材が破壊されにくいことが望まれる。また、例えば、木材を床表面材に使う場合には湿度によって1〜3%ほど伸縮する場合があり、この場合において、固定されている各所において歪みにより隙間ができたり、段差ができたりする。
本発明の置き敷き型床表装材では、弾性のある接着剤を用いて、基材と床表面材とが平面方向に一体化されることで、床表装材全体で動いて伸縮することが可能となり、歪みによる隙間や段差が起こりにくくなる。
以下に、本発明の置き敷き型床表装材及び床構造の実施の形態につき説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
[置き敷き型床表装材の設置(載置)対象]
建造物の床は、木造住宅の場合、根太と呼ばれる木材の幅木の枠体を組み、これに板状体を敷設することによって床下地が形成され、この上に一般の床表装材を設置することで床面が形成される。また、RC造(鉄筋コンクリート造)住宅の場合は、打設されたコンクリートそのもので床下地が形成され、この上に一般の床表装材を設置することで床面が形成される。
本発明の置き敷き型床表装材は、一般に、このようにして形成される床下地上に直接載置されるか、或いは、この床下地上に既に一般の床表装材が設置された床面(既存床面)の上に載置される。
なお本発明の置き敷き型床表装材の“置き敷き”とは、単に置くだけのものである。つまり、建造物の既存床面や床下地に、ビス若しくは釘、又は接着剤等の固定手段を用いることなく、単に置くだけのものであるため、施工も撤去も容易である。
[置き敷き型床表装材の敷設方法]
本発明の置き敷き型床表装材の敷設方法には特に制限はないが、次の方法が挙げられる。
(i) 置き敷き型床表装材の基材と床表面材とを予め接合した状態で施工現場に持ち込む。次に、建造物の既存床面或いは床下地上に、必要に応じて床暖房パネルや不陸調整用の弾性体等を設置する。その後、置き敷き型床表装材を載置する。
(ii) 建造物の既存床面或いは床下地上に、必要に応じて床暖房パネルや不陸調整用の弾性体等を設置する。その後、現場で、基材上に床表面材を接着し、接着層が乾燥する迄に、載置操作を行う。
(iii) 建造物の既存床面或いは床下地上に、必要に応じて床暖房パネルや不陸調整用の
弾性体等を設置する。その後、基材を載置し、基材上に接着層を形成し、接着層が乾燥する迄に、床表面材を接着する。
[置き敷き型床表装材の積層方向平均接着力]
本発明の置き敷き型床表装材においては、厚さ3mm以下の基材と床表面材とが、積層方向平均接着力0.5N以上となるように接合されている。
この積層方向平均接着力の下限は0.5N以上、好ましくは0.6N以上、更に好まし
くは0.65N以上である。積層方向平均接着力の上限については特に制限はないが、好ましくは3N以下、更に好ましくは2.5N以下程度である。積層方向平均接着力がこの下限を下回ると床表面材が損傷しやすく、上限を超えると、基材と床表面材との接合が強い点では好ましいものの、歩行による軋みを生じやすく、たわみやずれを許容しにくくなる。
このような積層方向平均接着力を実現するための手段として、基材、床表面材、これらの間に介在させる接着層を個別に規定することはできない。即ち、積層方向平均接着力は基材、床表面材、接着層の組合せによって決まるものであり、従って、本発明では、本発明で規定する積層方向平均接着力を満たすように基材、床表面材、及び接着層の組み合せを選択すれば良い。
従って、以下に、本発明の置き敷き型床表装材に採用し得る基材、床表面材及び接着層について個々に説明し、その後、本発明に係る積層方向平均接着力を実現するためのこれらの組み合わせについて説明する。
[置き敷き型床表装材の基材]
本発明において用いる基材の厚みは、厚すぎると床高さが高くなる。その結果、他のスペースに対して段差が形成されるため、通常3mm以下、好ましくは2.7mm以下、更に好ましくは2.5mm以下、最も好ましくは2.3mm以下である。
基材は、厚い方が一般には自重が重くなり、ずれにくくなるために安定性が増すと考えられるが、本発明者らの検討により次のことが判明した。
<1> 床表面材と一体化した際、ずれにくくするよりは、床表面材が基材との一体化物としては、むしろある程度伸び縮みして移動を許容する方が優先される。つまり、人の歩行や荷物などによる物理的な応力や、床暖房パネルの敷設や寒暖の変化に伴う温度変動による変形に対して、床表面材が基材との一体化物として伸び縮みして移動を許容する方が優先される。
<2> 基材が厚すぎると、床高さへの影響が大きく、施工上の自由度が極めて低くなる。
<3> 基材の厚さが増すと、一般に重みが増す。このため、床下地の強度が低い場合は、しなったり壊れたりするため、床下地による制限を受けやすくなる。
<4> 隣接する基材同士を重ねることによって基材を一体化させる際、一体化させた基材の上に接着層を介して床表面材を設ける。接着層を設ける際、通常、くし目こてのような冶具を使用する。このような冶具を使用すると、接着層が波状になり高さ5mm程度の凸条部分が生じる。この場合、基材が厚いと、基材を重ねた周辺部において、基材が浮いた状態となる。この結果、基材を重ねた周辺部付近において、床表面材と上記5mm程度の凸条になった接着層とが接しにくくなる。このため、基材と床表面材とを十分な接着力で接着できなくなる可能性がある。
これらの知見に基いて、本発明者らは、所定の積層方向平均接着力で床表面材が基材に接着されて一体化されていれば、むしろ、薄めの基材が好適であることを見出した。ただし、置き敷き型床表装材の強度、耐久性等の観点から、基材には、厚さ3mm以下の範囲でその材質や構造に応じて、以下に記載するように、好適厚さが存在する。
基材の構造としては、単層でも複層でもよく、異なる材質で積層した複合体(例えば、アルミニウムシートとプラスチックシートを積層した複合体)でもよい。
本発明の置き敷き型床表装材において、基材は、人の歩行や荷物などによる物理的な応力や、床暖房パネルの敷設や寒暖の変化に伴う温度変動による変形を、置き敷き型床表装
材全体で撓うことにより吸収する。その他、基材は接着層が既存床や床下地に接触することで一体化された床の撤去が困難になることを未然に防ぎ、更には、接着層を支持して、長期的に置き敷き型床表装材を維持する作用を有する。
以下に、基材を材質毎に分類して説明する。
<可撓性基材>
ここで、可撓性とは、JIS A1408(2001年版)に準拠して、5号試験体で、スパンL150mm、幅b50mm、で基材を切り出したものを用いた曲げ試験において、「スパン中央部の破壊時の最大たわみ量」が10mm以上のものを指す。
つまり、可撓性を有する基材とは、前述の曲げ試験において、「スパン中央部の破壊時の最大たわみ量」が10mm以上のものをいう。
可撓性基材の材質としては、アルミニウム、鉄、及びステンレス等の金属、プラスチック、紙、木質、或いはこれらの複合体が挙げられる。中でもプラスチックが加工性に優れ、更に他の機能を付与できる点で望ましい。プラスチックとしては、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと称する)等のポリエステル、ポリエチレン等のポリオレフィン、塩化ビニル樹脂等の塩素化ポリオレフィン等が挙げられる。
プラスチック製基材の形態としては、シート状、不織布状、ターポリン(防水布)状、発泡体状等が挙げられる。基材としては、低腐食性であることが長期使用する床用途において特に好ましく、PETシートが好ましく、また、接着剤としてのなじみのよい塩化ビニル樹脂製ターポリン等も好ましく例示される。
可撓性基材は、後述の接着層形成時に、接着剤が基材を透過して下に漏れて、例えば前述の(iii)の現場施工時に、床下地や既存床を汚染し損傷することがないようにすることが望ましい。その一方で、可撓性基材の厚さを過度に厚くすると、床高さへの影響が生じる。施工対象に応じて、高さ調整を任意に行える観点から、薄い可撓性基材を重ねて用いることができるように作製しておくことが望ましく、このため、可撓性基材1枚あたりの厚さを、通常0.5mm以下、好ましくは0.4mm以下、中でも0.3mm以下にすることが望ましい。また、下限としては、あまりに薄いと、接着剤の漏れを抑制する効果が得にくくなる。また、床表面材が煉瓦やタイルなどの比重の大きい負荷の大きな種類である場合、既存床や床下地の損傷を受けやすくなる。このため、可撓性基材の厚さは通常、0.05mm以上、中でも0.1mm以上とするのがよい。
可撓性基材のトータル(複数層の場合はその合計)の厚さとしては、厚すぎると床高さが高くなる。その結果、他のスペースに対して段差が形成されるため、可撓性基材のトータルの厚さは好ましくは2.7mm以下、より好ましくは2.5mm以下、特に好ましくは2.3mm以下、とりわけ好ましくは2mm以下にすることが望ましい。また、可撓性基材のトータルの厚さがあまりに薄いと、床表面材が煉瓦やタイルなどの比重の大きい負荷の大きな種類のものである場合、しなったり、壊れたりしやすくなり、既存床や床下地への影響を受けやすくなる。このため、可撓性基材のトータルの厚さは過度に薄くしない方が好適であるので、好ましくは0.5mm以上とするのがよい。
床表面材が煉瓦やタイルなどの剛性の高いものの場合は、可撓性基材のトータル(複数層の場合はその合計)の厚さが厚すぎると床高さが高くなる。その結果、他のスペースに対して段差が形成される。しかし、薄すぎると、床表面材が煉瓦やタイルなどの剛性の高いものの場合は、床下地の影響を受けて割れやすい。したがって、可撓性基材のトータルの厚さは0.15〜2.7mm程度とするのがよい。
床表面材が防音床やカーペット等の剛性の低いものの場合は、可撓性の基材を用いる方が、置き敷き型床表装材にしわが発生しにくい。したがって、可撓性基材のトータル(複数層の場合はその合計)の厚さは、可撓性基材の材質にもよるが、基材を薄くすることで、可撓性の基材にするために、0.1〜2.5mm程度とするのがよい。
<剛性基材>
ここで、剛性とは、JIS A1408(2001年版)に準拠して、5号試験体で、スパンL150mm、幅b50mm、で基材を切り出したものを用いた曲げ試験において、「スパン中央部の破壊時の最大たわみ量」が10mm未満のものを指す。
剛性基材の材質としては、アルミニウム、鉄、及びステンレス等の金属、プラスチック、木質、或いはこれらの複合体が挙げられる。木質としては、単層フローリング(無垢材)、複合フローリング(合板、MDF(Medium Density Fiberboard)、HDF(High Density Fiberboard)の表面に突き板又は化粧シートを貼り合せたもの)等が挙げられる。木質系のフローリングは、錆びたり腐食したりしにくい。また、後述する床表面材の材質のうち、比較的比重の大きい、タイルや煉瓦を接着した場合のしなりや壊れを抑制する機能において、タイルや煉瓦と比較して、曲げに対して強い材料であるので望ましい。
剛性基材についても、可撓性基材と同様、施工対象に応じて、高さ調整を任意に行える観点から、薄い剛性基材を重ねて用いることができるように作製しておいても良い。この場合、剛性基材1枚あたりの厚さを、通常0.5mm以下、好ましくは0.4mm以下、中でも0.3mm以下にすることが望ましい。また、剛性基材1枚あたりの厚さがあまりに薄いと、床表面材が煉瓦やタイルなどの比重の大きい負荷の大きな種類である場合、既存床や床下地の損傷を受けやすくなる。このため、剛性基材1枚あたりの厚さを、過度に薄くしない方が好適であるので、通常、0.05mm以上、中でも0.1mm以上とするのがよい。
剛性基材のトータル(複数層の場合はその合計)厚さとしては、過度に厚いと高さに影響を及ぼすため、好ましくは2.7mm以下、より好ましくは2.5mm以下、特に好ましくは2.3mm以下、とりわけ好ましくは2mm以下、中でも1.5mm以下にすることが望ましい。剛性基材のトータルの厚さの下限としては、あまりに薄いと、床表面材が煉瓦やタイルなどの比重の大きい負荷の大きな種類のものである場合、しなったり、壊れたりしやすくなる。このため、既存床や床下地への影響を受けやすくなり、過度に薄くしない方が好適であるので、剛性基材のトータルの厚さは好ましくは0.5mm以上とするのがよい。
なお、可撓性基材の1枚又は複数枚と剛性基材の1枚又は複数枚とを積層した複合基材とすることもできる。また、2枚の可撓性基材間に剛性基材を介在させることもできる。この場合の複合基材のトータル厚さについても、上記と同様に2.7mm以下、特に2.5mm以下、とりわけ2.3mm以下で、0.5mm以上とすることが好ましい。
以上、可撓性基材、および剛性基材について説明したが、なかでも施工性・経済性の観点から可撓性基材を使用することが好ましい。
[基材と床表面材との接合面における基材の面積]
基材と床表面材との接合面における基材の面積は1m以上であることが望ましい。この面積が1m未満であると、複数の基材を一体化する際に、基材の枚数が多くなり、一体化の作業に長時間を要する場合がある。また、床表面材の面積が大きい場合に、床表面材上に点荷重が加わったとき、一枚の基材の面積が大きいほど、点荷重による力を分散させ易く、床表面材の破損を防ぎやすい。特に、床表面材にタイルのような剛性の大きいものを使用した際に、床表面材の破損防止に有効である。
また、基材と床表面材との面積は、同一面積に限られるものではなく、床表面材の種類、基材の種類、又は、施工現場の状況等に応じて、異なる面積としても良い。
[置き敷き型床表装材の床表面材]
床表面材としては、その材質(物性)や基材との組み合わせにより、好適な厚さ範囲が存在するが、一般的な床表面材の厚さとしては、通常3mm以上、特に5mm以上で、通常30mm以下、特に25mm以下、とりわけ20mm以下であることが好ましい。床表面材の厚さがこの下限を下回ると置き敷き型床表装材の耐久性が低下しやすい。また、床表面材の厚さが上限を超えると一般に重量が増大し、床下地或いは既存床面上に載置した際に動きにくくなったり、施工性が低下しやすくなる。
床表面材は、置き敷き型床表装材を設置する場所の床面積に応じて、複数枚で構成されていてもよい。置き敷き型床表面材を設置する場所の面積が大きい場合、複数枚の床表面材とすることで、運搬性がよくなる傾向にある。
床表面材はその材料の種類に応じた物性により、剛性床表面材(高剛性床表面材を含む)と可撓性床表面材とに大別される。更に剛性床表面材は、湿度の影響を受けにくい耐湿性床表面材と、湿度によって吸湿して寸法変化を生じやすい吸湿性床表面材とに分類される。
ここで、剛性、可撓性の定義は、前述の基材の場合と同様であり、JIS A1408(2001年版)に準拠して、5号試験体で、スパンL 150mm、幅b50mmで床表面材を切り出したものを用いた曲げ試験において、「スパン中央部の破壊時の最大たわみ量」が、10mm以上のものを可撓性、10mm未満のものを剛性、中でも1mm以下のものを高剛性とする。
<耐湿性剛性床表面材>
耐湿性剛性床表面材としては、煉瓦、石材、タイル、化粧板(発泡合成樹脂、不織布、ゴム、タイル、石材などで作製された板状のもの)、これらを接着剤により貼り合わせたラミネート素材を用いることができる。
これらのうち、高剛性床表面材としては、煉瓦、石材、タイル等が挙げられる。なかでも、美観、床材としての完成度の高さの観点から、タイルが好ましい。
<吸湿性剛性床表面材>
吸湿性剛性床表面材としては、木質、畳、或いはこれらの複合体が挙げられる。木質としては、単層フローリング(無垢材)、複合フローリング(合板、MDF(Medium Density Fiberboard)、HDF(High Density Fiberboard)の表面に突き板又は化粧シートを貼り合せたもの)等が挙げられる。これらは、曲げに対して強い材料であるので望ましい。
<可撓性床表面材>
可撓性床表面材としては、カーペット、紙、防音床材等が挙げられる。なかでも、美観、床材としての完成度の高さの観点から、カーペット、防音床材が好ましい。防音床材としては、吸音効果、制振効果の機能を備えていれば特に制限はないが、通常、木質板にスポンジ等の吸音材、制振材が貼り付けられているものが使用される。
<置き敷き型床表装材の接着層>
本発明においては、置き敷き型床表装材の基材と床表面材とが動くことを前提に作られていることを踏まえ、床表面材と基材とは前述の積層方向平均接着力を満たすように接着層でしっかり一体化されていることが好ましい。このように基材と床表面材とを接着層で接着することにより、適度な変形を可能とし、置き敷き型床表装材の変形に対して壊れにくい、より優れた性能を付与する。
この接着層を形成する接着剤としては、本発明に係る積層方向平均接着力を満たす限りにおいて特に制限はない。置き敷き型床表装材の積層方向平均接着力は、基材、床表面材、及び接着層の組合せ選択で決まるため、接着層を形成する接着剤は、下記の接着剤の中から、基材、及び床表面材に応じて、本発明の積層方向平均接着力を満たすように選ばれる。
ただし、接着層は、基材と床表面材とをしっかりと一体化するものであることが重要であり、中でも、歩行による、変形や動きによって置き敷き型床表装材が伸縮を繰り返しても、壊れにくい伸縮性を持ったものが望ましい。
接着剤はその伸縮性により高伸縮性接着剤と低伸縮性接着剤とに分類される。
高伸縮性接着剤としては、ウレタン系接着剤、シリコン系接着剤等が挙げられる。
低伸縮性接着剤としては、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤等が挙げられる。
伸縮を繰り返しても壊れにくい点で、接着層としては高伸縮性接着剤を用いたものが好ましい。十分な硬さと、伸縮を繰り返しても壊れにくい性質とを兼ね備えている点で、接着層を形成する接着剤としてはウレタン系接着剤(ウレタン系樹脂を含有する接着剤)が特に好ましい。
また、伸縮を繰り返しても壊れにくくする効果を増大させるために、接着層には骨材を含有させることが好ましい。
特に、高伸縮性接着剤に、酸化アルミニウム、酸化ケイ素等の金属酸化物、鉄、アルミニウム等の金属粉、砂などの骨材を混ぜて使用することが望ましい。
接着層に用いられる骨材の大きさとしては、大きすぎると良好な接着層を形成し得ないことから、通常、最大粒径1mm以下、好ましくは0.8mm以下であることが望ましい。ただし、骨材が細かすぎると作業性に問題を生じやすくなるので、平均粒径0.3mm以上、特に0.4〜0.8mmであることが好ましい。
また、骨材の混合割合は、接着剤と骨材との体積比率で通常1:0.1〜1:10、中でも1:1〜1:5程度とするのが好ましい。骨材の混合割合が多過ぎると接着層が脆くなるおそれがあり、少な過ぎると、骨材を配合したことによる接着層の強度向上効果を十分に得にくくなりやすい。
更に、本発明の効果を妨げない範囲において、骨材以外の任意の添加剤を接着層に含有させることができる。このような添加剤としては、例えば、顔料などの染色剤等が挙げられる。その他の添加剤を加える場合は、その合計で、接着層を構成するトータルの部材重量(即ち、例えば接着剤と骨材とその他の添加剤との合計重量)に対して、通常10重量%以下程度である。
このような接着層で床表面材と基材とを接着するには、予め接着剤、添加剤、水、骨材等を混合した混合物を調製し、これを基材及び/又は床表面材の被接着面に塗布して両者を接合することが好ましい。
なかでも、強度や伸びが大きいという観点から予めウレタン系接着剤、水、骨材を混合した混合物を調製し、これを基材及び/又は床表面材の被接着面に塗布して両者を接合することが更に好ましい。
また、ウレタン系接着剤やシリコン系接着剤は空気中の水分により硬化するが、接着層の厚さが1mm以上になると内部に水分が浸透しにくく内部が硬化しにくくなり、内部が硬化しないと、十分な強度が得られにくくなる。そのため、水と骨材とウレタン系接着剤を施工現場で混ぜ合わせて30分以内に使用するのが望ましい。その際、水で骨材を洗い、骨材表面に付着する程度の若干の水分を残すが、余分な水は、水切りしてから骨材を接着剤に混ぜ合わせる。この場合、骨材の表面に付着して混合物中に持ち込まれる水の量は、骨材1kgあたり、通常10g以上、中でも20g以上で、通常200g以下、中でも100g以下とすることが好ましい。この程度の水を含ませることにより、形成される接着層の接着強度を十分なものとすることができるが、この水量は過度に多いと、ウレタン系接着剤の場合、発泡が著しくなる場合がある。
このようにして基材と床表面材とを接着層で接着する場合、特に現場施工においては、基材の隙間から接着剤が下(既存床面、床下地)に漏れないようにテープで目張りを行ってもよい。
このようにして形成される接着層の厚さは床全体を一体化させるためにはある程度厚いことが望ましいが、経済性を考慮し、通常0.5mm以上、好ましくは1mm以上、通常5mm以下、好ましくは4mm以下程度である。なお、接着層の厚さは、基材が薄い場合や基材の材質や加工の仕方によっては、基材に接着剤を塗布硬化させることによって基材と接着層が合体した形でこの厚さ範囲に調整されることも包含する。
[置き敷き型床表装材の平均最大たわみ量]
基材と床表面材とが一体化された置き敷き型床表装材は、材質や設計により多少撓むことが想定される。その場合には置き敷き型床表装材同士の接触により割れや欠けが発生す
る。特に、タイルや石材を床表面材に用いる場合にはその傾向が高い。その場合は、隣接する置き敷き型床表装材間ないしは床表面材間に1mmから5mm程度の隙間を空け、この隙間に目地材を充填することが望ましい。この目地材としては、前記した接着剤、シリコン系コーキング材、アクリル系コーキング材等を用いることができる。
本発明においては、基材と床表面材とをより確実に一体化し、かつ変形に対する働きをより有効にするために、基材上に隣接配置された床表面材同士が、その突合せ端面においても、目地材で接合されていることが好ましく、中でも、床表面材同士が、その突合せ端面において、以下の(3)及び(4)の条件のいずれかを満足するように接合されていることが好ましい。
(3) JIS A1408(2001年版)に規定された曲げ試験に準拠して、5cm角で4mm厚みの床表面材を3.5mmの間隔をあけ、基材上に実際の置き敷き型床表装材と同様に接合した試験体を作製し、この試験体の基材を上にして、棒状の荷重を目地上にかけ、破壊させたときのスパン中央部の最大たわみ量の平均値(平均最大たわみ量)が1mm以上。
(4) JIS K7113(1995)に基づいて測定した目地材単体の破壊強度Y(N/mm)と破壊伸び率X(%)の関係がY≧2.5−0.025X。
この平均最大たわみ量は、通常1mm以上、中でも1.5mm以上、特に2mm以上で、通常5mm以下、中でも3mm以下程度であることが好ましい。
平均最大たわみ量がこの下限を下回ると置き敷き型床表装材のたわみにより、目地が破壊しやすく、上限を超えると、基材と床表面材との接着が強い点では好ましいものの、歩行による軋みを生じやすかったり、たわみやずれを許容しにくくなる。
また、上記破壊強度Y(N/mm)と上記破壊伸び率X(%)の関係がY<2.5−0.025Xであると、目地材の伸び率に対する、目地材の破壊強度が不十分である。
この関係は、床表面材上に歩行などにより荷重がかかり、目地材が伸びると床表装材が撓むという現象の下において、床表装材の撓みに耐えきれずに目地部が破壊されやすいことを示している。
また、目地材が伸びると目地部の破壊強度が小さくても、目地部が破壊されにくいことが分かった。つまり、目地部の伸びが大きい場合、目地部が伸びることにより床表装材が大きく撓み、床下地に圧力がかかりやすい。その結果、床下地からは反発力が働き、目地部に加わる分力(床表面材上の荷重の分力)が小さくなる。逆に、目地部の伸びが小さい場合、目地部が伸びることによる床表装材の撓みが小さくなり、床下地に圧力がかかりにくい。この結果、床下地からの反発力が働きにくく、目地部に加わる分力(床表面材上の荷重の分力)が、床表面上の荷重とほぼ同じとなる。この場合、目地部が破壊しないためには、床表面上の荷重とほぼ同じ荷重に耐え得る、破壊強度が必要となる。
床表装材の撓み、または、ずれによって目地部が破壊されにくくするためには、破壊伸び率X(%)が、通常5%以上、好ましくは10%以上、より好ましくは20%以上、さらに好ましくは50%以上、最も好ましくは100%以上である。
[置き敷き型床表装材の他の好適物性]
本発明の置き敷き型床表装材は、前述のJIS A 1408(2001年版)の曲げ試験に準拠して測定した曲げ破壊荷重が、通常100N以上、好ましくは150N以上であることが好ましい。曲げ破壊荷重の上限としては、過度に大きい必要はなく、500N以下程度である。
また、置き敷き型床表装材の建造物の既存床面或いは床下地に接する側の表面性状、即ち、基材の下面(床表面材との接合面と反対側の面)の表面性状については、次のような
性状であることが好ましい。
即ち、従来、床表面材は、常識的には、化学的に安定で湿度や温度などにより形状寸法が変化しないことが望まれると考えられていた。しかしながら、本発明の置き敷き型床表装材は、発想を逆転し、置き敷き型で、既存床面や床下地に対してある程度動くことを前提として、一体化物として寸法変化を行うようにした。従って、このような置き敷き型床表装材の動きを妨げないようにするのが望ましい。そのためには、具体的には置き敷き型床表装材と、既存床或いは床下地との間の最大摩擦係数は0.5以下とすることが望ましい。さらには0.3以下であることがより望ましい。例えば、置き敷き型床表装材の既存床或いは床下地側の表面に、表面粗さの低い素材や、表面粗さを小さくする加工法を選択したり、切削等による物理的処理や表面材を塗布するなどする化学処理などの公知の種々の手法により、表面性状をこの範囲とすることができる。
なお、後述の如く、建造物の既存床面或いは床下地と置き敷き型床表装材との間に床暖房パネルや不陸調整用の弾性体、その他のシートが介在される場合、上記最大摩擦係数は、当接置き敷き型床表装材の下面と直接接触する部材の上面との間の最大摩擦係数となる。
[本発明の積層方向平均接着力を満たすための各部材の選択]
本発明において、前述の積層方向平均接着力を実現できる限りにおいて、床表面材、基材、接着層、目地材等の組合せ選択には特に制限はないが、本発明で必要とされる積層方向平均接着力、更には前述の好適物性は、例えば、前述した床表面材、基材、接着層、目地材について、下記の組合せ選択を行うことで達成することができる。
[1] タイル等の耐湿性剛性床表面材を用いる場合
たわみに対して、応力が集中して、耐湿性剛性床表面材が割れやすいため、一つの手段としては基材を厚めの2〜3mm程度とし剛性を高めとし、床表面材も厚めの9〜15mm程度とし剛性を高めとすることが挙げられる。接着層を形成する接着剤には、高伸縮性接着剤を選択し、骨材を混ぜて、曲げに対して強くすることが望ましい。ウレタン系接着剤などの水分で硬化する接着剤においては、水と骨材を十分に混合して用いることも望ましい。
また、別な手段としては、たわみに対して、応力が集中するのを、目地部分で応力を受け止められるようにすることが挙げられる。この場合には、目地材を、高伸縮性接着剤とし、耐湿性剛性床表面材としっかり一体化させることが望ましい。従って、目地材として、ウレタン系接着剤、若しくはウレタン系コーキング材、又はシリコン系コーキング材が好ましい。更に、目地材に骨材を混ぜて、曲げに対して強くすることが望ましい。ウレタン系接着剤などの水分で硬化する接着剤においては、水と骨材を十分に混合して用いることも望ましい。この場合、基材は、床下地や既存床面の突起などを緩和する程度でよく、床表面材は、むしろ、目地材での応力吸収を効果的に行うには、小さめの、1辺40cm以下程度、例えば40〜20cm、1枚の面積1600cm以下程度、例えば1500〜500cmとするのがよい。また、目地幅は0.5mm以上、特に0.8mm以上、8mm以下、特に5mm以下とすることが好ましい。この目地幅が小さ過ぎると床表面材同士の接着による割れや欠けを十分に防止し得ず、また目地材が入らなくて壊れやすくなる。目地幅が大き過ぎると目地部に重負荷がかかりやすいため壊れやすく、また、目地部がめだって見栄えも悪くなる。
[2] 吸湿性剛性床表面材を用いる場合
湿度変動や時間経過により形状が変化しがちであるため、基材も接着層も床表面材の変形に応じて伸縮性の高いものを選択する。各床表面材の間に隙間が発生しないように、突合せ方向(目地)もしっかりと接着しておくことが望ましい。それによって、床表面材の寸法変化を床表面材全体の寸法変化として発生させる。従って、敷設される部屋の壁と床表装材との隙間が拡がったり狭くなったりすることとなる。この動きを妨げないように、壁と床表装材との間に寸法調整用に設置される巾木は、壁及び床表装材とに固定するのではなく、壁のみに固定するのが良い。
[3] 可撓性床表面材を用いる場合
表面材が柔らかいため壊れることはないが、動きに対してしわが発生しがちである。このため、基材は浮き上がりにくい可撓性の素材のもが望ましい。例えば、PET等のポリエステルやポリオレフィン等の樹脂製の薄め(2〜3mm程度)のもの、若しくは紙、又は、セメントにバインダーとして、例えばゴム、樹脂を混合した高比重基材を選択することが望ましい。また、これら可撓性の基材の一枚当たりの面積を小さめ(2m×2m程度)とし、隣接する基材同士の一部分を重ねて大きい基材を形成すると、基材の重なった部分でしわの発生を抑制しやすくなる。あるいは、これら可撓性の基材に一定間隔でV字状の溝を設けることにより、しわを吸収させやすくなる。接着層は、床表面材の動きを抑制するようにするのが好ましく、例えば、低伸縮性接着剤を用いるのが好ましい。目地部分の接着はなくてもよいが、目地部分も接着しておくとより好ましい。
[4] 目地構成を選択する場合
置き敷き型床表装材では、目地で伸縮を吸収し床表装材全体として動くために、高伸縮性接着剤、又は高伸縮性コーキング材で目地を作製すると好ましい。その際、骨材を混ぜて、曲げに対して強くすることが望ましい。ウレタン系接着剤などの水分で硬化する接着剤においては、水と骨材を十分に混合させることも望ましい。また、目地の伸縮をより効果的に行うために、床表面材は、小さめの、1辺40cm以下程度、例えば40〜20cm、1枚の面積1600cm以下程度、例えば1500〜500cmとするのがよい。また、目地幅は0.5mm以上、特に0.8mm以上、8mm以下、特に5mm以下とすることが好ましい。この目地幅が小さ過ぎると床表面材同士の接着による割れや欠けを十分に防止し得ず、大き過ぎると目地部に重負荷がかかりやすいため壊れやすく、また、目地部がめだって見栄えも悪くなる場合がある。
[床構造]
本発明の床構造は、本発明の置き敷き型床表装材を建造物の既存床面或いは床下地上に載置したものである。
本発明の置き敷き型床表装材は、既存床面や床下地上に直接載置されるものに何ら限定されず、必要に応じて、次のような部材を既存床面や床下地と置き敷き型床表装材との間に介在させることができる。
<不陸調整用の弾性体>
下地や既存床面の突起などが床表装材に当たって不安定になることを抑制するために、置き敷き型床表装材の基材と床下地或いは既存床面との間に、不陸調整用の弾性体を敷くことで、床表装材の動きやすさを損なわずに安定性を向上させることができる。
不陸調整用の弾性体は、床下地或いは既存床面の直上でも、また、床表装材の基材下面直下でも、またそれ以外の部材間のいずれの箇所に設けてもよい。
この弾性体は、その不陸調整用効果が十分に得られるものであれば、特に材質に制限はないが、例えば、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂などの樹脂、天然ゴム、合成ゴム
等のゴム、或いはこれらに、粉末状の無機質充填材が5〜60重量%程度含有されているものなどが挙げられる。
また、弾性体の厚さは、通常0.5mm以上、中でも1mm以上程度、とりわけ2mm以上で、通常5mm以下、中でも3mm以下程度とすることが好ましい。弾性体の厚さが過度に厚いと床面の高さに対して影響を及ぼし、過度に薄いと十分に不陸調整用効果を得ることができない。
不陸調整用の弾性体は、既存床面や床下地に対して、置き敷き型床表装材などの重量により押さえこまれることにより固定される。
<床暖房パネル>
本発明の置き敷き型床表装材は、既存床面或いは床下地上に配置された床暖房パネルの上に載置されてもよい。
床暖房パネルの形状に特に制限はない。床暖房パネルとしては、通常、熱媒を循環させるための配管用の溝が板面に刻設された合成樹脂製の基材の溝に、熱媒を循環させるための配管を埋設し、必要に応じてこの溝刻設面上に放熱薄板を積層したものが用いられる。
床暖房パネルは、既存床面や床下地又はその上の弾性体上に、必要に応じて後述の高比重シートを介して重量により押えこまれることにより固定される。
なかでも、下地の不陸の影響を解消するという観点から、既存床面或いは床下地上に、2mm以上の厚さの弾性体を載置し、更にこの弾性体の上に、床暖房パネルを介して、置き敷き型床表装材を載置することが好ましい。
<高比重シート>
高比重シートは床暖房パネルの下側又は上側で、置き敷き型床表装材より下側に介在させて、床暖房パネルの浮き上がりやずれを抑制するために設けられる。
この高比重シートとは、密度が通常は1.5g/cm以上、好ましくは1.8g/cm以上であって、上限は特に制限はないが、通常は密度4.0g/cm以下のシートをいう。
高比重シートとしては、アスファルト含有短繊維シート、充填材含有ゴムシートなどが挙げられる。高比重シートの厚さは、密度にもよるが、通常は1〜10mmの範囲とされる。
アスファルト含有短繊維シートの短繊維としては、天然繊維、合成繊維の何れでもよく、短繊維の長さは、アスファルトと混合して高比重シートとした場合にロール状に巻回可能な程度に柔軟性を発揮できる長さであり、1〜30mmの範囲が好ましい。アスファルトは、固体又は半固体の瀝青質混合物であって、主成分は複雑な炭化水素であり、天然アスファルト、石油精留の際の残留物として得られる石油アスファルトの何れでもよい。アスファルトの混合割合は、5〜30重量%の範囲が好ましい。
充填材含有ゴムシートのゴムとしては、天然ゴム、合成ゴムの何れでもよい。中でも合成ゴムが好ましい。合成ゴムとしてはアクリロニトリル、ブタジエンゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(BR)、ポリブタジエンゴム、ポリクロロプレンゴム(CR)、ポリイソプレンゴム、イソプレン−イソブチレンゴム(IIR)、エチレン−プロピレンゴム(EPR、EPDM)、クロルスルホン化ポリエチレンゴム、塩素化ポリエチレンゴムなどが挙げられる。充填材としては、粉末状の無機質充填材が好ましい。例えば、カーボンブラック、シリカ、マイカ、クレー、グラファイト、炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミナ、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。充填材の混合割合は、5〜60重量%の範囲が好ましい。
高比重シートは、既存床面や床下地、又はその上の不陸調整用の弾性体、或いは床暖房パネル上に接着剤や粘着剤或いは平面ファスナー等により固定される。
<仕切材>
床暖房パネルの熱で置き敷き型床表装材が固着すると撤去しにくくなったり跡がついたりすることがあるため、縁切り用に仕切材を介在させることもできる。
また、高比重シートを用いる場合は、高比重シートが床暖房パネルの熱などで置き敷き型床表装材と固着すると撤去しにくくなったり跡がついたりすることがある。このため、高比重シートとの縁切り用にも仕切材を介在させることができる。
仕切材は、上記の目的から、床暖房パネルの上側で、置き敷き型床表装材との間の任意の場所に設置できる。
仕切材の材質としては、樹脂、紙、木材、耐熱性の高い無機物などが挙げられる。具体的には、可撓性又は剛性を有する各種の薄板、粉体、不織布、織布などが挙げられ、最も汎用的には不織布又は織布が使用される。
仕切材を高比重シートの上に配置する場合、仕切材は、高比重シートの表面の80%以上、好ましくは90%以上に亙って敷設するのが望ましい。最も好ましくは、複数枚の不織布を1cm程の厚さに重ね合わせながら隙間なく敷き詰めることにより、高比重シートと置き敷き型床表装材とが確実に接触しないようにするのがよい。なお、不織布は、高比重シート上に両面テープにて仮止めするのが好ましい。但し、仮止めの目的は、固定ではなく、施工時のずれを防止することであり、仮止めは、通常、2mに1箇所程度の間隔で行い、狭い範囲を施工する場合は必要ではない。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではないことは、言うまでもない。
実施例1〜4及び比較例1
下記の各部材を用いて図1に示す床構造を既存床1の上に施工した。
不陸調整用の弾性体2:ポリエチレン製の厚さ2mmのシート
床暖房パネル3:240cm×300cmの四角形の平面形状を有し、厚さ12mmの
板状の基板3Aの表面側に、幅7.2mm、深さ7.2mmの溝3Bが刻
設され、この溝3B内に外径7.2mmの流体チューブ3Cが埋設され、
その表面側に厚さ1mmのアルミニウム箔と樹脂シートの複合板(三菱化
学産資社製、商品名「アルポリック」)3Dが貼着されたもの。
ダミー板4:床暖房パネルと同じ厚さの発泡ポリスチレン板
高比重シート5:ロール状に捲回されたシートであって、厚さ2mm、幅909mm、
長さ500cm、密度2.0g/cmの充填材含有ゴムシート(早川ゴ
ム社製)。
仕切材6:厚さ0.1mm、幅90mmの不織布(東亜紡績社製)
基材7:表1に示す通り
接着層8:エポキシ系接着剤((株)INAX製、イナメントE73)を表1に示す厚
さに設けた。ただし、実施例4のみ、ウレタン系接着剤(三菱化学産資(株)製
品番HG−10)と骨材(砂(最大粒径1mm以下、平均粒径0.5mm))を
、ウレタン系接着剤:骨材が1:約2(体積比)となるように混ぜたものを表1
に示す厚さに設けた。
床表面材9:300mm×300mmで厚さ12mmのタイル1枚(目地なし)
既存床1の表面に、不陸調整用の弾性体2を配置し、その上に床暖房パネル3を配置した。その際、床暖房パネル3の周囲にダミー板4を配置した。
次いで、床暖房パネル3及びダミー板4の上にこれらを覆うように高比重シート5を載せ、床暖房パネル3及びダミー板4に荷重を加えた。高比重シート5には、下面に離型紙が設けられており、これをはがして敷き詰めた。更に、高比重シート5の上面に対し、その一部を除き、仕切材6を隙間なく敷き詰めた。仕切材6は、高比重シート5の表面に両面テープ(3M社製)で仮止めした。そして、仕切材6の表面に、接着層8により基材7と床表面材9を接合した置き敷き型床表装材10を配置した。
十分な養生後、各々の床構造に対して50cmの面積に10Nの荷重を60万回繰り返す耐久性試験により荷重耐久性を確認したが、比較例1のみタイルに割れを生じた。
なお、各例で形成した置き敷き型床表装材について、前述の方法で測定した積層方向平均接着力(平均はく離力)((1)測定方法)は表1に示す通りであった。
Figure 2006283550
表1に示す通り、比較例1は基材と床表面材との接着力が小さい。このように接着力が小さいとタイルが繰り返し荷重に耐えられず、それにより、タイルに割れが発生することが分かる。基材の比較においては、基材にPETシートを用いた場合、接着層にエポキシ接着剤を用いると積層方向平均はく離力が高く、より望ましいことがわかる。また接着剤の比較においては、接着層にウレタン系接着剤と骨材を混ぜたものを用いた場合、エポキシ系接着剤よりも積層方向平均はく離力が格段に高く、より望ましいことがわかる。
実施例5
実施例1において、300mm角、厚さ12mmの床用タイル4×4枚を5mmの目地間隔で配置し、目地材としてアクリル系接着剤((INAX社製、インテリアフロア目地)を使用したこと以外は同様にして床施工を行った。
形成された床面について、目地部分を中心にして実施例1と同様に荷重耐久性を確認したところ、タイルに割れはなかったが、目地材がタイルから剥がれて浮き上がるという結果を得た。
調べたところ、接着層に壊れはなく、弾性目地材の接着強度が弱いことにより、床下地の撓みの繰り返しで破壊されたことがわかった。
実施例6−1
実施例1において、床表面材として5cm角、厚さ4mmの床用タイルを用い、このタイル2枚を目地間隔3.5mmでPETシート基材にエポキシ系接着剤((株)INAX製イナメントE73)で接着し、目地材に、アクリル系接着剤((株)INAX製インテリアフロア目地)を使用したこと以外は同様にして床施工を行った。
このものについて、目地部分を中心にして実施例1と同様に荷重耐久性を確認すると共に、前述の平均最大たわみ量と曲げ試験(JIS A1408(2001年版)に準拠)破壊時の曲げ破壊荷重を測定し、結果を表2に示した。
実施例6−2〜5
実施例6−1において、目地材をウレタン系接着剤(三菱化学産資(株)製品番HG−10)と骨材(砂(最大粒径1mm以下、平均粒径0.5mm))を、ウレタン系接着剤:骨材が表2の割合(体積比)となるように混ぜたものを用いて接着したこと以外は同様にして床施工を行った。なお、目地材の調製に当たり、骨材は水でぬらし、水の混合割合は骨材1kgに対して50gとなるようにした。
このものについて、目地部分を中心にして実施例1と同様に荷重耐久性を確認すると共に、前述の平均最大たわみ量と曲げ破壊荷重(JIS A1408(2001年版))を測定し、結果を表2に示した。なお、各例で形成した置き敷き型床表装材について、前述の方法で測定した積層方向平均接着力(平均はく離力)((1)測定方法)は1.5Nであった。
Figure 2006283550
実施例6−1〜5より、最大たわみ量が1mm以上となるように、目地材を適切に選べば、0.2mm程度の薄いPETシート上に構成した置き敷きタイルでも、目地部や床表面材が破損することなく、床表装材として十分な耐久性を有することが分かる。
実施例7
実施例1において、床表面材として5cm角、厚さ4mmの床用タイルを用いた。このタイル2枚を目地間隔3.5mmでPETシート基材にウレタン系接着剤(三菱化学産資(株)製品番HG−10)と骨材(砂(最大粒径1mm以下、平均粒径0.5mm))を、ウレタン系接着剤:骨材が1:約2(体積比)となるように混ぜたものを用いて接着した。目地部分も、ウレタン系接着剤(三菱化学産資(株)製品番HG−10)と骨材(砂(最大粒径1mm以下、平均粒径0.5mm))を、ウレタン系接着剤:骨材が1:約2(体積比)となるように混ぜたものを用いて接着したこと以外は同様にして床施工を行った。
なお、ウレタン系接着剤と骨材の混合に先立ち、骨材は水でぬらし、水の混合割合は骨材1kgに対して50gとなるようにした。
上記のようにして得られた床構造について、目地部分を中心にして実施例1と同様に荷重耐久性を確認すると共に、積層方向平均はく離力((1)測定方法)を測定したところ次の結果を得た。
積層方向平均はく離力:約6N
荷重耐久性試験結果:目地にも床表装材にも割れを生じることなく、良好
実施例8−1〜6
下記の各部材を用いて図2に示す床構造を既存床1の上に施工した。
基材7:0.2mm厚さのPETシート
接着層8:ウレタン系接着剤(三菱化学産資(株)製品番HG−10):骨材(砂(最
大粒径1mm以下、平均粒径0.5mm))=1:1(体積比)で混合,厚さ2
mm
目地材11:表3に示す通り
床表面材9:300mm×300mmで厚さ9mmの床タイル2枚(この床タイル2枚を目地間隔5mmで基材7に接着層8で接着した。)
既存床1の表面に、接着層8により基材7と床表面材9を接合した置き敷き型床表装材10を配置した。
十分な養生後、各々の床構造に対して人間の歩行を模した荷重耐久性試験により耐久性を確認したところ、表3に示す結果を得た。なお、各例で形成した置き敷き型床表装材について、前述の方法で測定した積層方向平均接着力(平均はく離力)((1)測定方法)は16Nであった。
また、目地材のうち、実施例8−1〜4のものは、前述の平均最大たわみ量が1mm以上で十分な強度があり、実施例8−5,6のものは、前述の平均最大たわみ量が1mm未満であった。各々の置き敷き型床表装材について、実施例1と同様に荷重耐久性を確認すると共に、JIS K7113(1995)に準じて破壊伸び率と破壊強度を測定した。その結果を表3に示す。
Figure 2006283550
実施例8−1〜6より、破壊されない目地は破壊伸び率が大きく、また破壊強度の大きいものであることが分かる。なお、各例で形成した置き敷き型床表装材において、基材と床表面材との積層方向平均接着力(平均はく離力)((1)測定方法)は16Nであり十分な接着力を有しており、床タイルに割れは生じなかった。目地材を適当に選べば、0.2mm程度の薄いPETシート上に構成した置き敷きタイルでも床材として十分に耐久性が有することが分かる。
実施例8−1〜6における目地材の破壊伸び率と破壊強度との関係を図4に示す。図4に示した実線の関係式は、以下の通りである。
破壊強度(N/mm)= 2.5― 0.025×破壊伸び率(%)
したがって、実施例8−1〜6の結果から、
破壊強度(N/mm)≧ 2.5― 0.025×破壊伸び率(%)
の関係を満たすものであれば目地部が破壊されないことが分かる。また、目地材の評価試験として、前述の平均最大たわみ量の試験を、JIS K7113(1995)の材料の強度試験で代用することができることが分かる。
実施例9
下記の各部材を用いて図3に示す床構造を既存床1の上に施工した。
基材7:0.2mm厚さのPETシート
接着層8:カーペット用アクリルエマルジョン系接着剤((株)スミノエ製、S200
),厚さ1〜2mm。
床表面材9:3.5m×3.5mで厚さ6.5mmのカーペット
既存床1の表面に、接着層8により基材7と床表面材9を接合した置き敷き型床表装材10を配置し、実施例1と同様に荷重耐久性を確認した。その結果、カーペットと基材の間ではく離を生じることなく、耐久性、安定性の優れたカーペット床を形成することができたことが確認された。
また、この置き敷き型床表装材について、前述の方法で測定した積層方向平均接着力(平均はく離力)((1)測定方法)は20〜30Nであった。このため、床表面材と基材とが、十分な接着力で一体化され、床表面材が基材上で横方向にずれることはなかった。
以上より、カーペットのような可撓性床表面材を用いる場合、薄い基材、好ましくは可撓性を有する基材を用い、床表面材と基材とが十分な強度で一体化していると、床表面材と基材の間ではく離を生じることなく、耐久性、安定性の優れた床表装材が得られることが分かった。
実施例10
下記の各部材を用いて図3に示す床構造を既存床1の上に施工した。
基材7:0.2mm厚さのPETシート
接着層8:防音床用接着剤(三菱化学産資、HG−10),厚さ1〜2mm。
床表面材9:3.5m×3.5mで厚さ9mmの防音床材(大建工業製)
既存床1の表面に、接着層8により基材7と床表面材9を接合した置き敷き型床表装材10を配置した。防音床の標準施工方法では、合板又はコンクリート下地に接着剤で防音床材を施工する。本実施例においては、下地が基材7のようなPETシートであっても問題なく防音床材を施工できることが確認された。
以上より、本発明によれば、防音床材のような可撓性床表面材を用いる場合においても、有効な置き敷き型表層材を得ることができることが分かった。
以上の結果から、積層方向平均接着力、更には平均最大たわみ量や耐曲げ破壊性を十分に確保した本発明の置き敷き型床表装材によれば、耐久性、安定性に優れる床構造が提供されることが分かる。
実施例1〜4及び比較例1で作製した床構造を示す断面図である。 実施例8−1〜6で作製した床構造を示す断面図である。 実施例9、10で作製した床構造を示す断面図である。 実施例8−1〜6において、JIS K7113(1995)に基づいて測定した破壊伸び率と破壊強度の関係を示すグラフである。
符号の説明
1 既存床
2 弾性体
3 床暖房パネル
4 ダミー板
5 高比重シート
6 仕切材
7 基材
8 接着層
9 床表面材
10 置き敷き型床表装材
11 目地材

Claims (8)

  1. 建造物の既存床面或いは床下地上に載置される置き敷き型床表装材であって、厚さ3mm以下の基材と、この基材上に接合された床表面材とを有し、
    該基材と床表面材とが、下記(1)の方法で測定した平均はく離力又は下記(2)の方法で測定した平均割裂接着強さが0.5N以上となるように接合されていることを特徴とする置き敷き型床表装材。
    (1) 下記(2)以外の場合において、JIS K6854−1(1999年版)に規定された「はく離接着強さ試験(90度はく離)」に準拠して以下の方法で90度はく離力を測定する。
    5cm角の床表面材よりなる試験片1と幅25mmで長さ10cmの帯状の基材よりなる試験片2とを用い、試験片1の表面(基材との接合面)中央に、試験片2の長さ5cm分を実際の床表装材と同様に接合して試験体を作製する。この試験体を、試験片1を下にして置き、試験片2の非接合部を引っ張り代として引っ張り上げ、90度はく離したときのはく離力の平均値を求める。
    (2) 基材も床表面材も共に剛性である場合において、JIS K6853(1994年版)に規定された曲げ試験方法に準拠して、床表面材と基材とを実際の床表装材と同様に接合して、JIS K6853(1994年版)で定められた試験体に加工し、割裂接着強さを測定してその平均値を求める。
  2. 請求項1に記載の置き敷き型床表装材において、端面を互いに突き合わせて設置された複数枚の床表面材を有し、該床表面材同士の該突合せ端面における、該床表面材同士の間の隙間を埋める目地材の強度および伸びが以下の(3)及び(4)の条件のいずれかを満足していることを特徴とする置き敷き型床表装材。
    (3) JIS A1408(2001年版)に規定された曲げ試験に準拠して、5cm角で4mm厚みの床表面材を3.5mmの間隔をあけ、基材上に実際の置き敷き型床表装材と同様に接合した試験体を作製し、この試験体の基材を上にして、棒状の荷重を目地上にかけ、破壊させたときのスパン中央部の最大たわみ量の平均値が1mm以上。
    (4) JIS K7113(1995)に基づいて測定した破壊強度Y(N/mm)と破壊伸び率X(%)の関係がY≧2.5−0.025X。
  3. 請求項1又は2に記載の置き敷き型床表装材において、前記基材が可撓性を有することを特徴とする置き敷き型床表装材。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の置き敷き型床表装材において、前記基材と前記床表面材とが、水と骨材とウレタン系樹脂を含有する混合物で形成された接着層により前記平均はく離力を満たすように接合されていることを特徴とする置き敷き型床表装材。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の置き敷き型床表装材において、前記基材と前記床表面材との接合面における前記基材の面積が1m以上であることを特徴とする置き敷き型床表装材。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の置き敷き型床表装材において、前記床表面材がタイル、防音床、及びカーペットからなる群より選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする置き敷き型床表装材。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項に記載の置き敷き型床表装材において、前記基材と前記床表面材とが施工現場で接合されることを特徴とする置き敷き型床表装材。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の置き敷き型床表装材が、建造物の既存床面、又は床下地上に、2mm以上の厚さの弾性体、或いは、該弾性体と該弾性体上に設けられた床暖房パネルを介して載置されてなることを特徴とする床構造。
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