JP5508968B2 - 硬化性組成物及びそれを用いたシーリング材 - Google Patents

硬化性組成物及びそれを用いたシーリング材 Download PDF

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Description

本発明は、硬化性組成物及びそれを用いたシーリング材に関するものである。
シーリング材は、建築物等において各種部材間の接合部や隙間を充填し、水密性・気密性等を確保する目的で幅広く使用されている。代表的な建築物用のシーリング材として、ウレタン樹脂、変成シリコーン樹脂、シリコーン樹脂、ポリサルファイド樹脂などからなるシーリング材が挙げられる。シーリング材には硬化方法の違いにより、主剤と硬化剤を混合することにより硬化させる2成分形と、空気中の湿気や酸素を利用して硬化させる1成分形とがある。
このうち1成分形シーリング材、特に末端にイソシアネート基を含有するウレタン系プレポリマーからなる1成分形ウレタン系シーリング材は、主剤と硬化剤を混合する手間が無く、主剤と硬化剤の計量ミスによる硬化不良もないため、作業性に優れ、安心して使用できる(例えば、特許文献1参照)。また、末端にイソシアネート基を含有するウレタン系プレポリマーからなる1成分形ウレタン系シーリング材は、硬化後低モジュラスかつ高伸びでゴム弾性などが良好で、接着性や耐久性に優れているなどから、年々使用量が増加している。
特開2005−314683号公報
しかしながら、イソシアネート基を含有するウレタン系プレポリマーを配合した硬化性組成物を硬化させ、硬化して得られるシーリング材は、屋外に暴露すると、シーリング材の表面にカビやホコリなどの汚れ成分が付着するため、建築物を構成する目地部および目地周辺部材(被着体)の外観を損ねていた、という問題がある。
また、シーリング材を長期間、屋外に暴露すると、シーリング材の劣化によりシーリング材の表面にクラックや変色などが発生していた、という問題がある。
そのため、イソシアネート基を含有するウレタン系プレポリマーを配合した硬化性組成物を硬化して得られるシーリング材は、その表面に塗装材で塗装することを前提とした用途に限定されていた。
本発明は、前記問題に鑑み、長期にわたって屋外に暴露しても汚れ成分の付着を抑制すると共に、シーリング材の表面にクラックや変色が発生するのを抑制するのに優れる硬化性組成物及びその組成物を用いたシーリング材を提供することを目的とする。
本発明は、次に示す(1)〜(10)である。
(1) 末端に水酸基を有するポリサルファイドポリマー(A)と、ポリオキシアルキレンポリオール(B)と、水酸基含有(メタ)アクリル系単量体(C)との混合物に、ポリイソシアネート化合物(D)を、イソシアネート基/活性水素基のモル比が1.2対1.0から10.0対1.0となる範囲で反応させたものであり、イソシアネート基含有量が2.08質量%以上15.0質量%以下であるポリサルファイド含有プレポリマーを含むことを特徴とする硬化性組成物。
(2) 更に、老化防止剤(E)を含む上記(1)に記載の硬化性組成物。
(3) 更に、光硬化性不飽和化合物(F)を含む上記(1)又は(2)に記載の硬化性組成物。
(4) 更に、光重合開始剤(G)を含む上記(1)から(3)の何れか一項に記載の硬化性組成物。
(5) 前記ポリイソシアネート化合物(D)が、脂肪族若しくは脂環族である上記(1)から(4)の何れか一項に記載の硬化性組成物。
(6) 更に、水分と反応して活性水素基を生成する潜在性硬化剤(H)を含む上記(1)から(5)の何れか一項に記載の硬化性組成物。
(7) 前記潜在性硬化剤(H)が、オキサゾリジン化合物である上記(6)に記載の硬化性組成物。
(8) 更に、前記潜在性硬化剤(H)の開環触媒として、カルボン酸シリルエステル化合物(I)を含み、
前記カルボン酸シリルエステル化合物(I)が、下記式(1)および(2)で表されるカルボン酸シリルエステル基を含み、下記式(1)で表されるカルボン酸シリルエステル基の基数Mと下記式(2)で表されるカルボン酸シリルエステル基の基数Nとが下記式(3)の関係を満たす上記(6)又は(7)に記載の硬化性組成物。
1COO−Si≡ ・・・(1)
2COO−Si≡ ・・・(2)
0.10≦M/(M+N)≦0.80 ・・・(3)
(式中、Rは炭素数13から21の1価の炭化水素基を表し、Rは炭素数5から11のアルキル基を表す。)
(9) 更に、充填剤として炭酸カルシウム(J)を含む上記(1)から(8)の何れか一項に記載の硬化性組成物。
(10) 上記(1)から(9)の何れか一項に記載の硬化性組成物を用いることを特徴とするシーリング材。
本発明によれば、長期にわたって屋外に暴露しても汚れ成分の付着を抑制すると共に、シーリング材の表面にクラックや変色が発生するのを抑制するのに優れる硬化性組成物及びそれを用いたシーリング材を提供することができる。
以下、この発明について詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
本発明の硬化性組成物(以下、「本発明の組成物」という。)は、末端に水酸基を有するポリサルファイドポリマー(A)と、ポリオキシアルキレンポリオール(B)と、水酸基含有(メタ)アクリル系単量体(C)との混合物に、ポリイソシアネート化合物(D)を反応させたポリサルファイド含有プレポリマーを含むことを特徴とする硬化性組成物である。
<ポリサルファイド含有プレポリマー>
本発明の組成物に用いられるポリサルファイド含有プレポリマーは、末端に水酸基を有するポリサルファイドポリマー(A)と、ポリオキシアルキレンポリオール(B)と、水酸基含有(メタ)アクリル系単量体(C)との混合物に、ポリイソシアネート化合物(D)を反応させたプレポリマーである。ポリサルファイド含有プレポリマーは、前記混合物(ポリオール化合物)とポリイソシアネート化合物(D)とを、水酸基(OH基)に対してイソシアネート基(NCO基)が過剰となるように反応させることにより得られる反応生成物である。
ポリサルファイド含有プレポリマーは、分子中に含有されるイソシアネート基が室温で湿気と反応し、尿素結合を形成して、架橋し、硬化することにより、1成分形湿気硬化型組成物として使用できる。ポリサルファイド含有プレポリマーとポリイソシアネート化合物(D)とを、イソシアネート基/活性水素(基)のモル比が1.2対1.0から10.0対1.0、好ましくは1.4対1.0から2.0対1.0となる範囲で同時あるいは逐次に反応させて、ポリサルファイド含有プレポリマー中にイソシアネート基が残存するようにして好適に製造することができる。イソシアネート基/活性水素(基)のモル比が1.2対1.0を下回ると、得られるポリサルファイド含有プレポリマーの架橋点が少なくなりすぎ、シーリング材の硬化後の伸びや引張強度などのゴム弾性物性が低下して接着性が乏しいものとなるからである。イソシアネート基/活性水素(基)のモル比が10対1.0を超えると、湿気等の水分と反応したときに炭酸ガスの発生量が多くなって発泡の原因となるからである。
ポリサルファイド含有プレポリマーのイソシアネート基の含有量は、0.3質量%以上15.0質量%以下が好ましく、特に0.5質量%以上5.0質量%以下が好ましい。イソシアネート基の含有量が0.3質量%未満の場合は、前記と同様の理由で、ゴム弾性物性が低下して十分な接着性が得られない。イソシアネート基含有量が15.0質量%を超える場合も、前記と同様の理由で、炭酸ガスによる発泡が生じ好ましくない。
[末端に水酸基を有するポリサルファイドポリマー(A)]
本発明の組成物に含有されるポリサルファイドポリマー(A)は、ポリマー骨格として主鎖中にサルファイド結合またはポリサルファイド結合を有し、末端に水酸基を有する。
ポリマー骨格としてサルファイド結合またはポリサルファイド結合を有するポリマーであれば特に制限されない。また、末端に水酸基を有するポリサルファイドポリマー(A)は、ポリマー骨格中に例えば、ジエチルホルマール骨格、エーテル結合、ウレタン結合、エステル結合を有していても良い。ポリサルファイドポリマーにおけるサルファイド結合またはポリサルファイド結合の位置は、特に限定されない。
このような末端に水酸基を有するポリサルファイドポリマー(A)としては、具体的には、例えば、下記式(4)で示されるもの等が挙げられる。
Figure 0005508968
(但し、式中、Xの平均値は1以上5以下であり、nは2以上50以下の整数である。R1は炭素数2以上16以下のアルキル基又はエーテル結合含有アルキル基である。R2は炭素数1以上100以下のアルキル基又はエーテル結合含有アルキル基である。)
前記R1としては、−CH(CH3)CH2−、−CH2CH2−O−CH2CH2−、−CH2CH2−、−CH2CH2−O−CH2−O−CH2CH2−、−CH(CH3)CH2−O−CH(CH3)−O−CH(CH3)CH2−、−CH2CH2−O−(CH2CH2−O)p−CH2CH2−(p=1から30)などが挙げられる。前記R1は、粘度が低く作業性や硬化性が良好な点から、−CH2CH2−O−CH2−O−CH2CH2−(エチルホルマール基)が好ましい。
前記R2としては、−CH(CH3)CH2−、−CH2CH2−、−CH2CH(CH3)C(=O)O−CH2(C36O)n(C36)−、−CH2CH2C(=O)O−CH2(C36O)n(C36)−、−CH2CH(CH3)C(=O)O−CH2(C24O)n(C24)−、−CH2CH2C(=O)O−CH2(C24O)n(C24)−、などが挙げられる。
この具体例で表されるポリサルファイドポリマー中、−(R1−SX)−で示される構造単位は、主鎖の全て(100質量%)を形成しているのが好ましく、他の構造単位を含有する場合であっても5質量%以上95質量%以下を形成しているのが好ましい。
上記ポリサルファイドポリマーとしては市販品を用いることができ、その具体例としては、実施例で使用したAKZO NOBEL社製のTHIOPLASTポリマー、東レ・ファインケミカル社製(東レチオコール社製)のLP282ポリマー等が挙げられる。
本発明においては、上記ポリサルファイドポリマーの数平均分子量(Mn)は、通常500以上100,000以下であるのが好ましく、500以上20,000以下であるのがより好ましい。尚、本発明においては、数平均分子量(Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー法(Gel permeation chromatography:GPC)によって測定されたものである。
上記ポリサルファイドポリマーは、例えば、特開平4−363325号公報、特開2010−116452号公報に記載されているように、ポリサルファイドポリマーに水酸基含有の(メタ)アクリレ−トを付加反応させる方法により製造することができる。また、ポリサルファイドポリマーにエポキシを反応させる方法により製造することができる。
末端に水酸基を有するポリサルファイドポリマー(A)は、ポリサルファイドポリマーを変性し、末端に水酸基を有する変性ポリサルファイドポリマーとしてもよい。末端に水酸基を有する変性ポリサルファイドポリマーは、末端に水酸基を有し、主鎖にサルファイド結合またはポリサルファイド結合を有するポリマーである。
[ポリオキシアルキレンポリオール(B)]
ポリオキシアルキレンポリオール(B)は末端が水酸基であり、ポリイソシアネート化合物(D)と重付加してウレタンを形成するものである。本発明の組成物に、ポリオキシアルキレンポリオール(B)を用いることにより、貯蔵安定性がより一層改善された硬化性組成物を得ることができる。ポリオキシアルキレンポリオールとしては、ポリオキシプロピレンポリオール以外に、例えば、ポリエチレンポリオール(PEG)やポリプロピレンエチレンポリオールやポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTG)などが挙げられる。
ポリオキシプロピレンポリオール(B)の数平均分子量(Mn)としては、200以上20,000以下の物が好ましい。数平均分子量(Mn)が200未満では硬化物がもろくなり、数平均分子量(Mn)が2,000を超えると硬化物の物性が柔らかくなるからである。
[水酸基含有(メタ)アクリル系単量体(C)]
水酸基含有(メタ)アクリル系単量体(C)としては、得られるポリマーの粘度の点から、アルコール性水酸基含有(メタ)アクリル系単量体が好ましく、具体的には、エタンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,14−テトラデカンジオールジアクリレート、1,15−ペンタデカンジオールジアクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の多価アルコールのモノ(メタ)アクリレート類又は水酸基残存ポリ(メタ)アクリレート類などが挙げられる。これらはいずれも単独であるいは2種以上を混合し使用できる。また場合により炭素数9以下の(メタ)アクリル系単量体の1種又は2種以上と炭素数10以上の(メタ)アクリル系単量体の1種又は2種以上とを組み合わせて使用してもよい。
[ポリイソシアネート化合物(D)]
ポリイソシアネート化合物(D)は、ウレタン系プレポリマーの製造の際に使用され、分子内にイソシアネート基を2個以上有するものであれば特に限定されない。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、イソシアネート基が芳香族炭化水素と結合している芳香族ポリイソシアネート、イソシアネート基が脂肪族炭化水素と結合している脂肪族ポリイソシアネート、イソシアネート基が脂環式炭化水素と結合している脂環族ポリイソシアネートなどが挙げられる。芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、TDI(例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、あるいはこれらの混合物等のトルエンジイソシアネート)、MDI(例えば、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4′−MDI)、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4′−MDI)、あるいはこれらの混合物等のジフェニルメタンジイソシアネート)、1,4−フェニレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、ジフェニルエーテルジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネートなどが挙げられる。脂肪族ポリイソシアネートとしては、プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート(NBDI)などが挙げられる。脂環族ポリイソシアネートとしては、シクロヘキサンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン(H6XDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)などが挙げられる。また、これら芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートのカルボジイミド変性ポリイソシアネート、ビウレット変性ポリイソシアネート、アロファネート変性ポリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDIまたはポリメリックMDI)、イソシアヌレート変性ポリイソシアネート等が挙げられる。
このようなポリイソシアネート化合物は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらポリイソシアネート化合物のうち、硬化後は低粘度となり、ウレタン系プレポリマーを含む主剤の取り扱いが容易となる理由から、芳香族ポリイソシアネートの中ではTDI、MDIが好ましく、脂肪族ポリイソシアネートの中ではHDI、XDI、脂環族ポリイソシアネートの中ではIPDIが、それぞれ好ましい。
<老化防止剤(E)>
老化防止剤(E)は、ポリサルファイド含有プレポリマーの硬化後の酸化や光劣化、熱劣化を防止して、耐候性、耐熱性を更に向上させる。老化防止剤としては、例えば、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン(DPPD)、N,N′−ジナフチル−p−フェニレンジアミン(DNPD)、2,2,4−トリメチル−1,3−ジヒドロキノリン(TMDQ)、N−フェニル−1−ナフチルアミン(PAN)、トリス(トリデシル)フォスファイト、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系光安定剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤などを挙げることができる。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピベリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピベリジル)セバケート、メチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピベリジンなどが挙げられる。また、旭電化工業社製のアデカスタブシリーズのLA−52、LA−57、LA−62、LA−67、LA−77、LA−82、LA−87などの分子量1,000未満の低分子量ヒンダードアミン系光安定剤、同じくLA−63P、LA−68LD或いはチバスペシャルティケミカルズ社製のCHIMASSORBシリーズの119FL、2020FDL、944FD、944LDなどの分子量1,000以上の高分子量ヒンダードアミン系光安定剤なども挙げられる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、ぺンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N′−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオアミド]、ベンゼンプロパン酸3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシC7−C9側鎖アルキルエステル、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノールなどが挙げられる。
これらの老化防止剤(E)は、1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。特に、老化防止剤は、ヒンダードアミン系光安定剤とヒンダードフェノール系酸化防止剤との何れか一方又は両方を用いるのが、耐候性の向上に優れているため、好ましい。
老化防止剤(E)は、耐候性を備える観点から、ポリサルファイド含有プレポリマー100質量部に対して0.1質量部以上10.0質量部以下配合するのが好ましく、0.5質量部以上5.0質量部以下配合するのがより好ましい。老化防止剤(E)の含有量が、10質量部を超えても、本発明の組成物の耐候性はそれほど変化しないからである。
<光硬化性不飽和化合物(F)>
光硬化性不飽和化合物は、所定の光が照射されることにより硬化される。光硬化性不飽和化合物は、分子内に少なくとも2個のエチレン性不飽和結合を有する多官能エチレン性光硬化性不飽和化合物であることが好ましい。多官能エチレン性光硬化性不飽和化合物は、光重合開始剤により生成された活性基(ラジカル)を有効に受けて、効率良くラジカル重合による高分子化(硬化)がなされる。このような多官能エチレン性光硬化性不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸エステル、アリル化合物、ビニルエーテル化合物、ビニルエステル化合物、ケイ皮酸エステル化合物等が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、2官能以上のエポキシ樹脂とエチレン性不飽和結合を有するカルボン酸との反応から得られるエポキシ(メタ)アクリレート、多価芳香族イソシアネート、多価脂肪族イソシアネートと2価アルコールの(メタ)アクリル酸モノエステルを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート、多価アルコールの(メタ)アクリレートが挙げられる。アリル化合物としては、フタル酸、アジピン酸、マロン酸等のジアリルエステルが挙げられる。ビニルエーテル化合物としては、多価アルコールのビニルエーテル化合物が挙げられる。ビニルエステル化合物としては、ジビニルスクシネート、ジビニルフタレート等が挙げられる。また、一個のエチレン性不飽和結合を有するいわゆる単官能モノマーも適宜併用できる。
光硬化性不飽和化合物(F)は、プレポリマー100質量部に対して1.0質量部以上10質量部以下配合するのが好ましく、2.0質量部以上8.0質量部以下配合するのがより好ましく、4.0質量部以上6.0質量部以下配合するのが更に好ましい。
<光重合開始剤(G)>
本発明の組成物に含有される光重合開始剤(G)は、光によってモノマーを重合させうるものであれば特に限定されない。光重合開始剤(G)としては、例えば、アセトフェノン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、硫黄化合物、アゾ化合物、パーオキサイド化合物、ホスフィンオキサイド系化合物等が挙げられる。具体的には、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アセトイン、ブチロイン、トルオイン、ベンジル、ベンゾフェノン、p−メトキシベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン、メチルフェニルグリオキシレート、エチルフェニルグリオキシレート、4,4′−ビス(ジメチルアミノベンゾフェノン)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、下記式(5)で表される1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのカルボニル化合物;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィドなどの硫黄化合物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロなどのアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイドなどのパーオキサイド化合物;等が挙げられ、これらを1種単独でもちいてもよく、2種以上を併用してもよい。
Figure 0005508968
これらのうち、光安定性、光開裂の高効率性、表面硬化性、樹脂との相溶性、低揮発、低臭気という点から、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンが好ましい。1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンの市販品としては、例えば、イルガキュア184(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)が挙げられる。
光重合開始剤(G)の含有量は、ポリサルファイド含有プレポリマー100質量部に対して0.01質量部以上2.0質量部以下配合するのが好ましく、0.1質量部以上1.0質量部以下配合するのがより好ましい。光硬化性不飽和化合物(F)の含有量が、0.01質量部を下回ると、本発明の組成物を硬化して得られる硬化物のタック抜けに時間がかかるからであり、2.0質量部を超えると、本発明の組成物の貯蔵安定性が悪化する傾向にあるからである。
<潜在性硬化剤(H)>
潜在性硬化剤(H)は、密閉状態、すなわち湿気遮断状態では硬化剤として機能しないが、密閉状態を開封し、湿気の存在する条件下で加水分解して硬化剤として機能する加水分解型潜在性硬化剤、常温では硬化剤として機能しないが、ある一定以上の熱を加えると溶融、相溶または活性化して硬化剤として機能する熱潜在性硬化剤、あるいは光照射によりカチオンを発生させ、エポキシ基の反応を開始させる光硬化開始剤等が挙げられる。光硬化開始剤としては、可視硬化開始剤と紫外光(UV)硬化開始剤とがある。UV硬化開始剤は、UVに反応して硬化を開始させ、誘発する開始剤である。可視硬化開始剤は、可視光に反応して硬化を開始させ、誘発する開始剤である。潜在性硬化剤には、これらの中の2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態では、これらの中でも、硬化成分として水分と反応して活性水素基を生成する加水分解型潜在性硬化剤が好適に用いられる。具体的には、ポリアミンとカルボニル化合物との反応物であるケチミン類、エナミン類;アミノアルコールとカルボニル化合物との反応物であるオキサゾリジン化合物などのアミン系潜在性硬化剤を挙げることができる。本発明の組成物の常温下での硬化時間短縮や保存安定性の観点から、潜在性硬化剤としてオキサゾリジン化合物を使用することが好ましい。
オキサゾリジン化合物を潜在性硬化剤として用いることにより、得られる本発明の組成物は、常温下で湿気硬化が可能であり、貯蔵安定性に優れると共に、硬化性に優れ、硬化速度を調整することができ、硬化時間を大幅に短縮することができる。また、耐発泡性も良好にすることができる。
オキサゾリジン化合物は、酸素原子と窒素原子とを含む飽和5員環の複素環であるオキサゾリジン環を分子内に1個以上、好ましくは2から6個有する化合物である。オキサゾリジン化合物は、大気中の水分(湿気)と反応して加水分解を受け、オキサゾリジン環が2級アミノ基とアルコール性水酸基を生成(再生)することにより、ポリサルファイド含有プレポリマーの潜在性硬化剤として機能するものである。ポリサルファイド含有プレポリマーのイソシアネート基が湿気と反応すると尿素結合を生成して硬化するが、この際、炭酸ガスも発生し、硬化物の中に炭酸ガスによる気泡が生じて外観の悪化、硬化物の破断、接着性の低下などの不具合を生じるが、ポリサルファイド含有プレポリマーとオキサゾリジン化合物とを混合したものを湿気に暴露した場合は、湿気とイソシアネート基が反応する前にオキサゾリジン化合物のオキサゾリジン環が湿気により加水分解を受けて2級アミノ基とアルコール性水酸基を再生し、これらの活性水素がイソシアネート基と反応して炭酸ガスを発生することなく硬化することにより、本発明の組成物の炭酸ガスによる発泡を防止できるものである。
また、上述のポリサルファイド含有プレポリマーの合成において、ポリイソシアネート化合物(D)として脂肪族系ポリイソシアネートを用いた場合、水分だけの反応だと硬化速度が極端に遅延してしまうが、オキサゾリジン化合物を併用することにより、これと水分との反応により再生する2級アミノ基と脂肪族系ポリイソシアネート由来のイソシアネート基との反応は、水分との反応より反応速度が大きいため硬化速度を速められ、後述する硬化促進触媒の使用量を低減することができるという効果を有する。
オキサゾリジン化合物としては、ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物やエステル基含有オキサゾリジン化合物、オキサゾリジンシリルエーテル、カーボネート基含有オキサゾリジンなどが挙げられる。これらのオキサゾリジン化合物は、水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の水酸基と、ポリイソシアネート化合物(D)のイソシアネート基や有機カルボン酸化合物のカルボキシル基とを反応させることにより得られる。これらのオキサゾリジン化合物のうち、製造し易く粘度が低いという観点からウレタン結合含有オキサゾリジン化合物が好ましい。
水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物としては、具体的には、アルカノールアミンの2級アミノ基と、ケトン化合物またはアルデヒド化合物のカルボニル基との脱水縮合反応により得られるN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンが挙げられる。この水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の合成方法としては、アルカノールアミンの2級アミノ基1.0モルに対し、アルデヒド化合物またはケトン化合物のカルボニル基を1.0モル以上、好ましくは1.0倍モル以上1.5倍モル以下、更に好ましくは1.0倍モル以上1.2倍モル以下使用し、トルエン、キシレン等の溶媒中で、加熱、還流し、副生する水を除去しながら脱水縮合反応を行う方法が挙げられる。過剰のアルデヒド化合物やケトン化合物は蒸留により除去すればよい。
アルカノールアミンとしては、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−(2−ヒドロキシプロピル)アミンなどが挙げられる。ケトン化合物としては、アセトン、ジエチルケトン、イソプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−tert−ブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。アルデヒド化合物としては、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、2−メチルブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、2−メチルペンチルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、3,5,5−トリメチルヘキシルアルデヒド等の脂肪族アルデヒド化合物;ベンズアルデヒド、メチルベンズアルデヒド、トリメチルベンズアルデヒド、エチルベンズアルデヒド、イソプロピルベンズアルデヒ、イソブチルベンズアルデヒド、メトキシベンズアルデヒド、ジメトキシベンズアルデヒド、トリメトキシベンズアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物などが挙げられる。これらはいずれも単独で或いは2種以上を混合して使用できる。
これらのうち、水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の製造の容易さと、得られる1成分形室温硬化型シーリング材が硬化するときの発泡防止性に優れている点で、アルカノールアミンとしてはジエタノールアミンが好ましく、ケトン化合物またはアルデヒド化合物のうちアルデヒド化合物が好ましく、さらにイソブチルアルデヒド、2−メチルペンチルアルデヒド、ベンズアルデヒドが好ましい。
水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の具体的な例として、2−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン、2−(1−メチルブチル)−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン、2−フェニル−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジンなどが挙げられる。
ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物としては、水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の水酸基と、有機イソシアネート化合物のイソシアネート基とを、イソシアネート基/水酸基のモル比が0.9から1.2の範囲、好ましくは0.95から1.05の範囲となるように使用し、有機溶剤の存在下または不存在下に50℃以上120℃以下の温度で反応させて得られるものが好適に挙げられる。
前記ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物の合成に用いられる有機イソシアネート化合物は、前述のポリサルファイド含有プレポリマーの合成に用いられるのと同様のものが挙げられ、このうちウレタン結合含有オキサゾリジン化合物の結晶化度を低下させ、シーリング材の作業性を良好にできる点で、脂肪族系ポリイソシアネートが好ましく、特にヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
前記エステル基含有オキサゾリジン化合物は、前述した水酸基及びオキサゾリジン環を有する化合物とジカルボン酸又はポリカルボン酸の低級アルキルエステルとの反応によって得ることができる。
前記オキサゾリジンシリルエーテルは、前述した水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物と、トリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、トリエトキシシラン、ジメトキシジメチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシランとの脱アルコール反応により得られる。
前記カーボネート基含有オキサゾリジンは、前述した水酸基及びオキサゾリジン環を有する化合物とジアリルカーボネート等のカーボネートとを、ジエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコールを用いて反応させることによって得ることができる。
これらはいずれも単独で或いは2種以上を混合して使用できる。
なお、オキサゾリジン化合物は、分子内に、イソシアネート基を含有するウレタン系プレポリマーのイソシアネート基と5℃から35℃の室温(または常温)で反応するアミノ基や水酸基等の活性水素基含有官能基あるいはイソシアネート基を有していないことが好ましい。これはウレタン系プレポリマーの粘度上昇やオキサゾリジン化合物の発泡防止性能の低下を防止するためである。但し、前述のウレタン結合含有オキサゾリジン化合物の合成において、モル比の選択により少量の活性水素基含有官能基やイソシアネート基が分子内に残存する場合があるが、この場合は本発明の目的を達成する上で有していないとみなすことができる。なお、前記「少量」とは、分子内に残存する活性水素基含有官能基またはイソシアネート基の量が、好ましくはオキサゾリジン化合物1g当たり、0.05mmol以下、さらに好ましくは0.02mmol以下である。
オキサゾリジン化合物の使用量は、ポリサルファイド含有プレポリマー中のイソシアネート基1.0molに対して、オキサゾリジン化合物が加水分解して再生する2級アミノ基の活性水素が0.3モル以上1.0mol以下となるように使用するのが好ましく、0.5mol以上1.0mol以下となるように使用するのがより好ましい。オキサゾリジン化合物の使用量が、0.3mol未満では発泡防止が不十分となり好ましくないからである。
潜在性硬化剤(H)は、ポリサルファイド含有プレポリマーの硬化速度を調整するという観点から潜在性硬化剤(H)としてオキサゾリジン化合物を用いた場合、ポリサルファイド含有プレポリマー100質量部に対して2.0質量部以上20.0質量部以下配合するのが好ましく、5.0質量部以上15.0質量部以下配合するのがより好ましく、7.0質量部以上10.0質量部以下配合するのが更に好ましい。潜在性硬化剤(H)の含有量が、2.0質量部を下回ると、ポリサルファイド含有プレポリマーの硬化速度が遅くなるからである。また、潜在性硬化剤(H)の含有量が、20.0質量部を超えると、ポリサルファイド含有プレポリマーの硬化速度が速すぎるからである。
<カルボン酸シリルエステル化合物(I)>
本発明の組成物では、イソシアネート基を含有するプレポリマーとオキサゾリジン化合物を組み合わせた場合、カルボン酸シリルエステル化合物(I)を含むのが好ましい。カルボン酸シリルエステル化合物(I)は、イソシアネート基を含有するプレポリマーとオキサゾリジン化合物を組み合わせた場合、オキサゾリジン化合物の開環触媒として用いられる。開環触媒はオキサゾリジン化合物が湿気と反応し加水分解をして活性水素を再生するのを促進するとともに、再生した活性水素と、イソシアネート基を含有するプレポリマーのイソシアネート基との反応を促進させ、本発明の組成物の硬化を促進させるために添加されるものである。
カルボン酸シリルエステル化合物(I)は、下記式(6)および(7)で表されるカルボン酸シリルエステル基を有し、下記式(6)で表されるカルボン酸シリルエステル基の基数Mと下記式(7)で表されるカルボン酸シリルエステル基の基数Nとが下記式(8)の関係を満たすものが好ましい。
1COO−Si≡ ・・・(6)
2COO−Si≡ ・・・(7)
0.10≦M/(M+N)≦0.80 ・・・(8)
(式中、R1は炭素数13から21、好ましくは13から17の1価の炭化水素基を表し、R2は炭素数5から11、好ましくは7から11のアルキル基を表す。)
カルボン酸シリルエステル化合物(I)は、上記式(6)および(7)で表されるカルボン酸シリルエステル基をそれぞれ異なる分子中に有する化合物を併用するものであっても、これらのカルボン酸シリルエステル基を同一分子中に有する化合物自体または当該化合物を含有するものであってもよい。中でも、本発明の組成物や開環触媒の生産性の観点から後者であるのが好ましい。なお、本実施形態においては、後者の態様として、上記式(6)および(7)で表されるカルボン酸シリルエステル基のケイ素原子が同一原子である態様も含むものとする。
上記式(6)中、R1の炭素数13から21の1価の炭化水素基としては、例えば、アルケニル基などの不飽和またはアルキル基などの飽和の1価の脂肪族炭化水素基;シクロへキシル基などの1価の脂環族炭化水素基;フェニル基、トリル基、ベンジル基、スチリル基などの1価の芳香族含有炭化水素基;等が挙げられる。具体的には、アルキル基として、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基等が好適に例示される。
上記式(7)中、R2の炭素数5から11のアルキル基としては、具体的には、例えば、n−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、3−エチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、1−メチルへキシル基、2−メチルへキシル基、3−メチルへキシル基、4−メチルへキシル基、5−メチルヘキシル基、1−エチルペンチル基、2,2−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、2−エチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−ウンデシル基等が挙げられる。中でも、1−エチルペンチル基、n−ウンデシル基であるのが好ましい。
一方、上記式(8)で示されるように、上記式(6)で表されるカルボン酸シリルエステル基の基数Mと上記式(7)で表されるカルボン酸シリルエステル基の基数Nの割合(M/(M+N))は、0.10以上0.80以下の範囲であり、0.2以上0.8以下の範囲であるのが好ましい。
カルボン酸シリルエステル化合物(I)は、上記式(6)および(7)で表されるカルボン酸シリルエステル基を包含する下記式(9)および(10)で表されるシロキサン単位を有するのが好ましい。
Figure 0005508968
Figure 0005508968
式中、R1は炭素数13から21の1価の炭化水素基を表し、R2は炭素数5から11のアルキル基を表し、Rは水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1から8の1価の炭化水素基を表す。
ここで、上記式(9)中のRおよび上記式(10)中のR2は、それぞれ、上記式(6)中において説明したRおよび上記式(7)中において説明したR2と同様である。また、上記式(9)および(10)中、Rの置換基を有していてもよい炭素数1から8の1価の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、ビニル基、アリル基などの1価の脂肪族炭化水素基;シクロへキシル基などの1価の脂環族炭化水素基;フェニル基、トリル基、ベンジル基、スチリル基などの1価の芳香族炭化水素基;およびこれらを組合せた基;等が挙げられる。具体的には、アルキル基として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−オクチル基等が好適に例示される。中でも、メチル基、フェニル基であるのが好ましい。
上記式(9)で表されるシロキサン単位としては、具体的には、下記の各式で表されるシロキサン単位が好適に例示される。
Figure 0005508968
上記式(10)で表されるシロキサン単位としては、具体的には、下記の各式で表されるシロキサン単位が好適に例示される。
Figure 0005508968
上記式(9)および(10)で表されるシロキサン単位は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
カルボン酸シリルエステル化合物(I)が、更に、下記式(11)で表されるエーテル含有シリル基を有するのが好ましく、カルボン酸シリルエステルが、上記式(6)および(7)で表されるカルボン酸シリルエステル基ならびに下記式(11)で表されるエーテル含有シリル基を同一分子中に有する化合物であるのがより好ましい。
6O−(R5O)r−R4−Si≡ ・・・(11)
(式中、R4およびR5は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数2から6のアルキレン基を表し、R6は水素原子、炭素数1から30のアルキル基またはR13−(CO)−で表される有機基(R13は、炭素数1から30の炭化水素基を表す。)を表し、rは1以上の整数を表す。rが2以上の整数の場合、複数のR5は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
上記式(11)中、R4の置換基を有していてもよい炭素数2から6のアルキレン基としては、具体的には、例えば、エチレン基、トリメチレン基(−CH2CH2CH2−)、プロピレン基(−CH(CH3)−CH2−)、テトラメチレン基、1,1−ジメチルエチレン基等が挙げられる。中でも、エチレン基、トリメチレン基が好ましい。
上記式(11)中のR5は、上記式(11)中のR4と同様であるが、rが2以上である場合、複数のR5は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。なお、上記式(11)中、−(OR5−は、その配列について特に制限されず、例えば、ランダム、ブロック、ランダムとブロックとの混合による配列が挙げられる。中でも、R5がエチレン基およびプロピレン基であるのが好ましい。即ち、−(OR5−が、−(OCH2CH2)−で表される繰返し単位と、−(OCH(CH)CH)−で表される繰返し単位とからなるのが好ましい。
また、上記式(11)中、R6としては、例えば、アルキル基、ビニル基、アリル基などの1価の脂肪族炭化水素基;シクロへキシル基などの1価の脂環式炭化水素基;フェニル基、トリル基、ベンジル基、スチリル基などの1価の芳香族炭化水素基;およびこれらを組合せた基;等が挙げられる。具体的には、アルキル基として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等が好適に例示される。中でも、n−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基であるのが好ましい。
上記式(11)中、rの1以上の整数としては、5以上の整数であるのが好ましく、10以上100以下であるのがより好ましい。
カルボン酸シリルエステル化合物(I)が、上記式(11)で表されるエーテル含有シリル基を包含する下記式(12)で表されるシロキサン単位を有するのが好ましい。
Figure 0005508968
式中、R3は水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1から8の1価の炭化水素基を表し、R4およびR5は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数2から6のアルキレン基を表し、R6は水素原子、炭素数1から30のアルキル基またはR13−(CO)−で表される有機基(R13は、炭素数1から30の炭化水素基を表す。)を表し、rは1以上の整数を表す。rが2以上の整数の場合、複数のR5は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。ここで、上記式(12)中のRは、上記式(9)および(10)中において説明したR3と同様である。また、上記式(12)中のR4、R5およびR6ならびにrは、それぞれ、上記式(11)中において説明したR4、R5およびR6ならびにrと同様である。
上記式(12)で表されるシロキサン単位としては、具体的には、下記の各式で表されるシロキサン単位が好適に例示される。
Figure 0005508968
上記式(12)で表されるシロキサン単位は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
カルボン酸シリルエステル化合物(I)として、上記式(9)および(10)で表されるシロキサン単位ならびに所望により有する上記式(12)で表されるシロキサン単位を分子内部および/または分子末端に含むポリシロキサンを用いるのが好ましい。
本実施形態においては、上記式(9)、(10)および(12)で表されるシロキサン単位は、その配列について特に限定されず、例えば、ランダム、ブロック、ランダムとブロックとの混合による配列が挙げられる。
上記ポリシロキサンは、上記式(9)、(10)および(12)で表されるシロキサン単位以外のシロキサン単位を有することができ、このようなシロキサン単位としては、例えば、下記式(13)で表されるシロキサン単位等が挙げられる。
Figure 0005508968
上記式(13)中、R8は、メチル基、エチル基またはフェニル基を表し、R9は、水素原子または1価の炭化水素基を表す。1価の炭化水素基としては、例えば、アルケニル基などの不飽和またはアルキル基などの飽和の1価の脂肪族炭化水素基;シクロへキシル基などの1価の脂環族炭化水素基;フェニル基、トリル基、ベンジル基、スチリル基などの1価の芳香族含有炭化水素基;等が挙げられる。具体的には、アルキル基として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−オクチル基等が好適に例示される。中でも、メチル基、フェニル基であるのが好ましい。
上記式(13)で表されるシロキサン単位としては、具体的には、下記式(14)または(15)で表されるシロキサン単位が好適に例示される。
Figure 0005508968
Figure 0005508968
上記ポリシロキサンの分子末端は特に限定されず、末端基としては、例えば、−SiR10 3、−Si(0R103、−Si(R102(OH)(式中、R10は、炭素数1から12の炭化水素基、具体的には、メチル基、エチル基またはフェニル基を表し、複数のR10はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)で表される基が挙げられ、特に、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基等が好適に例示される。
上記ポリシロキサンの重合度は2以上1000以下であるのが好ましく、10以上100以下であるのがより好ましい。ポリシロキサンの重合度がこの範囲であると、取り扱い性が良好となる。
上記ポリシロキサンのうち、上記式(9)および(10)で表されるシロキサン単位を有するポリシロキサンとしては、例えば、下記式(16)で表されるポリシロキサンが挙げられる。
Figure 0005508968
式中、R1は炭素数13から21の1価の炭化水素基を表し、R2は炭素数5から11のアルキル基を表し、R3は水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1から8の1価の炭化水素基を表す。R10は炭素数1から12の炭化水素基、具体的には、メチル基、エチル基またはフェニル基を表し同一であっても異なっていてもよく、上記式(16)におけるaおよびbはそれぞれ独立に1以上の整数を表す。
ここで、上記式(16)中のR1およびR2は、それぞれ、上記式(6)中において説明したR1および上記式(7)中において説明したR2と同様であり、上記式(16)中のRは、上記式(9)および(10)中において説明したR3と同様である。
上記式(16)中のaは、上記式(6)で表されるカルボン酸シリルエステル基を有するシロキサン単位、即ち、上記式(9)で表されるシロキサン単位の繰り返し単位数を表し、1以上の整数であり、1以上100以下であるのが好ましく、1以上50以下であるのがより好ましい。
上記式(16)中のbは、上記式(7)で表されるカルボン酸シリルエステル基を有するシロキサン単位、即ち、上記式(10)で表されるシロキサン単位の繰り返し単位数を表し、1以上の整数であり、1以上100以下であるのが好ましく、1以上50以下であるのがより好ましい。
上記式(16)中、カルボン酸シリルエステル基を有する2つのシロキサン単位のそれぞれは、その配列について特に限定されず、例えば、ランダム、ブロック、ランダムとブロックとの混合による配列が挙げられる。
上記式(16)で表されるポリシロキサンの具体例としては、下記式(17)で表されるポリシロキサンが挙げられる。
Figure 0005508968
上記式(17)中、カルボン酸シリルエステル基を有する2つのシロキサン単位のそれぞれは、その配列について特に限定されず、例えば、ランダム、ブロック、ランダムとブロックとの混合による配列が挙げられる。
上記式(9)および(10)で表されるシロキサン単位を有するポリシロキサンの製造方法は特に限定されず、例えば、後述するSi−H基含有ポリシロキサンと所定のカルボン酸と反応させる方法等により製造することができる。また、この反応には、触媒として、パラジウム、ロジウム、ニッケル、白金のような第VIII族の遷移金属錯体を使用することができる。
一方、このポリシロキサンのうち、上記式(9)および(10)で表されるシロキサン単位ならびに上記式(12)で表されるシロキサン単位を有するポリシロキサンとしては、具体的には、下記式(18)で表されるオルガノシロキサンが好適に例示される。
(R1COO)a(R2COO)b3 c7 dSiO(4−a−b−c−d)/2 ・・・(18)
0.10≦a/(a+b)≦0.8 ・・・(19)
1≦c<2 ・・・(20)
0.001≦d<1 ・・・(21)
1.95≦a+b+c+d≦2.60 ・・・(22)
上記式(18)中、R1は炭素数13から21の1価の炭化水素基を表し、R2は炭素数5から11のアルキル基を表し、R3は水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1から8の1価の炭化水素基を表す。また、式中、R7は、−R4−(OR5r−OR6で表されるポリエーテル含有基を表し、R4およびR5は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数2から6のアルキレン基を表し、R6は水素原子、炭素数1から30のアルキル基またはR13−(CO)−で表される有機基(R13は、炭素数1から30の炭化水素基を表す。)を表し、rは1以上の整数を表す。rが2以上の整数の場合、ポリエーテル含有基中の複数のR5は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。また、上記式(19)から(22)におけるa、b、cおよびdは、上記式(19)から(22)の関係を満たす数を表す。
ここで、上記式(18)中のR1およびR2は、それぞれ、上記式(6)中において説明したR1および上記式(7)中において説明したR2と同様である。また、上記式(18)中のRは、上記式(9)および(10)中において説明したR3と同様である。また、上記式(18)中のR7が表すポリエーテル含有基(−R4−(OR5r−OR6)中のR4、R5およびR6ならびにrは、それぞれ、上記式(11)中において説明したR4、R5およびR6ならびにrと同様である。
上記式(19)から(22)の関係を満たす数を表すa、b、cおよびdは、それぞれ、0.01≦a≦1.0、0.05≦b≦1.0、1.0≦c≦1.3、0.005≦d≦0.05であるのが好ましい。
上記式(18)中、カルボン酸シリルエステル基の合計基数に対するポリエーテル含有基の割合、即ち、d/(a+b)は、0.01以上0.7以下であるのが好ましく、0.01以上0.5以下であるのがより好ましい。
このようなオルガノシロキサンとしては、例えば、下記式(23)で表されるポリシロキサンが挙げられる。
Figure 0005508968
上記式(23)中、R1は炭素数13から21の1価の炭化水素基を表し、R2は炭素数5から11のアルキル基を表し、R3は水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1から8の1価の炭化水素基を表す。R4およびR5は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数2から6のアルキレン基を表し、R6は水素原子、炭素数1から30のアルキル基またはR13−(CO)−で表される有機基(R13は、炭素数1から30の炭化水素基を表す。)を表し、rは1以上の整数を表す。rが2以上の整数の場合、ポリエーテル含有基中の複数のR5は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。R10は、炭素数1から12の炭化水素基、具体的には、メチル基、エチル基またはフェニル基を表し同一であっても異なっていてもよい。また、上記式(23)におけるa、bおよびdはそれぞれ独立に1以上の整数を表す。
ここで、上記式(23)中のR1およびR2は、それぞれ、上記式(6)中において説明したR1および上記式(7)中において説明したR2と同様であり、上記式(23)中のR3は、上記式(9)および(10)中において説明したR3と同様であり、上記式(23)中のR4、R5およびR6ならびにrは、それぞれ、上記式(11)中において説明したR4、R5およびR6ならびにrと同様である。
上記式(23)中のaおよびbは、それぞれ、上記式(16)中において説明したaおよびbと同様である。また、上記式(23)中のdは、上記式(11)で表されるエーテル含有シリル基を有するシロキサン単位、即ち、上記式(12)で表されるシロキサン単位の繰り返し単位数を表し、1以上の整数であり、1から10であるのが好ましく、1から5であるのがより好ましい。
上記式(23)中、カルボン酸シリルエステル基を有する2つのシロキサン単位のそれぞれとエーテル含有シリル基を有するシロキサン単位とは、その配列について特に限定されず、例えば、ランダム、ブロック、ランダムとブロックとの混合による配列が挙げられる。
上記式(23)で表されるオルガノシロキサンの具体例としては、下記式(24)で表されるポリシロキサンが挙げられる。
Figure 0005508968
上記式(24)中、a、bおよびdはそれぞれ独立に1以上の整数を表し、s、tはそれぞれ独立に0以上の整数を表し、s+tは1以上である。
ここで、上記式(24)中のaおよびbは、それぞれ、上記式(16)中において説明したaおよびbと同様であり、上記式(24)中のdは、上記式(23)中において説明したdと同様である。また、上記式(24)中、sは−OCHCH−の繰り返し単位数を表し、tは−OCH2CH(CH3)−の繰り返し単位数を表す。上記式(24)のsおよびtは、上記式(11)または(12)中のrと、r=s+tの関係にある。s+tは1以上であり、5以上であるのが好ましく、10から100であるのがより好ましい。また、上記式(24)中、−OCH2CH2−と−OCH(CH3)CH2−とは、その配列について特に限定されず、例えば、ランダム、ブロック、ランダムとブロックとの混合による配列が挙げられる。
上記式(24)中、カルボン酸シリルエステル基を有する2つのシロキサン単位のそれぞれとエーテル含有シリル基を有するシロキサン単位とは、その配列について特に限定されず、例えば、ランダム、ブロック、ランダムとブロックとの混合による配列が挙げられる。
上記式(24)で表されるオルガノシロキサンのより具体的な例としては、下記式(25)で表されるポリシロキサンが挙げられる。
Figure 0005508968
上記式(9)および(10)で表されるシロキサン単位ならびに上記式(12)で表されるシロキサン単位を有するポリシロキサンの製造方法は特に限定されず、例えば、後述するSi−H基含有ポリシロキサンとアルケニルエーテルとを反応させて上記式(12)で表されるシロキサン単位を形成した後、これに所定のカルボン酸を反応させて式(9)および(10)で表されるシロキサン単位を形成してポリシロキサンを製造する方法;Si−H基含有ポリシロキサンとアルケニルエーテルと所定のカルボン酸とを同時に反応させる方法;等により製造することができる。また、これらの反応には、触媒として、白金、ロジウム、パラジウム、ニッケルのような第VIII族の遷移金属触媒を使用することが望ましく、具体的には、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、白金−ビニルシロキサン錯体等を好適に使用することができる。なお、触媒の使用量は特に限定されず、金属分で50ppm以下であるのが好ましく、20ppm以下であるのがより好ましい。
前者の製造方法としては、具体的には、例えば、後述するSi−H基含有ポリシロキサンとアルケニルエーテルとを、触媒として白金等の第VIII族の遷移金属錯体を添加して反応させ、次いで所定のカルボン酸を反応させる方法が好ましい態様の1つとして挙げられる。
この製造方法においては、Si−H基含有ポリシロキサンとアルケニルエーテルとが相溶しない場合は、トルエン、キシレン等の炭化水素系の溶媒を用いることができる。これにより速やかに反応が進行する。反応温度は60℃以上120℃以下、特に80℃以上110℃以下が好ましい。
カルボン酸との反応においても、Si−H基含有ポリシロキサンとアルケニルエーテルとの反応と同様に触媒として第VIII族の遷移金属錯体を使用することができる。カルボン酸との反応温度は通常80℃以上110℃以下である。特に反応初期では、反応温度を低く、反応後期では高くすることが、安全性、効率の点で好ましい。
上記ポリシロキサンの製造に用いる上記Si−H基含有ポリシロキサンは、特に限定されず、その具体例としては、下記式(26)で表されるアルキルハイドロジェンシロキサン単位を有するポリシロキサンが挙げられる。
Figure 0005508968
上記式(26)中、R11は、メチル基、エチル基、または、フェニル基である。
上記式(26)で表されるアルキルハイドロジェンシロキサン単位を有するポリシロキサンは、特に限定されず、従来公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、下記の各式で表されるポリシロキサンが挙げられる。
Figure 0005508968
上記Si−H基含有ポリシロキサンは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記ポリシロキサンの製造に用いる上記アルケニルエーテルは、特に限定されず、その具体例としては、下記式(27)で表されるアルケニルエーテルが挙げられる。
CH2=CH−R12−(OR5r−OR6 ・・・(27)
式中、R5は置換基を有していてもよい炭素数2から6のアルキレン基を表し、R6は水素原子、炭素数1から30のアルキル基またはR13−(CO)−で表される有機基(R13は、炭素数1から30の炭化水素基を表す。)を表し、R12は存在しない(単結合である)かまたはメチレン基を表し、rは1以上の整数を表す。rが2以上の整数の場合、ポリエーテル含有基中の複数のR5は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
ここで、上記式(27)中のR5、R6およびrは、それぞれ、上記式(11)中において説明したR5、R6およびrと同様である。
上記式(27)で表されるアルケニルエーテルとしては、例えば、下記の各式で表されるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合体が挙げられる。
下記のエチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合体を表す式において、sは−OCH2CH2−の繰り返し単位数を表し、tは−OCH(CH3)CH2−の繰り返し単位数を表し、s、tはそれぞれ独立に0以上の整数である。また、s+tは1以上であり、5以上であるのが好ましく、10以上100以下であるのがより好ましい。なお、上記式(27)のrと下記式のs、tとは、r=s+tの関係にある。中でも、エチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合体であって、分子量が500以上のものが好ましい。アルケニルエーテルは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
Figure 0005508968
上記ポリシロキサンの製造に用いる所定のカルボン酸は、上記式(9)で表されるシロキサン単位を形成するためのカルボン酸として、例えば、トリデシル酸、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)等を用いることができ、上記式(10)で表されるシロキサン単位を形成するためのカルボン酸として、例えば、ヘキサン酸(カプロン酸)、ヘプタン酸、オクタン酸(カプリル酸)、ノナン酸(ペラルゴン酸)、デカン酸(カプリン酸)、ドデシル酸(ラウリン酸)を用いることができる。中でも、上記式(9)で表されるシロキサン単位を形成するためのカルボン酸としては、パルミチン酸、ステアリン酸が好ましく、上記式(10)で表されるシロキサン単位を形成するためのカルボン酸としては、カプリン酸、ラウリン酸が好ましい。また、これらのカルボン酸は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
開環触媒としては、カルボン酸シリルエステル化合物(I)以外に、硬化促進効果が優れている点で、金属系触媒、アミン系触媒、有機カルボン酸系触媒、燐酸エステル系触媒、p−トルエンスルホニルモノイソシアネート、p−トルエンスルホニルモノイソシアネートと水分との反応物などが挙げられる。
金属系触媒やアミン系触媒としては、添加剤として後述するポリサルファイド含有プレポリマーの硬化促進触媒として挙げたのと同様の有機金属化合物、第3級アミン類、第3級アミン類とカルボン酸等の塩類などが挙げられる。
有機カルボン酸系触媒としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、カプロン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、2−エチルヘキサン酸(オクチル酸)、オクテン酸、ラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪族カルボン酸、マレイン酸、アクリル酸等のα,β−不飽和カルボン酸、フタル酸、安息香酸、サリチル酸等の芳香族カルボン酸、これらの酸無水物などが挙げられる。
燐酸エステル系触媒としては、正燐酸エステル化合物、亜燐酸エステル化合物などが挙げられ、正燐酸エステル化合物としては、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート等の酸性燐酸エステル化合物などが挙げられ、亜燐酸エステル化合物としては、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、ジフェニルモノ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト等の亜憐酸トリエステル化合物、ジラウリルハイドロゲンホスファイト、ジオレイルハイドロゲンホスファイト、ジフェニルハイドロゲンホスファイト等の亜燐酸ジエステル化合物などが挙げられる。
p−トルエンスルホニルモノイソシアネートと水分との反応物は、本発明の組成物に配合する前に、p−トルエンスルホニルモノイソシアネートと水分とを予め反応させて得られるものであっても良いし、p−トルエンスルホニルモノイソシアネートを本発明の組成物に配合している間に水分を添加して反応させたもの、あるいは本発明の組成物中に存在する水分と反応させたものであってもよいし、本発明の組成物に配合した後、貯蔵中に、後述する添加剤中などに含まれる水分と反応させて生成したものであってもよい。
本発明の組成物では、カルボン酸シリルエステル化合物(I)単独で用いることができるが、カルボン酸シリルエステル化合物(I)とカルボン酸シリルエステル化合物(I)以外の上記開環触媒を1種以上組み合わせて用いてもよい。カルボン酸シリルエステル化合物(I)がシーリング材の貯蔵安定性を向上させることができると共に、カルボン酸シリルエステル化合物(I)以外の上記開環触媒が本発明の組成物の硬化促進効果を向上させることができる。
オキサゾリジン化合物の開環触媒の配合量は、イソシアネート基を含有するウレタン系プレポリマー100質量部に対して、0.001質量部以上10質量部以下が好ましく、さらに0.1質量部以上10質量部以下が好ましい。0.001質量部未満だと加水分解促進の効果が少なく、10質量部を超えるとシーリング材の貯蔵安定性や硬化物の耐水性、耐熱性を悪化させるため好ましくない。
<炭酸カルシウム(J)>
本発明の組成物では、炭酸カルシウム(J)は、ポリサルファイド含有プレポリマーの充填剤として用いられる。本発明に用いられる炭酸カルシウム(J)は、特に限定されず、例えば、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム)、コロイダル炭酸カルシウムが挙げられる。
(有機表面処理炭酸カルシウム)
脂肪酸、ロジン酸等の樹脂酸、脂肪酸エステル、高級アルコール付加イソシアネート化合物等により表面処理された有機表面処理炭酸カルシウムを用いることができる。有機表面処理炭酸カルシウムは、公知の方法で製造することができる。脂肪酸やロジン酸等の樹脂酸の金属塩或いはエステルなどで炭酸カルシウムに揺変性付与効果を与える目的と二次凝集を防ぐ目的で、微粉末状の炭酸カルシウムの表面を処理することで、脂肪酸表面処理炭酸カルシウムや樹脂酸表面処理炭酸カルシウムなどの有機表面処理炭酸カルシウムを得ることができる。脂肪酸金属塩としては、ステアリン酸等の炭素数10から25の脂肪酸のナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウムの塩が好ましい。脂肪酸で表面処理された炭酸カルシウムの市販品としては、カルファイン200(丸尾カルシウム社製)、ライトン26−A(重質炭酸カルシウム、備北粉化工業社製)、白艶華CC、CCR、R06、VIGOT−10、VIGOT−15、STAVIGOT−15A、ビスコライトMBP(以上、白石工業社製)、NCC#3010、NCC#1010(以上、日東粉化工業社製)等が挙げられる。変性脂肪酸で表面処理された炭酸カルシウムとして、ライトンA−4(重質炭酸カルシウム、備北粉化工業社製)、脂肪酸エステルで表面処理された炭酸カルシウムとして、シーレッツ200(丸尾カルシウム社製)、スノーライトSS(重質炭酸カルシウム、丸尾カルシウム社製)等が挙げられる。これらのうち、揺変性付与効果が高い点で、脂肪酸、変性脂肪酸、脂肪酸エステル、高級アルコール付加イソシアネート化合物等で表面処理されたものが、特に好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
表面処理された有機表面処理炭酸カルシウムは、揺変性を付与する効果を与えることができると共に、二次凝集を抑制することができる。また、有機表面処理炭酸カルシウムは、粘度を高くするため形状保持性および作業性に寄与し、また、表面が疎水性であるため貯蔵安定性に寄与する。
炭酸カルシウムの含有量は、上述したポリサルファイド含有プレポリマー100質量部に対し、50質量部以上400質量部以下であるのが好ましい。
有機表面処理炭酸カルシウムの平均粒径は、0.01μm以上0.5μm以下が好ましく、0.03μm以上0.15μm以下がより好ましい。また、有機表面処理炭酸カルシウムのBET比表面積は、5m2/g以上200m2/g以下が好ましく、10m2/g以上60m/gがより好ましい。有機表面処理炭酸カルシウムの平均粒径が0.01μmを下回るか或いはBET比表面積が200m2/gを超えると、本発明の組成物を硬化して得られる硬化物の粘度が上昇し、作業性が悪化するため、好ましくない。また、有機表面処理炭酸カルシウムの平均粒径が0.5μmを上回るか或いはBET比表面積が5m2/gを下回ると、揺変性付与効果がなくなるため、好ましくない。
有機表面処理炭酸カルシウムの含有量は、ポリサルファイド含有プレポリマー100質量部に対して、20質量部以上200質量部以下、更に50質量部以上100質量部以下が好ましい。有機表面処理炭酸カルシウムの含有量が20質量部未満では、本発明の組成物の揺変性付与効果が著しく低下するため、好ましくない。また、有機表面処理炭酸カルシウムの含有量が200質量部を超えると、本発明の組成物の粘度が高くなり、作業性が悪化するため、好ましくない。
<希釈用樹脂>
本発明の組成物は、上記各成分に加えて更に希釈用樹脂を配合することができる。この希釈用樹脂は、本発明の組成物を希釈して粘度を下げ、作業性を向上させるとともに、硬化後のモジュラス、伸び等のゴム弾性物性を調節するために使用するものである。希釈用樹脂としては、数平均分子量(Mn)が、500以上100,000以下、好ましくは500以上100,000以下、より好ましくは500以上50,000以下、更に好ましくは500以上20,000以下、特に好ましくは500以上10,000以下の高分子量で極性基を有する室温で液状の希釈用樹脂を好適に挙げることができる。数平均分子量(Mn)が500未満であると、本発明の組成物の硬化後、硬化物の表面に移行(ブリード)し易く、硬化物の表面を粘着させ、塵埃等の付着による表面汚染を発生させるため、好ましくない。極性基としては、ポリサルファイド含有プレポリマーと相溶性の良好な、エステル基、エーテル基(オキシアルキレン基)、ウレタン基などが挙げられ、これらの基の種類と個数は、それぞれ分子中に単独で有していてもよいし、複数有していてもよい。このうち希釈用樹脂の粘度が低く、ポリサルファイド含有プレポリマーとの相溶性が良好な点から、エーテル基(オキシアルキレン基)、ウレタン基が好ましい。更に希釈用樹脂は、分子中にポリサルファイド含有プレポリマーの官能基と反応性を有する官能基を実質的に有しない希釈用樹脂であることが好ましい。
希釈用樹脂としては、具体的には、例えば、ポリオキシアルキレン系樹脂、ジカルボン酸類とグルコール類とからのポリエステル系樹脂、低粘度の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体樹脂、これらの混合物などが挙げられる。前記ポリオキシアルキレン系樹脂としては、ポリオキシエチレンモノオールやポリオキシプロピレンモノオール等のポリオキシアルキレンモノオールのアルキルエーテル化やアルキルエステル化誘導体樹脂、糖類系多価アルコールのポリオキシアルキレン化樹脂のアルキルエーテル化やアルキルエステル化誘導体樹脂、室温で液状のポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂などが挙げられる。これらはいずれも単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。これらのうち、粘度が低く、ポリサルファイド含有プレポリマーと相溶性が良好で、本発明の組成物の作業性と、硬化途中のムーブメント追従性が良好な点で、ポリオキシアルキレン系樹脂が好ましく、更に糖類系多価アルコールのポリオキシアルキレン化樹脂のアルキルエーテル化やアルキルエステル化誘導体樹脂と室温で液状のポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂が好ましく、特に室温で液状のポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂が好ましい。
糖類系多価アルコールのポリオキシアルキレン化樹脂のアルキルエーテル化やアルキルエステル化誘導体樹脂としては、スクロース(ショ糖)、グルコース、マンニトール、ソルビトール等の糖類系多価アルコールの水酸基に対して、エチレンオキシドやプロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加重合させ、更にアルキルエーテル化或いはアルキルエステル化して末端をアルキル基で封鎖した、実質的に水酸基を有しない樹脂などが挙げられ、ショ糖系多価アルコールのポリオキシアルキレン化樹脂のアルキルエステル化誘導体の一般市販品として、三洋化成工業社製のSPX−80などが挙げられる。これらはいずれも単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
室温で液状のポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂としては、ポリオキシアルキレン系アルコールと有機イソシアネートとを反応させて得られる、分子中にポリオキシアルキレン基とウレタン基を含有し、実質的にイソシアネート基又は水酸基を含有していない高分子量の樹脂が好適である。従来のウレタン系希釈剤は分子量分布が広く、低分子量域の部分がブリードし易いため汚染防止性に乏しく、高分子量域の部分はブリードし難いが、高粘度になり作業性が悪くなるという欠点を有し、汚染防止性能と作業性を両立させることは困難であった。しかし、室温で液状のポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂の分子量分布を1.6以下、特に好ましくは1.0以上1.3以下と狭いものにすることにより、室温で液状のポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂が高分子量であっても粘度を低く抑えることができ、作業性に優れた性質と硬化後の耐ブリード汚染防止性能、特に夏場の高温時期における優れた汚染防止性能とを両立させることができる。また、ポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂の分子量分布は、GPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)から求められる。
具体的には、ポリオキシアルキレン系アルコールと有機イソシアネート(好ましくは、ポリオキシアルキレン系モノオールと有機ポリイソシアネート、又は、ポリオキシアルキレン系ポリオールと有機モノイソシアネート)を、イソシアネート基/水酸基の当量比が0.9/1.0から1.1/1.0となる範囲で、最も好ましくは1/1で反応させて好適に製造することができる。当量比が0.9/1.0を下回ると、水酸基の含有量が多くなるため、ポリサルファイド含有プレポリマーを含有した本発明の組成物に用いた場合、製造時或いは貯蔵時に、この水酸基とポリサルファイド含有プレポリマーのイソシアネート基とが反応して増粘し、作業性が悪化するため、好ましくない。また、当量比が1.1/1.0を上回ると、イソシアネート基の含有量が多くなり、硬化物のゴム弾性物性に対する影響が無視できなくなるため、好ましくない。
なお、前記の「実質的にイソシアネート基又は水酸基を含有しない」とは、糖類系多価アルコールのポリオキシアルキレン化樹脂のアルキルエーテル化やアルキルエステル化誘導体或いは液状ポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂を合成する際、原料のモル比により、分子中に水酸基或いはイソシアネート基が少量残存する場合があるが、本発明の目的を達成する上で、イソシアネート基又は水酸基を含有しないとみなしても不都合を生じないことを意味する。
前記ポリオキシアルキレン系アルコールとしては、具体的には、ポリオキシアルキレン系モノオール、ポリオキシアルキレン系ポリオール及びこれらの混合物が挙げられる。ポリオキシアルキレン系モノオールとしては、活性水素を1個含有するアルキル化合物などの開始剤にアルキレンオキシドを開環付加重合させたものなどである。ポリオキシアルキレン系モノオールの数平均分子量(Mn)は500以上100,000以下が好ましく、より好ましくは1,000以上30,000以下であり、更に好ましくは1,000以上10,000以下である。数平均分子量(Mn)が、500未満では室温で液状のポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂がブリードし易くなり、シーリング材の作業性が悪くなる。また、数平均分子量(Mn)が100,000を超えると、室温で液状のポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂の粘度が高くなり、シーリング材の作業性が悪くなる。
この開始剤としては、具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、tert−ブタノール、シクロヘキサノール、フェノール、これらの2種以上の混合物が挙げられる。これらのうちでは、メタノール、エタノール等の、炭素数5以下の化合物が好ましい。
アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、これらの2種以上の混合物が挙げられる。これらのうちでは、プロピレンオキシドが好ましい。具体的には、ポリオキシエチレン系モノオール、ポリオキシプロピレン系モノオール、ポリオキシブチレン系モノオール、ポリオキシテトラメチレン系モノオール、ポリ(オキシエチレン)−(オキシプロピレン)系ランダム或いはブロック共重合モノオール、ポリ(オキシプロピレン)−(オキシブチレン)系ランダム或いはブロック共重合モノオールなどが挙げられる。
更に、ポリオキシアルキレン系モノオールは、その製造時に使用する触媒として、前述のポリオキシアルキレン系ポリオールの製造時に使用される触媒と同様の触媒を使用して得られる、総不飽和度が0.1meq/g以下、更に0.07meq/g以下、特に0.04meq/g以下のものが好ましく、分子量分布(Mw/Mn)が1.6以下、特に1.0〜1.3の狭いものが好ましい。特に低粘度の室温で液状のポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂を得るには、分子量分布の狭いポリオキシアルキレン系モノオールを使用することが好ましい。
なお、前記ポリオキシアルキレン系モノオールとは、分子1モル中の水酸基を除いた部分の50質量%以上、更に80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上がポリオキシアルキレンで構成されていれば、残りの部分がウレタン、エステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリオレフィンなどで変性されていてもよいことを意味するが、水酸基を除いた分子の95質量%以上がポリオキシアルキレンから成るモノオールが最も好ましい。
ポリオキシアルキレン系ポリオールとしては、ポリサルファイド含有プレポリマーの合成の際に使用されるものと同様の化合物が挙げられ、このうちポリオキシプロピレン系ポリオールが好ましい。これらはいずれも単独で或いは2種以上を組み合わせて使用できる。これらのうち、得られる室温で液状のポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂の粘度が低く、かつブリードしないため、ポリオキシアルキレン系モノオールが好ましく、特にポリオキシプロピレン系モノオールが好ましい。
前記有機イソシアネートとしては、具体的には、有機モノイソシアネート、有機ポリイソシアネート、これらの混合物が挙げられ、更に具体的には、イソシアネート基を含有するウレタン系プレポリマーの合成の際に使用されるものと同様の化合物などを例示することができる。これらは単独で或いは2種以上を混合して使用できる。これらのうち、得られる室温で液状のポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂の粘度が低い点で、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートが好ましく、更に芳香脂肪族ポリイソシアネートが好ましく、特にキシリレンジイソシアネート類が好ましく、m−キシリレンジイソシアネートが最も好ましい。
希釈用樹脂の使用量は、硬化速度、硬化物の物性などの点から、ポリサルファイド含有プレポリマー100質量部に対して、0質量部よりも大きく200質量部以下が好ましく、10質量部以上100質量部以下がより好ましい。
また、本発明の組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、上述した各成分以外に、必要に応じて、各種の添加剤を含有することができる。添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム(J)以外の充填剤、硬化促進触媒、接着性付与剤、貯蔵安定性改良剤(脱水剤)、着色剤、溶剤、防カビ材等が挙げられる。各添加剤は適宜、組み合わせて用いることができる。
炭酸カルシウム(J)以外の充填剤としては、各種形状の有機または無機のものが挙げられる。例えば、マイカ、カオリン、ゼオライト、グラファイト、珪藻土、白土、クレー、タルク、スレート粉、アルミニウム粉末、亜鉛粉末、炭酸マグネシウム、アルミナ等の無機粉末状充填剤;ガラス繊維、炭素繊維などの繊維状充填剤;木粉、クルミ穀粉、もみ殼粉、パルプ粉、木綿チップ、ゴム粉末、さらにポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂等の熱可塑性樹脂或いは熱硬化性樹脂の粉末等の有機系充填剤の他、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムなどの難燃性付与充填剤なども挙げられ、粒径0.01μmから1,000μmのものが好ましい。
硬化促進触媒は、ウレタン系プレポリマーのイソシアネート基や架橋性シリル基と湿気(水分)との反応を促進し、1成分形室温硬化型シーリング材の特に内部硬化を促進し、表面と内部の硬化速度の差を縮め、硬化途中にかかるムーブメントによる応力の差を縮めることにより、硬化物に亀裂などが発生するのを防止するため使用するものである。
具体的には、有機金属化合物、アミン類等が挙げられ、有機金属化合物としては、例えば、オクチル酸錫、ナフテン酸錫等の2価の有機錫化合物、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジバーサテート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ビス(トリエトキシシリケート)、ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物等の4価の有機錫化合物、ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)、錫系キレート化合物の旭硝子社製EXCESTAR C−501、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトナート)、チタンテトラキス(アセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アセチルアセトンコバルト、アセチルアセトン鉄、アセチルアセトン銅、アセチルアセトンマグネシウム、アセチルアセトンビスマス、アセチルアセトンニッケル、アセチルアセトン亜鉛、アセチルアセトンマンガン等の各種金属のキレート化合物、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のチタン酸エステル類、その他、オクチル酸鉛やオクチル酸ジルコニウム等のマンガン、鉄、コバルト、銅、亜鉛、ジルコニウム、鉛、ビスマス等の錫以外の各種金属と、オクチル酸、ステアリン酸、ナフテン酸等の各種有機酸との金属有機酸塩などが挙げられ、アミン類としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕ウンデセン−7(DBU)、1,4−ジアザビシクロ〔2,2,2〕オクタン(DABCO)、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等の第3級アミン類、或いはこれらのアミン類とカルボン酸等の塩類などが挙げられる。
これらのうち、反応速度が高く、毒性及び揮発性の比較的低い液体である点から有機金属化合物が好ましく、更に有機錫化合物や金属キレート化合物が好ましく、特にジブチル錫ジラウレートが好ましい。
接着性付与剤としては、例えば、テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂、エポキシ樹脂、アルキルチタネート類、有機ポリイソシアネート等が挙げられる。
貯蔵安定性改良剤(脱水剤)としては、シーリング材中に存在する水分と反応する、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、p−トルエンスルホニルモノイソシアネートなどが挙げられる。
着色剤としては、酸化チタンや酸化鉄などの無機系顔料、銅フタロシアニンなどの有機系顔料、カーボンブラックなどが挙げられる。
硬化促進触媒、充填剤、接着性付与剤、貯蔵安定改良剤(脱水剤)及び着色剤の合計の配合量は、ポリサルファイド含有プレポリマー100質量部に対して、0質量部以上500質量部以下、更に10質量部以上300質量部以下、特に10質量部以上200質量部以下が好ましい。
溶剤としては、本発明の組成物中の他の成分の合成等の際に含まれる溶剤と相溶性がよいものが好ましく、例えば、ジメチルカーボネート等のカーボネート系溶剤、アセトンやメチルエチルケトン(MEK)等のケトン系溶剤、酢酸エチルや酢酸ブチル等のエステル系溶剤、n−ヘキサン等の脂肪族系溶剤、シクロヘキサン等の脂環族系溶剤、トルエン、キシレン、セロソルブアセテート等の芳香族系溶剤、ミネラルスピリットや工業ガソリン等の石油留分系溶剤、有機溶剤などの従来から公知の溶剤、有機溶剤が挙げられる。有機溶剤としては、イソシアネート基、架橋性シリル基またはメルカプト基などのウレタン系プレポリマーの反応性官能基に対して不活性であればどのようなものでもよい。溶剤は単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。溶剤は、十分に脱水し、乾燥させてから用いるのが好ましい。本実施形態においては、前記の各添加剤の他にシーリング材の粘度を下げ、作業性を向上させる目的で有機溶剤を使用することができるが、近年の環境保全意識の高まりのなかで、その使用量はできるだけ抑えることが好ましく、1成分形室温硬化型シーリング材中に10質量%未満、さらに5質量%未満となるように使用するのが好ましい。
本発明の組成物を製造する方法は特に限定されないが、例えば、上記各成分を減圧下または窒素等の不活性ガス雰囲気下で、ロール、ニーダー、押出し機、万能かくはん機、混合ミキサー等の撹拌装置を用いて十分に混練し、均一に分散させる等により混合する方法が挙げられる。
このように、本発明の組成物は、末端に水酸基を有するポリサルファイドポリマー(A)と、ポリオキシアルキレンポリオール(B)と、水酸基含有(メタ)アクリル系単量体(C)との混合物に、ポリイソシアネート化合物(D)を反応させたポリサルファイド含有プレポリマーを含むことを特徴とする硬化性組成物である。従来より用いられている末端にイソシアネート基を有するウレタン系プレポリマーを含む硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物では、硬化物の表面にカビや埃などの汚れ成分が付着したり、劣化により、クラックの発生や変色を生じていた。そのため、従来より用いられている末端にイソシアネート基を有するウレタン系プレポリマーを用いて得られる硬化物は、その硬化物の表面に塗装材を塗布する必要があった。また、硬化物の表面にタックが生じ、このタックに起因して硬化物の表面に塵埃が付着し、硬化物の表面を汚染していた。
これに対し、本発明の組成物では、ポリサルファイド含有プレポリマーを作成する際、末端に水酸基を有するポリサルファイドポリマー(A)と、ポリオキシアルキレンポリオール(B)と、水酸基含有(メタ)アクリル系単量体(C)との混合物を用いているため、本発明の組成物を硬化して得られる硬化物の表面に汚れ成分が付着するのを抑制することができると共に、硬化物の表面にクラックや変色が発生するのを抑制することができる。このため、本発明の組成物を硬化させて得られる硬化物は、その表面に塗装材を塗布するような用途に限定される必要がなくなる。本発明の組成物を用いれば、硬化後の耐候性や表面のタックが改善され、長期にわたって硬化物の表面の劣化や汚れが少ない硬化性組成物を提供することができる。
本発明の組成物の用途は特に限定されないが、本発明の組成物は、以上のような優れた特性を有することから、土木建築用、コンクリート用、木材用、金属用、ガラス用、プラスチック用、シーリング材、シール剤、ポッティング剤、弾性接着剤、コーティング材、ライニング材、接着剤、コンクリートやモルタル中の構造用接着剤、ひび割れ注入材等の用途に好適に用いられる。特に、本発明の組成物は、シーリング材、接着剤として好適に用いることができる。
本発明の組成物は、長期にわたって屋外に暴露しても汚れ成分の付着を抑制すると共に、シーリング材の表面にクラックや変色が発生するのを抑制するのに優れることから、いわゆる建築ワーキングジョイントあるいは石目地、タイル目地と呼ばれるものなどを施工の対象として、本発明の組成物をシーリング材として好適に使用することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
<合成例1>
[イソシアネート基含有ポリマー(P−1)の合成]
攪拌機、温度計、窒素導入管および加熱・冷却装置の付いた反応容器に、窒素ガス気流下で、ポリオキシプロピレンジオール(エクセノール3020、数平均分子量3,200,旭硝子社製)を220gと、ポリオキシプロピレントリオール(エクセノール5030、数平均分子量5,100、旭硝子社製)を100g仕込み、攪拌しながらヘキサメチレンジイソシアネート(デスモジュールH、分子量168、住化バイエルウレタン社製)を33.5gと、ジブチル錫ジラウレートを0.05g加えた後、加温して70℃から80℃で2時間攪拌して反応させた。イソシアネート基含有量が理論値(2.37質量%)以下となった時点で室温まで冷却して反応を終了させ、イソシアネート基含有ポリマー(P−1)を合成した。得られたイソシアネート基含有ポリマー(P−1)は、滴定によるイソシアネート基含有量2.15質量%、常温で粘稠な液体であった。
<合成例2>
[ポリサルファイド含有末端イソシアネートポリマー(P−2)の合成]
攪拌機、温度計、窒素導入管および加熱・冷却装置の付いた反応容器に、窒素ガス気流下で、ポリオキシプロピレンジオール(エクセノール3020、数平均分子量3,200、旭硝子社製)を220gと、ポリオキシプロピレントリオール(エクセノール5030、数平均分子量5,100、旭硝子社製)を100gと、ペンタエリスリトールトリアクリレート(M−305、分子量298.3、東亞合成社製)を5gと、THIOPLAST HTPS−350(数平均分子量2700、AKZO NOBEL社製)を3g仕込み、攪拌しながらヘキサメチレンジイソシアネート(デスモジュールH、分子量168、住化バイエルウレタン社製)を35.6gと、ジブチル錫ジラウレートを0.05g加えた後、加温して70℃から80℃で2時間攪拌して反応させた。イソシアネート基含有量が理論値(2.44質量%)以下となった時点で室温まで冷却して反応を終了させ、ポリサルファイド含有末端イソシアネートポリマー(P−2)を合成した。得られたポリサルファイド含有末端イソシアネートポリマー(P−2)は、滴定によるイソシアネート基含有量が2.08質量%であり、常温で粘稠な液体であった。
<合成例3>
[ポリサルファイド含有末端イソシアネートポリマー(P−3)の合成]
攪拌機、温度計、窒素導入管および加熱・冷却装置の付いた反応容器に、窒素ガス気流下で、ポリオキシプロピレンジオール(エクセノール3020、数平均分子量3,200、旭硝子社製)を220gと、ポリオキシプロピレントリオール(エクセノール5030、数平均分子量5,100、旭硝子社製)を100gと、ペンタエリスリトールトリアクリレート(M−305、分子量298.3、東亞合成社製)を15gと、THIOPLAST HTPS−350(数平均分子量2700、AKZO NOBEL社製)を6g仕込み、攪拌しながらヘキサメチレンジイソシアネート(デスモジュールH、分子量168、住化バイエルウレタン社製)を39.6gと、ジブチル錫ジラウレートを0.05g加えた後、加温して70℃から80℃で2時間攪拌して反応させた。イソシアネート基含有量が理論値(2.58質量%)以下となった時点で室温まで冷却して反応を終了させ、ポリサルファイド含有末端イソシアネートポリマー(P−3)を合成した。得られたポリサルファイド含有末端イソシアネートポリマー(P−3)は、滴定によるイソシアネート基含有量2.15質量%、常温で粘稠な液体であった。
<合成例4>
[カルボン酸シリルエステル化合物(CS−1)の合成]
上記式(6)のカルボン酸成分としてステアリン酸133.3質量部、上記式(7)のカルボン酸成分としてラウリン酸219.0質量部に、トルエンを濃度50質量%となるように添加した後、3質量%濃度の塩化白金イソプロピルアルコール溶液を所定量(Si−H基含有ポリシロキサン100gに対して10μL)を添加し、80℃のカルボン酸混合溶液を調製した。次いで、調製したカルボン酸混合溶液に、当量のSi−H基含有ポリシロキサン(KF99、Si−H0.0156当量/g、信越化学工業社製)100.0質量部をゆっくり滴下し、滴下終了後、反応温度を90℃に上げ、水素の発生が認められなくなるまで撹拌した。その後、トルエンを留去することにより、カルボン酸シリルエステル化合物(CS−1)を得た。
<合成例5>
[ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物(O−1)の合成]
攪拌機、温度計、エステル管および加熱・冷却装置の付いた反応容器に、ジエタノールアミン(分子量105)を435gとトルエンを183g仕込み、攪拌しながらイソブチルアルデヒド(分子量72.1)を328g添加した後、加温して110℃から150℃で3時間、副生する水を系外に除去しながら還流脱水反応をおこなった。除去した水の量は74.5gであった。次いで、50hPaから70hPaに減圧しながら加熱し、トルエンと未反応のイソブチルアルデヒドを除去し、中間の反応生成物である2−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジンを得た。得られた2−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン659gに、さらにヘキサメチレンジイソシアネート(分子量168)を348g加え、80℃で8時間反応させた。滴定による実測NCO含有量が0.0質量%となった時点を反応終点とし、分子内にウレタン結合とオキサゾリジン環2個を有するウレタン結合含有オキサゾリジン化合物(O−1)を得た。得られたウレタン結合含有オキサゾリジン化合物(O−1)は、室温で半透明の液体であった。
<1.組成物の作製>
[実施例1]
攪拌機、窒素導入管および加熱・冷却装置付き混練容器に、窒素ガス気流下で、合成例で得たポリサルファイド含有末端イソシアネートポリマー(P−2)を100g仕込み、攪拌しながら、予めそれぞれ100℃から110℃の乾燥機中で乾燥して水分含有量を0.05質量%以下にした重質炭酸カルシウム25gと酸化チタン10gを仕込み、内容物が均一になるまで混合した。次いで、予めジメチルカーボネート5gに下記ヒンダードアミン系光安定剤1.5gとヒンダードフェノール系酸化防止剤1.5gを溶解した溶解液8g、カルボン酸シリルエステル化合物CS−1を0.2g、光硬化性不飽和化合物(東亞合成社製、アロニックスM-8030)を4g、光重合開始剤(IRGACURE184、BASF社製)を0.1g、有機表面処理炭酸カルシウム(ビスコライトMBP、白石工業社製)100g、ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物(O−1)8g、希釈用ポリオキシアルキレン系樹脂(GPA3000、三洋化成工業社製)32g、及び有機溶剤(エクソールD40、エクソンモービル社製)18gを仕込み、さらに内容物が均一になるまで混合した。次いで、50hPaから70hPaで減圧脱泡し、ペーパーカートリッジ容器に充填、密封して、組成物(S−1)を調製した。得られた組成物(S−1)は、室温で硬化する白色ペースト状液体であった。
[実施例2]
上述した実施例1で用いた各成分において、光重合開始剤(G)を添加してしないこと以外は、実施例1と同様にして、本発明の組成物を作製した。この本発明の組成物における各成分の質量部を表1に示す。
[実施例3]
上述した実施例1で用いた各成分において、光硬化性不飽和化合物(F)を添加してしないこと以外は、実施例1と同様にして、本発明の組成物を作製した。この本発明の組成物における各成分の質量部を表1に示す。
[実施例4]
上述した実施例1で用いた各成分において、光硬化性不飽和化合物(F)および光重合開始剤(G)を添加してしないこと以外は、実施例1と同様にして、本発明の組成物を作製した。この本発明の組成物における各成分の質量部を表1に示す。
[実施例5]
上述した実施例1で用いた各成分において、老化防止剤(E2)を添加してしないこと以外は、実施例1と同様にして、本発明の組成物を作製した。この本発明の組成物における各成分の質量部を表1に示す。
[実施例6]
上述した実施例1で用いた各成分において、老化防止剤(E1)、(E2)の配合量を変更したこと以外は、実施例1と同様にして、本発明の組成物を作製した。この本発明の組成物における各成分の質量部を表1に示す。
[実施例7]
上述した実施例1で用いた各成分において、老化防止剤(E1)、(E2)を添加していないこと以外は、実施例1と同様にして、本発明の組成物を作製した。この本発明の組成物における各成分の質量部を表1に示す。
[実施例8]
上述した実施例1で用いた各成分において、ポリサルファイド含有末端イソシアネートポリマー(P2)に代えてポリサルファイド含有末端イソシアネートポリマー(P3)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、本発明の組成物を作製した。この本発明の組成物における各成分の質量部を表1に示す。
[比較例1]
上述した実施例1で用いた各成分において、ポリサルファイド含有末端イソシアネートポリマー(P2)に代えてイソシアネート基含有ポリマー(P1)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、組成物を作製した。この組成物における各成分の質量部を表1に示す。
[比較例2]
上述した実施例1で用いた各成分において、ポリサルファイド含有末端イソシアネートポリマー(P2)に代えてイソシアネート基含有ポリマー(P1)を用い、光硬化性不飽和化合物(F)および光重合開始剤(G)を添加してしないこと以外は、実施例1と同様にして、組成物を作製した。この組成物における各成分の質量部を表1に示す。
下記表1に示される各成分は、以下のとおりである。
・老化防止剤(E1):ヒンダードアミン系光安定剤(TINUVIN 765、セバシン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、チバ・スベシャルティ・ケミカルズ社製)
・老化防止剤(E2):ヒンダードフェノール系酸化防止剤(IRGANOX 1010、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)
・光硬化性不飽和化合物(F):アロニックスM−8030、東亜合成社製
・光重合開始剤(G):Irgacure 184、BASF社製
・潜在性硬化剤(H):ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物
・カルボン酸シリルエステル化合物(I):カルボン酸シリルエステル化合物
・炭酸カルシウム(J):重質炭酸カルシウム、丸尾カルシウム社製
・有機表面処理炭酸カルシウム:ビスコライトMBP、白石カルシウム社製
・酸化チタン:R−820、石原産業社製
・ジメチルカーボネート:DMC、社製
・希釈用樹脂:サンフレックス GPA3000、三洋化成社製
・溶剤:エクソール D40、エクソンモービル社製
<2.評価>
得られた各組成物について、以下に示す方法で、耐候性、耐汚染性、タックを以下の通り評価した。結果を「表1」に示す。
[耐候性]
得られた組成物をシート状にし、23℃、50%相対湿度で14日間養生硬化させて、厚み5mmのシートを作製し、硬化物についてメタルハライドランプ式耐候性試験機(商品名:メタルウエザー、ダイプラウィンテス社製)を用いて50時間、100時間の耐候性試験を行い、耐候性試験後の硬化物の表面状態(クラック)を目視で観察した。試験結果は下記の判断基準により評価し、試験結果を表1に示す。50時間経過後において硬化物の試験片表面にヘアクラックがないか又は少なければ耐候性が良好であると判断した。
判定基準
「○」:試験片表面にヘアクラックがないか又は少ない
「×」:試験片表面にヘアクラックが多数あり
[耐汚染性]
厚さ5mmのスレート板の表面に、深さ5mm×幅20mm×長さ100mmの目地を作成し、この目地に得られた組成物を充填し、余分のシーリング材をヘラでかきとり表面を平らにしたものを試験体とした。試験体を23℃、50%RHの室内に1日おいた後、屋外の塵埃の多い場所に、目地の表面が南向きに、その長さ方向を垂直にして設置して暴露した。1ヶ月経過後、試験体表面の塵埃付着による汚染の状態を目視により観察し、シーリング材表面の耐汚染性を下記の判定基準により評価し、試験結果を表1に示す。試験体表面に、塵埃の付着がほとんど認められずきれいな状態であれば耐汚染性が良好であると判断した。
判定基準
「○」:表面に、塵埃の付着がほとんど認められずきれいな状態
「×」:表面に、塵埃が付着し汚れた状態
(タック)
幅50mm×長さ50mm×高さ5mmのスレート板を使用し、スレート板の表面の所定の範囲(幅30mm×長さ30mm)内にプライマー(No.40、横浜ゴム社製)を塗布し、23℃、50%RHで1時間放置した。次に、塗布されたプライマーの上に得られた各組成物をコーキングガンを用いて厚さ5mmになるよう打設し、ヘラで平らにならして、23℃、50%RHの環境下で7日間組成物を養生させた。硬化した組成物を屋外の南面に設置して7日間暴露した。暴露終了後、硬化した組成物の表面を指触にてタックを判定し、硬化した組成物の表面のタックを下記の判定基準により評価し、試験結果を表1に示す。硬化した組成物の表面に、タックがほとんど感じられなければタックが良好であると判断した。
判定基準
「○」:タックがほとんど感じられない。
「△」:タックがやや感じられる。
「×」:タックが感じられる。
Figure 0005508968
表1に示すように、実施例1から8の組成物は、試験開始から少なくとも50時間は試験片の表面にヘアクラックがないか又は少ない良好であったことが確認された。また、実施例7以外の組成物は、試験開始から更に100時間までは試験片の表面にヘアクラックがないか又は少なかったことが確認された。また、実施例1から8の組成物は、試験片の表面に塵埃の付着がほとんど認められずきれいな状態であったことが確認された。また、実施例2から4の組成物は、試験片の表面にタックがやや感じられたが、実施例1、5から8の組成物は、試験片の表面にタックがほとんど感じられなかったことが確認された。これに対し、比較例1、2の組成物は、試験開始から50時間で試験片の表面にヘアクラックが多数見られ、試験片の表面に塵埃が付着し汚れた状態であり、試験片の表面にタックが感じられたことが確認された。
よって、末端に水酸基を有するポリサルファイドポリマー(A)と、ポリオキシプロピレンポリオール(B)と、水酸基含有(メタ)アクリル系単量体(C)との混合物に、ポリイソシアネート化合物(D)を反応させたポリサルファイド含有プレポリマーを用いることで、耐候性、耐汚染性及びタックが優れることが判明した。また、組成物に老化防止剤(E)を含めることで、耐候性が更に向上することが判明した。本発明の組成物は、耐候性、耐汚染性及びタックの何れも優れることからシーリング材、接着剤などに好適に用いることができることが判明した。
以上のように、本発明の硬化性組成物によれば、長期にわたって耐候性、耐汚染性、タックに優れる硬化物を提供できる。そのため、本発明の硬化性組成物は土木建築用、コンクリート用等のシーリング材、接着剤等に好適に用いることができる。

Claims (10)

  1. 末端に水酸基を有するポリサルファイドポリマー(A)と、ポリオキシアルキレンポリオール(B)と、水酸基含有(メタ)アクリル系単量体(C)との混合物に、ポリイソシアネート化合物(D)を、イソシアネート基/活性水素基のモル比が1.2対1.0から10.0対1.0となる範囲で反応させたものであり、イソシアネート基含有量が2.08質量%以上15.0質量%以下であるポリサルファイド含有プレポリマーを含むことを特徴とする硬化性組成物。
  2. 更に、老化防止剤(E)を含む請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 更に、光硬化性不飽和化合物(F)を含む請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
  4. 更に、光重合開始剤(G)を含む請求項1から3の何れか一項に記載の硬化性組成物。
  5. 前記ポリイソシアネート化合物(D)が、脂肪族若しくは脂環族である請求項1から4の何れか一項に記載の硬化性組成物。
  6. 更に、水分と反応して活性水素基を生成する潜在性硬化剤(H)を含む請求項1から5の何れか一項に記載の硬化性組成物。
  7. 前記潜在性硬化剤(H)が、オキサゾリジン化合物である請求項6に記載の硬化性組成物。
  8. 更に、前記潜在性硬化剤(H)の開環触媒として、カルボン酸シリルエステル化合物(I)を含み、
    前記カルボン酸シリルエステル化合物(I)が、下記式(1)および(2)で表されるカルボン酸シリルエステル基を含み、下記式(1)で表されるカルボン酸シリルエステル基の基数Mと下記式(2)で表されるカルボン酸シリルエステル基の基数Nとが下記式(3)の関係を満たす請求項6又は7に記載の硬化性組成物。
    1COO−Si≡ ・・・(1)
    2COO−Si≡ ・・・(2)
    0.10≦M/(M+N)≦0.80 ・・・(3)
    (式中、R1は炭素数13から21の1価の炭化水素基を表し、R2は炭素数5から11のアルキル基を表す。)
  9. 更に、充填剤として炭酸カルシウム(J)を含む請求項1から8の何れか一項に記載の硬化性組成物。
  10. 請求項1から9の何れか一項に記載の硬化性組成物を用いることを特徴とするシーリング材。
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