JP2558354Y2 - 体腔内検査装置の通路形成体 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、内視鏡等のように、体
腔内に挿入されて、診断，検査を行ったり、また治療を
施すため等として用いられる体腔内検査装置に着脱可能
に装着される通路形成体に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】体腔内検査装置の代表的なものとして内
視鏡があるが、この内視鏡には、鉗子等の処置具を挿通
したり、また送気，送水，吸引等の作業を行うために通
路が設けられる。このような通路は、通常、内視鏡の挿
入部に内蔵されている。然るに、内視鏡の挿入部は体腔
内に挿入される関係から、使用の都度汚染されるため、
この通路は頻繁に洗浄する必要がある。特に、鉗子その
他の処置具の挿通路は細胞等を採取した処置具が通過す
るだけでなく、吸引通路とも兼用されることもあり、吸
引通路として用いた場合には、その内部の汚染度合が極
めて激しくなり、徹底した洗浄を行わなければならな
い。しかしながら、この通路はかなり長尺でしかも内径
が細いために、それを隈なく完全に洗浄するのは極めて
困難であり、長時間の洗浄を必要とする。また、完全に
清浄化しない状態で使用すると、汚染物の残留による２
次感染のおそれがある。

【０００３】以上の点を考慮して、処置具挿通チャンネ
ル等の通路部を内視鏡の挿入部とは別体の通路形成体と
して設け、それを挿入部に着脱可能に装着することがで
きる構成としたものは従来から知られている。ここで、
従来技術による処置具挿通チャンネルの通路形成体の代
表的なものとしては、可撓性のあるチューブ材からなる
可撓性チューブの先端に挿入部の先端に嵌合される弾性
のある薄肉の連結リングを連設し、またその基端部には
本体操作部に固定される固定部を設けるようにしたもの
がある。そして、この連結リングを挿入部の先端に嵌合
させると共に、可撓性チューブを挿入部に沿って本体操
作部にまで延在させ、この可撓性チューブの基端部を本
体操作部に固定した状態で内視鏡の挿入部を患者の体内
に挿入し、この基端部に設けた処置具導入部に鉗子その
他の処置具を挿通させることによって、患部の摘出，細
胞の採取等を行うことができる。また、使用後には、連
結リングを挿入部から脱着することによって、新たな通
路形成体を装着することが可能となる。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】ところで、前述したよ
うに連結リングを用いる場合にあっては、この連結リン
グを挿入部の先端に装着した状態で安定させる必要のあ
ることから、ある程度緊度を持たせなければならない。
このために、通路形成体の着脱作業が困難であって、使
用の都度交換するのは極めて煩わしいものとなり、交換
を怠る等のおそれがある。また、この連結リングは挿入
部の直径によりその寸法，形状が定まるものであり、異
なる直径を有する挿入部には装着できない。しかも、そ
の装着位置及び方向も一定であるところから、処置を行
うべき患部の位置や、処置の種類方法等に応じて処置具
を最適な位置及び方向に導出させることができないとい
う問題点もある。

【０００５】本考案は以上のような従来技術の欠点や問
題点を解決するためになされたものであって、極めて容
易に着脱でき、しかも任意の形状の挿入部に、任意の位
置及び方向に取り付け可能な内視鏡等の体腔内検査装置
の通路形成体を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前述した目的を達成する
ために、本考案は、内部に鉗子等の処置具を挿通する通
路として、または送気，送水，吸引用の流体通路として
利用される可撓性チューブの先端を、体腔等の内部に挿
入される挿入部の外面の任意の位置に、任意の方向に向
けて着脱可能に固定するために、この可撓チューブの先
端部にシート状の可撓性部材からなる取付部を設け、こ
の取付部に前記挿入部の外周面に着脱可能に貼着される
粘着層等の止着層を形成する構成としたことをその特徴
とするものである。

【０００７】

【作用】このように、可撓性チューブの先端に連設した
取付部の止着層により挿入部に止着するだけで、通路形
成体を内視鏡に極めて容易に装着することができ、また
その取り外しも極めて容易に行える。従って、一度使用
した通路形成体の取り外しを怠ったまま再度使用するお
それは極めて少なくなる。しかも、止着層が設けられる
取付部はシート状の可撓性部材からなるので、挿入部の
外周面における任意の位置に貼着でき、外形寸法の異な
る挿入部にも装着可能であるだけでなく、患部の位置や
施すべき処置等に応じて最適な方向に向くように可撓性
チューブをセットすることができる。

【０００８】

【実施例】以下、本考案の実施例を図面に基づいて詳細
に説明する。なお、以下の説明においては、体腔内検査
装置の一例として、内視鏡を示すが、この内視鏡以外に
も、例えば体内に挿入されるタイプの超音波プローブ等
としても構成できるのは言うまでもない。

【０００９】図１に内視鏡の全体構成を示し、図２に通
路形成体示す。まず、図１において、１は内視鏡を示
し、この内視鏡１は本体操作部２に体腔内に挿入される
挿入部３を連設したものであり、挿入部３は、その本体
操作部２への連設側から大半の部分は挿入経路に沿って
自由に曲がる軟性部３ａで構成され、この軟性部３ａの
先端部にはアングル部３ｂが、またアングル部３ｂの先
端には先端硬質部３ｃが順次連設されている。

【００１０】通路形成体１０は、前述した内視鏡１に着
脱可能に装着されるものであって、可撓性を有する合成
樹脂材で形成した可撓性チューブ１１を有し、この可撓
性チューブ１１の先端には取付部１２が一体的に連設さ
れている。図３から明らかなように、取付部１２は平板
状の可撓シート部材からなり、その一側面は挿入部３の
外面に止着される止着層として、両面粘着テープ１３が
貼着されており、またこの両面粘着テープ１３には剥離
紙１４が積層されている。可撓性チューブ１１は挿入部
３の全長より僅かに長い寸法を有し、その基端部には本
体操作部２に固定される固定部材１５が連設されてい
る。固定部材１５には本体操作部２における所定の部位
の外形形状に対応する凹状の連結部１５ａが形成されて
おり、この連結部１５ａには取付部１２と同様、両面粘
着テープ１６が貼着され、またこの両面粘着テープ１６
には剥離紙１７が積層されている。

【００１１】ここで、通路形成体１０は、鉗子その他の
処置具を挿通するための、所謂処置具挿通チャンネルと
して用いることができ、また吸引通路や、体腔内に送
水，送気等を行うための通路としても用いられる。従っ
て、この通路形成体１０における可撓性チューブ１１は
その先端が開口しており、基端側には、体内からの逆流
を防止するための逆流防止弁１８が装着されている。ま
た、吸引通路，送水通路，送気通路等として用いる場合
には、吸引管，送水管，送気管等を着脱可能に接続する
ためのねじ溝等を備えた接続部が形成され、この接続部
に配管を接続する際には、逆流防止弁１８を強制的に開
放させるようにする。一方、処置具挿通チャンネルとし
て用いる場合には、このような接続部を設ける必要はな
いが、処置具を固定することができる構造となっている
のが好ましい。また、可撓性チューブ１１の内部に処置
具が挿通されることから、この可撓性チューブ１１は滑
り性が良好となっていなければならない。

【００１２】本実施例は以上のように構成されるもので
あって、内視鏡１と通路形成体１０とはそれぞれ別体と
なっており、内視鏡１を使用するときに、必要に応じて
この通路形成体１０が内視鏡１に装着される。まず、固
定部材１５側の粘着テープ１６に積層されている剥離紙
１７を剥離して本体操作部２の所定の位置に貼着すると
共に、取付部１２における両面粘着テープ１３の剥離紙
１４を剥離して、この両面粘着テープ１３を挿入部３の
先端部に貼着することによって、図４に示したように、
通路形成体１０が内視鏡１に装着される。このように、
両面粘着テープ１３，１６を貼着することにより通路形
成体１０は内視鏡１に装着されることから、極めて容易
に、しかも迅速に装着することができ、またこの通路形
成体１０の取り外しも極めて容易になり、内視鏡１にお
ける通路形成体１０の交換作業が著しく簡略化される。
しかも、使用の都度洗浄されることから、少なくともこ
の洗浄時に通路形成体１０が確実に取り外されることに
なり、交換を怠る等のおそれはない。また、両面粘着テ
ープ１３，１６を剥離したときに、粘着剤が内視鏡１側
に付着したまま残ることもあるが、内視鏡１の洗浄時に
このような粘着剤も除去される。

【００１３】而して、挿入部３の先端部分に取り付けら
れる取付部１２は可撓性のあるシート状に形成し、それ
を挿入部３に取り付けるに当っては、両面粘着テープ１
３で貼着するようにしていることから、たとえ挿入部３
の外形寸法がどのようなものであっても、確実に取り付
けることができる。しかも、その取り付け位置も方向も
限定されないことから、患部の位置や状態，施すべき処
置に応じて最適な位置及び方向に向けて取り付けること
ができる。

【００１４】例えばストリップバイオプシ、即ち体腔内
壁を摘み上げて高周波処置具で切断する等の操作を行う
場合には、図５に示したように、処置具挿通チャンネル
を持った内視鏡２０の挿入部２０ａの先端に通路形成体
１０を装着し、この通路形成体１０における取付部１２
を斜め下方に向くように装着する。そして、通路形成体
１０からは高周波切断具２１を導出させ、また内視鏡２
０の処置具挿通チャンネル２２側からは把持鉗子２３を
導出させることによって、把持鉗子２３による体腔内壁
の摘み上げと、高周波切断具２１による患部の切断の２
つの操作を円滑に行うことができる。而して、この高周
波切断具２１は、その導出方向が患部に向くことから、
患部の切断操作が容易になる。また、体腔内壁に注射を
行う場合においても、前述したと同様に、取付部１２を
斜めに取り付けることによって、注射を行うべきターゲ
ットに対する指向性が極めて良くなる。さらには、内視
鏡としては、観察窓が先端硬質部における先端面に設け
られている直視型のものだけでなく、観察視野が斜め前
方を向いた斜視型の内視鏡や、挿入部の軸線と直交する
方向に視野を持った側視型の内視鏡も用いられるが、通
路形成体１０の先端部の方向を任意に設定できるように
なっていると、処置具等の導出方向をこの視野の方向に
合わせることができることになり、処置具の操作性が向
上する。

【００１５】なお、通路形成体１０を吸引通路や、送水
通路，送気通路として利用する場合においても、その先
端部を挿入部３における任意の位置及び方向に取り付け
ることができるようになっていることは便利である。ま
た、例えば図６に示したように、超音波プローブ３０に
超音波伝播媒体としての脱気水を供給する場合において
は、超音波振動子が装着されている挿入部３１の先端硬
質部３１ａの手前側から給水を行うことが、その体腔内
での流れから有利である場合があるが、この場合には、
取付部１２′を挿入部３１におけるアングル部３１ｂま
たはアングル部３１ｂと軟性部３１ｃとの連結部近傍に
取り付けることもできる。さらに、取付部を挿入部に貼
着するための手段として、両面粘着テープを用いるよう
にしたが、例えば取付部１２に直接粘着層等を形成する
ようにしてもよい。

【００１６】

【考案の効果】以上説明したように、本考案は、可撓性
チューブの先端に、シート状の可撓性部材からなる取付
部を連設し、この取付部の表面に、挿入部の外周面の任
意の位置に、任意の方向に向けて着脱可能に貼着される
粘着層等の止着層を形成する構成としたので、体内検査
装置への着脱が極めて容易になり、またその挿入部の外
形形状がどのようなものであっても取り付けが可能であ
り、しかも取り付け位置及び方向も自由に設定すること
ができ、体内における患部の位置や状態，診断，検査や
治療等の種類方式に応じて最適な位置及び方向に可撓性
チューブを配置できる等の諸効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】体内検査装置の一例としての内視鏡の外観図で
ある。

【図２】本考案の一実施例を示す通路形成体の外観図で
ある。

【図３】固定部材及び取付部の拡大断面図である。

【図４】通路形成体を内視鏡に装着した状態を示す要部
外観図である。

【図５】通路形成体の作動説明図である。

【図６】本考案の他の実施例を示すもので、通路形成体
を超音波プローブに取り付けた状態の外観図である。

【符号の説明】

１，２０ 内視鏡 ２ 本体操作部 ３ 挿入部 １０ 通路形成体 １１ 可撓性チューブ １２，１２′ 取付部 １３，１６ 両面粘着テープ １５ 固定部材 ３０ 超音波プローブ

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 内部に鉗子等の処置具を挿通する通路と
   して、または送気，送水，吸引用の流体通路として利用
   される可撓性チューブの先端を、体腔等の内部に挿入さ
   れる挿入部の外面の任意の位置に、任意の方向に向けて
   着脱可能に固定するために、この可撓チューブの先端部
   にシート状の可撓性部材からなる取付部を設け、この取
   付部に前記挿入部の外周面に着脱可能に貼着される粘着
   層等の止着層を形成する構成としたことを特徴とする体
   腔内検査装置の通路形成体。