JP4131012B2 - 外套シース付内視鏡 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、内視鏡の可撓性挿入部が汚染されるのを防止するための外套シースを有する外套シース付内視鏡に関する。
【０００２】
【従来の技術】
内視鏡検査において内視鏡を介して患者間感染が発生しないようにするためには、内視鏡の可撓性挿入部に外套シースを被覆して、その外套シースを内視鏡検査一回毎に取り替えるようにすればよい。
【０００３】
そして、内視鏡検査の際に処置具類を使用できるようにするためには、処置具類を通すためのチャンネルチューブを外套シースに設けて、可撓性挿入部側に設けたガイド溝にチャンネルチューブが通されるように構成される。
【０００４】
そのような外套シース付内視鏡においては、内視鏡検査中に、観察窓等が配置されている可撓性挿入部の先端部分に対して、そこに被覆された外套シースの先端部分が移動してしまわないようにする必要がある。
【０００５】
そこで従来は、可撓性挿入部の先端部分が外套シースの先端内から後方に抜け出すのを規制するための爪機構からなる抜け止め機構を設けて、内視鏡検査終了後に外套シースから可撓性挿入部を抜き出す際には、キャップ状に形成された外套シースの先端部材を外側から押しつぶして径方向に弾性変形させることにより爪機構の係合が外れるようにしていた（例えば、特許文献１、特許文献２）。
【０００６】
【特許文献１】
特開平３−１９３０２３号公報
【特許文献２】
実開平７−３３３０１号公報
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、爪機構の係合を外す際に、キャップ状に形成された外套シースの先端部材を外側から押しつぶして弾性変形させると、力加減が分からなくて係合がうまく外れない場合があるだけでなく、力が入り過ぎて外套シースの先端部分を破損してしまう場合があった。
【０００８】
そこで本発明は、可撓性挿入部の先端部分が外套シースの先端部分内から抜け出すのを規制するための抜け止め機構を、確実かつ部材を破損する恐れなく係脱させることができる外套シース付内視鏡を提供することを目的とする。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の外套シース付内視鏡は、内視鏡の可撓性挿入部に着脱自在に被覆される外套シース内にチャンネルチューブが挿通配置されてチャンネルチューブの先端が外套シースの先端に固着され、外套シースが可撓性挿入部に被覆された状態においてチャンネルチューブが通されるガイド溝が可撓性挿入部に設けられると共に、可撓性挿入部の先端部分が外套シースの先端部分内から抜け出すのを規制するための抜け止め機構が設けられた外套シース付内視鏡において、外套シースの先端部分を可撓性挿入部の先端部分に対して軸線周りに所定の範囲で回転可能に構成すると共に、その回転動作に追従してチャンネルチューブの先端近傍部が弾性変形しながら回動するためのチャンネル変形空間を設け、外套シースの先端部分を可撓性挿入部の先端部分に対して軸線周りに所定の範囲で回転させることにより抜け止め機構が係脱されるようにしたものである。
【００１０】
なお、外套シースが可撓性挿入部に被覆されて無荷重の状態ではチャンネルチューブの弾性により抜け止め機構が係合する状態を維持し、チャンネルチューブをチャンネル変形空間内で弾性変形させながら外套シースの先端部分を可撓性挿入部の先端部分に対して軸線周りに所定の範囲で回転させることにより、抜け止め機構の係合が外れて外套シースの先端部分内から可撓性挿入部の先端部分が抜け出せる状態になるようにしてもよい。
【００１１】
そして、抜け止め機構が、可撓性挿入部の先端部分の外面に形成されたＬ字状の溝状部と、その溝状部に係脱自在に外套シースの先端部分の内面に形成された爪状部とを有していてもよい。
【００１２】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図２は、内視鏡１０と、その内視鏡１０の可撓性挿入部１１に着脱自在に被覆される外套シース２０の一例を示している。なお、外套シース２０は断面が図示され、内視鏡１０は外観が図示されている。
【００１３】
内視鏡１０の可撓性挿入部１１の先端には、観察窓１４等が配置された先端部本体１３が連結され、可撓性挿入部１１の基端は操作部１５の下端に連結されている。
【００１４】
可撓性挿入部１１の内部には、例えば可撓性のポリエチレン樹脂チューブ等からなるガイドチャンネル１７が全長にわたって挿通配置されており、その先端開口１７ａが先端部本体１３の先端面の中心から偏位した位置に形成され、ガイドチャンネル１７の基端は、操作部１５に突出形成された基端側開口１７ｂに連通している。
【００１５】
外套シース２０は、内視鏡検査の際に内視鏡１０が被験者の体液等によって汚染されないように可撓性挿入部１１に被覆されるものであり、例えばシリコンゴムチューブ等のような伸縮性のある材料によって薄肉円筒状に形成された被覆チューブ２１が、内視鏡１０の可撓性挿入部１１に着脱自在に被覆されるように設けられている。
【００１６】
そして、被覆チューブ２１の先端には、透明な部材により形成されて内視鏡１０の先端部本体１３部分に被嵌される先端キャップ２２が水密に取り付けられている。
【００１７】
被覆チューブ２１の基端に固着された連結環２４は内視鏡１０の可撓性挿入部１１と操作部１５との連結部分に対して係脱自在になっていて、手動固定ネジ２５を締め付けることにより連結部分に任意に固定することができる。
【００１８】
被覆チューブ２１内には、例えば可撓性の四フッ化エチレン樹脂チューブ等のように滑りのよい材料からなるチャンネルチューブ２３が、軸線と平行方向に全長にわたって挿通配置されている。
【００１９】
そして、チャンネルチューブ２３の先端は先端キャップ２２の先端面において外面に開口するように先端キャップ２２に接続固着されており、チャンネルチューブ２３の基端側部分２３Ａは連結環２４内を通過して後方に長く延出している。
【００２０】
チャンネルチューブ２３は内視鏡１０のガイドチャンネル１７内に全長にわたって挿脱自在であり、チャンネルチューブ２３の基端側部分２３Ａを、ガイドチャンネル１７に先端開口１７ａ側から差し込んで反対側の基端側開口１７ｂから引き出すことができる。
【００２１】
図３は、内視鏡１０の可撓性挿入部１１に外套シース２０が被覆された状態の先端部分を示し、図１は、先端部本体１３から先端キャップ２２が外された状態を、被覆チューブ２１を省略して示している。
【００２２】
図３に示されるように、可撓性挿入部１１に外套シース２０が被覆された状態では、先端キャップ２２の先端内面が先端部本体１３の先端外面に密着し、外套シース２０のチャンネルチューブ２３が内視鏡１０のガイドチャンネル１７内に通されている。
【００２３】
したがって、先端キャップ２２は軸線周りに回転可能に先端部本体１３に被嵌された状態になっているものの、その回転は、チャンネルチューブ２３がガイドチャンネル１７内に挿通されていることにより規制されている。
【００２４】
ただし、先端部本体１３内においてチャンネルチューブ２３が通過する部分には、IV−IV断面を図示する図４に示されるように、チャンネルチューブ２３の先端近傍部が先端キャップ２２の軸線周りに回動して変形（それは、ほぼ弾性変形である）可能なチャンネル変形空間１９が形成されていて、チャンネルチューブ２３がチャンネル変形空間１９内で弾性変形する範囲で、先端キャップ２２が先端部本体１３の周りに回転することができる。
【００２５】
また、図１等に示されるように、先端キャップ２２と先端部本体１３には、先端キャップ２２内から先端部本体１３が後方に抜け出すのを規制するための爪状部２８と溝状部１８からなる抜け止め機構が設けられている。
【００２６】
この実施例においては、爪状部２８は、先端キャップ２２の内周面の４ヵ所にＬ字状に突出形成され、溝状部１８は、爪状部２８が係脱できるように先端部本体１３の外周面の４ヵ所にＬ字状に窪んで形成されている。
【００２７】
図５は、その爪状部２８と溝状部１８の係合状態を示しており、爪状部２８の爪部分２８ａが溝状部１８の段差部分１８ａに係合することにより、先端キャップ２２と先端部本体１３とが軸線方向に相対的に移動できない抜け止め状態になる。
【００２８】
しかし、図４等にも示されるように、溝状部１８が爪状部２８より周方向に幅広に形成されているので、先端キャップ２２を先端部本体１３の周りに回転させることにより、図６に示されるように爪状部２８の爪部分２８ａが溝状部１８の段差部分１８ａから外れて、先端キャップ２２内から後方に先端部本体１３を抜き出すことができる抜け止め解除状態になる。
【００２９】
このように構成された実施例の装置においては、外套シース２０が可撓性挿入部１１に被覆されて先端キャップ２２に対して特別な荷重が加えられていない通常の状態では、図７に示されるように、チャンネルチューブ２３がチャンネル変形空間１９内において自己の弾性により先端キャップ２２の軸線とほぼ平行に真っ直ぐになっていて、図５に示されるように、爪状部２８が溝状部１８に係合する抜け止め状態を維持している。
【００３０】
そして、その状態から先端キャップ２２を先端部本体１３の周りに回転させると、それに追従して、図８に示されるようにチャンネル変形空間１９内でチャンネルチューブ２３が弾性変形しながら回動し、図６に示されるように爪状部２８と溝状部１８との係合が外れた抜け止め解除状態になって、可撓性挿入部１１を外套シース２０から後方に抜き出すことができる。
【００３１】
なお、外套シース２０を可撓性挿入部１１に被覆する際には、爪状部２８の先端の角部分が斜面状に形成されているので、爪状部２８が溝状部１８内にスムーズに導入される。
【００３２】
また、その際には、チャンネルチューブ２３がチャンネル変形空間１９内において図８に示される弾性変形状態になるが、爪状部２８と溝状部１８との係合後は、チャンネルチューブ２３が自己の弾性により図７に示される通常の真っ直ぐな状態に戻って、図５に示される抜け止め状態になる。
【００３３】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、例えばガイドチャンネル１７が可撓性挿入部１１内に挿通配置されずに、可撓性挿入部１１の外表面から凹んだ溝状に形成されている装置等であっても、上述の実施例と同様に本発明を適用することができる。
【００３４】
【発明の効果】
本発明によれば、可撓性挿入部の先端部分が外套シースの先端部分内から抜け出すのを規制するための抜け止め機構の係脱が、チャンネルチューブがチャンネル変形空間内において弾性変形する範囲で外套シースの先端部分を可撓性挿入部の先端部分に対して軸線周りに回転させることにより行われるので、部材を破損する恐れなく抜け止め機構を確実に係脱させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施例の外套シース付内視鏡の可撓性挿入部から外套シースが外された状態を一部を省略して示す斜視図である。
【図２】本発明の実施例の外套シース付内視鏡の可撓性挿入部と外套シースとが分離された状態の側面一部断面図である。
【図３】本発明の実施例の外套シース付内視鏡の可撓性挿入部に外套シースが被覆された状態の先端部分の側面断面図である。
【図４】本発明の実施例の図３におけるIV−IV断面図である。
【図５】本発明の実施例の抜け止め機構の係合状態の側面断面図である。
【図６】本発明の実施例の抜け止め機構の解除状態の側面断面図である。
【図７】本発明の実施例の通常状態におけるチャンネル変形空間内のチャンネルチューブの状態を示す側面断面図である。
【図８】本発明の実施例の抜け止め機構を係脱させる際のチャンネル変形空間内のチャンネルチューブの状態を示す側面断面図である。
【符号の説明】
１０ 内視鏡
１１ 可撓性挿入部
１３ 先端部本体（先端部分）
１７ ガイドチャンネル
１８ 溝状部（抜け止め機構）
１８ａ 段差部分
１９ チャンネル変形空間
２０ 外套シース
２１ 被覆チューブ
２２ 先端キャップ
２３ チャンネルチューブ
２８ 爪状部（抜け止め機構）
２８ａ 爪部分

Claims (3)

1. 内視鏡の可撓性挿入部に着脱自在に被覆される外套シース内にチャンネルチューブが挿通配置されて上記チャンネルチューブの先端が上記外套シースの先端に固着され、上記外套シースが上記可撓性挿入部に被覆された状態において上記チャンネルチューブが通される案内管路が上記可撓性挿入部に設けられると共に、上記可撓性挿入部の先端部分が上記外套シースの先端部分内から抜け出すのを規制するための抜け止め機構が設けられた外套シース付内視鏡において、
   上記外套シースの先端部分を上記可撓性挿入部の先端部分に対して軸線周りに所定の範囲で回転可能に構成すると共に、その回転動作に追従して上記チャンネルチューブの先端近傍部が弾性変形しながら回動するためのチャンネル変形空間を設け、上記外套シースの先端部分を上記可撓性挿入部の先端部分に対して軸線周りに上記所定の範囲で回転させることにより上記抜け止め機構が係脱されるようにしたことを特徴とする外套シース付内視鏡。
2. 上記外套シースが上記可撓性挿入部に被覆されて無荷重の状態では上記チャンネルチューブの弾性により上記抜け止め機構が係合する状態を維持し、上記チャンネルチューブを上記チャンネル変形空間内で弾性変形させながら上記外套シースの先端部分を上記可撓性挿入部の先端部分に対して軸線周りに上記所定の範囲で回転させることにより、上記抜け止め機構の係合が外れて上記外套シースの先端部分内から上記可撓性挿入部の先端部分が抜け出せる状態になる請求項１記載の外套シース付内視鏡。
3. 上記抜け止め機構が、上記可撓性挿入部の先端部分の外面に形成されたＬ字状の溝状部と、その溝状部に係脱自在に上記外套シースの先端部分の内面に形成された爪状部とを有している請求項１又は２記載の外套シース付内視鏡。

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