JP2002282745A - 水分硬化性一液型塗料の塗布方法及びその塗布装置 - Google Patents

水分硬化性一液型塗料の塗布方法及びその塗布装置

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JP2002282745A JP2001091588A JP2001091588A JP2002282745A JP 2002282745 A JP2002282745 A JP 2002282745A JP 2001091588 A JP2001091588 A JP 2001091588A JP 2001091588 A JP2001091588 A JP 2001091588A JP 2002282745 A JP2002282745 A JP 2002282745A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水分硬化性一液型塗料を使用して、冬場でも
硬化速度が速く、得られる塗膜に発泡がなく、その外観
や物性の良好な塗布方法、及びそれに使用する装置を提
供する。また、塗布の際に水分硬化性一液型塗料が周囲
に飛散せず、環境を汚染しない塗布方法及び装置を提供
する。 【解決手段】 被塗物に向って水分硬化性一液型塗料を
噴出させると同時に、水分硬化性一液型塗料の噴出流を
周囲から規制するように被塗物に向って水又は硬化触媒
水溶液を噴霧させる塗布方法、及びその塗布装置であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に厚塗り弾性塗
膜の形成に適した水分硬化性一液型塗料の塗布方法及び
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】水分硬化型のポリウレタン樹脂組成物や
架橋性シリル基含有樹脂組成物からなる水分硬化性一液
型塗料は、硬化物がゴム弾性に優れているため、建築
物、鉄道車両など構造物の屋根や、屋上、壁などの防水
用弾性塗料として、また屋内、屋外の弾性塗り床材や弾
性舗装材として使用されている。これらを施工する方法
として、従来、コテ塗りが一般的に行われているが、最
近は作業能率向上のため、噴霧機を用いて塗布する方法
も行われている。水分硬化型厚塗り塗料組成物のみを噴
霧機を使用して、建築物の屋上や屋内の床に噴霧塗布し
た場合は、塗膜の硬化が大気中の湿気(水分)に触れる
表面から硬化してゆくため、特に冬場の内部硬化が遅く
なり、翌日には塗膜の上を歩けるようにという要求には
応えられない。その解決策として、特開平03−561
79号公報には、スプレーガンの一方のノズル出口から
塗料本体を噴霧し、同時に別のノズル出口から硬化促進
触媒又は硬化剤としてアミンなどの活性水素含有化合物
を噴霧し混合して吹き付ける方法が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来公知の方法では塗料の硬化時間は早くなるが、塗料、
硬化促進触媒及び活性水素含有化合物が周囲に飛散して
環境を汚染する。また、前記方法は塗料と硬化促進触媒
及び活性水素含有化合物とを大気中で混合するため、塗
料が空気を多く含み、塗膜には発泡が多く生成して外観
が悪くなり、また、切断時強度、伸びなどの物性も悪く
なる。特に厚塗り塗布の場合、これらは大きな欠点とな
る。更に、ポリウレタン樹脂組成物については活性水素
含有化合物としてポリオールやポリアミンなどを使用し
た場合、硬化剤を多く混入した箇所は硬化不良をおこ
し、必要な物性が発現しないという不具合が生じる。
【0004】本発明の目的は、水分硬化性一液型塗料を
使用して、冬場でも硬化速度が速く、得られる塗膜に発
泡がなく、その外観や物性の良好な塗布方法、及びそれ
に使用する装置を提供することである。本発明の他の目
的は、塗布の際に水分硬化性一液型塗料が周囲に飛散せ
ず、環境を汚染しない塗布方法及び装置を提供すること
である。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明は、被塗物に向って水分硬化性一液型塗料を
噴出させると同時に、水分硬化性一液型塗料の噴出流を
周囲から規制するように被塗物に向って硬化触媒を含ん
でいてもよい水を噴霧させること、を特徴とする水分硬
化性一液型塗料の塗布方法である。
【0006】また本発明は、水又は硬化触媒水溶液を含
有する加圧空気を噴霧機に供給する装置と、水分硬化性
一液型塗料を噴霧機に供給する装置と、水又は硬化触媒
水溶液を含有する加圧空気のための第1の通路と水分硬
化性一液型塗料のための第2の通路を備えた噴霧機とか
らなる水分硬化性一液型塗料の塗布装置であって、前記
噴霧機に、前記第1の通路の出口を前記第2の通路の出
口に近接して周囲に設けると共に、前記第1の通路と前
記第2の通路の解放又は閉鎖を同時に行わせるハンドル
を設けて、被塗物に向って水分硬化性一液型塗料を噴出
させると同時に水分硬化性一液型塗料の噴出流を周囲か
ら規制するように水又は硬化触媒水溶液を噴霧させるよ
うに構成したこと、を特徴とする水分硬化性一液型塗料
の塗布装置である。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳しく説明する。
本発明における水分硬化性一液型塗料における硬化成分
(水分硬化性一液型樹脂)としては、具体的には、イソ
シアネート基含有プレポリマー又は架橋性シリル基含有
樹脂を好適に例示することができる。
【0008】イソシアネート基含有プレポリマーは、有
機ポリイソシアネートと活性水素化合物とを活性水素
(基)に対してイソシアネート基過剰、好ましくはイソ
シアネート基/活性水素(基)(当量比)が1.2〜
4.0、更には1.3〜3.0、特に1.3〜2.0と
なるような割合で反応させて得られるものが好ましい。
【0009】有機ポリイソシアネートとしては、具体的
には例えば、フェニレンジイソシアネート、ジフェニル
ジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフ
ェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジ
イソシアネート(TDI)、ジフェニルエーテルジイソ
シアネートなどの芳香族ジイソシアネート、キシリレン
ジイソシアネートなどの芳香脂肪族ジイソシアネート、
ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイ
ソシアネート、プロピレンジイソシアネート、ブチレン
ジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート、シク
ロヘキサンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘ
キシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート
などの脂環族ジイソシアネート、およびこれらジイソシ
アネートのカルボジイミド変性体、ビウレット変性体、
アロファネート変性体、二量体、三量体、または、ポリ
メチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードM
DI、ポリメリックMDI)などが挙げられる。これら
のうち、芳香族ジイソシアネートが好ましく、MDIと
TDIが更に好ましい。
【0010】活性水素化合物としては、ポリオール、ア
ミノアルコール、ポリアミンなどが挙げられる。これら
の化合物のうち、高分子のポリオールが好適である。
【0011】高分子のポリオールとしては、ポリエステ
ルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリエ
ーテルポリオール、ポリエーテル・エステルポリオー
ル、ポリカーボネートポリオール、炭化水素系ポリオー
ル等が挙げられ、数平均分子量500以上のものであ
る。このうち、ポリエーテルポリオールが特に好まし
い。ポリエステルポリオール、ポリエステルアミドポリ
オールとしては、例えば、公知のコハク酸、アジピン
酸、テレフタル酸等のジカルボン酸、それらの酸エステ
ル、酸無水物等と、エチレングリコール、プロパンジオ
ール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジ
オール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロ
パン、グリセリン、クオドロールあるいはビスフェノー
ルAのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付
加物等の低分子ポリオール、あるいはエチレンジアミ
ン、ジエチレントリアミン等の低分子ポリアミン、モノ
エタノールアミン等のアミノアルコール等の単独、又は
これらの混合物との脱水縮合反応で得られる化合物が挙
げられる。さらに、ε−カプロラクトン等の環状エステ
ル(すなわちラクトン)モノマーの開裂重合により得ら
れるラクトン系ポリエステルポリオール等が挙げられ
る。ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリオ
キシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオ
ール等が挙げられる。ポリエーテル・エステルポリオー
ルとしては、例えば、前記のポリエーテルポリオールと
前記のジカルボン酸、酸無水物等とから製造される化合
物が挙げられる。ポリカーボネートポリオールとして
は、例えば、前記のポリエステルポリオールの製造に用
いる低分子ポリオールとジエチルカーボネート、ジフェ
ニルカーボネート等との反応から得られる化合物が挙げ
られる。ポリオールとしては更に、前記ポリエステルポ
リオールの製造原料として挙げた数平均分子量500未
満の低分子ポリオールが挙げられる。
【0012】ポリアミンとしては、ポリプロピレングリ
コールの末端ジアミノ化物などの、数平均分子量500
以上でポリエーテルポリオールの末端がアミノ基となっ
たポリエーテルポリアミン等の高分子ポリアミンが挙げ
られる。ポリアミンとしては更に、エチレンジアミン、
ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジアミ
ノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン等の数平均
分子量500未満の低分子ポリアミンが挙げられる。
【0013】アミノアルコールとしては、モノエタノー
ルアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノー
ルアミン、N−メチルジプロパノールアミン、N−フェ
ニルジエタノールアミン等が挙げられる。
【0014】また、一般にポリウレタン工業において公
知の活性水素基を含有する、数平均分子量500以上
の、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂
等も挙げられる。
【0015】イソシアネート基含有プレポリマーのイソ
シアネート基(NCO)含量は、0.3〜35重量%で
あることが好ましく、更には0.3〜10重量%、特に
0.3〜5重量%であることが好ましい。
【0016】架橋性シリル基含有樹脂は、水(湿気)と
反応してシロキサン結合を形成することにより架橋して
ゴム状硬化物を形成する、分子内にシリル基を1個以上
含有する樹脂である。このような架橋性シリル基含有樹
脂としては、例えば、特開昭52−73998号公報、
特開昭55−9669号公報、特開昭59−12254
1号公報、特開昭60−6747号公報、特開昭61−
233043号公報、特開昭63−112642号公
報、特開平3−79627号公報、特開平4−2832
59号公報、特開平5−70531号公報、特開平5−
287186号公報、特開平11−80571号公報、
特開平11−116763号公報、特開平11−130
931号公報中に開示されているものを挙げることがで
きる。本発明における架橋性シリル基含有樹脂としては
具体的には、分子内に1個以上の架橋性シリル基を含有
する、主鎖がそれぞれオルガノシロキサンを含有してい
てもよい、ポリオキシアルキレン重合体、ビニル変性ポ
リオキシアルキレン重合体、ビニル系重合体、ポリエス
テル重合体、アクリル酸エステル重合体、メタアクリル
酸エステル重合体、これらの共重合体等が挙げられる。
架橋性シリル基は、塗膜の硬化性や硬化後の物性等の点
から、分子内に1〜5個含まれるのが好ましい。更に、
架橋性シリル基は、架橋しやすく製造しやすい次の一般
式で示されるものが好ましい。
【0017】
【化1】 (式中、Rは炭化水素基であり、炭素数1〜20のアル
キル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜2
0のアラルキル基が好ましく、メチル基が最も好まし
い。Xで示される反応性基はハロゲン原子、水素原子、
水酸基、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメー
ト基、アミド基、酸アミド基、メルカプト基、アルケニ
ルオキシ基及びアミノオキシ基より選ばれる基であり、
Xが複数の場合には、Xは同じ基であっても異なった基
であってもよい。このうちXはアルコキシ基が好まし
く、メトキシ基が最も好ましい。aは0、1又は2の整
数であり、1が最も好ましい。)
【0018】架橋性シリル基含有樹脂の主鎖は、硬化後
の引張接着性、モジュラス等の物性の点から、オルガノ
シロキサンを含有していてもよい、ポリオキシアルキレ
ン重合体及び/又はビニル変性ポリオキシアルキレン重
合体が好ましく、オルガノシロキサンを含有していても
よい、ポリオキシプロピレン重合体、アクリル変性ポリ
オキシプロピレン重合体、及び/又はメタクリル変性ポ
リオキシプロピレン重合体が更に好ましい。この分子内
に1個以上の架橋性シリル基を含有する、オルガノシロ
キサンを含有していてもよいビニル変性ポリオキシアル
キレン重合体は、分子内に1個以上の架橋性シリル基を
含有する、オルガノシロキサンを含有していてもよいポ
リオキシアルキレン重合体の存在下で、ラジカル重合開
始剤の添加あるいは紫外線照射などの通常のラジカル重
合方法により、1種又は2種以上のビニル系単量体を重
合させる等して得ることができる(特開昭59−782
23号公報、特公平2−42367号公報等参照)。
【0019】架橋性シリル基含有樹脂の数平均分子量は
1000以上、特に6000〜30000で分子量分布
の狭いものが、硬化前の粘度が低いので取り扱い易く、
硬化後の強度、伸び、モジュラス等の物性が好適であ
る。
【0020】本発明の水分硬化性一液型塗料には、硬化
触媒、酸化防止剤、カップリング剤、可塑剤、充填剤、
揺変剤、保存安定性改良剤(脱水剤)、着色剤などの添
加剤を併用することができる。これらのうち、硬化触媒
は、水分硬化性一液型樹脂の硬化速度を実用に合わせて
調節するため、本発明において水に混入して使用するの
が特に望ましい。酸化防止剤は、硬化塗膜の耐候性を改
善するため、本発明において併用するのが望ましく、カ
ップリング剤、可塑剤、充填剤、揺変剤及び/又は保存
安定性改良剤(脱水剤)は、接着性向上、ベースポリマ
ーの増量、補強、だれ防止等のために、本発明において
一般に併用することができる。
【0021】硬化触媒は水分硬化性一液型樹脂の硬化
(架橋)を促進させるための触媒であり、具体的には、
イソシアネート基含有プレポリマーや架橋性シリル基含
有樹脂などの水分による硬化(架橋)を促進させるため
の触媒である。このような触媒としては有機金属化合
物、アミン類等が挙げられるが、架橋速度にすぐれた有
機錫化合物が好ましい。この有機錫化合物は、具体的に
は例えば、スタナスオクトエート、ジブチル錫ジオクト
エート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテ
ート、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジブチル錫
オキサイド、ジブチル錫ジステアレート、ジオクチル錫
ジラウレート、ジオクチル錫ジバーサテートであるが、
このうち高い架橋速度、毒性及び輝発性の比較的低い液
体である点から、ジブチル錫ジアセチルアセトナートと
ジブチル錫ジラウレートが最も好ましい。
【0022】酸化防止剤は、硬化塗膜の酸化を防止し
て、耐候性を改善するために使用されるものであり、具
体的には、ヒンダードアミン系やヒンダードフェノール
系の酸化防止剤等が挙げられる。ヒンダードアミン系酸
化防止剤としては、例えば、[デカン二酸ビス(2,
2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4
−ピペリジル)エステル、ビス(1,2,2,6,6−
ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス
(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニ
ル]メチル]ブチルマロネート、ビス(1,2,2,
6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケ−ト、
1−[2−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]
−4−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,
6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキ
シ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンが挙げら
れる。ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例
えば、ペンタエリストール−テトラキス[3−(3,5
−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t
ert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート]、N,N′−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3
−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニルプロピオアミド]、ベンゼンプロパン酸3,5−
ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシC7
−C9側鎖アルキルエステル、2,4−ジメチル−6−
(1−メチルペンタデシル)フェノールが挙げられる。
【0023】カップリング剤としては、シラン系、アル
ミニウム系、ジルコアルミネート系などのものを挙げる
ことができ、このうちシラン系カップリング剤が接着性
に優れているので好ましい。このシラン系カップリング
剤としては、具体的には、N−(2−アミノエチル)3
−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−
アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチ
ルメトキシシランなどのアルコキシシリル基を含有する
分子量500以下、好ましくは400以下の低分子化合
物が挙げられる。
【0024】可塑剤としては、ジオクチルフタレート
(DOP)、ジブチルフタレート、ブチルベンジルフタ
レートなどのフタル酸エステル類が好ましく、そのほ
か、脂肪族二塩基酸エステル類、グリコールエステル
類、脂肪族エステル類、リン酸エステル類、エポキシ可
塑剤類、ポリエステル系可塑剤、ポリエーテル類、ポリ
スチレン類などが挙げられる。
【0025】充填剤としては、炭酸カルシウム、クレ
ー、タルク、スレート粉、マイカ、カオリン、ゼオライ
ト、珪藻土、有機、無機のバルーン等が挙げられ、粒径
1〜100μmのものが好ましく、このうち炭酸カルシ
ウムが更に好ましい。
【0026】揺変剤としては、コロイダルシリカ、石綿
粉等の無機揺変剤、有機ベントナイト、変性ポリエステ
ルポリオール、脂肪酸アマイド等の有機揺変剤が挙げら
れ、揺変剤兼充填剤として脂肪酸処理炭酸カルシウム等
が挙げられ、このうち脂肪酸処理炭酸カルシウムとコロ
イダルシリカが好ましい。
【0027】保存安定性改良剤としては、シーリング材
中に存在する水分と反応する、ビニルトリメトキシシラ
ンなどの低分子の架橋性シリル基含有化合物、パラトル
エンスルホニルイソシアネート、酸化カルシウムなどが
挙げられる。
【0028】着色剤としては、一般に塗料などの着色に
使用される酸化チタン、フタロシアニンブルー、カーボ
ンブラックなどが挙げられる。
【0029】本発明における水分硬化性一液型塗料に
は、必要に応じて、酢酸エチルなどのエステル系溶剤、
メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤、n−ヘキサン
などの脂肪族系溶剤、シクロヘキサンなどの脂環族系溶
剤、トルエンやキシレンなどの芳香族系溶剤など従来公
知の有機溶剤でイソシアネート基又は架橋性シリル基と
反応しないものであればどのようなものでも併用するこ
とができる。その種類と使用量は塗布装置の種類、作業
条件、被塗物の種類などに応じて適宜決定すれば良い。
【0030】これらの添加剤の配合量は、水分硬化性一
液型樹脂100重量部に対して0〜800重量部、特に
0〜400重量部の範囲が好ましい。添加剤のうち架橋
触媒は、架橋速度、硬化物の物性などの点から、水分硬
化性一液型樹脂100重量部に対して、0.1〜10重
量部、特に0.2〜5重量部使用するのが好ましい。酸
化防止剤は、硬化塗膜の耐候性の改善のためには、水分
硬化性一液型樹脂100重量部に対して、0.1〜10
重量部、特に0.5〜5重量部使用するのが好ましい。
カップリング剤、可塑剤、揺変剤、充填剤及び/又は保
存安定性改良剤は、水分硬化性一液型樹脂100重量部
に対して0〜800重量部、特に50〜300重量部の
範囲が好ましい。
【0031】本発明の水分硬化性一液型塗料において、
前記各成分はそれぞれ1種類又は2種以上を混合して併
用することができる。
【0032】
【実施例】以下、本発明について実施例等により更に詳
細に説明する。 合成例1(イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー
の合成) 攪拌機、温度計、窒素シール管及び冷却器の付いた加温
反応容器に、ポリオキシプロピレングリコール(三洋化
成工業社製、PP−3000、官能基数=2.0、数平
均分子量=3000)600gと、ポリオキシプロピレ
ントリオール(GP−4000、三洋化成工業社製、官
能基数=3.0、数平均分子量=4000)250g
と、ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレ
タン工業社製、ミリオネートMT)120gと、ジブチ
ル錫ジラウレート0.1gを加え、窒素雰囲気下、80
℃で4時間撹拌して反応させた。反応途中のイソシアネ
ート基(NCO)含量を滴定により測定し、NCO含量
の減少が止まった時点で反応を終了して、NCO含量
1.3重量%、粘稠なイソシアネート基含有ウレタンプ
レポリマーを合成した。
【0033】合成例2(水分硬化性一液型塗料Aの調
製) 減圧装置付き混練容器に、ジオクチルフタレート8gと
キシレン100gと合成例1で得たイソシアネート基含
有ウレタンプレポリマー100gとを仕込み、攪拌しな
がら乾燥した重質炭酸カルシウム(三共精粉社製、エス
カロン#200)120gと乾燥した酸化チタン(石原
産業社製、タイペークR−830)12gを仕込み、均
一になるまで混練りした。更に、コロイダルシリカ(日
本アエロジル社製、AEROSIL 200)7gを仕
込み、均一になるまで混練りした後、13kPaで1時
間減圧脱泡して、粘度が40,000mPa・s/25
℃で揺変性のある泡の無い水分硬化性一液型塗料Aを調
製した。
【0034】合成例3(水分硬化性一液型塗料Bの調
製) 減圧装置付き混練容器に、ジオクチルフタレート8g
と、キシレン100gと、架橋性シリル基含有樹脂(鐘
淵化学工業社製、MSポリマーS303)100gとを
仕込み、攪拌しながら、乾燥した重質炭酸カルシウム
(三共精粉社製、エスカロン#200)120gと乾燥
した酸化チタン(石原産業社製、タイぺークR−83
0)12gを仕込み、均一になるまで混練りした。更
に、コロイダルシリカ(日本アエロジル社製、AERO
SIL 200)7gを仕込み、均一になるまで混練り
した後、13kPaで1時間減圧脱泡して、粘度が11
000mPa・s/25℃で揺変性のある泡の無い水分
硬化性一液型塗料Bを調製した。
【0035】実施例1 図1は、本発明の一実施例の塗布装置の一部想像部分を
含む中央部断面図である。図2の(c)は、図1の塗布
装置のノズルの出口の形状などを示す図面であり、図2
の(a)、(b)、(d)及び(e)は図1の塗布装置
に使用することができるノズルの出口の形状などを示す
図面である。図1に示す本発明の一実施例の水分硬化性
一液型塗料の塗布装置は、水分含有加圧空気50を噴霧
機1に供給する装置と、水分硬化性一液型塗料51を噴
霧機1に供給する装置と、水分含有加圧空気50のため
の第1の通路8と水分硬化性一液型塗料51のための第
2の通路9を備えた噴霧機1とからなる。第1の通路8
の出口12は第2の通路9の出口13に近接してその周
囲に設けられており、更に、噴霧機1には第1の通路8
と第2の通路9の解放又は閉鎖を同時に行うためのハン
ドル10が設けられている。ハンドル10は、枢支ピン
で噴霧機本体に枢支されており、また、開閉操作杆2
0、21に連結されており、これらを同時に作動させ
る。21は第2の通路9のための開閉操作杆であり、2
0は第1の通路のための開閉操作杆である。ハンドル1
0を解放(放置)した状態では、バネ機構により、開閉
操作杆20、21は第1の通路8と第2の通路9を閉鎖
している。ハンドル10を引くと、開閉操作杆20、2
1がずれて、第1の通路8と第2の通路9が同時に開通
(開放)状態となる。水分含有加圧空気50を噴霧機1
に供給する装置は、第1の通路8に連結する水分含有空
気供給配管4と水供給装置3と空気圧縮機2とからな
る。水供給装置3は、水貯留槽16と水吸上げ管18と
水量調節弁17と水滴下管19とからなる。空気圧縮機
2と水供給装置3との間には、空気圧を測定し表示する
圧力計14が設けられている。水分含有空気供給配管4
の途中には逆止弁構造のバルブ15が設けられている。
水分硬化性一液型塗料51を噴霧機1に供給する装置
は、第2の通路9に連結する水分硬化性一液型塗料供給
配管5とエアレスポンプ6と水分硬化性一液型塗料貯留
槽7とからなる。
【0036】次に、前記塗布装置の使用方法について説
明する。空気圧縮機2とエアレスポンプ6のスイッチを
入れて噴霧機1のハンドル10を引くと、開閉操作杆2
0と21がずれて第1の通路8と第2の通路9が同時に
開く。第2の通路9が開くと、塗料貯留槽7からエアレ
スポンプ6により水分硬化性一液型塗料51が吸い上げ
られ、塗料供給配管5を経て第2の通路9の出口13に
送出される。第1の通路8が開くと、空気圧縮機2から
(加圧)空気が送り出され、水供給装置3を通り、この
中を(加圧)空気が通ると内部が減圧になるため、水貯
留槽16から水吸上げ管18を通って吸い上げられた水
は水滴下管19から(加圧)空気流に滴下、供給され
る。水供給装置3から出た水分含有加圧空気50は、そ
の供給配管4を経て、第1の通路8の出口12に送出さ
れる。次いで、噴霧機1のノズル11(ノズル出口1
2、13)から被塗物に向って、水分硬化性一液型塗料
51が空気を混入させないで噴出されると同時に水分硬
化性一液型塗料51の噴出流を周囲から水分含有空気5
0がカーテン状に噴霧されて、水分硬化性一液型塗料5
1の噴出流が周囲に飛散しないようにその周囲から水の
噴霧流が規制しながら噴霧されて、被塗物に水分硬化性
一液型塗料51が厚塗りでき、しかもこの塗料に水分が
充分に供給される。
【0037】前記塗布装置を用いて、噴霧機先端中央の
ノズル出口13に合成例2で得た水分硬化性一液型塗料
A51をグラコエアレスポンプ6により圧送し、130
0〜1500N/cm2 の塗布圧力で広さ90cm×9
0cm、厚さ5mmのスレート板表面に向って、スレー
ト板の表面から約50cm離れた距離から(エアレス
で)吹付けると同時に、中央のノズル出口13の近接す
る周囲に設けたノズル出口12から水分含有空気を水分
硬化性一液型塗料A51を囲むように(カーテン状に)
噴出させ、塗布面上を上下左右に数回なぞりながら塗布
した。このとき、空気を供給する空気圧縮機2と水分含
有空気用の第1の通路8に連結する水分含有空気供給配
管4の途中の水供給装置3から、水分硬化性一液型塗料
A100gに対して水を0.1gの割合で供給した。ま
たこのとき、塗料の塗膜厚みが約2mmになるように吹
付けし、吹付けの終了したスレート板を直ちに5℃、4
0%相対湿度の環境室で12時間養生させて硬化させた
後、環境室から取り出して性能試験を行った。
【0038】実施例2 実施例1において、水分硬化性一液型塗料A100gに
対して水の供給量を1.0gとした以外は同様にして塗
布し試験した。
【0039】実施例3 実施例1において、水分硬化性一液型塗料A100gに
対して水0.1gと硬化触媒としてジブチル錫ジラウレ
ート0.15gとを混合したものを使用した以外は同様
にして塗布し試験した。
【0040】実施例4 実施例3において、水分硬化性一液型塗料Aの替わり
に、水分硬化性一液型塗料Bを使用した以外は同様にし
て塗布し試験した。
【0041】比較例1 従来公知の主剤用のノズルと硬化剤用のノズルが出口で
先端八の字の形に突き合わされた構造の2液混合噴霧機
を用いて、主剤用のノズルに連結した主剤供給管に合成
例2で得た水分硬化性一液型塗料Aをグラコエアレスポ
ンプにより圧送すると同時に、硬化剤用のノズルに連結
した空気供給管に空気圧縮機から空気を供給した。この
とき空気供給管の途中に水の供給口を設け、ここから水
分硬化性一液型塗料A100gに対して水を0.1gの
割合で供給した。水分硬化性一液型塗料Aと水を混合し
た空気とを同時に噴出させ、ノズル出口から出た直後に
大気中で衝突、混合させながら、1300〜1500N
/cm2 の塗布圧力で広さ1m×1m、厚さ5mmのス
レート板表面に対し、スレート板の表面から約50cm
離れた距離から吹付けた。またこのとき、塗料の塗膜厚
みが約2mmになるように吹付けを行い、吹付けの終了
したスレート板を直ちに5℃、40%相対湿度の環境室
で12時間養生させて硬化させた後、環境室から取り出
し試験した。
【0042】比較例2 比較例1において、空気に水を供給しない以外は同様に
して塗布し試験した。このときは大気中の湿気(水分)
のみによる硬化となる。
【0043】比較例3 比較例1において、水分硬化性一液型塗料Aの替わり
に、水分硬化性一液型塗料Bを使用し、かつ水分硬化性
一液型塗料B100gに対し水0.1gと硬化触媒とし
てジブチル錫ジラウレート0.15gの割合で混合した
ものを使用した以外は同様にして塗布し試験した。
【0044】〔性能試験〕 (1)周囲汚染性 スレート板に対して水分硬化性一液型塗料をスプレー塗
布したとき、スレート板からの塗料のはみ出し幅が2m
以内のものを○と評価し、塗料のはみ出し幅が2mを超
えたものを×と評価した。 (2)塗膜の硬化性 養生12時間後の塗膜をカッターで切り、塗膜の硬化状
態を指触により測定した。塗膜が内部まで硬化している
と判断したものを○と評価し、内部が未硬化と判断した
ものを×と評価した。 (3)塗膜の外観 養生12時間後、更に23℃、50%相対湿度で14日
間後養生した後、塗膜の表面を目視により観測した。塗
膜の表面に気泡混入による膨れがほとんど無く滑らかな
状態のものを○、表面に膨れが多数あって凹凸の多い状
態のものを×と評価した。 (4)物性 水分硬化性一液型塗料をスレート板に対して吹付けをす
る際に、予めスレート板表面の隅の20cm×30cm
の部分に離型紙を貼付けておき、塗料を吹付け塗布した
のち前記の条件で硬化養生し、前記の周囲汚染性、塗膜
の硬化性及び塗膜の外観の各試験を実施した。その後、
更に23℃、50%相対湿度で14日間、後養生硬化さ
せた後、離型紙上の塗膜を20cm×30cmの大きさ
で切取り、約2mm厚みのゴムシートを得た。このゴム
シートから、JIS K 6251:1993に準拠し
てダンベル状3号形に試験片を打ち抜き、23℃、50
%相対湿度、引張速度500mm/minの条件でゴム
引張試験を行った。切断時伸びが300%以上のものを
○、切断時伸びが300%未満のものを×と評価した。
以上の試験結果を表1にまとめて示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明においては、
水分硬化性一液型塗料を水分(湿気を含む)のみにより
硬化させるため、ポリオールやポリアミンなどを使用す
る場合とは異なり、水の供給が過剰となっても硬化が進
行し、冬場でも硬化速度が速く、得られる塗膜に発泡が
なく、その外観や物性が良好な塗布方法、及びそれに使
用する装置を提供することができる。また、塗布の際に
水分硬化性一液型塗料が周囲に飛散せず、環境を汚染し
ない塗布方法及び装置を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の塗布装置の一部想像部分を
含む中央部断面図である。
【図2】 図1の塗布装置のノズルの出口の形状などを
示す図面である。
【符号の説明】
1 噴霧機 2 空気圧縮機 3 水供給装置 4 水分含有空気供給配管 5 水分硬化性一液型塗料供給配管 6 エアレスポンプ 7 塗料貯留槽 8 第1の通路 9 第2の通路 11 ノズル
フロントページの続き Fターム(参考) 4D075 AA02 AA04 AA06 AA22 AA71 AA85 AE25 CA03 CA47 DC02 DC05 DC11 EA05 EA25 EB38 EB42 EB45 4F033 AA01 BA02 BA03 BA04 CA01 CA03 DA02 DA03 DA05 EA01 LA01 QA01 QB01X QB02Y QB03X QB08X QB12Y QB15X QC03 QD07 QD19 QD21 QD23 QE08 QF02X QF02Y QF07Y QF08X QF15Y QK20Y

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被塗物に向って水分硬化性一液型塗料を
    噴出させると同時に、水分硬化性一液型塗料の噴出流を
    周囲から規制するように被塗物に向って水を噴霧させる
    こと、を特徴とする水分硬化性一液型塗料の塗布方法。
  2. 【請求項2】 被塗物に向って水分硬化性一液型塗料を
    噴出させると同時に、水分硬化性一液型塗料の噴出流を
    周囲から規制するように被塗物に向って硬化触媒の水溶
    液を噴霧させること、を特徴とする水分硬化性一液型塗
    料の塗布方法。
  3. 【請求項3】 前記水分硬化性一液型塗料が、硬化成分
    としてイソシアネート基含有プレポリマー又は架橋性シ
    リル基含有樹脂を含有する、請求項1又は2に記載の水
    分硬化性一液型塗料の塗布方法。
  4. 【請求項4】 水又は硬化触媒水溶液を含有する加圧空
    気を噴霧機に供給する装置と、水分硬化性一液型塗料を
    噴霧機に供給する装置と、水又は硬化触媒水溶液を含有
    する加圧空気のための第1の通路と水分硬化性一液型塗
    料のための第2の通路を備えた噴霧機とからなる水分硬
    化性一液型塗料の塗布装置であって、 前記噴霧機に、前記第1の通路の出口を前記第2の通路
    の出口に近接して周囲に設けると共に、前記第1の通路
    と前記第2の通路の解放又は閉鎖を同時に行わせるハン
    ドルを設けて、被塗物に向って水分硬化性一液型塗料を
    噴出させると同時に水分硬化性一液型塗料の噴出流を周
    囲から規制するように水又は硬化触媒水溶液を噴霧させ
    るように構成したこと、を特徴とする水分硬化性一液型
    塗料の塗布装置。
  5. 【請求項5】 前記の水又は硬化触媒水溶液を含有す
    る加圧空気を噴霧機に供給する装置が、前記第1の通路
    に連結する水又は硬化触媒水溶液を含有する加圧空気の
    供給配管と水又は硬化触媒水溶液の供給装置と空気圧縮
    機とからなり、かつ、前記の水分硬化性一液型塗料を噴
    霧機に供給する装置が、前記第2の通路に連結する水分
    硬化性一液型塗料供給配管とエアレスポンプと水分硬化
    性一液型塗料貯留槽とからなる、請求項4に記載の水分
    硬化性一液型塗料の塗布装置。
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