JPH0477568B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、斜視や斜位等の眼位ずれの定性的診
断や、これらの定量的診断を行うための眼科検査
装置に関するものである。

両眼の相互的な位置関係を示す眼位は、融像な
どの視運動反射、輻輳、開散又は調節による外科
筋の緊張、或いは眼球、眼窩、外眼筋の解剖学的
な条件等によつて左右される。この眼位が全身的
又は外傷的或いは調節性因子等によつて異常をき
たし、斜視や斜位等になると眼精疲労等の苦痛を
生じてくる。従来、このような斜視や斜位等の眼
位ずれを検査する方法としては、カバーテスト、
カバーアンカバーテスト、アルタネートカバーテ
スト等が知られているが、これらの全てのテスト
は被検眼の遮閉及び遮閉除去に伴う注視線の動き
を見て実施されている。従つて、これらの従来の
方法では、遮閉した眼の状態は観察することがで
きず、定性的な検査しか行えないという問題があ
る。

本発明の目的は、このような従来の問題を解消
し、被検眼を遮閉した状態においても、その遮閉
眼を観察できるようにして、定性的検査と共に定
量的測定も可能にし、的確な診断をなし得るよう
にした眼科検査装置を提供することにあり、その
要旨は、被検眼の左右両眼によつて固視される固
視目標と、該固視標と被検眼との間に設けた光分
割手段と、該光分割手段と光検眼との間に左右眼
ごとにそれぞれ独立して抜き挿し自在で可視光を
カツトし赤外光を透過するフイルタ手段と、前記
光分割手段により分岐される光路上に配置すると
共に前記フイルタ手段を挿入した状態で前記フイ
ルタ手段を介して被検眼の前眼部を撮像して斜視
又は斜位を測定できるように表示する赤外光撮像
手段とを備えたことを特徴とするものである。

以下に、本発明を図示の実施例に基づいて詳細
に説明する。

第１図は本発明の第１の実施例を示すものであ
り、Ea，Ebは被検眼の左眼と右眼を表している。
ここで、左眼Eaは固視方向ａ、右眼Ebは固視方
向ｂを向いている。これらの左眼Eaと右眼Ebの
前には、それぞれ独立して動作可能な遮光手段と
して、本実施例の場合には可視光を遮光し、赤外
光を透過させる赤外フイルタ１，２が抜き挿し自
在に配置されている。また、実施例では右眼Eb
の赤外フイルタ２の背後に第１の半透鏡３が傾設
され、その反射側に投影レンズ４、斜めに置かれ
た第２の半透鏡５及び赤外光に感度を有する撮像
管６が順次に配置されている。そして、撮像管６
の出力はテレビモニタ７に映出されるようになつ
ている。また、第２の半透鏡５に関して撮像管６
への入射方向側には、リレーレンズ８、チヤート
９、光源１０が順次に配置されている。

チヤート９は第２図に示すように、複数の放射
状の線と複数の同心状円環を形成する線によつて
組合わされた指標Ｓが描かれている。このチヤー
ト９は光源１０により照明され、リレーレンズ
８、第２の半透鏡５を介して撮像管６の撮像面に
指標像Saとして投影される。一方、右眼Ebの前
眼部は第１の半透鏡３を介して投影レンズ４によ
り撮像管６の撮像面に投影されることになる。

いま、左眼Eaの赤外フイルタ１を除去し、右
眼Ebの前に赤外フイルタ２を挿入すると、右眼
Ebは固視目標を失うが、撮像管６はその前眼部
を把えてテレビモニタ７に映出する。この映出さ
れた前部部像の瞳孔部Ｐを指標像Saの中心に合
わせる。次に、赤外フイルタ２を外したとき、瞳
孔部ＰがPaの位置に移動したとすれば、指標像
Sa上での変化によつてその方向と移動量を検知
できる。なお、チヤート９の代りに瞳孔部の動き
を走査線上の輝度レベル信号の変化から検知して
もよい。また、光源１０は撮像管６に感応する光
を発するものであり、赤外光源に限定されること
はない。

以上は片眼のみの観察、測定を行う実施例であ
るが、左右両眼Ea，Ebを同時に観察できるよう
にした実施例を第３図、及び第３図の側面から見
た第４図に示している。この実施例では、左眼
Eaと右眼Ebで固視目標１１を注視させ、そのと
きに左眼Eaの前眼部を半透鏡１２、ミラー１３、
反射プリズム１４を介して投影レンズ１５によ
り、撮像管６の撮像面に投影するようになつてい
る。同様にして、右眼Ebの前眼部も半透鏡１２、
ミラー１６、反射プリズム１４を介して投影レン
ズ１５により撮像管６の撮像面に投影される。ま
た先の実施例と同様に、左右両眼Ea，Ebの前方
には、遮光手段として赤外フイルタ１，２がそれ
ぞれ独立して挿脱自在に配置されている。

この実施例では、先ず右眼Ebを遮閉、左眼Ea
を開放の状態から左眼Eaを遮閉、右眼Ebを開放
の状態に変換する場合に、被検眼に例えば外斜位
があるとすれば、テレビモニタ７で上の被検眼瞳
孔部は第５図に示すように、右眼EbのP1、左眼
EaのQ1の位置から右眼EbのP2、左眼EaのQ2の
位置に移動する。更に交代して、例えば遮閉を再
び右眼Ebに移すことも考えられる。なお、固視
目標１１を１１ａのように被検眼の方向に自由に
動かして、同様の測定を行うことも可能である。

テレビモニタ７上では、第１図の実施例のチヤ
ート９に準じたチヤートを表示させる他に、遮閉
された眼が右か左かを区別するために、キヤラク
タ文字等によつて、例えば第５図に示すように文
字や図形で表示してもよい。また、瞳孔部の動き
を走査線上の輝度レベル信号の濃淡により、座標
位置計測を行つて移動量を検出し、テレビモニタ
７上には例えば第５図に例示するように、右眼が
水平方向に２mmシフトした場合に、「R.L.」、
「180°」、「2MM」のように表示して定量化するこ
ともできる。

以上説明したように本発明に係る眼科検査装置
は、被検眼の遮閉テストにおいて注視方向を常時
把握することができると共に定量的な測定も可能
であり、斜視や斜位等の両眼視機能の精度検査に
大きな効果をもたらすことができる。

また、赤外フイルタを介して撮像された前眼部
をテレビモニタ上で観察するようにしたため、被
検眼の視線を完全に遮蔽しながら前眼部を観察す
ることができ、視線の動きを的確に把えて正しい
診断を行うことが可能になる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明に係る眼科検査装置の実施例を示
すものであり、第１図は第１の実施例の光学配置
図、第２図はチヤートの正面図、第３図は第２の
実施例の光学配置図、第４図は第２の実施例を側
面から見た光学配置図、第５図はテレビモニタの
正面図である。 符号１，２は赤外フイルタ、３，５，１２は半
透鏡、４，１５は投影レンズ、６は撮像管、７は
テレビモニタ、９はチヤート、１０は光源、１１
は固視目標である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 被検眼の左右両眼によつて固視される固視目
   標と、該固視標と被検眼との間に設けた光分割手
   段と、該光分割手段と被検眼との間に左右眼ごと
   にそれぞれ独立して抜き挿し自在で可視光をカツ
   トし赤外光を透過するフイルタ手段と、前記光分
   割手段により分岐される光路上に配置すると共に
   前記フイルタ手段を挿入した状態で前記フイルタ
   手段を介して被検眼の前眼部を撮像して斜視又は
   斜位を測定できるように表示する赤外光撮像手段
   とを備えたことを特徴とする眼科検査装置。 ２ 前記赤外光撮像手段による表示は前眼部をチ
   ヤートと共にモニタに映出することにより行う特
   許請求の範囲第１項記載の眼科検査装置。