JPH1018003A - ガスタービン及びガスタービン用ディスクとその製造法 - Google Patents

ガスタービン及びガスタービン用ディスクとその製造法

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JPH1018003A
JPH1018003A JP17205796A JP17205796A JPH1018003A JP H1018003 A JPH1018003 A JP H1018003A JP 17205796 A JP17205796 A JP 17205796A JP 17205796 A JP17205796 A JP 17205796A JP H1018003 A JPH1018003 A JP H1018003A
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JP
Japan
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temperature
disk
gas turbine
turbine
outer peripheral
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JP17205796A
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English (en)
Inventor
Masao Shiga
正男 志賀
Shinya Konno
晋也 今野
Shigeyoshi Nakamura
重義 中村
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の目的は、外周部がクリープ破断強度、
中心部が耐力の高いガスタービン用ディスクとその製造
法及び熱効率の高いガスタービンを提供する。 【解決手段】本発明は、マルテンサイト系耐熱鋼からな
るガスタービン用ディスクにおいて、外周部を中心部よ
りクリープ破断強度の高い材料とし、中心部を前記外周
部より低温靭性及び300℃における耐力の高い材質と
し、前記外周部の平均結晶粒径がその中心部のそれより
大きくし、その製法を前記の外周部の焼入温度を中心部
のそれより大い温度で行うことを特徴とするガスタービ
ン用ディスクとその製造法及びそれを用いたガスタービ
ンにある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規な高温ガスター
ビンに関し、特にマルテンサイト系耐熱鋼製ガスタービ
ンディスクとその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、ガスタービン用ディスクにはCr
−Mo−V鋼が使用されている。近年、省エネルギーの
観点からガスタービンの熱効率向上が望まれている。そ
の効率向上には、燃焼ガス温度の上昇が最も有効な手段
であることから、ガス温度は年々上昇している。そのた
め、ガスタービンディスクの使用条件が厳しくなり、従
来のCr−Mo−V鋼では強度不足となり、より高強度
の材料が必要になってきた。ディスクの強度として、高
温に曝される外周部には、高いクリープ破断強度が、比
較的低温・高応力下で使用される中心部には、高い引張
強さ及び耐力が要求される。更に、外周部には、動翼植
え込が切欠(応力集中)形状になっているので、高い切
欠クリープ破断強度が、中心部には、起動時に高い熱応
力が発生するので、高い低温靭性が要求される。
【0003】クリープ破断強度が従来のフェライト系の
Cr−Mo−V低合金鋼より高い構造材料としては、オ
ーステナイト鋼,マルテンサイト鋼,Ni基合金及びC
o基合金が知られている。
【0004】Ni基合金及Co基合金は、大型鍛造品の
製造性(成分偏析,鍛造性)及び切削性の点で、大型デ
ィスクとしては望ましくない。オーステナイト鋼のクリ
ープ破断強度は、Cr−Mo−V鋼に比べ600℃以上
では高いものの、ディスクの使用温度(400〜500
℃)においては低い。更に、これらの材料はCr−Mo
−V鋼に比べ、熱膨張係数が著しく大きい為に、熱疲労
損傷を受け易い欠点がある。
【0005】これに対し、12Cr耐熱鋼(マルテンサ
イト鋼)は、熱膨張係数がCr−Mo−V鋼と同等で、
クリープ破断強度がCr−Mo−V鋼より高い。新12
Cr耐熱鋼として特開昭58−110661号公報,特開昭60−
138054号公報,特公昭46−279号公報などが知られてい
る。しかし、これらの材料は400〜500℃で必ずし
も高いクリープ破断強度が得られず、本発明の用途であ
るガスタービンディスクとしては使用できない。
【0006】最近、ディスクのメタル温度が450℃ま
で使用可能な12Cr耐熱鋼として特開昭63−171856号
が開示されているが、450℃(燃焼ガス入り口温度約
1400℃以上)を越えるメタル温度で使用するには、更に
高いクリープ破断強度及び耐力を有するものが必要であ
る。
【0007】特開昭57−198208号公報にはディスクの外
周部と内周部での焼入れの仕方が開示されているが、焼
入温度を変えることは示されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、外周
部がクリープ破断強度,中心部が耐力の高いガスタービ
ン用ディスクとその製造法及びそれを用いた高温ガスタ
ービンを提供するにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、タービンスタ
ブシャフトと、該シャフトにタービンスタッキングボル
トによって互いにスペーサを介して連結された複数個の
タービンディスクと、該ディスクに植込まれ燃焼器によ
って発生した高温の燃焼ガスによって回転するタービン
ブレードと、前記ディスクに連結されたディスタントピ
ースと、該ディスタントピースに連結された複数個のコ
ンプレッサディスクと、該ディスクに植込まれ空気を圧
縮するコンプレッサブレードと、前記コンプレッサディ
スクの初段に連結されたコンプレッサスタブシャフトを
備えたガスタービンにおいて、前記タービンディスクは
前記タービンブレートを植設する部分の外周部の平均結
晶粒径がその中心部のそれより大きいマルテンサイト系
耐熱鋼よりなることを特徴とするガスタービンにある。
【0010】本発明はマルテンサイト系耐熱鋼からなる
ガスタービン用ディスクの製造法において、その外周部
を中心部より高温で焼入れし、中心部を外周部より低温
で焼入れし、次いで焼戻し調質熱処理することを特徴と
する。
【0011】好ましくは、外周部を1025〜1075
℃の焼入れ及び570〜620℃の焼戻しし、中心部を
970〜1020℃の焼入れ及び550〜590℃の焼
戻しを施すものであり、これら調質熱処理を回転させな
がら実施するものである。
【0012】また、本発明に係るガスタービン用ディス
クは、その外周部の485℃,10万時間での平滑及び
切欠きクリープ破断強度が50kgf/mm2 以上、中心部
の300℃における0.2%耐力が95kgf/mm2以上衝
撃破断遷移温度が20℃以下であることが好ましい。
【0013】ガスタービン用ディスクの外周部とは少な
くともガスタービンブレードのダブティルの植込部を形
成する部分を示し、この部分が高温のクリープ温度領域
にさらされるので、高いクリープ破断強度が要求され
る。従って、少なくともその植込部とその近傍がその内
部側より高い温度で焼入れされるものである。ガスター
ビン用ディスク全体の温度を測定してクリープ温度領域
にさらされる部分を前述の処理を行うのが好ましい。
【0014】マルテンサイト系耐熱鋼は重量でC0.0
8〜0.18%,Si0.1% 以下,Mn0.5% 以
下,Ni1.5〜3.0%、好ましくは2.0〜3.0%,
Cr10〜12.5%,Mo1.5〜3.0%、好ましく
は1.7〜2.7%,V0.15〜0.35,Nb0〜0.
15%、好ましくは0.04〜0.15%,N0.03〜
0.10%、好ましくは0.04〜0.10%及びH0.0
002%以下を有し、好ましくは残部がFe及び不可避
不純物で構成されていることを特徴とする。本発明に係
る耐熱鋼は次式で計算されるCr当量が9以下になるよ
うに成分調整され、δフェライト相を実質的に含まない
ようにするのが好ましい。
【0015】Cr当量=−40C−2Mn−4Ni−2
Co−30N+6Si+Cr+4Mo+1.5W+11
V+5Nb+2.5Ta (各元素は合金中の含有量(wt.% )で計算される) 更に、本発明に係るガスタービンが前述のマルテンサイ
ト系耐熱鋼で構成されるガスタービン用ディスクを用い
ることにより燃焼ガス入口温度1400℃以上が達成で
きるものである。
【0016】本発明に係るガスタービン用ディスクの調
質熱処理条件の限定理由について説明する。まず、焼入
れ温度の影響について説明する。マルテンサイト系耐熱
鋼では、Cr当量を9以下に調整されたものであれば、
オーステナイト組織に変態させるため900℃〜115
0℃に加熱・保持し、そこから冷却(焼入れ)すること
により、マルテンサイト組織が得られる。この焼入れ組
織のままでは、引張強さ及び耐力が高いものの、低温靭
性や切欠クリープ破断強度が著しく低い。そのため、強
度と靭性・延性のバランスを考慮した、適正な温度で焼
戻し熱処理を施す必要がある。
【0017】焼入れ温度を高めにすると、引張強さ及び
耐力は高くなるが、低温靭性や切欠クリープ破断強度が
低くくなる。一方、焼戻し温度を高めにすると、引張強
さ及び耐力は低くなるが、低温靭性や切欠クリープ破断
強度が高くなる。
【0018】ディスクの強度として、高温に曝される外
周部には、高いクリープ破断強度が、比較的低温・高応
力下で使用される中心部には、高い引張強さ及び耐力が
要求される。更に、外周部には、動翼植え込みが切欠
(応力集中)形状になっているので、高い切欠クリープ
破断強度が、中心部には、起動時に高い熱応力が発生す
るので、高い低温靭性が要求される。
【0019】ガスタービンディスクにおいては、外周部
を中心部より高温で30℃以上、好ましくは50〜10
0℃高い温度での焼入れし、中心部を外周部より低温で
焼入れし、次いで好ましくは外層部を中心部より10〜
50℃高い温度で焼戻し調質熱処理することにより、破
壊に対する信頼性を高くすることができる。本発明にお
ける旧オーステナイト結晶粒径は平均で外層部が中心部
より3〜15μm、好ましくは4〜10μm大きくす
る。
【0020】好ましくは、外周部を1025〜1075
℃の焼入れ及び570〜620℃の焼戻しし、中心部を
970〜1020℃の焼入れ及び550〜590℃の焼
戻しを施すことが好ましい。さらに、これら調質熱処理
を回転させながら実施することにより、周方向に機械的
性質の対称的なディスクが作製できるので、運転中に非
軸対称的な変形を起こすことがなく、タービンの振動が
発生しない。
【0021】また、これら燃焼ガス入り口温度約140
0℃以上のガスタービン用ディスクにおいて、破壊に対
する信頼性を確保するために、外周部の485℃,10
万時間平滑及び切欠きクリープ破断強度を50kgf/mm
2 以上で、中心部の300℃における0.2% 耐力を9
5kgf/mm2 以上で、かつ衝撃破面遷移温度を20℃以
下にすることが好ましい。
【0022】次に、本発明に係るガスタービン用ディス
クに用いるマルテンサイト系耐熱鋼の成分限定理由につ
いて説明する。
【0023】Cは、高い引張強さと耐力を得るために最
低0.08% とする。しかし、あまりCを多くすると、
高温に長時間曝されている場合に金属組織が不安定にな
り、10万時間クリープ破断強度を低下させるので、
0.18% 以下にする。特に、0.10〜0.16%が好
ましく、より0.12〜0.15%が好ましい。
【0024】Siは脱酸剤、Mnは脱酸・脱硫剤として
鋼の溶解の際に添加するものであり、少量でも効果があ
る。またSiの多量は、疲労強度及び靭性を低下させる
有害なδフェライト組織生成の原因になるので、0.1
% 以下にする。カーボン真空脱酸法及びエレクトロス
ラグ再溶解法によれば、Si添加の必要がなく、Si無
添加がよい。特に、脆化の観点から0.07% 以下が好
ましい。
【0025】Mnの多量添加は、十万時間クリープ破断
強度を低下させるので、0.5% 以下にする。Mnは脱
酸・脱硫剤として有効な元素であるが、脆化の観点から
0.3%以下が好ましい。より好ましくは、0.1〜0.2
5%である。
【0026】Crは、高温強度と耐食性を高めるが、多
量に添加すると有害なδフェライト組織生成の原因にな
るので、12.5% 以下にする。10%以下では、高温
強度と耐食性の改善効果が不十分なので、最低10%と
する。特に10.5〜12.3%が好ましく、より11〜
12%が好ましい。
【0027】Mo及びWは固溶強化及び炭化物の分散強
化によってクリープ破断強度を高める効果がある。Mo
のクリープ破断強度向上効果は、重量%で比較すると、
Wの2倍の効果がある。Moのクリープ破断強度向上効
果は、1.5% 以下では十分でなく、3.0% 以上にな
ると有害なδフェライト組織生成の原因になるので、
1.5〜3.0%とする。好ましくは1.7〜2.7%の範
囲であり、特に、2.0〜2.5% の範囲が好ましい。
MoとWを複合添加する場合には、Mo%+1/2W%
で計算される量が上記の範囲にする。
【0028】Coは、固溶強化及び炭化物の分散強化に
よってクリープ破断強度を高める効果がある。また有害
なδフェライト組織生成の防止効果もあるので必要に応
じて10%以下添加してもよい。
【0029】V及びNbは、炭化物を析出し、分散強化
によってクリープ破断強度を高める効果がある。V0.
15%,Nb0.04%以下では、その効果が不十分で
ある。しかし、V0.35%,Nb0.15%以上では、
δフェライト組織生成の原因となると共に、クリープ破
断強度が低下してくる。特に、V0.2〜0.3%,Nb
0.05〜0.12%が好ましい。Nbのかわりに、Ta
を添加しても同様の効果が得られ、NbとTaを複合添
加することもできる。
【0030】Niは、靭性を高めると共に、有害なδフ
ェライト組織生成の防止効果もある。しかし、多量のN
i添加は、クリープ破断強度を低下させるので、1.5
〜3.0%、好ましくは2.0〜3.0%の範囲にする。特
に2.2〜2.9%が好ましく、より2.4〜2.8%が好
ましい。
【0031】Nは、クリープ破断強度の改善及び有害な
δフェライト組織生成の防止効果があるが、0.03%
以下ではその効果が十分でなく、0.1% 以上の添加は
低温靭性を低下させる。特に、0.04〜0.1%が好ま
しい。
【0032】Hの低減は、低温靭性の向上効果があるの
で、0.0002% 以下にする。特に、0.00015
% 以下が好ましい。
【0033】P及びSの低減は、低温靭性を高める効果
があるので、極力低減するのが望ましい。Pは0.01
5% 以下、Sは0.010% 以下が、よりPは0.01
% 以下、Sは0.005% 以下が好ましい。
【0034】Al,Sn,As及びSbも高温強度及び
靭性の点から、極力低減するのが望ましい。現状製鋼技
術の点から、Al0.015%,Sn0.01%,As0.
01%及びSb0.005%以下、特に、Al0.01%,
Sn0.005%,As0.005%及びSb0.002%以
下が好ましい。
【0035】また、希土類元素0.01%以下,B0.0
2%以下,Ca0.01%以下,Ti0.5%以下,Zr
0.1%,Hf0.1% 以下,Cu2%以下及びRe2
%以下の1種以上を含有させることにより、低温靭性又
は高温強度を高めることができるので、必要に応じて添
加してもよい。
【0036】
【発明の実施の形態】
〔実施例1〕高温ガスタービンディスク材として表1に
示す組成(重量%)の試料を溶製した。180kgの鋼塊
を高周波溶解炉で溶製し、1150℃に加熱し鍛造した
後、各種熱処理を施した。まず950℃〜1100℃に
加熱し2時間保持し油焼入れした。次に540℃,5時
間の1次焼戻しし、最後に、540〜640℃,5時間
の2次焼戻しした。これら焼入れ温度及び2次焼戻し温
度を変化させた試料から、平滑及び切欠クリープ破断試
験片(JISZ2272,ASTME292),引張試験片(JISG0567)
並びにVノッチシャルピー衝撃試験片(JISZ2202)採取
し実験に供した。切欠クリープ破断試験片の応力集中係
数(Kt)は、3.9 である。
【0037】
【表1】
【0038】表2は485℃,105h クリープ破断強
度に及ぼす焼入れ温度及び2次焼戻し温度の影響を示
す。焼入れ温度を高めると、平滑クリープ破断強度は高
くなるが、切欠クリープ破断強度が低くなる。平滑及び
切欠クリープ破断強度共に、必要強度(≧50kgf/m
m2)を満足するのは、発明温度範囲(焼入温度:102
5℃〜1075℃,焼戻温度:570℃〜620℃)内
で熱処理したNo.2試料のみである。発明温度範囲外で
熱処理したその他の試料は、平滑か切欠かの何れかが、
必要強度(≧50kgf/mm2 )を下まわってしまう。本
実験により焼入温度を1025〜1075℃で熱処理す
れば、高温ガスタービンディスクの外層部に要求される
平滑及び切欠クリープ破断強度(≧50kgf/mm2 )を
満足することが実証された。
【0039】
【表2】
【0040】表3は300℃における0.2% 耐力及び
破断遷移温度(FATT)に及ぼす焼入れ温度及び2次
焼戻し温度の影響を示す。焼入れ温度を高めると、30
0℃における0.2% 耐力は高くなるが、低温靭性が低
くなる。300℃における0.2%耐力(≧95kgf/m
m2)及び低温靭性(FATT≦20℃)共に、要求特性
を満足するのは、焼入温度を970℃〜1020℃,焼
戻温度を550℃〜590℃で熱処理したNo.12及び
No.13試料のみである。その他の試料は、0.2% 耐
力か低温靭性かの何れかが、要求特性を下まわってしま
う。本実験により上述の温度範囲内で熱処理すれば、高
温ガスタービンディスクの中心部に要求される300℃
における0.2%耐力(≧95kgf/mm2)及び低温靭性
(FATT≦20℃)を満足することが実証された。
【0041】
【表3】
【0042】〔実施例2〕図1は本発明の一実施例を示
す燃焼ガス入口温度が1400℃以上のガスタービンの
回転部の断面図である。1は燃焼器、2はタービンノズ
ル、3はタービンブレード、4はタービンスタッキング
ボルト、7はタービンスペーサ、5はデスタントピー
ス、6はインデューサ、8はタービンディスクである。
本発明のガスタービンはコンプレッサが17段あり、又
タービンブレード3が3段のものである。タービンブレ
ート3は2〜4段の場合がある。
【0043】本実施例におけるタービンディスク8とし
て、表4に示す組成(重量%)の試料No.20及び21
を溶製した。まず大型鋼塊を電気炉で溶製し、これを電
極に1150℃で鍛伸した後、エレクトロスラグ再溶解
(ESR)法により鋼塊を作製した。これを1150℃
に加熱し直径1050mmのディスク形状に鍛造した後、
ガスタービンブレードのダブティルの植込部と約30mm
の外層部及び中心部材にそれぞれ図2に示すように外層
部1050℃,中心部1000℃と外層部を中心部より
50℃高い温度で焼入れし、焼戻しを外層部590℃,
中心部570℃と外層部を中心部より20℃高い温度で
の処理を施した。旧オーステナイト結晶粒径は平均で外
層部が47μm(粒度番号6.0 ),中心部が40μm
(粒度番号6.5 )で、両者の差は7μmであった。9
50℃及び1100℃での焼入温度では各々35μm
(粒度番号7.2 )及び58μm(粒度番号5.5 )で
あった。外層部材からは平滑及び切欠クリープ破断試験
片を、中心部材からは引張試験片及びVノッチシャルピ
ー衝撃試験片を採取し実験に供した。No.21の熱処理
には、一般に行われている均一熱処理を施した。
【0044】
【表4】
【0045】図3及び表5は、ディスク外層部の485
℃,105h 平滑及び切欠クリープ破断強度を示す。均
一熱処理の従来材は、平滑及び切欠クリープ破断強度共
に、必要強度(≧50kgf/mm2 )を著しく下まわる
が、Nbと高Mo量を含むNo.20の本発明材は、高温
ガスタービンの外層部に要求される平滑及び切欠クリー
プ破断強度(≧50kgf/mm2 )を満足することが実証
された。本発明材の特徴的なことは、切欠強度(切欠強
度/平滑強度≧1)であることである。つまり、本発明
ディスクの翼植え込み部は、クリープ破壊に対する信頼
性が高いといえる。
【0046】
【表5】
【0047】図4及び表6は、ディスク外層部の300
℃における0.2% 耐力及び破面遷移温度(FATT)
を示す。低温靭性は、従来材がFATT=15℃、本発
明材がFATT=1℃で、共に、必要靭性を満足するも
のの、従来材の300℃における0.2% 耐力は81.
3kgf/mm2と若干低く、要求値(≧95kgf/mm2
を下まわる。これに対し、本発明材の300℃における
0.2%耐力は96.8kgf/mm2 で、要求値を満足す
る。本実験により本発明材は、ディスクの中心部に要求
される300℃における0.2%耐力(≧95kgf/mm2)
及び低温靭性(FATT≦20℃)を満足することが実証さ
れた。
【0048】
【表6】
【0049】図5は本実施例におけるガスタービン用デ
ィスクのタービンブレードのダブティル植込み部の斜視
図である。ガスタービン用ディスクは前述の熱処理後に
機械加工によりタービンブレードの植込み部9が形成さ
れる。10はタービンブレードが植込まれた後にピン挿
入用穴で、ピンが挿入されてタービンブレードが固定さ
れる。
【0050】図6はガスタービン用ディスクの片側の断
面図である。9はガスタービンブレードの植込み部及び
11はタービンスタッキングボルト挿入用穴である。本
実施例で外周部の高温での焼入れは植込み部9に連らな
る薄肉部12の全体で行ったものである。
【0051】
【発明の効果】本発明によれば、燃焼ガス入り口温度1
400℃以上の大型ガスタービン用ディスクに要求され
る機械的性質を満足するものが得られる。これを使用し
たガスタービン発電機はきわめて高い熱効率が達成さ
れ、省資源及び地球環境保全に顕著な効果が達成され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】ガスタービンのタービン部の部分断面図。
【図2】ガスタービン用ディスクの熱処理プロファイル
図。
【図3】クリープ破断強度を示す棒グラフ。
【図4】耐力を示す棒グラフ。
【図5】ガスタービン用ディスクのタービンブレード植
込み部の斜視図。
【図6】ガスタービン用ディスクの断面図。
【符号の説明】
1…燃焼器、2…タービンノズル、3…タービンブレー
ド、4…タービンスタッキングボルト、5…ディスタン
トピース、6…インデューサ、7…タービンスペーサ、
8…タービンディスク、9…植込み部、10…ピン挿入
用穴、11…タービンスタッキングボルト挿入用穴。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】タービンスタブシャフトと、該シャフトに
    タービンスタッキングボルトによって互いにスペーサを
    介して連結された複数個のタービンディスクと、該ディ
    スクに植込まれ燃焼器によって発生した高温の燃焼ガス
    によって回転するタービンブレードと、前記ディスクに
    連結されたディスタントピースと、該ディスタントピー
    スに連結された複数個のコンプレッサディスクと、該デ
    ィスクに植込まれ空気を圧縮するコンプレッサブレード
    と、前記コンプレッサディスクの初段に連結されたコン
    プレッサスタブシャフトを備えたガスタービンにおい
    て、前記タービンディスクは前記タービンブレートを植
    設する部分の外周部の平均結晶粒径がその中心部のそれ
    より大きいマルテンサイト系耐熱鋼よりなることを特徴
    とするガスタービン。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記マルテンサイト系
    耐熱鋼が、重量で、C0.08〜 0.18%,Si0.
    1%以下,Mn0.5%以下,Ni1.5〜3.0%,C
    r10.0〜12.5%,Mo1.5〜3.0%,V0.1
    5〜0.35,N0.03〜0.1%,Nb0.15%以下
    を有するガスタービン。
  3. 【請求項3】マルテンサイト系耐熱鋼からなるガスター
    ビン用ディスクにおいて、外周部を中心部よりクリープ
    破断強度の高い材質とし、中心部を前記外周部より低温
    靭性及び300℃における耐力の高い材質とし、前記外
    周部の平均結晶粒径が中心部のそれより大きいことを特
    徴とするガスタービン用ディスク。
  4. 【請求項4】マルテンサイト系耐熱鋼からなるガスター
    ビン用ディスクにおいて、外周部の485℃,10万時
    間平滑及び切欠きクリープ破断強度が50kgf/mm2
    上で、中心部の300℃における0.2%耐力が95kg
    f/mm2以上及び50%衝撃破断遷移温度が20℃以下
    であり、前記外周部の平均結晶粒径が中心部のそれより
    大きいことを特徴とするガスタービン用ディスク。
  5. 【請求項5】タービンスタブシャフトと、該シャフトに
    タービンスタッキングボルトによって互いにスペーサを
    介して連結された複数個のタービンディスクと、該ディ
    スクに植込まれ燃焼器によって発生した高温の燃焼ガス
    によって回転するタービンブレードと、前記ディスクに
    連結されたディスタントピースと、該ディスタントピー
    スに連結された複数個のコンプレッサディスクと、該デ
    ィスクに植込まれ空気を圧縮するコンプレッサブレード
    と、前記コンプレッサディスクの初段に連結されたコン
    プレッサスタブシャフトを備えたガスタービンの製造法
    において、前記タービンディスクの外周部をその中心部
    より高温で焼入れし、中心部を外周部より低温で焼入れ
    し、次いで焼戻し調質熱処理することを特徴とするディ
    スクの製造法。
  6. 【請求項6】請求項5において、前記外周部を1025
    〜1075℃の温度で焼入れ及び570〜620℃の温
    度で焼戻しし、前記中心部を970〜1020℃の温度
    で焼入れ及び550〜590℃の温度で焼戻しを施すガ
    スタービンの製造法。
  7. 【請求項7】マルテンサイト系耐熱鋼からなるガスター
    ビン用ディスクの製造法において、該ガスタービン用デ
    ィスクの外周部をその中心部より高温で焼入れし、中心
    部を外周部より低温で焼入れし、次いで焼戻し調質熱処
    理することを特徴とするガスタービン用ディスクの製造
    法。
  8. 【請求項8】請求項5において、前記外周部を1025
    〜1075℃の温度で焼入れ及び570〜620℃の温
    度で焼戻しし、前記中心部を970〜1020℃の温度
    で焼入れ及び550〜590℃の温度で焼戻しを施すガ
    スタービン用ディスクの製造法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007182886A (ja) * 2006-01-05 2007-07-19 General Electric Co <Ge> 供用タービン部品の熱処理方法
CN102191439A (zh) * 2011-04-27 2011-09-21 四川六合锻造股份有限公司 用于核电汽轮机叶片及螺栓的不锈钢材料及其制备方法
CN106224009A (zh) * 2016-08-30 2016-12-14 南京赛达机械制造有限公司 一种带阻尼结构的汽轮机叶片及其热处理工艺

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