JP6902802B2 - 硬化性組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、汚染防止性および養生シート付着防止性に優れた硬化性組成物に関する。
ポリウレタン樹脂を含有する硬化性組成物は、作業性や接着性等に優れることから、建築用、土木用のシーリング材、防水材、接着剤、コーティング材として広く使用されている。ポリウレタン樹脂は、硬化後のゴム物性を低モジュラスから高モジュラス(高伸びから低伸び)まで比較的自由に調節できる。しかし、ポリウレタン樹脂を含有する硬化性組成物を低モジュラスから中モジュラス域に設計すると、硬化後の表面にべたつき(タック)が残ることがある。この場合、硬化性組成物の表面に塵や埃が付着し易くなり、その表面が汚染し意匠上の不具合を生じる。特に硬化性組成物を屋外で使用した場合や、硬化性組成物が硬化途中の場合には、硬化性組成物の表面のべたつき(タック)が大きいため、塵や埃が多く付着し硬化性組成物の表面が汚染する。
一方、硬化性組成物を使用する際には、硬化性組成物が使用箇所以外の箇所に付着しないように周辺部材に養生テープや養生シートを貼付することが多い。また、硬化性組成物を使用した後、その表面またはその周辺部材に上塗り塗料を塗布する場合は、施工工期を短縮するため、硬化性組成物が硬化途中であっても養生シートを硬化性組成物の表面に貼付することもある。この場合、主に硬化性組成物の表面のべたつき(タック)によって養生シートが硬化性組成物の表面に付着してしまい、上塗り塗料を塗布した後に養生シートを剥がすと硬化性組成物の表層部が養生シートに引っ張られて剥離することがある。硬化性組成物の表層部が剥離した場合には、その箇所を補修しなければならない。このため、硬化性組成物の養生シート付着防止性の向上が求められている。
硬化性組成物の表面のべたつきによる汚染の防止方法としては、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーとシラン化合物を含有する硬化性組成物が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2)。これら特許文献に記載された硬化性組成物は、硬化性組成物の表面のべたつき改善により、塵や埃による硬化性組成物の表面の汚染防止性に優れるものであるが、硬化性組成物の養生シート付着防止性は検討されていなかった。
特開2008−201980号公報 特開2009−073882号公報
本発明の目的は、汚染防止性および養生シート付着防止性に優れる硬化性組成物を提供することである。
本発明者は上述の要求を解決すべく鋭意検討した結果、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーと、特定のシラン化合物および/またはシラン化合物の部分加水分解縮合物と、熱減量が50〜150mg/gの表面処理炭酸カルシウムを含有する硬化性組成物が、硬化性組成物の汚染防止性および養生シート付着防止性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、下記の(1)〜(7)に示す態様を有する硬化性組成物に関する。
(1)イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーと、下記一般式(1)で表すシラン化合物および/またはシラン化合物の部分加水分解縮合物と、熱減量が50〜150mg/gの表面処理炭酸カルシウムを含有することを特徴とする、硬化性組成物。
4−mSi−(OR (1)
(式(1)中、Rは炭素数1〜6の1価の炭化水素基を表し、Rが複数のときは同じであっても異なっていてもよい。Rは炭素数1以上の1価の炭化水素基であるが、(OR)の少なくとも1個は炭素数2〜6のアルコキシ基である。(OR)が複数のときは同じであっても異なっていてもよい。mは1〜4の整数である。)
(2)前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの分岐密度が0.03ミリモル/g以上であることを特徴とする、(1)に記載の硬化性組成物。
(3)前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーが光反応性不飽和結合を分子内に有することを特徴とする、(1)または(2)に記載の硬化性組成物。
(4)さらに、オキサゾリジン化合物を含有することを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(5)さらに、硬化促進触媒、可塑剤、耐候安定剤、充填剤、揺変性付与剤、接着性向上剤、貯蔵安定性向上剤(脱水剤)、着色剤および有機溶剤から選択される少なくとも1種以上の添加剤を含有することを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(6)前記硬化性組成物が建築用または土木用の硬化性組成物であることを特徴とする、(1)〜(5)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(7)前記硬化性組成物がシーリング材組成物、防水材組成物、接着剤組成物またはコーティング材組成物であることを特徴とする、(1)〜(6)のいずれかに記載の硬化性組成物。
本発明の硬化性組成物は、屋外暴露における硬化性組成物の汚染防止性および養生シート付着防止性に優れる。また、本発明の硬化性組成物は、一液型硬化性組成物としても二液性硬化性組成物としても使用できるため、応用範囲が広い。
本発明の硬化性組成物は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(以下、後述する光反応性不飽和結合を導入したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーも含め、単に「ウレタンプレポリマー」という場合もある。)と、特定のシラン化合物および/またはシラン化合物の部分加水分解縮合物と、熱減量が50〜150mg/gの表面処理炭酸カルシウムを含有することを特徴とする。以下、各成分について詳細に説明する。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、本発明の硬化性組成物において硬化成分として働くとともに、硬化後の組成物に被着面との良好な接着性を与えるものである。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、1つ以上のイソシアネート基を有する樹脂であり、イソシアネート基が活性水素(基)含有化合物と反応しウレタン結合、ウレア結合等を形成して架橋硬化する。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、有機イソシアネート化合物と活性水素含有化合物とを、イソシアネート基/活性水素のモル比が好ましくは1.2〜10/1、さらに好ましくは1.2〜5/1となる範囲で一括あるいは逐次に反応させて、ウレタンプレポリマー中にイソシアネート基が残存するようにして製造することができる。前記モル比が1.2/1未満であるとウレタンプレポリマーの粘度が高くなり、硬化性組成物の作業性が悪くなる。また、前記モル比が10/1を超えると、イソシアネート基が水と反応したときに発生する炭酸ガスの量が多くなり、硬化時の発泡の原因となる。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基含有量は0.3〜15質量%が好ましく、特に0.5〜5質量%が好ましい。イソシアネート基含有量が0.3質量%未満の場合は、ウレタンプレポリマーの粘度が高くなり、硬化性組成物の作業性が悪くなる。また、イソシアネート基含有量が15質量%を超える場合は、イソシアネート基が水と反応したときに発生する炭酸ガスの量が多くなり、硬化時の発泡の原因となる。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの数平均分子量は、1,500以上が好ましく、さらに1,500〜20,000が好ましく、よりさらに1,500〜15,000が好ましく、特に1,500〜10,000が好ましい。なお、本発明における数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の数値である。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの分岐密度は、0.03ミリモル/g以上が好ましく、さらに0.03〜0.1ミリモル/gが好ましく、特に0.03〜0.08ミリモル/gが好ましい。ウレタンプレポリマーの分岐密度が0.03ミリモル/g未満であると、硬化性組成物の表面に養生シートを貼付した場合、養生シートが硬化性組成物の表面に付着し剥がしづらくなる。なお、ウレタンプレポリマーの分岐密度は、ウレタンプレポリマーを製造する原料(分岐構造を有する原料の含有量)から計算によって理論的に求めることができる。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの製造方法としては、具体的には、ガラス製やステンレス製等の反応容器に有機イソシアネート化合物と活性水素含有化合物を仕込み、反応触媒や有機溶剤の存在下、あるいは不存在下に、50〜120℃で攪拌しながら反応させる方法が挙げられる。この際、イソシアネート基が湿気等の水と反応するとウレタンプレポリマーが増粘するため、事前に容器内を窒素ガスで置換することや窒素ガス気流下で反応を行うことが好ましい。
有機イソシアネート化合物としては、有機ポリイソシアネートを挙げることができる。有機ポリイソシアネートは、その化合物中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物であり、具体的には、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート等のトルエンポリイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート等のジフェニルメタンポリイソシアネート、1,2−フェニレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4,6−トリメチルフェニル−1,3−ジイソシアネート、2,4,6−トリイソプロピルフェニル−1,3−ジイソシアネート等のフェニレンポリイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等のナフタレンポリイソシアネート、クロロフェニレン−2,4−ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニル−4,4′−ジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネートが挙げられる。また、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、o−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ポリイソシアネート、1,4−シクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トルエンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネートが挙げられる。さらに、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、クルードトルエンジイソシアネート等のポリメリックイソシアネートが挙げられる。またさらに、これらの有機ポリイソシアネートを変性して得られる、ウレトジオン結合、イソシアヌレート結合、アロファネート結合、ビュレット結合、ウレトンイミン結合、カルボジイミド結合、ウレタン結合またはウレア結合を1つ以上有する変性イソシアネートが挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらのうち、硬化性組成物が耐候性に優れることから、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、およびこれらの有機ポリイソシアネートを変性して得られる変性イソシアネートが好ましい。
また、有機ポリイソシアネートとともに、有機モノイソシアネートを用いることができる。すなわち、有機ポリイソシアネートと有機モノイソシアネートの混合物を、上述の有機イソシアネート化合物として用いることができる。有機モノイソシアネートは、その化合物中に1個のイソシアネート基を有する化合物であり、具体的には、n−ブチルモノイソシアネート、n−ヘキシルモノイソシアネート、n−ヘキサデシルモノイソシアネート、n−オクタデシルモノイソシアネート、p−イソプロピルフェニルモノイソシアネート、p−ベンジルオキシフェニルモノイソシアネートが挙げられる。
活性水素含有化合物は、その化合物中に1つ以上の活性水素(基)を有する化合物である。具体的には、高分子ポリオール、高分子ポリアミン、低分子ポリオール、低分子アミノアルコール、低分子ポリアミン、高分子モノオール、低分子モノオールが挙げられる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
高分子ポリオールとしては、ポリオキシアルキレン系ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、炭化水素系ポリオール、ポリ(メタ)アクリレート系ポリオール、動植物系ポリオールが挙げられる。中でも、ポリオキシアルキレン系ポリオール、ポリ(メタ)アクリレート系ポリオールが好ましい。本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を意味する。
高分子ポリオールの数平均分子量は、1,000〜20,000が好ましい。
ポリオキシアルキレン系ポリオールとしては、ポリオキシアルキレン系トリオール、ポリオキシアルキレン系ジオールが挙げられる。
なお、本発明において、ポリオキシアルキレン系トリオール、ポリオキシアルキレン系ジオールの「系」とは、分子中の水酸基を除いた部分の50質量%以上、さらに80質量%以上、特に90質量%以上がポリオキシアルキレンで構成されていれば、残りの部分がエステル、ウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ(メタ)アクリレート、ポリオレフィン等で変性されていてもよいことを意味する。水酸基を除いた分子中の95質量%以上がポリオキシアルキレンからなるものが最も好ましい。
ポリオキシアルキレン系トリオール、ポリオキシアルキレン系ジオールは、重合触媒存在下で開始剤にアルキレンオキシドを開環付加重合させて得られる。ポリオキシアルキレン系トリオール、ポリオキシアルキレン系ジオール、ポリオキシアルキレン系モノオールの総不飽和度は、0.1meq/g以下が好ましく、さらに0.07meq/g以下が好ましく、特に0.04meq/g以下が好ましい。
重合触媒としては、ナトリウム系触媒、カリウム系触媒等のアルカリ金属化合物触媒、カチオン重合触媒、亜鉛ヘキサシアノコバルテートのグライム錯体やジグライム錯体等の複合金属シアン化錯体触媒、ホスファゼン化合物触媒が挙げられる。これらのうち、アルカリ金属化合物触媒、複合金属シアン化錯体触媒が好ましい。
開始剤としては、分子中の活性水素(基)(アルキレンオキシドと反応しうる水酸基やアミノ基)の数が2〜3である化合物を用いる。これらに、分子中の活性水素(基)の数が4である化合物を少量併用することもできる。
ポリオキシアルキレン系トリオールを製造する際の開始剤は、活性水素(基)の数が3である化合物を主に使用する。活性水素の数が3である化合物としては、具体的には、グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価アルコールが挙げられる。
ポリオキシアルキレン系ジオールを製造する際の開始剤は、活性水素(基)の数が2である化合物を主に使用する。活性水素の数が2である化合物としては、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等の2価アルコールが挙げられる。
アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2−エポキシブタン、2,3−エポキシブタンが挙げられる。これらのうち、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシドとエチレンオキシドとの併用が好ましく、さらにプロピレンオキシド、プロピレンオキシドとエチレンオキシドとの併用が好ましい。
ポリオキシアルキレン系トリオールとしては、ポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシエチレントリオール、ポリオキシエチレンプロピレントリオールが好ましく、さらにポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシエチレンプロピレントリオールが好ましい。また、ポリオキシアルキレン系トリオールの数平均分子量は、1,000〜30,000が好ましく、さらに1,000〜20,000が好ましい。
本発明において、「オキシエチレンプロピレン」とは、分子中にオキシエチレン基(−CHCHO−)とオキシプロピレン基(−CH(CH)CHO−)を含むものである。
ポリオキシアルキレン系ジオールとしては、ポリオキシプロピレンジオール、ポリオキシエチレンジオール、ポリオキシエチレンプロピレンジオールが好ましく、さらにポリオキシプロピレンジオール、ポリオキシエチレンプロピレンジオールが好ましい。また、ポリオキシアルキレン系ジオールの数平均分子量は、1,000〜30,000が好ましく、さらに1,000〜20,000が好ましい。
ポリエステルポリオールとしては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロオルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸等のポリカルボン酸;これら酸の無水物あるいはメチルエステルやエチルエステル等のアルキルエステルの1種以上と、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド付加物、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の低分子ポリオール類の1種以上との反応によって得られるポリエステルポリオールが挙げられる。また、これらのポリカルボン酸および酸無水物、低分子のポリオール類に加えて、さらにブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン等の低分子ポリアミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の低分子アミノアルコール類の1種以上との反応で得られるポリエステルアミドポリオールも挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロオルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸等のポリカルボン酸;これら酸の無水物あるいはメチルエステルやエチルエステル等のアルキルエステルの1種以上と、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド付加物、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の低分子ポリオール類の1種以上との反応によって得られるポリエステルポリオールが挙げられる。また、これらのポリカルボン酸および酸無水物、低分子のポリオール類に加えて、さらにブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン等の低分子ポリアミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の低分子アミノアルコール類の1種以上との反応で得られるポリエステルアミドポリオールも挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、上述のポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子ポリオール類とホスゲンとの脱塩酸反応、あるいは上述の低分子ポリオール類とジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネートとのエステル交換反応で得られるものが挙げられる。
ポリ(メタ)アクリレート系ポリオールとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を含有する(メタ)アクリレート単量体と他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体とを、ラジカル重合開始剤の存在下あるいは不存在下に共重合させたものが挙げられる。
炭化水素系ポリオールとしては、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等のポリオレフィンポリオール;水素添加ポリブタジエンポリオール、水素添加ポリイソプレンポリオール等のポリアルキレンポリオール;塩素化ポリプロピレンポリオール、塩素化ポリエチレンポリオール等のハロゲン化ポリアルキレンポリオールが挙げられる。
動植物系ポリオールとしては、ヒマシ油系ポリオール、絹フィブロインが挙げられる。
上述の高分子ポリオールは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、上述の高分子ポリオールとともに、高分子モノオールを併用することができる。高分子モノオールの数平均分子量は、1,000〜30,000が好ましく、さらに1,000〜20,000が好ましい。
高分子ポリオールと高分子モノオールを併用する場合、その組合せとしては、高分子トリオールと高分子ジオールと高分子モノオール、または、高分子トリオールと高分子モノオールが好ましい。
高分子モノオールとしては、ポリオキシアルキレン系モノオールが好ましい。
なお、本発明において、ポリオキシアルキレン系モノオールの「系」とは、分子中の水酸基を除いた部分の50質量%以上、さらに80質量%以上、特に90質量%以上がポリオキシアルキレンで構成されていれば、残りの部分がエステル、ウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ(メタ)アクリレート、ポリオレフィン等で変性されていてもよいことを意味する。水酸基を除いた分子中の95質量%以上がポリオキシアルキレンからなるものが最も好ましい。
ポリオキシアルキレン系モノオールは、重合触媒存在下で開始剤にアルキレンオキシドを開環付加重合させて得られる。ポリオキシアルキレン系モノオールの総不飽和度は、0.1meq/g以下が好ましく、さらに0.07meq/g以下が好ましく、特に0.04meq/g以下が好ましい。
重合触媒としては、ナトリウム系触媒、カリウム系触媒等のアルカリ金属化合物触媒、カチオン重合触媒、亜鉛ヘキサシアノコバルテートのグライム錯体やジグライム錯体等の複合金属シアン化錯体触媒、ホスファゼン化合物触媒が挙げられる。これらのうち、アルカリ金属化合物触媒、複合金属シアン化錯体触媒が好ましい。
ポリオキシアルキレン系モノオールを製造する際の開始剤は、活性水素(基)の数が1である化合物を主に使用する。活性水素(基)の数が1である化合物としては、具体的には、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の1価アルコール類;フェノール、ノニルフェノール等の1価フェノール類;ジメチルアミン、ジエチルアミン等の2級アミン類が挙げられる。
高分子モノオールを併用する場合、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー中の高分子モノオールの含有量は、ウレタンプレポリマー全体量に対し5〜30質量%が好ましく、さらに5〜20質量%が好ましい。ウレタンプレポリマー中の高分子モノオールの含有量が上記範囲であると硬化性組成物が耐久性(例えば、JIS A 5758の耐久性)に優れるものとなる。特に、ウレタンプレポリマーの分岐密度を高くしていくと、硬化性組成物の硬化後の物性が高モジュラスで低伸びとなり、耐久性が低下する傾向となるが、ウレタンプレポリマー中の高分子モノオールの含有量を上記範囲とすることで、ウレタンプレポリマーの分岐密度を高くしても硬化性組成物の硬化後の物性が耐久性に優れるものとなる。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、耐候性を付与する目的でウレタンプレポリマー中に光反応性不飽和結合を導入することもできる。光反応性不飽和結合を導入したウレタンプレポリマーは、本発明の硬化性組成物において硬化成分として働くとともに、硬化後の組成物に被着面との良好な接着性、優れた耐候性を与えるものである。上述の光反応性不飽和結合とは、光に暴露されることにより比較的短時間に重合等の化学変化を起こす不飽和結合である。具体的には、ビニル基、ビニレン基、(メタ)アクリロイル基に由来する不飽和結合が挙げられる。本発明において、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基および/またはメタクリロイル基」を意味する。
光反応性不飽和結合を導入したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基は、活性水素含有化合物と反応して架橋硬化する。また、光反応性不飽和結合を導入したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの光反応性不飽和結合は、光に暴露されると重合反応し、硬化性組成物の表面に耐候性に優れた硬化皮膜を形成する。この硬化皮膜が硬化性組成物に優れた耐候性を付与するものと考えられる。光反応性不飽和結合は、耐候性付与効果が高い点で(メタ)アクリロイル基に由来する不飽和結合が好ましい。
光反応性不飽和結合をイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに導入する方法としては、
(イ)有機イソシアネート化合物と、高分子の活性水素含有化合物(数平均分子量1,000以上)と、分子内に活性水素と光反応性不飽和結合とを有する低分子の活性水素含有化合物(数平均分子量1,000未満)とを、活性水素の合計量に対してイソシアネート基過剰の条件で反応させて得る方法;
(ロ)有機イソシアネート化合物と、分子内に活性水素と光反応性不飽和結合とを有する高分子(数平均分子量1,000以上)の活性水素含有化合物(例えば、ポリオキシアルキレントリオールのモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸のアルキレンオキシド付加物、ポリブタジエンポリオール)とを活性水素の合計量に対してイソシアネート基過剰の条件で反応させて得る方法;および
(ハ)有機イソシアネート化合物と、分子内に光反応性不飽和結合とイソシアネート基とを有する低分子(数平均分子量1,000未満)の活性水素含有化合物(例えば、(メタ)アクリロイルイソシアネート)と、高分子(数平均分子量1,000以上)の活性水素含有化合物とを活性水素の合計量に対してイソシアネート基過剰の条件で反応させて得る方法;
が挙げられる。前記(イ)の方法が原料の入手しやすさと反応のしやすさの点で好ましい。本発明において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸および/またはメタクリル酸」を意味する。
光反応性不飽和結合をイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに導入する反応は、原料を一括で仕込み反応させてもよいし、原料を逐次で仕込み反応させてもよい。有機イソシアネート化合物のイソシアネート基と、活性水素含有化合物(活性水素と光反応性不飽和結合とを有する化合物を含む)の活性水素との当量比(イソシアネート基/活性水素)は、1.2〜10/1が好ましく、さらに1.2〜5/1が好ましい。光反応性不飽和結合を導入したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー中のイソシアネート基含有量は0.3〜15質量%が好ましく、さらに0.5〜5質量%が好ましい。イソシアネート基含有量が0.3質量%未満の場合は、分子量が大きくなりすぎて粘度が増大し作業性が低下する。またウレタンプレポリマー中の架橋点が少なくなるため、十分な接着性が得られない。イソシアネート基含有量が15質量%を超えると、イソシアネート基が水と反応したときに発生する炭酸ガスの量が多くなり硬化時の発泡の原因となる。
光反応性不飽和結合を導入したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー中の光反応性不飽和結合の濃度は、0.01ミリモル/g以上が好ましく、さらに0.03〜1ミリモル/gが好ましく、特に0.05〜0.5ミリモル/gが好ましい。
上述の活性水素と光反応性不飽和結合とを有する(低分子および高分子の)活性水素含有化合物は、その化合物中に水酸基、アミノ基、カルボキシル基等の活性水素(基)と、ビニル基、ビニレン基、(メタ)アクリロイル基等の光反応性不飽和結合の両方を有する化合物である。反応のしやすさや耐候性付与効果の高い点で、化合物中に水酸基と(メタ)アクリロイル基とを有するものが好ましい。また、活性水素(基)と光反応性不飽和結合とを有する化合物の分子量は、反応しやすい点で数平均分子量1,000未満のものが好ましい。
水酸基と(メタ)アクリロイル基とを有する活性水素含有化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等のアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのモノエステルである、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシネオペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘプチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のモノヒドロキシモノ(メタ)アクリレート類、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3官能以上アルキレンポリオールと(メタ)アクリル酸とのモノエステルあるいはジエステル、トリエステル等のポリエステルである、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のモノヒドロキポリ(メタ)アクリレート類、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート等のポリヒドロキモノ(メタ)アクリレート類、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等のポリヒドロキポリ(メタ)アクリレート類が挙げられる。また、これら以外に、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ビスフェノールAやビスフェノールFにエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したポリオール等のモノヒドロキシモノ(メタ)アクリレート類、ポリヒドロキシモノ(メタ)アクリレート類、ポリヒドロキシポリ(メタ)アクリレート類や(メタ)アクリル酸やヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの活性水素にエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加した化合物で水酸基を有するもの、ヒドロキシエチルアクリレートのカプロラクトン変性物等で水酸基を有している化合物も挙げられる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。これらのうち、ウレタンプレポリマーの粘度を低く抑えることができ、かつ耐候性付与効果を高めることができる点で、モノヒドロキシポリ(メタ)アクリレート類およびジヒドロキシポリ(メタ)アクリレート類が好ましい。
シラン化合物および/またはシラン化合物の部分加水分解縮合物について説明する。シラン化合物および/またはシラン化合物の部分加水分解縮合物は、ウレタンプレポリマーと組み合わせることにより、硬化性組成物に汚染防止性や養生シート付着防止性の効果を付与するものである。これは、硬化性組成物が湿気等の水により硬化する際に、前記シラン化合物および/またはシラン化合物の部分加水分解縮合物が硬化途中から硬化性組成物の表面に移行(ブリード)し、湿気等の水により加水分解を受け、脱アルコールしながら縮合し、硬化性組成物の表面に親水性の皮膜を形成することで硬化性組成物の表面のべたつきを低減させることによるものと考えられる。硬化性組成物の表面のべたつきが低減されることで硬化性組成物の表面に塵や埃が付着しづらくなり、汚染防止性が向上する。また、硬化性組成物の表面に塵や埃が付着しても雨、シャワー等の流水や圧縮空気を吹き付けることにより、塵や埃を比較的容易に落とすことが可能となる。
前記シラン化合物は、下記一般式(1)で表す化合物で、分子内にメトキシ基以外のアルコキシ基を少なくとも1個有するシラン化合物である。
4−mSi(OR (1)
(式(1)中、Rは炭素数1〜6の1価の炭化水素基を表し、Rが複数のときは同じであっても異なっていてもよい。Rは炭素数1以上の1価の炭化水素基であるが、(OR)の少なくとも1個は炭素数2〜6のアルコキシ基である。(OR)が複数のときは同じであっても異なっていてもよい。mは1〜4の整数である。)
前記Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、フェニル基等の反応性の官能基を有しない炭素数1〜6の1価の炭化水素基が挙げられる。
前記(OR)はアルコキシ基であり、mが1のときは、(OR)はメトキシ基以外のアルコキシ基である。mが2、3または4のときは、(OR)の少なくとも1個はメトキシ基以外のアルコキシ基である。
前記メトキシ基以外のアルコキシ基としては、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、ペントキシ基、ヘキソキシ基、フェノキシ等の炭素数2以上のアルコキシ基が挙げられる。
前記シラン化合物としては、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシランが挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
シラン化合物の部分加水分解縮合物は、上述のシラン化合物のアルコキシ基を溶媒の存在下または不存在下で部分的に加水分解し、シラン化合物を線状または3次元状に縮合した多量体である。シラン化合物の部分加水分解縮合物は、硬化性組成物の表面への移行性(ブリード)、硬化性組成物の表面へ移行した後の被膜形成性の観点から、2〜20量体が好ましい。
シラン化合物の部分加水分解縮合物としては、具体的に例えば、テトラエトキシシランの部分加水分解縮合物を含む、エチルシリケート40(平均5量体)、エチルシリケート48(平均10量体)、コルコート社製;ジエトキシジメトキシシランの部分加水分解縮合物を含むEMS−485(平均10量体)、コルコート社製;テトラメトキシシランの部分加水分解縮合物をブタノールで一部ブトキシ化した縮合物を含むMKCシリケートMS58B15、MS58B30、MS51、MS56、M57、MS56S、三菱化学社製;が挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用できる。
前記シラン化合物および/またはシラン化合物の部分加水分解縮合物の使用量は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー100質量部に対して、0.01〜20質量部、さらに0.1〜10質量部が好ましい。使用量が0.01質量部未満では硬化性組成物の表面の汚染防止効果や養生シート付着防止効果が少ない。また使用量が20質量部を超えるとシラン化合物および/またはシラン化合物の部分加水分解縮合物が加水分解して発生するアルコールの量が多くなり、発生したアルコールがウレタンプレポリマーのイソシアネート基と反応して硬化不良を起こす場合がある。
表面処理炭酸カルシウムについて説明する。表面処理炭酸カルシウムは、硬化性組成物に揺変性を付与し、硬化性組成物を垂直面や傾斜面に使用した際にタレ、スランプの発生を防止する目的や、硬化性組成物をビード塗布、クシ目ゴテ等で塗布した際に塗布形状を保持する目的で使用する。本発明における表面処理炭酸カルシウムは、15℃/minの昇温速度で200〜500℃の熱減量が50〜150mg/gの表面処理炭酸カルシウムを上述のウレタンプレポリマー、シラン化合物および/またはシラン化合物の部分加水分解縮合物と併用することにより、硬化性組成物が養生シート付着防止性に優れるものとなる。
表面処理炭酸カルシウムとしては、脂肪酸表面処理炭酸カルシウムが挙げられる。脂肪酸表面処理炭酸カルシウムは、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、コロイド炭酸カルシウムの表面を、脂肪酸、脂肪酸アルキルエステル、脂肪酸金属塩、脂肪酸有機塩等の脂肪酸類で処理したものである。
脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、牛脂ステアリン酸、パーム核脂肪酸、部分硬化パーム脂肪酸、極度硬化パーム脂肪酸、ヤシ脂肪酸、部分硬化ヤシ脂肪酸、極度硬化ヤシ脂肪酸、パーム脂肪酸、パームステアリン酸、牛脂脂肪酸、部分硬化牛脂脂肪酸、極度硬化牛脂脂肪酸、大豆脂肪酸、部分硬化大豆脂肪酸、極度硬化大豆脂肪酸、ナフテン酸、アビエチン酸、ネオアビエチン酸が挙げられる。金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、有機塩としては、アンモニウム塩が挙げられる。
脂肪酸表面処理炭酸カルシウムの市販品としては、丸尾カルシウム社製のシーレッツ200、カルファイン200、カルファイン200M、カルファイン500、カルファインN−40、カルファインN−350;白石工業社の白艶華CC、白艶華CCR、白艶華CCR−S、白艶華CCR−B、VIGOT−10、VIGOT−15、Viscolite−SV、Viscolite−OS、Viscolite EL−20;日東粉化工業社のNCC#3010、NCC#1010が挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用できる。これらのうち、揺変性付与効果が高い点で、脂肪酸または脂肪酸金属塩で表面処理した炭酸カルシウムが好ましい。
脂肪酸表面処理炭酸カルシウムの平均粒径は、0.01〜1.0μmが好ましく、さらに0.01〜0.3μmが好ましい。脂肪酸表面処理炭酸カルシウムのBET比表面積は5〜200m/gが好ましく、さらに10〜60m/gが好ましい。平均粒径が0.01μmを下回るか、あるいはBET比表面積が200m/gを超えると、得られる硬化性組成物の粘度が高くなり作業性が悪化するため好ましくない。平均粒径が1.0μmを上回るか、あるいはBET比表面積が5m/gを下回ると揺変性付与効果が低下するため好ましくない。
脂肪酸表面処理炭酸カルシウムの熱減量は、硬化性組成物の養生シート付着防止性が良好となることから、50〜150mg/gが好ましく、さらに50〜120mg/gが好ましい。脂肪酸表面処理炭酸カルシウムの熱減量は、熱重量測定(TG)によって求めることができる。具体的に例えば、下記の測定方法によって求めることができる。
[測定方法]
直径5mmの白金製試料パンに脂肪酸表面処理炭酸カルシウムを10mg量り取り、熱重量分析機器(TG8120、リガク社製)を用いて、常温から510℃まで速度15℃/minで昇温する。このとき、200〜500℃の範囲で減少した重量を測定し、脂肪酸表面処理炭酸カルシウムの1gあたりの熱減量(mg/g)を求める。
脂肪酸表面処理炭酸カルシウムの使用量は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー100質量部に対し1〜200質量部が好ましく、さらに5〜150質量部が好ましい。
本発明の硬化性組成物は、オキサゾリジン化合物を配合することができる。オキサゾリジン化合物は、酸素原子と窒素原子とを含む飽和5員環の複素環であるオキサゾリジン環を分子内に1個以上、好ましくは1〜6個有する化合物である。オキサゾリジン化合物は、湿気等の水と反応して加水分解し、オキサゾリジン環が2級アミノ基とアルコール性水酸基を生成(再生)することで、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの潜在性硬化剤として機能するものである。ウレタンプレポリマーのイソシアネート基が湿気等の水と反応すると尿素結合を形成して硬化するが、この際、炭酸ガスも発生し、硬化物の中に炭酸ガスによる気泡が生じて外観の悪化、硬化物の破断、接着性の低下等の不具合を生じることがある。一方、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーとオキサゾリジン化合物を併用した硬化性組成物を水と反応させた場合は、まず水とオキサゾリジン化合物が優先的に反応し、オキサゾリジン化合物のオキサゾリジン環が2級アミノ基とアルコール性水酸基(活性水素基)を生成する。次に生成した活性水素基(特に2級アミノ基)がイソシアネート基と優先的に反応するため、水とイソシアネート基の反応による炭酸ガスの発生を抑制し、硬化性組成物の硬化時の発泡を防止することができる。
また、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに使用する有機ポリイソシアネート化合物として、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートを使用すると硬化性組成物の硬化が遅くなる場合がある。硬化性組成物にイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーとオキサゾリジン化合物を併用すると、硬化性組成物の硬化を速められ、後述する硬化促進触媒の使用量を低減することができる。
さらに、オキサゾリジン化合物は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーとシラン化合物および/またはシラン化合物の部分加水分解縮合物を含有する硬化性組成物に配合することで、硬化性組成物の表面の亀裂の発生を防止する効果を有する。硬化性組成物の表面の亀裂は、硬化性組成物が硬化する際、シラン化合物および/またはシラン化合物の部分加水分解縮合物が硬化性組成物の表面に移行(ブリード)し、加水分解して形成した硬化皮膜が硬いため硬化皮膜に変位が生じると、その変位に追従できず亀裂が発生すると推察される。オキサゾリジン化合物を配合すると、オキサゾリジン化合物が加水分解して生成した2級アミノ基とアルコール性水酸基の働きにより、シラン化合物および/またはシラン化合物の部分加水分解縮合物の硬化皮膜が柔軟性を有するようになり、亀裂の発生を防止するものと推察される。
オキサゾリジン化合物としては、ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物、エステル基含有オキサゾリジン化合物、オキサゾリジンシリルエーテル化合物、カーボネート基含有オキサゾリジン化合物が挙げられる。これらのオキサゾリジン化合物は、水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の水酸基と、有機ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基や有機カルボン酸化合物のカルボキシル基とを反応させる等により得られる。これらのオキサゾリジン化合物のうち、製造し易く粘度が低いということからウレタン結合含有オキサゾリジン化合物が好ましい。
水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物としては、具体的には、アルカノールアミンの2級アミノ基と、ケトン化合物またはアルデヒド化合物のカルボニル基との脱水縮合反応により得られるN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンが挙げられる。この水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の製造方法としては、アルカノールアミンの2級アミノ基1モルに対し、アルデヒド化合物またはケトン化合物のカルボニル基を1モル以上、好ましくは1〜1.5モル、さらに好ましくは1〜1.2モル使用し、トルエン、キシレン等の溶媒中で、加熱、還流し、副生する水を除去しながら脱水縮合反応を行う方法が挙げられる。過剰のアルデヒド化合物やケトン化合物は蒸留により除去すればよい。
アルカノールアミンとしては、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−(2−ヒドロキシプロピル)アミンが挙げられる。ケトン化合物としては、アセトン、ジエチルケトン、イソプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−tert−ブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンが挙げられる。アルデヒド化合物としては、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、2−メチルブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、2−メチルペンチルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、3,5,5−トリメチルヘキシルアルデヒド等の脂肪族アルデヒド化合物;ベンズアルデヒド、メチルベンズアルデヒド、トリメチルベンズアルデヒド、エチルベンズアルデヒド、イソプロピルベンズアルデヒド、イソブチルベンズアルデヒド、メトキシベンズアルデヒド、ジメトキシベンズアルデヒド、トリメトキシベンズアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物が挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらのうち、水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の製造の容易さと、硬化性組成物が硬化するときの発泡防止性に優れている点で、アルカノールアミンとしてはジエタノールアミンが好ましく、ケトン化合物またはアルデヒド化合物のうちアルデヒド化合物が好ましく、さらにイソブチルアルデヒド、2−メチルペンチルアルデヒド、ベンズアルデヒドが好ましい。
水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物としては、2−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン、2−(1−メチルブチル)−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン、2−フェニル−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジンが挙げられる。
ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物としては、有機ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基と水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の水酸基とをイソシアネート基/水酸基のモル比が0.9/1〜1.2/1、好ましくは0.95/1〜1.05/1となるように使用し、有機溶剤の存在下または不存在下に50〜120℃の温度で反応させて得られるものが好適に挙げられる。
ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物の製造に用いられる有機ポリイソシアネート化合物は、上述のウレタンプレポリマーの製造に用いられるのと同様のものが挙げられる。このうち、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートが好ましく、特にキシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
エステル基含有オキサゾリジン化合物は、上述の水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物とジカルボン酸またはポリカルボン酸の低級アルキルエステルとの反応によって得ることができる。
オキサゾリジンシリルエーテル化合物は、上述の水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物と、トリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、トリエトキシシラン、ジメトキシジメチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシランとの脱アルコール反応により得られる。
カーボネート基含有オキサゾリジン化合物は、上述の水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物とジアリルカーボネート等のカーボネートとを、ジエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコールを用いて反応させることによって得ることができる。
これらのオキサゾリジン化合物は、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
なお、オキサゾリジン化合物は、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基と反応するアミノ基や水酸基等の活性水素含有官能基、あるいはイソシアネート基を有していないことが好ましい。これはウレタンプレポリマーの粘度上昇やオキサゾリジン化合物の発泡防止性能の低下を防止するためである。但し、上述のウレタン結合含有オキサゾリジン化合物の製造において、モル比の選択により少量の活性水素含有官能基やイソシアネート基が分子内に残存する場合があるが、この場合は本発明の目的を達成する上で有していないとみなすことができる。なお、前記「少量」とは、分子内に残存する活性水素含有官能基またはイソシアネート基の量が、好ましくはオキサゾリジン化合物1g当たり、0.05ミリモル以下、さらに好ましくは0.02ミリモル以下である。
オキサゾリジン化合物を使用する場合の配合量は、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基1モルに対して、オキサゾリジン化合物が加水分解して生成(再生)する2級アミノ基の活性水素が0.1〜1モルとするのが好ましく、0.3〜1モルとするのがより好ましく、特に0.5〜1モルとするのが好ましい。オキサゾリジン化合物が加水分解して生成(再生)する2級アミノ基の活性水素が0.1モル未満では発泡防止が不十分となり好ましくない。
本発明の硬化性組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、上述した各成分以外に必要に応じて各種の添加剤を含有することができる。添加剤は、硬化性組成物に配合して硬化性組成物の粘度調整、硬化促進、接着性等の各種の性能を向上させるために使用する。具体的には、硬化促進触媒、可塑剤、耐候安定剤、充填剤、揺変性付与剤、接着性向上剤、貯蔵安定性向上剤(脱水剤)、着色剤および有機溶剤を挙げることができる。これらはいずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
硬化促進触媒は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーが湿気等の水と反応して架橋硬化するのを促進させるために使用する。また、硬化性組成物にオキサゾリジン化合物を配合した場合は、オキサゾリジン化合物から生成した第2級アミノ基やアルコール性水酸基とウレタンプレポリマーのイソシアネート基との反応を促進させるために使用する。さらに、硬化促進触媒は、上述のウレタンプレポリマーの製造時の反応触媒としても使用することができる。なお、ウレタンプレポリマーの製造時の反応触媒として使用した場合は、ウレタンプレポリマー中に残存する反応触媒が硬化性組成物の硬化促進触媒として作用することもある。
硬化促進触媒としては、具体的には、金属系触媒、アミン系触媒を挙げることができる。
金属系触媒としては、金属と有機酸との塩、有機金属と有機酸との塩、金属キレート化合物が挙げられる。金属と有機酸との塩としては、錫、ビスマス、ジルコニウム、亜鉛、マンガン等の各種金属とオクチル酸、ネオデカン酸、ステアリン酸、ナフテン酸等の有機酸との塩が挙げられる。具体的には、オクチル酸錫、ナフテン酸錫、オクチル酸ビスマス、オクチル酸ジルコニウムが挙げられる。有機金属と有機酸との塩としては、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジバーサテート、ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物が挙げられる。金属キレート化合物としては、ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)、錫系キレート化合物である旭硝子社製EXCESTAR C−501、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトナート)、チタンテトラキス(アセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アセチルアセトンコバルト、アセチルアセトン鉄、アセチルアセトン銅、アセチルアセトンマグネシウム、アセチルアセトンビスマス、アセチルアセトンニッケル、アセチルアセトン亜鉛、アセチルアセトンマンガンが挙げられる。
アミン系触媒としては、3級アミン類が挙げられる。3級アミン類としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕ウンデセン−7(DBU)、1,4−ジアザビシクロ〔2,2,2〕オクタン(DABCO)やこれら三級アミン類と有機カルボン酸の塩が挙げられる。
これらの硬化促進触媒は、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらのうち、硬化性組成物の硬化性に優れることから、金属と有機酸との塩、有機金属と有機酸との塩、金属キレート化合物が好ましく、さらに錫と有機酸との塩、ビスマスと有機酸との塩、有機錫と有機酸との塩、有機ビスマスと有機酸との塩、錫キレート化合物、ビスマスキレート化合物が好ましい。
硬化促進触媒の使用量は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー100質量部に対して、0.005〜5質量部、特に0.005〜2質量部が好ましい。
上述の金属系触媒、アミン系触媒の他に、有機カルボン酸系触媒、燐酸エステル系触媒、p−トルエンスルホニルモノイソシアネート、p−トルエンスルホニルモノイソシアネートと水との反応物を使用することができる。有機カルボン酸系触媒、燐酸エステル系触媒、p−トルエンスルホニルモノイソシアネート、p−トルエンスルホニルモノイソシアネートと水との反応物は、硬化性組成物にオキサゾリジン化合物を配合した場合に、オキサゾリジン化合物のオキサゾリジン環の加水分解を促進させるものである。これらのうち、有機カルボン酸系触媒が好ましい。オキサゾリジン環の加水分解の促進により、生成した第2級アミノ基とアルコール性水酸基(活性水素基)がウレタンプレポリマーのイソシアネート基と反応し、硬化性組成物の硬化が促進される。さらに、硬化性組成物の硬化初期からべたつきが改善され、硬化性組成物の汚染防止性、養生シート付着防止性が向上する。
有機カルボン酸系触媒としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、カプロン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、2−エチルヘキサン酸(オクチル酸)、オクテン酸、ラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪族カルボン酸、マレイン酸、アクリル酸等のα,β−不飽和カルボン酸、フタル酸、安息香酸、サリチル酸等の芳香族カルボン酸が挙げられる。
燐酸エステル系触媒としては、正燐酸エステル化合物、亜燐酸エステル化合物が挙げられる。正燐酸エステル化合物としては、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート等の酸性燐酸エステル化合物が挙げられ、亜燐酸エステル化合物としては、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、ジフェニルモノ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト等の亜憐酸トリエステル化合物、ジラウリルハイドロゲンホスファイト、ジオレイルハイドロゲンホスファイト、ジフェニルハイドロゲンホスファイト等の亜燐酸ジエステル化合物が挙げられる。
p−トルエンスルホニルモノイソシアネートと水との反応物は、本発明の硬化性組成物に配合する前にp−トルエンスルホニルモノイソシアネートと水とを予め反応させて得られるものであっても良いし、p−トルエンスルホニルモノイソシアネートを硬化性組成物に配合している間に水を添加して反応させたもの、あるいは硬化性組成物中に存在する水と反応させたものであってもよい。
可塑剤は、硬化性組成物の粘度を下げて作業性を改善するとともに、硬化性組成物の硬化後のゴム物性を調節する目的で使用する。具体的には、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジブチル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル類;アジピン酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、セバシン酸ジブチル、オレイン酸ブチル等の脂肪族カルボン酸エステル類等の低分子量の可塑剤;上述したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの合成に使用できるものと同様のポリオキシアルキレン系トリオール、ポリオキシアルキレン系ジオール、ポリオキシアルキレン系モノオールをウレタン化、エーテル化またはエステル化した数平均分子量が1,000以上の高分子量の可塑剤;ポリ−α−メチルスチレン、ポリスチレン等のポリスチレン類等のイソシアネート基と反応しない数平均分子量1,000以上の高分子量の可塑剤が挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
可塑剤は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー100質量部に対して、1〜200質量部使用するのが好ましく、さらに2〜50質量部使用するのが好ましい。
耐候安定剤は硬化性組成物の酸化、光劣化、熱劣化を防止して耐候性や耐熱性をさらに向上させる目的で使用する。耐候安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、紫外線吸収剤が挙げられる。これらの耐候安定剤は、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジル)エステル、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、メチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の分子量1,000未満の低分子量の化合物;コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物の他、ADEKA社製のアデカスタブLA−63P、LA−68LD等の分子量1,000以上の高分子量の化合物が挙げられる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオアミド]、ベンゼンプロパン酸3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシC7−C9側鎖アルキルエステル、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノールが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール等のトリアジン系紫外線吸収剤;オクタベンゾン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系紫外線吸収剤が挙げられる。
これらのうち耐候性向上の効果が高い点で、ヒンダードアミン系光安定剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤およびそれらの混合物が好ましい。耐候安定剤は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー100質量部に対して、0.01〜30質量部使用するのが好ましく、さらに0.1〜10質量部使用するのが好ましい。
充填剤は、硬化性組成物の増量剤として、また、硬化物の物性補強を目的として使用する。無機系充填剤と有機系充填剤が挙げられる。無機系充填剤としては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、コロイド炭酸カルシウム、マイカ、カオリン、ゼオライト、グラファイト、珪藻土、白土、クレー、タルク、無水ケイ酸、石英、アルミニウム粉末、亜鉛粉末、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ等の無機粉末状充填剤;ガラス繊維、炭素繊維等の無機系繊維状充填剤;ガラスバルーン、シラスバルーン、シリカバルーン、セラミックバルーン等の無機系バルーン状充填剤が挙げられる。有機系充填剤としては、木粉、クルミ穀粉、もみ殻粉、パルプ粉、ゴム粉末、熱可塑性あるいは熱硬化性樹脂の粉末等の有機粉末状充填剤;ポリエチレンバルーン、サランマイクロバルーン等の有機系バルーン状充填剤が挙げられる。また、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の難燃性付与充填剤が挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
充填剤の使用量は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー100質量部に対して、1〜500質量部、さらに10〜300質量部、特に10〜200質量部が好ましい。
揺変性付与剤は、上述の表面処理炭酸カルシウムと同様に硬化性組成物に揺変性を付与し、硬化性組成物を垂直面や傾斜面に使用した際にタレ、スランプの発生を防止する目的や、硬化性組成物をビード塗布、クシ目ゴテ等で塗布した際に塗布形状を保持する目的で使用する。揺変性付与剤としては、無機系揺変性付与剤、有機系揺変性付与剤が挙げられる。無機系揺変性付与剤としては、上述の表面処理炭酸カルシウムの他に、親水性や疎水性のコロイダルシリカ等の微粉状シリカが挙げられる。有機系揺変性付与剤としては、脂肪酸アマイドが挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
接着性向上剤は、硬化性組成物の接着性の向上を目的として使用する。具体的には、シラン系、アルミニウム系、ジルコアルミネート系等の各種カップリング剤またはその部分加水分解縮合物を挙げることができる。このうちシラン系カップリング剤またはその部分加水分解縮合物が接着性に優れているため好ましい。
シラン系カップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のアルコキシシリル基を含有する分子量500以下の化合物が挙げられる。またはこれらシラン系カップリング剤の1種または2種以上の部分加水分解縮合物で分子量200〜3,000の化合物が挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
貯蔵安定性向上剤(脱水剤)は、硬化性組成物の貯蔵安定性を向上させる目的で使用する。具体的には、硬化性組成物中に存在する水と反応して脱水剤の働きをするビニルトリメトキシシラン、酸化カルシウム、p−トルエンスルホニルイソシアネート(PTSI)が挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
着色剤は、硬化性組成物を着色し、硬化物に意匠性を付与する目的で使用する。具体的には、酸化チタンや酸化鉄等の無機系顔料、銅フタロシアニン等の有機系顔料、カーボンブラックが挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
有機溶剤は、硬化性組成物の粘度を下げ、押出し性、打設や塗布等の作業性を向上させる目的で使用する。有機溶剤としては、硬化性組成物中の他の成分との相溶性が良好で、かつ、他の成分と反応しない有機溶剤であれば特に制限なく使用することができる。具体的には、ジメチルカーボネート等のカーボネート系溶剤、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチルや酢酸ブチル等のエステル系溶剤、n−ヘキサン等の脂肪族系溶剤、シクロヘキサン等の脂環族系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、ミネラルスピリットや工業ガソリン等の石油留分系溶剤等の有機溶剤が挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の硬化性組成物は、空気中の湿気等の水と反応して硬化するため、一液型湿気硬化性組成物として使用することができる。また、本発明の硬化性組成物を主剤としポリアミンやポリオール等の活性水素含有化合物を硬化剤とする二液型反応硬化性組成物としても使用できる。主剤と硬化剤の混合の手間がなく配合ミスや混合不足による硬化不良の発生もなく作業性に優れているため、一液型湿気硬化性組成物として使用するのが好ましい。
本発明の硬化性組成物を用いて施工する場合、施工の対象となる材料(部材)としては、モルタル、コンクリート、ALC(Autoclaved Lightweight Concrete)、ガラス、大理石、御影石、サイディング、タイル、瓦、レンガ等の無機材料;鉄、銅、ステンレス、ガルバニウム鋼板、トタン、アルミニウム、チタン等の金属材料、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル、ABS(Acrylonitrile-Butadiene-Styrene copolymer)、FRP(Fiber Reinforced Plastic)等の合成樹脂製の材料;木材や合板等の木質材料を挙げることができる。
本発明の硬化性組成物の製造方法としては、特に限定されないが、具体的には、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー、シラン化合物および/またはシラン化合物の部分加水分解縮合物、表面処理炭酸カルシウム、および必要に応じてオキサゾリジン化合物、添加剤をガラス製、ステンレス製、鉄製等で湿気等の水を遮断できる攪拌装置付き混合容器に仕込み、乾燥窒素気流下でバッチ式や連続式に攪拌、混合して製造することができる。
本発明の硬化性組成物は、湿気等の水により増粘、硬化するため、湿気等の水を遮断できる容器に詰め密封して貯蔵するのが好ましい。前記容器としては、湿気等の水を遮断できる容器であれば特に制限はない。具体的に例えば、金属製や樹脂製のペール缶、アルミ製袋、紙製や樹脂製のカートリッジが挙げられる。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明が実施例に限定されて解釈されるものではない。
[合成例1](イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−1の合成)
攪拌機、温度計、窒素シール管、加熱・冷却装置付き反応容器に、窒素ガスを流しながら、ポリオキシプロピレンジオール(数平均分子量3,300、エクセノール3021、旭硝子社製)を717.5g、ポリオキシプロピレントリオール(数平均分子量4,000、Triol−MN−4000、三井化学社製)を160.0g仕込み、攪拌しながらイソホロンジイソシアネート(分子量222.3、エボニックジャパン社製)を122.5g、ジブチル錫ジラウレート(ネオスタンU−100、日東化成社製)を0.2g仕込み、加温して75〜85℃で4時間反応させた。イソシアネート基含有量が理論値(2.3質量%)以下になった時点で反応を終了させ、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−1を合成した。得られたイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−1は、滴定による実測イソシアネート基含有量2.1質量%の常温で透明な粘稠液体であった。ウレタンプレポリマーPU−1の分岐密度(理論値)は、0.04ミリモル/gである。
[合成例2](イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−2の合成)
攪拌機、温度計、窒素シール管、加熱・冷却装置付き反応容器に、窒素ガスを流しながら、ポリオキシプロピレンジオール(数平均分子量3,300、エクセノール3021、旭硝子社製)を620.4g、ポリオキシプロピレントリオール(数平均分子量4,000、Triol−MN−4000、三井化学社製)を160.0g、ポリオキシプロピレンモノオール(数平均分子量3,080、プレミノール1003、旭硝子社製)を100.0g仕込み、攪拌しながらイソホロンジイソシアネート(分子量222.3、エボニックジャパン社製)119.6g、ジブチル錫ジラウレート(日東化成社製、ネオスタンU−100)を0.2g仕込み、加温して75〜85℃で4時間反応させた。イソシアネート基含有量が理論値(2.3質量%)以下になった時点で反応を終了させ、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−2を合成した。得られたイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−1は、滴定による実測イソシアネート基含有量2.1質量%の常温で透明な粘稠液体であった。ウレタンプレポリマーPU−2の分岐密度(理論値)は、0.04ミリモル/gである。
[合成例3](イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−3の合成)
攪拌機、温度計、窒素シール管、加熱・冷却装置付き反応容器に、窒素ガスを流しながら、ポリオキシプロピレンジオール(数平均分子量3,300、エクセノール3021、旭硝子社製)を581.8g、ポリオキシプロピレントリオール(数平均分子量4,000、Triol−MN−4000、三井化学社製)を160.0g、ポリオキシプロピレンモノオール(数平均分子量3080、プレミノール1003、旭硝子社製)を100.0g、ペンタエリスリトールトリアクリレート(分子量298)を30.0g仕込み、攪拌しながらイソホロンジイソシアネート(分子量222.3、エボニックジャパン社製)128.2g、ジブチル錫ジラウレート(ネオスタンU−100、日東化成社製)を0.2g仕込み、加温して75〜85℃で4時間反応させた。イソシアネート基含有量が理論値(2.3質量%)以下になった時点で反応を終了させ、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−3を合成した。得られたイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−3は、滴定による実測イソシアネート基含有量2.1質量%の常温で透明な粘稠液体であった。ウレタンプレポリマーPU−2の分岐密度(理論値)は0.04ミリモル/gであり、アクリロイル基の含有量(理論値)は0.3ミリモル/gである。
[合成例4](イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−4の合成)
攪拌機、温度計、窒素シール管、加熱・冷却装置付き反応容器に、窒素ガスを流しながら、ポリオキシプロピレンジオール(数平均分子量3,300、エクセノール3021、旭硝子社製)を798.6g、ポリオキシプロピレントリオール(数平均分子量4,000、Triol−MN−4000、三井化学社製)を80.0g仕込み、攪拌しながらイソホロンジイソシアネート(分子量222.3、エボニックジャパン社製)121.4g、ジブチル錫ジラウレート(ネオスタンU−100、日東化成社製)を0.2g仕込み、加温して75〜85℃で4時間反応させた。イソシアネート基含有量が理論値(2.3質量%)以下になった時点で反応を終了させ、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−4を合成した。イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−3は、滴定による実測イソシアネート基含有量2.1質量%の常温で透明な粘稠液体であった。なお、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−3の分岐密度(理論値)は、0.02ミリモル/gである。
[合成例5](ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O−1の合成)
攪拌機、温度計、窒素シール管、エステル管、加熱・冷却装置付き反応容器に、ジエタノールアミン(分子量105)を435.0gとトルエンを183.0g仕込み、攪拌しながらイソブチルアルデヒド(分子量72.1)を328.0g仕込み、窒素ガスを流しながら、加温して110〜150℃で還流脱水反応を続け、副生する水(74.5g)を系外に取り出した。反応終了後、さらに減圧下(50〜70hPa)で加熱し、トルエンと未反応のイソブチルアルデヒドを除去し、中間の反応生成物であるN−ヒドロキシエチル−2−イソプロピルオキサゾリジンを得た。
次いで、得られたN−ヒドロキシエチル−2−イソプロピルオキサゾリジン659.0gに、さらにヘキサメチレンジイソシアネート(分子量168)を348.0g加え、80℃で8時間加熱し、滴定による実測NCO含有量が0.0質量%になった時点で反応終点とし、分子内にオキサゾリジン環を2個有するウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O−1を得た。ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O−1は常温で液体であった。
[実施例1]
攪拌機、加熱、冷却装置、窒素シール管付き混練容器に、窒素ガスを流しながら、合成例1で得たイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−1を100g仕込み、攪拌しながら予め100〜110℃の乾燥機中で乾燥して水分含有量を0.05質量%以下にした重質炭酸カルシウム(ホワイトンB、白石カルシウム社製)を20g、脂肪酸表面処理炭酸カルシウムA(カルファインN−40、熱減量95.0mg/g、丸尾カルシウム社製)を100g、酸化チタンを10g、フタル酸ジイソノニル(DINP)を10g仕込み、内容物が均一になるまで混合した。次いで、シラン化合物の部分加水分解縮合物A(エチルシリケート40、テトラエトキシシランとテトラエトキシシランのオリゴマー(平均5量体)の混合物、コルコート社製)を2g、ジメチルカーボネート5gにヒンダードアミン系光安定剤(ADEKA社製、アデカスタブLA−63P)を1g、ヒンダードフェノール系酸化防止剤{ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]}(BASF社製、イルガノックス1010)を1g加えた溶液、合成例5で得たウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O−1を12g、ジブチル錫ジラウレート(ネオスタンU−100、日東化成社製)を0.03g仕込み、内容物が均一になるまでさらに混合した。次いで、50〜100hPaで減圧脱泡し、容器に充填、密封して硬化性組成物を調製した。
[実施例2]
実施例1において、シラン化合物の部分加水分解縮合物Aを使用する替わりに、シラン化合物の部分加水分解縮合物B(ポリブトキシメトキシシロキサン、MKCシリケートMS58B30、三菱化学社製)を2g使用した以外は同様の操作を行い、硬化性組成物を調製した。
[実施例3]
実施例1において、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−1を使用する替わりに、合成例2で得たイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−2を100g使用した以外は同様の操作を行い、硬化性組成物を調製した。
[実施例4]
実施例2において、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−1を使用する替わりに、合成例2で得たイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−2を100g使用した以外は同様の操作を行い、硬化性組成物を調製した。
[実施例5]
実施例1において、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−1を使用する替わりに、合成例3で得たイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−3を100g使用した以外は同様の操作を行い、硬化性組成物を調製した。
[実施例6]
実施例2において、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−1を使用する替わりに、合成例3で得たイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−3を100g使用した以外は同様の操作を行い、硬化性組成物を調製した。
[実施例7]
実施例1において、さらにアクリル酸(和光純薬工業社製)を0.5g配合した以外は同様の操作を行い、硬化性組成物を調製した。
[実施例8]
実施例2において、さらにアクリル酸(和光純薬工業社製)を0.5g配合した以外は同様の操作を行い、硬化性組成物を調製した。
[実施例9]
実施例3において、さらにアクリル酸(和光純薬工業社製)を0.5g配合した以外は同様の操作を行い、硬化性組成物を調製した。
[実施例10]
実施例4において、さらにアクリル酸(和光純薬工業社製)を0.5g配合した以外は同様の操作を行い、硬化性組成物を調製した。
[実施例11]
実施例5において、さらにアクリル酸(和光純薬工業社製)を0.5g配合した以外は同様の操作を行い、硬化性組成物を調製した。
[実施例12]
実施例6において、さらにアクリル酸(和光純薬工業社製)を0.5g配合した以外は同様の操作を行い、硬化性組成物を調製した。
[比較例1]
実施例1において、脂肪酸表面処理炭酸カルシウムAを使用する替わりに、脂肪酸表面処理炭酸カルシウムB(白艶華CCR−S、熱減量34.4mg/g、白石工業社製)を100g使用した以外は同様の操作を行い、硬化性組成物を調製した。
[比較例2]
実施例2において、脂肪酸表面処理炭酸カルシウムAを使用する替わりに、脂肪酸表面処理炭酸カルシウムBを100g使用した以外は同様の操作を行い、硬化性組成物を調製した。
[比較例3]
実施例1において、シラン化合物の部分加水分解縮合物Aを使用しなかった以外は同様の操作を行い、硬化性組成物を調製した。
[比較例4]
実施例1において、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−1を使用する替わりに、合成例2で得たイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−2を100g使用し、脂肪酸表面処理炭酸カルシウムAを使用する替わりに、脂肪酸表面処理炭酸カルシウムBを100g仕込んだ以外は同様の操作を行い、硬化性組成物を調製した。
[比較例5]
実施例2において、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−1を使用する替わりに、合成例2で得たイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−2を100g使用し、脂肪酸表面処理炭酸カルシウムAを使用する替わりに、脂肪酸表面処理炭酸カルシウムBを100g使用した以外は同様の操作を行い、硬化性組成物を調製した。
[比較例6]
実施例1において、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−1を使用する替わりに、合成例2で得たイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−2を100g使用し、シラン化合物の部分加水分解縮合物Aを使用しなかった以外は同様の操作を行い、硬化性組成物を調製した。
[比較例7]
実施例1において、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−1を使用する替わりに、合成例4で得たイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−4を100g使用し、脂肪酸表面処理炭酸カルシウムAを使用する替わりに、脂肪酸表面処理炭酸カルシウムBを100g仕込んだ以外は同様の操作を行い、硬化性組成物を調製した。
[比較例8]
実施例2において、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−1を使用する替わりに、合成例4で得たイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−4を100g使用し、脂肪酸表面処理炭酸カルシウムAを使用する替わりに、脂肪酸表面処理炭酸カルシウムBを100g仕込んだ以外は同様の操作を行い、硬化性組成物を調製した。
[比較例9]
実施例1において、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−1を使用する替わりに、合成例4で得たイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU−4を100g使用し、シラン化合物の部分加水分解縮合物Aを使用しなかった以外は同様の操作を行い、硬化性組成物を調製した。
<硬化性組成物の評価A>
実施例1〜6および比較例1〜9の硬化性組成物を用いて、下記の評価を行った。評価結果を表1に示す。
[養生シート付着防止性]
a)養生シート付着防止性(5℃40%RH)
スレート板上に10mmの角バッカーを用いて幅30mm×深さ10mm×長さ100mmの目地を作製した。この目地に硬化性組成物を充填し、余分のものをヘラでかきとり、表面を平らに仕上げ試験体とした。
試験体を直ちに5℃40%RHの環境下(室内)で3日間または5日間養生した。養生後の硬化性組成物の表面に養生シート(ポリマスカー(布テープ+ポリエチレンシート)、大塚刷毛製造社製)を目地の長手方向に直交するように貼付した。貼付から1日後に養生シートを剥がし、剥がれ状況を目視で確認した。なお、このとき硬化性組成物の表面を指触したところ、表面は硬化していたが、内部は硬化していなかった。
b)養生シート付着防止性(23℃50%RH)
スレート板上に10mmの角バッカーを用いて幅30mm×深さ10mm×長さ100mmの目地を作製した。この目地に硬化性組成物を充填し、余分のものをヘラでかきとり、表面を平らに仕上げ試験体とした。
試験体を直ちに23℃50%RHの環境下(室内)で1日間または2日間養生した。養生後の硬化性組成物の表面に養生シート(ポリマスカー(布テープ+ポリエチレンシート)、大塚刷毛製造社製)を目地の長手方向に直交するように貼付した。貼付から1日後に養生シートを剥がし、剥がれ状況を目視で確認した。なお、このとき硬化性組成物の表面を指触したところ、表面は硬化していたが、内部は硬化していなかった。
養生シート付着防止性は下記の通り評価した。
評価:
◎:養生シートが硬化性組成物の表面に付着せず、きれいに剥がれる。
○:養生シートが硬化性組成物の表面に僅かに付着するが、きれいに剥がれる。
△:養生シートが硬化性組成物の表面に部分的に付着し、剥がすと硬化性組成物の表層部を引っ張り意匠上の不具合あり。
×:養生シートが硬化性組成物の表面に付着し、強く引っ張らないと剥がれない。養生シートを剥がすと硬化性組成物の表層部の大部分が引っ張られ意匠上の不具合あり。
[汚染防止性]
a)黒色珪砂汚染
スレート板上に10mmの角バッカーを用いて幅20mm×深さ20mm×長さ100mmの目地を作製した。この目地に硬化性組成物を充填し、余分のものをヘラでかきとり、表面を平らに仕上げ試験体とした。
試験体を直ちに23℃50%RHの環境下(室内)で10日間養生した。養生後の硬化性組成物の表面に黒色珪砂(8ブラック、ケイミュービューセラ社製)をふりかけ、直ちに試験体を裏返し、スレート板の底を手でたたき、余分の黒色珪砂を落とした。硬化性組成物表面に付着して残った黒色珪砂(汚れ)の状態を目視により観察し、硬化途中の汚染防止性を下記の通り評価した。
評価:
○:硬化性組成物の表面に黒色珪砂の付着がほとんど認められず、きれいな状態。
×:硬化性組成物の表面に黒色珪砂が多量に付着し、黒く汚れた状態。
b)屋外暴露汚染
スレート板上に10mmの角バッカーを重ねて幅20mm×深さ20mm×長さ100mmの目地を作製した。この目地に硬化性組成物を充填し、余分のものをヘラでかきとり、表面を平らに仕上げ試験体とした。
試験体を直ちに23℃50%RHの環境下(室内)で7日間養生した後、試験体を屋外の交通量の多い交差点付近に地面と垂直になるように設置し30日間暴露した。なお、試験体は、地面から1m程度の高さで、硬化性組成物の表面が道路側の向きとなるようにした。屋外暴露30日経過後、硬化性組成物の表面の汚染状態の状態を目視により観察し、汚染防止性を下記の通り評価した。
評価:
○:硬化性組成物の表面に塵や埃の付着がほとんど認められず、きれいな状態。
△:硬化性組成物の表面に塵や埃が少し付着しているが、きれいな状態。
×:硬化性組成物の表面に塵や埃が多量に付着し、汚れた状態。
<硬化性組成物の評価B>
実施例7〜12の硬化性組成物を用いて、上述の硬化性組成物の評価Aに加え下記の評価を行った。評価結果を表2に示す。
[養生シート付着防止性]
a)養生シート付着防止性(5℃40%RH)
スレート板上に10mmの角バッカーを用いて幅30mm×深さ10mm×長さ100mmの目地を作製した。この目地に硬化性組成物を充填し、余分のものをヘラでかきとり、表面を平らに仕上げ試験体とした。
試験体を直ちに5℃40%RHの環境下(室内)で1日間養生した。養生後の硬化性組成物の表面に養生シート(ポリマスカー(布テープ+ポリエチレンシート)、大塚刷毛製造社製)を目地の長手方向に直交するように貼付した。貼付から1日後に養生シートを剥がし、剥がれ状況を目視で確認した。なお、このとき硬化性組成物の表面を指触したところ、表面は硬化していたが、内部は硬化していなかった。
Figure 0006902802
Figure 0006902802
以上の実施例1〜12および比較例1〜9の結果から、本発明の硬化性組成物は、屋外暴露における汚染防止性に優れ、養生シートが硬化性組成物の表面に付着せず、きれいに剥がれるという養生シート付着防止性にも優れることが分かる。また、実施例7〜12の結果から、5℃40%RHの1日後、すなわち、低温時における組成物の硬化の早期であっても、養生シート付着防止性に優れることが分かる。
上述の通り、本発明の硬化性組成物は、屋外暴露における汚染防止性、養生シート付着防止性に優れるから、シーリング材組成物、防水材組成物、接着剤組成物、コーティング材組成物として好適に使用することができる。また、本発明の硬化性組成物は、建築用、土木用に好適に使用することができる。

Claims (5)

  1. イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーと、下記一般式(1)で表すシラン化合物および/またはシラン化合物の部分加水分解縮合物と、熱減量が95〜150mg/gの表面処理炭酸カルシウムとを含有し、
    シーリング材組成物、防水材組成物、接着剤組成物またはコーティング材組成物であることを特徴とする、硬化性組成物。
    4−mSi−(OR (1)
    (式(1)中、Rは炭素数1〜6の1価の炭化水素基を表し、Rが複数のときは同じであっても異なっていてもよい。Rは炭素数1以上の1価の炭化水素基であるが、(OR)の少なくとも1個は炭素数2〜6のアルコキシ基である。(OR)が複数のときは同じであっても異なっていてもよい。mは1〜4の整数である。)
  2. 前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの分岐密度が0.03ミリモル/g以上であることを特徴とする、請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. さらに、オキサゾリジン化合物を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の硬化性組成物。
  4. さらに、硬化促進触媒、可塑剤、耐候安定剤、充填剤、揺変性付与剤、接着性向上剤、貯蔵安定性向上剤(脱水剤)、着色剤および有機溶剤から選択される少なくとも1種以上の添加剤を含有することを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の硬化性組物。
  5. 前記硬化性組成物が建築用または土木用の硬化性組成物であることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
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