JPH0551273B2

JPH0551273B2 -

Info

Publication number: JPH0551273B2
Application number: JP63166242A
Authority: JP
Inventors: Ibuki Hayasaka; Yasuhiko Nireki
Original assignee: Kanebo Ltd
Current assignee: Kanebo Ltd
Priority date: 1988-07-04
Filing date: 1988-07-04
Publication date: 1993-08-02
Also published as: JPH0216959A

Description

【発明の詳細な説明】

〔産業上の利用分野〕この発明は、缶や紙パツク等の保存密封容器に
充填されて市場を流通する密封容器入飲料、特に
油脂を含有する密封容器入飲料に関するものであ
る。〔従来の技術〕近年、缶入りミルクコーヒーや紙パツク入りス
ープ等の密封容器入飲料が大量に出回つている。
これらのうち、ミルクコーヒーやココア、スープ
といつた油脂を含有する飲料は、保存や運搬・販
売時の振動、温度変化等により、飲料中から油脂
が遊離してオイルオフやクリーミングを生じるこ
とが問題となつている。また、遊離した油脂が固
化して飲料上面に浮遊する場合があり、これも問
題になつている。そこで、油脂の安定性を高めるために、飲料
に乳化安定剤を添加する、飲料の粘度を高め
る、油脂部と水相部との密度差を小さくする、
ホモゲナイザー等により油脂の粒子径を小さく
する等の手段が講じられている。ところが、上記
飲料をホツトベンダー等で加温販売する場合に
は、耐熱性フラツトサワー菌による変敗を防止す
るために通常の殺菌条件よりも過酷な条件でレト
ルト殺菌が行なわれており、このレトルト殺菌時
に油脂の遊離が生じやすいため、上記のような各
種手段を講じてもさほどの成果は得られず、やは
り短期間でオイルオフやクリーミングが生じて品
質の低下を招いていた。これに対し、耐熱性フラ
ツトサワー菌変敗防止のために、抗菌性をもつ蔗
糖脂肪酸エステル等の含有割合を高くすることも
考えられるが、蔗糖脂肪酸エステル等の含有量が
多くなると、飲料の風味が悪くなるという問題が
あり、実用的ではない。〔発明が解決しようとする問題点〕このように、従来の密封容器入飲料では、油脂
の遊離防止と、耐熱性フラツトサワー菌による変
敗防止とを同時に実現した、保存安定性の高い優
れた品質のものが得られていないのが実情であ
る。この発明は、このような事情に鑑みなされたも
ので、耐熱性フラツトサワー菌による変敗の心配
がなく、長期間にわたつて油脂のオイルオフやク
リーミングも生じない、保存安定性の高い密封容
器入飲料の提供をその目的とする。〔問題点を解決するための手段〕上記の目的を達成するため、この発明の密封容
器入飲料は、油脂を含有する密封容器入飲料であ
つて、乳化剤として、HLB13以上の蔗糖脂肪酸
エステルと、酢酸モノグリセリド、乳酸モノグリ
セリド、コハク酸モノグリセリドおよびジアセチ
ル酒石酸モノグリセリドからなる群から選ばれた
少なくとも一つの有機酸モノグリセリドとが含有
され、他のエステル類は含有されておらず、上記
蔗糖脂肪酸エステルの含有量が飲料全体に対し
0.05〜0.1重量％に設定され、上記有機酸モノグ
リセリドの含有量が飲料全体に対し0.02〜0.1重
量％に設定されているという構成をとる。〔作用〕すなわち、本発明者らは、密封容器入飲料の前
記問題点を解決するため、特に乳化安定剤の添加
によつて油脂の分散を安定化させる方向で研究を
重ねた結果、乳化剤として、HLB13以上の蔗糖
脂肪酸エステルを0.05〜0.1重量％（以下「％」
と略す）配合するとともに、上記特定の有機酸モ
ノグリセリドを0.02〜0.1％配合すると、両者の
配合割合が低く抑えられているにもかかわらず、
両者の相乗効果により油脂の分散が非常に安定な
形となることがわかつた。したがつて、耐熱性フ
ラツトサワー菌変敗防止のため過酷な条件でレト
ルト殺菌を施しても油脂の遊離を生じず、優れた
保存安定性が得られ、しかも乳化剤量が少ないの
で風味が低下しないことを見いだし、この発明に
到達した。つぎに、この発明を詳細に説明する。この発明の対象となる飲料は、ミルクコーヒ
ー、ココア、ミルクセーキ、ミルクテイ、スープ
等、油脂の含有が前提条件である全ての飲料があ
げられる。上記油脂は、飲料の原料に由来するも
のであつても、飲料に特に風味を付与するために
添加するものであつても何ら差し支えない。した
がつて、上記油脂としては、植物性油脂のカカオ
脂、ヤシ油、パーム核油、大豆油、綿実油、サフ
ラワー油や、動物性油脂のラード、鯨油、バター
油、またはこれらの硬化油、分別油、エステル交
換油等、各種のものをあげることができる。これ
らは単独で含有されていても２種以上が併用され
ていてもよい。そして、飲料に対する油脂の含有
量は、飲料の種類によつても異なるが、通常、飲
料全体に対し15％以下の範囲内に設定されてい
る。また、密封容器とは、缶、瓶、紙パツク、ラミ
ネートパツク等の容器であつて上記嗜好飲料を充
填後、密封したもののことである。この発明の密封容器入飲料は、上記飲料に、乳
化剤として、蔗糖脂肪酸エステルと、有機酸モノ
グリセリドとを含有させたものである。上記蔗糖脂肪酸エステルとしては、HLB値が
13以上のものを用いなければならない。HLB13
以上の蔗糖脂肪酸エステルは、モノエステルが60
％以上含有されており、優れた抗菌性を示すと同
時に、コーヒーやミルクセーキ等の水中油滴型の
液体の乳化能力が高いという特性を示す。また、上記有機酸モノグリセリドとしては、酢
酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、コハク
酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセ
リドのいずれか一つ、あるいはこれらのうちの２
種以上を組み合わせて用いなければならない。こ
れらの有機酸モノグリセリドに限り、上記
HLB13以上の蔗糖脂肪酸エステルと併用するこ
とにより、両者の相乗効果で、それぞれを少量配
合するだけで、優れた油脂乳化効果を発揮する。
なお、この発明における「有機酸」の定義は「食
品用乳化剤」（幸書房、日高徹著）にしたがつて
おり、ステアリン酸やパルチミン酸等の脂肪酸は
除外される。この発明の密封容器入飲料には、上記乳化剤と
ともに、ガム質、澱粉、レシチン、カゼインナト
リウム、WPC等の天然高分子化合物や、カルボ
キシメチルセルロース（CMC）等の合成高分子
を含有させるようにしてもよい。ただし、ソルビ
タン脂肪酸エステル等、上記特定の有機酸モノグ
リセリド以外のエステル類は、上記蔗糖脂肪酸エ
ステルと有機酸モノグリセリドとの相乗効果の妨
げになり、乳化剤の使用割合が大きくなつて飲料
の風味を損なうおそれが生じるので、使用する必
要はない。この発明の密封容器入飲料の製法は、特に限定
されるものではなく、飲料および用いる容器の種
類によつて公知の方法を適宜採用することができ
る。例えば缶入りミルクセーキは、砂糖、バター
油、脂肪粉乳と、上記HLB13以上の蔗糖脂肪酸
エステル、上記特定の有機酸モノグリセリド等を
所定の割合で充分に混合したのち水に溶解し、所
定の条件で均質化する。そしてこれを85℃で10分
程度加温混合して缶に充填巻き締めし、Ｆ。＝30
±５（123℃×30分の殺菌条件）でレトルト殺菌す
るということにより製造することができる。上記製法において、用いるHLB13以上の蔗糖
脂肪酸エステルの配合量は、飲料全体に対して
0.05〜0.1％に設定することが必要である。0.05％
未満では耐熱性フラツトサワー菌による変敗防止
効果が不充分となり、0.1％を超えると蔗糖脂肪
酸エステルの苦みによつて飲料の風味が損なわれ
るからである。また、上記特定の有機酸モノグリセリドの配合
量は、飲料全体に対して0.02〜0.1％に設定する
ことが必要である。0.02％未満では、上記蔗糖脂
肪酸エステルとの相乗効果によつても油脂の保存
安定性が不充分となり、0.1％を超えると有機酸
モノグリセリドの苦みや酸味によつて飲料の風味
が損なわれるからである。このようにして得られる缶入りミルクセーキ
は、HLB13以上の蔗糖脂肪酸エステルと、特定
の有機酸モノグリセリドとの相乗効果によつて、
耐熱性フラツトサワー菌による変敗が抑制されて
いるとともに油脂の安定性に優れ、長期間にわた
つて加温保存しても品質が損なわれることがない
という利点を有している。しかも、飲料の風味が
良好である。つぎに、実施例について比較例と併せて説明す
る。〔実施例１〜４、比較例１〜16〕まず、砂糖８％、バター油４％、脱脂肪乳２％
と、下記に表に従う所定の蔗糖脂肪酸エステルと
各種乳化剤とを溶解混合後、70℃、300Kg／cm²の
条件で均質化した。つぎに、85℃まで昇温し、容
積200mlの缶に充填巻締後、Ｆ。＝30±５（123℃×
30分の殺菌条件）でレトルト殺菌することにより
缶入りミルクセーキを得た。この缶入りミルクセーキを、５℃、25℃、55℃
の各温度条件下で長期保存し、その安定性、風
味、耐熱性フラツトサワー菌変敗の有無を調べ
た。これらの結果を下記の第１表および第２表に
併せて示す。

【表】

〔発明の効果〕

以上のように、この発明の密封容器入飲料は、
乳化剤として、HLB13以上の蔗糖脂肪酸エステ
ルが0.05〜0.1％含有され、特定の有機酸モノグ
リセリドが0.02〜0.1％含有されている。したが
つて、上記蔗糖脂肪酸エステルと特定の有機モノ
グリセリドの相乗効果により、両者の配合割合が
低く抑えられているにもかかわらず、飲料中の油
脂の分散状態が非常に安定的で、レトルト殺菌後
の長期間の保存によつてもオイルオフやクリーミ
ング、固化等が生じず品質が維持される。しか
も、耐熱性フラツトサワー菌による変敗も有効に
阻止されており、かつ飲料の風味も良好である。

Claims

【特許請求の範囲】１油脂を含有する密封容器入飲料であつて、乳
化剤として、HLB13以上の蔗糖脂肪酸エステル
と、酢酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、
コハク酸モノグリセリドおよびジアセチル酒石酸
モノグリセリドからなる群から選ばれた少なくと
も一つの有機酸モノグリセリドとが含有され、他
のエステル類は含有されておらず、上記蔗糖脂肪
酸エステルの含有量が飲料全体に対し0.05〜0.1
重量％に設定され、上記有機酸モノグリセリドの
含有量が飲料全体に対し0.02〜0.1重量％に設定
されていることを特徴とする密封容器入飲料。２飲料が、ミルクコーヒー、ココア、ミルクテ
イ、ミルクセーキ、スープ類のいずれかである請
求項１記載の密封容器入飲料。