JP2020165133A - 硬化性組成物およびこれを用いた施工方法 - Google Patents

硬化性組成物およびこれを用いた施工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】建築物の外装材の貫通口を貫通した換気設備のパイプや給排水管等の部材の貫通部と透湿防水シートの開口部との接着部に容易に防水性や気密性を付与することができるシーリング材用の硬化性組成物及びこれを用いた施工方法を提供する。【解決手段】建築物の外装材及び該外装材の室内側に配される透湿防水シートを貫通させて部材を配設する際に、該透湿防水シートの室内側への浸水を防止するための硬化性組成物であって、前記硬化性組成物を透湿防水シート上に塗布後、硬化させた試験体の、JIS L 1092:2009の「7.1.2 B法(高水圧法)」に準拠して測定した耐水度が、10.0kPa以上である硬化性組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、木造住宅等の建築物の外装材を貫通させて配管又は配線等の部材を配設する場合、例えば、建築物の外装材の室内側に配された透湿防水シートを貫通させて配管又は配線等の部材を配設する場合に用いる硬化性組成物及びそれを用いた施工方法に関する。
平成15年7月1日に施工された建築基準法の改正に基づき、新築及びリフォームした全ての住宅に換気設備の設置が義務付けられ、外壁等の外装材の貫通口を貫通させたパイプ等の部材の設置が必須となっている。しかし、このような換気設備のパイプや給排水管の貫通部等と、透湿防水シートの開口部との接着は伸長性の乏しい従来の防水気密用粘着テープでは施工が困難であり、たとえ施工できたとしても、粘着テープ貼り付け部において剥がれが生じたり、シワが生じることで水路が発生しやすく、防水性を保持させることができなくなるという問題が生じている。
これらの問題を解決する為に、伸長性を有する防水気密用粘着テープの使用(特許文献1)、配管の配設補助具の使用(特許文献2)やゴムシートを弾性嵌装させる方法(特許文献3)等が提案されている。しかしながら、いずれの方法も施行者の技量により十分な防水性や気密性を得ることが難しかったり、器具や施工の手間がかかるのが現状である。
その他の方法として、粘土状やゴムシート状の材料、若しくはブチル系やシリコーン系シーリング材などを充填、又は被覆する方法もあるが、粘土状やゴムシート状の材料、硬化前のシーリング材は、狭い間隙を充填するに適しているが、強度が低いので、損傷を受け易く、また、構造体や部材などの過度の動きに追従できにくいなど、広い部分に使用される充填、被覆には適しておらず、満足するものでない。さらに、シーリング材中に、作業性や、硬化後の柔軟性を付与する為に含有される溶剤や可塑剤等により、透湿防水シートの防水性能を低下させてしまうという問題点(特許文献4)があった。
また、従来、建築用シーリング材は、透湿防水シートとの接着性に問題があり、防水効果が期待できないとされていた。従って、外装材の貫通口において、防水気密用粘着テープを用いて、透湿防水シートと外装材の貫通口を貫通させたパイプ等の部材とを密着させることで、透湿防水シートと外装材の貫通口を貫通させた部材との間の空隙を密封することが必要とされていた。
特開2006−299072号公報 特開2003−13592号公報 特開2006−225850号公報 特開2005−126521号公報
本発明は、上述の問題に鑑みて、防水気密用粘着テープを用いず、透湿防水シートの透湿性と防水性を低下させることなく、建築物の外装材の貫通口を貫通した換気設備のパイプや給排水管等の部材と透湿防水シートの開口部との接着部に容易に防水性を付与することができる硬化性組成物、及びこれを用いた施工方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、鋭意検討した結果、以下の硬化性組成物が有効であることを見出した。すなわち、本発明の要旨は、下記の(1)〜(11)に示すものである。
(1)建築物の外装材及び該外装材の室内側に配される透湿防水シートを貫通させて部材を配設する際に、該透湿防水シートの室内側への浸水を防止するための硬化性組成物であって、
前記硬化性組成物を透湿防水シート上に塗布後、硬化させた試験体の、JIS L 1092:2009の「7.1.2 B法(高水圧法)」に準拠して測定した耐水度が、10.0kPa以上である硬化性組成物。
(2)前記硬化性組成物の硬化後のJIS K 6251における切断時伸びが350%以上、50%伸び引張応力が5.0MPa以下である(1)に記載の硬化性組成物。
(3)JIS A 1439における押出し時間が、15秒以下である(1)または(2)に記載の硬化性組成物。
(4)前記硬化性組成物が、(A)常温硬化性樹脂と、(B)揺変性付与剤と、(C)充填剤と、(D)接着性付与剤と、を含み、
前記硬化性組成物中における、溶剤の含有量が2.0質量%以下、且つ可塑剤の含有量が2.0質量%以下である(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
(5)前記(A)常温硬化性樹脂が、イソシアネート基含有ウレタン系プレポリマーを含む(1)乃至(4)のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
(6)前記(B)揺変性付与剤が、有機酸系化合物で表面処理された炭酸カルシウムを含む(1)乃至(5)のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
(7)前記(C)充填剤が、炭酸カルシウムを含む(1)乃至(6)のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
(8)前記(D)接着性付与剤が、シラン系カップリング剤を含む(1)乃至(7)のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
(9)記硬化性組成物中における、前記(A)常温硬化性樹脂の含有量が、45.0量%以上70質量%以下である(1)乃至(8)のいずれか1つに記載の硬化性組成物。
(10)前記イソシアネート基含有ウレタン系プレポリマー中における、イソシアネート基の含有量が、3.5質量%以上7.0質量%以下である(5)に記載の硬化性組成物。
(11)硬化性組成物を透湿防水シート上に塗布後、硬化させた試験体の、JIS L 1092:2009の「7.1.2 B法(高水圧法)」に準拠して測定した耐水度が、10.0kPa以上である硬化性組成物を用意する工程と、
建築物の外装材及び該外装材の室内側に配される透湿防水シートを貫通した部材の貫通部と該貫通部の周囲とに、前記硬化性組成物を施与する工程と、を含む、
前記透湿防水シートの室内側への浸水を防止する施工方法。
上記(1)、(11)における試験体は、JIS L 1092:2009の「7.1.2 B法(高水圧法)」に準拠して使用される耐水度測定装置(高水圧用)の試験片取付場所の測定部の面積に対して塗布面積が50%となるように、前記測定部の中心に対応する位置に円状に硬化性組成物を塗布し、23℃、50%相対湿度雰囲気下で72時間硬化させたものを意味する。上記(3)における押出し時間とは、押出し性試験に使用するカートリッジ内の試料の全量を押し出すのに要する時間を意味する。
本発明の硬化性組成物の態様によれば、透湿防水シート上に塗布後、硬化させた試験体の、JIS L 1092:2009の「7.1.2 B法(高水圧法)」に準拠して測定した耐水度が、10.0kPa以上である硬化性組成物を、建築物の外装材及び該外装材の室内側に配される透湿防水シートを貫通した部材の貫通部と該貫通部の周囲に塗布することにより、塗布作業性が良好で、透湿防水シートの透湿性と防水性を低下させることなく、優れた接着性を有し、給排水管やパイプ等の部材の動きに追従できる強度と弾性を有するシーリング材とすることができる。また、本発明の硬化性組成物の態様によれば、硬化性組成物の硬化後のJIS K 6251における切断時伸びが350%以上、50%伸び引張応力が5.0MPa以下であることにより、給排水管やパイプ等の部材の動きに追従できる強度と弾性により優れたシーリング材とすることができる。また、本発明の硬化性組成物の態様によれば、JIS A 1439における押出し時間が、15秒以下であることにより、硬化性組成物の塗布作業性がさらに向上する。
本発明の硬化性組成物の態様によれば、硬化性組成物中における(A)常温硬化性樹脂の含有量が45.0量%以上70質量%以下であることにより、硬化性組成物に適度な流動性が付与されて、硬化性組成物の塗布作業性がさらに向上する。
また、本発明の硬化性組成物の態様によれば、(A)常温硬化性樹脂がイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーであり、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー中におけるイソシアネート基の含有量が3.5質量%以上7.0質量%以下であることにより、硬化性組成物に適度な流動性が付与されて、硬化性組成物の塗布作業性がさらに向上する。
本発明について、以下に詳しく説明する。本発明の硬化性組成物は、建築物の外装材及び該外装材の室内側に配される透湿防水シートを貫通させて部材を配設する際に、該透湿防水シートの室内側への浸水を防止するための硬化性組成物であって、硬化性組成物を透湿防水シート上に塗布後、硬化させた試験体の、JIS L 1092:2009の「7.1.2 B法(高水圧法)」に準拠して測定した耐水度が、10.0kPa以上である。前記耐水度は、10.0kPa以上であれば、特に限定されないが、その下限値は、透湿防水シートの透湿性と防水性をより確実に得る点から、13.0kPaが好ましく、15.0kPaが特に好ましい。一方で、前記水圧の上限値は、高ければ高いほど好ましいが、例えば、17kPaが挙げられる。
また、本発明の硬化性組成物では、硬化後のJIS K 6251における切断時伸びは、特に限定されないが、給排水管やパイプ等の部材の動きにより確実に追従させる点から、350%以上が好ましく、370%以上が特に好ましい。一方で、前記切断時伸びの上限値は、高ければ高いほど好ましいが、例えば、400%が挙げられる。また、本発明の硬化性組成物では、硬化後のJIS K 6251における50%伸び引張応力は、特に限定されないが、給排水管やパイプ等の部材の動きにより確実に追従させる点から、5.0MPa以下が好ましく、4.0MPa以下が特に好ましい。一方で、前記50%伸び引張応力の下限値は、特に限定されないが、追従性の点から、3.5MPaが好ましい。
また、本発明の硬化性組成物では、JIS A 1439における押出し時間は、特に限定されないが、塗布作業性がさらに向上する点から、15秒以下が好ましく、12秒以下が特に好ましい。一方で、前記押出し時間の下限値は、タレを確実に防止して所望の位置に確実に塗布する点から、10秒が好ましい。
次に、本発明の硬化性組成物の成分について以下に説明する。
本発明の硬化性組成物の組成としては、例えば、(A)常温硬化性樹脂と、(B)揺変性付与剤と、(C)充填剤と、(D)接着性付与剤と、を含み、前記硬化性組成物中における、溶剤の含有量が2.0質量%以下、且つ可塑剤の含有量が2.0質量%以下である硬化性組成物が挙げられる。本発明の硬化性組成物が硬化することで、シーリング材が形成される。
本発明の硬化性組成物中における溶剤の含有量は、硬化性組成物が塗布される透湿防水シートの透湿性と防水性の低下を防止する点から2.0質量%以下が好ましい。溶剤の含有量は2.0質量%以下であれば、少なければ少ないほどよく、1.0質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下がさらに好ましく、0質量%が特に好ましい。また、本発明の硬化性組成物中における可塑剤の含有量は、硬化性組成物が塗布される透湿防水シートの透湿性と防水性の低下を防止する点から2.0質量%以下が好ましい。可塑剤の含有量は、少なければ少ないほどよく、1.0質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下がさらに好ましく、0質量%が特に好ましい。
硬化性組成物中に配合される溶剤としては、例えば、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン等のナフテン類、ベンゼン、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類等を挙げることができる。
また、硬化性組成物中に配合される可塑剤としては、例えば、フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、フタル酸ブチルベンジル、ブチルフタリルブチルグリコレート等のフタル酸エステル類、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等の非芳香族2塩基酸エステル類、トリクレジルホスフェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル類、塩素化パラフィン等のハロゲン化脂肪族化合物などの分子量500未満の低分子量可塑剤が挙げられる。また、分子量500以上の高分子量タイプの可塑剤としては、例えば、ジカルボン酸類とグリコール類とからのポリエステル類等のポリエステル系可塑剤、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールのエーテル化またはエステル化誘導体、シュークロース等の糖類多価アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキシドを付加重合し、更にエーテル化またはエステル化した糖類系ポリエーテル類等のポリエーテル類、ポリ−α−メチルスチレン等のポリスチレン類、低粘度の(メタ)アクリル酸エステル系共重合体などが挙げられる。
本発明の硬化性組成物の各成分について、以下に詳しく説明する。
<(A)常温硬化性樹脂>
本発明における樹脂成分としての常温硬化性樹脂は、常温(25℃)において、空気中の水分(湿気)や酸素などとの反応により、ラジカル発生剤などの混合によるラジカル重合や酸化重合により、または主剤と硬化剤との架橋反応などにより、架橋・高分子化して硬化するものである。常温硬化性樹脂としては、具体的には、例えば、イソシアネート基含有ウレタン系プレポリマー、架橋性シリル基含有樹脂、ポリサルファイド系樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂などと必要に応じて更に硬化触媒とからなる一液型を挙げることができ、その他、上記各種樹脂や、エポキシ樹脂、活性水素含有ウレタン系樹脂、活性水素含有フッ素樹脂などと硬化剤や硬化触媒などとからなる二液型を挙げることができる。これらのうち、作業性が優れている点から、一液湿気硬化型の(必要に応じて硬化触媒を含む)イソシアネート基含有ウレタン系プレポリマー又は架橋性シリル基含有樹脂が好ましく、特にイソシアネート基含有ウレタン系プレポリマーが好ましい。これらはいずれも単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
<イソシアネート基含有ウレタン系プレポリマー>
前記イソシアネート基含有ウレタン系プレポリマーは、有機イソシアネート化合物と活性水素含有化合物とを活性水素(基)に対してイソシアネート基過剰の条件で反応させて得られるものである。具体的には、活性水素含有化合物と有機イソシアネート化合物とを、原料のイソシアネート基/活性水素(基)のモル比が1.2〜10/1.0、好ましくは1.5〜5.0/1.0となる範囲で同時または逐次に反応させて、ウレタンプレポリマー中にイソシアネート基が残存するようにして製造することができる。モル比が1.2/1.0を下回ると、得られるウレタン系プレポリマーの架橋点が少なくなりすぎ、硬化性組成物の硬化後の伸びや引張強度などが低下することがあり、ゴム物性や接着性が低下することがある。一方で、モル比が10/1.0を超えると、湿気と反応した際に炭酸ガスの発生量が多くなり発泡の原因となることがある。
また、イソシアネート基含有ウレタン系プレポリマーのイソシアネート基含有量は、特に限定されないが、硬化性組成物に適度な流動性が付与されて、硬化性組成物の塗布作業性がさらに向上する点から、0.3質量%以上15.0質量%以下が好ましく、3.5質量%以上7.0質量%以下が特に好ましい。また、イソシアネート基含有量が0.3質量%未満の場合は、プレポリマー中の架橋点が少ないため、十分な接着性が得られない傾向がある。一方で、イソシアネート基含有量が15.0質量%を超える場合は、プレポリマー中の架橋点が多くなりゴム弾性が低下する傾向にあり、湿気との反応による炭酸ガスの発生量が多くなり硬化物が発泡することがある。
本発明の硬化性組成物中における常温硬化性樹脂の含有量は、特に限定されないが、硬化性組成物に適度な流動性が付与されて、硬化性組成物の塗布作業性がさらに向上する点から、35.0量%以上75質量%以下が好ましく、45.0量%以上70質量%以下が特に好ましい。
イソシアネート基含有ウレタン系プレポリマーの製造方法としては、ガラス製やステンレス製などの反応容器に活性水素含有化合物と有機イソシアネート化合物とを仕込み、反応触媒の存在下または不存在下に、50〜120℃で反応させる方法などが挙げられる。この際、イソシアネート基が湿気と反応すると、得られるイソシアネート基含有ウレタン系プレポリマーが増粘するため、窒素ガス置換、窒素ガス気流下などの湿気を遮断した状態で反応を行うことが好ましい。なお、イソシアネート基含有ウレタン系プレポリマーは、含まれるイソシアネート基が大気中の水分(湿気)と室温で反応硬化することにより一液湿気硬化型として使用することができる。
<有機イソシアネート化合物>
有機イソシアネート化合物としては、有機ポリイソシアネートと、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの変性用として必要に応じて使用してもよい有機モノイソシアネートが挙げられる。有機ポリイソシアネートとしては、イソシアネート基が芳香族炭化水素に結合している芳香族系ポリイソシアネート、芳香環を有しかつイソシアネート基が脂肪族炭化水素基に結合している芳香脂肪族系ポリイソシアネート、脂肪族炭化水素基のみからなる脂肪族系ポリイソシアネートなどが挙げられる。
芳香族系ポリイソシアネートとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等のジフェニルメタンジイソシアネート類(MDI類);2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート等のトルエンジイソシアネート類(TDI類);フェニレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート等が挙げられる。
芳香脂肪族系ポリイソシアネーとしては、キシリレンジイソシアネート等が挙げられる。また、脂肪族系ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネートなどが挙げられる。また、これらジイソシアネートのカルボジイミド変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体、二量体、三量体、またはポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDI、ポリメリックMDI)なども挙げられる。これらの化合物は単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、硬化後のゴム弾性に優れている点で、芳香族系ポリイソシアネートの中ではMDI類が好ましく、芳香脂肪族ポリイソシアネーの中ではキシリレンジイソシアネートが好ましく、脂肪族系ポリイソシアネートの中では、へキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートが好ましい。
また、イソシアネート基含有ウレタン系プレポリマーの変性用として、必要に応じて用いる有機モノイソシアネートとしては、分子内にイソシアネート基を1個含有すればよいが、イソシアネート基以外の有機基としては、湿気などの水分硬化性の官能基を含有していない疎水性の有機基が好ましい。具体的には、例えば、n−ブチルモノイソシアネート、n−ヘキシルモノイソシアネート、n−テトラデシルモノイソシアネート、n−ヘキサデシルモノイソシアネート、オクタデシルモノイソシアネート等の脂肪族モノイソシアネート;クロロフェニルモノイソシアネート、3,5−ジクロロフェニルモノイソシアネート、p−フルオロフェニルモノイソシアネート、p−イソプロピルフェニルモノイソシアネート等の芳香族モノイソシアネートなどが挙げられる。このうち、脂肪族モノイソシアネートが好ましく、特にオクタデシルモノイソシアネートが好ましい。
<活性水素含有化合物>
前記活性水素含有化合物としては、高分子ポリオールや高分子ポリアミン等が挙げられる。また、必要に応じて使用する鎖延長剤としての、低分子ポリオール、低分子アミノアルコール、低分子ポリアミン、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの変性用として必要に応じて用いる高分子や低分子のモノオールなどが挙げられる。なお、高分子とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の数平均分子量が1,000以上を意味し、低分子とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の数平均分子量が1,000未満を意味する。
高分子ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオキシアルキレン系ポリオール、炭化水素系ポリオール、ポリ(メタ)アクリル系ポリオール、動植物系ポリオール、これらのコポリオール、またはこれらの2種以上の混合物などが挙げられる。高分子ポリオールのゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算の数平均分子量は、1,000〜100,000が好ましく、1,000〜30,000がより好ましく、1,000〜20,000が特に好ましい。数平均分子量が1,000未満では、得られる組成物の硬化後の伸びなどのゴム弾性物性が低下する傾向があり、数平均分子量が100,000を超えると、得られるイソシアネート基含有ウレタン系プレポリマーの粘度が高くなって、作業性が低下する傾向にある。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは「アクリル及び/またはメタクリル」を意味する。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、へキサヒドロオルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸等のポリカルボン酸;これらポリカルボン酸のエステル;これらポリカルボン酸の酸無水物等の1種以上と、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロへキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイド付加物、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の低分子ポリオール類、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン等の低分子ポリアミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の低分子アミノアルコール類の1種以上との脱水縮合反応で得られる、ポリエステルポリオールまたはポリエステルアミドポリオールが挙げられる。また、低分子ポリオール類、低分子ポリアミン類、低分子アミノアルコール類を開始剤として、ε-カプロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル(ラクトン)モノマーの開環重合で得られるラクトン系ポリエステルポリオールが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、前記ポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子ポリオール類とホスゲンとの脱塩酸反応、または前記低分子ポリオール類とジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等とのエステル交換反応で得られるものが挙げられる。
ポリオキシアルキレン系ポリオールとしては、例えば、前記ポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子ポリオール類、低分子ポリアミン類、低分子アミノアルコール類、ポリカルボン酸の他、ソルビトール、マンニトール、ショ糖(スクロース)、グルコース等の糖類系低分子多価アルコール類;ビスフェノールA、ビスフェノールF等の低分子多価フェノール類の一種以上を開始剤として、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等の環状エーテル化合物の1種以上を開環付加重合あるいは共重合(以下、「重合あるいは共重合」を(共)重合ということがある。)させた、ポリオキシエチレン系ポリオール、ポリオキシプロピレン系ポリオール、ポリオキシブチレン系ポリオール、ポリオキシテトラメチレン系ポリオール、ポリ−(オキシエチレン)−(オキシプロピレン)−ランダムまたはブロック共重合系ポリオール等が挙げられる。また、前記ポリエステルポリオールやポリカーボネートポリオールを開始剤としたポリエステルエーテルポリオール、ポリカーボネートエーテルポリオールなどが挙げられる。また、これらの各種ポリオールと有機イソシアネートとを、イソシアネート基に対し水酸基過剰で反応させて、分子末端を水酸基としたポリオール等が挙げられる。
ポリオキシアルキレン系ポリオールのアルコール性水酸基の数は、特に限定されないが、1分子当たり平均2個以上が好ましく、2〜4個がより好ましく、2〜3個が特に好ましい。
ポリオキシアルキレン系ポリオールの製造時に使用する触媒としては、例えば、水素化セシウム、セシウムメトキシド、セシウムエトキシド等のセシウムアルコキシド、水酸化セシウムなどのセシウム系化合物、ジエチル亜鉛、塩化鉄、金属ポルフィリン、ホスファゼニウム化合物、複合金属シアン化錯体(例えば、亜鉛ヘキサシアノコバルテートのグライム錯体やジグライム錯体等)が挙げられる。ポリオキシアルキレン系ポリオールの総不飽和度は、特に限定されないが、0.1meq/g以下が好ましく、0.07meq/g以下がより好ましく、0.04meq/g以下が特に好ましい。高分子ポリオールの分子量分布〔ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比=Mw/Mn〕は、特に限定されないが、得られるイソシアネート基含有ウレタン系プレポリマーの粘度を低下でき、かつ得られる組成物の硬化後のゴム物性が良好となる点から、1.6以下が好ましく、1.0〜1.3が特に好ましい。
また、必要に応じて、イソシアネート基含有ウレタン系プレポリマーの変性用として、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等の低分子モノアルコール類を開始剤として、前記プロピレンオキシド等の環状エーテル化合物を開環付加重合させたポリオキシプロピレン系モノオール等のポリオキシアルキレン系モノオールなどを使用することもできる。
なお、前記ポリオキシアルキレン系ポリオール、前記ポリオキシアルキレン系モノオールなどの「系」とは、分子1モル中の水酸基を除いた部分の50質量%以上が、ポリオキシアルキレンで構成されていることを意味する。従って、残りの部分がエステル、ウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ(メタ)アクリレート、ポリオレフィンなどの他の構造体で変性されていてもよい。ポリオキシアルキレンで構成されている部分は、50質量%以上であれば、特に限定されないが、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上が特に好ましい。
炭化水素系ポリオールとしては、例えば、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等のポリオレフィンポリオール;水添ポリブタジエンポリオール、水添ポリイソプレンポリオール等のポリアルキレンポリオール;塩素化ポリプロピレンポリオール、塩素化ポリエチレンポリオール等のハロゲン化ポリアルキレンポリオールなどが挙げられる。
ポリ(メタ)アクリル系ポリオールとしては、水酸基含有(メタ)アクリル系単量体を少なくとも含有するエチレン性不飽和化合物を重合開始剤の存在下又は不存在下において、バッチ式又は連続重合などの公知のラジカル重合の方法により、好ましくは150〜350℃、さらに好ましくは210〜250℃で高温連続重合反応して得られるものが、反応生成物の分子量分布が狭く低粘度になるため好適である。
ポリ(メタ)アクリル系ポリオールは、水酸基含有(メタ)アクリル系単量体を単独で重合して得られるものであってもよく、水酸基含有(メタ)アクリル系単量体の2種以上を共重合して得られるものであってもよく、水酸基含有(メタ)アクリル系単量体の1種又は2種以上と水酸基含有(メタ)アクリル系単量体以外のエチレン性不飽和化合物とを共重合して得られるものであってもよい。これらのうち、ポリ(メタ)アクリル系ポリオールの水酸基の含有量を調節することが容易で、硬化樹脂の物性を選択しやすい点から、水酸基含有(メタ)アクリル系単量体の1種又は2種以上とこれら以外のエチレン性不飽和化合物の1種又は2種以上とを共重合して得られるものが好ましい。前記共重合の際、水酸基含有(メタ)アクリル系単量体を、ポリ(メタ)アクリル系ポリオール1分子当たりの平均水酸基官能数が1.0〜10.0個となるように使用するのが好ましく、1.2〜3.0個となるように使用するのが特に好ましい。ポリ(メタ)アクリル系ポリオール1分子当たりの平均水酸基官能数が10.0個を超えると、硬化後の物性が硬くなってゴム状弾性が低下する傾向にある。このうち、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算の数平均分子量が1,000〜30,000のポリ(メタ)アクリル系ポリオールが好ましく、2,000〜15,000のポリ(メタ)アクリル系ポリオールが特に好ましい。また、ポリ(メタ)アクリル系ポリオールのガラス転移温度(Tg)は、0℃以下が好ましく、−70〜−20℃がより好ましく、−70〜−30℃が特に好ましい。また、ポリ(メタ)アクリル系ポリオールの25℃における粘度は、100, 000mPa・s以下が好ましく、50,000mPa・s以下が特に好ましい。数平均分子量30,000、Tg0℃、25℃における粘度100,000mPa・sをそれぞれ超えると、得られる組成物の施工時の作業性が低下する傾向がある。
水酸基含有(メタ)アクリル系単量体としては、有機イソシアネート化合物のイソシアネート基との反応性の良さ、および得られるイソシアネート基含有ウレタン系プレポリマーの粘度の点から、アルコール性水酸基含有(メタ)アクリル系単量体が好ましく、具体的には、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の多価アルコールのモノアクリレート類又は水酸基残存ポリアクリレート類などが挙げられる。
他のエチレン性不飽和化合物としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、クロロプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリル酸、酢酸ビニル、スチレン、2−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、グリシジル(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリウレタンジ(メタ)アクリレート、アクリル酸ダイマー、ポリエステルポリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらのうち、エチレン性不飽和化合物としては、硬化後の特性などの点から、(メタ)アクリル酸エステル系化合物のモノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリルなどの(メタ)アクリル系化合物が好ましく、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが更に好ましい。
これらは単独でまたは2種以上を混合して使用できる。また炭素数9以下の(メタ)アクリル系単量体の1種又は2種以上と炭素数10以上の(メタ)アクリル系単量体の1種又は2種以上とを組み合わせて使用してもよい。
動植物系ポリオールとしては、例えば、ヒマシ油系ポリオールなどが挙げられる。
鎖延長剤としては、前記ポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子のポリオール類、低分子のポリアミン類、低分子のアミノアルコール類の他、前記ポリオキシアルキレンポリオールで、数平均分子量が1,000未満の低分子量のもの、またはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
前記の活性水素含有化合物として挙げた化合物は単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができるが、これらのうち、得られる組成物のゴム物性や接着性が良好な点で、高分子ポリオールが好ましく、このうち、ポリオキシアルキレン系ポリオールがより好ましく、ポリオキシプロピレン系ポリオールが特に好ましい。
<架橋性シリル基含有樹脂>
架橋性シリル基含有樹脂は、樹脂に導入した架橋性シリル基が大気中の湿気などの水分と加水分解反応して生成したシラノール基が縮合反応して、架橋し硬化することにより、本発明の硬化性組成物において硬化成分として機能するものである。架橋性シリル基含有樹脂としては、特開昭52−73998号公報、特開昭55−9669号公報、特開昭59−122541号公報、特開昭60−6747号公報、特開昭61−233043号公報、特開昭63−6003号公報、特開昭63−112642号公報、特開平3−79627号公報、特開平4−283259号公報、特開平5−287186号公報、特開平11−80571号公報、特開平11−116763号公報、特開平11−130931号公報中に開示されているような、分子内に架橋性シリル基を含有する、主鎖が(メタ)アクリル系重合体、ポリオキシアルキレン系重合体、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタンジエン等の脂肪族炭水化水素系重合体、ポリエステル系重合体、ポリサルファイド重合体、これらの共重合体または混合物などが挙げられる。
架橋性シリル基含有樹脂の数平均分子量は、特に限定されないが、例えば、1,000以上が好ましく、6,000〜30,000と分子量分布の狭いものが、硬化性組成物の粘度が低下し作業性が良好となり、かつ硬化後の応力、伸び等のゴム物性も良好となる点で、特に好ましい。架橋性シリル基は、組成物の硬化性や硬化後の物性などの点から、1分子内に平均して0.2個以上含まれるのが好ましく、0.4〜5.0個含まれるのが特に好ましい。
さらに、架橋性シリル基は、架橋しやすく製造しやすい下記一般式で示されるものが好ましい。
Figure 2020165133
(式中、Rは炭化水素基であり、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。Rが複数の場合には同じ基であっても異なった基であってもよい。Xで示される反応性基は水素原子、水酸基、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミド基、酸アミド基、メルカプト基、アルケニルオキシ基及びアミノオキシ基からなる群から選ばれる加水分解性の基であり、Xが複数の場合には、Xは同じ基であっても異なった基であってもよい。このうち、Xはアルコキシ基が好ましく、メトキシ基又はエトキシ基が特に好ましい。aは0、1又は2の整数であり、0又は1が好ましい。)
架橋性シリル基の樹脂への導入方法としては、例えば、(1)末端に水酸基などの官能基を有するポリオキシアルキレン系や(メタ)アクリル系などの重合体に、この官能基に対して反応性を示す活性基及び不飽和基を有する有機化合物(例えば、アリルイソシアネート)を反応させ、次いで、導入された不飽和基に加水分解性基を有するヒドロシランを反応させてヒドロシリル化する方法、(2)末端に水酸基、エポキシ基、イソシアネート基などの官能基を有するポリオキシアルキレン系や(メタ)アクリル系などの重合体に、この官能基に対して反応性を示す官能基及び架橋性シリル基を有する化合物を反応させる方法(反応性官能基及び架橋性シリル基を有する化合物としては、アミノ基含有シラン類、メルカプト基含有シラン類、エポキシ基含有シラン類、重合性不飽和基含有シラン類、イソシアネート基含有シラン類などが挙げられる。)、(3)重合性不飽和基と架橋性シリル基を有する化合物(例えば、CH=CHSi(OCHやCH=CHCOO(CHSi(OCH)と(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体とを共重合させる方法、(4)重合性不飽和基と官能基を有する化合物(例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリル酸アリルなど)を(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体などと共重合させ、次いで生成する共重合体を前記反応性官能基及び架橋性シリル基を有する化合物(例えば、イソシアネート基と−Si(OCH基を有する化合物や、トリメトキシシラン、トリエトキシシランなどの加水分解性基を有するヒドロシラン類)と反応させる方法などの公知の方法で行うことができる。
架橋性シリル基含有樹脂の主鎖は、作業性、硬化後のゴム物性などが優れている点で、ポリオキシアルキレン系重合体および/またはポリ(メタ)アクリル変性ポリオキシアルキレン系重合体が好ましい。なお、本明細書において、「および/または」とはそれぞれが単独であってもよいし、それぞれの組み合わせであってもよいことを意味する。また、「ポリ(メタ)アクリル変性ポリオキシアルキレン系重合体」とは、ポリオキシアルキレン系重合体を(メタ)アクリル重合体で変性したものであり、ポリ(メタ)アクリル変性ポリオキシアルキレン系重合体としては、例えば、ポリオキシアルキレン系重合体に(メタ)アクリル系単量体をブロックまたはペンダント共重合して変性したもの、ポリオキシアルキレン系重合体に(メタ)アクリル系重合体を混合して変性したもの、ポリオキシアルキレン系重合体中で(メタ)アクリル系単量体を重合して変性したものなどが挙げられる。
前記架橋性シリル基含有ポリオキシアルキレン系重合体または架橋性シリル基含有ポリ(メタ)アクリル変性ポリオキシアルキレン系重合体は、ポリオキシアルキレン系ポリオールまたはポリ(メタ)アクリル系ポリオールのそれぞれと、架橋性シリル基含有イソシアネート化合物と、場合により耐水性などの向上のために更に有機イソシアネートとを、逐次または同時に反応させて得る方法が、低コストで製造できる点で好ましい。
前記反応方法を具体的に示すと、
A.ポリオールと架橋性シリル基含有イソシアネート化合物を使用する場合については、(1)ポリオキシアルキレン系ポリオールと架橋性シリル基含有イソシアネート化合物とを、イソシアネート基/水酸基のモル比が0.1〜1.5/1.0、好ましくは0.2〜1.1/1.0、さらに好ましくは0.8〜1.1/1.0となる範囲で反応させて架橋性シリル基含有ポリオキシアルキレン系重合体(O−1)を合成する方法、(2)ポリ(メタ)アクリル系ポリオールと架橋性シリル基含有イソシアネート化合物とを、イソシアネート基/水酸基のモル比が0.1〜1.5/1.0、好ましくは0.2〜1.1/1.0となる範囲で反応させて架橋性シリル基含有ポリ(メタ)アクリル系重合体(A−1)を合成する方法、(3)架橋性シリル基含有ポリ(メタ)アクリル変性ポリオキシアルキレン系重合体(AO−1)を製造する場合は、前記架橋性シリル基含有ポリオキシアルキレン系重合体(O−1)と、架橋性シリル基含有ポリ(メタ)アクリル系重合体(A−1)とを混合する方法等が挙げられる。なお、架橋性シリル基含有ポリ(メタ)アクリル変性ポリオキシアルキレン系重合体(AO−1)は、ポリオキシアルキレン系ポリオールとポリ(メタ)アクリル系ポリオールとの混合物に、架橋性シリル基含有イソシアネート化合物を反応させて製造することもできるが、前者の個別に反応させて混合する方が、反応を制御し易く、かつゴム弾性物性を調節し易いため好ましい。
B.ポリオールと架橋性シリル基含有イソシアネート化合物と有機イソシアネートを使用する場合については、(4)ポリオキシアルキレン系ポリオールまたはポリ(メタ)アクリル系ポリオールの水酸基の10〜95モル%、好ましくは20〜90モル%の水酸基と、架橋性シリル基含有イソシアネート化合物のイソシアネート基を反応させ架橋性シリル基および水酸基含有ポリオキシアルキレン系重合体または架橋性シリル基および水酸基含有ポリ(メタ)アクリル系重合体をそれぞれ合成した後、残存するそれぞれの水酸基と有機イソシアネートとを、原料合計のイソシアネート基/水酸基のモル比が0.2〜1.5/1.0、好ましくは0.3〜1.1/1.0となる範囲で反応させて、有機イソシアネートを使用した架橋性シリル基含有ポリオキシアルキレン系重合体(O−2)または有機イソシアネートを使用した架橋性シリル基含有ポリ(メタ)アクリル系重合体(A−2)を合成する方法、(5)先にポリオキシアルキレン系ポリオールまたはポリ(メタ)アクリル系ポリオールの水酸基の5〜90モル%、好ましくは10〜80モル%の水酸基と、有機イソシアネートのイソシアネート基を反応させ水酸基およびウレタン結合含有ポリオキシアルキレン系重合体または水酸基およびウレタン結合含有(メタ)アクリル系重合体をそれぞれ合成した後、残存する水酸基のそれぞれと架橋性シリル基含有イソシアネート化合物のイソシアネート基とを、原料合計のイソシアネート基/水酸基の当量比が0.2〜1.5/1.0、好ましくは0.3〜1.1/1.0となる範囲で反応させて、有機イソシアネートを使用した架橋性シリル基含有ポリオキシアルキレン系重合体(O−2)または有機イソシアネートを使用した架橋性シリル基含有ポリ(メタ)アクリル系重合体(A−2)を合成する方法、(6)有機イソシアネートを使用した架橋性シリル基含有ポリ(メタ)アクリル変性ポリオキシアルキレン系重合体(AO−2)を製造する場合は、前記有機イソシアネートを使用した架橋性シリル基含有ポリオキシアルキレン系重合体(O−2)と、有機イソシアネートを使用した架橋性シリル基含有ポリ(メタ)アクリル系重合体(A−2)とを混合する方法等が挙げられる。
また、ポリオキシアルキレン系ポリオールとポリ(メタ)アクリル系ポリオールを混合したものに、架橋性シリル基含有イソシアネート化合物と有機イソシアネートとを逐次または同時に反応させて有機イソシアネートを使用した架橋性シリル基含有ポリ(メタ)アクリル変性ポリオキシアルキレン系重合体を製造することもできるが、上記のように、個別に反応させた後に混合する方が、反応を制御し易く、かつ物性を調節し易い点で好ましい。
これらの反応の際には、亜鉛、錫、鉛、ジルコミウム、ビスマス、コバルト、マンガン、鉄等の金属とオクテン酸、ナフテン酸等の有機酸との金属塩;ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート等の有機金属と有機酸との塩;トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン等の有機アミンやその塩等、公知のウレタン化触媒を用いることができる。前記有機イソシアネートを使用しない架橋性シリル基含有ポリオキシアルキレン系重合体(O−1)、有機イソシアネートを使用しない架橋性シリル基含有ポリ(メタ)アクリル系重合体(A−1)、有機イソシアネートを使用した架橋性シリル基含有ポリオキシアルキレン系重合体(O−2)または有機イソシアネートを使用した架橋性シリル基含有ポリ(メタ)アクリル系重合体(A−2)は、それぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて使用することが可能である。
前記ポリオキシアルキレン系ポリオールとしては、上記したイソシアネート基含有ウレタン系プレポリマーの合成に用いることができるポリオキシアルキレン系ポリオールと同様のものを用いることができる。また、前記ポリ(メタ)アクリル系ポリオールとしては、上記したイソシアネート基含有ウレタン系プレポリマーの合成に用いることができるポリ(メタ)アクリル系ポリオールと同様のものを用いることができる。
前記架橋性シリル基含有イソシアネート化合物は、1分子内に1個以上のイソシアネート基と1個以上の架橋性シリル基を少なくとも含有すればよいが、反応の制御のしやすさ、硬化後のゴム弾性が良好な点から、1分子内に1個のイソシアネート基と1個の架橋性シリル基を含有する化合物が好ましい。架橋性シリル基含有イソシアネート化合物としては、具体的には、例えば、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルイソプロポキシシラン、イソシアネートトリメトキシシラン、ジイソシアネートジメトキシシランなどが挙げられる。これらは単独でまたは2種以上混合して使用できる。これらのうち、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランが好ましい。
前記有機イソシアネートとしては、有機モノイソシアネート、有機ポリイソシアネートが挙げられ、このうち有機モノイソシアネートが好ましい。有機モノイソシアネートは、分子内に架橋性シリル基を含有していないものであれば、上記したイソシアネート基含有ウレタン系プレポリマーの合成に用いる有機モノイソシアネートと同様のものを用いることができる。また、有機ポリイソシアネートは、分子内に架橋性シリル基を含有していないものであれば、上記したイソシアネート基含有ウレタン系プレポリマーの合成に用いる有機ポリイソシアネートと同様のものを用いることができる。
なお、本発明においては、前記架橋性シリル基含有樹脂として、変成シリコーンポリマーの名で市販されているものも使用できる。分子内に架橋性シリル基を含有し、主鎖がポリオキシアルキレン系重合体のものとしては、具体的には、例えば、カネカ社製のMSポリマーシリーズの、S203、S303;AGC株式会社製のエクセスターシリーズの、ES−S2410、ES−S3610、ES−S3630などが挙げられる。また、分子内に架橋性シリル基を含有し、主鎖がポリ(メタ)アクリル変性ポリオキシアルキレン系重合体のものとしては、例えば、株式会社カネカ製のMSポリマーシリーズのS903、S943などが挙げられる。これら市販品と上記した反応により製造した架橋性シリル基含有ポリオキシアルキレン系重合体、架橋性シリル基含有ポリ(メタ)アクリル系重合体のそれぞれとを組み合わせて使用することもできる。
<ポリサルファイド系樹脂>
前記ポリサルファイド系樹脂としては、ポリサルファイド樹脂、変性ポリサルファイド樹脂が挙げられる。ポリサルファイド系樹脂は、分子中に含有するメルカプト基が、常温(25℃)で大気中の水分(湿気)や酸素などと反応し、ジスルフィド結合を生成して硬化することにより、硬化性組成物の常温硬化性樹脂として機能する。このポリサルファイド系樹脂を含有するシーリング材は、1液型室温(常温)硬化型として使用できる。
ポリサルファイド系樹脂としては、例えば、末端に2個以上のメルカプト基を有する、下記一般式に表される、数平均分子量が500〜100,000、好ましくは1,000〜20,000の重合体が挙げられる。潜在硬化剤として配合した二酸化鉛、二酸化カルシウム、二酸化バリウム、二酸化亜鉛等の金属過酸化物が湿気により反応して生成した過酸化水素により酸化縮合反応して硬化することにより、この樹脂からなるシーリング材は、1液型室温(常温)硬化型として使用できる。
HS−(R−S−R−SH
(式中、mの平均値は1.2〜2.8であり、nは2〜50の整数である。Rは炭素数2〜16のアルキル基又はエーテル結合含有アルキル基である。)
前記Rとしては、例えば、−CH(CH)CH−、−CHCH−O−CHCH−、−CHCH−、−CHCH−O−CH−O−CHCH−、−CH(CH)CH−O−(CH)CH−O−CH(CH)CH−、−CHCH−O−(CHCH−O)−CHCH−(p=1〜30)などが挙げられ、粘度が低く作業性や硬化性が良好な点で、−CHCH−O−CH−O−CHCH−(エチルホルマール基)が好ましい。
変性ポリサルファイド樹脂としては、例えば、末端にメルカプト基を有するが、主鎖にスルフィド結合を有さずに、ポリオキシアルキレン基とウレタン結合を有する樹脂を挙げることができる。メルカプト基がジメチルチオカルバミン酸第三鉄等を硬化触媒として、室温(常温)で空気中の酸素と反応し硬化することにより、変性ポリサルファイド樹脂を含有するシーリング材は、1液型酸素硬化型とすることができる。
<(B)揺変性付与剤>
本発明においては、前記常温硬化性樹脂成分に加えて、さらに(B)揺変性付与剤を配合する。揺変性付与剤は、本発明の硬化性組成物に揺変性を付与して、硬化性組成物を塗布したときにタレ(スランプ)の発生を防止することに寄与する。揺変性付与剤としては、有機酸系化合物で表面処理された炭酸カルシウム(有機酸系化合物表面処理炭酸カルシウム)、親水性コロイダルシリカ、疎水性コロイダルシリカ等の無機系揺変性付与剤;脂肪酸アマイド、有機ベントナイト等の有機系揺変性付与剤などが挙げられる。これらのうち、得られる硬化性組成物の吐出作業性がより向上する点で、有機酸系化合物表面処理炭酸カルシウムが好ましい。有機酸系化合物表面処理炭酸カルシウムは、合成炭酸カルシウム等の微粉末炭酸カルシウムの表面を、ステアリン酸等の脂肪酸またはそのアルキルエステル、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩、樹脂酸などの有機酸系化合物で処理(例えば、被覆)したものである。これらの市販品としては、白石工業株式会社製の白艶華シリーズのCC、DD、CCR、U、丸尾カルシウム株式会社製のカルファインシリーズの100、200、200Mなどがある。
揺変性付与剤の使用量は、特に限定されないが、例えば、常温硬化性樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下が好ましく、20質量部以上100質量部以下が特に好ましい。また、揺変性付与剤は、硬化性組成物中に、5質量%以上50質量%以下含まれるのが好ましく、10質量%以上40質量%以下含まれるのが特に好ましい。
<(C)充填剤>
本発明においては、さらに(C)充填剤を配合する。充填剤は、本発明の硬化性組成物が硬化したシーリング材に強度を付与することに寄与する。充填剤としては、例えば、マイカ、カオリン、ゼオライト、グラファイト、珪藻土、白土、クレー、タルク、スレート粉、無水ケイ酸、石英微粉末、アルミニウム粉末、亜鉛粉末、沈降性シリカなどの合成シリカ、有機酸系化合物等の化合物で表面が処理(被覆等)されていない炭酸カルシウム(単に、「炭酸カルシウム」ということがある。)、炭酸マグネシウム、アルミナ等の無機粉末状充填剤;ガラス繊維、炭素繊維などの繊維状充填剤;木粉、クルミ穀粉、もみ殻粉、パルプ粉、木綿チップ、ゴム粉末、さらにポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂等の熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂の粉末等の有機系充填剤、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムなどの難燃性付与充填剤なども挙げられる。これらのうち、入手が容易でありつつ強度を確実に付与できる点から、炭酸カルシウムが好ましい。充填剤の粒子径としては、例えば、0.01〜1,000μmが好ましい。
充填剤の使用量は、特に限定されないが、例えば、常温硬化性樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下が好ましく、20質量部以上100質量部以下が特に好ましい。また、充填剤は、硬化性組成物中に、5質量%以上40質量%以下含まれるのが好ましく、10質量%以上30質量%以下含まれるのが特に好ましい。
<(D)接着性付与剤>
本発明においては、さらに(D)接着性付与剤を配合する。接着性付与剤は、本発明の硬化性組成物が硬化したシーリング材に、建築物の外装材の貫通口を貫通した換気設備のパイプや給排水管等の部材や透湿防水シートに対する接着性を付与する。接着性付与剤としては、カップリング剤、エポキシ樹脂、アルキルチタネート類、有機ポリイソシアネート等が挙げられる。カップリング剤としては、シラン系、アルミニウム系、ジルコアルミネート系などの各種カップリング剤及び/又はその部分加水分解縮合物が挙げられる。これらのうちシランカップリング剤及び/又はその部分加水分解縮合物が接着性に優れている点で好ましい。
シラン系カップリング剤としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等の官能基を有するアルコキシシラン類、イソプロペノキシシラン類などが挙げられる。また、シラン系カップリング剤としては分子量500以下、好ましくは400以下の低分子化合物及び/又はシラン系カップリング剤の1種または2種以上の部分加水分解縮合物で分子量200〜3,000の化合物を挙げられる。
接着性付与剤の使用量は、特に限定されないが、例えば、常温硬化性樹脂100質量部に対して、0.05質量部以上2.00質量部以下が好ましく、0.10質量部以上1.00質量部以下が特に好ましい。また、接着性付与剤は、硬化性組成物中に、0.05質量%以上1.00質量%以下含まれるのが好ましく、0.10質量%以上0.50質量%以下含まれるのが特に好ましい。
本発明では、上記した(A)〜(D)の成分に加えて、必要に応じて、以下の任意成分を配合することもできる。
<硬化促進触媒>
硬化促進触媒は、前記常温硬化性樹脂の活性水素基、水分や酸素との反応を促進し、硬化性組成物の硬化を促進するため使用するものである。具体的には、有機金属化合物、アミン類等が挙げられ、有機金属化合物としては、オクチル酸錫、ナフテン酸錫等の2価の有機錫化合物、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジバーサテート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ビス(トリエトキシシリケート)、ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物等の4価の有機錫化合物、ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)、錫系キレート化合物の旭硝子社製EXCESTARC−501、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトナート)、チタンテトラキス(アセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アセチルアセトンコバルト、アセチルアセトン鉄、アセチルアセトン銅、アセチルアセトンマグネシウム、アセチルアセトンビスマス、アセチルアセトンニッケル、アセチルアセトン亜鉛、アセチルアセトンマンガン等の各種金属のキレート化合物、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のチタン酸エステル類、その他、オクチル酸鉛やオクチル酸ジルコニウム等のマンガン、鉄、コバルト、銅、亜鉛、ジルコニウム、鉛、ビスマス等の錫以外の各種金属と、オクチル酸、ステアリン酸、ナフテン酸等の各種有機酸との金属有機酸塩などが挙げられ、アミン類としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕ウンデセン−7(DBU)、1,4−ジアザビシクロ〔2,2,2〕オクタン(DABCO)、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等の第3級アミン類、またはこれらのアミン類とカルボン酸等の塩類などが挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して使用できる。これらのうち、反応速度が高く、毒性及び揮発性の比較的低い液体である点から有機金属化合物が好ましく、有機錫化合物や金属キレート化合物がより好ましく、ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)が特に好ましい。
硬化促進触媒の使用量は、硬化速度、硬化物の物性などの点から、常温硬化性樹脂100質量部に対して、0.001質量部以上10質量部以下が好ましく、0.002質量部以上2質量部以下が特に好ましい。
<耐候性安定剤>
前記耐候性安定剤は、常温硬化性樹脂の硬化物の酸化や光劣化、熱劣化を防止して、耐候性だけではなく耐熱性をさらに向上させるために使用する。耐候性安定剤としては、具体的には、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、メチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどが挙げられる。また、旭電化工業株式会社製のアデカスタブシリーズのLA−52、LA−57、LA−62、LA−67、LA−77、LA−82、LA−87などの分子量1000未満の低分子量ヒンダードアミン系光安定剤、同じくLA−63P、LA−68LD或いはチバスペシャルティケミカルズ株式会社製の商品名CHIMASSORBシリーズの119FL、2020FDL、944FD、944LDなどの分子量1000以上の高分子量ヒンダードアミン系光安定剤なども挙げられる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N′−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオアミド]、ベンゼンプロパン酸3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシC7−C9側鎖アルキルエステル、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノールなどが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノールなどのトリアジン系紫外線吸収剤、オクタベンゾンなどのべンゾフェノン系紫外線吸収剤、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどのベンゾエート系紫外線吸収剤が挙げられる。
耐候性安定剤は、単独または2種以上を組み合わせて使用できるが、これらのうちヒンダードアミン系光安定剤単独、ヒンダードフェノール系酸化防止剤単独、ヒンダードアミン系光安定剤とヒンダードフェノール系酸化防止剤との組み合わせ、すなわち、ヒンダードアミン系光安定剤および/またはヒンダードフェノール系酸化防止剤が、耐候性、耐熱性の向上に優れているため好ましい。
耐候性安定剤の使用量は、常温硬化性樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上30質量部以下が好ましく、0.5質量部以上20質量部以下がより好ましく、1.0質量部以上10質量部以下が特に好ましい。
<オキサゾリジン化合物>
本発明において、常温硬化性樹脂としてイソシアネート基含有ウレタン系プレポリマーを選択し、一液湿気硬化型組成物、すなわち、一液湿気硬化型ポリウレタン系組成物として用いた場合、ウレタン系プレポリマー中のイソシアネート基含有量が大きなとき、得られる硬化性組成物を、夏場などの高温、多湿の状態で施工したとき、硬化途中に発生する炭酸ガスにより発泡を生じ、外観、接着性の低下傾向などが生じる場合がある。これを防止する手段として、イソシアネート基含有ウレタン系プレポリマーに、さらにオキサゾリジン化合物(オキサゾリジン環を有する化合物)を配合するのが好ましい場合がある。
前記オキサゾリジン化合物は、酸素原子と窒素原子を含む飽和5員環の複素環であるオキサゾリジン環を1分子内に1個以上、好ましくは2〜6個有する化合物であり、大気中の水分(湿気)と反応し加水分解を受け、オキサゾリジン環が2級アミノ基とアルコール性水酸基を生成(再生)することにより、イソシアネート基含有ウレタン系プレポリマーの潜在性硬化剤として機能するものである。イソシアネート基含有ウレタン系プレポリマーのイソシアネート基が水分(湿気)と反応すると、尿素結合が生成して硬化するが、この際炭酸ガスも発生し、硬化物の中に炭酸ガスによる気泡が生じ外観の悪化、硬化物の破断、接着性の低下などの傾向が生じる。一方で、イソシアネート基含有ウレタン系プレポリマーとオキサゾリジン化合物とを混合したものを水分(湿気)に暴露した場合は、水分(湿気)とイソシアネート基が反応する前にオキサゾリジン化合物のオキサゾリジン環が水分(湿気)により加水分解を受け、2級アミノ基とアルコール性水酸基を再生し、これらの活性水素がイソシアネート基と反応して炭酸ガスを発生することなく硬化する。これにより、一液湿気硬化型硬化性組成物の炭酸ガスによる発泡を防止できるものである。
また、イソシアネート基含有ウレタン系プレポリマーの合成において、有機イソシアネート原料として脂肪族系有機ポリイソシアネートを用いた場合、水分だけの反応だと硬化速度が遅延する傾向がある。しかし、オキサゾリジン化合物を用いることにより、脂肪族系有機ポリイソシアネートと水分との反応により再生する2級アミノ基と脂肪族系有機ポリイソシアネート由来のイソシアネート基との反応は、水分との反応よりも反応速度が大きなため硬化速度を速められ、上記した硬化促進触媒の使用量を低減することができるという効果をも有する。
オキサゾリジン化合物としては、具体的には、例えば、水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の水酸基と、有機イソシアネート化合物のイソシアネート基や有機カルボン酸化合物のカルボキシル基とを反応させて得られる、ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物、エステル基含有オキサゾリジン化合物、オキサゾリジンシリルエーテル、カーボネート基含有オキサゾリジンなどが挙げられる。これらのうち、製造し易く粘度の低い点でウレタン結合含有オキサゾリジン化合物が好ましい。
ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物としては、水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の水酸基と、有機イソシアネート化合物のイソシアネート基とを、イソシアネート基/水酸基のモル比が0.9〜1.2の範囲、好ましくは0.95〜1.05の範囲となるように使用し、50〜120℃の温度で反応して得られるものが挙げられる。
ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物の合成に用いられる有機イソシアネート化合物としては、例えば、上記したイソシアネート基含有ウレタン系プレポリマーの合成に用いられる有機イソシアネート化合物と同様のものが挙げられる。このうちウレタン結合含有オキサゾリジン化合物の結晶化度を低下させ、得られる硬化性組成物の作業性を良好にできる点で、脂肪族系有機ポリイソシアネートが好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネートが特に好ましい。
前記水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物としては、具体的には、例えば、アルカノールアミンの2級アミノ基と、ケトン化合物またはアルデヒド化合物のカルボニル基との脱水縮合反応により得られるN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンが挙げられる。この水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の合成方法としては、アルカノールアミンの2級アミノ基1.0モルに対し、アルデヒドまたはケトンのカルボニル基が1.0モル以上、好ましくは1.0〜1.5倍モル、特に好ましくは1.0〜1.2倍モル使用し、トルエン、キシレン等の溶媒中で、加熱、還流し、副生する水を除去しながら脱水縮合反応を行う方法が挙げられる。過剰のアルデヒド化合物やケトン化合物は、例えば、蒸留により除去することができる。
前記したアルカノールアミンとしては、例えば、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−(2−ヒドロキシプロピル)アミンなどが挙げられる。ケトン化合物としては、例えば、アセトン、ジエチルケトン、イソプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−t−ブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。アルデヒド化合物としては、例えば、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、2−メチルブチルアルデヒド、n−へキシルアルデヒド、2−メチルペンチルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、3,5,5−トリメチルへキシルアルデヒド等の脂肪族アルデヒド化合物;ベンズアルデヒド、メチルベンズアルデヒド、トリメチルベンズアルデヒド、エチルベンズアルデヒド、イソプロピルベンズアルデヒ、イソブチルベンズアルデヒド、メトキシベンズアルデヒド、ジメトキシベンズアルデヒド、トリメトキシベンズアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物などが挙げられる。
これらのアルカノールアミンのうち、水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の製造の容易さと、得られる一液湿気硬化型硬化性組成物が硬化するときの発泡防止性に優れている点で、ジエタノールアミンが好ましい。ケトン化合物またはアルデヒド化合物のうち、アルデヒド化合物が好ましく、アルデヒド化合物のうち、イソブチルアルデヒド、2−メチルペンチルアルデヒド、ベンズアルデヒドが好ましい。水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の具体例として、2−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン、2−(1−メチルブチル)−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン、2−フェニル−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジンなどが挙げられる。
オキサゾリジンシリルエーテルは、例えば、上記した水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物と、トリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、トリエトキシシラン、ジメトキシジメチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシランとの脱アルコール反応によって得ることができる。
カーボネート基含有オキサゾリジンは、例えば、上記した水酸基及びオキサゾリジン環を有する化合物と、ジアリルカーボネート等のカーボネートとを、ジエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコールを用いて反応させることによって得ることができる。
エステル基含有オキサゾリジンは、例えば、上記した水酸基及びオキサゾリジン環を有する化合物と、ジカルボン酸又はポリカルボン酸の低級アルキルエステルと、を反応させることによって得ることができる。
なお、オキサゾリジン化合物は、分子内に、イソシアネート基含有ウレタン系プレポリマーのイソシアネート基と5〜35℃の温度で反応するアミノ基や水酸基等の活性水素基含有官能基またはイソシアネート基を有していないことが好ましい。これはウレタンプレポリマーの粘度上昇やオキサゾリジン化合物の発泡防止性能の低下を確実に防止するためである。但し、上記したウレタン結合含有オキサゾリジン化合物の合成において、モル比の選択により少量の活性水素基含有官能基やイソシアネート基が分子内に残存する場合があるが、ウレタンプレポリマーの粘度やオキサゾリジン化合物の発泡防止性能に影響しない程度の場合には、活性水素基含有官能基またはイソシアネート基を有していないとみなすことができる。なお、前記少量とは、分子内に残存する活性水素基含有官能基またはイソシアネート基の量が、好ましくはオキサゾリジン化合物1g当たり、0.05mmol以下、さらに好ましくは0.02mmol以下である。
前記オキサゾリジン化合物の使用量は、イソシアネート基含有ウレタン系プレポリマー中のイソシアネート基1.0モルに対して、オキサゾリジン化合物が加水分解して再生する2級アミノ基の活性水素が0.3モル以上であることが好ましく、0.5〜1.0モルが特に好ましい。2級アミノ基の活性水素が0.3モル未満では発泡防止が不十分となる場合がある。
イソシアネート基含有ウレタン系プレポリマーとオキサゾリジン化合物を組み合わせた場合、オキサゾリジン化合物の加水分解触媒を使用することができる。オキサゾリジン化合物の加水分解触媒は、オキサゾリジン化合物が水分(湿気)と反応し加水分解をして活性水素を再生するのを促進するとともに、再生した活性水素と、イソシアネート基含有ウレタン系プレポリマーのイソシアネート基との反応を促進させる。オキサゾリジン化合物の加水分解触媒としては、例えば、金属系触媒、アミン系触媒、有機カルボン酸系触媒、燐酸エステル系触媒、p−トルエンスルホニルイソシアネート、p−トルエンスルホニルイソシアネートと水分との反応物などが挙げられる。
金属系触媒やアミン系触媒としては、例えば、上記した常温硬化性樹脂の硬化促進触媒として挙げた触媒と同様の有機金属化合物、第3級アミン類、第3級アミン類の塩、カルボン酸の塩類などが挙げられる。
前記有機カルボン酸系触媒としては、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、カプロン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、2−エチルヘキサン酸(オクチル酸)、オクテン酸、ラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪族カルボン酸、マレイン酸、アクリル酸等のα、β−不飽和カルボン酸、フタル酸、安息香酸、サリチル酸等の芳香族カルボン酸、これらの酸無水物などが挙げられる。
燐酸エステル系触媒としては、例えば、正燐酸エステル化合物、亜燐酸エステル化合物などが挙げられる。正燐酸エステル化合物としては、例えば、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート等の酸性燐酸エステル化合物などが挙げられる。亜燐酸エステル化合物としては、例えば、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、ジフェニルモノ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト等の亜燐酸トリエステル化合物、ジラウリルハイドロゲンホスファイト、ジオレイルハイドロゲンホスファイト、ジフェニルハイドロゲンホスファイト等の亜燐酸ジエステル化合物などが挙げられる。
前記p−トルエンスルホニルイソシアネートと水分との反応物は、硬化性組成物に配合する前に、p−トルエンスルホニルイソシアネートと水分とを予め反応して得られたものであってもよく、p−トルエンスルホニルイソシアネートを硬化性組成物に配合している間に水分を添加して反応させたもの、硬化性組成物中に存在する水分と反応させたもの、または硬化性組成物に配合した後、貯蔵中に、添加剤中などに含まれる水分と反応して生成したものであってもよい。
これらの加水分解触媒は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの加水分解触媒のうち、硬化促進効果が優れている点で、リン酸エステル系触媒、有機カルボン酸系触媒、p−トルエンスルホニルイソシアネートおよびp−トルエンスルホニルイソシアネートと水分との反応物などからなる群から選択される1種または2種以上が好ましく、燐酸エステル系触媒、p−トルエンスルホニルイソシアネートおよびp−トルエンスルホニルイソシアネートと水分との反応物がより好ましく、硬化性組成物の貯蔵安定性向上剤を兼ねて使用できる点で、p−トルエンスルホニルイソシアネートが特に好ましい。
前記オキサゾリジン化合物の加水分解触媒の配合量は、イソシアネート基含有ウレタン系プレポリマー100質量部に対して、0.001〜10質量部が好ましく、0.1〜5質量部が特に好ましい。0.001質量部未満だと加水分解促進の効果が少なく、10質量部を超えると硬化性組成物の貯蔵安定性や硬化物の耐水性、耐熱性を低下させる傾向にある。
<貯蔵安定性改良剤>
貯蔵安定性改良剤としては、一液湿気硬化型組成物中に存在する水分と反応する化合物、例えば、ビニルトリメトキシシランなどの低分子の架橋性シリル基含有化合物、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、p−トルエンスルホニルイソシアネートなどが挙げられる。
<着色剤>
着色剤としては、硬化性組成物に付与する所望の色彩に応じて適宜選択可能であり、例えば、酸化チタンや酸化鉄などの無機系顔料、銅フタロシアニンなどの有機系顔料、カーボンブラックなどが挙げられる。
貯蔵安定改良剤及び着色剤の合計の配合量は、常温硬化性樹脂100質量部に対して、それぞれ、0〜500質量部が好ましく、10〜300質量部がより好ましく、10〜200質量部が特に好ましい。
<透湿防水シート>
次に、本発明の硬化性組成物が施工の対象とすることができる、透湿防水シートについて説明する。透湿防水シートは、例えば、通気層構法における住宅外壁下地用に使用されるものである。本明細書において、透湿防水シートとは、JIS A 6111:2016で規定される透湿性(透湿抵抗)にて0.19m・s・Pa/μg以下であり、JIS L 1092:2009の「7.1.1 A法(低水圧法)」または「7.1.2 B法(高水圧法)」で規定される耐水度が10kPa以上の防水性等を備えている透湿防水シートを意味する。このような透湿防水シートとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンからなる不織布やフィルムを好ましく使用できる。市販品としては、タイベックハウスラップ、タイベックシルバー(旭・デュポンフラッシュスパンプロダクツ株式会社製)等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物の透湿防水シートとの付着部分およびその周囲の防水性は、本発明の硬化性組成物を透湿防水シート表面に塗布し、硬化性組成物が硬化した後に防水性試験を行うことで、塗布部分及びその周囲の防水性を測定する。
次に、本発明の硬化性組成物を用いた施工方法について説明する。建築物の外装材の屋内側表面に設けられた透湿防水シートに対し、建築物の外装材に設けられた貫通口に対応した位置に、該貫通口に連通するように開口部を形成する。次に、換気設備のパイプや給排水管等の部材を前記貫通口及び前記開口部に挿入する。前記部材の貫通部と前記透湿防水シートの開口部との間の空隙及び透湿防水シート面のうち該空隙の周囲に、本発明の硬化性組成物を塗布する。塗布した硬化性組成物を常温にて所定時間放置して硬化させる。硬化性組成物が硬化することで、前記部材の貫通部と透湿防水シートを接着し、前記部材の貫通部と透湿防水シートの開口部との空隙をシーリングして容易に前記開口部に気密性を付与することができ、ひいては、前記部材の貫通部と透湿防水シートの開口部との接着部に容易に防水性を付与することができる。
以下、本発明について、実施例等により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(硬化性組成物U−1の調製)
<実施例1>
攪拌機、温度計、窒素シール管および加熱・冷却装置付き反応容器に、窒素ガスを流しながら、ポリオキシプロピレントリオール(AGC株式会社製、エクセノール5030、数平均分子量5,000、総不飽和度0.07meq/g)100g、ポリオキシプロピレンジオール(AGC株式会社製、エクセノール3021、数平均分子量3,300、総不飽和度0.07meq/g)157gを仕込み、100℃、30mmHgにおいて30分減圧脱水を行ない、内容物の含水率が0.03%以下(質量%、以下同様)であることを確認した。次に、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート75gを攪拌しながら仕込んだ後、加温し70〜75℃で1時間反応させた。得られた反応物のNCO含有量は5.45質量%であった。得られた反応物を40℃に冷却後、乾燥した重質炭酸カルシウム100g、乾燥した脂肪酸表面処理炭酸カルシウム(丸尾カルシウム株式会社製、カルファイン200M)180g、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1g、オクチル酸ジルコニウム0.01gを仕込み、常温常圧下において30分、常温30mmHg減圧下において30分、それぞれ混練りし、容器に詰め、密封して溶剤および可塑剤を含有しない硬化性組成物U−1を調製した。
(硬化性組成物U−2の調製)
<実施例2>
攪拌機、温度計、窒素シール管および加熱・冷却装置付き反応容器に、窒素ガスを流しながら、ポリオキシプロピレントリオール(三井化学株式会社製、MN−4000、数平均分子量4,000)100g、ポリオキシプロピレンモノオール(AGC株式会社製PML−1003、数平均分子量3080)100gを仕込み、100℃、30mmHgにおいて30分減圧脱水を行ない、内容物の含水率が0.03%以下であることを確認した。次に、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート45g、ジブチル錫ジラウレート0.02gを攪拌しながら仕込んだ後、加温し70〜75℃で1時間反応させた。得られた反応物のNCO含有量は2.98質量%であった。得られた反応物を40℃に冷却後、乾燥した重質炭酸カルシウム150g、乾燥した脂肪酸表面処理炭酸カルシウム(丸尾カルシウム株式会社製、カルファイン200M)200g、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1g、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(BASFジャパン株式会社製、IRGANOX1010)3gを仕込み、常温常圧下において30分、常温30mmHg減圧下において30分、それぞれ混練りし、容器に詰め、密封して溶剤および可塑剤を含有しない硬化性組成物U−2を調製した。
(硬化性組成物U−3の調製)
<実施例3>
攪拌機、温度計、窒素シール管および加熱・冷却装置付き反応容器に、窒素ガスを流しながら、ポリオキシプロピレントリオール(三井化学株式会社製、MN−4000、数平均分子量4,000)150g、ポリオキシプロピレンジオール(AGC株式会社製、エクセノール3021、数平均分子量3,300)200gを仕込み、100℃、30mmHgにおいて30分減圧脱水を行ない、内容物の含水率が0.03%以下であることを確認した。次に、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート100gを攪拌しながら仕込んだ後、加温し70〜75℃で1時間反応させた。得られた反応物のNCO含有量は5.10質量%であった。得られた反応物を40℃に冷却後、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(東ソー株式会社製、ミリオネートMR−200)20g、乾燥した重質炭酸カルシウム300g、乾燥した脂肪酸表面処理炭酸カルシウム(丸尾カルシウム株式会社製、カルファイン200M)150g、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン3g、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(BASFジャパン株式会社製、IRGANOX1010)5gを仕込み、常温常圧下において30分、常温30mmHg減圧下において30分、それぞれ混練りし、容器に詰め、密封して溶剤および可塑剤を含有しない硬化性組成物U−3を調製した。
(硬化性組成物RU−1の調製)
<比較例1>
攪拌機、温度計、窒素シール管および加熱・冷却装置付き反応容器に、窒素ガスを流しながら、ポリオキシプロピレントリオール(三井化学株式会社製、MN−4000、数平均分子量4,000)262g、ポリオキシプロピレンジオール(AGC株式会社製、エクセノール3021、数平均分子量3,300)411gを仕込み、100℃、30mmHgにおいて30分減圧脱水を行ない、内容物の含水率が0.03%以下であることを確認した。次に、トルエン40g、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート175.6g、ジブチル錫ジラウレート0.1gを攪拌しながら仕込んだ後、加温し70〜75℃で1時間反応させた。得られた反応物のNCO含有量は4.38質量%であった。得られた反応物を40℃に冷却後、乾燥した重質炭酸カルシウム100gを仕込み、内容物が均一になるまで1時間攪拌、混錬した後、乾燥した親水性コロイド状シリカ(株式会社トクヤマ製、レオロシールQS−102)67.6gを仕込み、さらに内容物が均一になるまで1時間攪拌、混錬した。次いで、ジブチル錫ジアセチルアセトナート(日東化成株式会社製、ネオスタンU−220)0.9gを仕込み、常温常圧下において30分、常温30mmHg減圧下において30分、それぞれ混練りし、容器に詰め、密封して溶剤を含有する硬化性組成物RU−1を調製した。
(硬化性組成物RU−2の調製)
<比較例2>
攪拌機、温度計、窒素シール管および加熱・冷却装置付き反応容器に、窒素ガスを流しながら、分子量3000のポリオキシプロピレンジオール228.1g、分子量4000のポリオキシプロピレントリオール121.7gを仕込み、100℃、30mmHgにおいて30分減圧脱水を行ない、内容物の含水率が0.03%以下であることを確認した。次に、ペンタエリスリトールトリアクリレート6.8gを仕込み、混練りして均一に分散させた後、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート43.3gを仕込み、70〜75℃において2時間反応させた。得られた反応物のNCO含有量は0.77質量%であった。得られた反応物を40℃に冷却後、乾燥した炭酸カルシウム250g、乾燥した酸化チタン50g、フタル酸ジオクチル(DOP)200g、キシレン63g、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(BASFジャパン株式会社製、IRGANOX1010)10gを仕込み、常温常圧下において1時間混練りした。次に、乾燥した親水性コロイド状シリカ(株式会社トクヤマ製、レオロシールQS−102)37gを仕込み、常温常圧下において30分、常温30mmHg減圧下において30分、それぞれ混練りし、容器に詰め、密封して溶剤および可塑剤を含有する硬化性組成物RU−2を得た。
(硬化性組成物RU−3の調製)
<比較例3>
ナフテン系溶剤(エクソンモービル社製、エクソールD40)を65g用いた以外は、実施例2と同様の操作を行い、硬化性組成物RU−3を調製した。
以下に、試験方法について説明する。
(1)防水性(耐水度)
得られた硬化性組成物を透湿防水シート(旭・デュポンフラッシュスパンプロダクツ株式会社製、商品名「タイベックハウスラップ」、JIS A 6111:2016で規定される透湿抵抗が0.17m・s・Pa/μg、JIS L 1092:2009の「7.1.2 B法(高水圧法)」で規定される耐水度が16.4kPa)上に後述する測定装置の測定部の面積に対して塗布面積が50%となるように、測定部の中心に対応する位置に円状に塗布し、23℃、50%相対湿度雰囲気下で72時間硬化させたものを試験体とした。JIS L 1092:2009の「7.1.2 B法(高水圧法)」に準拠した装置に規定量の水を入れ、その上に得られた試験体を硬化性組成物の塗布面が水に当たるように取り付け、水圧を加えて、透湿防水シートの裏側に3か所から水が出たときの水圧を測定し、防水性の指標である耐水度とした。また、防水性(耐水度)の低下率は、硬化性組成物を塗布しないで測定した透湿防水シートの耐水度に対する低下の割合を計算することで求めた。
(2)ゴム物性(切断時伸び、50%伸び引張応力)
得られた硬化性組成物を離型処理した型枠内に、厚さ約2.5mmとなるように泡を巻き込まないように注意して流し、23℃、50%相対湿度の室内に7日間放置した。その後、脱型し、さらに同条件で3日間放置し養生して硬化物シートの試験体を作製した。作製した試験体を用い、JIS K 6251:2004に準拠して、ダンベル状3号形で試験をし、切断時伸び及び50%伸び引張応力を求めた。
(3)押出し性
得られた硬化性組成物を、JIS A 1439:2004の「5.14試験用カートリッジによる押出し試験」に準拠して試験をし、カートリッジ内の試料の全量を押し出すのに要する時間(秒)を測定した。
(4)接着性
得られた硬化性組成物を、JIS A 5536:2015「床仕上げ材用接着剤」、6.3.3に準拠して、90度剥離接着強さ試験を行った。その際、下地材として、幅70mm、長さ150mm、厚さ5mmのフレキシブルボード(繊維強化セメント板)に透湿防水シート(旭・デュポンフラッシュスパンプロダクツ株式会社製、商品名「タイベックハウスラップ」)をアルミクロステープにより貼り付けたもの(下記表1にて「透湿防水シート」と表記)、幅70mm、長さ150mm、厚さ2mmのアルミニウム板(下記表1にて「アルミニウム」と表記)、幅70mm、長さ150mm、厚さ5mmの硬質ポリ塩化ビニル板(下記表1にて「硬質塩ビ」と表記)を使用した。上記各下地材の中央部表面(30mmの幅)に、23℃、55%相対湿度において、くし目ゴテを用いて、得られた硬化性組成物を約350g/mの量で塗布した。23℃、55%相対湿度の条件でオープンタイムを30分とった後、透湿防水シート(旭・デュポンフラッシュスパンプロダクツ株式会社製、商品名「タイベックハウスラップ」)を幅25mm、長さ200mmの大きさに切り取ったものを、硬化性組成物が塗布された各下地材に貼り付けた。その後、ハンドローラーで約5kgの荷重で2往復して透湿防水シートを各下地材に圧着してシートを作製した後、作製したシート上面に1cmあたり質量10gのおもりを載せて72時間、23℃、55%相対湿度の条件で養生したものを試験体とした。得られた試験体に対して、引張り速度200mm/minで引張り試験を行い、試験体の接着性を評価した。
実施例1〜3、比較例1〜3の試験結果を下記表1に示す。
Figure 2020165133
表1から、溶剤も可塑剤も配合されていない実施例1〜3の硬化性組成物では、押出し時間が12秒以下と、良好な押出し性を損なうことなく、硬化性組成物が塗布された透湿防水シートでは、防水性試験の耐水度が15.8kPa以上と、透湿防水シートが優れた防水性を有していた。従って、実施例1〜3の硬化性組成物では、適度な流動性が付与されて良好な塗布作業性を得つつ、透湿防水シートの防水性を維持または向上させることができた。また、実施例1〜3の硬化性組成物の硬化物は、切断時伸びが370%以上、50%伸び引張応力が3.3MPa以下と、優れたゴム物性を有し、また、硬質塩ビ、アルミニウム、透湿防水シートに対して、優れた接着性を発揮することができた。従って、実施例1〜3の硬化性組成物を用いることで、多様な部材に対して優れた接着性を有し、また、給排水管やパイプ等の部材の動きに追従できる強度と弾性を有するシーリング材を得ることができた。
特に、硬化性組成物中における常温硬化性樹脂の含有量が約55質量%、NCO含有量が5.45質量%である実施例1、硬化性組成物中における常温硬化性樹脂の含有量が約50質量%、NCO含有量が5.10質量%である実施例3では、硬化性組成物中における常温硬化性樹脂の含有量が約40質量%、NCO含有量が2.98質量%である実施例2と比較して、押出し性がさらに向上して、さらに適した流動性が付与されて、より優れた塗布作業性を得ることができた。
一方で、硬化性組成物中における溶剤の含有量が約3.8質量%であり、可塑剤が含まれていない比較例1、硬化性組成物中における可塑剤の含有量が約19.8質量%、溶剤の含有量が約6.2質量%である比較例2、硬化性組成物中における溶剤の含有量が約9.8質量%であり、可塑剤が含まれていない比較例3では、硬化性組成物が塗布された透湿防水シートの防水性試験の耐水度が8.3kPa以下と、透湿防水シートの防水性が得られなかった。また、比較例1〜3では、硬質塩ビ、アルミニウムに対する接着性も得ることができなかった。
本発明の硬化性組成物から得られるシーリング材は、塗布作業性に優れるとともに、透湿防水シートの防水性が得られ、優れたゴム物性と接着性を発揮することができるので、外装材の屋内側表面に透湿防水シートが設けられた建築物において、該外装材に形成された貫通口と該貫通口に挿入された部材との間の空隙をシーリングする分野で利用することができる。

Claims (11)

  1. 建築物の外装材及び該外装材の室内側に配される透湿防水シートを貫通させて部材を配設する際に、該透湿防水シートの室内側への浸水を防止するための硬化性組成物であって、
    前記硬化性組成物を透湿防水シート上に塗布後、硬化させた試験体の、JIS L 1092:2009の「7.1.2 B法(高水圧法)」に準拠して測定した耐水度が、10.0kPa以上である硬化性組成物。
  2. 前記硬化性組成物の硬化後のJIS K 6251における切断時伸びが350%以上、50%伸び引張応力が5.0MPa以下である請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. JIS A 1439における押出し時間が、15秒以下である請求項1または2に記載の硬化性組成物。
  4. 前記硬化性組成物が、(A)常温硬化性樹脂と、(B)揺変性付与剤と、(C)充填剤と、(D)接着性付与剤と、を含み、
    前記硬化性組成物中における、溶剤の含有量が2.0質量%以下、且つ可塑剤の含有量が2.0質量%以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  5. 前記(A)常温硬化性樹脂が、イソシアネート基含有ウレタン系プレポリマーを含む請求項1乃至4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  6. 前記(B)揺変性付与剤が、有機酸系化合物で表面処理された炭酸カルシウムを含む請求項1乃至5のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  7. 前記(C)充填剤が、炭酸カルシウムを含む請求項1乃至6のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  8. 前記(D)接着性付与剤が、シラン系カップリング剤を含む請求項1乃至7のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  9. 前記硬化性組成物中における、前記(A)常温硬化性樹脂の含有量が、45.0量%以上70質量%以下である請求項1乃至8のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  10. 前記イソシアネート基含有ウレタン系プレポリマー中における、イソシアネート基の含有量が、3.5質量%以上7.0質量%以下である請求項5に記載の硬化性組成物。
  11. 硬化性組成物を透湿防水シート上に塗布後、硬化させた試験体の、JIS L 1092:2009の「7.1.2 B法(高水圧法)」に準拠して測定した耐水度が、10.0kPa以上である硬化性組成物を用意する工程と、
    建築物の外装材及び該外装材の室内側に配される透湿防水シートを貫通した部材の貫通部と該貫通部の周囲とに、前記硬化性組成物を施与する工程と、を含む、
    前記透湿防水シートの室内側への浸水を防止する施工方法。
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