JPH0532530B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、護岸や岸壁等に用いられている既
設の鋼矢板壁における腐食部、破損部あるいは新
設の鋼矢板壁における防食補強を必要とする部分
に用いられる防食補強方法に関するものである。

〔従来技術〕

従来、鋼矢板壁の防食補強方法としては、鋼矢
板壁における海側の被防食補強部の面に多数のス
タツドジベルを１本ずつ水中溶接し、かつ前記被
防食部の海側に前部型枠および底部型枠を配置
し、前記被防食部と前部型枠と底部型枠とにより
囲まれた空間に補強鉄筋を配置してコンクリート
等の硬化性防食材を充填する方法が知られてい
る。

しかるに、前記従来の防食補強方法の場合は、
多数のスタツドジベルを水中で１本ずつ水中スタ
ツド溶接ガンにより溶接する作業を行なうので、
作業能率が悪くかつ長時間の潜水作業を必要と
し、しかも水中スタツド溶接は溶接コストが高い
ので、工費が高くなるという問題がある。

〔発明の目的、構成〕

この発明は前述の問題を有利に解決できる鋼矢
板壁の防食補強方法を提供することを目的とする
ものであつて、この発明の要旨とするところは、
鋼板１の外面に多数の鋼製ジベル２を固着して構
成したジベル付き板体３における前記鋼板１を鋼
矢板壁４の海側に固着し、次に鋼矢板壁４の海側
に前部型枠５および底部型枠６を配置すると共
に、鋼矢板壁４と前部型枠５との間に補強材７を
配置し、次に鋼矢板壁４と前部型枠５、底部型枠
６とにより囲まれた空間にコンクリート等の硬化
性防食材８を充填することを特徴とする鋼矢板壁
の防食補強方法にある。

〔実施例〕

次にこの発明を図示の例によつて詳細に説明す
る。

第８図および第９図はこの発明の第１実施例に
おいて用いられるジベル付き板体３を示すもので
あつて、平板状の鋼板１の外面に鋼製スタツドジ
ベルからなる多数のジベル２が溶接により固着さ
れ、かつ前記鋼板１の周囲には多数の透孔９が設
けられている。

第１０図および第１１図はこの発明の実施例に
おいて用いられる補強材付き前部型枠１０を示す
ものであつて、セメント系材料その他の防食材料
からなる平板状の前部型枠５の内側に、上下およ
び左右方向に間隔をおいて配置された多数の鋼製
支持杆１１の一端部が埋込固定され、かつ縦鉄筋
１２およびこれに結合された横鉄筋１３からなる
補強材７における横鉄筋１３は前記支持杆１１に
載置されて溶接または結束等により固定され、さ
らに前部型枠５における左右方向の一側部には、
隣接する前部型枠の内面に重合される継手板１４
が連設されている。

次に第８図および第９図に示すジベル付き板体
３と第１０図および第１１図に示す補強部材付き
前部型枠１０とを使用して行なうこの発明の第１
実施例に係る鋼矢板壁の防食補強方法について説
明する。

第１図ないし第５図に示すように、Ｕ形鋼矢板
１５を使用した鋼矢板壁４における各Ｕ形鋼矢板
１５の海側の被防食補強面に、上下方向に間隔を
おいて配置した複数のジベル付き板体３における
鋼板１を当接し、その鋼板１の透孔９に挿入した
ドライブピン１６をＵ形鋼矢板１５に打込んで、
鋼板１をＵ形鋼矢板１５に固定し、かつ鋼矢板壁
４における被防食補強部の下部に、型枠係止用ス
トツパ１７を備えている多数の鋼製ブラケツト１
８を、鋼矢板壁長手方向すなわち左右方向に間隔
をおいて配置し、各ブラケツト１８を鋼矢板壁４
に対し溶接により固着する。

次に鋼矢板壁４の前面の凹凸形状に合致する後
部形状を有する底部型枠６を各ブラケツト１８に
わたつて載置し、かつ補強材付き前部型枠１０の
下部を底部型枠６に載置すると共にストツパ１７
に係合し、さらに前部型枠５の上部に挿通されて
いる型枠支承片１９付き螺杆２０の一端部を鋼矢
板壁４における被防食補強部の上部に溶接により
固定した雌ねじ部材２１に螺合し、前部型枠５か
ら突出した螺杆２０をばた材２２に挿通し、その
螺杆２０に螺合したナツト２３によりばた材２２
を介して前部型枠５の上部を締付固定する。

次に第６図に示すように、鋼矢板壁４と前部型
枠５と底部型枠６とにより囲まれた空間にコンク
リート等の硬化性防食材８を充填する。第７図は
完成した鋼矢板壁の防食補強部を示し、H.W.L
は満潮時水位、L.W.Lは干潮時水位である。

第１２図および第１３図はこの発明の第２実施
例において用いられるジベル付き板体３を示すも
のであつて、断面円弧状の鋼板１の外面に鋼製ス
タツドジベルからなる多数のジベル２が溶接によ
り固着され、かつ前記鋼板１の周囲には多数の透
孔９が設けられている。

この発明の第２実施例の場合は、第１４図およ
び第１５図に示すように、鋼管矢板２４を使用し
た鋼矢板壁４における各鋼管矢板２４の鋼管の海
側にある被防食補強面に、上下方向に間隔をおい
て配置した複数のジベル付き板体３における鋼板
１を当接し、その鋼板１の透孔９に挿入したドラ
イブピン１６を鋼管矢板２４の鋼管に打込んで、
鋼板１をその鋼管に固定する。

次に補強材付き前部型枠１０および底部型枠６
を第１実施例の場合と同様にしてセツトしたの
ち、第１６図に示すように、鋼矢板壁４と前部型
枠５と底部型枠６とにより囲まれた空間にコンク
リート等の硬化性防食材８を充填する。

この発明を実施する場合、ジベル付き板体３に
おける鋼板１をＵ型鋼矢板１５または鋼管矢板２
４等の鋼矢板に固定する手段としては、第１７図
に示すように、ねじ付きドライブピン２５を鋼板
１の透孔９に挿通して鋼矢板に打込み、そのねじ
付きドライブピン２５に螺合したナツト２６によ
り座金２７を介して鋼板１を鋼矢板に締付固定し
てもよく、また第１８図に示すように鋼板１の透
孔９に挿通したスタツドボルト２８を鋼矢板に対
しスタツド溶接により固着し、そのスタツドボル
ト２８に螺合したナツト２６により座金２７を介
して鋼板１を鋼矢板に締付固定してもよく、ある
いは鋼板１の周囲の一部を水中溶接により固着し
てもよい。

〔発明の効果〕

この発明によれば、予め工場または陸上の基地
等で鋼板１の外面に多数の鋼製ジベル２を固着し
て構成したジベル付き板体３における前記鋼板１
を鋼矢板壁４の海側に固着し、次に鋼矢板壁４の
海側に前部型枠５および底部型枠６を配置すると
共に、鋼矢板壁４と前部型枠５との間に補強材７
を配置し、次に鋼矢板壁４と前部型枠５、底部型
枠６とにより囲まれた空間にコンクリート等の硬
化性防食材８を充填するので、鋼矢板壁における
海側の被防食補強部の面に多数のスタツドジベル
を１本ずつ水中溶接する前記従来の場合に比べ
て、鋼矢板壁４に対する多数の鋼製ジベル２の取
付作業を容易にかつ迅速にしかも低コストで行な
うことができ、そのため鋼矢板壁の防食補強施工
を短工期でかつ低コストで行なうことができ、し
かも多数のジベルの位置決めが確実である等の効
果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第７図はこの発明の第１実施例を
示すものであつて、第１図は鋼矢板壁にジベル付
き板体を取付けかつ補強材付き前部型枠および底
部型枠をセツトした状態を示す一部切欠縦断側面
図、第２図は第１図のＡ−Ａ線断面図、第３図は
第２図のＢ−Ｂ線断面図、第４図はＵ形鋼矢板に
対するジベル付き板体の取付状態を示す正面図、
第５図は第４図のＣ−Ｃ線拡大断面図、第６図は
鋼矢板壁と前部型枠と底部型枠とにより囲まれた
空間に硬化性防食材を充填した状態を示す横断平
面図、第７図は完成した鋼矢板壁の防食補強部を
示す側面図である。第８図はこの発明の第１実施
例において用いられるジベル付き板体の正面図、
第９図は第８図のＤ−Ｄ線断面図、第１０図はこ
の発明の実施例において用いられる補強材付き前
部型枠の正面図、第１１図はその平面図である。
第１２図はこの発明の第２実施例において用いら
れるジベル付き板体の正面図、第１３図は第１２
図のＥ−Ｅ線断面図である。第１４図ないし第１
６図はこの発明の第２実施例を示すものであつ
て、第１４図は鋼矢板壁にジベル付き板体を取付
けかつ補強材付き前部型枠および底部型枠をセツ
トした状態を示す一部切欠縦断側面図、第１５図
は第１４図のＦ−Ｆ線断面図、第１６図は鋼矢板
壁と前部型枠と底部型枠とにより囲まれた空間に
硬化性防食材を充填した状態を示す横断平面図で
ある。第１７図および第１８図は鋼矢板に対する
ジベル付き板体の固定手段の他の例を示す断面図
である。 図において、１は鋼板、２は鋼製ジベル、３は
ジベル付き板体、４は鋼矢板壁、５は前部型枠、
６は底部型枠、７は補強材、８は硬化性防食材、
９は透孔、１０は補強材付き前部型枠、１１は鋼
製支持杆、１５はＵ型鋼矢板、１６はドライブピ
ン、１７は型枠係止用ストツパ、１８は鋼製ブラ
ケツト、２４は鋼管矢板、２５はねじ付きドライ
ブピン、２６はナツト、２８はスタツドボルトで
ある。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 鋼板１の外面に多数の鋼製ジベル２を固着し
   て構成したジベル付き板体３における前記鋼板１
   を鋼矢板壁４の海側に固着し、次に鋼矢板壁４の
   海側に前部型枠５および底部型枠６を配置すると
   共に、鋼矢板壁４と前部型枠５との間に補強材７
   を配置し、次に鋼矢板壁４と前部型枠５、底部型
   枠６とにより囲まれた空間にコンクリート等の硬
   化性防食材８を充填することを特徴とする鋼矢板
   壁の防食補強方法。