JPH0563544B2 - - Google Patents

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JPH0563544B2
JPH0563544B2 JP62001630A JP163087A JPH0563544B2 JP H0563544 B2 JPH0563544 B2 JP H0563544B2 JP 62001630 A JP62001630 A JP 62001630A JP 163087 A JP163087 A JP 163087A JP H0563544 B2 JPH0563544 B2 JP H0563544B2
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Shintaro Takahashi
Nobuyuki Iizuka
Soichi Kurosawa
Yasuo Watanabe
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Description

【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕 本発明は新規な耐熱鋼に関し、特に、ガスター
ビン等に好適な加熱脆化の少ない耐熱鋼に関す
る。 〔従来の技術〕 現在、ガスタービン用デイスクにはCr−Mo−
V鋼が使用されている。 近年、省エネルギーの観点からガスタービンの
熱効率の向上が望まれている。熱効率を向上させ
るにはガス温度及び圧力を上げるのが最も有効な
手段であるが、ガス温度を1100℃から1300℃に高
め、圧縮比を10から15まで高めることにより相対
比で約3%の効率向上が期待できる。 しかし、これらの高温・高圧比に伴い従来の
Cr−Mo−V鋼では強度不足で、より強度の高い
材料が必要である。強度として高温特性を最も大
く左右するクリープ破断強度が要求される。クリ
ープ破断強度がCr−Mo−V鋼より高い構造材料
としてオーステナイト鋼、Ni基合金、Co基合金、
マルテンサイト鋼等が一般に知られているが、熱
間加工性、切削性及び振動減衰特性等の点でNi
基合金及びCo基合金は望ましくない。また、オ
ーステナイト鋼は400〜450℃付近の高温強度がそ
れ程高くないこと更にガスタービン全体システム
から望ましくない。一方、マルテンサイト鋼は他
の構成部品とのマツチングが良く、高温強度も十
分である。マルテンサイト鋼として特開昭58−
110661号公報、60−138054号公報、特公昭46−
279号公報等知られている。しかし、これらの材
料は400〜450℃で必ずしも高いクリープ破断強度
は得られず、更に高温で長時間加熱後の靭性が低
く、タービンデイスクとして使用できず、ガスタ
ービンの効率向上は得られない。 〔発明が解決しようとする問題点〕 ガスタービンの高温・高圧化に対して単に強度
を高い材料を用いるだけではガス温度の上昇はで
きない。一般に、強度を向上させると靭性が低下
する。本発明の目的は高温強度と高温長時間加熱
後に高い靭性を兼ね備えた耐熱鋼を提供すること
にある。 〔問題点を解決するための手段〕 本発明は、重量で、C0.05〜0.2%、Si0.5%以
下、Mn0.33%以下、Cr8〜13%、Mo1.5〜3%、
Ni2.1%を越え3%以下、V0.05〜0.3%、Nb及び
Taの1種又は2種の合計量が0.02〜0.2%及び
N0.02〜0.1%を含み、前記(Mn/Ni)比が0.11
以下及び残部が実質的にFeからなることを特徴
とする耐加熱脆化特性に優れた耐熱鋼にある。更
に、重量で、C0.07〜0.15%、Si0.01〜0.1%、
Mn0.1〜0.33%、Cr11〜12.5%、Ni2.2〜3.0%、
Mo1.8〜2.5%、Nb及びTaの1種又は2種の合計
量が0.04〜0.08%、V0.15〜0.25%及びN0.04〜
0.08%を含み、前記(Mn/Ni)比が0.04〜0.10
%、残部が実質的にFeからなり、全焼戻しマル
テンサイト組織を有することを特徴とする耐加熱
脆化特性に優れた耐熱鋼にある。 また、本発明は重量でW1%以下を含むもので
ある。 本発明鋼は次式で計算されるCr当量が10以下
になるように成分調整され、δフエライト相を実
質的に含まないようにすることが必要である。 Cr当量=−40C−2Mn−4Ni−30N +6Si+Cr+4Mo+11V+5Nb+2.5Ta (各元素は合金中の含有量(重量%)で計算さ
れる) 〔作 用〕 本発明材の成分範囲限定理由について説明す
る。Cは高い引張強さと耐力を得るために最低
0.05%必要である。しかし、あまりCを多くする
と、高温に長時間さらされた場合に金属組織が不
安定になり、105hクリープ破断強度を低下させる
ので、0.20%以下にしなければならない。最も
0.07〜0.15%が好ましい。より、0.10〜0.14%が
好ましい。 Siは脱酸剤、Mnは脱酸・脱硫剤として鋼の溶
解の際に添加するものであり、少量でも効果があ
る。Siはδフエライト生成元素であり、多量の添
加は疲労及び靭性を低下させるδフエライト生成
の原因になるので0.5%以下にしなければならな
い。なお、カーボン真空脱酸法及びエレクトロス
ラグ溶解法などによればSi添加の必要がなく、Si
無添加がよい。 特に、脆化の点から0.2%以下が好ましく、Si
無添加でも不純物とし0.01〜0.1%含有される。 Mnは加熱による脆化を促進させるので、0.33
%以下にすべきである。特に、Mnは脱硫剤とし
て有効なので、加熱脆化を生じないように0.1%
以上含有させるのが好ましい。更に0.1〜0.25%
が最も好ましい。また脆化防止の点からSi+Mn
量を0.3%以下にするのが好ましい。 Crは耐食性と高温強度を高めるが、13%以上
添加するとδフエライト組織生成の原因になる。
8%より少ないと耐食性及び高温強度が不十分な
ので、Cr8〜13%に決定された。特に強度の点か
ら11〜12.5%が好ましい。 Moは固溶強化及び析出強化作用によつてクリ
ープ破断強度を高めると同時に脆化防止効果があ
る。1.5%以下ではクリープ破断強度向上効果が
不十分であり、3.0%以上になるとδフエライト
生成原因になるので1.5〜3.0%に限定された。特
に1.8〜2.5%が好ましい。更に、MoはNi量が2.1
%を越える含有量のときMo量が多いほどクリー
プ破断強度を高める効果があり、特にMo2.0%以
上での効果が大きい。 V及びNbは炭化物を析出し高温強度を高める
と同時に靭性向上効果がある。V0.1%、Nb0.02
%以下ではその効果が不十分であり、V0.3%、
Nb0.2%以上ではδフエライト生成の原因となる
と共にクリープ破断強度が低下する傾向を示すよ
うになる。特にV0.15〜0.25%、Nb0.04〜0.08%
が好ましい。Nbの代りにTaを全く同様に添加で
き、複合添加することができる。 Niは2.1%を越える含有によつて高温長時間加
熱後の靭性を高め、かつδフエライト生成の防止
効果がある。2.1%以下ではその効果が十分でな
く、3%以上では長時間クリープ破断強度を低下
させる。特に2.2〜3.0%が好ましい。より好まし
くは2.5%を越える量である。 Niは加熱脆化防止に効果があるが、Mnは逆に
害を与える。従つてこれらの元素の間には密接な
相関関係があることを本発明者らは見い出した。
即ち、Mn/Niの比が0.11以下にすることにより
きわめて顕著に加熱脆化が防止されることを見い
出した。特に、0.10以下が好ましく、0.04〜0.10
が好ましい。 Nはクリープ破断強度の改善及びδフエライト
の生成防止に効果があるが0.02%未満ではその効
果が十分でなく、0.1%を越えると靭性を低下さ
せる。特に0.04〜0.08%の範囲で優れた特性がら
れる。 WはMoと同様に高温強度を高める効果があり
1%以下含有させることができる。しかし、1%
を越える添加はδフエライトを生成し、脆化を促
進させるので、その添加量を1%以下とする。 本発明材の熱処理はまず完全なオーステナイト
に変態するに十分な温度、最低900℃、最高1150
℃に均一加熱し、マルテンサイト組織が得られ
る。100℃/h以上の速度で急冷し、次いで450〜
600℃の温度に加熱保持し(第1次焼もどし)、次
いで550〜650℃の温度に加熱保持し第2次焼もど
しを行なう。焼入れに当つてはMs点直上の温度
に止めることが焼割れを防止する上で好ましい。
具体的温度は150℃以上に止めるのが良い。焼入
れは油中焼入れ又は水噴霧焼入れによつて行うの
が好ましい。第1次焼戻しはその温度より加熱す
る。 〔実施例〕 実施例 1 第1表に示す組成(重量%)の試料をそれぞれ
20Kg溶解し、1150℃に加熱し鍛造して実験素材と
した。この素材に、1150℃で2h加熱後衝風冷却
を行い、冷却温度を150℃で止め、その温度より
580℃で2h加熱後空冷の一次焼戻しを行い、次い
で605℃で5h加熱後炉冷の二次焼戻しを行つた。 熱処理後の素材からクリープ破断試験片、引張
試験片及びVノツチシヤルピー衝撃試験片を採取
し実験に供した。衝撃試験は熱処理のままの材料
を500℃、1000時間加熱脆化材について行なつた。
この脆化材はラルソン・ミラーのパラメータより
450℃で105時間加熱されたものと同等の条件であ
る。
【表】
【表】 第1表において、試番1及び8は本発明材であ
り、試番2〜7は比較材であり、試番2は現用デ
イスク材M152鋼相当である。 第2表はこれら試料の機械的性質を示す。本発
明材(試番1及び8)は、高温・高圧ガスタービ
ンデスク材として要求される450℃、105hクリー
プ破断強度(>50Kg/mm2)及び脆化処理後の25℃
Vノツチシヤルピー衝撃値〔4Kg−m(5Kg−
m/m2)以上〕を十分満足することが確認され
た。これに対し、現用ガスタービンに使用されて
いるM152相当材(試番2)は、450℃、105hクリ
ープ破断強度が42Kg/mm2、脆化処理後の25℃、V
ノツチシヤルピー衝撃値が2.7Kg−mで、高温・
高圧ガスタービンデスク材として要求される機械
的性質を満足できない。次にSi+Mn量が0.4〜約
1%及びMn/Ni比が0.12以上の高い鋼(試番3
〜7)の機械的性質を見ると、クリープ破断強度
は高温・高圧ガスタービンデスク材として要求さ
れる値を満足できるが、脆化後のVノツチシヤル
ピー衝撃値は3.5Kg−m以下であり、満足できな
い。 第1図は脆化試験後の衝撃値と(Mn/Ni)比
との関係を示す線図である。図に示す如く、
(Mn/Ni)比が0.12までは大きな差がないが、
0.11以下で脆化が急激に改善され、4Kg−m(5
Kg−m/cm2)以上となり、更に0.10以下では6Kg
−m(7.5Kg−m/cm2)以上の優れた特性が得られ
ることが分る。Mnは脱酸剤及び脱硫剤として欠
かせないものであり、0.33%以下添加する必要が
ある。 第2図は同じくMn量との関係を示す線図であ
る。図に示す如く、脆化後の衝撃値はNi量が2.1
%以下ではMn量を減らしても大きな効果が得ら
れず、Ni量2.1%を越えた含有量とすることによ
りMnを減らすことによる効果が顕著である。特
に、Ni量が2.4%以上で、効果が大きいことが分
る。 更に、Mn量が0.7%付近ではNi量によらず衝
撃値の改善は得られないが、Mn量をNo.1及びNo.
8に示すように0.33%以下にすればMn量が低い
ほどNi量が2.1%を越える含有量で衝撃値の高い
ものが得られる。 第3図は同じくNi量との関係を示す線図であ
る。図に示す如く、Mn量が0.33%以下の0.15〜
0.24%では2.1%を越えるNiの含有によつてその
増加とともに脆化が顕著に改善されることが明ら
かであり、特に2.2%以上のNi量で顕著に向上し、
2.4%以上で6Kg−m(7.5Kg−m/cm2)以上、更
に2.5%以上のNi量では7Kg−m/cm2)以上の高
い値が得られることが明らかである。 第4図は450℃×105hクリープ破断強度とNi量
との関係を示す線図である。図に示す如くNi量
が2.5%付近までは強度にほとんど影響がないが、
3.0%を越えると50Kg/mm2を下回り、目標とする
強度が得られない。尚、Mnは少ない方が強度が
高く、0.15〜0.25%付近で最も強化され、高い強
度が得られる。 実施例 2 実施例1と同様に第3表に示す化学組成(重量
%)の試料を溶解及び鍛造によつて製造し、同じ
熱処理を行ない実験に供した。試験結果を第4表
に示す。
【表】
〔発明の効果〕
本発明に係る耐熱鋼は、高温高圧(ガス温度:
1200℃以上、圧縮比:15クラス)ガスタービン用
デイスクに要求されるクリープ破断強度及び加熱
脆化後の衝撃値が満足するものが得られるが、こ
れに限らず加熱脆化域の高温にさらされる他の部
材への適用も可能な耐熱鋼である。
【図面の簡単な説明】
第1図は脆化後の衝撃値と(Mn/Ni)比との
関係を示す線図、第2図は脆化後の衝撃値とMn
量との関係を示す線図、第3図は脆化後の衝撃値
とNi量との関係を示す線図、第4図はクリープ
破断強度とNi量との関係を示す線図である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 重量で、C0.05〜0.2%、Si0.5%以下、
    Mn0.33%以下、Cr8〜13%、Mo1.5〜3%、
    Ni2.1%を越え3%以下、V0.05〜0.3%、Nb及び
    Taの1種又は2種の合計量が0.02〜0.2%及び
    N0.02〜0.1%を含み、前記(Mn/Ni)比が0.11
    以下及び残部が実質的にFeからなることを特徴
    とする耐加熱脆化特性に優れた耐熱鋼。 2 重量で、C0.05〜0.2%、Si0.5%以下、
    Mn0.33%以下、Cr8〜13%、Mo1.5〜3%、
    Ni2.1%を越え3%以下、V0.05〜0.3%、Nb及び
    Taの1種又は2種の合計量が0.02〜0.2%及び
    N0.02〜0.1%、W1%以下、前記(Mn/Ni)比
    が0.11以下及び残部が実質的にFeからなることを
    特徴とする耐加熱脆化特性に優れた耐熱鋼。
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