JPH04342517A - ５α−リダクターゼ阻害剤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明はテストステロン５α−
リダクターゼ（以下、５α−リダクターゼと略称する）
の阻害剤及びこれを含む育毛剤に関する。

【０００２】

【従来の技術】最近、育毛剤の成分として、５α−リダ
クターゼ阻害剤に関する研究が活発化している。そして
、５α−リダクターゼを阻害することによる脱毛の予防
効果を特徴とした育毛剤の特許出願が多くされている（
特開昭５９−５３４１７号公報、特開昭５９−５３４１
９号公報など）。

【０００３】この５α−リダクターゼ阻害剤が育毛剤と
して利用される理由は、一説によると男性型の禿頭、粗
毛症、脂漏などの生理学上の徴候は、代謝系における男
性ホルモン（５α−ジヒドロテストステロン）が過剰に
蓄積されて起こる男性ホルモン刺激の増大に起因してい
ると考えられている。すなわち、この男性ホルモンは、
テストステロンが５α−リダクターゼの作用により還元
されて生成されること。そして、毛根、皮脂腺などの諸
器官において、５α−リダクターゼの作用を受けて前記
男性ホルモンが生成・蓄積され、その結果毛母細胞の分
裂を抑制することから毛根が萎縮し、抜毛、禿などを誘
因すると考えられているからである。従って、この５α
−リダクターゼを阻害すれば、脱毛防止ならびに発毛促
進を図ることができるものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】また、この観点に基づ
いて、これまでにいくつかの物質が見出されているが、
残念ながら５α−リダクターゼの活性阻害率は大きくて
も、副作用や強度の皮膚刺激性が認められるという欠点
があった。

【０００５】従って、今回の発明は、このような従来の
技術に着目してなされたものであり、且つより有効な活
性阻害効果を持ち、副作用等に代表される欠点を有しな
い、きわめて安全性の高い５α−リダクターゼ阻害剤と
、これを含んだ育毛剤を提供することを目的としている
。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明に係る５α−リ
ダクターゼ阻害剤はｄ−リモネンから成る。特に、柑橘
類の果皮精油中のｄ−リモネンが好適であるが、それ以
外のｄ−リモネンであっても良い。また、この発明に係
る育毛剤は、前記ｄ−リモネンを含んでなるものである
。

【０００７】

【実施例】

実施例１：まず最初に本発明に係る育毛剤の各種効果に
ついて実際に調べた結果を示す。本発明者は、柑橘類そ
の他の成分を含有する化粧水を既に発表している（特公
平１−２０１２３号公報参照）。この化粧水は、肌をひ
きしめて正常にし、肌に潤い、滑沢性を付与するという
一般的な化粧水効果を備えているのは勿論であるが、最
近になって、洗髪後に、この化粧水を頭皮の毛穴にぬり
こむようにしてつけると、フケがでにくく、カユミがな
くなって、毛髪が抜けにくくなるという事実を確認した
。また、人によっては、毛髪が抜けにくくなるというだ
けにとどまらず、人間の毛髪の発毛を積極的に促進させ
る事実も実際に確認されている。この化粧水は、ネーブ
ル、イヨカン、ハッサク、甘夏柑、レモン、ミカンのそ
れぞれの果皮ならびにアロエ、の日本酒による各抽出液
だけから成るものであり、柑橘類精油成分のうち約９０
％以上がｄ−リモネンである。従って、このｄ−リモネ
ンが５α−リダクターゼ阻害剤として機能し、脱毛防止
ならびに発毛促進に寄与していることは明らかである。

【０００８】以下はこの実施例に係る育毛剤の成分表で
ある。 成　　分　　表 ＊ネーブル抽出液─────１９．７５ｗｔ％＊イヨカ
ン抽出液─────１４．８２ｗｔ％＊ハッサク抽出液
─────１９．７５ｗｔ％＊甘夏柑抽出液─────
─１４．８２ｗｔ％・レモン抽出液──────１４．
８２ｗｔ％・ミカン抽出液──────１４．８１ｗｔ
％・アロエ抽出液──────　　１．２３ｗｔ％・ｐ
Ｈ──────────４．０〜６．０（化粧品原料基
準、一般試験法、ｐＨ測定法）アルコール数─────
──０．９〜１．０（日本薬局法、一般試験法、アルコ
ール数測定法）

【０００９】尚、上記抽出液は、上記柑
橘類等の果皮の日本酒（清酒一級）による抽出液であり
、その成分割合は製造過程において若干のバラツキを生
じるものであるが、±５％程度のバラツキであれば本実
施例と同等の効用及び安全性を確保できることが確認さ
れている。

【００１０】頭皮への適用 身体の有毛部（特に頭部）における毛髪が脱落する症状
としては、男性型脱毛症、円形脱毛症、脂漏性脱毛症な
ど、いろいろな種類のものが知られているが、特に脱毛
症の種類にこだわることなく、数十人の人に本発明に係
る５α−リダクターゼ阻害剤としてのｄ−リモネンを主
成分とした育毛剤を適用してみた結果を以下に示す。

【００１１】

【表１】　　　　　　フケ発生防止効果上記表において
、「著効性」は５日以上フケの発生が認められないこと
を条件とし、「有効」は３日以上５日未満フケの発生が
認められないことを条件とした。

【００１２】

【表２】　　　　　　　　脱毛防止効果上記表において
、「有効」は脱毛の進行が明らかに減少したことを条件
とし、「無効」とは治療にもかかわらず何らかの改善も
見られなかったことを条件とした。

【００１３】以下に育毛効果に関する実例を示す。下記
の表において、「著効性」は脱毛部に毛が生えそろった
ことを条件とし、「有効」は脱毛部の２／３以上に毛の
新生が認められたことを条件とし、「無効」とは治療に
もかかわらず何らかの改善も見られなかったことを条件
とした。

【００１４】

【表３】　　　　　　　　　　育毛効果

【００１５】こ
のように、本育毛剤はフケ防止効果、脱毛防止効果、育
毛効果のいずれにおいても顕著或いは有効な結果を得る
ことができた。本育毛剤がこのように優れた効果を示す
のは、本育毛剤中のアミノ酸（果皮及び抽出溶剤である
清酒中に０．２％含有）も、何らかの作用をしているの
ではないかと考えられる。

【００１６】尚、本育毛剤１００ｍｌ中に含まれるアミ
ノ酸の種類を挙げると以下の通りである。 　　・アスパラギン酸　　　　９．８４ｍｇ　　　　・
イソロイシン　　　　　　５．８１ｍｇ　　・スレオニ
ン　　　　　　　　７．６１ｍｇ　　　　・ロイシン　
　　　　　　　１１．５８ｍｇ　　・セリン　　　　　
　　　　　１１．７６ｍｇ　　　　・チロシン　　　　
　　　　　　８．４６ｍｇ　　・グルタミン酸　　　　
　　８．１４ｍｇ　　　　・フェニルアラニン　　７．
５３ｍｇ　　・グリシン　　　　　　　　１０．９７ｍ
ｇ　　　　・リジン　　　　　　　　　　　　６．９３
ｍｇ　　・アラニン　　　　　　　　２５．５０ｍｇ　
　　　・ヒスチジン　　　　　　　　３．００ｍｇ　　
・システン　　　　　　　　　　１．５２ｍｇ　　　　
・アルギニン　　　　　　２１．９６ｍｇ　　・バリン
　　　　　　　　　　　　８．５５ｍｇ　　　　・プロ
リン　　　　　　　　５２．２２ｍｇ　　・メチオニン
　　　　　　　　２．０７ｍｇ　　　　・トリプトファ
ン　　　　１．１２ｍｇ

【００１７】実施例２：次に、
ｄ−リモネンの５α−リダクターゼの活性阻害について
、更に詳しく試験した結果を示す。前述のように、テス
トステロンはアンドロジェン作用を有する５α−ジヒド
ロテストステロン（５αＤＨＴ）に変換され、生理作用
を発現することが知られている。生体内にはテストステ
ロン５αＤＨＴに変換する酵素、５α−リダクターゼが
存在しており、この酵素の働きを阻害する物質は男性型
脱毛症の予防薬となり得る。

【００１８】そこで、テストステロン５α−リダクター
ゼ活性を測定できる系を確立し、これを用いて本育毛剤
及びその構成成分の一種であるｄ−リモネンの前記５α
−リダクターゼ阻害活性について調べた。

【００１９】被検査物質としては、本育毛剤（熟成）、
本育毛剤（新鮮）、ｄ−リモネンの３種類を用意した。 また、対照物質としては、陽性対照としてデュークエキ
スとβ−グリチルレチン酸ナトリウムの２種類を、また
陰性対照としてスウェルチアマリンを用意した。

【００２０】以下実験方法を示す。 粗酵素標品の調製 体重２５０〜３００ｇのＷｒｉｓｔａｒ系ラット雄を放
血致死し、前立腺を摘出した。氷冷下で細切し、湿重量
の３倍量の０．２５Ｍ蔗糖を含む０．１Ｍ　　ＨＥＰＥ
Ｓ緩衝液（ｐＨ７．４）を加え、テフロン製ポッター型
ホモジナイザーを用いてホモジナイズした。ホモジネー
トを２００μのステンレス製メッシュで濾過したのち、
濾液を３０００回転（９００ｘｇ）で１０分間遠心した
。 沈渣を２．５倍量の上記緩衝液に再び懸濁し、３０００
回転で５分間遠心した。沈渣を元の湿重量の０．８倍量
の上記緩衝液に懸濁し酵素溶液とした。酵素溶液は−７
０℃に保存した。

【００２１】酵素反応 酵素反応は〔４−１４Ｃ〕−テストステロン（１．５ｎ
ｍｏｌ、２．８５ｋＢｑ）、ＮＡＤＰＨ（０．５μｍｏ
ｌ）、酵素溶液３０μｌに１０μｌまでの検体を加え上
記緩衝液で１００μｌとした反応液を３７℃で２時間加
温して行った。酵素反応は氷水中から３７℃に移すこと
により開始し、氷水中で冷却することにより停止した。 ついで、ｎ−ヘキサン４００μｌを加え激しくヴォルテ
ックスして混和し、４℃、３０００回転で５分間遠心し
、上清より２００μｌを分取した。減圧下に乾固したの
ち、再びｎ−ヘキサン３０μｌに溶解し、そのうちの１
０μｌをシリカゲル薄層プレートにアプライした。乾燥
した後、シクロヘキサン−酢酸エチル（１：１、ｖ／ｖ
）を用いて展開した。

【００２２】反応生成物の定量及び酵素活性阻害の評価
法 ＴＬＣプレート上に展開された物質の放射活性をＡＭＢ
ＩＳイメージアナライザーを用いて測定した。クロマト
グラムとして得られた２つのスポットについて、テスト
ステロン（Ｔ）およびジヒドロテストステロン（ＤＨＴ
）に相当する位置の放射活性を読み取り、テストステロ
ンからジヒドロテストステロンへと変化した割合をＤＨ
Ｔ／（Ｔ＋ＤＨＴ）　　×　　１００（％）の式より求
めた。陰性対照を１００％としたときの各サンプル存在
下での変化率を酵素活性の阻害の程度とした。

【００２３】結　　果 まず始めに、テストステロンとジヒドロテストステロン
をＴＬＣプレート上ではっきりと分離できる展開溶媒を
探すために種々の有機溶媒について検討した。その結果
、前述のシクロヘキサン−酢酸エチル〔Ｃｙｃｌｏｈｅ
ｘａｎ／Ｅｔｈｙｌａｃｅｔａｔｅ（１：１，ｖ／ｖ）
〕の展開系により両物質を明確に分離できるが明らかに
なった。即ち、ＴＬＣプレートを観察したところ、放射
活性として２つのスポットが認められ、Ｒｆ値の低いス
ポットはテストステロン、高いスポットはジヒドロテス
トステロンであった。このように２つのスポットを明確
に分離することが出来た。次に酵素反応の条件を検討し
た。その結果、３７℃で２時間反応させた場合に比較的
効率良くテストステロンからジヒドロテストステロンに
変換されることが確認された。この場合、脂溶性のサン
プルは水と混ざらないので、１２０回転／分で振とうし
た。

【００２４】更には、抽出溶媒或いは薄層プレートの種
類等もあわせ検討した。このようにして確立された反応
条件を要約すると； 〔４−１４Ｃ〕−テストステロン　　　　　　１．９μ
ｌＮＡＤＰＨ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　１０μｌ酵素溶液　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　３０μｌ検体　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　３−１０
μｌ

【００２５】緩衝液で１００μｌとした反応液を３
７℃で２時間加温し、ヘキサンで抽出したのちＴＬＣで
展開した。

【００２６】次に、陽性対照として用いたβ−グリチル
レチン酸ナトリウム及びデュークエキスの阻害活性につ
いて調べたところ、図１及び図２に示すように５０％阻
害率はそれぞれ約０．５ｍＭ、０．７５μｌであり、顕
著な作用が認められた。育毛剤及びその構成成分の一種
であるｄ−リモネンのテストステロン５α−リダクター
ゼ活性阻害に対する作用は、図３及び図４に示すように
いずれのサンプルでも抑制作用が認められた。また、育
毛剤では熟成サンプルよりも新鮮サンプルに顕著な作用
が認められた。尚、陰性対照であるスウェルチアマリン
の場合は、図５に示す如く抑制作用が認められなかった
。

【００２７】

【発明の効果】この発明に係る５α−リダクターゼ阻害
剤は以上説明してきたように、育毛剤の主成分として人
の頭皮に適用することにより優れた育毛効果を奏するこ
とができる。また、この育毛剤は天然物由来の安全性の
高い製造方法にて作られるため皮膚に対して安全で、且
つ柑橘類の果皮から容易に得られるので製造コストの面
でも有利である。

【００２８】

【図面の簡単な説明】

【図１】β−グリチルレチン酸ナトリムの酵素活性阻害
率を示すグラフである。

【図２】デュークエキスの酵素活性阻害率を示すグラフ
である。

【図３】育毛剤の酵素活性阻害率を示すグラフである。

【図４】ｄ−リモネンの酵素活性阻害率を示すグラフで
ある。

【図５】スウェルチアマリンの酵素活性阻害率を示すグ
ラフである。

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　ｄ−リモネンから成る５α−リダクタ
   ーゼ阻害剤。
2. 【請求項２】　　ｄ−リモネンが柑橘類の果皮精油中か
   ら採取されたものである請求項１記載の５α−リダクタ
   ーゼ阻害剤。
3. 【請求項３】　　柑橘類が、ネーブル、イヨカン、ハッ
   サク、甘夏柑、レモン、ミカンの群から選ばれた１種以
   上のものである請求項２記載の５α−リダクターゼ阻害
   剤。
4. 【請求項４】　　請求項１記載の５α−リダクターゼ阻
   害剤を含んでなる育毛剤。
5. 【請求項５】　　請求項２記載の５α−リダクターゼ阻
   害剤を含んでなる育毛剤。
6. 【請求項６】　　請求項３記載の５α−リダクターゼ阻
   害剤を含んでなる育毛剤。