JP5378302B2 - ワーキングジョイント用1成分形室温硬化型シーリング材およびその施工方法 - Google Patents

ワーキングジョイント用1成分形室温硬化型シーリング材およびその施工方法 Download PDF

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Description

本発明は、室温で大気中の水分や酸素により硬化する、硬化途中のムーブメント追従性に優れたワーキングジョイント用の1成分形室温硬化型シーリング材、およびその施工方法に関する。
ウレタン樹脂や変成シリコーン樹脂などからなるシーリング材が建築や土木の目地の防水用として広く使用されており、そのシーリング材には硬化方法の違いにより、主剤と硬化剤を混合することにより硬化させる2成分形と、空気中の湿気や酸素を利用して硬化させる1成分形とがある。このうち1成分形シーリング材、特にイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーからなる1成分形ウレタン系シーリング材が、主剤と硬化剤を混合する手間が無く、また主剤と硬化剤の計量ミスによる硬化不良もないことにより、作業性に優れ、安心して使用でき、更に硬化後低モジュラスかつ高伸びでゴム弾性物性が良好で、接着性や耐久性に優れているなどの特徴から、年々使用量が伸びている。
しかしながら、主に中高層ビル等の建築物において、金属カーテンウォールやプレキャストコンクリートパネルなどの外装部材を使用した外壁或いは金属サッシ回りなどに形成される目地があり、これらの目地は、気温や日照等の温度変化による部材の膨張や収縮或いは各種振動や風圧などの作用によって外装部材間の変位や動き(ムーブメント)が大きなため、ワーキングジョイントと呼ばれている。
従来、このワーキングジョイントを施工の対象とするシーリング材としては、2成分形のものが全体的に硬化が進行して、硬化途中に目地が大きく変位しても硬化物の表面や内部に亀裂等の損傷が生じないため(硬化途中のムーブメント追従性が良好なため)専ら使用されている。
これに対し、1成分形シーリング材は硬化の性質上、湿気や空気中の酸素と接触する表面から硬化するため、硬化途中に大きなムーブメントを受けると、表面の硬化した部分と内部の未硬化部分にかかる応力の差が大きく、局部的に歪が大きくなるためと推察されるが、硬化物に亀裂、シワ、剥離等の損傷が発生し(これを硬化途中のムーブメント追従性が悪いという。)、ひいては漏水事故につながるため、ワーキングジョイント用のシーリング材としては使用されてこなかった。
1成分形ウレタンシーリング材において、硬化過程のムーブメント追従性が良いものに改良できれば、建築物のワーキングジョイント用シーリング材として使用できることになり、1成分形であるがゆえに作業性に優れ、安心して使用でき、かつ接着性や耐久性に優れた建築ワーキングジョイント用のシーリング材を提供できることとなり、今後の中高層ビル建築の外壁目地などのシーリング材として役に立つものとなる。
そこで、本発明者らは、過去にイソシアネート含有ウレタンプレポリマーと揺変性付与剤と硬化促進触媒を含有する、目地に少なくとも1日に1サイクルのムーブメントを与えながら硬化させる試験において、損傷のない硬化物となる性能を有する建築ワーキングジョイント用1成分形ウレタン系シーリング材組成物を提案した(特許文献1参照)。しかし、このワーキングジョイント用シーリング材ではムーブメント追従性が未だ不足し、改良が必要であることから、ウレイレン基含有有機化合物を配合することにより極めて優れた硬化過程のムーブメント追従性を与える事を更に提案している(特許文献2参照)。しかしながら、このワーキングジョイント用シーリング材は内部に亀裂を生じる事はなくなったが、硬化過程のムーブメントにより硬化後に表面にシワが生じ、意匠性に問題を生じる事があった。また、幅の広い横目地に使用した場合スランプが発生する事もあり、仕上がり外観が悪く、改良が必要である事も分かった。
また、過去に、ポリウレタン樹脂と、疎水性コロイド状シリカと、脂肪族ポリイソシアネートとモノアミン等の付加物とを含有する揺変性ポリウレタン樹脂組成物、あるいはポリウレタン樹脂主成分に、添加剤として光硬化性物質とヒンダードアミン系光安定剤とを配合した高耐候性ポリウレタン系1液型湿気硬化性組成物において、ポリ尿素化合物からなる揺変性付与剤を配合することも開示されているが、これらはいずれも揺変性付与効果に関するものであり、硬化過程におけるムーブメント追従性については言及されていない(特許文献3及び4参照)。
更に、2成分形ポリサルファイド系シーリング材において、基剤成分としてポリサルファイドポリエーテルポリマーと特定のポリエーテルポリオールとの特定量の混合物に、硬化剤成分としてポリイソシアネートやその変性ウレタンプレポリマーを特定量使用し、ポリサルファイド系シーリング材の欠点である、動的追従性を改良することも開示されているが、これは2成分形のものであり、1成分形のものについては何ら言及がされていない(特許文献5参照)。
特開2005−314683号公報 特願2008−161314号明細書 特開昭64−24851号公報 特開2002−179753号公報 特開2002−275451号公報
本発明は、上記従来公知技術の問題点に鑑み、硬化後低モジュラス、高伸びでゴム弾性物性が良好で、更に作業性、接着性、耐久性が良好であるとともに、硬化途中のムーブメント追従性、特に硬化後の表面の平滑性に優れ良好な仕上がり外観を有するワーキングジョイント用の1成分形室温硬化型シーリング材、およびその施工方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために研究した結果、室温硬化性樹脂を硬化成分として、これに有機表面処理炭酸カルシウムと疎水性シリカと親水性シリカとを併用することにより、シーリング材として極めて優れた硬化過程のムーブメント追従性を与えることができることを見出して本発明に到達した。
すなわち本発明は、次の(1)〜(17)に示すものである。
(1) 室温硬化性樹脂(A)と、有機表面処理炭酸カルシウム(B)と、親水性シリカ(C)と、疎水性シリカ(D)とを含有すること、を特徴とするワーキングジョイント用の1成分形室温硬化型シーリング材。
(2) 前記ワーキングジョイントが、ビル外壁目地である、前記(1)の1成分形室温硬化型シーリング材。
(3) 前記ワーキングジョイントが、笠木目地である、前記(1)の1成分形室温硬化型シーリング材。
(4) 前記ワーキングジョイントが、金属製部材で形成されているワーキングジョイントである、前記(1)〜(3)のいずれかの1成分形室温硬化型シーリング材。
(5) 前記ワーキングジョイントの目地の変位量が、該目地の幅寸法に対して5%以上である、前記(1)〜(4)のいずれかの1成分形室温硬化型シーリング材。
(6) 前記ワーキングジョイントの目地の幅が20mm以上で、かつ該目地の幅の変位量が1mm以上である、前記(1)〜(4)のいずれかの1成分形室温硬化型シーリング材。
(7) 前記1成分形室温硬化型シーリング材のチクソトロピック指数が、5.5以上である、前記(1)〜(6)のいずれかの1成分形室温硬化型シーリング材。
(8) 前記疎水性シリカ(D)が、親水性シリカに親水性シリカ反応性有機ケイ素化合物を反応させ表面被覆して得られる疎水性シリカである、前記(1)〜(7)のいずれかの1成分形室温硬化型シーリング材。
(9) 前記親水性シリカ反応性有機ケイ素化合物が、シリコーンオイル、シランカップリング剤又はクロロシラン類である、前記(8)の1成分形室温硬化型シーリング材。
(10) 前記室温硬化性樹脂(A)が、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーである、前記(1)〜(9)のいずれかの1成分形室温硬化型シーリング材。
(11) さらにオキサゾリジン化合物(F)を含有する、前記(10)の1成分形室温硬化型シーリング材。
(12) さらに前記オキサゾリジン化合物(F)の開環触媒(G)を含有する、前記(11)の1成分形室温硬化型シーリング材。
(13) さらに希釈用樹脂(E)を含有する、前記(1)〜(12)のいずれかの1成分形室温硬化型シーリング材。
(14) 前記希釈用樹脂(E)が、ポリオキシアルキレン系アルコールと有機イソシアネートとを反応させて得られる、実質的にイソシアネート基又は水酸基を含有しない分子量分布(Mw/Mn)が1.6以下の室温で液状のポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂である、前記(13)の1成分形室温硬化型シーリング材。
(15) さらにヒンダードアミン系光安定剤および/またはヒンダードフェノール系酸化防止剤を含有する、前記(1)〜(14)のいずれかの1成分形室温硬化型シーリング材。
(16) 前記(1)〜(15)のいずれかの1成分形室温硬化型シーリング材を、建築物のワーキングジョイントに充填施工して硬化させること、を特徴とする1成分形室温硬化型シーリング材の施工方法。
(17) 前記1成分形室温硬化型シーリング材を建築物のワーキングジョイントに充填施工する前に、該ワーキングジョイントにプライマーを塗布する、前記(16)の1成分形室温硬化型シーリング材の施工方法。
上述の構成をとることにより、作業性に優れ、大気中の水分(湿気)や酸素により硬化して、低モジュラスで高伸びといった諸物性に優れたゴム状弾性体となり、接着性、耐久性なども良好であるとともに、硬化途中のムーブメント追従性、特に硬化後の表面の平滑性に優れ良好な仕上がり外観を有するワーキングジョイント用の1成分形室温硬化型シーリング材、およびその施工方法を提供することが可能となった。
なお、本発明において、ワーキングジョイントは、建築目地だけでなく、土木構築用に設けられたムーブメントの大きな目地も包含するものである。
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明における室温硬化性樹脂(A)は、室温(常温)で大気中の水分(湿気)や酸素などにより硬化する樹脂であり、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー、架橋性シリル基含有有機重合体、ポリサルファイド樹脂などが挙げられ、これらは単独で或いは2種以上を混合して使用できる。これらの室温硬化性樹脂(A)からなるシーリング材は、1成分形湿気硬化型あるいは1成分形酸素硬化型などの1成分形室温硬化型として使用できるが、施工作業や硬化性などの作業性が良好で、硬化後のゴム弾性物性や、耐水性、耐候性等の耐久性に優れている点で、1成分形湿気硬化型シーリング材が好ましい。
前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、有機イソシアネート化合物と活性水素含有化合物とを、活性水素(基)に対してイソシアネート基過剰の条件で反応させて得られるものであり、分子中に含有されるイソシアネート基が室温で湿気と反応し、尿素結合を形成して、架橋、硬化することにより、このウレタンプレポリマーからなるシーリング材は、1成分形湿気硬化型として使用できる。
具体的には、有機イソシアネート化合物と活性水素含有化合物とを、イソシアネート基/活性水素(基)のモル比が1.2〜10/1.0、好ましくは1.4〜2.0/1.0となる範囲で同時あるいは逐次に反応させて、ウレタンプレポリマー中にイソシアネート基が残存するようにして好適に製造することができる。モル比が1.2/1.0を下回ると、得られるウレタンプレポリマーの架橋点が少なくなりすぎ、シーリング材の硬化後の伸びや引張強度などのゴム弾性物性が低下して接着性が乏しいものとなり、モル比が10/1.0を超えると、湿気等の水分と反応したときに炭酸ガスの発生量が多くなって発泡の原因となるため好ましくない。
また、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基含有量は0.3〜15.0質量%が好ましく、特に0.5〜5.0質量%が好ましい。イソシアネート基含有量が0.3質量%未満の場合は、前記と同様の理由で、ゴム弾性物性が低下して十分な接着性が得られない。イソシアネート基含有量が15.0質量%を超える場合も、前記と同様の理由で、炭酸ガスによる発泡が生じ好ましくない。
反応製造方法としては、ガラス製やステンレス製などの反応容器に有機イソシアネート化合物と活性水素含有化合物とを仕込み、後述する反応触媒や有機溶剤の存在下あるいは不存在下に、50〜120℃で攪拌しながら反応させる方法が挙げられる。この際、イソシアネート基が湿気と反応すると、得られるウレタンプレポリマーが増粘するため、窒素ガス置換、窒素ガス気流下などの湿気を遮断した状態で反応を行うことが好ましい。
反応触媒としては、亜鉛、錫、鉛、ジルコニウム、ビスマス、コバルト、マンガン、鉄等の金属と、オクテン酸、ナフテン酸等の有機酸との金属塩;ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート等の有機金属と有機酸との塩;トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン等の有機アミンやその塩等の公知のウレタン化触媒が挙げられる。
前記有機イソシアネート化合物としては、具体的には、有機ポリイソシアネートと、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの変性用として場合により用いる有機モノイソシアネートが挙げられ、さらに有機ポリイソシアネートとしては、イソシアネート基が芳香族炭化水素と結合している芳香族系ポリイソシアネートや、イソシアネート基が脂肪族炭化水素と結合している脂肪族系ポリイソシアネートなどが挙げられる。
芳香族系ポリイソシアネートとしては、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、あるいはこれらの混合物等のジフェニルメタンジイソシアネート類(MDI類);2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネートあるいはこれらの混合物等のトルエンジイソシアネート類(TDI類);この他、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族系ポリイソシアネートとしては、キシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ポリイソシアネート;プロピレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネートなどが挙げられる。
また、これらジイソシアネートのカルボジイミド変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体、二量体、三量体、または、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(クルードMDIまたはポリメリックMDI)なども挙げられる。
これらは単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらのうち、硬化後のゴム弾性や耐候性に優れている点で、芳香族系ポリイソシアネートの中ではMDI類、TDI類が好ましく、芳香脂肪族ポリイソシアネートの中ではキシリレンジイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートの中ではヘキサメチレンジイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートの中ではイソホロンジイソシアネートが、それぞれ好ましい。
また、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの変性用として場合により用いる有機モノイソシアネートとしては、n−ブチルモノイソシアネート、n−ヘキシルモノイソシアネート、n−オクタデシルモノイソシアネート等の脂肪族系モノイソシアネートが挙げられる。
前記活性水素含有化合物としては、高分子ポリオールや高分子ポリアミンの他、場合により使用する、鎖延長剤、或いはイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの変性用として用いる高分子や低分子のモノオールなどが挙げられる。
高分子ポリオールとしては、ポリエステル系ポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオキシアルキレン系ポリオール、炭化水素系ポリオール、ポリ(メタ)アクリレート系ポリオール、動植物系ポリオール、これらのコポリオール、またはこれらの2種以上の混合物などが挙げられる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を、「(メタ)アクリル」とは「アクリル又はメタクリル」を意昧する。
高分子ポリオールのゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算の数平均分子量は、1,000〜100,000、さらに1,000〜30,000、特に1,000〜20,000が好ましい。数平均分子量が1,000未満では、シーリング材の硬化後の伸びなどのゴム弾性物性が悪化し、100,000を超えると、得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの粘度が高くなり過ぎ、作業性が悪化するため好ましくない。
ポリエステル系ポリオールとしては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロオルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸等のポリカルボン酸;これら酸のメチルやエチル等のアルキルエステル;またはこれら酸の酸無水物などの1種以上と、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド付加物、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の低分子ポリオール類;ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン等の低分子ポリアミン類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等の低分子アミノアルコール類の1種以上との縮合反応で得られる、ポリエステルポリオールまたはポリエステルアミドポリオールが挙げられる。
また、低分子ポリオール類、低分子ポリアミン類、低分子アミノアルコール類を開始剤として、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル(ラクトン)モノマーの開環重合で得られるラクトン系ポリエステルポリオールも挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、前述のポリエステル系ポリオールの合成に用いられる低分子ポリオール類とホスゲンとの脱塩酸反応、あるいは前記低分子ポリオール類とジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等とのエステル交換反応で得られるものが挙げられる。
ポリオキシアルキレン系ポリオールとしては、前述のポリエステル系ポリオールの合成に用いられるものと同様の低分子ポリオール類、低分子ポリアミン類、低分子アミノアルコール類、ポリカルボン酸の他、ソルビトール、マンニトール、ショ糖(スクロース)、グルコース等の糖類系低分子多価アルコール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF等の低分子多価フェノール類の一種以上を開始剤として、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等の環状エーテル化合物の1種以上を開環付加重合あるいは共重合(以下、「重合あるいは共重合」を「(共)重合」という。)させた、ポリオキシエチレン系ポリオール、ポリオキシプロピレン系ポリオール、ポリオキシブチレン系ポリオール、ポリオキシテトラメチレン系ポリオール、ポリ−(オキシエチレン)−(オキシプロピレン)−ランダムあるいはブロック共重合系ポリオール、さらに、前述のポリエステル系ポリオールやポリカーボネートポリオールを開始剤としたポリエステルエーテルポリオール、ポリカーボネートエーテルポリオールなどが挙げられる。また、これらの各種ポリオールと有機イソシアネートとを、イソシアネート基に対し水酸基過剰で反応させて、分子末端を水酸基としたポリオールも挙げられる。
ポリオキシアルキレン系ポリオールのアルコール性水酸基の数は、1分子当たり平均して2個以上、さらに2〜4個、特に2〜3個であることが好ましい。
さらに、ポリオキシアルキレン系ポリオールは、その製造時に、水素化セシウム、セシウムメトキシド、セシウムエトキシド等のセシウムアルコキシド、水酸化セシウムなどのセシウム系化合物、ジエチル亜鉛、塩化鉄、金属ポルフィリン、ホスファゼニウム化合物、複合金属シアン化錯体など、なかでも亜鉛ヘキサシアノコバルテートのグライム錯体やジグライム錯体等の複合金属シアン化錯体を触媒として使用して得られる、総不飽和度が0.1meq/g以下、さらに0.07meq/g以下、特に0.04meq/g以下のものが、また分子量分布〔ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比=Mw/Mn〕が1.6以下、特に1.0〜1.3の狭いものが、得られるイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの粘度を低下させることができ、かつシーリング材の硬化後のゴム弾性物性が良好となる点で好ましい。
また、ウレタンプレポリマーの変性用として、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール等の低分子モノアルコール類を開始剤として、前記プロピレンオキシド等の環状エーテル化合物を開環付加(共)重合させたポリオキシプロピレン系モノオール等のポリオキシアルキレン系モノオールなどを場合により使用することもできる。
なお、前記ポリオキシアルキレン系ポリオールあるいはポリオキシアルキレン系モノオールなどの「系」とは、分子1モル中の水酸基を除いた部分の50質量%以上、さらに80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上がポリオキシアルキレンで構成されていれば、残りの部分がエステル、ウレタン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ(メタ)アクリレート、ポリオレフィンなどで変性されていてもよいことを意味するが、水酸基を除いた分子の95質量%以上がポリオキシアルキレンから成るものが最も好ましい。
炭化水素系ポリオールとしては、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等のポリオレフィンポリオール;水素添加ポリブタジエンポリオール、水素添加ポリイソプレンポリオール等のポリアルキレンポリオール;塩素化ポリプロピレンポリオール、塩素化ポリエチレンポリオール等のハロゲン化ポリアルキレンポリオールなどが挙げられる。
ポリ(メタ)アクリレート系ポリオールとしては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を含有する(メタ)アクリレート単量体類と他の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体とを、ラジカル重合開始剤の存在下あるいは不存在下に共重合させたものなどが挙げられる。
動植物系ポリオールとしては、ヒマシ油系ジオールなどが挙げられる。
鎖延長剤としては、前記のポリエステル系ポリオールの合成に用いられる低分子のポリオール類、ポリアミン類、アミノアルコール類の他、前述のポリオキシアルキレン系ポリオールで、数平均分子量が1,000未満の低分子量のものが例示される。
前記の活性水素含有化合物として挙げた化合物はいずれも1種または2種以上を組み合わせて使用することができるが、これらのうち、シーリング材のゴム弾性物性や接着性が良好な点で、高分子ポリオールが好ましく、さらにポリオキシアルキレン系ポリオールが好ましく、ポリオキシプロピレン系ポリオールが最も好ましい。
前記架橋性シリル基含有有機重合体は、有機重合体に導入した架橋性シリル基が室温で湿気などの水分と加水分解反応して生成したシラノール基が縮合反応して、架橋、硬化することにより、この架橋性シリル基含有有機重合体からなるシーリング材は、1成分形室温硬化型として使用できる。有機重合体としては、主鎖がポリオキシアルキレン系重合体:(メタ)アクリル系重合体;ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等の脂肪族炭化水素系重合体;ポリエステル系重合体;これらの共重合体又は混合物などが挙げられる。
架橋性シリル基含有有機重合体の数平均分子量は1,000以上、特に6,000〜30,000で分子量分布が狭いものが、1成分形室温硬化型シーリング材の粘度が低下し作業性が良好となり、かつ硬化後の応力、伸び等のゴム弾性物性も良好となるため好ましい。
架橋性シリル基は、シーリング材の硬化性や硬化後の物性などの点から、分子内に0.2個以上、特に0.4〜5.0個含まれるのが好ましい。
更に、架橋性シリル基は、架橋しやすく製造しやすい次の一般式で示されるものが好ましい。
Figure 0005378302
(式中、Rは炭化水素基であり、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。Rが複数の場合には同じ基であっても異なった基であってもよい。Xで示される反応性基は水素原子、水酸基、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミド基、酸アミド基、メルカプト基、アルケニルオキシ基及びアミノオキシ基より選ばれる加水分解性の基であり、Xが複数の場合には、Xは同じ基であっても異なった基であってもよい。このうちXはアルコキシ基が好ましく、メトキシ基又はエトキシ基が最も好ましい。kは0、1又は2の整数であり、0又は1が好ましい。)
架橋性シリル基の重合体主鎖への導入は、
(a)末端に水酸基などの官能基を有するポリオキシアルキレン系や(メタ)アクリル系などの重合体に、この官能基に対して反応性を示す活性基及び不飽和基を有する有機化合物(例えばアリルイソシアネート)を反応させ、次いで、導入された不飽和基に加水分解性基を有するヒドロシランを作用させてヒドロシリル化する方法、
(b)末端に水酸基、エポキシ基やイソシアネート基などの官能基を有するポリオキシアルキレン系や(メタ)アクリル系などの重合体に、この官能基に対して反応性を示す官能基及び架橋性シリル基を有する化合物を反応させる方法(この反応性官能基及び架橋性シリル基を有する化合物としては、アミノ基含有シラン類、メルカプト基含有シラン類、エポキシ基含有シラン類、重合性不飽和基含有シラン類、イソシアネート基含有シラン類などが挙げられる)、
(c)重合性不飽和結合と架橋性シリル基を有する化合物(例えば、CH=CHSi(OCHやCH=CHCOO(CHSi(OCH)と(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体とを共重合させる方法、
(d)重合性不飽和結合と官能基を有する化合物(例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートあるいは(メタ)アクリル酸アリルなど)を(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体などと共重合させ、次いで生成する共重合体を前記の反応性官能基及び架橋性シリル基を有する化合物(例えば、イソシアネート基と−Si(OCH基を有する化合物や、トリメトキシシラン、トリエトキシシランなどの加水分解性基を有するヒドロシラン類)と反応させる方法、
などの公知の方法で行うことができる。
架橋性シリル基含有有機重合体の主鎖は、作業性、硬化後のゴム弾性物性、耐侯性などが優れている点で、ポリオキシアルキレン系重合体及び/又はポリ(メタ)アクリル変性ポリオキシアルキレン系重合体が好ましい。
なお、本発明においては、「及び/又は」とは、それぞれ単独であってもよいし、それぞれの組み合わせであっても良いことを意昧する。
また、「ポリ(メタ)アクリル変性ポリオキシアルキレン系重合体」とは、ポリオキシアルキレン系重合体を(メタ)アクリル重合体で変性したものであり、ポリオキシアルキレン系重合体に(メタ)アクリル系単量体をブロック又はペンダント共重合させて変性したもの、ポリオキシアルキレン系重合体に(メタ)アクリル系重合体を混合して変性したもの、ポリオキシアルキレン系重合体中で(メタ)アクリル系単量体を重合させて変性したものなどが挙げられる。
架橋性シリル基含有ポリオキシアルキレン系重合体又は架橋性シリル基含有ポリ(メタ)アクリル変性ポリオキシアルキレン系重合体は、ポリオキシアルキレン系ポリオール又はこれを含むポリ(メタ)アクリル系ポリオールのそれぞれと、架橋性シリル基含有イソシアネート化合物と、場合により耐水性などの向上のためにさらに有機イソシアネートとを、逐次あるいは同時に反応させて得る方法が、低コストで製造できる点で好ましい。
この反応の際には、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの合成において使用されるウレタン化触媒と同様のものを反応触媒として、また公知の有機溶媒を用いることもできる。
また、前記ポリオキシアルキレン系ポリオールや有機イソシアネートは、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの合成において使用したものと同様のものが使用できる。
前記ポリ(メタ)アクリル系ポリオールは、水酸基含有(メタ)アクリル系単量体を少なくとも含有するエチレン性不飽和化合物を重合開始剤の存在下又は不存在下に、そして溶剤の存在下又は不存在下において、バッチ式又は連続重合などの公知のラジカル重合の方法により、好ましくは150〜350℃、さらに好ましくは210〜250℃で高温連続重合反応させて得られるものが、反応生成物の分子量分布が狭く低粘度になるため好適である。ポリ(メタ)アクリル系ポリオールは、水酸基含有(メタ)アクリル系単量体を単独で重合させて得られるものであってもよく、この2種以上を共重合させて得られるものであってもよく、さらにこれらそれぞれの1種又は2種以上とこれら以外のエチレン性不飽和化合物とを重合させて得られるものであってもよい。これらのうち、ポリ(メタ)アクリル系ポリオールの水酸基の含有量を調節することが容易で、硬化樹脂の物性を選択しやすい点から、水酸基含有(メタ)アクリル系単量体の1種又は2種以上とこれら以外のエチレン性不飽和化合物の1種又は2種以上とを共重合させて得られるものが好ましい。この共重合の際、それぞれ1種又は2種以上の水酸基含有(メタ)アクリル系単量体を、ポリ(メタ)アクリル系ポリオール1分子あたり平均水酸基官能数が1.0〜10個となるように使用するのが好ましく、さらに好ましくは1.2〜3個となるように使用するのが好ましい。平均水酸基官能数が10個を超えると、硬化後の物性が硬くなりすぎてゴム状弾性がなくなる。このうち、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の数平均分子量が500〜30,000、さらに1,000〜15,000、Tgが0℃以下、さらに−70〜−20℃、特に−70〜−30℃、25℃における粘度が100,000mPa・s以下、特に50,000mPa・s以下のポリ(メタ)アクリル系ポリオールが好ましい。数平均分子量30,000、Tg0℃、25℃における粘度100,000mPa・sをそれぞれ超えると、1成分形室温硬化型シーリング材の施工時の作業性が悪くなる。
水酸基含有(メタ)アクリル系単量体としては、架橋性シリル基含有イソシアネート化合物や有機イソシアネートのイソシアネート基との反応性の良さ、および得られる架橋性シリル基含有樹脂の粘度の点から、アルコール性水酸基含有(メタ)アクリル系単量体が好ましく、具体的には、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の多価アルコールのモノ(メタ)アクリレート類又は水酸基残存ポリ(メタ)アクリレート類などが挙げられる。
その他のエチレン性不飽和化合物としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、クロロプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリル酸、酢酸ビニル、スチレン、2−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、グリシジル(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アクリル酸ダイマー、ポリエステルポリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらのうち、エチレン性不飽和化合物としては、耐侯性と共に硬化後の特性などの点から、(メタ)アクリル酸エステル系化合物のモノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリロニトリルなどの(メタ)アクリル系化合物が好ましく、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが更に好ましい。
これらはいずれも単独であるいは2種以上を混合し使用できる。また場合により炭素数9以下の(メタ)アクリル系単量体の1種又は2種以上と炭崇数10以上の(メタ)アクリル系単量体の1種又は2種以上とを組み合わせて使用してもよい。
前記架橋性シリル基含有イソシアネート化合物は、分子内に1個以上のイソシアネート基と1個以上の架橋性シリル基を少なくとも含有すればよいが、反応の制御のしやすさ、硬化後のゴム弾性が良好な点から、分子内に1個のイソシアネート基と1個の架橋性シリル基を含有する化合物が好ましい。架橋性シリル基含有イソシアネート化合物としては、具体的には、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルイソプロポキシシラン、イソシアネートトリメトキシシラン、ジイソシアネートジメトキシシランなどが挙げられ、これらは単独であるいは2種以上を混合し使用できる。これらのうち、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランが好ましい。
なお、本発明においては、前記架橋性シリル基含有有機重合体として、変成シリコーンポリマーの名で市販されているものを使用でき、分子内に架橋性シリル基を含有し、主鎖がポリオキシアルキレン系重合体のものとして、カネカ社製のMSポリマーシリーズのS203、S303;旭硝子社製のエクセスターシリーズのES−S2410、ES−S3610、ES−S3630などが挙げられ、また、ポリ(メタ)アクリル変性をした架橋性シリル基含有ポリオキシアルキレン系重合体のものとして、カネカ社製のMSポリマーシリーズのS903、S943などが挙げられ、これら市販品単独又はこれら市販品と前述の反応により製造した架橋性シリル基含有ポリオキシアルキレン系重合体、架橋性シリル基含有ポリ(メタ)アクリル系重合体のそれぞれと組み合わせることもできる。
前記ポリサルファイド系樹脂は、ポリサルファイド樹脂、変性ポリサルファイド樹脂が挙げられ、分子中に含有するメルカプト基が、室温で大気中の水分や酸素などと反応し、ジスルフィド結合を生成して硬化することにより、このポリサルファイド系樹脂からなるシーリング材は1成分形室温硬化型として使用できる。
ポリサルファイド樹脂は、末端に2個以上のメルカプト基を有する、下記一般式に表される、数平均分子量が500〜100,000、好ましくは1,000〜20,000の重合体が挙げられ、潜在硬化剤として配合した二酸化鉛、二酸化カルシウム、二酸化バリウム、二酸化亜鉛等の金属過酸化物が湿気により反応して生成した過酸化水素により酸化縮合反応して硬化することにより、この樹脂からなるシーリング材は、1成分形室温硬化型として使用できる。
HS−(R′−S−R′−SH
(但し、式中、mの平均値は1.2〜2.8であり、nは2〜50の整数である。R′は炭素数2〜16のアルキル基又はエーテル結合含有アルキル基である。)
前記R′としては、−CH(CH)CH−、−CHCH−O−CHCH−、−CHCH−、−CHCH−O−CH−O−CHCH−、−CH(CH)CH−O−CH(CH)−O−CH(CH)CH−、−CHCH−O−(CHCH−O)−CHCH−(p=1〜30)などが挙げられ、粘度が低く作業性や硬化性が良好な点で、−CHCH−O−CH−O−CHCH−(エチルホルマール基)が好ましい。
変性ポリサルファイド樹脂は、末端にメルカプト基を有するが、主鎖にスルフィド結合を有さずに、ポリオキシアルキレン基とウレタン結合を有する樹脂であり、メルカプト基がジメチルチオカルバミン酸第三鉄等を硬化触媒として、室温で空気中の酸素と反応し硬化することにより、この樹脂からなるシーリング材は1成分形酸素硬化型として使用できる。
本発明における有機表面処理炭酸カルシウム(B)は、公知の方法で製造することができるものである。
すなわち、まず、微粉末状の炭酸カルシウムは、例えば、石灰石を焼成炉で焼成し、炭酸ガスと生石灰に分解した後、生石灰に水を加えて水化精製して石灰乳とし、炭酸ガスを吹き込んで反応させるか、又は、炭酸ガス気流中に石灰乳を噴霧し向流又は並流のかたちで接触させて製造することができる(一般に軽質炭酸カルシウムと称される。)。次いで、この微粉末状炭酸カルシウムに、揺変性付与効果を与える目的と二次凝集を防ぐ目的で、脂肪酸やロジン酸等の樹脂酸の金属塩或いはエステルなどで微粉末状炭酸カルシウムの表面を処理して、脂肪酸表面処理炭酸カルシウムや樹脂酸表面処理炭酸カルシウムなどの有機表面処理炭酸カルシウムが得られる。ここで脂肪酸金属塩としては、ステアリン酸等の炭素数10〜25の脂肪酸のナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウムの塩が好ましい。これらの市販品としては、例えば、白艶華CC、CCR、R06、VIGOT−10、VIGOT−15、STAVIGOT−15A、ビスコライトMBP(以上、白石工業社製)、NCC#3010、NCC#1010(以上、日東粉化工業社製)等が挙げられる。これらのうち、揺変性付与効果が高い点で、脂肪酸表面処理炭酸カルシウムが特に好ましい。
また、重質炭酸カルシウムと呼ばれる天然の炭酸カルシウムを粉砕して微粉末状にしたものを脂肪酸や樹脂酸の金属塩或いはエステルで処理したものも使用できる。
この有機表面処理炭酸カルシウムの平均粒径は、0.01〜0.5μm、更に0.03〜0.15μmが好ましく、BET比表面積は5〜200m/g、更に10〜60m/gが好ましい。平均粒径が0.01μmを下回るか或いはBET比表面積が200m/gを超えると、シーリング材の粘度が上がって作業性が悪化し、平均粒径が0.5μmを上回るか或いはBET比表面積が5m/gを下回ると、揺変性付与効果がなくなるため好ましくない。
有機表面処理炭酸カルシウム(B)の使用量は、室温硬化性樹脂(A)100質量部に対して、20〜200質量部、更に50〜100質量部が好ましい。使用量が20質量部未満では、揺変性付与効果が著しく低下し、200質量部を超えると粘度が高くなり、作業性が悪化するため好ましくない。
本発明における親水性シリカ(C)としては、石英や珪砂等を微粉砕した天然シリカ、乾式シリカや湿式シリカ等の合成シリカなどが挙げられる。これらは単独で或いは2種以上を混合して使用できる。これらのうち揺変性付与効果が高い点で合成シリカが好ましい。
合成シリカのうち、乾式シリカは、四塩化珪素などのシラン系ガスを酸素水素炎中で燃焼させて得られるものであり、ヒュームドシリカとも称されている。また、湿式シリカは、珪酸ソーダを鉱酸で中和することによって溶液中でシリカを析出させる沈降法シリカが代表的であり、ホワイトカーボンとも称されている。
親水性シリカは、BET比表面積が10〜500m/g、平均一次粒子径が1〜1,000nm、平均凝集粒子径が0.01〜50μmのものが好ましく、特にBET比表面積が50〜500m/g、平均一次粒子径が3〜100nmのものが揺変性付与効果に優れているため好ましい。
親水性シリカ(C)の使用量は、室温硬化性樹脂(A)100質量部に対して、0.4〜7質量部、更に2〜5質量部が好ましい。使用量が0.4質量部未満では揺変性付与効果が著しく少なくなったり、硬化過程のムーブメント追従性も悪くなり、7質量部を超えると粘度が高くなり、へら押さえ等の作業性が悪化するため好ましくない。
本発明における疎水性シリカ(D)は、シリコーンオイル、シランカップリング剤、クロロシラン類等の親水性シリカに反応性を有する有機ケイ素化合物を用いて前記親水性シリカの表面処理(好適には反応、表面被覆)を行い、疎水性にしたものが好適である。
これらは単独で或いは2種以上を混合して使用できる。
これらのうち、作業性等からシリコーンオイル又はクロロシラン類で処理したものが好ましく、更にクロロシラン類としてモノメチルトリクロロシラン又はジメチルジクロロシランで処理したものが好ましい。また、表面処理の異なる疎水性シリカを2種以上ブレンドして使用してもよい。疎水性シリカは、BET比表面積が10〜500m/g、特に50〜500m/gのものが好ましい。
疎水性シリカ(D)の使用量は、室温硬化性樹脂(A)100質量部に対して、0.4〜7質量部、更に1〜5質量部が好ましい。使用量が0.4質量部未満では硬化過程のムーブメント追従性が悪くなり、7質量部を超えると粘度が高くなり、へら押さえ等の作業性が悪化するため好ましくない。
本発明の1成分形室温硬化型シーリング材は、室温硬化性樹脂(A)と、有機表面処理炭酸カルシウム(B)と、親水性シリカ(C)と、疎水性シリカ(D)とを含有するものであるが、これら4成分に加えて更に希釈用樹脂(E)を配合することができる。この希釈用樹脂(E)は、1成分形室温硬化型シーリング材を希釈して粘度を下げ、作業性を向上させるとともに、硬化後のモジュラス、伸び等のゴム弾性物性を調節するために使用するものであり、数平均分子量が500以上、更に1,000〜100,000、より更に2,000〜50,000、特に2,000〜20,000、より特に2,000〜10,000の高分子量で極性基を有する室温で液状の希釈用樹脂を好適に挙げることができる。数平均分子量が500未満であると、1成分形室温硬化型シーリング材の硬化後、硬化物の表面に移行(ブリード)し易く、硬化物の表面を粘着させ、塵埃等の付着による表面汚染を発生させるため好ましくない。極性基としては室温硬化性樹脂(A)と相溶性の良好な、エステル基、エーテル基(オキシアルキレン基)、ウレタン基などが挙げられ、これらの基の種類と個数は、それぞれ分子中に単独で有していてもよいし、複数有していてもよい。このうち希釈用樹脂(E)の粘度が低く、室温硬化性樹脂(A)との相溶性が良好な点で、エーテル基(オキシアルキレン基)、ウレタン基が好ましい。更に希釈用樹脂(E)は、分子中に室温硬化性樹脂の官能基と反応性を有する官能基を実質的に有しない希釈用樹脂であることが好ましい。
希釈用樹脂(E)としては、具体的に例えば、ポリオキシアルキレン系樹脂、ジカルボン酸類とグルコール類とからのポリエステル系樹脂、低粘度の(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体樹脂、これらの混合物などが挙げられる。
前記ポリオキシアルキレン系樹脂としては、ポリオキシエチレンモノオールやポリオキシプロピレンモノオール等のポリオキシアルキレンモノオールのアルキルエーテル化やアルキルエステル化誘導体樹脂、糖類系多価アルコールのポリオキシアルキレン化樹脂のアルキルエーテル化やアルキルエステル化誘導体樹脂、室温で液状のポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂などが挙げられる。
これらはいずれも単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
これらのうち、粘度が低く、室温硬化性樹脂(A)と相溶性が良好で、シーリング材の作業性と、硬化途中のムーブメント追従性が良好な点で、ポリオキシアルキレン系樹脂が好ましく、更に糖類系多価アルコールのポリオキシアルキレン化樹脂のアルキルエーテル化やアルキルエステル化誘導体樹脂と室温で液状のポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂が好ましく、特に室温で液状のポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂が好ましい。
糖類系多価アルコールのポリオキシアルキレン化樹脂のアルキルエーテル化やアルキルエステル化誘導体樹脂としては、スクロース(ショ糖)、グルコース、マンニトール、ソルビトール等の糖類系多価アルコールの水酸基に対して、エチレンオキシドやプロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加重合させ、更にアルキルエーテル化或いはアルキルエステル化して末端をアルキル基で封鎖した、実質的に水酸基を有しない樹脂などが挙げられ、ショ糖系多価アルコールのポリオキシアルキレン化樹脂のアルキルエステル化誘導体の一般市販品として、三洋化成工業社製のSPX−80などが挙げられる。
これらはいずれも単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
室温で液状のポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂としては、ポリオキシアルキレン系アルコールと有機イソシアネートとを反応させて得られる、分子中にポリオキシアルキレン基とウレタン基を含有し、実質的にイソシアネート基又は水酸基を含有していない高分子量の樹脂が好適である。従来のウレタン系希釈剤は分子量分布が広く、低分子量域の部分がブリードし易いため汚染防止性に乏しく、高分子量域の部分はブリードし難いが、高粘度になり作業性が悪くなるという欠点を有し、汚染防止性能と作業性を両立させることは困難であったが、室温で液状のポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂の分子量分布〔ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比=Mw/Mn〕を1.6以下、特に好ましくは1.0〜1.3と狭いものにすることにより、室温で液状のポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂が高分子量であっても粘度を低く抑えることができ、作業性に優れた性質と硬化後の耐ブリード汚染防止性能、特に夏場の高温時期における優れた汚染防止性能とを両立させることができる。
具体的には、ポリオキシアルキレン系アルコールと有機イソシアネート(好ましくは、ポリオキシアルキレン系モノオールと有機ポリイソシアネート、又は、ポリオキシアルキレン系ポリオールと有機モノイソシアネート)を、イソシアネート基/水酸基の当量比が0.9〜1.1/1.0となる範囲で、最も好ましくは1/1で反応させて好適に製造することができる。当量比が0.9/1.0を下回ると水酸基の含有量が多くなるため、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを含有したシーリング材に用いた場合、製造時或いは貯蔵時に、この水酸基とイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基とが反応、増粘し作業性が悪化する点で、また1.1/1.0を上回るとイソシアネート基の含有量が多くなり硬化物のゴム弾性物性に対する影響が無視できなくなる点で好ましくない。
なお、前記の「実質的にイソシアネート基又は水酸基を含有しない」とは、糖類系多価アルコールのポリオキシアルキレン化樹脂のアルキルエーテル化やアルキルエステル化誘導体或いは液状ポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂を合成する際、原料のモル比により、分子中に水酸基或いはイソシアネート基が少量残存する場合があるが、本発明の目的を達成する上で、イソシアネート基又は水酸基を含有しないとみなしても不都合を生じないことを意味する。
前記ポリオキシアルキレン系アルコールとしては、具体的には、ポリオキシアルキレン系モノオール、ポリオキシアルキレン系ポリオール及びこれらの混合物が挙げられる。
ポリオキシアルキレン系モノオールとしては、活性水素を1個含有するアルキル化合物などの開始剤にアルキレンオキシドを開環付加重合させたものなどである。ポリオキシアルキレン系モノオールの数平均分子量は500〜100,000、更には1,000〜30,000、特に1,000〜10,000であることが好ましい。数平均分子量が500未満では室温で液状のポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂がブリードし易くなり、100,000を超えると室温で液状のポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂の粘度が高くなり、シーリング材の作業性が悪くなる。
この開始剤としては、具体的に例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、tert−ブタノール、シクロヘキサノール、フェノール、これらの2種以上の混合物が挙げられる。これらのうちでは、メタノール、エタノール等の、炭素数5以下の化合物が好ましい。
アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、これらの2種以上の混合物が挙げられる。これらのうちでは、プロピレンオキシドが好ましい。
具体的には、ポリオキシエチレン系モノオール、ポリオキシプロピレン系モノオール、ポリオキシブチレン系モノオール、ポリオキシテトラメチレン系モノオール、ポリ(オキシエチレン)−(オキシプロピレン)系ランダム或いはブロック共重合モノオール、ポリ(オキシプロピレン)−(オキシブチレン)系ランダム或いはブロック共重合モノオールなどが挙げられる。
更に、ポリオキシアルキレン系モノオールは、その製造時に使用する触媒として、前述のポリオキシアルキレン系ポリオールの製造時に使用される触媒と同様の触媒を使用して得られる、総不飽和度が0.1meq/g以下、更に0.07meq/g以下、特に0.04meq/g以下のものが好ましく、分子量分布(Mw/Mn)が1.6以下、特に1.0〜1.3の狭いものが好ましい。特に低粘度の室温で液状のポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂を得るには、分子量分布の狭いポリオキシアルキレン系モノオールを使用することが好ましい。
なお、前記ポリオキシアルキレン系モノオールとは、分子1モル中の水酸基を除いた部分の50質量%以上、更に80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上がポリオキシアルキレンで構成されていれば、残りの部分がウレタン、エステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアクリレート、ポリオレフィンなどで変性されていてもよいことを意味するが、水酸基を除いた分子の95質量%以上がポリオキシアルキレンから成るモノオールが最も好ましい。
ポリオキシアルキレン系ポリオールとしては、室温硬化性樹脂(A)のイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの合成の際に使用されるものと同様の化合物が挙げられ、このうちポリオキシプロピレン系ポリオールが好ましい。
これらはいずれも単独で或いは2種以上を組み合わせて使用できる。
これらのうち、得られる室温で液状のポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂の粘度が低く、かつブリードしないため、ポリオキシアルキレン系モノオールが好ましく、特にポリオキシプロピレン系モノオールが好ましい。
前記有機イソシアネートとしては、具体的には、有機モノイソシアネート、有機ポリイソシアネート、これらの混合物が挙げられ、更に具体的には、前記イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの合成の際に使用されるものと同様の化合物などを例示することができる。
これらは単独で或いは2種以上を混合して使用できる。
これらのうち、得られる室温で液状のポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂の粘度が低い点で、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートが好ましく、更に芳香脂肪族ポリイソシアネートが好ましく、特にキシリレンジイソシアネート類が好ましく、m−キシリレンジイソシアネートが最も好ましい。
希釈用樹脂(E)の使用量は、硬化速度、硬化物の物性などの点から、室温硬化性樹脂(A)100質量部に対して、0〜200質量部、特に10〜100質量部が好ましい。
本発明において、室温硬化性樹脂(A)としてイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを選択した場合、ウレタンプレポリマー中のイソシアネート基含有量が大きなとき、1成分形室温硬化型シーリング材を夏場などの高温、多湿の状態で施工すると硬化途中に発生する炭酸ガスにより発泡を生じ、外観の悪化、接着性の低下などの不具合を生じる場合があるが、これを防止する手段として、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーにオキサゾリジン化合物(F)をさらに配合するのが好ましい。
オキサゾリジン化合物(F)は、酸素原子と窒素原子を含む飽和5員環の複素環であるオキサゾリジン環を分子内に1個以上、好ましくは2〜6個有する化合物であり、大気中の水分(湿気)と反応して加水分解を受け、オキサゾリジン環が2級アミノ基とアルコール性水酸基を生成(再生)することにより、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの潜在性硬化剤として機能するものである。イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基が湿気と反応すると尿素結合が生成して硬化するが、この際炭酸ガスも発生し、硬化物の中に炭酸ガスによる気泡が生じて外観の悪化、硬化物の破断、接着性の低下などの不具合を生じるが、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーとオキサゾリジン化合物とを混合したものを湿気に暴露した場合は、湿気とイソシアネート基が反応する前にオキサゾリジン化合物のオキサゾリジン環が湿気により加水分解を受けて2級アミノ基とアルコール性水酸基を再生し、これらの活性水素がイソシアネート基と反応して炭酸ガスを発生することなく硬化することにより、1成分形室温硬化型シーリング材の炭酸ガスによる発泡を防止できるものである。
また、前述したイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの合成において、有機イソシアネート化合物として脂肪族系ポリイソシアネートを用いた場合、水分だけの反応だと硬化速度が極端に遅延してしまうが、オキサゾリジン化合物を併用することにより、これと水分との反応により再生する2級アミノ基と脂肪族系ポリイソシアネート由来のイソシアネート基との反応は、水分との反応より反応速度が大きなため硬化速度を速められ、後述する硬化促進触媒の使用量を低減することができるという効果をも有する。
オキサゾリジン化合物(F)としては、具体的には、水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の水酸基と、有機イソシアネート化合物のイソシアネート基や有機カルボン酸化合物のカルボキシル基とを反応させて得られる、ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物やエステル基含有オキサゾリジン化合物、あるいはまた、オキサゾリジンシリルエーテル、カーボネート基含有オキサゾリジンなどが挙げられ、製造し易く粘度の低い点でウレタン結合含有オキサゾリジン化合物が好ましい。
前記ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物としては、水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の水酸基と、有機イソシアネート化合物のイソシアネート基とを、イソシアネート基/水酸基のモル比が0.9〜1.2の範囲、好ましくは0.95〜1.05の範囲となるように使用し、有機溶剤の存在下または不存在下に50〜120℃の温度で反応させて得られるものが好適に挙げられる。
ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物の合成に用いられる有機イソシアネート化合物は、前述のイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの合成に用いられるのと同様のものが挙げられ、このうちウレタン結合含有オキサゾリジン化合物の結晶化度を低下させ、シーリング材の作業性を良好にできる点で、脂肪族系ポリイソシアネートが好ましく、特にヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。
水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物としては、具体的には、アルカノールアミンの2級アミノ基と、ケトン化合物またはアルデヒド化合物のカルボニル基との脱水縮合反応により得られるN−ヒドロキシアルキルオキサゾリジンが挙げられる。この水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の合成方法としては、アルカノールアミンの2級アミノ基1.0モルに対し、アルデヒド化合物またはケトン化合物のカルボニル基を1.0モル以上、好ましくは1.0〜1.5倍モル、更に好ましくは1.0〜1.2倍モル使用し、トルエン、キシレン等の溶媒中で、加熱、還流し、副生する水を除去しながら脱水縮合反応を行う方法が挙げられる。過剰のアルデヒド化合物やケトン化合物は蒸留により除去すればよい。
アルカノールアミンとしては、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−(2−ヒドロキシプロピル)アミンなどが挙げられる。ケトン化合物としては、アセトン、ジエチルケトン、イソプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−tert−ブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。アルデヒド化合物としては、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、2−メチルブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、2−メチルペンチルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、3,5,5−トリメチルヘキシルアルデヒド等の脂肪族アルデヒド化合物;ベンズアルデヒド、メチルベンズアルデヒド、トリメチルベンズアルデヒド、エチルベンズアルデヒド、イソプロピルベンズアルデヒ、イソブチルベンズアルデヒド、メトキシベンズアルデヒド、ジメトキシベンズアルデヒド、トリメトキシベンズアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物などが挙げられる。
これらはいずれも単独で或いは2種以上を混合して使用できる。
これらのうち、水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の製造の容易さと、得られる1成分形室温硬化型シーリング材が硬化するときの発泡防止性に優れている点で、アルカノールアミンとしてはジエタノールアミンが好ましく、ケトン化合物またはアルデヒド化合物のうちアルデヒド化合物が好ましく、さらにイソブチルアルデヒド、2−メチルペンチルアルデヒド、ベンズアルデヒドが好ましい。
水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物の具体的な例として、2−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン、2−(1−メチルブチル)−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン、2−フェニル−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジンなどが挙げられる。
前記エステル基含有オキサゾリジン化合物は、前述した水酸基及びオキサゾリジン環を有する化合物とジカルボン酸又はポリカルボン酸の低級アルキルエステルとの反応によって得ることができる。
前記オキサゾリジンシリルエーテルは、前述した水酸基およびオキサゾリジン環を有する化合物と、トリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、トリエトキシシラン、ジメトキシジメチルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシランとの脱アルコール反応により得られる。
前記カーボネート基含有オキサゾリジンは、前述した水酸基及びオキサゾリジン環を有する化合物とジアリルカーボネート等のカーボネートとを、ジエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコールを用いて反応させることによって得ることができる。
これらはいずれも単独で或いは2種以上を混合して使用できる。
なお、オキサゾリジン化合物(F)は、分子内に、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基と5〜35℃の室温(または常温)で反応するアミノ基や水酸基等の活性水素基含有官能基あるいはイソシアネート基を有していないことが好ましい。これはウレタンプレポリマーの粘度上昇やオキサゾリジン化合物の発泡防止性能の低下を防止するためである。但し、前述のウレタン結合含有オキサゾリジン化合物の合成において、モル比の選択により少量の活性水素基含有官能基やイソシアネート基が分子内に残存する場合があるが、この場合は本発明の目的を達成する上で有していないとみなすことができる。なお、前記「少量」とは、分子内に残存する活性水素基含有官能基またはイソシアネート基の量が、好ましくはオキサゾリジン化合物1g当たり、0.05mmol以下、さらに好ましくは0.02mmol以下である。
オキサゾリジン化合物(F)の使用量は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー中のイソシアネート基1.0モルに対して、オキサゾリジン化合物が加水分解して再生する2級アミノ基の活性水素が0.3モル以上、さらに0.5〜1.0モルとなるように使用するのが好ましい。0.3モル未満では発泡防止が不十分となり好ましくない。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーとオキサゾリジン化合物(F)を組み合わせた場合、オキサゾリジン化合物の開環触媒(G)を併用するのが好ましい。この開環触媒はオキサゾリジン化合物が湿気と反応し加水分解をして活性水素を再生するのを促進するとともに、再生した活性水素と、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーのイソシアネート基との反応を促進させ、本発明のシーリング材の効果を促進させるために添加するものであり、金属系触媒、アミン系触媒、有機カルボン酸系触媒、燐酸エステル系触媒、p−トルエンスルホニルモノイソシアネート、p−トルエンスルホニルモノイソシアネートと水分との反応物、カルボン酸シリルエステルなどが挙げられ、これらのうちカルボン酸シリルエステルが好ましい。
金属系触媒やアミン系触媒としては、添加剤として後述する室温硬化性樹脂(A)の硬化促進触媒として挙げたのと同様の有機金属化合物、第3級アミン類、第3級アミン類とカルボン酸等の塩類などが挙げられる。
有機カルボン酸系触媒としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、カプロン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、2−エチルヘキサン酸(オクチル酸)、オクテン酸、ラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪族カルボン酸、マレイン酸、アクリル酸等のα,β−不飽和カルボン酸、フタル酸、安息香酸、サリチル酸等の芳香族カルボン酸、これらの酸無水物などが挙げられる。
燐酸エステル系触媒としては、正燐酸エステル化合物、亜燐酸エステル化合物などが挙げられ、正燐酸エステル化合物としては、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート等の酸性燐酸エステル化合物などが挙げられ、亜燐酸エステル化合物としては、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、ジフェニルモノ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト等の亜憐酸トリエステル化合物、ジラウリルハイドロゲンホスファイト、ジオレイルハイドロゲンホスファイト、ジフェニルハイドロゲンホスファイト等の亜燐酸ジエステル化合物などが挙げられる。
p−トルエンスルホニルモノイソシアネートと水分との反応物は、シーリング材に配合する前に、p−トルエンスルホニルモノイソシアネートと水分とを予め反応させて得られるものであっても良いし、p−トルエンスルホニルモノイソシアネートをシーリング材に配合している間に水分を添加して反応させたもの、あるいはシーリング材中に存在する水分と反応させたものであっても良いし、あるいはまた、シーリング材に配合した後、貯蔵中に、後述する添加剤中などに含まれる水分と反応させて生成したものであってもよい。
これらは単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
カルボン酸シリルエステルとしては、下記式(1)および(2)で表されるカルボン酸シリルエステル基を有し、下記式(1)で表されるカルボン酸シリルエステル基の基数Mと下記式(2)で表されるカルボン酸シリルエステル基の基数Nとが下記式(3)の関係を満たすものが好ましい。
COO−Si≡ (1)
COO−Si≡ (2)
0.10≦M/(M+N)≦0.80 (3)
(式中、Rは炭素数13〜21、好ましくは13〜17の1価の炭化水素基を表し、Rは炭素数5〜11、好ましくは7〜11のアルキル基を表す。)
カルボン酸シリルエステルは、上記式(1)および(2)で表されるカルボン酸シリルエステル基をそれぞれ異なる分子中に有する化合物を併用するものであっても、これらのカルボン酸シリルエステル基を同一分子中に有する化合物自体または当該化合物を含有するものであってもよい。中でも、生産性の観点から後者であるのが好ましい。なお、本発明においては、後者の態様として、上記式(1)および(2)で表されるカルボン酸シリルエステル基のケイ素原子が同一原子である態様も含むものとする。
上記式(1)中、Rの炭素数13〜21の1価の炭化水素基としては、例えば、アルケニル基などの不飽和またはアルキル基などの飽和の1価の脂肪族炭化水素基;シクロへキシル基などの1価の脂環族炭化水素基;フェニル基、トリル基、ベンジル基、スチリル基などの1価の芳香族含有炭化水素基;等が挙げられる。具体的には、アルキル基として、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基等が好適に例示される。
また、上記式(1)中、Rの炭素数5〜11のアルキル基としては、具体的には、例えば、n−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、3−エチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、1−メチルへキシル基、2−メチルへキシル基、3−メチルへキシル基、4−メチルへキシル基、5−メチルヘキシル基、1−エチルペンチル基、2,2−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、2−エチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−ウンデシル基等が挙げられる。中でも、1−エチルペンチル基、n−ウンデシル基であるのが好ましい。
一方、上記式(3)で示されるように、上記式(1)で表されるカルボン酸シリルエステル基の基数Mと上記式(2)で表されるカルボン酸シリルエステル基の基数Nの割合(M/(M+N))は、0.10〜0.80の範囲であり、0.2〜0.8の範囲であるのが好ましい。
また、カルボン酸シリルエステルが上記式(1)および(2)で表されるカルボン酸シリルエステル基を包含する下記式(4)および(5)で表されるシロキサン単位を有するのが好ましい。
Figure 0005378302
式中、Rは炭素数13〜21の1価の炭化水素基を表し、Rは炭素数5〜11のアルキル基を表し、Rは水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜8の1価の炭化水素基を表す。
ここで、上記式(4)中のRおよび上記式(5)中のRは、それぞれ、上記式(1)中において説明したRおよび上記式(2)中において説明したRと同様である。
また、上記式(4)および(5)中、Rの置換基を有していてもよい炭素数1〜8の1価の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、ビニル基、アリル基などの1価の脂肪族炭化水素基;シクロへキシル基などの1価の脂環族炭化水素基;フェニル基、トリル基、ベンジル基、スチリル基などの1価の芳香族炭化水素基;およびこれらを組合せた基;等が挙げられる。具体的には、アルキル基として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−オクチル基等が好適に例示される。中でも、メチル基、フェニル基であるのが好ましい。
上記式(4)で表されるシロキサン単位としては、具体的には、下記の各式で表されるシロキサン単位が好適に例示される。
Figure 0005378302
上記式(5)で表されるシロキサン単位としては、具体的には、下記の各式で表されるシロキサン単位が好適に例示される。
Figure 0005378302
上記式(4)および(5)で表されるシロキサン単位は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
カルボン酸シリルエステルが、更に、下記式(6)で表されるエーテル含有シリル基を有するのが好ましく、カルボン酸シリルエステルが、上記式(1)および(2)で表されるカルボン酸シリルエステル基ならびに下記式(6)で表されるエーテル含有シリル基を同一分子中に有する化合物であるのがより好ましい。
O−(RO)−R−Si≡ (6)
(式中、RおよびRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数2〜6のアルキレン基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜30のアルキル基またはR13−(CO)−で表される有機基(R13は、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。)を表し、rは1以上の整数を表す。rが2以上の整数の場合、複数のRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
上記式(6)中、Rの置換基を有していてもよい炭素数2〜6のアルキレン基としては、具体的には、例えば、エチレン基、トリメチレン基(−CHCHCH−)、プロピレン基(−CH(CH)−CH−)、テトラメチレン基、1,1−ジメチルエチレン基等が挙げられる。中でも、エチレン基、トリメチレン基が好ましい。
また、上記式(6)中のRは、上記式(6)中のRと同様であるが、rが2以上である場合、複数のRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
なお、上記式(6)中、−(OR−は、その配列について特に制限されず、例えば、ランダム、ブロック、ランダムとブロックとの混合による配列が挙げられる。中でも、Rがエチレン基およびプロピレン基であるのが好ましい。即ち、−(OR−が、−(OCHCH)−で表される繰返し単位と、−(OCH(CH)CH)−で表される繰返し単位とからなるのが好ましい。
また、上記式(6)中、rの1以上の整数としては、5以上の整数であるのが好ましく、10〜100であるのがより好ましい。
カルボン酸シリルエステルが、上記式(6)で表されるエーテル含有シリル基を包含する下記式(7)で表されるシロキサン単位を有するのが好ましい。
Figure 0005378302
式中、Rは水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜8の1価の炭化水素基を表し、RおよびRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数2〜6のアルキレン基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜30のアルキル基またはR13−(CO)−で表される有機基(R13は、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。)を表し、rは1以上の整数を表す。rが2以上の整数の場合、複数のRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
ここで、上記式(7)中のRは、上記式(4)および(5)中において説明したRと同様である。
また、上記式(7)中のR、RおよびRならびにrは、それぞれ、上記式(6)中において説明したR、RおよびRならびにrと同様である。
上記式(7)で表されるシロキサン単位としては、具体的には、下記の各式で表されるシロキサン単位が好適に例示される。
Figure 0005378302
上記式(7)で表されるシロキサン単位は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
カルボン酸シリルエステルとして、上記式(4)および(5)で表されるシロキサン単位ならびに所望により有する上記式(7)で表されるシロキサン単位を分子内部および/または分子末端に含むポリシロキサンを用いるのが好ましい。
また、本発明においては、上記式(4)、(5)および(7)で表されるシロキサン単位は、その配列について特に限定されず、例えば、ランダム、ブロック、ランダムとブロックとの混合による配列が挙げられる。
上記ポリシロキサンは、上記式(4)、(5)および(7)で表されるシロキサン単位以外のシロキサン単位を有することができ、このようなシロキサン単位としては、例えば、下記式(13)で表されるシロキサン単位等が挙げられる。
Figure 0005378302
上記式(13)中、Rは、メチル基、エチル基またはフェニル基を表し、Rは、水素原子または1価の炭化水素基を表す。1価の炭化水素基としては、例えば、アルケニル基などの不飽和またはアルキル基などの飽和の1価の脂肪族炭化水素基;シクロへキシル基などの1価の脂環族炭化水素基;フェニル基、トリル基、ベンジル基、スチリル基などの1価の芳香族含有炭化水素基;等が挙げられる。具体的には、アルキル基として、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−オクチル基等が好適に例示される。中でも、メチル基、フェニル基であるのが好ましい。
上記式(13)で表されるシロキサン単位としては、具体的には、下記式(14)または(15)で表されるシロキサン単位が好適に例示される。
Figure 0005378302
また、上記ポリシロキサンの分子末端は特に限定されず、末端基としては、例えば、−SiR10 、−Si(0R10、−Si(R10(OH)(式中、R10は、炭素数1〜12の炭化水素基、具体的には、メチル基、エチル基またはフェニル基を表し、複数のR10はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)で表される基が挙げられ、特に、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基等が好適に例示される。
更に、上記ポリシロキサンの重合度は2〜1000であるのが好ましく、10〜100であるのがより好ましい。ポリシロキサンの重合度がこの範囲であると、取り扱い性が良好となる。
上記ポリシロキサンのうち、上記式(4)および(5)で表されるシロキサン単位を有するポリシロキサンものとしては、例えば、下記式(16)で表されるポリシロキサンが挙げられる。
Figure 0005378302
式中、Rは炭素数13〜21の1価の炭化水素基を表し、Rは炭素数5〜11のアルキル基を表し、Rは水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜8の1価の炭化水素基を表す。R10は炭素数1〜12の炭化水素基、具体的には、メチル基、エチル基またはフェニル基を表し同一であっても異なっていてもよく、aおよびbはそれぞれ独立に1以上の整数を表す。
ここで、上記式(16)中のRおよびRは、それぞれ、上記式(1)中において説明したRおよび上記式(2)中において説明したRと同様であり、上記式(16)中のRは、上記式(4)および(5)中において説明したRと同様である。
また、上記式(16)中のaは、上記式(1)で表されるカルボン酸シリルエステル基を有するシロキサン単位、即ち、上記式(4)で表されるシロキサン単位の繰り返し単位数を表し、1以上の整数であり、1〜100であるのが好ましく、1〜50であるのがより好ましい。
また、上記式(16)中のbは、上記式(2)で表されるカルボン酸シリルエステル基を有するシロキサン単位、即ち、上記式(5)で表されるシロキサン単位の繰り返し単位数を表し、1以上の整数であり、1〜100であるのが好ましく、1〜50であるのがより好ましい。
上記式(16)中、カルボン酸シリルエステル基を有する2つのシロキサン単位のそれぞれは、その配列について特に限定されず、例えば、ランダム、ブロック、ランダムとブロックとの混合による配列が挙げられる。
上記式(16)で表されるオルガノシロキサンの具体例としては、下記式(17)で表されるポリシロキサンが挙げられる。
Figure 0005378302
上記式(17)中、カルボン酸シリルエステル基を有する2つのシロキサン単位のそれぞれは、その配列について特に限定されず、例えば、ランダム、ブロック、ランダムとブロックとの混合による配列が挙げられる。
上記式(4)および(5)で表されるシロキサン単位を有するポリシロキサンの製造方法は特に限定されず、例えば、後述するSi−H基含有ポリシロキサンと所定のカルボン酸と反応させる方法等により製造することができる。また、この反応には、触媒として、パラジウム、ロジウム、ニッケル、白金のような第VIII族の遷移金属錯体を使用することができる。
一方、このポリシロキサンのうち、上記式(4)および(5)で表されるシロキサン単位ならびに上記式(7)で表されるシロキサン単位を有するポリシロキサンとしては、具体的には、下記組成式(8)で表されるオルガノシロキサンが好適に例示される。
(RCOO)(RCOO) SiO(4−a−b−c−d)/2 (8)
0.10≦a/(a+b)≦0.8 (9)
1≦c<2 (10)
0.001≦d<1 (11)
1.95≦a+b+c+d≦2.60 (12)
式中、Rは炭素数13〜21の1価の炭化水素基を表し、Rは炭素数5〜11のアルキル基を表し、Rは水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜8の1価の炭化水素基を表す。また、式中、Rは、−R−(OR−ORで表されるポリエーテル含有基を表し、RおよびRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数2〜6のアルキレン基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜30のアルキル基またはR13−(CO)−で表される有機基(R13は、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。)を表し、rは1以上の整数を表す。rが2以上の整数の場合、ポリエーテル含有基中の複数のRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。また、式中、a、b、cおよびdは、上記式(9)〜(12)の関係を満たす数を表す。
ここで、上記式(8)中のRおよびRは、それぞれ、上記式(1)中において説明したRおよび上記式(2)中において説明したRと同様である。また、上記式(8)中のRは、上記式(4)および(5)中において説明したRと同様である。また、上記式(8)中のRが表すポリエーテル含有基(−R−(OR−OR)中のR、RおよびRならびにrは、それぞれ、上記式(6)中において説明したR、RおよびRならびにrと同様である。
また、上記式(9)〜(12)の関係を満たす数を表すa、b、cおよびdは、それぞれ、0.01≦a≦1.0、0.05≦b≦1.0、1.0≦c≦1.3、0.005≦d≦0.05であるのが好ましい。
また、上記式(8)中、カルボン酸シリルエステル基の合計基数に対するポリエーテル含有基の割合、即ち、d/(a+b)は、0.01〜0.7であるのが好ましく、0.01〜0.5であるのがより好ましい。
このようなオルガノシロキサンとしては、例えば、下記式(18)で表されるポリシロキサンが挙げられる。
Figure 0005378302
式中、Rは炭素数13〜21の1価の炭化水素基を表し、Rは炭素数5〜11のアルキル基を表し、Rは水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜8の1価の炭化水素基を表す。RおよびRは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数2〜6のアルキレン基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜30のアルキル基またはR13−(CO)−で表される有機基(R13は、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。)を表し、rは1以上の整数を表す。rが2以上の整数の場合、ポリエーテル含有基中の複数のRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。R10は、炭素数1〜12の炭化水素基、具体的には、メチル基、エチル基またはフェニル基を表し同一であっても異なっていてもよく、a、bおよびdはそれぞれ独立に1以上の整数を表す。
ここで、上記式(18)中のRおよびRは、それぞれ、上記式(1)中において説明したRおよび上記式(2)中において説明したRと同様であり、上記式(18)中のRは、上記式(4)および(5)中において説明したRと同様であり、上記式(18)中のR、RおよびRならびにrは、それぞれ、上記式(6)中において説明したR、RおよびRならびにrと同様である。また、上記式(18)中のaおよびbは、それぞれ、上記式(16)中において説明したaおよびbと同様である。
また、上記式(18)中のdは、上記式(6)で表されるエーテル含有シリル基を有するシロキサン単位、即ち、上記式(7)で表されるシロキサン単位の繰り返し単位数を表し、1以上の整数であり、1〜10であるのが好ましく、1〜5であるのがより好ましい。
上記式(18)中、カルボン酸シリルエステル基を有する2つのシロキサン単位のそれぞれとエーテル含有シリル基を有するシロキサン単位とは、その配列について特に限定されず、例えば、ランダム、ブロック、ランダムとブロックとの混合による配列が挙げられる。
上記式(18)で表されるオルガノシロキサンの具体例としては、下記式(19)で表されるポリシロキサンが挙げられる。
Figure 0005378302
式中、a、bおよびdはそれぞれ独立に1以上の整数を表し、s、tはそれぞれ独立に0以上の整数を表し、s+tは1以上である。
ここで、上記式(19)中のaおよびbは、それぞれ、上記式(16)中において説明したaおよびbと同様であり、上記式(19)中のdは、上記式(18)中において説明したdと同様である。
また、上記式(19)中、sは−OCHCH−の繰り返し単位数を表し、tは−OCHCH(CH)−の繰り返し単位数を表す。上記式(19)のsおよびtは、上記式(6)または(7)中のrと、r=s+tの関係にある。s+tは1以上であり、5以上であるのが好ましく、10〜100であるのがより好ましい。
また、上記式(19)中、−OCHCH−と−OCH(CH)CH−とは、その配列について特に限定されず、例えば、ランダム、ブロック、ランダムとブロックとの混合による配列が挙げられる。
上記式(19)中、カルボン酸シリルエステル基を有する2つのシロキサン単位のそれぞれとエーテル含有シリル基を有するシロキサン単位とは、その配列について特に限定されず、例えば、ランダム、ブロック、ランダムとブロックとの混合による配列が挙げられる。
上記式(19)で表されるオルガノシロキサンのより具体的な例としては、下記式(20)で表されるポリシロキサンが挙げられる。
Figure 0005378302
上記式(4)および(5)で表されるシロキサン単位ならびに上記式(7)で表されるシロキサン単位を有するポリシロキサンの製造方法は特に限定されず、例えば、後述するSi−H基含有ポリシロキサンとアルケニルエーテルとを反応させて上記式(7)で表されるシロキサン単位を形成した後、これに所定のカルボン酸を反応させて式(4)および(5)で表されるシロキサン単位を形成してポリシロキサンを製造する方法;Si−H基含有ポリシロキサンとアルケニルエーテルと所定のカルボン酸とを同時に反応させる方法;等により製造することができる。また、これらの反応には、触媒として、白金、ロジウム、パラジウム、ニッケルのような第VIII族の遷移金属触媒を使用することが望ましく、具体的には、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、白金−ビニルシロキサン錯体等を好適に使用することができる。なお、触媒の使用量は特に限定されず、金属分で50ppm以下であるのが好ましく、20ppm以下であるのがより好ましい。
前者の製造方法としては、具体的には、例えば、後述するSi−H基含有ポリシロキサンとアルケニルエーテルとを、触媒として白金等の第VIII族の遷移金属錯体を添加して反応させ、次いで所定のカルボン酸を反応させる方法が好ましい態様の1つとして挙げられる。
この製造方法においては、Si−H基含有ポリシロキサンとアルケニルエーテルとが相溶しない場合は、トルエン、キシレン等の炭化水素系の溶媒を用いることができる。これにより速やかに反応が進行する。反応温度は60〜120℃、特に80〜110℃が好ましい。
また、カルボン酸との反応においても、Si−H基含有ポリシロキサンとアルケニルエーテルとの反応と同様に触媒として第VIII族の遷移金属錯体を使用することができる。カルボン酸との反応温度は通常80〜110℃である。特に反応初期では、反応温度を低く、反応後期では高くすることが、安全性、効率の点で好ましい。
上記ポリシロキサンの製造に用いる上記Si−H基含有ポリシロキサンは、特に限定されず、その具体例としては、下記式(21)で表されるアルキルハイドロジェンシロキサン単位を有するポリシロキサンが挙げられる。
Figure 0005378302
式中、R11は、メチル基、エチル基、または、フェニル基である。
上記式(21)で表されるアルキルハイドロジェンシロキサン単位を有するポリシロキサンは、特に限定されず、従来公知のものを使用することができる。具体的には、例えば、下記の各式で表されるポリシロキサンが挙げられる。
Figure 0005378302
上記Si−H基含有ポリシロキサンは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、上記ポリシロキサンの製造に用いる上記アルケニルエーテルは、特に限定されず、その具体例としては、下記式(22)で表されるアルケニルエーテルが挙げられる。
CH=CH−R12−(OR−OR (22)
式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数2〜6のアルキレン基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜30のアルキル基またはR13−(CO)−で表される有機基(R13は、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。)を表し、R12は存在しない(単結合である)かまたはメチレン基を表し、rは1以上の整数を表す。rが2以上の整数の場合、ポリエーテル含有基中の複数のRは、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
ここで、上記式(22)中のR、Rおよびrは、それぞれ、上記式(6)中において説明したR、Rおよびrと同様である。
上記式(22)で表されるアルケニルエーテルとしては、例えば、下記の各式で表されるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合体が挙げられる。
下記のエチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合体を表す式において、sは−OCHCH−の繰り返し単位数を表し、tは−OCH(CH)CH−の繰り返し単位数を表し、s、tはそれぞれ独立に0以上の整数である。また、s+tは1以上であり、5以上であるのが好ましく、10〜100であるのがより好ましい。なお、上記式(22)のrと下記式のs、tとは、r=s+tの関係にある。
中でも、エチレングリコールとプロピレングリコールとの共重合体であって、分子量が
500以上のものが好ましい。
アルケニルエーテルは、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
Figure 0005378302
また、上記ポリシロキサンの製造に用いる所定のカルボン酸は、上記式(4)で表されるシロキサン単位を形成するためのカルボン酸として、例えば、トリデシル酸、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)等を用いることができ、上記式(5)で表されるシロキサン単位を形成するためのカルボン酸として、例えば、ヘキサン酸(カプロン酸)、ヘプタン酸、オクタン酸(カプリル酸)、ノナン酸(ペラルゴン酸)、デカン酸(カプリン酸)、ドデシル酸(ラウリン酸)を用いることができる。
中でも、上記式(4)で表されるシロキサン単位を形成するためのカルボン酸としては、パルミチン酸、ステアリン酸が好ましく、上記式(5)で表されるシロキサン単位を形成するためのカルボン酸としては、カプリン酸、ラウリン酸が好ましい。
また、これらのカルボン酸は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらのうち、硬化促進効果が優れている点で、燐酸エステル系触媒、有機カルボン酸系触媒、p−トルエンスルホニルモノイソシアネート、p−トルエンスルホニルモノイソシアネートと水分との反応物、およびカルボン酸シリルエステルからなる群から選択される1種または2種以上が好ましく、さらに、燐酸エステル系触媒、p−トルエンスルホニルモノイソシアネート、p−トルエンスルホニルモノイソシアネートと水分との反応物、およびカルボン酸シリルエステルからなる群から選択される1種または2種以上が好ましく、特にカルボン酸シリルエステルがシーリング材の貯蔵安定性向上剤を兼ねて使用できるため好ましい。
オキサゾリジン化合物(F)の開環触媒(G)の配合量は、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー100質量部に対して、0.001〜10質量部が好ましく、さらに0.1〜10質量部が好ましい。0.001質量部未満だと加水分解促進の効果が少なく、10質量部を超えるとシーリング材の貯蔵安定性や硬化物の耐水性、耐熱性を悪化させるため好ましくない。
本発明においては、更に添加剤を配合することができる。
添加剤としては、耐候安定剤、硬化促進触媒、充填剤、接着性付与剤、貯蔵安定性改良剤(脱水剤)、着色剤などが挙げられる。
耐候性安定剤は、室温硬化性樹脂(A)の硬化後の酸化や光劣化、熱劣化を防止して、耐候性だけでなく、耐熱性を更に向上させる為に使用する。耐候性安定剤としては具体的に、ヒンダードアミン系光安定剤やヒンダードフェノール系酸化防止剤を挙げる事ができる。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピベリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピベリジル)セバケート、メチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピベリジンなどが挙げられる。また、旭電化工業社製のアデカスタブシリーズのLA−52、LA−57、LA−62、LA−67、LA−77、LA−82、LA−87などの分子量1,000未満の低分子量ヒンダードアミン系光安定剤、同じくLA−63P、LA−68LD或いはチバスペシャルティケミカルズ社製のCHIMASSORBシリーズの119FL、2020FDL、944FD、944LDなどの分子量1,000以上の高分子量ヒンダードアミン系光安定剤なども挙げられる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、ベンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N′−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオアミド]、ベンゼンプロパン酸3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシC7−C9側鎖アルキルエステル、2,4−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノールなどが挙げられる。
これらのうち、ヒンダードアミン系光安定剤単独またはヒンダードフェノール系酸化防止剤単独、あるいはヒンダードアミン系光安定剤とヒンダードフェノール系酸化防止剤との組み合わせ、すなわち、ヒンダードアミン系光安定剤および/またはヒンダードフェノール系酸化防止剤が、耐候性の向上に優れているため好ましい。
これらは、室温硬化性樹脂(A)100質量部に対して、0.1〜30質量部、さらに1〜20質量部、特に1〜10質量部配合するのが好ましい。
硬化促進触媒は、室温硬化性樹脂(A)のイソシアネート基や架橋性シリル基と湿気(水分)との反応を促進し、1成分形室温硬化型シーリング材の特に内部硬化を促進し、表面と内部の硬化速度の差を縮め、硬化途中にかかるムーブメントによる応力の差を縮めることにより、硬化物に亀裂などが発生するのを防止するため使用するものである。
具体的には、有機金属化合物、アミン類等が挙げられ、有機金属化合物としては、例えば、オクチル酸錫、ナフテン酸錫等の2価の有機錫化合物、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジバーサテート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ビス(トリエトキシシリケート)、ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物等の4価の有機錫化合物、ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)、錫系キレート化合物の旭硝子社製EXCESTAR C−501、ジルコニウムテトラキス(アセチルアセトナート)、チタンテトラキス(アセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アセチルアセトンコバルト、アセチルアセトン鉄、アセチルアセトン銅、アセチルアセトンマグネシウム、アセチルアセトンビスマス、アセチルアセトンニッケル、アセチルアセトン亜鉛、アセチルアセトンマンガン等の各種金属のキレート化合物、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のチタン酸エステル類、その他、オクチル酸鉛やオクチル酸ジルコニウム等のマンガン、鉄、コバルト、銅、亜鉛、ジルコニウム、鉛、ビスマス等の錫以外の各種金属と、オクチル酸、ステアリン酸、ナフテン酸等の各種有機酸との金属有機酸塩などが挙げられ、アミン類としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン、1,8−ジアザビシクロ〔5,4,0〕ウンデセン−7(DBU)、1,4−ジアザビシクロ〔2,2,2〕オクタン(DABCO)、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等の第3級アミン類、或いはこれらのアミン類とカルボン酸等の塩類などが挙げられる。
これらのうち、反応速度が高く、毒性及び揮発性の比較的低い液体である点から有機金属化合物が好ましく、更に有機錫化合物や金属キレート化合物が好ましく、特にジブチル錫ジラウレートが好ましい。
充填剤としては、マイカ、カオリン、ゼオライト、グラファイト、珪藻土、白土、クレー、タルク、スレート粉、アルミニウム粉末、亜鉛粉末、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ等の無機粉末状充填剤;ガラス繊維、炭素繊維などの繊維状充填剤;木粉、クルミ穀粉、もみ殼粉、パルプ粉、木綿チップ、ゴム粉末、さらにポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂等の熱可塑性樹脂或いは熱硬化性樹脂の粉末等の有機系充填剤の他、水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムなどの難燃性付与充填剤なども挙げられ、粒径0.01〜1,000μmのものが好ましい。
接着性付与剤としては、エポキシ樹脂、アルキルチタネート類、有機ポリイソシアネート等が挙げられる。
貯蔵安定性改良剤(脱水剤)としては、シーリング材中に存在する水分と反応する、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、p−トルエンスルホニルモノイソシアネートなどが挙げられる。
着色剤としては、酸化チタンや酸化鉄などの無機系顔料、銅フタロシアニンなどの有機系顔料、カーボンブラックなどが挙げられる。
硬化促進触媒、充填剤、接着性付与剤、貯蔵安定改良剤(脱水剤)及び着色剤の合計の配合量は、室温硬化性樹脂(A)100質量部に対して、0〜500質量部、更に10〜300質量部、特に10〜200質量部が好ましい。
本発明において、前記の各添加剤の他にシーリング材の粘度を下げ、作業性を向上させる目的で有機溶剤を使用することができるが、近年の環境保全意識の高まりのなかで、その使用量はできるだけ抑えることが好ましく、1成分形室温硬化型シーリング材中に10質量%未満、さらに5質量%未満となるように使用するのが好ましい。有機溶剤としては、イソシアネート基、架橋性シリル基またはメルカプト基などの室温硬化性樹脂(A)の反応性官能基に対して不活性であればどのようなものでもよいが、ジメチルカーボネート等のカーボネート系溶剤、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチルや酢酸ブチル等のエステル系溶剤、n−ヘキサン等の脂肪族系溶剤、シクロヘキサン等の脂環族系溶剤、トルエンやキシレン等の芳香族系溶剤、ミネラルスピリットや工業ガソリン等の石油留分系溶剤などの従来公知の溶剤が挙げられる。
本発明の1成分形室温硬化型シーリング材は、スランプの発生や糸引き性の悪化を防止し、作業性の向上や作業中、作業後の施工周辺の汚染防止などの点から、そのチクソトロピック指数が5.5以上であることが好ましい。
本発明の1成分形室温硬化型シーリング材は、湿気や酸素により増粘、硬化するものであるため、内容物の貯蔵安定性を保つため湿気や酸素を遮断できる容器に詰め、密封して貯蔵するのが好ましい。前記容器としては湿気や酸素を遮断できる容器であれば何でもよいが、例えばドラム缶、金属製や合成樹脂製のペール缶や袋状容器、紙製や合成樹脂製のカートリッジ状容器など各種の容器が挙げられる。
次に、本発明の1成分形室温硬化型シーリング材を用いて建築物のワーキングジョイントに施工する方法について述べる。
本発明の1成分形室温硬化型シーリング材の施工方法としては、まず、具体的には、中高層ビル等の建築物の外壁目地やサッシ回り目地などのワーキングジョイント部分を公知の方法により、目地の清掃、ボンドブレーカーやバッカーの挿入、目地に沿ってのマスキングテープ貼り、ワーキングジョイント(目地)に対してシーリング材の打設(充填)準備を整える。次いで、予め用意しておいた前記密封容器に詰めた1成分形室温硬化型シーリング材を開封し、手動、電動或いは空気圧などで押出す方式のガンに装着し、準備を整えたワーキングジョイントに充填し、ヘラ等で余分のシーリング材をかき取り、表面を平らにした後、速やかにマスキングテープを除去して硬化させることにより、硬化途中に目地が動いても、損傷のない表面のきれいな硬化物を形成し、漏水事故を起こす心配の無い防水シーリング目地を形成する方法を好適に挙げることができる。
本発明の1成分形室温硬化型シーリング材を建築物のワーキングジョイントに充填施工する前に、本発明の1成分形室温硬化型シーリング材に専用の、湿気硬化性ウレタン系樹脂の有機溶剤溶液などのプライマーを塗布するのが好ましい。
次に、本発明の1成分形室温硬化型シーリング材が施工の対象とする、硬化途中に大きなムーブメントをする目地について説明する。
この目地は、いわゆる建築ワーキングジョイントあるいはワーキングジョイント目地と呼ばれ、中高層ビル等の建築物において、金属カーテンウォールやプレキャストコンクリートパネルなどの外装部材を張り合わせて外壁を構築したときに形成される目地、或いは金属サッシ回りや笠木などに形成される目地で、気温や日照等の温度変化による部材の膨張もしくは収縮又は各種振動もしくは風圧などの作用によって部材間のムーブメントの大きな目地のことをいう。
ワーキングジョイントを形成する部材としては、コンクリート等のセメント系部材、アルミニウム板、ステンレス板、鋼板、チタン板、銅板等の金属製部材が挙げられるが、温度変化による膨張や収縮の度合いが大きく目地のムーブメントも大きくなるため、金属製部材で形成されたワーキングジョイントの目地を施工の対象として、本発明の1成分形室温硬化型シーリング材を使用したとき、本発明の効果を最大限に発揮できるため好ましい。
また、前記中高層ビルは、本発明の1成分形室温硬化型シーリング材の効果を最大限に発揮できる点で、5階建て以上、さらに10階建て以上、特に20階建て以上の高層ビルを施工の対象に、さらにビルの5階以上の部分、さらに10階以上の部分に形成されるワーキングジョイントを施工の対象とすることが好ましい。
また、ワーキングジョイントの目地のムーブメントは、拡大する場合と縮小する場合があるが、どちらかの場合において、その変位量が、設計の目地幅寸法の5%以上、さらに10%以上、特に15%以上になる目地を施工の対象としたとき、本発明の効果を最大限に発揮できるので好ましい。
また、本発明の1成分形室温硬化型シーリング材は硬化途中のムーブメント追従性に優れ、かつ揺変性に優れているため、ワーキングジョイントの設計の目地幅が10mm以上、さらに15mm以上、特に20mm以上の幅広の目地で、拡大あるいは縮小において、目地幅の変位量が0.5mm以上、さらに1mm以上、特に2mm以上になる目地に対して、そしてさらに設計目地幅が20mm以上の幅広の目地で、かつ目地幅の変位量が、拡大あるいは縮小において、1mm以上、さらに1.5mm以上、特に2mm以上の大きなムーブメントとなる目地に対して施工したとき、シーリング材がスランプすることなくきれいに施工でき、硬化途中にムーブメントを受けても損傷のない、したがって硬化後の表面がきれいで防水性能に優れた硬化シーリング目地を形成することができるため好ましい。
本発明の1成分形室温硬化型シーリング材は、実際のビル建築外壁などのワーキングジョイントの動きを近似的に再現できる試験用目地を作製し、その目地に充填して引張り及び圧縮等のムーブメントを与えながら硬化させても、損傷のない硬化物となること、すなわち硬化途中のムーブメント追従性が優れている性能を有していることが重要である。この性能を有していることにより、実際の中高層ビル建築等の外壁目地等のワーキングジョイントに充填施工して硬化させたとき、硬化途中に風圧、日照等の変化により目地が大きく動いても、損傷が無く表面がきれいな硬化物からなる防水シーリング目地を形成することができ、漏水事故のない外壁等を形成することができるのである。すなわち本発明の1成分形室温硬化型シーリング材は、建築ワーキングジョイント用の1成分形室温硬化型シーリング材として極めて適したものとして使用できるものである。
建築ワーキングジョイントやサイディング外壁目地のムーブメントを近似的に再現できる試験用目地は、試験機としては実際のワーキングジョイントの動きを近似的に与えることができるように設計されたものであればどのような試験機であってもよいが、具体的には、例えば、後述の実施例に挙げるような、JIS A 1439(2004)「建築用シーリング材の試験方法」、5.17耐久性試験の5.17.1のd)繰返し試験機に準拠したもので、拡大・縮小の変位サイクルを1日当たり少なくとも1サイクル、好ましくは1〜20,000サイクル、及びその変位幅(ムーブメント量)を0.1mm以上、更に好ましくは0.1〜100mm、特に好ましくは0.1〜20mmの間で可変設定できるように作製したものを繰返し試験機として用い、この試験機の固定部分と可動部分のそれぞれに設けた一対の治具にモルタルなどを成形して作製した試験用被着体を連結し、可動部分と連動させる構造とすることにより作製できる。また、この、繰返し試験機を特定の温度や湿度の雰囲気に置くことにより、温湿度の影響も試験することができる。
以下に本発明の実施例を記すが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例および比較例で得た1成分形室温硬化型シーリング材は湿気硬化型のものである。
[合成例1]イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーP−1の合成
攪拌機、温度計、窒素導入管および加熱・冷却装置の付いた反応容器に、窒素ガス気流下で、ポリオキシプロピレンジオール(旭硝子社製、エクセノール3020、数平均分子量3,200)を220gと、ポリオキシプロピレントリオール(旭硝子社製、エクセノール5030、数平均分子量5,100)を100g仕込み、攪拌しながらヘキサメチレンジイソシアネート(住化バイエルウレタン社製、デスモジュールH、分子量168)を33.5gと、ジブチル錫ジラウレートを0.05g加えた後、加温して70〜80℃で2時間攪拌して反応させた。イソシアネート基含有量が理論値(2.39質量%)以下となった時点で室温まで冷却して反応を終了させ、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーP−1を合成した。
得られたイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーP−1は、滴定によるイソシアネート基含有量2.15質量%、常温で粘稠な液体であった。
[合成例2]ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O−1の合成
攪拌機、温度計、エステル管および加熱・冷却装置の付いた反応容器に、ジエタノールアミン(分子量105)を435gとトルエンを183g仕込み、攪拌しながらイソブチルアルデヒド(分子量72.1)を328g添加した後、加温して110〜150℃で3時間、副生する水を系外に除去しながら還流脱水反応をおこなった。除去した水の量は74.5gであった。次いで、50〜70hPaに減圧しながら加熱し、トルエンと未反応のイソブチルアルデヒドを除去し、中間の反応生成物である2−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジンを得た。
得られた2−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン659gに、さらにヘキサメチレンジイソシアネート(分子量168)を348g加え、80℃で8時間反応させた。滴定による実測NCO含有量が0.0質量%となった時点を反応終点とし、分子内にウレタン結合とオキサゾリジン環2個を有する化合物O−1を得た。
得られたウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O−1は、室温で半透明の液体であった。
[合成例3]カルボン酸シリルエステル化合物の合成
前記式(4)のカルボン酸成分としてステアリン酸133.3g、前記式(5)のカルボン酸成分としてラウリン酸219.0gに、トルエンを濃度50質量%となるように添加した後、3質量%濃度の塩化白金イソプロピルアルコール溶液を10μL添加し、80℃のカルボン酸混合溶液を調製した。
次いで、調製したカルボン酸混合溶液に、当量のSi−H基含有ポリシロキサン(信越化学工業社製、KF99、Si−H0.0156当量/g)100.0gをゆっくり滴下し、滴下終了後、反応温度を90℃に上げ、水素の発生が認められなくなるまで撹拌した。
その後、トルエンを留去することにより、カルボン酸シリルエステル化合物CS−1を得た。
[実施例1]
攪拌機、窒素導入管および加熱・冷却装置付き混練容器に、窒素ガス気流下で、合成例1で得たイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーP−1を100g仕込み、攪拌しながら、予めそれぞれ100〜110℃の乾燥機中で乾燥して水分含有量を0.05質量%以下にした重質炭酸カルシウム50gと酸化チタン10gを仕込み、内容物が均一になるまで混合した。次いで、予めジメチルカーボネート5gに下記のヒンダードアミン系光安定剤1.5gとヒンダードフェノール系酸化防止剤1.5gを溶解した溶解液8g、カルボン酸シリルエステル化合物CS−1 0.2g、有機表面処理炭酸カルシウム(白石工業社製、ビスコライトMBP)75g、親水性シリカ(日本アエロジル社製、AEROSIL 200、BET比表面積200m/g)2.7g、疎水性シリカ(日本アエロジル社製、AEROSIL R972、処理剤ジメチルジクロロシラン、BET比表面積110m/g)1.6g、ウレタン結合含有オキサゾリジン化合物O−1 8g、希釈用ポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂(三洋化成工業社製、LBU−25)32g、及び有機溶剤(エクソンモービル社製、エクソールD40)18gを仕込み、さらに内容物が均一になるまで混合した。次いで、50〜70hPaで減圧脱泡し、ペーパーカートリッジ容器に充填、密封して、1成分形室温硬化型シーリング材S−1を調製した
得られた1成分形室温硬化型シーリング材S−1は、室温で硬化する白色ペースト状液体であった。
ヒンダードアミン系光安定剤:チバ・スベシャルティ・ケミカルズ社製、CHIMASSORB 944LD、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピベリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]
ヒンダードフェノール系酸化防止剤:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、IRGANOX 1010、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]
[実施例2]
実施例1において、疎水性シリカとして、AEROSIL R972の代わりにAEROSIL RY 300(日本アエロジル社製、処理剤シリコーンオイル、比表面積125m/g)を同量使用した以外は同様にして、1成分形室温硬化型シーリング材S−2を調製した。
得られた1成分形室温硬化型シーリング材S−2は、室温で硬化する白色ペースト状液体であった。
[比較例1]
実施例1において、疎水性シリカを使用しないで、親水性シリカの量を2.7gから4.3gに変えた以外は同様にして、1成分形室温硬化型シーリング材比較S−1を調製した。
得られた1成分形室温硬化型シーリング材比較S−1は、室温で硬化する白色ペースト状液体であった。
[比較例2]
実施例1において、親水性シリカを使用しないで、疎水性シリカの量を1.6gから4.3gに変えた以外は同様にして、1成分形室温硬化型シーリング材比較S−2を調製した。
得られた1成分形室温硬化型シーリング材比較S−2は、室温で硬化する白色ペースト状液体であった。
[比較例3]
実施例1において、有機表面処理炭酸カルシウムを使用しない以外は同様にして、1成分形室温硬化型シーリング材比較S−3を調製した。
得られた1成分形室温硬化型シーリング材比較S−3は、室温で硬化する、流動性のある白色の粘稠液体であった。
[比較例4]
実施例1において、親水性シリカと疎水性シリカを使用しない以外は同様にして、1成分形室温硬化型シーリング材比較S−4を調製した。
得られた1成分形室温硬化型シーリング材比較S−4は、室温で硬化する白色ペースト状液体であった。
[比較例5]
実施例1において、有機表面処理炭酸カルシウムと疎水性シリカを使用せず、親水性シリカの量を2.7gから4.3gに変えた以外は同様にして、1成分形室温硬化型シーリング材比較S−5を調製した。
得られた1成分形室温硬化型シーリング材比較S−5は、室温で硬化する、流動性のある白色の粘稠液体であった。
[比較例6]
実施例1において、有機表面処理炭酸カルシウムと親水性シリカを使用せず、疎水性シリカの量を1.6gから4.3gに変えた以外は同様にして、1成分形室温硬化型シーリング材比較S−6を調製した。
得られた1成分形室温硬化型シーリング材比較S−6は、室温で硬化する、流動性のある白色の粘稠液体であった。
実施例1、2で得た1成分形室温硬化型シーリング材S−1、S−2および比較例1〜6で得た1成分形室温硬化型シーリング材比較S−1〜比較S−6を使用して、以下に示す試験方法により試験した結果を、配合組成とともに、表1に示す。
[性能試験方法]
(1)タックフリー
JIS A1439:2004「建築用シーリング材の試験方法」の「5.19タックフリー試験」に準拠して測定した。
(2)硬化膜厚
シーリング材を幅90mm×深さ60mm×長さ120mmのポリプロピレン製容器に充填し、余分なシーリング材をヘラでかきとって平らにし、23℃、50%相対湿度の雰囲気下で養生した。充填してから3日後と7日後に、長さ方向に対して直角になるように切り取り、未硬化層を慎重に除去して表面から硬化して膜となっている部分の厚さを測定した。
(3)スランプ(縦)
JIS A 1439:2004「建築用シーリング材の試験方法」の「5.1 スランプ試験」により、幅20mmの溝形容器を用い、23℃におけるスランプ(縦)を測定した。スランプが大きく、容器から試料が流れ落ちてしまったものは、「流落」と表記した。
(4)スランプ(横)
目地幅35mm、目地深さ15mm、目地長さ500mmのアルミチャンネルを用いて、JIS A 1439:2004「建築用シーリング材の試験方法」の「5.1 スランプ試験」に準拠して、23℃における横目地でのスランプを測定した。スランプ評価は以下の基準で評価した。
[評価基準]
○:スランプなし。
△:防水上悪影響とはならないが目地下部で若干のフクレ(腹ぼて)。
×:スランプあり(目地下部のフクレ)。
流落:スランプが大きく、アルミチャンネルから試料が流れ出た。
(5)チクソトロピック指数
JIS K 7117−1(1999)「プラスチック−液状、乳濁状または分散状の樹脂−ブルックフィールド型回転粘度計による見掛け粘度の測定方法」により、シーリング材の粘度をB型回転粘度計を使用し、試験温度25℃において、N0.7スピンドルの回転数をそれぞれ1rpmと10rpmにしたときの粘度を測定し、チクソトロピック指数(1rpmのときの粘度値/10rpmのときの粘度値)を求めた。
(6)硬化過程のムーブメント追従性
JIS A 1439:2004「建築用シーリング材の試験方法」の「5.17耐久性試験」の「5.17.1」のd)繰返し試験機により、拡大・縮小のサイクルを1日当たり1〜14,400サイクルに設定できるように作製したものを繰返し試験機として用いた。拡大、縮小の変位のサイクルを1日当たり1サイクル、変位幅を目地幅の±10%(±2.0mm)となるように試験機を設定した。したがって目地のムーブメントは拡大と縮小の動きである。次いで、試験機の固定部と可動部のそれぞれの治具に、披着体として50×50×厚さ25mmの大きさに成形したモルタルを1個ずつ、50×25mmの面が被着面となるように相対するように固定し、試験機の動きがモルタルで作製した目地に伝わるようにした。目地にポリエチレン製のバックアップ材(目地幅20mm、厚さ10mm、長さ50mm)を目地深さが15mmとなるように装填後、目地幅が20mmとなるように試験機を調整固定し、幅20mm×深さ15mm×長さ50mmの目地を作製した。次いで、目地の被着面にプライマーを塗布し、30分のオープンタイムをとってから、シーリング材を気泡が入らないように充填し、余分なシーリング材をヘラでかきとって仕上げたものを試験体とした。なお、プライマーは、オート化学工業社製OP−2531を使用した。シーリング材を充填した後、直ちに試験機を稼動させ、1日当たり1サイクルの条件で、近似正弦波のムーブメントをかけながら硬化させた。これは、夜間に気温が下がることにより外壁板が収縮し目地が拡大し、昼間に気温が上がり外壁板が膨張して目地が収縮することを近似したものである。このときの雰囲気温度を23℃、50%相対湿度とした。硬化途中の変形繰返しを4サイクル(4日間)で打ち切り、目地幅が動かないように慎重に試験機から取り外した後、23℃、50%相対湿度で14日間かけて養生、硬化させた。次いで、シーリング材硬化物の表面状態を観察した後にシーリング材硬化物を被着体から切り離し、長さ方向に対して直角に3ヶ所切断し、断面の損傷の状態を目視で観察し、硬化過程のムーブメント追従性を以下の基準で評価した。
[評価基準]
<表面の状態>
○:表面が平滑である状態。
△:小さなシワがよっている状態。
×:大きなシワがよっている状態。
<断面の状態>
○:損傷が認められない状態。
△:防水上悪影響とはならない損傷が認められる状態。
×:防水上悪影響となる損傷が認められる状態。
ここで、防水上悪影響となる損傷とは、防水性を損なう程度の大きさの硬化物内部の亀裂や空洞などを示す
(7)へら押え性
320mlカートリッジに充填されたシーリング材を、5℃、40%相対湿度の環境試験室に静置した。
24時間後、シーリング材を目地幅20mm、目地深さ10mm、目地長さ500mmのアルミチャンネルに充填し、ヘラ押さえをおこなった。へら押さえの速度は出来るだけ同じになるように合わせた。
へら押え性は以下の基準で評価した。
[評価基準]
○:へら押さえ良好。
×:スランプしてしまい、へら押さえ出来ない。
(8)糸引き性
320mlカートリッジ充填されたシーリング材を、5℃、40%相対湿度の環境試験室に静置した。
24時間後、シーリング材を目地幅20mm、目地深さ10mm、目地長さ500mmのアルミチャンネルに充填し、目地長さが100mm充填した時点で充填を一時中断し、ノズルをシーリング材ペーストから離した。離した時にシーリング材が細く糸を引いた状態になるが、この糸の長さを測定した。離す速度は出来るだけ同じになるように合わせた。
糸引き性は以下の基準で評価した。
[評価基準]
<表面の状態>
○:糸の長さ3cm以内。
△:糸の長さが3cmを超えて6cm未満。
×:糸の長さ6cm以上。
Figure 0005378302

Claims (17)

  1. 室温硬化性樹脂(A)と、有機表面処理炭酸カルシウム(B)と、親水性シリカ(C)と、疎水性シリカ(D)とを含有すること、を特徴とするワーキングジョイント用の1成分形室温硬化型シーリング材。
  2. 前記ワーキングジョイントが、ビル外壁目地である、請求項1に記載の1成分形室温硬化型シーリング材。
  3. 前記ワーキングジョイントが、笠木目地である、請求項1に記載の1成分形室温硬化型シーリング材。
  4. 前記ワーキングジョイントが、金属製部材で形成されているワーキングジョイントである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の1成分形室温硬化型シーリング材。
  5. 前記ワーキングジョイントの目地の変位量が、該目地の幅寸法に対して5%以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の1成分形室温硬化型シーリング材。
  6. 前記ワーキングジョイントの目地の幅が20mm以上で、かつ該目地の幅の変位量が1mm以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の1成分形室温硬化型シーリング材。
  7. 前記1成分形室温硬化型シーリング材のチクソトロピック指数が、5.5以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の1成分形室温硬化型シーリング材。
  8. 前記疎水性シリカ(D)が、親水性シリカに親水性シリカ反応性有機ケイ素化合物を反応させ表面被覆して得られる疎水性シリカである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の1成分形室温硬化型シーリング材。
  9. 前記親水性シリカ反応性有機ケイ素化合物が、シリコーンオイル、シランカップリング剤又はクロロシラン類である、請求項8に記載の1成分形室温硬化型シーリング材。
  10. 前記室温硬化性樹脂(A)が、イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の1成分形室温硬化型シーリング材。
  11. さらにオキサゾリジン化合物(F)を含有する、請求項10に記載の1成分形室温硬化型シーリング材。
  12. さらに前記オキサゾリジン化合物(F)の開環触媒(G)を含有する、請求項11に記載の1成分形室温硬化型シーリング材。
  13. さらに希釈用樹脂(E)を含有する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の1成分形室温硬化型シーリング材。
  14. 前記希釈用樹脂(E)が、ポリオキシアルキレン系アルコールと有機イソシアネートとを反応させて得られる、実質的にイソシアネート基又は水酸基を含有しない分子量分布(Mw/Mn)が1.6以下の室温で液状のポリオキシアルキレン系ウレタン樹脂である、請求項13に記載の1成分形室温硬化型シーリング材。
  15. さらにヒンダードアミン系光安定剤および/またはヒンダードフェノール系酸化防止剤を含有する、請求項1〜14のいずれか一項に記載の1成分形室温硬化型シーリング材。
  16. 請求項1〜15のいずれか一項に記載の1成分形室温硬化型シーリング材を、建築物のワーキングジョイントに充填施工して硬化させること、を特徴とする1成分形室温硬化型シーリング材の施工方法。
  17. 前記1成分形室温硬化型シーリング材を建築物のワーキングジョイントに充填施工する前に、該ワーキングジョイントにプライマーを塗布する、請求項16に記載の1成分形室温硬化型シーリング材の施工方法。
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