JPH066109B2 - 眼位異常検査装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は眼位異常検査装置に関する。さらに詳しくは、
斜位と斜視を判別するとともに、斜位と斜視の度合いを
定量的に測定しうるのぞき込み式の眼位異常検査装置に
関する。

［従来の技術］ 一般に眼位には、正常眼位、斜位、斜視の３種がある。
正常眼位とは左右の眼の眼位のずれがない状態であり、
斜位とは左右の眼の眼位のずれがあるが、大脳の融像力
によって補正されているいわゆる眼位のずれが潜伏して
いる状態であり、斜視とは眼位にずれがあり、前記融像
力によっても補正できない状態である。

これらの眼位の異常を検査する装置として、従来より右
眼用眼位測定視標および左眼用眼位測定視標を提示し
て、これらの視標に基づく左右の眼の眼位の偏位量を測
定する装置が用いられている。

［発明が解決しようとする問題点］ しかしながら従来の装置においては、左右両眼の眼位の
偏位量は測定できるが斜位と斜視の判別ができないとい
う問題がある。

本発明は以上のような従来の問題点を解決するためにな
されたものであり、斜位と斜視を判別しうる眼位異常検
査装置を提供することを目的とする。

［問題点を解決するための手段］ 本発明の眼位異常検査装置は、(a)右眼用眼位測定視標
が表示されている右眼用視標部と左眼用眼位測定視標が
表示されている左眼用視標部からなる単眼用視標部と、
(b)右眼用眼位測定視標と両眼共通視標とが表示されて
いる右眼用共通視標部と左眼用眼位測定視標と両眼共通
視標とが表示されている左眼用共通視標部とからなる共
通視標部と、(c)単眼用視標部と共通視標部とを別々に
提示する装置と、(d)前記各視標部に光を照射する光源
と、(e)前記単眼用視標部および共通視標部を通過した
光を眼に入射させるための光学装置とから構成されてい
る。

また本発明の眼位異常検査装置は、(a)右眼用眼位測定
視標が表示されている右眼用視標部と、(b)左眼用眼位
測定視標が表示されている左眼用視標部と、(c)両眼共
通視標が表示されている両眼共通視標部と、(d)前記各
視標部に光を照射する光源と、(e)両眼共通視標部を提
示したり消したりする装置と、(f)前記右眼用視標部、
左眼用視標部および両眼共通視標部を通過した光を眼に
入射させるための光学装置とから構成されている。

［作用］ 本発明の検査装置では、右眼用眼位測定視標と左眼用眼
位測定視標の提示により、まず正常眼位か、斜視・斜位
かを判別し、ついで両眼共通視標を提示することにより
融像力を働かせ、融像力が働くか否かにより斜視か斜位
かを区別する。

［実施例］ 以下、本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。

第１図は本発明の実施例１に係る検査装置の平面図であ
り、第２図は第１図に示された検査装置の側面図であ
る。

第１〜２図において、(1)は右眼であり、(2)は左眼であ
る。左、右両眼(1)、(2)の前方には、右眼(1)に対応す
る位置に輻輳補正用の右眼プリズム(5)が設けられてお
り、また左眼(2)に対応する位置に輻輳補正用の左眼プ
リズム(6)が設けられいる。右眼プリズム(5)の前方の所
定の位置には右眼用眼位測定視標が表示されている右眼
用視標部(7a)が設けられており、該右眼用視標部(7a)に
隣接する位置には、右眼用眼位測定視標と両眼共通視標
が共に表示されている右眼用共通視標部(7b)が設けられ
ている。左眼プリズム(6)の前方の所定の位置には左眼
用眼位測定視標が表示されている左眼用視標部(8a)が設
けられており、該左眼用視標部(8a)に隣接する位置に
は、左眼用眼位測定視標と両眼共通視標が共に表示され
ている左眼用共通視標部(8b)が設けられている。そして
右眼用共通視標部(7b)と左眼用共通視標部(8b)との間の
図中右方には反射板(9)に固定された光源(10)が設けら
れている。そして前記右眼用視標部(7a)、左眼用視標部
(8a)および右・左眼用共通視標部(7b)、(8b)は回転でき
るドラムなど（図示されていない）に固定され、光源(1
0)のまわりに回転できるようになっている。

そして、光源(10)からの光が各単眼用視標部(7a)、(8a)
または各共通視標部(7b)、(8b)の視標中を通過しさらに
左・右眼プリズム(5)、(6)を通過して右眼(1)、左眼(2)
中に結像するようになっている。そして右眼プリズム
(5)、左眼プリズム(6)、右眼用視標部(7a)、左眼用視標
部(8a)、右眼用共通視標部(7b)、左眼用共通視標部(8
b)、反射板(9)および光源(10)により、実施例１に係る
眼位異常検査装置(11)が構成されている。なお、検査距
離を変更するために光路中にレンズを設けてもよい。

第5a〜5b図には実施例１で用いられる各視標が示されて
いる。第5a図は左眼用眼位測定視標(l)、第5b図は右眼
用眼位測定視標(r)、第5c図は左眼用眼位測定視標(l)と
両眼共通視標(c)とが標示されている左眼用共通視標
(L)、第5d図は右眼用眼位測定視標(r)と両眼共通視標
(c)とが表示されている右眼用共通視標(R)である。

つぎに前記実施例１の装置を使用して眼位の異常を検査
する方法、とくに斜位および斜視を判別する検査方法に
ついて、第６図を参照しながら説明する。まず右眼用眼
位測定視標(r)が表示された右眼用視標部(7a)と左眼用
眼位測定視標(l)が表示された左眼用視標部(8a)とを光
源(10)と左、右両眼(1)、(2)との光路中においたばあい
には第６図の左側の列(I)に示すような像が眼中に結像
される。これらの図において上段(A)は眼位異常がない
ばあいの像の状態を示しており、また中段(B)および下
段(C)の像は右眼外斜位および右眼外斜視を有するばあ
いの像の状態を示している。そしてつぎに前記ドラムな
どを回転し光源(10)と左、右両眼(1)、(2)との光路中に
右眼用共通視標部(7b)、左眼用共通視標部(8b)をおいた
ばあいには第６図で示す右側の列(II)の図に示すような
像が眼中に結像される。

前記右側の列(II)の図において上段(A)は眼位異常の無
いばあいの像の状態を示しており、中段(B)は右眼外斜
位のばあいの像の状態を示しており、下段(C)は右眼外
斜視の場合の状態を示している。すなわち右眼外斜位の
ばあいには、両眼共通視標(c)を見ることにより大脳の
融像力が働き、左列(I)中段(B)に示すように偏よってい
た左眼用眼位測定視標(l)と右眼用眼位測定視標(r)とが
右列(II)中段(B)に示すように中央で一列に整うが、右
眼外斜視のばあいには融像力によっても補正されず、右
列(II)下段(C)に示すように左眼用眼位測定視標(l)と右
眼用眼位測定視標(r)が偏よったままである。

つぎに本発明の実施例２について説明する。

第３図は実施例２の眼位異常検査装置である。第３図に
おいて第１図で示す符号と同一の符号は同一または対応
するものを示す。

実施例２の装置においては、右眼(1)および左眼(2)と右
眼プリズム(5)および左眼プリズム(6)の間であって、右
眼プリズム(5)および左眼プリズム(6)から所定の距離の
ところには、所定の角度で傾斜したハーフミラー(31)が
設けられており、ハーフミラー(31)の図中下方の所定の
位置には両眼共通視標が標示された両眼共通視標部(32)
が設けられている。さらに両眼共通視標部(32)の図中下
方の所定の位置には光源(30)が設けられている。光源(1
0)から発して、右眼用視標部(7a)および左眼用視標部(8
a)を経て右眼プリズム(5)および左眼プリズム(6)を出た
光はハーフミラー(31)を通過し右眼(1)および左眼(2)に
入射し、また光源(30)から発して両眼共通視標部(32)を
通過して光は、ハーフミラー(31)の下面で反射し右眼
(1)および左眼(2)に入射するようになっている。そして
右眼プリズム(5)、左眼プリズム(6)およびハーフミラー
(31)によって光学装置(6a)が構成されている。

なお実施例２の装置において検査距離などを変更するた
めに光路中、たとえば眼(1)、(2)とハーフミラー(31)の
間にレンズを入れるようにしてもよく、また検査距離な
どに対応した眼位に変更するため光路中、たとえばハー
フミラー(31)と両眼共通視標部(32)との間にプリズムを
入れるようにしてもよい。

第7a〜7c図には本実施例の装置で用いられる視標が示さ
れている。第7a図は左眼用眼位測定視標(l)、第7b図は
右眼用眼位測定視標(r)、第7c図は両眼共通視標(c)であ
る。なお各視標はこれらに限らず種々の態様のものを用
いることができ、たとえば第8a〜8c図に示されるごと
き、左眼用眼位測定視標(l)、右眼用眼位測定視標(r)、
両眼共通視標(c)であってもよい。

つぎに前記実施例２の装置を使用して、眼位の異常を検
査する方法、とくに斜位および斜視を判別する検査方法
につい説明する。左眼用眼位測定視標(l)および右眼用
眼位測定視標(r)を左眼用視標部(8a)および右眼用視標
部(7a)にそれぞれ取り付け、光源(10)から光を発する
と、右眼用眼位測定視標(r)および左眼用眼位測定視標
(l)の像はそれぞれ右眼(1)内および左眼(2)内に結像す
る。また両眼共通視標(c)を両眼共通視標部(32)に取り
付け光源(30)から光を発すると両眼共通視標(c)の像が
右眼(1)内および左眼(2)内の両方に結像する。そして実
施例１のばあいとどうように、右眼および左眼の眼位の
ずれに基づく右眼用眼位測定視標(r)と左眼用眼位測定
視標(l)のずれが、両眼共通視標(c)を結像することによ
って補正されるか否かによって、斜位および斜視が判別
される。

また第４図は本発明の実施例３に係る眼位異常検査装置
を示している。第４図において第３図と同一の符号は同
一または対応するものを示す。実施例３の装置は右眼用
視標部(7a)および左眼用視標部(8a)を通過する光がハー
フミラー(31)で反射して右眼(1)および左眼(2)に入射
し、両眼共通視標部(32)を通過する光がハーフミラー(3
1)を通過して右眼(1)および左眼(2)に入射するようにな
っている。

また本実施例の装置を使用して眼位の異常を検査する方
法、とくに斜位および斜視を判別する検査方法も実施例
２のばあいと同様である。

なお、異常の各視標部(7a)、(8a)、(7b)、(8b)、(32)は
前記実施例においては、所望の図形および記号などを写
真撮影したフィルムを用いているが、他に一般的に用い
られている直接図形などが描かれたアクリル板や液晶板
などを用いてもよい。

本発明に係る眼位異常検査装置を使用して正常眼位、斜
位および斜視を判別するばあいにおいて、先に右眼用眼
位測定視標および左眼用眼位測定視標の像のみを右眼内
および左眼内に結像してずれの値を定量的に測定して検
査しておき、この状態で両眼共通視標を重ねて右眼内お
よび左眼内に結像し、前記値の変化の有無を定性的に検
査する方法をとってもよく、また同時に右眼用眼位測定
視標、左眼用眼位測定視標および両眼共通視標を重ねて
右眼内および左眼内に結像し、各視標による像のずれを
確認して、斜視であるか否かを判別し、つぎに両眼共通
視標の像を消して、その時の右眼用眼位測定視標と左眼
用眼位測定視標の像のずれの値の変化を確認して測定す
ることにより、正常と斜位を判別する方法をとってもよ
い。

［発明の効果］ 本発明の検査装置によれば簡易かつ正確に斜位と斜視の
判別ができ、また検査操作が簡単であるため検者の熟練
度が要求されないという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例１に係る検査装置の平面図、第
２図は第１図に示された検査装置の側面図、第３図は実
施例２に係る検査装置の構成を示す概略斜視図、第４図
は実施例３に係る検査装置の概略斜視図、第5a〜5d図は
実施例１の装置に用いられる検査用の各視標を示す説明
図、第６図は第５図で示す各視標を用いて検査したばあ
いの眼中での結像の状態を示す説明図、第7a〜7c図は実
施例２および実施例３の装置に用いられる各視標を示す
説明図、第8a〜8c図は他の視標の例を示す説明図であ
る。 （図面の主要符号） (7a)：右眼用眼位測定視標部 (8a)：左眼用眼位測定視標部 (32)：両眼共通視標部 (10)、(30)：光 源 (11)：光学装置

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】(a)右眼用眼位測定視標が表示されている
   右眼用視標部と左眼用眼位測定視標が表示されている左
   眼用視標部からなる単眼用視標部と、 (b)右眼用眼位測定視標と両眼共通視標とが表示されて
   いる右眼用共通視標部と左眼用眼位測定視標と両眼共通
   視標とが表示されている左眼用共通視標部とからなる共
   通視標部と、 (c)単眼用視標部と共通視標部とを別々に提示する装置
   と、 (d)前記各視標部に光を照射する光源と、 (e)前記単眼用視標部および共通視標部を通過した光を
   眼に入射させるための光学装置と からなる眼位異常検査装置。
2. 【請求項２】(a)右眼用眼位測定視標が表示されている
   右眼用視標部と、 (b)左眼用眼位測定視標が表示されている左眼用視標部
   と、 (c)両眼共通視標が表示されている両眼共通視標部と、 (d)前記各視標部に光を照射する光源と、 (e)両眼共通視標部を提示したり消したりする装置と、 (f)前記右眼用視標部、左眼用視標部および両眼共通視
   標部を通過した光を眼に入射させるための光学装置と からなる眼位異常検査装置。