JP2023140318A - 硬化性組成物およびその製造方法 - Google Patents

硬化性組成物およびその製造方法 Download PDF

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真一 岩瀬
Shinichi Iwase
亮 村岡
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Abstract

【課題】硬化性(硬度発現)、低べたつき性、養生シート付着防止性に優れる硬化性組成物およびその製造方法を提供する。【解決手段】イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)とオキサゾリジン化合物(B)を含有し、前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)が、分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a1)および分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a2)の混合物であることを特徴とする硬化性組成物、およびその製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性(硬度発現)、低べたつき性、養生シート付着防止性に優れる硬化性組成物およびその製造方法に関する。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを含有する硬化性組成物は、作業性や接着性等に優れることから、建築用、土木用のシーリング材、防水材、接着剤、コーティング材等として広く使用されている。イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを含有する硬化性組成物は、硬化後のゴム物性を低モジュラスから高モジュラス(高伸びから低伸び)まで比較的自由に設計できるが、低モジュラスから中モジュラス域に設計すると、硬化後の表面にタック(べたつき)が残ることがある。
硬化後の表面にタック(べたつき)が残ると、硬化性組成物の表面に塵や埃が付着し易くなり、その表面が汚染し意匠上の不具合を生じる。特に、硬化性組成物を屋外で使用した場合や、硬化性組成物が硬化途中の場合には、硬化性組成物の表面のタック(べたつき)が大きいため、塵や埃が多く付着し硬化性組成物の表面が汚染する。このため、硬化性組成物の表面のタック(べたつき)による汚染の防止方法として、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーとシラン化合物を含有する硬化性組成物が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
一方、硬化性組成物を使用する際には、硬化性組成物が使用箇所以外の箇所に付着しないように周辺部材に養生テープや養生シートを貼付することが多い。また、硬化性組成物を使用した後、その表面またはその周辺部材に上塗り塗料を塗布する際には、工期を短縮するため、硬化性組成物が硬化途中であっても養生シートを硬化性組成物の表面に貼付することがある。硬化性組成物が硬化途中で十分な硬度を有していない場合は、養生シートを貼付した際に硬化性組成物の表面を押圧して硬化性組成物の表面が変形することもある。さらに、主に硬化性組成物の表面のべたつき(タック)によって養生シートが硬化性組成物の表面に付着してしまい、上塗り塗料を塗布した後に養生シートを剥がすと硬化性組成物の表層部が養生シートに引っ張られて剥離することがある。硬化性組成物の表層部が剥離した場合には、その箇所を補修しなければならない。このため、硬化性組成物表面の養生シート付着防止方法として、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーとシラン化合物と特定の表面処理炭酸カルシウムを含有する硬化性組成物が提案されている(例えば、特許文献3、特許文献4)。硬化性組成物の表面への養生シートの貼付から時間が経過すると、養生シートが剥がれづらくなることが分かり、改善が求められている。
特開2008-201980号公報 特開2009-073882号公報 特開2017-082113号公報 特開2017-082114号公報
本発明の目的は、硬化性(硬度発現)、低べたつき性、養生シート付着防止性に優れる硬化性組成物およびその製造方法を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)とオキサゾリジン化合物(B)を含有し、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)が分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a1)および分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a2)の混合物である硬化性組成物が、硬化性(硬度発現)、低べたつき性、養生シート付着防止性に優れることおよびその製造方法を見出し、本願発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の(1)~(15)に示す態様を有する硬化性組成物およびその製造方法に関する。
(1)イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)とオキサゾリジン化合物(B)を含有し、前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)が、分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a1)および分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a2)の混合物であることを特徴とする硬化性組成物。
(2)イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)とオキサゾリジン化合物(B)を含有し、
前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)が、分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a1)および分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a2)の混合物であり、かつ、
合成された前記分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a1)に合成された前記分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a2)が混合された混合物であることを特徴とする硬化性組成物。
(3)前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)の分岐密度が、0.03ミリモル/g以上であることを特徴とする(1)または(2)に記載の硬化性組成物。
(4)前記分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a1)の分岐密度が、0.1ミリモル/g以上であることを特徴とする(1)または(2)に記載の硬化性組成物。
(5)前記分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a1)および前記分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a2)が、有機イソシアネート化合物と活性水素含有化合物を反応して得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーであることを特徴とする(1)または(2)に記載の硬化性組成物。
(6)前記有機イソシアネート化合物が、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートおよび脂環族ポリイソシアネートからなる群から選択される1種以上の有機イソシアネート化合物を含むことを特徴とする(5)に記載の硬化性組成物。
(7)前記活性水素含有化合物が、数平均分子量1,000~30,000の高分子ポリオールを含む活性水素含有化合物であることを特徴とする(5)に記載の硬化性組成物。
(8)前記分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a1)に対する前記分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a2)の配合割合が、前記分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a1)のイソシアネート基のモル数に対する前記分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a2)のイソシアネート基のモル数の比で5/95~95/5であることを特徴とする(1)または(2)に記載の硬化性組成物。
(9)前記分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a1)および/または前記分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a2)が、光反応性不飽和結合を分子内に有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーであること特徴とする(1)または(2)に記載の硬化性組成物。
(10)前記オキサゾリジン化合物(B)の配合量が、前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基の1.0モル数に対し、前記オキサゾリジン化合物(B)が加水分解して生成する2級アミノ基の活性水素のモル数が0.1~1.2であることを特徴とする(1)または(2)に記載の硬化性組成物。
(11)さらに、下記一般式(1)で表すシラン化合物および/またはシラン化合物の部分加水分解縮合物を含有することを特徴とする(1)または(2)に記載の硬化性組成物。
4-mSi-(OR (1)
(式(1)中、Rは炭素数1~6の1価の炭化水素基を表し、Rが複数のときは同じであっても異なっていてもよい。Rは炭素数1以上の1価の炭化水素基であるが、(OR)の少なくとも1個は炭素数2~6のアルコキシ基である。(OR)が複数のときは同じであっても異なっていてもよい。mは1~6の整数である。)
(12)さらに、硬化促進触媒、可塑剤、耐候安定剤、充填剤、揺変性付与剤、接着性向上剤、貯蔵安定性向上剤(脱水剤)、着色剤および有機溶剤からなる群から選択される少なくとも1種以上の添加剤を含有することを特徴とする(1)または(2)に記載の硬化性組成物。
(13)前記硬化性組成物が、建築用または土木用の硬化性組成物であることを特徴とする(1)または(2)に記載の硬化性組成物。
(14)前記硬化性組成物が、シーリング材組成物、防水材組成物、接着剤組成物またはコーティング材組成物であることを特徴とする(1)または(2)に記載の硬化性組成物。
(15)イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)とオキサゾリジン化合物(B)を含有し、
前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)が、分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a1)および分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a2)の混合物であり、かつ、
前記分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a1)を合成する工程、
前記分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a2)を合成する工程、
前記分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a1)と前記分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a2)を混合する工程で得られ、
前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と前記オキサゾリジン化合物(B)と、任意に、前記シラン化合物および/またはシラン化合物の部分加水分解縮合物、前記添加剤を混合する工程、
を含むことを特徴とする硬化性組成物の製造方法。
本発明の硬化性組成物は、硬化性(硬度発現)、低べたつき性、養生シート付着防止性に優れる。
本発明の硬化性組成物は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)とオキサゾリジン化合物(B)を含有し、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)が分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a1)および分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a2)の混合物であることを特徴とする。以下、各成分について詳細に説明する。
<イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)>
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)が分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a1)および分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a2)の混合物である。イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)が分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a1)、分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a2)を個別に合成し、合成された分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a1)と合成された分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a2)を混合して得られる混合物であることがイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)の安定製造の点で好ましい。イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)の配合量は、硬化性組成物全体に対し、10~90質量%が好ましく、さらに20~70質量%が好ましく、特に30~50質量%が好ましい。
分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a1)に対する分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a2)の配合割合は、硬化性をさらに得つつ、硬化性組成物の表面に養生シートを貼付した場合に養生シートが硬化性組成物の表面に付着し剥がしづらくなることをさらに防止する点から、分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a1)のイソシアネート基のモル数に対する分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a2)のイソシアネート基のモル数の比で5/95~95/5が好ましく、10/90~90/10が特に好ましい。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)の分岐密度は、硬化性組成物の表面に養生シートを貼付した場合に養生シートが硬化性組成物の表面に付着し剥がしづらくなることをさらに防止する点から、0.03ミリモル/g以上が好ましく、特に0.03~0.1ミリモル/gが好ましい。なお、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)の分岐密度は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)を製造する際の原料やその配合量から計算によって理論的に求めることができる。
分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a1)は、プレポリマー中に1個以上の分岐構造およびイソシアネート基を有するプレポリマーである。本明細書において、分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a1)と、後述する光反応性不飽和結合を導入した分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを含めて単に「分岐構造を有するウレタンプレポリマー」と記載する場合もある。分岐構造を有するウレタンプレポリマーのイソシアネート基は、活性水素含有化合物(例えば、水、ポリオール、ポリアミン)と反応して、ウレタン結合、ウレア結合等を形成し架橋硬化する。
分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a2)は、プレポリマー中に分岐構造を有さず、1個以上のイソシアネート基を有するプレポリマーである。本明細書において、分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a2)と、後述する光反応性不飽和結合を導入した分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを含めて単に「分岐構造を有さないウレタンプレポリマー」と記載する場合もある。分岐構造を有さないウレタンプレポリマーのイソシアネート基は、活性水素含有化合物(例えば、水、ポリオール、ポリアミン)と反応して、ウレタン結合、ウレア結合等を形成し架橋硬化する。
分岐構造を有するウレタンプレポリマーは、有機イソシアネート化合物と活性水素含有化合物を一括あるいは逐次に反応させて、分岐構造を有するウレタンプレポリマー中にイソシアネート基が残存するようにして製造することができる。分岐構造を有するウレタンプレポリマーを製造する際の有機イソシアネート化合物および活性水素含有化合物のうち少なくとも1種は、その化合物中に2個を超える官能基(イソシアネート基、活性水素(基))を有する。
分岐構造を有さないウレタンプレポリマーは、有機イソシアネート化合物と活性水素含有化合物を一括あるいは逐次に反応させて、分岐構造を有さないウレタンプレポリマー中にイソシアネート基が残存するようにして製造することができる。分岐構造を有さないウレタンプレポリマーを製造する際の有機イソシアネート化合物および活性水素含有化合物は、その化合物中に2を超える官能基(イソシアネート基、活性水素(基))を有さない。
分岐構造を有するウレタンプレポリマーおよび分岐構造を有さないウレタンプレポリマーを製造する際の有機イソシアネート化合物のイソシアネート基と活性水素含有化合物の活性水素のモル比(イソシアネート基/活性水素)は、ウレタンプレポリマーの粘度が高くなり、硬化性組成物の作業性が低下するのを防止する点から1.2以上、イソシアネート基が水と反応したときに発生する炭酸ガスの量を低減して硬化時の発泡を防止する点から10以下となる範囲が好ましく、さらに1.2以上5以下が好ましい。
分岐構造を有するウレタンプレポリマーおよび分岐構造を有さないウレタンプレポリマーのイソシアネート基含有量は、ウレタンプレポリマーの粘度が高くなり、硬化性組成物の作業性が低下するのを防止する点から0.3質量%以上、イソシアネート基が水と反応したときに発生する炭酸ガスの量を低減して硬化時の発泡を防止する点から15質量%以下となる範囲が好ましく、特に0.5質量%以上5質量%以下が好ましい。
分岐構造を有するウレタンプレポリマーおよび分岐構造を有さないウレタンプレポリマーの数平均分子量は、1,500以上が好ましく、1,500~20,000がより好ましく、1,500~15,000がさらに好ましく、1,500~10,000が特に好ましい。なお、分岐構造を有するウレタンプレポリマーおよび分岐構造を有さないウレタンプレポリマーの数平均分子量は、未反応の有機イソシアネート化合物を含むウレタンプレポリマー全体の数値である。本発明における数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の数値である。分岐構造を有するウレタンプレポリマーの数平均分子量は、分岐構造を有さないウレタンプレポリマーの数平均分子量より大きいことが好ましい。
分岐構造を有するウレタンプレポリマーの分岐密度は、硬化性をさらに得つつ、硬化性組成物の表面に養生シートを貼付した場合に養生シートが硬化性組成物の表面に付着し剥がしづらくなることをさらに防止する点から、0.1ミリモル/g以上であることが好ましく、さらに0.1~0.5ミリモル/gであることが好ましく、特に0.1~0.3ミリモル/gであることが好ましい。なお、分岐構造を有するウレタンプレポリマーの分岐密度は、分岐構造を有するウレタンプレポリマーを製造する際の原料やその配合量から計算によって理論的に求めることができる。
分岐構造を有するウレタンプレポリマーおよび分岐構造を有さないウレタンプレポリマーの合成方法は、従来公知の方法で行うことができる。具体的には、ガラス製やステンレス製等の反応容器に有機イソシアネート化合物と活性水素含有化合物を仕込み、必要に応じて反応触媒や有機溶剤を使用し、50~120℃で攪拌しながら反応させる方法が挙げられる。この際、イソシアネート基が湿気等の水と反応するとウレタンプレポリマーが増粘するため、事前に容器内を窒素ガスで置換することや窒素ガス気流下で反応を行うことが好ましい。
有機イソシアネート化合物としては、有機ポリイソシアネートを挙げることができる。有機ポリイソシアネートは、その化合物中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物であり、具体的には、例えば、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート等のトルエンポリイソシアネート、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2′-ジフェニルメタンジイソシアネート等のジフェニルメタンポリイソシアネート、1,2-フェニレンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4,6-トリメチルフェニル-1,3-ジイソシアネート、2,4,6-トリイソプロピルフェニル-1,3-ジイソシアネート等のフェニレンポリイソシアネート、1,4-ナフタレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート等のナフタレンポリイソシアネート、クロロフェニレン-2,4-ジイソシアネート、4,4′-ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3′-ジメチルジフェニルメタン-4,4′-ジイソシアネート、3,3′-ジメトキシジフェニル-4,4′-ジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネートが挙げられる。また、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、o-キシリレンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、p-キシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ポリイソシアネート、1,4-シクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トルエンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネートが挙げられる。さらに、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、クルードトルエンジイソシアネート等のポリメリックイソシアネートが挙げられる。またさらに、これらの有機ポリイソシアネートを変性して得られ、ウレトジオン結合、イソシアヌレート結合、アロファネート結合、ビュレット結合、ウレトンイミン結合、カルボジイミド結合、ウレタン結合またはウレア結合を1つ以上有する変性イソシアネートが挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらのうち、硬化性組成物が耐候性に優れることから、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、およびこれらの有機ポリイソシアネートを変性して得られる変性イソシアネートが好ましい。
また、有機ポリイソシアネートとともに、有機モノイソシアネートを用いることができる。すなわち、有機ポリイソシアネートと有機モノイソシアネートの混合物を、上述の有機イソシアネート化合物として用いることができる。有機モノイソシアネートは、その化合物中に1個のイソシアネート基を有する化合物であり、具体的には、例えば、n-ブチルモノイソシアネート、n-ヘキシルモノイソシアネート、n-ヘキサデシルモノイソシアネート、n-オクタデシルモノイソシアネート等の脂肪族モノイソシアネート、p-イソプロピルフェニルモノイソシアネート、p-ベンジルオキシフェニルモノイソシアネート等の芳香族モノイソシアネートが挙げられる。
活性水素含有化合物は、その化合物中に1個以上の活性水素(基)を有する化合物である。具体的には、高分子ポリオール、高分子ポリアミン、低分子ポリオール、低分子アミノアルコール、低分子ポリアミン、高分子モノオール、低分子モノオールが挙げられる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。これらのうち、高分子ポリオールを含む活性水素含有化合物が好ましく、高分子ポリオール、高分子ポリオールと高分子モノオールの混合物、高分子ポリオールと低分子ポリオールの混合物、高分子ポリオールと高分子モノオールと低分子ポリオールの混合物が特に好ましい。
高分子ポリオールとしては、ポリオキシアルキレン系ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、炭化水素系ポリオール、ポリ(メタ)アクリレート系ポリオール、動植物系ポリオールが挙げられる。このうち、ポリオキシアルキレン系ポリオール、ポリ(メタ)アクリレート系ポリオールが好ましい。本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を意味する。また、本発明において、「高分子」とは「数平均分子量が1,000以上の化合物」、「低分子」とは「数平均分子量が1,000未満の化合物」を意味する。
高分子ポリオールの数平均分子量は、1,000~30,000が好ましく、さらに 1,000~20,000が好ましい。
ポリオキシアルキレン系ポリオールとしては、ポリオキシアルキレン系トリオール、ポリオキシアルキレン系ジオールが挙げられる。
なお、本発明において、ポリオキシアルキレン系トリオール、ポリオキシアルキレン系ジオールの「系」とは、分子中の水酸基を除いた部分の50質量%以上、さらに80質量%以上、特に90質量%以上がポリオキシアルキレンで構成されていれば、残りの部分がエステル、ウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ(メタ)アクリレート、ポリオレフィン等で変性されていてもよいことを意味する。水酸基を除いた分子中の95質量%以上がポリオキシアルキレンからなるものが特に好ましい。
ポリオキシアルキレン系トリオール、ポリオキシアルキレン系ジオールは、重合触媒存在下で開始剤にアルキレンオキシドを開環付加重合させて得られる。ポリオキシアルキレン系トリオール、ポリオキシアルキレン系ジオールの総不飽和度は、0.1meq/g以下が好ましく、さらに0.07meq/g以下が好ましく、特に0.04meq/g以下が好ましい。
重合触媒としては、ナトリウム系触媒、カリウム系触媒等のアルカリ金属化合物触媒、カチオン重合触媒、亜鉛ヘキサシアノコバルテートのグライム錯体やジグライム錯体等の複合金属シアン化錯体触媒、ホスファゼン化合物触媒が挙げられる。これらのうち、アルカリ金属化合物触媒、複合金属シアン化錯体触媒が好ましい。
開始剤としては、分子中の活性水素(基)(アルキレンオキシドと反応しうる水酸基やアミノ基)の数が2~3である化合物を用いる。これらに、分子中の活性水素(基)の数が4である化合物を少量併用することもできる。
ポリオキシアルキレン系トリオールを製造する際の開始剤は、活性水素(基)の数が3である化合物を主に使用する。活性水素の数が3である化合物としては、具体的には、グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価アルコールが挙げられる。
ポリオキシアルキレン系ジオールを製造する際の開始剤は、活性水素(基)の数が2である化合物を主に使用する。活性水素の数が2である化合物としては、具体的には、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等の2価アルコールが挙げられる。
アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,2-エポキシブタン、2,3-エポキシブタンが挙げられる。これらのうち、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシドとエチレンオキシドとの併用が好ましく、さらにプロピレンオキシド、プロピレンオキシドとエチレンオキシドとの併用が好ましい。
ポリオキシアルキレン系トリオールとしては、ポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシエチレントリオール、ポリオキシエチレンプロピレントリオールが好ましく、さらにポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシエチレンプロピレントリオールが好ましい。
本発明において、「オキシエチレンプロピレン」とは、分子中にオキシエチレン基(-CHCHO-)とオキシプロピレン基(-CH(CH)CHO-)を含むものである。
ポリオキシアルキレン系ジオールとしては、ポリオキシプロピレンジオール、ポリオキシエチレンジオール、ポリオキシエチレンプロピレンジオールが好ましく、さらにポリオキシプロピレンジオール、ポリオキシエチレンプロピレンジオールが好ましい。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロオルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸等のポリカルボン酸、これらポリカルボン酸の無水物、これらポリカルボン酸のメチルエステルやエチルエステル等のアルキルエステルを含むカルボン酸類の1種以上と、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド付加物、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の低分子ポリオール類の1種以上との反応によって得られるポリエステルポリオールが挙げられる。また、これらのカルボン酸類、低分子ポリオール類に加え、さらにブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン等の低分子ポリアミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の低分子アミノアルコール類の1種以上と反応させて得られるポリエステルアミドポリオールも挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、上述のポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子ポリオール類とホスゲンとの脱塩酸反応、または上述の低分子ポリオール類とジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネートとのエステル交換反応で得られるものが挙げられる。
ポリ(メタ)アクリレート系ポリオールとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を含有する(メタ)アクリレート単量体と他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体とを、ラジカル重合開始剤の存在下または不存在下に共重合させたものが挙げられる。
炭化水素系ポリオールとしては、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等のポリオレフィンポリオール;水素添加ポリブタジエンポリオール、水素添加ポリイソプレンポリオール等のポリアルキレンポリオール;塩素化ポリプロピレンポリオール、塩素化ポリエチレンポリオール等のハロゲン化ポリアルキレンポリオールが挙げられる。
動植物系ポリオールとしては、ヒマシ油系ポリオール、絹フィブロインが挙げられる。
上述の高分子ポリオールは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、上述の高分子ポリオールとともに、高分子モノオールを併用することができる。高分子モノオールの数平均分子量は、1,000~30,000が好ましく、さらに1,000~20,000が好ましい。
高分子モノオールとしては、ポリオキシアルキレン系モノオールが好ましい。
なお、本発明において、ポリオキシアルキレン系モノオールの「系」とは、分子中の水酸基を除いた部分の50質量%以上、さらに80質量%以上、特に90質量%以上がポリオキシアルキレンで構成されていれば、残りの部分がエステル、ウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ(メタ)アクリレート、ポリオレフィン等で変性されていてもよいことを意味する。水酸基を除いた分子中の95質量%以上がポリオキシアルキレンからなるものが特に好ましい。
ポリオキシアルキレン系モノオールは、重合触媒存在下で開始剤にアルキレンオキシドを開環付加重合させて得られる。ポリオキシアルキレン系モノオールの総不飽和度は、0.1meq/g以下が好ましく、さらに0.07meq/g以下が好ましく、特に0.04meq/g以下が好ましい。
重合触媒としては、ナトリウム系触媒、カリウム系触媒等のアルカリ金属化合物触媒、カチオン重合触媒、亜鉛ヘキサシアノコバルテートのグライム錯体やジグライム錯体等の複合金属シアン化錯体触媒、ホスファゼン化合物触媒が挙げられる。これらのうち、アルカリ金属化合物触媒、複合金属シアン化錯体触媒が好ましい。
ポリオキシアルキレン系モノオールを製造する際の開始剤は、活性水素(基)の数が1である化合物を主に使用する。活性水素(基)の数が1である化合物としては、具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール等の1価アルコール類;フェノール、ノニルフェノール等の1価フェノール類;ジメチルアミン、ジエチルアミン等の2級アミン類が挙げられる。
高分子モノオールを併用する場合、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)中の高分子モノオールの含有量は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)全体量に対し5~30質量%が好ましい。イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)中の高分子モノオールの含有量が上記範囲であると硬化性組成物が耐久性(例えば、JIS A 5758の耐久性)に優れるものとなる。特に、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)の分岐密度を高くしていくと、硬化性組成物の硬化後の物性が高モジュラスで低伸びとなり、耐久性が低下する傾向となるが、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)中の高分子モノオールの含有量を上記範囲とすることで、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)の分岐密度を高くしても硬化性組成物の硬化後の組成物が耐久性に優れるものとなる。
分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a1)および/または 分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a2)は、耐候性を付与する目的でイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー中に光反応性不飽和結合を導入することもできる。光反応性不飽和結合を導入したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、本発明の硬化性組成物において硬化成分として働くとともに、硬化後の組成物に被着面との良好な接着性、優れた耐候性を与えるものである。上述の光反応性不飽和結合とは、紫外線や可視光等の光に暴露されることにより比較的短時間に重合等の化学変化を起こす不飽和結合である。具体的には、ビニル基、ビニレン基、(メタ)アクリロイル基に由来する不飽和結合が挙げられる。本発明において、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基および/またはメタクリロイル基」を意味する。
光反応性不飽和結合を導入したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基は、活性水素含有化合物と反応して架橋硬化する。また、光反応性不飽和結合を導入したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの光反応性不飽和結合は、光に暴露されると重合反応し、硬化性組成物の表面に耐候性に優れた硬化皮膜を形成する。この硬化皮膜が硬化性組成物に優れた耐候性を付与するものと考えられる。光反応性不飽和結合は、耐候性付与効果が高い点で(メタ)アクリロイル基に由来する不飽和結合が好ましい。
光反応性不飽和結合を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに導入する方法としては、下記の方法が挙げられる。
(イ)有機イソシアネート化合物と、高分子(数平均分子量1,000以上)の活性水素含有化合物と、分子内に活性水素と光反応性不飽和結合とを有する低分子(数平均分子量1,000未満)の活性水素含有化合物とを活性水素の合計量に対してイソシアネート基過剰の条件で反応させて得る方法;
(ロ)有機イソシアネート化合物と、分子内に活性水素と光反応性不飽和結合とを有する高分子(数平均分子量1,000以上)の活性水素含有化合物(例えば、ポリオキシアルキレントリオールのモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸のアルキレンオキシド付加物等)とを活性水素の合計量に対してイソシアネート基過剰の条件で反応させて得る方法;および
(ハ)有機イソシアネート化合物と、分子内に光反応性不飽和結合とイソシアネート基とを有する低分子(数平均分子量1,000未満)の活性水素含有化合物(例えば、(メタ)アクリロイルイソシアネート)と、高分子(数平均分子量1,000以上)の活性水素含有化合物とを活性水素の合計量に対してイソシアネート基過剰の条件で反応させて得る方法。
これらの方法のうち、前記(イ)の方法が原料の入手しやすさと反応のしやすさの点で好ましい。本発明において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸および/またはメタクリル酸」を意味する。
光反応性不飽和結合をイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに導入する反応は、原料を一括で仕込み反応させてもよいし、原料を逐次で仕込み反応させてもよい。有機イソシアネート化合物のイソシアネート基と、活性水素含有化合物(活性水素と光反応性不飽和結合とを有する化合物を含む)の活性水素とのモル比(イソシアネート基/活性水素)は、1.2~10が好ましく、さらに1.2~5が好ましい。光反応性不飽和結合を導入したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー中のイソシアネート基含有量は、分子量が大きくなって粘度が増大し作業性が低下することを防止し、また、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー中の架橋点を十分に得て接着性を向上させる点から0.3質量%以上、イソシアネート基が水と反応したときに発生する炭酸ガスの量を低減して硬化時の発泡を防止する点から15質量%以下の範囲であることが好ましく、さらに0.5~5質量%が好ましい。
光反応性不飽和結合を導入したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー中の光反応性不飽和結合の濃度は、0.01ミリモル/g以上が好ましく、さらに0.03~1ミリモル/gが好ましく、特に0.05~0.5ミリモル/gが好ましい。
上述の活性水素と光反応性不飽和結合とを有する(低分子および高分子の)活性水素含有化合物は、その化合物中に水酸基、アミノ基、カルボキシル基等の活性水素(基)と、ビニル基、ビニレン基、(メタ)アクリロイル基等の光反応性不飽和結合の両方を有する化合物である。活性水素と光反応性不飽和結合とを有する活性水素含有化合物としては、反応のしやすさや耐候性付与効果の高い点で、分子中に水酸基と(メタ)アクリロイル基とを有する活性水素含有化合物が好ましい。また、活性水素(基)と光反応性不飽和結合とを有する活性水素含有化合物の分子量は、反応しやすい点で数平均分子量1,000未満のものが好ましい。
水酸基と(メタ)アクリロイル基とを有する活性水素含有化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等のアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのモノエステルである、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシネオペンチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘプチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のモノヒドロキシモノ(メタ)アクリレート類、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3官能以上のアルキレンポリオールと(メタ)アクリル酸とのモノエステル、またはジエステル若しくはトリエステル等のポリエステルである、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のモノヒドロキシポリ(メタ)アクリレート類、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート等のポリヒドロキシモノ(メタ)アクリレート類、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等のポリヒドロキシポリ(メタ)アクリレート類が挙げられる。また、これら以外に、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ビスフェノールAやビスフェノールFにエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加したポリオール等と(メタ)アクリル酸とのエステルである、モノヒドロキシモノ(メタ)アクリレート類、ポリヒドロキシモノ(メタ)アクリレート類、ポリヒドロキシポリ(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリル酸やヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの活性水素にエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加した化合物で水酸基を有するもの、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのカプロラクトン変性物等で水酸基を有している化合物も挙げられる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。これらのうち、ウレタンプレポリマーの粘度を低く抑えることができ、かつ耐候性付与効果を高めることができる点で、モノヒドロキシポリ(メタ)アクリレート類およびジヒドロキシポリ(メタ)アクリレート類が好ましい。
<オキサゾリジン化合物(B)>
次に、オキサゾリジン化合物(B)について説明する。オキサゾリジン化合物(B)は、酸素原子と窒素原子とを含む飽和5員環の複素環であるオキサゾリジン環を分子内に1個以上、好ましくは1~6個、特に好ましくは2~3個有する化合物である。オキサゾリジン化合物(B)は、湿気等の水と反応して加水分解し、オキサゾリジン環が活性水素基である2級アミノ基とアルコール性水酸基を生成(再生)することで、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)の潜在性硬化剤として機能するものである。イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基が湿気等の水と反応すると尿素結合を形成して硬化するが、この際、炭酸ガスも発生し、硬化物の中に炭酸ガスによる気泡が生じて外観の悪化、硬化物の破断、接着性の低下等の不具合を生じることがある。一方、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)とオキサゾリジン化合物(B)を併用した硬化性組成物を水と反応させた場合は、まず、水とオキサゾリジン化合物(B)が優先的に反応し、オキサゾリジン化合物のオキサゾリジン環が2級アミノ基とアルコール性水酸基(活性水素基)を生成する。次に、生成した活性水素基(特に2級アミノ基)がイソシアネート基と優先的に反応するため、水とイソシアネート基の反応による炭酸ガスの発生を抑制し、硬化性組成物の硬化時の発泡を防止することができる。
また、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)に使用する有機ポリイソシアネートとして、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートを使用すると硬化性組成物の硬化が遅くなる場合がある。イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)とオキサゾリジン化合物(B)を併用すると、硬化性組成物の硬化を速められる。
さらに、オキサゾリジン化合物(B)は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と後述するシラン化合物および/またはシラン化合物の部分加水分解縮合物を含有する硬化性組成物において、硬化性組成物の表面の亀裂の発生を防止する効果を有する。硬化性組成物の表面の亀裂は、硬化性組成物が硬化する際、シラン化合物および/またはシラン化合物の部分加水分解縮合物が硬化性組成物の表面に移行(ブリード)し、シラン化合物および/またはシラン化合物の部分加水分解縮合物が加水分解して形成した硬化皮膜が硬いために、硬化性組成物の硬化皮膜に変位が生じると、シラン化合物および/またはシラン化合物の部分加水分解縮合物が加水分解して形成した硬化皮膜は、その変位に追従できず亀裂が発生すると推察される。オキサゾリジン化合物(B)を配合すると、オキサゾリジン化合物(B)が加水分解して生成した2級アミノ基とアルコール性水酸基の働きにより、シラン化合物および/またはシラン化合物の部分加水分解縮合物の硬化皮膜が柔軟性を有するようになり、亀裂の発生を防止するものと推察される。
オキサゾリジン化合物(B)としては、ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物、エステル基含有オキサゾリジン化合物、オキサゾリジンシリルエーテル化合物、カーボネート基含有オキサゾリジン化合物が挙げられる。これらのオキサゾリジン化合物は、水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の水酸基と、有機ポリイソシアネートのイソシアネート基や有機カルボン酸化合物のカルボキシル基とを反応させる等により得られる。これらのオキサゾリジン化合物のうち、製造し易いことからウレタン結合含有オキサゾリジン化合物が好ましい。
水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物としては、具体的には、アルカノールアミンの2級アミノ基と、ケトン化合物またはアルデヒド化合物のカルボニル基との脱水縮合反応により得られるN-ヒドロキシアルキルオキサゾリジンが挙げられる。この水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の製造方法としては、アルカノールアミンの2級アミノ基1モルに対し、アルデヒド化合物またはケトン化合物のカルボニル基を1モル以上、好ましくは1~1.5モル、さらに好ましくは1~1.2モル使用し、トルエン、キシレン等の有機溶剤中で、加熱、還流し、副生する水を除去しながら脱水縮合反応を行う方法が挙げられる。反応後に残存するアルデヒド化合物やケトン化合物は蒸留により除去することができる。
アルカノールアミンとしては、例えば、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)-N-(2-ヒドロキシプロピル)アミンが挙げられる。ケトン化合物としては、例えば、アセトン、ジエチルケトン、イソプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル-tert-ブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンが挙げられる。アルデヒド化合物としては、例えば、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n-ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、2-メチルブチルアルデヒド、n-ヘキシルアルデヒド、2-メチルペンチルアルデヒド、n-オクチルアルデヒド、3,5,5-トリメチルヘキシルアルデヒド等の脂肪族アルデヒド化合物;ベンズアルデヒド、メチルベンズアルデヒド、トリメチルベンズアルデヒド、エチルベンズアルデヒド、イソプロピルベンズアルデヒド、イソブチルベンズアルデヒド、メトキシベンズアルデヒド、ジメトキシベンズアルデヒド、トリメトキシベンズアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物が挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらのうち、水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の製造の容易さと、硬化性組成物が硬化するときの発泡防止性に優れている点で、アルカノールアミンとしてはジエタノールアミンが好ましく、ケトン化合物またはアルデヒド化合物のうちアルデヒド化合物が好ましく、アルデヒド化合物としては、イソブチルアルデヒド、2-メチルペンチルアルデヒド、ベンズアルデヒドが好ましい。
水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物としては、2-イソプロピル-3-(2-ヒドロキシエチル)オキサゾリジン、2-(1-メチルブチル)-3-(2-ヒドロキシエチル)オキサゾリジン、2-フェニル-3-(2-ヒドロキシエチル)オキサゾリジンが好ましい。
ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物としては、例えば、有機ポリイソシアネートのイソシアネート基と水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の水酸基とをイソシアネート基/水酸基のモル比が好ましくは0.9~1.2、特に好ましくは0.95~1.05となるように使用し、必要に応じて有機溶剤や反応触媒を使用し、50~120℃の温度で反応させて得られるものが好適に挙げられる。
ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物の製造に用いられる有機ポリイソシアネートは、分岐構造を有するウレタンプレポリマーおよび分岐構造を有さないウレタンプレポリマーの製造に用いられる有機ポリイソシアネートと同様のものが挙げられる。このうち、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートが好ましく、特にキシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
エステル基含有オキサゾリジン化合物は、例えば、上述の水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物とジカルボン酸またはポリカルボン酸の低級アルキルエステルとの反応によって得ることができる。
オキサゾリジンシリルエーテル化合物は、例えば、上述の水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物と、トリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、トリエトキシシラン、ジメトキシジメチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシランとの脱アルコール反応により得られる。
カーボネート基含有オキサゾリジン化合物は、例えば、上述の水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物とジアリルカーボネート等のカーボネートとを、ジエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコールを用いて反応させることによって得ることができる。
これらのオキサゾリジン化合物は、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
なお、オキサゾリジン化合物(B)は、分子内に、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基と反応するアミノ基や水酸基等の活性水素含有官能基、またはイソシアネート基を有していないことが好ましい。これはイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)の粘度上昇やオキサゾリジン化合物の発泡防止性能の低下を防止するためである。但し、上述のウレタン結合含有オキサゾリジン化合物の製造において、モル比の選択により少量の活性水素含有官能基やイソシアネート基が分子内に残存する場合があるが、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)の粘度上昇やオキサゾリジン化合物の発泡防止性能に影響しない範囲の場合は活性水素含有官能基またはイソシアネート基を有していないとみなすことができる。なお、前記「少量」とは、分子内に残存する活性水素含有官能基またはイソシアネート基の量が、好ましくはオキサゾリジン化合物1g当たり、0.05ミリモル以下、さらに好ましくは0.02ミリモル以下である。
オキサゾリジン化合物(B)の配合量は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)(分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a1)および分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a2)の合計量)のイソシアネート基1.0モルに対して、オキサゾリジン化合物が加水分解して生成(再生)する2級アミノ基の活性水素が0.1~1.2モルとするのが好ましく、0.3~1.2モルとするのがより好ましく、特に0.5~1.2モルとするのが好ましい。オキサゾリジン化合物が加水分解して生成(再生)する2級アミノ基の活性水素が0.1モル未満ではオキサゾリジン化合物の発泡防止性能が不十分となる傾向がある。
<シラン化合物および/またはシラン化合物の部分加水分解縮合物>
本発明の硬化性組成物は、さらにシラン化合物および/またはシラン化合物の部分加水分解縮合物を配合することができる。シラン化合物および/またはシラン化合物の部分加水分解縮合物は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)を含有する硬化性組成物に配合されることで、硬化性組成物に汚染防止性を付与し、硬化性組成物の養生シート付着防止性をさらに向上させることができる。これは、硬化性組成物が湿気等の水により硬化する際に、前記シラン化合物および/またはシラン化合物の部分加水分解縮合物が硬化途中から硬化性組成物の表面に移行(ブリード)し、湿気等の水により加水分解を受け、脱アルコールしながら縮合し、硬化性組成物の表面に親水性の皮膜を形成することで硬化性組成物の表面のべたつきを低減させることによるものと考えられる。硬化性組成物の表面のべたつきが低減されることで硬化性組成物の表面に塵や埃が付着しづらくなり、汚染防止性が向上する。また、硬化性組成物の表面に塵や埃が付着しても、雨、シャワー等の流水や圧縮空気を吹き付けることにより、塵や埃を比較的容易に落とすことが可能となる。
前記シラン化合物は、下記一般式(1)で表す化合物で、分子内にメトキシ基以外のアルコキシ基を少なくとも1個有するシラン化合物である。
4-mSi(OR (1)
(式(1)中、Rは炭素数1~6の1価の炭化水素基を表し、Rが複数のときは同じであっても異なっていてもよい。Rは炭素数1以上の1価の炭化水素基であるが、(OR)の少なくとも1個は炭素数2~6のアルコキシ基である。(OR)が複数のときは同じであっても異なっていてもよい。mは1~4の整数である。)
前記Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、フェニル基等の反応性の官能基を有しない炭素数1~6の1価の炭化水素基が挙げられる。
前記(OR)はアルコキシ基であり、mが1のときは、(OR)はメトキシ基以外のアルコキシ基である。mが2、3または4のときは、(OR)の少なくとも1個はメトキシ基以外のアルコキシ基である。
前記メトキシ基以外のアルコキシ基としては、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、ペントキシ基、ヘキソキシ基、フェノキシ等の炭素数2以上、好ましくは炭素数2~6のアルコキシ基が挙げられる。
前記シラン化合物としては、例えば、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシランが挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
シラン化合物の部分加水分解縮合物は、上述のシラン化合物のアルコキシ基を溶媒の存在下または不存在下で部分的に加水分解し、シラン化合物を線状または3次元状に縮合した多量体である。シラン化合物の部分加水分解縮合物は、硬化性組成物の表面への移行性(ブリード)、硬化性組成物の表面へ移行した後の皮膜形成性の観点から、2~20量体が好ましい。
シラン化合物の部分加水分解縮合物としては、具体的には、例えば、テトラエトキシシランの部分加水分解縮合物を含む、エチルシリケート40(平均5量体)、エチルシリケート48(平均10量体)、コルコート社製;ジエトキシジメトキシシランの部分加水分解縮合物を含むEMS-485(平均10量体)、コルコート社製;テトラメトキシシランの部分加水分解縮合物をブタノールで一部ブトキシ化した縮合物を含むMKCシリケートMS58B15、MS58B30、MS51、MS56、M57、MS56S、三菱ケミカル社製;が挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用できる。
前記シラン化合物および/またはシラン化合物の部分加水分解縮合物の配合量は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して、硬化性組成物の表面の優れた汚染防止効果と優れた養生シート付着防止効果をさらに得る点から0.01質量部以上、シラン化合物および/またはシラン化合物の部分加水分解縮合物が加水分解して発生するアルコールの量が多くなって発生したアルコールがイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基と反応して硬化不良を起こすことをさらに防止する点から20質量部以下の範囲であることが好ましく、さらに0.1~10質量部が好ましい。
<各種添加剤>
本発明の硬化性組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、上述した各成分以外に必要に応じて各種の添加剤を含有することができる。添加剤は、硬化性組成物に配合して硬化性組成物の粘度調整、硬化促進、接着性等の各種の性能を向上させるために使用する。具体的には、硬化促進触媒、可塑剤、耐候安定剤、充填剤、揺変性付与剤、接着性向上剤、貯蔵安定性向上剤(脱水剤)、着色剤および有機溶剤を挙げることができる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
硬化促進触媒は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)が湿気等の水と反応して架橋硬化するのを促進させるために使用する。また、オキサゾリジン化合物から生成した第2級アミノ基やアルコール性水酸基とイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基との反応を促進させるために使用する。さらに本発明の硬化性組成物を二液型反応硬化性組成物として使用する場合の硬化剤(例えば、水酸基、アミノ基、チオール基を含有する化合物)とイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基との反応を促進させるために使用する。硬化促進触媒は、分岐構造を有するウレタンプレポリマー、分岐構造を有さないウレタンプレポリマー、オキサゾリジン化合物(B)の製造時の反応触媒としても使用することができる。なお、分岐構造を有するウレタンプレポリマー、分岐構造を有さないウレタンプレポリマー、オキサゾリジン化合物(B)の製造時の反応触媒として使用した場合は、分岐構造を有するウレタンプレポリマー、分岐構造を有さないウレタンプレポリマー、オキサゾリジン化合物(B)中に残存する反応触媒が硬化性組成物の硬化促進触媒として作用することもある。
硬化促進触媒としては、具体的には、金属系触媒、アミン系触媒を挙げることができる。
金属系触媒としては、金属と有機酸との塩、有機金属と有機酸との塩、金属キレート化合物が挙げられる。金属と有機酸との塩としては、例えば、錫、ビスマス、ジルコニウム、亜鉛、マンガン等の各種金属とオクチル酸、ネオデカン酸、ステアリン酸、ナフテン酸等の有機酸との塩が挙げられる。具体的には、例えば、オクチル酸錫、ナフテン酸錫、オクチル酸ビスマス、オクチル酸ジルコニウムが挙げられる。有機金属と有機酸との塩としては、例えば、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジバーサテート、ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物が挙げられる。金属キレート化合物としては、例えば、ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)、錫系キレート化合物であるAGC社製EXCESTAR C-501、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトナート)、チタンテトラキス(アセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アセチルアセトンコバルト、アセチルアセトン鉄、アセチルアセトン銅、アセチルアセトンマグネシウム、アセチルアセトンニッケル、アセチルアセトン亜鉛、アセチルアセトンマンガンが挙げられる。
アミン系触媒としては、3級アミン類が挙げられる。3級アミン類としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン、1,8-ジアザビシクロ〔5,4,0〕ウンデセン-7(DBU)、1,4-ジアザビシクロ〔2,2,2〕オクタン(DABCO)やこれら三級アミン類と有機カルボン酸の塩が挙げられる。
これらの硬化促進触媒は、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
硬化促進触媒の配合量は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して、0.005~5質量部が好ましく、特に0.005~2質量部が好ましい。
硬化促進触媒として、上述の金属系触媒、アミン系触媒の他に、有機カルボン酸系触媒、リン酸エステル系触媒、p-トルエンスルホニルイソシアネートと水との反応物を使用することができる。有機カルボン酸系触媒、p-トルエンスルホニルイソシアネートと水との反応物は、いずれも、硬化性組成物にオキサゾリジン化合物(B)を配合した場合に、オキサゾリジン化合物(B)のオキサゾリジン環の加水分解を促進させるものである。オキサゾリジン環の加水分解の促進により、生成した第2級アミノ基とアルコール性水酸基(活性水素基)がイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基と反応し、硬化性組成物の硬化が促進される。
有機カルボン酸系触媒としては、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、カプロン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、2-エチルヘキサン酸(オクチル酸)、オクテン酸、ラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪族カルボン酸、マレイン酸、アクリル酸等のα,β-不飽和カルボン酸、フタル酸、安息香酸、サリチル酸等の芳香族カルボン酸が挙げられる。リン酸エステル系触媒としては、例えば、正リン酸エステル化合物、亜リン酸エステル化合物が挙げられる。正リン酸エステル化合物としては、例えば、正リン酸のトリアルキルエステル化合物、正リン酸のジアルキルエステル化合物、正リン酸のモノアルキルエステル化合物が挙げられる。正リン酸のトリアルキルエステル化合物としては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシリレルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、クレジルジ2,6-キシレニルホスフェートが挙げられる。正リン酸のモノアルキルエステル化合物およびジアルキルエステル化合物(酸性リン酸エステル化合物)としては、例えば、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ジブチルピロホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、2-エチルヘキシルアシッドホスフェート、アルキル(C12,C14,C16,C18)アシッドホスフェート、イソトリデシルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、テトラコシルアシッドホスフェート、エチレングリコールアシッドホスフェート、2-ヒドロキシエチルメタクリレートアシッドホスフェートが挙げられる。モノアルキルエステル化合物としては、例えば、モノエチルホスフェート、モノブチルホスフェート、モノブトキシエチルホスフェート、モノn-オクチルホスフェート、モノ2-エチルヘキシルホスフェート、モノラウリルホスフェート、モノ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)ホスフェートが挙げられる。ジアルキルエステル化合物としては、例えば、ジエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジブチルピロホスフェート、ジブトキシエチルホスフェート、ジn-オクチルホスフェート、ビス(2-エチルヘキシル)ホスフェート、ジイソトリデシルホスフェート、ジオレイルホスフェートが挙げられる。これらの正リン酸エステル化合物は、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。亜リンエステル化合物としては、例えば、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリデシルホスファイト、ジフェニルモノ(2-エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト等の亜リン酸トリエステル化合物、ジラウリルハイドロゲンホスファイト、ジオレイルハイドロゲンホスファイト、ジフェニルハイドロゲンホスファイト等の亜リン酸ジエステル化合物が挙げられる。これらの亜リン酸エステル化合物は、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
p-トルエンスルホニルイソシアネートと水との反応物としては、本発明の硬化性組成物に配合する前にp-トルエンスルホニルイソシアネートと水とを予め反応させて得られるもの、p-トルエンスルホニルイソシアネートを硬化性組成物に配合している間に水を添加して反応させたもの、硬化性組成物中に存在する水と反応させたものが挙げられる。
可塑剤は、硬化性組成物の粘度を下げて作業性を改善するとともに、硬化性組成物の硬化後のゴム物性を調節する目的で使用する。具体的には、例えば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジブチル、フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸エステル類;アジピン酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、セバシン酸ジブチル、オレイン酸ブチル等の脂肪族カルボン酸エステル類等の低分子の可塑剤;上述のウレタンプレポリマー(A)の合成に使用できるものと同様のポリオキシアルキレン系トリオール、ポリオキシアルキレン系ジオール、ポリオキシアルキレン系モノオールをウレタン化、エーテル化またはエステル化した数平均分子量が1,000以上10,000以下の高分子の可塑剤;ポリ-α-メチルスチレン、ポリスチレン等のポリスチレン類等のイソシアネート基と反応しない数平均分子量1,000以上10,000以下の高分子の可塑剤が挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
可塑剤の配合量は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して、1~200質量部が好ましく、さらに2~50質量部が好ましい。
耐候安定剤は、硬化性組成物の酸化、光劣化、熱劣化を防止して耐候性や耐熱性をさらに向上させる目的で使用する。耐候安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、紫外線吸収剤が挙げられる。これらの耐候安定剤は、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1(オクチルオキシ)-4-ピペリジル)エステル、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、メチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、1-[2-〔3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]-4-〔3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン等の分子量1,000未満の低分子の化合物;コハク酸ジメチル・1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}]、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン-2,4-ビス[N-ブチル-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)アミノ]-6-クロロ-1,3,5-トリアジン縮合物の他、ADEKA社製のアデカスタブLA-63P、LA-68LD等の分子量1,000以上の高分子の化合物が挙げられる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリスリトール-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’-ヘキサン-1,6-ジイルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオアミド]、ベンゼンプロパン酸3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシC7-C9側鎖アルキルエステル、2,4-ジメチル-6-(1-メチルペンタデシル)フェノールが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、2-(3,5-ジ-tert-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-[(ヘキシル)オキシ]-フェノール等のトリアジン系紫外線吸収剤;オクタベンゾン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤;2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系紫外線吸収剤が挙げられる。
これらのうち、耐候性向上の効果が高い点で、ヒンダードアミン系光安定剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤およびそれらの混合物が好ましい。耐候安定剤の配合量は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して、0.01~30質量部が好ましく、さらに0.1~10質量部が好ましい。
充填剤は、硬化性組成物の増量剤として、また、硬化物の物性補強を目的として使用する。充填剤としては、無機系充填剤と有機系充填剤が挙げられる。無機系充填剤としては、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、コロイド炭酸カルシウム、マイカ、カオリン、ゼオライト、グラファイト、珪藻土、白土、クレー、タルク、無水ケイ酸、石英、アルミニウム粉末、亜鉛粉末、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ等の無機粉末状充填剤;ガラス繊維、炭素繊維等の無機系繊維状充填剤が挙げられる。有機系充填剤としては、木粉、クルミ穀粉、もみ殻粉、パルプ粉、ゴム粉末、熱可塑性あるいは熱硬化性樹脂の粉末等の有機粉末状充填剤が挙げられる。また、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の難燃性付与充填剤が挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
充填剤の配合量は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対して、1~500質量部が好ましく、さらに10~300質量部が好ましく、特に10~200質量部が好ましい。
揺変性付与剤は、硬化性組成物に揺変性を付与し、硬化性組成物を垂直面や傾斜面に使用した際にタレ、スランプの発生を防止する目的や、硬化性組成物をビード塗布、クシ目ゴテ等で塗布した際に塗布形状を保持する目的で使用する。揺変性付与剤としては、無機系揺変性付与剤、有機系揺変性付与剤が挙げられる。無機系揺変性付与剤としては、例えば、脂肪酸表面処理炭酸カルシウム等の表面処理炭酸カルシウム、微粉末シリカ、セピオライト(マグネシウムケイ酸塩)、アパタルジャイト(マグネシウムアルミニウムケイ酸塩)、ワラストナイト(カルシウムシリケート)が挙げられる。有機系揺変性付与剤としては、例えば、脂肪酸アマイド、ポリウレア化合物が挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。このうち、脂肪酸表面処理炭酸カルシウム等の表面処理炭酸カルシウム、微粉末シリカ、ポリウレア化合物が好ましい。
表面処理炭酸カルシウムとしては、熱減量が50~150mg/gが好ましく、さらに50~120mg/gが好ましい。熱減量がこの範囲であると硬化性組成物の養生シート付着防止性が良好となる。表面処理炭酸カルシウムの熱減量は、熱重量測定(TG)によって求めることができる。具体的に例えば、下記の測定方法によって求めることができる。
[測定方法]
直径5mmの白金製試料パンに表面処理炭酸カルシウムを10mg量り取り、熱重量分析機器(TG8120、リガク社製)を用いて、常温から510℃まで速度15℃/minで昇温する。このとき、200~500℃の範囲で減少した重量を測定し、表面処理炭酸カルシウムの1gあたりの熱減量(mg/g)を求める。
表面処理炭酸カルシウムの配合量は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)100質量部に対し1~200質量部が好ましく、さらに5~150質量部が好ましい。
微粉末シリカとしては、親水性シリカ、疎水性シリカが挙げられる。揺変性付与効果が高く、硬化性組成物の耐ムーブメント性に優れることから親水性シリカが好ましい。これらは、いずれも1種または2種を組み合わせて使用することができる。
微粉末シリカのBET比表面積は、10~500m/gが好ましく、さらに50~500m/gが好ましい。微粉末シリカの平均一次粒子径は、1~100nmが好ましい。また、微粉末シリカは、その表面に0.5~3個/nmのシラノール基(Si-OH基)を有するものが好ましい。
微粉末シリカの配合量は、硬化性組成物全体に対して、0.1~10質量%が好ましく、さらに0.1~5質量%が好ましい。
接着性向上剤は、硬化性組成物の接着性の向上を目的として使用する。具体的には、例えば、シラン系、アルミニウム系、ジルコアルミネート系等の各種カップリング剤またはその部分加水分解縮合物を挙げることができる。このうち、シラン系カップリング剤またはその部分加水分解縮合物が接着性に優れているため好ましい。
シラン系カップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のアルコキシシリル基を含有する分子量500以下の化合物が挙げられる。また、これらのシラン系カップリング剤の1種または2種以上の部分加水分解縮合物で分子量200~3,000の化合物が挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
貯蔵安定性向上剤(脱水剤)は、硬化性組成物の貯蔵安定性を向上させる目的で使用する。具体的には、例えば、硬化性組成物中に存在する水と反応して脱水剤の働きをするビニルトリメトキシシラン、酸化カルシウム、p-トルエンスルホニルイソシアネート(PTSI)が挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
着色剤は、硬化性組成物を所望の色彩に着色し、硬化物に意匠性を付与する目的で使用する。具体的には、例えば、酸化チタン(白色着色剤)、酸化鉄(黒色着色剤、赤色着色剤、黄色着色剤)、カーボンブラック(黒色着色剤)等の無機系着色剤、銅フタロシアニン(青色着色剤、緑色着色剤)等の有機系着色剤が挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
有機溶剤は、硬化性組成物の粘度を調整して、押出し性、打設や塗布等の作業性を向上させる目的で使用する。有機溶剤としては、硬化性組成物中の他の成分との相溶性が良好で、かつ、他の成分と反応しない有機溶剤であれば特に制限なく使用することができる。具体的には、例えば、ジメチルカーボネート等のカーボネート系溶剤、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチルや酢酸ブチル等のエステル系溶剤、n-ヘキサン等の脂肪族系溶剤、シクロヘキサン等の脂環族系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、ミネラルスピリットや工業ガソリン等の石油留分系溶剤等の有機溶剤が挙げられる。これらは、いずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの有機溶剤は、分岐構造を有するウレタンプレポリマー、分岐構造を有さないウレタンプレポリマーの製造の際に使用してもよいし、硬化性組成物の調製時に使用してもよい。
<本発明の硬化性組成物の使用>
本発明の硬化性組成物は、空気中の湿気等の水と反応して硬化するため、一液型湿気硬化性組成物として使用することができる。また、本発明の硬化性組成物を主剤としポリオール、ポリアミン、ポリチオール等の活性水素含有化合物を硬化剤とする二液型反応硬化性組成物としても使用できる。主剤と硬化剤の混合の手間がなく配合ミスや混合不足による硬化不良の発生もなく作業性に優れているため、一液型湿気硬化性組成物として使用するのが好ましい。
本発明の硬化性組成物を用いて施工する場合、施工の対象となる材料(部材)としては、モルタル、コンクリート、ALC(Autoclaved Lightweight Concrete)、ガラス、大理石、御影石、サイディング、タイル、瓦、レンガ等の無機非金属材料;鉄、銅、ステンレス、ガルバニウム鋼板、トタン、アルミニウム、チタン等の金属材料、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル、ABS(Acrylonitrile-Butadiene-Styrene copolymer)、FRP(Fiber Reinforced Plastic)等の合成樹脂製の材料;木材や合板等の木質材料を挙げることができる。
<本発明の硬化性組成物の製造方法>
本発明の硬化性組成物の製造方法としては、特に限定されないが、具体的には、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)、オキサゾリジン化合物(B)、および必要に応じて、任意に、シラン化合物および/またはシラン化合物の部分加水分解縮合物、各種添加剤をガラス製、ステンレス製、鉄製等で湿気等の水を遮断できる攪拌装置付き混合容器に仕込み、乾燥空気や乾燥窒素気流下で攪拌、混合して製造することができる。また、硬化性組成物の製造方法は、バッチ式や連続式の方法を用いることができる。なお、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)の製造方法としては、上述した通りであるが、分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a1)を合成する工程、分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a2)を合成する工程、分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a1)と分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a2)を混合する工程であることが好ましい。
本発明の硬化性組成物は、湿気等の水により増粘、硬化するため、湿気等の水を遮断できる容器に詰め密封して貯蔵するのが好ましい。前記容器としては、湿気等の水を遮断できる容器であれば特に制限はない。具体的には、例えば、金属製や樹脂製のペール缶、アルミ製や樹脂製の袋、紙製や樹脂製のカートリッジが挙げられる。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明が実施例に限定されて解釈されるものではない。
[合成例1](分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU-1の合成)
攪拌機、温度計、窒素シール管、加熱・冷却装置付き反応容器に、窒素ガスを流しながら、ポリオキシプロピレントリオール(数平均分子量4,000、アクトコールT-4,000、三井化学SKCポリウレタン社製)を160.0g、ペンタエリスリトールトリアクリレート(分子量298)を7.5g仕込み、攪拌しながらイソホロンジイソシアネート(分子量222.3、エボニックジャパン社製)28.1g、トリス(2-エチルヘキサン酸)ビスマス(III)(ネオスタンU-600、日東化成社製)を0.05g仕込み、加温して75~85℃で4時間反応させた。イソシアネート基含有量が理論値(2.3質量%)以下になった時点で反応を終了させ、分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU-1を合成した。分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU-1の分岐密度(理論値)は0.20ミリモル/gであり、アクリロイル基の含有量(理論値)は0.39ミリモル/gである。分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU-1の数平均分子量は、4,390であった。
[合成例2](分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU-2の合成)
攪拌機、温度計、窒素シール管、加熱・冷却装置付き反応容器に、窒素ガスを流しながら、ポリオキシプロピレンジオール(数平均分子量3,300、エクセノール3021、AGC社製)を581.8g、ポリオキシプロピレンモノオール(数平均分子量3080、プレミノール1003、AGC社製)を100.0g、ペンタエリスリトールトリアクリレート(分子量298)を22.5g仕込み、攪拌しながらイソホロンジイソシアネート(分子量222.3、エボニックジャパン社製)100.4g、トリス(2-エチルヘキサン酸)ビスマス(III)(ネオスタンU-600、日東化成社製)を0.15g仕込み、加温して75~85℃で4時間反応させた。イソシアネート基含有量が理論値(2.3質量%)以下になった時点で反応を終了させ、分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU-2を合成した。分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU-2の分岐密度(理論値)は0ミリモル/gであり、アクリロイル基の含有量(理論値)は0.28ミリモル/gである。分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU-2の数平均分子量は、3,290であった。
[合成例3](分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU-3の合成)
攪拌機、温度計、窒素シール管、加熱・冷却装置付き反応容器に、窒素ガスを流しながら、ポリオキシプロピレンジオール(数平均分子量3,300、エクセノール3021、AGC社製)を581.8g、ポリオキシプロピレントリオール(数平均分子量4,000、アクトコールT-4,000、三井化学SKCポリウレタン社製)を160.0g、ポリオキシプロピレンモノオール(数平均分子量3080、プレミノール1003、AGC社製)を100.0g、ペンタエリスリトールトリアクリレート(分子量298)を30.0g仕込み、攪拌しながらイソホロンジイソシアネート(分子量222.3、エボニックジャパン社製)128.2g、トリス(2-エチルヘキサン酸)ビスマス(III)(ネオスタンU-600、日東化成社製)を0.2g仕込み、加温して75~85℃で4時間反応させた。イソシアネート基含有量が理論値(2.3質量%)以下になった時点で反応を終了させ、分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU-3を合成した。分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU-3の分岐密度(理論値)は0.04ミリモル/gであり、アクリロイル基の含有量(理論値)は0.3ミリモル/gである。分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU-3の数平均分子量は、3,440であった。
[合成例4](分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU-4の合成)
攪拌機、温度計、窒素シール管、加熱・冷却装置付き反応容器に、窒素ガスを流しながら、ポリオキシプロピレントリオール(数平均分子量4,000、アクトコールT-4,000、三井化学SKCポリウレタン社製)を280.0g仕込み、攪拌しながらイソホロンジイソシアネート(分子量222.3、エボニックジャパン社製)43.1g、トリス(2-エチルヘキサン酸)ビスマス(III)(ネオスタンU-600、日東化成社製)を0.06g仕込み、加温して75~85℃で4時間反応させた。イソシアネート基含有量が理論値(2.3質量%)以下になった時点で反応を終了させ、分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU-4を合成した。分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU-4の分岐密度(理論値)は0.22ミリモル/gである。分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU-4の数平均分子量は、7,120であった。
[合成例5](分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU-5の合成)
攪拌機、温度計、窒素シール管、加熱・冷却装置付き反応容器に、窒素ガスを流しながら、ポリオキシプロピレンジオール(数平均分子量3,300、エクセノール3021、AGC社製)を595.4g仕込み、攪拌しながらイソホロンジイソシアネート(分子量222.3、エボニックジャパン社製)81.5g、トリス(2-エチルヘキサン酸)ビスマス(III)(ネオスタンU-600、日東化成社製)を0.14g仕込み、加温して75~85℃で4時間反応させた。イソシアネート基含有量が理論値(2.3質量%)以下になった時点で反応を終了させ、分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU-5を合成した。分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU-5の分岐密度(理論値)は0ミリモル/gである。分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU-5の数平均分子量は、4,980であった。
[合成例6](分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU-6の合成)
攪拌機、温度計、窒素シール管、加熱・冷却装置付き反応容器に、窒素ガスを流しながら、ポリオキシプロピレンジオール(数平均分子量3,300、エクセノール3021、AGC社製)を595.4g、ポリオキシプロピレントリオール(数平均分子量4,000、アクトコールT-4,000、三井化学SKCポリウレタン社製)を280.0g仕込み、攪拌しながらイソホロンジイソシアネート(分子量222.3、エボニックジャパン社製)124.6g、トリス(2-エチルヘキサン酸)ビスマス(III)(ネオスタンU-600、日東化成社製)を0.2g仕込み、加温して75~85℃で4時間反応させた。イソシアネート基含有量が理論値(2.3質量%)以下になった時点で反応を終了させ、分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU-6を合成した。分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU-6の分岐密度(理論値)は0.07ミリモル/gである。分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU-6の数平均分子量は、5,750であった。
[合成例7](ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O-1の合成)
攪拌機、温度計、窒素シール管、エステル管、加熱・冷却装置付き反応容器に、ジエタノールアミン(分子量105)を435.0gとトルエンを183.0g仕込み、攪拌しながらイソブチルアルデヒド(分子量72.1)を328.0g仕込み、窒素ガスを流しながら、加温して110~150℃で還流脱水反応を続け、副生する水(74.5g)を系外に取り出した。反応終了後、さらに減圧下(50~70hPa)で加熱し、トルエンと未反応のイソブチルアルデヒドを除去し、中間の反応生成物であるN-ヒドロキシエチル-2-イソプロピルオキサゾリジンを得た。次いで、得られたN-ヒドロキシエチル-2-イソプロピルオキサゾリジン659.0gに、さらにヘキサメチレンジイソシアネート(分子量168)を348.0g加え、80℃で8時間加熱し、滴定による実測NCO含有量が0.0質量%になった時点で反応終点とし、分子内にオキサゾリジン環を2個有するウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O-1を得た。ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O-1は常温で液体であった。
[実施例1]
攪拌機、加熱、冷却装置、窒素シール管付き混練容器に、窒素ガスを流しながら、合成例1で得た分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU-1を19.6g、合成例2で得た分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU-2を80.4g仕込み、攪拌しながら予め100~110℃の乾燥機中で乾燥して水分含有量を0.05質量%以下にした重質炭酸カルシウム(ホワイトンB、白石カルシウム社製)を20g、脂肪酸表面処理炭酸カルシウム(カルファインN-40、熱減量95.0mg/g、丸尾カルシウム社製)を100g、酸化チタンを10g、フタル酸ジイソノニル(DINP)を10g仕込み、内容物が均一になるまで混合した。次いで、ジメチルカーボネート5gにヒンダードアミン系光安定剤(アデカスタブLA-63P、ADEKA社製)を1g、ヒンダードフェノール系酸化防止剤{ペンタエリスリトール-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]}(イルガノックス1010、BASF社製)を1g加えた溶液、シラン化合物の部分加水分解縮合物(ポリブトキシメトキシシロキサン、MKCシリケートMS58B30、三菱ケミカル社製)を2g、合成例7で得たウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O-1を12g、2-エチルヘキシルアシッドホスフェート(JP-508、城北化学工業社製)を0.2g、微粉末シリカ(親水性シリカ、レオロシールQS-102、トクヤマ社製)を2.6g仕込み、内容物が均一になるまでさらに混合した。次いで、50~100hPaで減圧脱泡し、容器に充填、密封して硬化性組成物を調製した。硬化性組成物中のイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU-1と分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU-2の混合物)の分岐密度(理論値)は0.04ミリモル/gであり、アクリロイル基の含有量(理論値)は0.3ミリモル/gである。分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU-1のイソシアネート基のモル数/分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU-2のイソシアネート基のモル数は20/80ある。
[実施例2]
攪拌機、加熱、冷却装置、窒素シール管付き混練容器に、窒素ガスを流しながら、合成例4で得た分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU-4を32.2g、合成例5で得た分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU-5を67.8g仕込み、攪拌しながら予め100~110℃の乾燥機中で乾燥して水分含有量を0.05質量%以下にした重質炭酸カルシウム(ホワイトンB、白石カルシウム社製)を35g、脂肪酸表面処理炭酸カルシウム(カルファインN-40、熱減量95.0mg/g、丸尾カルシウム社製)を70g、酸化チタンを20g、フタル酸ジイソノニル(DINP)を30g仕込み、内容物が均一になるまで混合した。次いで、ジメチルカーボネート5gにヒンダードアミン系光安定剤(アデカスタブLA-63P、ADEKA社製)を1g、ヒンダードフェノール系酸化防止剤{ペンタエリスリトール-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]}(イルガノックス1010、BASF社製)を1g加えた溶液、シラン化合物の部分加水分解縮合物(ポリブトキシメトキシシロキサン、MKCシリケートMS58B30、三菱ケミカル社製)を2g、合成例7で得たウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O-1を6g、2-エチルヘキシルアシッドホスフェート(JP-508、城北化学工業社製)を0.2g、微粉末シリカ(親水性シリカ、レオロシールQS-102、トクヤマ社製)を2.6g仕込み、内容物が均一になるまでさらに混合した。次いで、50~100hPaで減圧脱泡し、容器に充填、密封して硬化性組成物を調製した。硬化性組成物中のイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU-1と分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU-2の混合物)の分岐密度(理論値)は0.07ミリモル/gである。分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU-4のイソシアネート基のモル数/分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU-5のイソシアネート基のモル数は32/68ある。
[比較例1]
攪拌機、加熱、冷却装置、窒素シール管付き混練容器に、窒素ガスを流しながら、合成例3で得た分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU-3を100g仕込み、攪拌しながら予め100~110℃の乾燥機中で乾燥して水分含有量を0.05質量%以下にした重質炭酸カルシウム(ホワイトンB、白石カルシウム社製)を20g、脂肪酸表面処理炭酸カルシウム(カルファインN-40、熱減量95.0mg/g、丸尾カルシウム社製)を100g、酸化チタンを10g、フタル酸ジイソノニル(DINP)を10g仕込み、内容物が均一になるまで混合した。次いで、ジメチルカーボネート5gにヒンダードアミン系光安定剤(アデカスタブLA-63P、ADEKA社製)を1g、ヒンダードフェノール系酸化防止剤{ペンタエリスリトール-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]}(イルガノックス1010、BASF社製)を1g加えた溶液、シラン化合物の部分加水分解縮合物(ポリブトキシメトキシシロキサン、MKCシリケートMS58B30、三菱ケミカル社製)を2g、合成例7で得たウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O-1を12g、2-エチルヘキシルアシッドホスフェート(JP-508、城北化学工業社製)を0.2g、微粉末シリカ(親水性シリカ、レオロシールQS-102、トクヤマ社製)を2.6g仕込み、内容物が均一になるまでさらに混合した。次いで、50~100hPaで減圧脱泡し、容器に充填、密封して硬化性組成物を調製した。
[比較例2]
攪拌機、加熱、冷却装置、窒素シール管付き混練容器に、窒素ガスを流しながら、合成例6で得た分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーPU-6を100g仕込み、攪拌しながら予め100~110℃の乾燥機中で乾燥して水分含有量を0.05質量%以下にした重質炭酸カルシウム(ホワイトンB、白石カルシウム社製)を35g、脂肪酸表面処理炭酸カルシウム(カルファインN-40、熱減量95.0mg/g、丸尾カルシウム社製)を70g、酸化チタンを20g、フタル酸ジイソノニル(DINP)を30g仕込み、内容物が均一になるまで混合した。次いで、ジメチルカーボネート5gにヒンダードアミン系光安定剤(アデカスタブLA-63P、ADEKA社製)を1g、ヒンダードフェノール系酸化防止剤{ペンタエリスリトール-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]}(イルガノックス1010、BASF社製)を1g加えた溶液、シラン化合物の部分加水分解縮合物(ポリブトキシメトキシシロキサン、MKCシリケートMS58B30、三菱ケミカル社製)を2g、合成例7で得たウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O-1を6g、2-エチルヘキシルアシッドホスフェート(JP-508、城北化学工業社製)を0.2g、微粉末シリカ(親水性シリカ、レオロシールQS-102、トクヤマ社製)を2.6g仕込み、内容物が均一になるまでさらに混合した。次いで、50~100hPaで減圧脱泡し、容器に充填、密封して硬化性組成物を調製した。
<硬化性組成物の評価>
実施例1および比較例1の硬化性組成物ならびに実施例2および比較例2の硬化性組成物を用いて、下記の評価を行った。評価結果を表1および表2に示す。
[指触乾燥時間]
スレート板上に10mmの角バッカーを用いて縦50mm×横50mm×深さ10mmの四角枠を作り、この枠内に硬化性組成物を充填し、余分のものをヘラでかきとり、表面を平らに仕上げ試験体とした。試験体を23℃50%RHまたは5℃40%RHの環境下(室内)に静置し、硬化性組成物表面の指触乾燥時間を測定した。
[表面タック]
スレート板上に10mmの角バッカーを用いて縦50mm×横50mm×深さ10mmの四角枠を作り、この枠内に硬化性組成物を充填し、余分のものをヘラでかきとり、表面を平らに仕上げ試験体とした。試験体を23℃50%RHの環境下(室内)に7日間静置した後、タッキネスチェッカ(HTC-1、東洋精機製作所社製)を用いて硬化性組成物の表面のタッキネス(粘着力)[N]を測定した。なお、測定温度は23℃、接触子は面圧子(形式AL-R1)、接触子圧着力は10N、圧着時間は3秒である。
[硬さ]
スレート板上に10mmの角バッカーを用いて縦50mm×横50mm×深さ10mmの四角枠を作り、この枠内に硬化性組成物を充填し、余分のものをヘラでかきとり、表面を平らに仕上げ試験体とした。実施例1および比較例1は試験体を5℃40%RHの環境下(室内)に7日間または10日間静置した後、ならびに、実施例2および比較例2は試験体を23℃50%RHの環境下(室内)に7日間、5℃40%RHの環境下(室内)に7日間または14日間、0℃30%RHの環境下(室内)に10日間または14日間静置した後、JIS K 7312:1996「熱硬化性ポリウレタンエラストマー成形物の物理試験方法」に準拠して硬化性組成物の硬さを測定した。測定はアスカーゴム硬度計タイプCを用いて行った。
[養生シート付着防止性]
a)養生シート付着防止性(23℃50%RH)
スレート板上に10mmの角バッカーを用いて幅30mm×深さ10mm×長さ100mmの目地を作製した。この目地に硬化性組成物を充填し、余分のものをヘラでかきとり、表面を平らに仕上げ試験体とした。
実施例1および比較例1は試験体を直ちに23℃50%RHの環境下(室内)で3日間または5日間養生し、実施例2および比較例2は試験体を直ちに23℃50%RHの環境下(室内)で7日間養生した。養生後の硬化性組成物の表面に養生シート(ポリマスカー(布テープ+ポリエチレンシート)、大塚刷毛製造社製)を目地の長手方向に直交するように貼付した。貼付から3日後に養生シートを剥がし、剥がれ状況を目視で確認した。なお、このとき、すべての硬化性組成物の表面を指触したところ、表面は硬化していたが、内部は硬化していなかった。
b)養生シート付着防止性(5℃40%RH)
スレート板上に10mmの角バッカーを用いて幅30mm×深さ10mm×長さ100mmの目地を作製した。この目地に硬化性組成物を充填し、余分のものをヘラでかきとり、表面を平らに仕上げ試験体とした。
実施例1および比較例1は試験体を直ちに5℃40%RHの環境下(室内)で7日間養生し、実施例2および比較例2は試験体を直ちに5℃40%RHの環境下(室内)で14日間養生した。養生後の硬化性組成物の表面に養生シート(ポリマスカー(布テープ+ポリエチレンシート)、大塚刷毛製造社製)を目地の長手方向に直交するように貼付した。貼付から3日後に養生シートを剥がし、剥がれ状況を目視で確認した。なお、このとき、すべての硬化性組成物の表面を指触したところ、表面は硬化していたが、内部は硬化していなかった。
養生シート付着防止性は下記の通り評価し、「○」評価以上を合格とした。
評価:
◎:養生シートが硬化性組成物の表面に付着せず、きれいに剥がれる。
○:養生シートが硬化性組成物の表面に僅かに付着するが、きれいに剥がれる。
△:養生シートが硬化性組成物の表面に部分的に付着し、剥がすと硬化性組成物の表層部を引っ張り、意匠上の不具合あり。
×:養生シートが硬化性組成物の表面に付着し、強く引っ張らないと剥がれない。養生シートを剥がすと硬化性組成物の表層部の大部分が引っ張られ、意匠上の不具合あり。
Figure 2023140318000001
Figure 2023140318000002
表1の実施例1の結果から、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)が分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a1)と分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a2)の混合物である本発明の硬化性組成物は、指触乾燥時間が速く、硬化性に優れていた。また、本発明の硬化性組成物は、低温時(5℃)において、硬化途中の硬さ(硬度発現)に優れていた。さらに、本発明の硬化性組成物は、常温時(23℃)および低温時(5℃)において、養生シート貼付から3日後でも養生シートがきれいに剥がれた。硬化性組成物の表面に養生シートを貼付した場合、養生シート貼付から時間の経過とともに養生シートが剥がれづらくなるが、本発明の硬化性組成物は、養生シート貼付から3日後でも養生シート付着防止性に優れていた。
一方で、表1から、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーが分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーである比較例1の硬化性組成物は、指触乾燥時間が遅く、また、比較例1の硬化性組成物では、低温時(5℃)において、硬化途中の硬さ(硬度発現)が十分には向上しなかった。さらに、比較例1の硬化性組成物では、常温時(23℃)および低温時(5℃)において、養生シート貼付から3日後で養生シートを剥がすと硬化性組成物の表層部を引っ張り、意匠上の不具合が生じた。
表2の実施例2の結果から、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)が分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a1)と分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a2)の混合物である本発明の硬化性組成物は、指触乾燥時間が速く、硬化性に優れていた。また、本発明の硬化性組成物は、常温時(23℃)において、硬化性組成物表面のタッキネス値が小さく、べたつきが低減していた。さらに、常温時(23℃)と低温時(5℃、0℃)において、硬化途中の硬さ(硬度発現)に優れていた。さらに、本発明の硬化性組成物は、常温時(23℃)および低温時(5℃)において、養生シート貼付から3日後でも養生シートがきれいに剥がれた。硬化性組成物の表面に養生シートを貼付した場合、養生シート貼付から時間の経過とともに養生シートが剥がれづらくなるが、本発明の硬化性組成物は、養生シート貼付から3日後でも養生シート付着防止性に優れていた。
一方で、表2から、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーが分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーである比較例2の硬化性組成物は、指触乾燥時間が遅く、また、比較例2の硬化性組成物では、常温時(23℃)において、硬化性組成物表面のタッキネス値が大きく、常温時(23℃)と低温時(5℃、0℃)において、硬化途中の硬さ(硬度発現)が十分には向上しなかった。さらに、比較例2の硬化性組成物では、常温時(23℃)および低温時(5℃)において、養生シート貼付から3日後で養生シートを剥がすと硬化性組成物の表層部を引っ張り、意匠上の不具合が生じた。
本発明の硬化性組成物は、硬化性(硬度発現)、低べたつき性、養生シート付着防止性に優れることから、シーリング材組成物、防水材組成物、接着剤組成物、コーティング材組成物として好適に使用することができる。また、本発明の硬化性組成物は、建築用、土木用に好適に使用することができる。

Claims (15)

  1. イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)とオキサゾリジン化合物(B)を含有し、
    前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)が、分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a1)および分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a2)の混合物であることを特徴とする硬化性組成物。
  2. イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)とオキサゾリジン化合物(B)を含有し、
    前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)が、分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a1)および分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a2)の混合物であり、かつ、
    合成された前記分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a1)に合成された前記分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a2)が混合された混合物であることを特徴とする硬化性組成物。
  3. 前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)の分岐密度が、0.03ミリモル/g以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の硬化性組成物。
  4. 前記分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a1)の分岐密度が、0.1ミリモル/g以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の硬化性組成物。
  5. 前記分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a1)および前記分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a2)が、有機イソシアネート化合物と活性水素含有化合物を反応して得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーであることを特徴とする請求項1または2に記載の硬化性組成物。
  6. 前記有機イソシアネート化合物が、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートおよび脂環族ポリイソシアネートからなる群から選択される1種以上の有機イソシアネート化合物を含むことを特徴とする請求項5に記載の硬化性組成物。
  7. 前記活性水素含有化合物が、数平均分子量1,000~30,000の高分子ポリオールを含む活性水素含有化合物であることを特徴とする請求項5に記載の硬化性組成物。
  8. 前記分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a1)に対する前記分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a2)の配合割合が、前記分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a1)のイソシアネート基のモル数に対する前記分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a2)のイソシアネート基のモル数の比で5/95~95/5であることを特徴とする請求項1または2に記載の硬化性組成物。
  9. 前記分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a1)および/または前記分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a2)が、光反応性不飽和結合を分子内に有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーであること特徴とする請求項1または2に記載の硬化性組成物。
  10. 前記オキサゾリジン化合物(B)の配合量が、前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)のイソシアネート基の1.0モル数に対し、前記オキサゾリジン化合物(B)が加水分解して生成する2級アミノ基の活性水素のモル数が0.1~1.2であることを特徴とする請求項1または2に記載の硬化性組成物。
  11. さらに、下記一般式(1)で表すシラン化合物および/またはシラン化合物の部分加水分解縮合物を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の硬化性組成物。
    4-mSi-(OR (1)
    (式(1)中、Rは炭素数1~6の1価の炭化水素基を表し、Rが複数のときは同じであっても異なっていてもよい。Rは炭素数1以上の1価の炭化水素基であるが、(OR)の少なくとも1個は炭素数2~6のアルコキシ基である。(OR)が複数のときは同じであっても異なっていてもよい。mは1~6の整数である。)
  12. さらに、硬化促進触媒、可塑剤、耐候安定剤、充填剤、揺変性付与剤、接着性向上剤、貯蔵安定性向上剤(脱水剤)、着色剤および有機溶剤からなる群から選択される少なくとも1種以上の添加剤を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の硬化性組成物。
  13. 前記硬化性組成物が、建築用または土木用の硬化性組成物であることを特徴とする請求項1または2に記載の硬化性組成物。
  14. 前記硬化性組成物が、シーリング材組成物、防水材組成物、接着剤組成物またはコーティング材組成物であることを特徴とする請求項1または2に記載の硬化性組成物。
  15. イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)とオキサゾリジン化合物(B)を含有し、
    前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)が、分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a1)および分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a2)の混合物であり、かつ、
    前記分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a1)を合成する工程、
    前記分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a2)を合成する工程、
    前記分岐構造を有するイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a1)と前記分岐構造を有さないイソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(a2)を混合する工程で得られ、
    前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー(A)と前記オキサゾリジン化合物(B)と、任意に、前記シラン化合物および/またはシラン化合物の部分加水分解縮合物、前記添加剤を混合する工程、
    を含むことを特徴とする硬化性組成物の製造方法。

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