JP4433571B2 - 湿気硬化型ポリウレタン組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は湿気硬化型ポリウレタン組成物に関し、詳しくはプライマーを用いなくともガラス、樹脂、金属等、特にアルミに対する接着性に優れており、さらに硬化性、耐発泡性も良好で、伸びもよい湿気硬化型ポリウレタン組成物を提供する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、各種のポリウレタン組成物がシーリング剤、接着剤等として広く利用されている。このようなポリウレタン組成物は、ポリオール系化合物とイソシアネート系化合物とからなる二液型と、空気中の湿気等によって硬化する一液型の組成物とが知られているが、近年、現場施工における組成物の混合調製が不要で取扱いが容易である等の点で、湿気硬化型ポリウレタン組成物の利用が拡大している。
湿気硬化型ポリウレタン組成物について、例えば、U.S.Pat.No.4,374,237には、ウレタンプレポリマーに2級アミノシランを反応させて1分子中2個以上のシラン基を持つプレポリマーを含むポリウレタンシーラントが、U.S.Pat.No.4,687,533にはアルコキシシランをペンダント基に持つウレタンプレポリマーを含むシーラントが記載されている。しかし、これらのポリウレタンシーラントは硬化が遅く、例えば、自動車用の窓ガラスを自動車のボディに接着させる用途には安全上問題がある。また、構造部材としての物性も不十分である。
【0003】
また、U.S.Pat.No.5,623,044には、2級アミノシランとイソホロンジイソシアネート3量体やヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット変成体、ポリフェニルポリメチレンイソシアネートといったポリイソシアネートとの反応物を含むポリウレタンシーラントが記載されている。しかし、これらの反応物を含むポリウレタンシーラントは初期接着性が十分ではないという問題がある。また上記変性体の添加量が多いためシーラントの物性に悪影響を与えるものと思われる。そのため、自動車用の窓ガラスをボディに接着させる用途にはシランカップリング剤を含むプライマーが必要である。
特開平9−32239号公報には、外壁材のタイル貼り化粧方法が開示され、その中に、3官能等のポリオールとポリイソシアネート化合物から得られるウレタンプレポリマーにアミノ系及びグリシジル系シランカップリング剤等を配合した湿気硬化型ウレタン系接着剤が記載されている。
【0004】
一方、湿気硬化型のポリウレタン組成物は、硬化反応の際にウレタンプレポリマー中の遊離イソシアネートと水分との反応によって炭酸ガスが発生し、発泡してしまうという問題も有している。特に高温多湿の条件下においてはより発泡し易く、硬化段階で高温多湿下にさらされる用途、例えばシーリング材、自動車用シーラント等への使用では問題である。
かかる問題を解決し、プライマーを使わなくともガラス、金属、プラスチック及び塗装鋼板等への接着性に優れるポリウレタンシーラントの実現が望まれている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、プライマーを使用せずにガラスと、金属、プラスチック、塗装鋼板等の材料とを接着させる材料について鋭意検討したところ、特定構造のポリイソシアネート化合物と窒素原子に芳香環又はその誘導体が結合した2級アミノアルコキシシランとの付加反応物であるシラン化合物、及びリジン骨格を有するシラン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種と、モルフォリン構造を有する特定の3級アミン系触媒と、有機錫系化合物と、ウレタンプレポリマーとを含むポリウレタン組成物が、ガラスと、金属、プラスチック及び塗装鋼板等の材料のうち特にアルミとを接着させるノンプライマーポリウレタンシーラントとして好適であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0006】
すなわち本発明は、
(A)ウレタンプレポリマーと、
(B)キシレンジイソシアネート、1,3−あるいは1,4−ジ(イソシアネートメチル)シクロヘキサン及びそれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種と活性水素を3個以上有する化合物との反応物と、2級アミノアルコキシシランのうち窒素原子に直接芳香環又はその誘導体が結合した化合物とを付加させて得られるシラン化合物(B-1)、及び
イソシアネート基を2個又は3個有するリジンイソシアネートと、2級アミノアルコキシシランのうち窒素原子に直接芳香環又はその誘導体が結合した化合物とを付加させて得られるリジン骨格を有するシラン化合物(B-2)からなる群から選ばれる少なくとも1種のシラン化合物と、
(C)モルフォリン構造を有する3級アミン系触媒と、
(D)有機錫系化合物とを含み、
前記3級アミン系触媒(C)が、下記式(1):
【化3】
(式中、nは0又は1である)で表されるジモルフォリノジエチルエーテル化合物と下記式(2):
【化4】
で表されるN,N−ジメチルアミノエチルモルフォリンとを含み、
前記ウレタンプレポリマー(A)と前記シラン化合物(B)合計100重量部あたり、前記式(1)で表されるジモルフォリノジエチルエーテル化合物を0.08〜0.14重量部、及び前記式(2)で表されるN,N−ジメチルアミノエチルモルフォリンを0.05〜2重量部含む湿気硬化型ポリウレタン組成物を提供する。
【0010】
さらに前記有機錫系化合物(D)を0.002〜0.1重量部の配合の量比で含むことが好ましい。
さらに、本発明の湿気硬化型ポリウレタン組成物は上述の成分に加え、亜リン酸エステル化合物、亜ホスホン酸エステル化合物、亜ホスフィン酸エステル化合物もしくはホスフィン化合物又はこれらの混合物(E)を含むことが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の湿気硬化型ポリウレタン組成物(以下、本発明の組成物ともいう)について詳細に説明する。
本発明の組成物に配合されるウレタンプレポリマー(A)は、通常の一液型ポリウレタン組成物に使用されるものであればよく、ポリオール化合物と過剰のポリイソシアネート化合物(すなわち、OH基に対して過剰のNCO基)との反応生成物である。
【0012】
ウレタンプレポリマー(A)を生成するポリオール化合物としては、通常の一液型ポリウレタン組成物に使用されるものが使用可能である。例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、その他のポリオール及びこれらの混合ポリオール等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、4,4´−ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4´−ジヒドロキシフェニルメタン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールの1種又は2種以上に、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド等の1種又は2種以上を付加して得られるポリエーテルポリオール;ポリオキシテトラメチレンオキサイド;等が好適に例示される。具体例としては、ポリオキシプロピレングリコール(PPG)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリオキシプロピレントリオール等が挙げられる。
【0013】
ポリエステルポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、あるいはその他の低分子ポリオールの1種又は2種以上と、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸あるいはその他の低分子カルボン酸やオリゴマー酸の1種又は2種以上との縮合重合体;プロピオンラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン等の開環重合体等が好適に例示される。
【0014】
その他のポリオールとしては、ポリマーポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール、水素添加されたポリブタジエンポリオール、アクリルポリオール等や、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール等の低分子ポリオールも好適に例示される。
特に、本発明に用いるポリオールとしては、数平均分子量1000〜15000、特に1000〜10000のポリエーテルポリオールが好ましい。上述の範囲のポリエーテルポリオールは、ガラス転移温度、硬化後の組成物のシーラントとしての物性の点で好ましい。
【0015】
ウレタンプレポリマー(A)を生成するポリイソシアネート化合物としては、通常の一液型ポリウレタン組成物に使用されるものが使用可能である。具体的には、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4´−ジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート及びこれらの水素添加化合物;
エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;
イソホロンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート;
キシリレンジイソシアネート等のアリール脂肪族ポリイソシアネート及びこれらの水素添加化合物;等が好適に例示され、これらの1種あるいは2種以上の組み合わせとして使用される。
【0016】
本発明に用いるウレタンプレポリマー(A)は、上述のポリオール化合物と過剰のポリイソシアネート化合物とを反応させて製造することができる。ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との混合の量比は、ポリオール化合物中の水酸基1個あたりのポリイソシアネート化合物中のイソシアネート基の比(イソシアネート基/水酸基)として、1.2〜2.5、好ましくは1.5〜2.4である。この範囲であれば、ウレタンプレポリマーの粘度が適当となるので好ましい。
また、このウレタンプレポリマー(A)の製造は、通常のウレタンプレポリマーと同様の方法で行うことができ、例えば、上述の量比のポリオール化合物とポリイソシアネート化合物を、50〜100℃で加熱撹拌することによって行うことができる。また、必要に応じて、有機錫化合物、有機ビスマス、アミン等のウレタン化触媒を用いることもできる。
【0017】
このようにして得られるウレタンプレポリマー(A)は、イソシアネート基数が1分子あたり平均で2.0以上が好ましく、2.2以上がより好ましく、重量%の割合にすると0.4%以上が好ましく、0.5%以上であることがより好ましい。平均分子量は2000〜20000が好ましく、2000〜15000がより好ましい。この範囲であると、得られる本発明の組成物の粘度、接着性、硬化後のシーラントとしての特性(例えば、硬度、モジュラス)の観点から好ましい。
【0018】
本発明の組成物に配合されるシラン化合物(B)は、特定の2級アミノアルコキシシランと以下に示すような特定のポリイソシアネート類との付加反応物(付加体)を含む。すなわちシラン化合物(B)は、特定の2級アミノアルコキシシランと特定のポリイソシアネート化合物とを付加させて得られるシラン化合物(B-1) 、及び特定の2級アミノアルコキシシランとリジンポリイソシアネートとを付加させて得られるリジン骨格を有するシラン化合物(B-2) からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む。
【0019】
シラン化合物(付加体)製造時に、上記ポリイソシアネート化合物又はリジンポリイソシアネートと反応させる2級アミノアルコキシシランは、2級アミノ基とシリコンに結合した加水分解可能なアルコキシ基を含む化合物であって、特に被着体に対する接着性が優れるため、アミノ基の窒素原子に直接芳香環又はその誘導体が結合した化合物を用いる。例えば3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。また、市販品を使用することもでき、例えば日本ユニカー(株)製のY−9669(商品名)が挙げられる。
【0020】
シラン化合物(B-1) は、特定のジイソシアネートと活性水素を3個以上有する化合物との反応物であるポリイソシアネート化合物と上記2級アミノアルコキシシランとを反応させて得られる。
活性水素を3個以上有する化合物としては、数平均分子量が500以下が好ましく、400以下であることがより好ましい。このような活性水素を3個以上有する化合物としては、トリメチロールプロパン(TMP)、1,2,5−ヘキサントリオール、グリセリン、ペンタエリスリトールが好ましく例示され、これらのうちでもトリメチロールプロパンが特に好ましい。
【0021】
本発明に用いるジイソシアネートとしては、キシレンジイソシアネート(XDI)、1,3−あるいは1,4−ジ(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(水添XDI)、及びこれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種である。これらのジイソシアネート化合物は1種でも2種以上を併用することもできる。これらのジイソシアネートを用いることにより、本発明の組成物は特にアルミに対する接着性が優れる。
【0022】
上記ジイソシアネートと活性水素を3個以上有する化合物とを反応させる際のこれらの混合比は、ジイソシアネート1当量(NCO当量)あたり、活性水素を3個以上有する化合物0.4〜0.7当量(活性水素当量)、好ましくは0.5〜0.6当量である。
分子内に3個以上のイソシアネート基を持つポリイソシアネート化合物としては、ビウレット型、イソシアヌレート型等も知られているが、本発明においてシラン化合物(B-1) の製造に用いるのは、少ない添加量で接着性を発現しうる点、またアルミに対する接着性が高い点で上述のポリイソシアネート化合物とする。
【0023】
このようなポリオールとジイシソシアネートとの反応は、一般的なアルコール類とイソシアネート類との反応方法を利用して行えばよい。本発明では、付加反応物(ポリイソシアネート化合物)として、市販品を用いることもでき、例えば武田薬品工業社製のD−120N(NCO11.0%)、武田薬品工業社製のD−110N(NCO11.7%)などを用いることができる。ポリイソシアネート化合物は溶剤などを含んでいてもよい。
【0024】
上記2級アミノアルコキシシランとポリイソシアネート化合物とを反応させる際のこれらの混合の量比は、上記2級アミノアルコキシシラン1当量(NH当量)あたり、ポリイソシアネート化合物2.0〜6.0当量(NCO当量)、好ましくは2.4〜6.0当量である。混合の量比がこの範囲であると、得られる本発明の組成物の耐発泡性の観点から好ましい。
また粘度調節のために、必要に応じて適当な溶媒、例えばトルエン等を加えて反応を行ってもよい。
【0025】
上記反応では、ポリイソシアネート化合物と、2級アミノアルコキシシランとの付加体を主成分として含む反応液が得られる。本発明では、上記付加体を含む反応生成物、未反応物及び溶媒を含む反応液をそのままシラン化合物(B-1) として用いてもよい。この付加体は、下記式(4)で表されるシラン化合物の単一物又は混合物であることが好ましい。
【0026】
【化9】
【0027】
リジン骨格を有するシラン化合物(B-2) は、イソシアネート基を2個又は3個有するリジンイソシアネートと、上記2級アミノアルコキシシランとを付加させて得られる。
上記リジンイソシアネートは、具体的には下記式(5)で示される、
【0028】
【化10】
などが挙げられる。
リジンイソシアネートとして、上記リジンジイソシアネート又はリジントリイソシアネートを単独で用いてもよく、これらを併用してもよい。
【0029】
リジン骨格のシラン化合物(B-2) を調製する際には、上記2級アミノアルコキシシラン1当量(NH当量)あたり、リジントリイソシアネート又はリジンジイソシアネート(併用する場合は合計で)は、通常、2.0〜6.0当量(NCO当量)の割合で用いられる。この範囲であると本発明の組成物の耐発泡性の観点から好ましい。
【0030】
上記のようなシラン化合物(B-1) 及びリジン骨格のシラン化合物(B-2) のいずれのシラン化合物もイソシアネート基を平均して1.5個以上、好ましくは1.5〜2.5個と、シリコンに結合した加水分解可能なアルコキシ基を平均して1.5個以上、さらには1.5〜9.0個有することが好ましい。イソシアネート基数がこの範囲であると、得られる本発明の組成物の粘度、接着性、硬化性、耐発泡性の観点から好ましい。また、アルコキシ基がこの範囲であると、得られる本発明の組成物の接着性、硬化性の観点から好ましい。
【0031】
本発明では、シラン化合物(B)として、上記のようなシラン化合物(B-1) 及びリジン骨格のシラン化合物(B-2) からなる群より選ばれる少なくとも1種が用いられるが、本発明の組成物中、シラン化合物(B)の含有量は、前述のウレタンプレポリマー(A)100重量部あたり、通常0.07〜10重量部、好ましくは0.07〜9重量部である。この範囲であると本発明の組成物の硬化時の発泡性、硬化性の観点から好ましい。特にシラン化合物(B)の含有量が0.07〜6.5重量部であると、硬化物の伸びを損なうことなくガラス又はアルミに対し良好な接着性を確保することができるのでより好ましい。
【0032】
本発明の組成物に配合される3級アミン系触媒(C)はモルフォリン構造を有する。本発明の3級アミン系触媒としては、上記の構造を分子内に少なくとも2個以上有する化合物が好ましく、例えば、モルフォリン構造を分子内に2個有する化合物(C-1)、モルフォリン及びジメチルアミノ基構造を分子内にそれぞれ1個ずつ有する化合物(C-2)が挙げられる。
【0033】
モルフォリン構造を分子内に2個有する化合物(C-1)としては、例えば、上記式(1)で表されるジモルフォリノジエチルエーテル化合物が挙げられ、かかる化合物は例えば特公平5−75035号公報や特公平7−8982号公報などに開示される通り公知である。上記式(1)において、nは0又は1であるが、nが0であると単位重量あたりの触媒活性が高く、nが1であると低温硬化性に優れる。
また、モルフォリン及びジメチルアミノ基構造を分子内にそれぞれ1個ずつ有する化合物(C-2)としては、例えば、上記式(2)で表されるN,N−ジメチルアミノエチルモルフォリンが挙げられ、この化合物も公知であり市販のものを使用できる。
【0034】
本発明においては、上記化合物(C-1)と化合物(C-2)とを組合せて用いる。
化合物(C-1)と化合物(C-2)とを組合せて用いる場合には、上記(A)成分と(B)成分合計100重量部あたり、化合物(C-1)を0.08〜0.14重量部、化合物(C-2)を0.05〜2重量部、より好ましくは0.05〜1重量部の量比で含むのが好ましい。化合物(C-1)の配合量が0.05重量部未満では硬化性が十分でなく、逆に0.15重量部を超えると硬化環境が変化した時、特に高温高湿下で硬化させた時にプライマー又は各種被着体/シーラント間で界面剥離を生じるおそれがあるので好ましくない。また、発泡性の観点からも好ましくない。一方、後者の配合量が0.05重量部未満であると硬化時間がかかり、逆に、2重量部を超えると貯蔵安定性が悪く、シーラント塗布後の形状維持性が悪くなるため好ましくない。
【0036】
本発明に用いる有機錫系化合物(D)としては、例えば、オクタン第一錫、オレイン酸第一錫、酢酸第一錫及びラウリン酸第一錫などのカルボン酸の錫塩類、又はジオクチル錫ジラウレート(DOTL)、ジブチル錫ジラウレート(DBTL)、及びジブチル錫ジアセテートなどのジアルキル錫ジカルボキシレート類が挙げられる。これらは1種でも2種以上を組み合せて用いることもできるが、これらの中でも、ジオクチル錫ジラウレート(DOTL)、ジブチル錫ジラウレート(DBTL)が好ましい。
上記有機錫系化合物は上記(A)成分と(B)成分合計100重量部あたり0.002〜0.1重量部配合するのが好ましい。0.002未満では、プライマーを使用しなければ接着性が悪く、0.1を超えると熱劣化速度が速くなり好ましくない。
【0037】
本発明の組成物は、亜リン酸エステル化合物、亜ホスホン酸エステル化合物、亜ホスフィン酸エステル化合物もしくはホスフィン酸化合物又はこれらの混合物(E)を含むことにより貯蔵安定性を保持できる。
本発明に用いることができる亜リン酸エステル化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリエチルホスファイト、トリイソプロピルホスファイト、トリイソブチルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリイソデシルホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルモノ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、ジラウリルハイドロジェンホスファイト、ジオレイルハイドロジェンホスファイト、ジフェニルハイドロジェンホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、テトラフェニルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、ビス(トリデシル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリシクロヘキシルホスファイト、ジシクロヘキシル−2, 4−ジ−t−ブチルフェニルホスファイト、水添ビスフェノールA−ぺ他エリスリトールホスファイトポリマー、水添ビスフェノールAホスファイトポリマーなどを挙げることができる。
【0038】
本発明に用いることができるホスフィン化合物としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリオルトトリルホスフィン、トリメタトリルホスフィン、トリパラトリルホスフィン、トリス−4−メトキシフェニルホスフィン、ジフェニルシクロヘキシルホスフィン、ジシクロヘキシルフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリブチルホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、トリベンジルホスフィンなどを挙げることができる。
【0039】
亜ホスホン酸エステル化合物としては、フェニル亜ホスホン酸ジエチル、2−フェニル−1,3,2−ジオキサホスホランなどが挙げられる。また、亜ホスフィン酸エステル化合物としては、ジフェニル亜ホスフィン酸エチル、ジフェニル亜ホスフィン酸ブチルなどを挙げることができる。これらは単独でも2種以上を組合せて用いることもでき、本発明ではこれらのうちでも、特に亜リン酸エステル化合物又はホスフィン化合物が好ましい。
上記(E)成分の配合の量比は、上記(A)成分と(B)成分合計100重量部あたり0.001〜30重量部が好ましく、さらには0.01〜3重量部を配合するのが好ましい。
特に、(C)成分として化合物(C-3) を用いる場合には、上記(E)成分は0.05〜5重量部、好ましくは0.01〜3重量部を配合すると本発明の組成物が貯蔵安定性に優れる。
【0040】
本発明に係る湿気硬化型ポリウレタン組成物は、上述のような必須成分に加えて、さらに、
(F) 一般式 (Ra O)t Rb 3-t Si ─Rc (6)
(式中、Ra Oは、加水分解可能なアルコキシ基であり、Rb は炭素数1〜3のアルキル基であり、Rc はヘテロ原子を含んでいてもよいアルケニル基含有有機基、tは1、2又は3である。)で示されるシラン化合物を含有していてもよい。
【0041】
上記Ra Oで示される加水分解可能なアルコキシ基は、通常、炭素数1、2又は3のアルコキシ基であり、好ましくはメトキシ基又はエトキシ基である。Rb は、好ましくはメチル基又はエチル基である。
【0042】
上記Rc 基に含まれていてもよいヘテロ原子としては、酸素、窒素、イオウなどが挙げられる。このようなヘテロ原子を含んでいてもよいアルケニル基含有有機基Rc としては、具体的に、−CH=CH2 (ビニル基)、−(CH2 )4 −CH=CH2 、−(CH2 )8 −CH=CH2 、−Ph−CH=CH2 (ここでPhはフェニル基)、−(CH2 )3 −O−CH=CH2 、−(CH2 )10−COO−CH=CH2 、−(CH2 )3 −OCO−CH=CH2 、−(CH2 )3 −OCO−C(CH3 )=CH2 (メタクリロキシプロピル基)、又は−(CH2 )3 −O−(CH2 )2 −OCO−C(CH3 )=CH2 などが挙げられる。
【0043】
Rc 基としては、これらのうちでも特にビニル基、メタクリロキシプロピル基などが好ましい。
上記のような一般式(6)で示されるアルケニル基含有シラン化合物(F)としては、具体的にビニルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどが挙げられ、これらが好ましく用いられる。
【0044】
本発明に係る湿気硬化型ポリウレタン組成物は、上記のようなアルケニル基含有シラン化合物(F)を前記ウレタンプレポリマー(A)100重量部に対し、0.05〜10重量部、好ましくは0.05〜7重量部の量で含有していてもよい。
【0045】
前記ウレタンプレポリマー(A)と、NCO基とアルコキシ基とを両具するシラン化合物(B)とに、上記のようなアルケニル基含有シラン化合物(F)を加えると、湿気硬化型ポリウレタン組成物のモジュラスコントロールが容易になり、伸び(Eb)を確保しやすくなる。したがって弾性(柔軟性)を向上させることができる。またこの成分(F)の添加によってポリウレタン組成物の優れた接着性を損なうことはない。
【0046】
本発明の組成物には、上述の各成分に加え、所望の物性を付与するために、その他の添加剤、例えば、カーボンブラック、クレー、タルク、炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、無水珪酸等の充填剤;ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、テトラヒドロフタル酸、アゼライン酸、マレイン酸等の可塑剤;トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン等の溶剤;ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ラウレート、オクチル酸錫、オクチル酸鉛、3級アミン等の硬化促進剤等、エポキシシラン又は1分子中にイソシアネートを1個だけもつイソシアネートシランなどを配合してもよい。
【0047】
本発明の組成物の製造方法は、特に限定されず、通常の一液型ポリウレタン組成物と同様に行えばよいが、製造は化合物中の含水率が低い状態で、更には無水状態で行うのが好ましい。製造系内の水分により製造時の粘度が高くなり、さらに化合物(B)が加水分解を起こし、得られる本発明の組成物の接着性が損なわれるからである。製造方法としては、例えば、ウレタンプレポリマー(A)、シラン化合物(B)、3級アミン系触媒(C)、有機錫系化合物(D)、必要に応じて、亜リン酸エステル化合物、亜ホスホン酸エステル化合物、亜ホスフィン酸エステル化合物もしくはホスフィン化合物又はこれらの混合物(E)、その他の添加剤を、無水状態で十分に混練し、均一に分散させることによって製造することができる。
【0048】
このようにして得られる本発明の組成物は、貯蔵安定性を低下させることなく良好な硬化性を示し、プライマーを用いずとも特にガラスやアルミ板に対する接着性が優れ、発泡性の抑制に優れる。これらの特性は、特定の組合せの3級アミン系触媒及び有機錫系化合物を特定量使用することにより、さらに使用状況に適した貯蔵安定性、硬化性を確保できる。従って、このような特性を有する本発明の組成物は、ガラスやアルミ板のシーラントとして好適に用いることができる。
【0049】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明の組成物をより具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<ウレタンプレポリマーの合成>
ポリオキシプロピレンジオール(平均分子量2000)500g、ポリオキシプロピレントリオール(平均分子量5000)750g、及び4,4´−ジイソシアネートフェニルメタン(分子量250)214gを混合し(この時のNCO/OH=1.8)、さらにフタル酸ジオクチル1460gを加えて、N2 気流中、80℃で撹拌、反応させて、イソシアネート基を1.1%含有するウレタンプレポリマーを合成した。
【0050】
<シラン化合物の合成>
<付加体1>
トリメチロールプロパンのXDI3モル付加体(D−110N、武田薬品工業社製、NCO11.7%)150gとトルエン81gとを4口フラスコに入れ、N2 気流中で撹拌しながら、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン(Y−9669、日本ユニカー社製)18gを滴下して、イソシアネート基を5.9%含有する付加体1(付加体濃度52.4%)を得た。
【0051】
<付加体2>
トリメチロールプロパンの水添XDI(HXDI)3モル付加体(D−120N、武田薬品工業社製、NCO11.0%)150gとトルエン106gとを、4口フラスコに入れ、N2 気流中で撹拌しながら、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン(Y−9669)33gを滴下して、イソシアネート基を3.8%含有する付加体2(付加体濃度50.3%)を得た。
【0052】
<付加体3>
トリメチロールプロパンのHDI3モル付加体(コロネートHL、日本ポリウレタン社製、NCO12.8%)336gとトルエン168gとを4口フラスコに入れ、N2 気流中で撹拌しながら、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン(Y−9669)87gを滴下して、イソシアネート基を4.9%含有する付加体3(付加体濃度57.4%)を得た。
【0053】
<付加体4>
トリメチロールプロパンのHDI3モル付加体(コロネートHL)168gとトルエン142gとを4口フラスコに入れ、N2 気流中で撹拌しながら、N,N−ビス〔(3−トリメトキシシリル)プロピル〕アミン(A−1170、日本ユニカー社製)58.2gを滴下して、イソシアネート基を3.9%含有する付加体4(付加体濃度50.0%)を得た。
【0054】
<付加体5>
トリメチロールプロパンの水添XDI3モル付加体(D−120N)150gとトルエン117gとを4口フラスコに入れ、N2 気流中で撹拌しながら、43.8gのN,N−ビス〔(3−トリメトキシシリル)プロピル〕アミン(A−1170)を滴下して、イソシアネート基を3.5%含有する付加体5(付加体濃度50.3%)を得た。
【0055】
<付加体6>
トリメチロールプロパンのXDI3モル付加体(D−110N)150gとトルエン93gとを4口フラスコに入れ、N2 気流中で撹拌しながら、47.5gのN,N−ビス〔(3−トリメトキシシリル)プロピル〕アミン(A−1170)を滴下して、イソシアネート基を4.0%含有する付加体6(付加体濃度55.1%)を得た。
【0056】
<付加体7>
トリメチロールプロパンのHDI3モル付加体(コロネートHL)336gとトルエン168gとを4口フラスコに入れ、N2 気流中で撹拌しながら、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン(Y−9669)174gを滴下して、イソシアネート基を2.1%含有する付加体7(付加体濃度62.8%)を得た。
【0057】
<付加体8>
リジントリイソシアネート(協和発酵工業社製、NCO47.1%)100gを4口フラスコに入れ、N2 気流中で撹拌しながら、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン(Y−9669)95.32gを滴下して、イソシアネート基を16.1%含有する付加体8を得た。
【0058】
<付加体9>
リジンジイソシアネート(協和発酵工業社製、NCO39.6%)100gを4口フラスコに入れ、N2 気流中で撹拌しながら、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン(Y−9669)120.21gを滴下して、イソシアネート基を18.5%含有する付加体9を得た。
【0059】
<付加体10>
上記リジントリイソシアネート(協和発酵工業社製、NCO47.1%)100gを4口フラスコに入れ、N2 気流中で撹拌しながら、N,N−ビス〔(3−トリメトキシシリル)プロピル〕アミン(A−1170)127.47gを滴下して、イソシアネート基を13.8%含有する付加体10を得た。
【0060】
<付加体11:ビウレット付加体>
HDIビウレット体(住友バイエルウレタン社製スミジュールN−75(Mobay's DesmodurN−100の75%酢酸エチル溶液)、NCO17.49%)126.8gとトルエン45gとを4口フラスコに入れ、N2 気流中で撹拌しながら、N,N−ビス〔(3−トリメトキシシリル)プロピル〕アミン(A−1170)90gを滴下して、イソシアネート基を5.6%含有する付加体11(付加体濃度70.7%)を得た。
【0061】
<付加体12:イソシアヌレート付加体>
HDIイソシアヌレート体(住友バイエルウレタン社製スミジュールN−3500(=Mobay's DesmodurN−3300)、NCO23.23%)95.6gとトルエン45gとを4口フラスコに入れ、N2 気流中で撹拌しながら、N,N−ビス〔(3−トリメトキシシリル)プロピル〕アミン(A−1170)90gを滴下して、イソシアネート基を6.4%含有する付加体12(付加体濃度80.5%)を得た。
【0062】
表1に、NCO/NH比、NCO%及び各付加体のNCO基の平均個数、アルコキシ基の平均個数を示す。
【0063】
【表1】
【0064】
得られた付加体1〜12を用いてポリウレタン組成物を調製し、物性を比較した。
(参考例1〜4)
上述のようにして得られたウレタンプレポリマー、付加体1又は2、3級アミン系触媒として、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル(BL−19、三共エアプロダクツ社製)、ジオクチル錫ジラウレート、トリフェニルホスフィン、及び十分に乾燥させたカーボンブラックを表2に示す組成で配合し、無水状態で混合し、ポリウレタン組成物を得た。
(比較例1〜14)
付加体1又は2に代えて、付加体3、4、5、6、7又は3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン(Y−9669)を表2に示す組成で用いること以外には参考例1〜4と同様にしてポリウレタン組成物を得た。
【0065】
(参考例5〜8)
付加体1又は2に代えて、付加体8又は9を表2に示す組成で用いること以外には参考1〜4と同様にしてポリウレタン組成物を得た。
(比較例15〜20)
付加体1又は2に代えて、付加体10、11又は12を表2に示す組成で用いること以外には参考例1〜4と同様にしてポリウレタン組成物を得た。
【0066】
【表2】
【0067】
【表3】
【0068】
【表4】
【0069】
得られたポリウレタン組成物について、硬化時間、接着性、耐発泡性、強度、伸び、貯蔵安定性を以下の方法で測定し評価した。
(1)硬化時間
得られたポリウレタン組成物について、20℃、65%RHの雰囲気下でのタックフリータイムを測定した。結果を表3に示す。
(2)接着性試験
ポリウレタン組成物を板ガラス、塗装鋼板及びアルミ板に3mm厚で塗布し試験体とした。試験体を20℃、65%RHの雰囲気下で3日間放置後、ナイフカットによる手剥離試験を行った。
さらに試験体を、60℃温水あるいは50%ウィンドウォッシャー液に10日間浸漬後、上記と同様の方法で手剥離試験を行った。表3中、○は組成物層が凝集破壊し、ガラスとの接着面での剥離はなかったことを示し、×は界面剥離部分が見られたことを示す。
【0070】
(3)耐発泡性試験
ポリウレタン組成物を板ガラス及び塗装鋼板に3mm厚で塗布し、20℃、65%RHの雰囲気下で3時間放置後、40℃温水に3日間浸漬して、組成物内部及び組成物とガラスとの界面での発泡を調べた。表3中、○は発泡試験後に組成物内及び組成物とガラスとの界面において発泡がなかったことを、×は発泡試験後に組成物内及び組成物とガラスとの界面において発泡があったことを示す。
(4)強度(Tb)及び伸び(Eb)
ポリウレタン組成物を、20℃、65%RHの雰囲気下で7日間硬化させたものを、JIS K6251に準じて測定した。
(5)貯蔵安定性試験
ポリウレタン組成物をドラム缶に入れ、50℃で2週間保存した後、上述の接着性試験と同様にして20℃、65%RHの雰囲気下で3日間、あるいは50%ウィンドウォッシャー液中で10日間放置後に塗装鋼板及びアルミ板に対する接着性を評価した。
【0071】
【表5】
【0072】
【表6】
【0073】
【表7】
【0074】
イソシアネート成分にHDIを用いた付加体3を配合する比較例1〜4は対アルミ接着性、貯蔵安定性が得られない。また、イソシアネート成分にXDI又は水添XDIを用いても、芳香環をもたない2級アミノアルコキシシランと反応させた付加体5、6を用いる比較例8〜11では貯蔵安定性が保持できない。イソシアネート成分にリジン成分を用いる付加体10を使用する比較例15、16においても同様である。また、ビウレット体変性物あるいはイソシアヌレート体変性物を用いた組成物(比較例17〜20)と比較すると、本発明の組成物の接着性、貯蔵安定性が共に優れていることがわかる。
【0075】
続いて、アルケニル基含有シラン化合物(F)を配合した場合について、ポリウレタン組成物の物性を比較した。
(実施例9〜11)
付加体1、アルケニル基含有シラン化合物として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A−174)、3級アミン系触媒としてジモルフォリノジエチルエーテル(DMDEE、ハンツマン社製)及びN,N−ジメチルアミノエチルモルフォリン(X−DM、三共エアプロダクツ社製)、ジオクチル錫ジラウレート、トリフェニルホスフィン、及び十分に乾燥させたカーボンブラックを下記表4に示す組成で配合し、無水状態で混合し、ポリウレタン組成物を得た。
【0076】
(比較例21〜28)
付加体1に代えて付加体4を配合し、又は付加体を配合せずに、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A−174)、ビニルメトキシシラン(A−171)又はN,N−ビス〔(3−トリメトキシシリル)プロピル〕アミン(A−1170)を表4に示す量で配合したこと以外は実施例9〜11と同様にしてポリウレタン組成物を得た。
【0077】
【表8】
得られたポリウレタン組成物について、硬化時間、接着性、耐発泡性、強度、伸び、貯蔵安定性を参考例1〜4と同様にして評価した。結果を表5に示す。
【0078】
【表9】
実施例9〜11は、参考例1〜4で得られた物性を保持し、さらに伸びが良好となることがわかる。
【0079】
次に、用いる触媒の種類による物性への影響について比較した。
(参考例12、実施例13および参考例14)
上述のようにして得られたウレタンプレポリマー(98.5g)と付加体1(1.5g)とを混合した混合液に、ジモルフォリノジエチルエーテル(DMDEE)、N,N−ジメチルアミノエチルモルフォリン(X−DM)、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル(BL−19)、ジオクチル錫ジラウレート、トリフェニルホスフィンを表6の組成で配合し、無水状態で混合し、ポリウレタン組成物を得た。
【0080】
(比較例29〜39)
上述のようにして得られたウレタンプレポリマーと付加体1とを混合した混合液に、ジモルフォリノジエチルエーテル(DMDEE)、N,N−ジメチルアミノエチルモルフォリン(X−DM)、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル(BL−19)、又は1,8−ジアザビシクロウンデカン(DABCO DC−2、DABCO系とも記す)(エアープロダクツ アンド ケミカルズ(株)製)、ジオクチル錫ジラウレート、トリフェニルホスフィンを表6の組成で配合し、無水状態で混合し、ポリウレタン組成物を得た。
【0081】
得られたポリウレタン組成物について、ビード成形性、貯蔵安定性、硬化時間、促進硬化時の接着性、プライマー不使用時の接着性を以下の方法で試験した。
(6)ビード成形性試験
ポリウレタン組成物を20℃、65%RHの雰囲気下で、初期あるいは50℃で2週間放置後(老化後)に、図1に示すように、ポリウレタン組成物1の断面が底辺8mm、高さ12mmの直角三角形となり、底辺がアルミ板2と接着するように押出す。押出し後、直ちに該直角三角形の斜辺が下方向になるようアルミ板2を垂直に立て、押出し直後の直角三角形の頂点3と、30分間放置後の直角三角形の頂点4との移行距離を観察した。結果を表6に示す。表6中、○は頂点移行距離が0mmであった(全く移行しなかった)ことを、△は頂点移行距離が3mm未満であったことを、×は頂点移行距離が3mm以上であったことを示す。
【0082】
(7)粘度貯蔵安定性試験
ポリウレタン組成物の微少水分非存在下における貯蔵安定性を評価するため、ドラム缶中、50℃で2週間保存し、その粘度変化を観察した。表4中、○は(初期の粘度)±10%未満であることを、△は(初期の粘度)±10%以上であることを示す。
(8)配管硬化安定性試験
微少水分の存在下における貯蔵安定性を評価するため、ポリウレタン組成物をテフロンチューブに詰め、70℃のオーブンで1週間保存した後、これを切り裂いて硬化状態(硬化膜の厚さ)を観察した。表6中、○は硬化膜厚が0.5mm未満であることを、△は硬化膜厚が0.5以上1.0未満であることを、×は硬化膜厚が1.0mm以上であることを示す。
【0083】
(9)硬化時間
ポリウレタン組成物をドラム缶中、50℃で2週間放置後タックフリータイムを測定した。表6中、○は(老化前のタックフリータイム)±5分未満であることを、×は(老化前のタックフリータイム)±5分以上であることを示す。
(10)促進硬化時の接着性試験
イソシアネート系プライマー(MS−90、横浜ゴム社製)を5μm厚で塗布したガラス板に、組成物を3mm厚で塗布し、20℃、65%RHの雰囲気下で3時間放置後、40℃温水に3日間浸漬した試験体についてナイフカットによる手剥離試験を行った。表6中、CFは組成物層が凝集破壊したことを、PSは組成物層とプライマー層との界面が剥離したことを示す。
(11)プライマー不使用時の接着性試験
ポリウレタン組成物を3mm厚で塗装鋼板に塗布し、20℃、65%RHの雰囲気下で3時間放置後、ナイフカットによる手剥離試験を行った。表中、CFは組成物層が凝集破壊したことを、AFは塗装鋼板と組成物層との界面が剥離したことを示す。
【0084】
【表10】
【0085】
3級アミン系触媒にX−DMの1種のみを配合する比較例29〜31は成形性、硬化性が特に悪く、DMDEEの1種のみを配合する比較例34,35は接着性が悪い。また、これら2種を併用しても特定の配合量比でないと所望の接着性は得られないことがわかる。一方、BL−19の1種のみを配合する場合は、トリフェニルホスフィンを併用することにより硬化性が向上する。さらに、これらはいずれもジオクチル錫ラウレートを併用しなければプライマーを使用しない場合に所望の接着性が得られないことがわかる。また、本発明の3級アミン系触媒に含まれないDABCO系触媒と比較すると、本発明の組成物が優れていることがわかる。
【0086】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の湿気硬化型ポリウレタン組成物は、プライマーを用いずともガラス、金属、プラスチック及び塗装鋼板等との接着性、特にガラスとアルミとの接着性に優れ、さらに硬化性、貯蔵安定性にも優れている。また本発明の湿気硬化型ポリウレタン組成物は、このような特性を保持したまま伸びを良くすることも容易である。
従って、本発明の組成物は自動車用シーリング材、建築用コーティング材、シーリング材として非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例及び比較例のビード成形性試験において、アルミ板に押出し後初期状態のポリウレタン組成物の断面図である。
【符号の説明】
1 ポリウレタン組成物
2 アルミ板
3 頂点
Claims (3)
- (A)ウレタンプレポリマーと、
(B)キシレンジイソシアネート、1,3−あるいは1,4−ジ(イソシアネートメチル)シクロヘキサン及びそれらの誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種と活性水素を3個以上有する化合物との反応物と、2級アミノアルコキシシランのうち窒素原子に直接芳香環又はその誘導体が結合した化合物とを付加させて得られるシラン化合物(B-1)、及び
イソシアネート基を2個又は3個有するリジンイソシアネートと、2級アミノアルコキシシランのうち窒素原子に直接芳香環又はその誘導体が結合した化合物とを付加させて得られるリジン骨格を有するシラン化合物(B-2)からなる群から選ばれる少なくとも1種のシラン化合物と、
(C)モルフォリン構造を有する3級アミン系触媒と、
(D)有機錫系化合物とを含み、
前記3級アミン系触媒(C)が、下記式(1):
前記ウレタンプレポリマー(A)と前記シラン化合物(B)合計100重量部あたり、前記式(1)で表されるジモルフォリノジエチルエーテル化合物を0.08〜0.14重量部、及び前記式(2)で表されるN,N−ジメチルアミノエチルモルフォリンを0.05〜2重量部含む湿気硬化型ポリウレタン組成物。 - 前記錫系化合物(D)を0.002〜0.1重量部含む請求項1に記載の湿気硬化型ポリウレタン組成物。
- さらに、(E)亜リン酸エステル化合物、亜ホスホン酸エステル化合物、亜ホスフィン酸エステル化合物もしくはホスフィン化合物又はこれらの混合物を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の湿気硬化型ポリウレタン組成物。
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