JPH0360486B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は、体腔内等に挿入される内視鏡に関
し、特に、患者の体腔内の汚物や体腔内壁等に接
触する部分を、一回の使用毎に使い捨てにするこ
とができるようにしたシース付内視鏡に関するも
のである。

［従来の技術］ 内視鏡検査を受ける患者から患者への感染等を
防ぐためには、患者の体腔内の汚物や体腔内壁等
に接触する部分を、一回の使用毎に使い捨てにす
るのが最も完全な方策である。

内視鏡を構成する各部分のうち、患者の体腔内
の汚物や体腔内壁等に接触するのは、挿入管の外
表面と、鉗子チヤンネル及び送気送水チヤンネル
等のチヤンネル類である。したがつて、挿入管の
外皮だけでなく、チヤンネル類も１回の使用毎に
使い捨てにする必要がある。

そこで、従来のこの種の内視鏡においては、第
４図に示されるように、内視鏡の挿入管５１の外
面に管軸方向に沿つて凹溝５２を形成し、挿入管
５１の外表面を着脱自在なシース５３で被覆する
と共に、鉗子チヤンネル等のチヤンネル５４を上
記凹溝５２内に外方から嵌め込んで、シース５３
とチヤンネル５４とを共に使い捨てできるように
していた（特開昭61−179128号）。

［発明が解決しようとする課題］ しかし、挿入管の外面に形成された凹溝５２内
にチヤンネル５４を嵌め込むと、挿入管５１が小
さな曲率半径で屈曲された際などに、チヤンネル
５４が凹溝５２内から外方にせり出し、場合によ
つては凹溝５２から飛び出して、チヤンネルやシ
ースが破損してしまう欠点があつた。また、内視
鏡の挿入管は、ねじれやつぶれに対する強度を有
しかつ柔軟な可撓性を有することが不可欠であ
り、そのために、一般に螺旋管が用いられる。し
かし、螺旋管に第４図のような凹溝５２を形成す
るのは現実には至難の業であり、結局、凹溝５２
にチヤンネルを外方から嵌め込む構造では、実用
に供する可撓管を得ることができなかつた。

この発明は、そのような従来の欠点を解消し、
使い捨てにできるチヤンネル類を安定して保持
し、しかも実際に容易に製造することができるシ
ース付内視鏡を提供することを目的とする。

［課題を解決するための手段］ 上記の目的を達成するために、本発明のシース
付内視鏡は、先端に観察窓が設けられた細長くて
可撓性を有する挿入管と、その挿入管内に全長に
わたつて挿通され、一端が挿入管の先端部におい
て、他端が挿入管の基端部側において各々外部に
開口するガイドチユーブと、少なくとも上記観察
窓の表面に位置する部分が透明に形成され、上記
挿入管に着脱自在に被覆されて挿入管を外部環境
から絶縁するシースと、そのシース内に全長にわ
たつて挿通され、一端がシースの先端部において
外部に開口し、他端が上記ガイドチユーブ内に先
端側から挿通されて、ガイドチユーブの基端側か
ら外に引き出された少なくとも１本のチヤンネル
とを有することを特徴とする。

そして、上記シースの先端に上記透明部の外表
面に向つて開口するノズルを設けて、そのノズル
にチヤンネルの一つを連通接続してもよい。ま
た、上記ガイドチユーブから引き出されたチヤン
ネルの基端部付近に、流体を通す管路の端部を配
置して、その管路の端部とチヤンネルの基端部と
を接続手段によつて着脱自在に連通接続すること
もでき、その接続手段を、内視鏡に対して着脱自
在なアダプタとしてもよい。

［作用］ シースは挿入管の外面に着脱自在であり、シー
スで挿入管を被覆することにより、挿入管は外部
環境から絶縁される。また、チヤンネルはシース
に接続されており、ガイドチユーブ内に着脱自在
に挿通して使用される。したがつて外部環境に接
触するチヤンネルとシースとを、共に使い捨てに
することができる。

このチヤンネルを案内するガイドチユーブは、
内視鏡の挿入管内に配置されており、内視鏡使用
中は、チヤンネルはこのガイドチユーブ中に挿通
されている。

［実施例］ 図面を参照して実施例を説明する。

第１図はシース付視鏡の挿入部を示しており、
図中１は、細長い円筒状の可撓管により形成され
た挿入管である。挿入管１の先端には、遠隔操作
により屈出自在な湾曲部２が形成され、その先端
に接続された先端チツプ３の表面に、観察窓４と
照明窓５が設けられている。本実施例の内視鏡は
いわゆる前方視型であり、観察窓４及び照明窓５
が先端チツプ３の前面に設けられている。観察窓
４の内側には対物レンズが配置され、その結像位
置にイメージガイドフアイバの入射端面が配置さ
れている。また、照明窓５の内側には照明用ライ
トガイドの出射端面が配置されている。ただしこ
れら光学手段は図示が省略されている。

６は、挿入管１の基端部に連結された操作部で
あり、湾曲部２の屈曲操作を行う湾曲操作装置
や、送気、送水及び吸引などの制御操作を行う操
作弁が設けられている。ただし、それらの図示は
省略されている。

７は、図示されていない吸引操作弁に接続され
た吸引管。８は、図示されていない送気送水操作
弁に接続された送気送水管であり、送気管路８ａ
と送水管路８ｂとが並列に設けられている。

挿入管１内には、例えばポリエチレン樹脂製の
チユーブからなるガイドチユーブ９が全長にわた
つて挿通されている。このガイドチユーブ９は、
先端９ａが、先端チツプ３において観察窓４と並
んで外部に開口し、基端側９ｂは、挿入管１の基
端部近傍の操作部６の下端部において外部に開口
している。

１０は、挿入管１に着脱自在に被覆されて挿入
管１を外部環境から絶縁するシースである。この
シース１０は例えばシリコンゴムのように伸縮性
のある素材で薄肉円筒状に形成された筒状部１０
ａと、例えば透明のスチロール樹脂等のような透
明部材により形成された支持体１０ｂとが、水密
的に接続されて構成されたものである。

シース１０の筒状部１０ａは、挿入管１の外径
とほぼ同じ直径に形成されており、第１図の１０
Ａに示されるように、例えばロール状に外側に丸
め込んだ後、それを展開して挿入管１の外面に被
覆し、或いはその逆の動作で挿入管１の外面から
取り外すことができる。或いは、シース１０を少
し太めの筒体（図示せず）内に挿入して、その筒
体とシースの筒状部１０ａとの間を真空ポンプ等
で負圧にすれば、筒状部１０ａが筒体の内壁に密
着するまで拡がるので、その状態でシース１０を
挿入管１に被覆し又は取り外すことができる。

支持体１０ｂは先端チツプ３がゆるく嵌入され
る程度の大きさに形成されており、先端チツプ３
が嵌入されたときに観察窓４の表面に位置する部
分に向つて、２つのノズル１２，１３が開口形成
されている。

シース１０内には、例えば四フツ化エチレン樹
脂よりなるチヤンネル体１１が全長にわたつて挿
通されている。このチヤンネル体１１は、第２図
に示されるように、吸引チヤンネルを兼ねる鉗子
チヤンネル１１ａと、送気チヤンネル１１ｂ及び
送水チヤンネル１１ｃとにより構成されている。
そして、第１図に示されるように、鉗子チヤンネ
ル１１ａは、支持体１０ｂに前方に向つて開口す
るように接続されており、送気及び送水チヤンネ
ル１１ｂ，１１ｃは各々ノズル１２，１３に連通
接続されている。

このチヤンネル体１１は、ガイドチユーブ９内
に挿脱自在であり、シース１０を挿入管１に被覆
する際には、ガイドチユーブ９内に、その先端９
ａ側からチヤンネル体１１の一端を挿入し、ガイ
ドチユーブの基端部９ｂから外に引き出す。

操作部６の下端部には、送気、送水及び吸引の
各管路の接続を行う接続アダプタ１４が着脱自在
に取り付られている。この接続アダプタ１４は、
例えば円形のリングの下半部を切除した形状の合
成樹脂製の足１５を有しており、この足１５を押
し拡げる弾発力によつて操作部６の下端部に取り
付けられている。

第３図は、チヤンネル体１１の一端がガイドチ
ユーブ９から引き出された状態を示しており、第
１図と第３図とを参照しつつ、接続アダプタ１４
についてさらに説明をする。

接続アダプタ１４には、ガイドチユーブ９から
引き出されたチヤンネル体１１が真直に接続され
る受け口１６が形成されており、鉗子挿入口金１
７と鉗子チヤンネル１１ａとが同軸に真直に接続
される。また、鉗子挿入口金１７の中間部には、
側方に向かつて吸引口金１８が連通して突設され
ており、この吸引口金１８に吸引管７が接続され
る。

また、送気チヤンネル１１ｂと送水チヤンネル
１１ｃは各々接続管１９，１９に接続され、この
接続管１９，１９が、送気管路８ａ及び送水管路
８ｂに接続される。２０は、チヤンネル体１１が
抜け落ちないようにその口元近傍を締め付けるリ
ングである。

このように構成された上記実施例のシース付内
視鏡は、第１図に示される状態から、ガイドチユ
ーブ９内にチヤンネル体１１を挿入すると共に、
シース１０の筒状部１０ａを挿入管１に被覆し、
先端チツプ３を支持体１０ｂ内に嵌入することに
より、挿入管１及び先端チツプ３等が外部環境か
ら完全に絶縁される。そして、シース１０の透明
な支持部１０ｂを通して、照明窓５から照明光が
照射され、照明された被写体の像が観察窓４から
対物レンズに入射する。一方、ガイドチユーブ９
の基端部９ｂ側から引き出されたチヤンネル体１
１の端部に接続アダプタ１４を介して上述のよう
に吸引管７及び送気送水管８を接続する。これに
よつて、鉗子チヤンネル１１ａを通じて先端から
吸引を行い、支持部１０ｂ表面に空気及び水を噴
きつけることができる。また、鉗子挿入口金１７
から鉗子等の処置具を挿入すれば、鉗子チヤンネ
ル１１ａを通じて生検等の内視鏡的処置を行うこ
とができる。このように、シース１０に接続され
たチヤンネル体１１を通して吸引及び送気送水等
が行われるので、挿入管１内のガイドチユーブ９
は、患者の体腔内の粘膜面又は汚液等に全く接触
しない。

内視鏡の使用が終了したら、接続アダプタ１４
からチヤンネル体１１を取り外し、次いでシース
１０を挿入管１から取り外して、チヤンネル体１
１をガイドチユーブ９から抜去する。

ただし、チヤンネル体１１を抜去する際に、そ
の内部に残留している汚液などがガイドチユーブ
９内を汚染する可能性がある。したがつて、接続
アダプタ１４からチヤンネル体１１を外さずに、
第３図に示される矢印Ｂの位置でチヤンネル体１
１を溶断してもよい。溶断によつてチヤンネル体
１１の切断面が加熱溶解されて塞閉される。この
状態でチヤンネル体１１をガイドチユーブ９内か
ら抜去すればガイドチユーブ９内は汚染されな
い。また、接続アダプタ１４も１回の使用毎に使
い捨てにしてもよい。

［発明の効果］ 本発明のシース付内視鏡によれば、患者の体腔
内の汚物や体腔内壁等に接触する部分を一回の使
用毎に使い捨てにすることができるので、内視鏡
検査を受ける患者から患者への感染等を防ぐこと
ができ、しかも、チヤンネルを案内するガイドチ
ユーブが内視鏡の挿入管内に配置されているの
で、内視鏡の挿入管は細長い円筒状に形成すれば
よい。したがつて、一般的な内視鏡に用いられる
挿入管と同様の挿入管を用いることができ、内視
鏡を容易に製造することができる。このように、
本発明により凹溝付の挿入管を有する内視鏡の製
造上の問題が解消される。

また、内視鏡の使用中には、チヤンネルは、挿
入部内に配置されたガイドチユーブ内に挿通され
ているので、挿入管が小さな曲率半径で屈曲され
ても、チヤンネルが挿入管の外部へせり出して各
部の破損をまねくようなこともなく、耐久性にお
いても非常に優れている。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の第１の実施例の斜視図、第２
図はその−線切断面図、第３図は接続アダプ
タにチヤンネル体を接続した状態の断面図、第４
図は従来のシース付内視鏡の断面図である。 １……挿入管、３……先端チツプ、４……観察
窓、９……ガイドチユーブ、１０……シース、１
０ａ……筒状部、１０ｂ……支持体、１１……チ
ヤンネル体、１１ａ……鉗子チヤンネル、１１ｂ
……送気チヤンネル、１１ｃ……送水チヤンネ
ル、１２，１３……ノズル、１４……接続アダプ
タ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 先端に観察窓が設けられた細長くて可撓性を
   有する挿入管と、 その挿入管内に全長にわたつて挿通され、一端
   が挿入管の先端部において、他端が挿入管の基端
   部側において各々外部に開口するガイドチユーブ
   と、 少なくとも上記観察窓の表面に位置する部分が
   透明に形成され、上記挿入管に着脱自在に被覆さ
   れて挿入管を外部環境から絶縁するシースと、 そのシース内に全長にわたつて挿通され、一端
   がシースの先端部において外部に開口し、他端が
   上記ガイドチユーブ内に先端側から挿通されて、
   ガイドチユーブの基端側から外に引き出された少
   なくとも１本のチヤンネル とを有することを特徴とするシース付内視鏡。 ２ 上記シースの先端に、上記透明部の外表面に
   向つて開口するノズルが設けられて、そのノズル
   に上記チヤンネルの一つが連通接続されている請
   求項１記載のシース付内視鏡。 ３ 上記ガイドチユーブから引き出された上記チ
   ヤンネルの基端部付近に、流体を通す管路の端部
   が配置されており、その管路の端部と上記チヤン
   ネルの基端部とを着脱自在に連通接続する接続手
   段が設けられている請求項１又は２記載のシース
   付内視鏡。 ４ 上記接続手段が、内視鏡に対して着脱自在な
   アダプタである請求項３記載のシース付内視鏡。