JPH0322944B2 - - Google Patents

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JPH0322944B2
JPH0322944B2 JP58246642A JP24664283A JPH0322944B2 JP H0322944 B2 JPH0322944 B2 JP H0322944B2 JP 58246642 A JP58246642 A JP 58246642A JP 24664283 A JP24664283 A JP 24664283A JP H0322944 B2 JPH0322944 B2 JP H0322944B2
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antibody
fibroin
immobilized
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antibodies
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Yukio Horikawa
Hiroshi Nakayama
Hiroshi Jinno
Seiichi Iwamoto
Noritsugu Hirasawa
Mikio Tonomura
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Kanebo Ltd
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Kanebo Ltd
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Publication date
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Publication of JPH0322944B2 publication Critical patent/JPH0322944B2/ja
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    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/53Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
    • G01N33/543Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor with an insoluble carrier for immobilising immunochemicals
    • G01N33/544Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor with an insoluble carrier for immobilising immunochemicals the carrier being organic
    • G01N33/545Synthetic resin

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  • Immunology (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
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  • General Physics & Mathematics (AREA)
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  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
本発明は固定化抗体に関するものであり、より
詳細にはフイブロインマトリツクス中に抗体を包
括固定化してなる免疫化学的測定法における固定
相としての固定化抗体に関するものである。 抗原抗体反応の高い特異性、選択性を利用して
検体中に含まれる特定の抗原あるいは抗体を検
出、同定し、疾病等の診断あるいは治療に役立た
せることは古くから行われている。特に近年、ラ
ジオイムノアツセイ、エンザイムイムノアツセイ
あるいは化学発光免疫判定法などの微量分析手法
が実用化さ、上記の免疫化学的特異反応に基づく
測定法の感度ならびに精度が飛躍的に向上するに
至つて、医療分野例えば臨床検査における該測定
法の有用性は益々高まつて来ている。 この免疫化学的測定法を実施するに当つては、
測定精度あるいは操作の簡便性等の観点から、一
般に測定対象の抗原(あるいは抗体)に対応する
抗体(あるいは抗原)を予め適当な不溶性担体に
固定化しておき、この固定相に被検抗原(あるい
は抗体)を反応させるいわゆる固定法が用いられ
ており、固定化抗体はかかる手法を抗原の測定に
適用する場合における上記固定相として使用され
る。 しかして、固定化抗体としては、抗体の不溶性
抗体への固定化様式の点から大別して、抗体をグ
ルタルアルデヒド、臭化シアンなどを用いて担体
に共有結合させる化学結合法によるもの、抗体を
物理的あるいはイオン的な結合力によつて担体に
吸着固定化させる吸着法によるもの、および抗体
を適当な高分子マトリツクス中に包括固定化する
包括法によるものの3つが代表的なものとして挙
げられ、それらのうち前二者、なかでも吸着法に
よるものは、臨床検査用試薬等として汎用され、
既に一定の評価を受けているが、これに対して包
括法によるものは、吸着法あるいは化学結合法の
場合に比べ、一般に抗体の表面固定化量(固定化
抗体の表面部に分布する抗体の量ないしは活性。
抗原に対する結合能に関係する。)に劣るという
難点があることに加え、従来公知の包括型固定化
抗体には、以下に述べる如きそれらに固有の問題
点があつて、未だ実用化の域に達していない。 即ち、包括法による固定化抗体としては、ポリ
アクリルアミドおよび酢酸セルロースをそれぞれ
包括用ポリマーとして用いたものが公知であるが
〔クリニカル・ケミストリイ(Clinical
Chemistry)第19巻、1341頁(1973年);ジヤー
ナル・オブ・ソリツド−フエイズ・バイオケミス
トリイ(Journal of Solid−Phase Bio−
chemistry)第4巻、25頁(1979年)参照〕、前
者のポリアクリルアミドの場合は、その特性上免
疫化学的反応に基づかないいわゆる非特異的な蛋
白吸着が生じ易いという難点があるばかりでな
く、ゲル状物であるため機械的強度に劣り該非特
異的吸着物を十分洗浄除去することも困難であつ
て、それら吸着物に起因する定量阻害が甚だし
く、実際上かかるものを免疫化学的測定に適用す
ることは困難である。一方、後者の酢酸セルロー
スの場合は、該素材が水に不溶性であるので、こ
れをアセトン、テトラハイドロフランなどの有機
溶媒に溶解して使用するが、一般に水溶性である
抗体はそれら有機溶媒溶液への分散が不良である
ため、この方法では均質な固定化抗体は得難く、
また表面固定化量も一層低下する傾向にある。 かかる状況下にあつて本発明者らは、包括法に
よつて実用に供し得る固定化抗体を調製すること
の可能性につき鋭意検討を行つた結果、包括用ポ
リマーとしてフイブロインを用いて得られる固定
化抗体が高い表面固定化量を有し、しかも非特異
的吸着による定量阻害、分離阻害も少なく、免疫
化学的測定に適用して実用上十分満足し得る高い
測定感度・精度を与えることを知り、本発明を完
成するに到つた。 即ち、本発明は、抗体がフイブロインマトリツ
クス中に包括固定化されていることを特徴とす
る、免疫化学的測定法における固定相としての固
定化抗体である。 以下、本発明の実施態様について詳細に説明す
る。 本発明の固定化抗体は、フイブロイン水溶液に
抗体を溶解(あるいは場合によつては分散)さ
せ、この水溶液からフイブロインを抗体と共に凝
固不溶化(マトリツクス形成)させて、フイルム
状、粉末状等とすることによつて製造される。ま
た、マトリツクス形成を何らかの基体上で行わし
め、該基体と一体となつた形態としてもよく、か
かるものも本発明に包含される。 フイブロイン水溶液としては、生糸、絹紡糸、
生糸屑、キキ、ビス、くずまゆ、ブーレツト等の
絹あるいは絹原料から常法に従つてセリシンを除
去して得られる実質的にフイブロインのみからな
る繊維を、銅−アンモニア水溶液、水酸化銅−エ
チレンジアミン水溶液、ロダン酸塩水溶液、臭化
リチウム水溶液、塩化カルシウム水溶液、硝酸カ
ルシウム水溶液、硝酸マグネシウム水溶液などに
溶解し、次いでこの溶液を透析法等によつて脱塩
したものが好適に使用される。 フイブロイン水溶液の濃度は、一般に2〜20重
量%の範囲であり、好ましくは5〜15重量%の範
囲である。この場合、固定化抗体の形態を上記の
基体と一体となつた形とするのであれば、該濃度
はさらに低くてもよく、通常0.1〜5重量%程度
のものが使用される。 フイブロイン水溶液に溶解(あるいは場合によ
つては分散)せしめる抗体の量、即ちフイブロイ
ンマトリツクス中に包括固定化する抗体の量は、
抗体の種類等によつて異なり一概には云えない
が、一般にはフイブロイン(固形分)に対して
0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜30重量%、特に
好ましくは1〜20重量%の範囲であり、かかる範
囲から適宜のものが選択される。なお、この場合
前記の基体と一体となつた形態の固定化抗体とす
るのであれば、必要に応じて抗体のフイブロイン
に対する使用比を上記の範囲より大とする(例え
ば100重量%程度まで増大せしめる)ことが可能
であり、これによつてより高い表面固定化量を示
す固定化抗体を得ることができる。 本発明で用いる抗体としては特に限定はなく、
多様なものが選択できる。免疫動物もマウス、ラ
ツト、ウサギ、ヒツジ、ヤギ、ヒト等のいずれで
あつてもよい。ただ、一般には、細胞融合法によ
つて得られるモノクローナル抗体であることが好
ましく、かかる抗体を使用することにより、固定
化抗体の感度、精度を一層向上せしめることがで
きる。 ここで、抗体の具体例を挙げると、例えば以下
のようなものがあるが、勿論これらに限定される
わけではない。 1 インシユリン、絨毛性ゴナドトロピン、胎盤
性ラクトゲン、黄体形成ホルモンなどのホルモ
ンに対する抗体。 2 イムノグロブリンG(以下、イムノグロブリ
ンをIgで表わす)、IgA、IgM、IgE、α−フエ
トプロテイン、ハプトグロビンなどの血清蛋白
に対する抗体。 3 大腸菌毒素、コレラトキシン、肝炎ウイル
ス、風疹ウイルス、インフルエンザウイルス等
の毒素あるいはウイルスに対する抗体。 4 エストラジオール、プロゲステロン、テスト
ステロン、フエニトイン、プロカインアミド、
カナマイシン、ペニシリン、バルビツール酸等
のハプテンに対する抗体。 これらの抗体を含むフイブロイン水溶液からフ
イブロインを凝固不溶化(マトリツクス形成)せ
しめて本発明の固定化抗体を得る方法としては、
該溶液を風乾、加温乾燥、噴霧乾燥など適宜の手
段によつて乾燥する方法、あるいは該溶液を、硫
酸アンモニウム水溶液、酢酸ナトリウム水溶液、
硫酸ナトリウム水溶液などの塩類溶液もしくはメ
チルアルコール、エチルアルコール、プロピルア
ルコール、アセトン等の水混和性有機溶媒と混合
または接触せしめてフイブロインを凝固析出せし
める方法が好適に使用される。また、場合によつ
ては超音波処理、ズリ変形処理(例えば激しい撹
拌など)を用いることもできる。 これら凝固不溶化処理によつて、一般にフイブ
ロインは後に定義する結晶化度で約20%以上、通
常は約30%以上の値を示す結晶性の耐水性マトリ
ツクスを形成する。ただ乾燥法を用いた場合のみ
は、条件によつてはフイブロインが無定形ないし
低結晶性の凝固物を形成して十分な耐水性を示さ
なくなることがあるので、上記の結晶化度(約20
%以上)を複足するような条件、具体的には湿度
60%以上の雰囲気下に室温〜40℃で乾燥を行うこ
とが肝要である。また、乾燥法における結晶化不
充分を補うために、フイブロイン水溶液に、予め
エチルアルコール、エチレングリコール、グリセ
リンなどのアルコール類、あるいは硫酸ナトリウ
ム、塩化マグネシウム、硫酸アンモニウム等の凝
固性塩を添加した上で乾燥を行うのも好ましい方
法であり、かくすることにより、上記の温湿度調
整を何ら要することなく、例えば単なる風乾ある
いは通風乾燥によつて、さらにはまた凍結乾燥の
ような低温度下に於てすら、上記の結晶化度を満
足するフイブロインマトリツクスを形成せしめる
ことができる。特に、グリセリンなどの多価アル
コール類を用いた場合には、これによつてフイブ
ロインに望ましい可塑性が付与され、機械的物性
のより良好な固定化抗体が得られるとの利点もあ
つて一層好ましい。 これらの添加物を用いる場合、その添加量はア
ルコール類であれば、フイブロイン(固形分)に
対して2〜50重量%、好ましくは10〜40重量%の
範囲であり、また凝固性塩であれば同じく2〜20
重量%、好ましくは5〜10重量%の範囲である。
これら添加物は、乾燥終了後ならば水洗除去され
る。 一方、フイブロインの凝固不溶化法として、フ
イブロイン水溶液を塩類溶液または水混和性有機
溶媒と混和もしくは接触させてフイブロインを析
出凝固せしめる方法(以下これを析出法という)
を用いる場合には、前記した通りフイブロインの
結晶化度は自ずと20%を越え、一般に結晶化度が
25〜40%の好ましい耐水性を示すフイブロインマ
トリツクスが形成される。 この方法で用いる塩類溶液の濃度は、一般に15
〜50重量%の範囲であり、また水混和性有機溶媒
であれば、前記した如き溶媒を単独であるいは50
%程度までの水を含む水混和物として使用する。
これらはフイブロイン水溶液に対して、フイブロ
インを凝固析出せしめるに十分な量だけ用いられ
る。 本発明の固定化抗体の形状としては、フイルム
状、粉末状、顆粒状、繊維状等適宜のものが選択
されるが、本発明に於ては上記の如く包括用ポリ
マーのフイブロインが乾燥、塩析などの簡便かつ
温度な操作を施すだけで凝固不溶化することか
ら、それら任意の形状とすることが容易である。 フイルム状の固定化抗体は、例えばガラス板、
テフロン板、アクリル板等の平板上に、抗体(お
よび好ましくはさらにフイブロインの結晶化を促
進するためのアルコール類あるいは凝固性塩)を
含むフイブロイン水溶液を流延し、これを乾燥す
るか、もしくは抗体−フイブロイン混合溶液を流
延したものに前記の析出法を適用してフイブロイ
ンを凝固不溶化した後ここに生成するフイルムを
平板から剥離することによつて容易に製造するこ
とができる。 粉末状ないし顆粒状の固定化抗体は、抗体−フ
イブロイン混合溶液から析出法によつて抗体含有
フイブロインを凝固析出させ、これを分取、乾燥
し、さらに必要ならば粉砕することによつて得ら
れる。また、繊維状の固定化抗体は、抗体−フイ
ブロイン混合溶液を適当なノズルを用いて凝固
浴、例えば析出法で用いるのと同様の塩類溶液中
に紡出して凝固せしめ、必要に応じてさらに延伸
処理等を施すことによつて製造される。 さらに、本発明の固定化抗体は、前記した通り
フイブロインマトリツクスを何らかの基体上に形
成せしめ、該基体と一体になつた形態のものとす
ることもできる。 かかる固定化抗体は、例えば適当な基体にフイ
ブロイン−抗体混合溶液をコーテイングし、前記
の乾燥法、析出法等を適用してフイブロインを凝
固不溶化(マトリツクス形成)せしめる方法によ
つて製造できる。基体としては、例えばガラス、
ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、
ポリエステル、ポリメタクリル酸メチル等からな
る成型物(フイルム、シート、平板、ビーズ、ボ
ール、ロツドなど)が挙げられる。また、未反応
抗原、非特異的吸着物などの洗浄除去が可能な範
囲内であれば、比表面積の大きな多孔質体を基体
として用いるのも抗体の表面固定化量の観点から
は好ましく、かかるものとしては、例えば多孔性
シリカ、多孔性メタケイ酸アルミン酸マグネシウ
ムなどの無機多孔質体、上記のポリマー成型物の
表面粗面化処理物、あるいは不織布、濾紙などの
繊維集合体等がある。 これら基体と一体となつた形態の固定化抗体と
する場合、フイブロインマトリツクスの機械的強
度は、該マトリツクスを単独で用いる場合ほどに
は要求されないので、マトリツクス層の厚みある
いは抗体に対するフイブロインの使用比等を低減
せしめることが可能であり、そのためフイブロイ
ンマトリツクスの表面化に分布する抗体の量ある
いは比率が増し、抗体の表面固定化量がより増大
するという利点がある。従つて、かかる基体と一
体化された形態からなる固定化抗体は、本発明の
実施態様中最も好ましいものの一つということが
できる。 以下、本発明の固定化抗体の特長ないし利点に
ついて述べる。 まず、本発明の固定化抗体は、包括用ポリマー
としてフイブロインを用いたことによつて他のポ
リマーを用いた場合に比べ遥かに高い表面固定化
量を示す(試験例1参照)。これは、フイブロイ
ンが前記した如く極く温和な条件で凝固不溶化す
るため、包括時に抗体の変性、失活が殆んど生じ
ないということによるほか、さらにフイブロンの
特性に基づく該マトリツクス中での抗体の分布の
問題等種々の要因が関与しているものと思われ
る。ただいずれにせよ、高い表面固定化量を実現
し得たことは、測定感度・精度を高め得るという
意味で有利であり、次に述べる非特異的吸着に基
づく定量阻害、分離阻害が少ないことと相俟つ
て、本発明の固定化抗体によれば、微量の抗原の
定量にも適用可能な高感度、高精度を達すること
ができる(例えば試験例3参照)。 本発明の固定化抗体の第二の、そして重要な特
長の一つは、検液中の夾雑蛋白とかあるいは免疫
反応検出のための標識抗体などを非特異的に吸着
することが少なく、かつまたこれを有効に抑止し
得るということである。非特異的吸着が生じ易い
と、ブランク値が大となつて測定感度が低下した
り、あるいは反応温度、時間をある程度厳密に管
理しないと測定値の再現性に乏しくなるなど種々
の難点ないし制約を生ずることとなるが、本発明
の固定化抗体の場合には、包括用ポリマーとして
用いたフイブロインの特性(本発明者等の実験の
結果によれば、フイブロインはポリスチレン、テ
フロン等の1/3〜1/4の蛋白吸着量しか示さない)
によるものと思われるが、もともと非特異的吸着
を生じ難いということに加えて、若干生じ得る非
特異的吸着についても、血清アルブミン等を用い
る通常の吸着防止(ブロツキング)処理によつて
これを容易に抑止できることは勿論のこと、特筆
すべきこととして、その際のブロツキング効果が
他のポリマーの場合とは異なり極めて高濃度の被
吸着物(例えば酵素標識抗体)の存在下でも殆ん
ど損われることがないという特長があり(試験例
1あるいは試験例3参照)、かくして本発明の固
定化抗体によれば、前記した如き非特異的吸着に
基づく定量阻害等を実際上何ら心配することな
く、しかも高濃度標識物溶液の使用が可能となつ
たことから高い測定感度・精度を以て測定を行う
ことができる。 また、この高濃度標識物溶液の使用が可能とな
つたことは、免疫化学的測定における有用な測定
手法の一つである一段サンドイツチ法
(Simultaneous Sandwich Assay)を実施する
際にも大変有利であり、例えば被検抗原の予想さ
れる最高濃度にも十分対応し得る高濃度の標識物
溶液を検出試薬として用いることにより、仮りに
被検抗原の濃度が大幅に変動するようなことがあ
つたとしても、従来のように試薬濃度が足りない
ために検液の稀釈、再測定等が必要となるといつ
たような面倒がなく、これに対処することができ
る。 本発明の固定化抗体のさらに他の特長として、
包括用ポリマーのフイブロインが、凝固不溶化に
際して、機械的強度にすぐれたマトリツクスを形
成し、抗体を強固に包括ないし固着することか
ら、その抗体固定化強度が良好であるということ
を挙げることができる。この結果、例えば吸着法
によるもののように、抗体固定化強度が弱く抗体
が担体から遊離、脱落し易いために使用条件
(PH、イオン強度等)がある程度限定されたり、
あるいは取扱いに細心の注意を要するなどの制約
を受けるようなことがない。また、この抗体固定
化強度にすぐれるとの点は、本発明の固定化抗体
の場合に非特異的吸着物による定量阻害等が少な
いということにも寄与しており、前記の如く本発
明の固定化抗体の場合、もともと非特異的吸着が
生じ難くかつ有効なブロツキングが可能であると
の特長を有する上に、たとえ若干の吸着物が生じ
たとしても、固定化された抗体の脱落を何ら心配
することなく該吸着物を強い条件下に消浄除去す
ることが可能であるので定量阻害等は最小限度に
まで抑止される。そしてこれらの利点を煩雑な化
学的結合法によらずして達し得ることは、実際面
からみて極めて有用である。 さらに、本発明の固定化抗体は保存安定性にも
すぐれており、例えば吸着法による固定化抗体
が、45℃×65%RHの条件下3ケ月の保存で大巾
な活性低下を来すのに対して、本発明の固定化抗
体は同様の条件下に6ケ月保存しても殆んど活性
低下を来さない(試験例4参照)。 本発明の固定化抗体を免疫学的測定法に基づく
抗原の定量に適用する場合、測定法としては、競
争反応法、サンドイツチ法等によるラジオイムノ
アツセイあるいはエンザイムイムノアツセイなど
通常用いられる方法のいずれもが使用可能であ
る。 本発明の固定化抗体は、必要ならば吸着型固定
化抗体等で通常用いられている方法、例えば0.5
%牛血清アルブミン生理食塩水溶液を用いる方法
等によつて予めブロツキング処理される。ただ、
検体が血清である時には該血清由来の蛋白によつ
て、ブロツキングは実際上ほぼ完全と看做し得る
程度にまで進行するので、かかる場合には事前の
ブロツキング処理は必ずしも必要ではない。しか
しそのような場合にも、勿論事前のブロツキング
処理を行うことは何ら差し支えなく、またこれに
よつてしばしばより好ましい結果が得られる。 以下に、製造例、実施例および試験例を挙げ
て、本発明をさらに具体的に説明する。 なお、以下の説明に於て、濃度に関する限り%
はすべて重量%を意味する。また、本明細書に於
て、結晶化度とは次の如く測定され、かつ定義さ
れるものである。 結晶化度を測定しようとするフイブロインフイ
ルム(被検フイルム)と、対照として4℃×55%
RHの条件でフイブロイン水溶液から乾燥成膜化
した略々無定形のフイブロインフイルム(対照フ
イルム)にそれぞれCuKα線を照射し赤道方向の
回折強度を記録して得られるX線広角回折チヤー
ト(第1図)に於て、2θ=15゜と30゜の強度を直線
で結び、この直線と被検フイルムの回折強度曲線
aとで囲まれた部分の面積をA、また上記直線と
対照フイルムの回折強度曲線bとで囲まれた部分
の面積をBとすると、結晶化度(%)は次式で表
わされる。 結晶化度(%)=A−B/A×100 なお、上記に於てはフイルムを例にとつて説明
を行つたが、粉末状あるいは顆粒状など他の形態
のフイブロインの結晶化度も上記に準じて測定さ
れる。 製造例 1 フイブロイン水溶液の調製 生糸100gを1.0%のマルセル石けん水溶液5
中に浸漬し、80℃で3時間精練した後、0.5%の
マルセル石けん水溶液3中同温度でさらに3時
間精練を行い、次いで水洗、乾燥して、セリシン
等が除去され実質的にフイブロインのみよりなる
繊維71gを得た。 別に、水75gとエチルアルコール60gをニーダ
ーに入れ、これに塩化カルシウム100gを添加し
て混和・溶解し、この溶液を75℃に昇温した後、
上記のフイブロイン繊維50gを投入し、1時間撹
拌溶解した。 ここで得られたフイブロイン溶解液を、75℃の
温水150gで稀釈し、室温まで放冷した後、ホロ
フアイバー型の透析器を用いて流水に対して透析
脱塩し、濃度5.5%のフイブロイン水溶液830mlを
得た。この水溶液の塩化カルシウムの残留量は
0.08%であつた。 以下の試験例1および各実施例に於ては、この
試験例1によりあるいはそれと同様にして得られ
た5.5%フイブロイン水溶液(またはその稀釈液
もしくは濃縮液)を用いてそれぞれフイブロイン
フイルムおよび固定化抗体を製造した。 試験例 1 フイブロインによる蛋白(酵素標識抗体)の
非特異的吸着 (1) 供試試料 (イ) フイブロインフイルム 5.5%フイブロイン水溶液を濃縮して得ら
れた13.5%フイブロイン水溶液100重量部に
グリセリン4重量部を混合した液をアクリル
板上に流延し、22℃で風乾して厚さ120μm
のフイブロインフイルムを得た。このフイブ
ロインフイルムについて前述の方法(但し、
理学電機(株)製Geiger Flex2027使用。
CuKα・40KV、20mA。以下の各実施例に
於ても同様)によりその結晶化度を求めたと
ころ37%であつた。ここで得られたフイブロ
インフイルムを、0.5%牛血清アルブミン生
理食塩水溶液中に22℃で60分間浸漬してブロ
ツキングを行つた後試験に供した。 (ロ) 酵素標識抗体 モノクローナル抗ヒトα−フエトプロテイ
ン抗体(免疫動物:マウス)の西洋ワサビペ
ルオキシダーゼ標識物〔酵素標識は、ジヤー
ナル・オブ・ヒストケミストリー・エンド・
サイトケミストリー(Journal of
Histochemistry and Cytochemistry)第22
巻、1084頁(1974年)に記載の方法に準じて
過ヨウ素酸酸化法により行つた。以下の各実
施例、試験例に於ても同様〕 (2) 試験方法 ヒト血清10%を含む0.1%牛血清アルブミン
生理食塩水溶液に、酵素標識抗体を、0、
0.048、0.24、1.2、6.0または30μg/mlの濃度
となるように溶解した溶液のそれぞれ0.5mlを、
内径8mmのガラス試験管に入れ、これに1cm×
0.5cmの大きさに裁断したフイブロインフイル
ムを1枚ずつ浸漬し、22℃で2時間静置した。 次に溶液を吸引除去し、0.1%牛血清アルブ
ミン生理食塩水溶液1mlを入れ、十分振り混ぜ
た後、これを再び吸引除去した。この操作を4
回繰り返した後、フイルムをイオン交換水で3
回洗浄し、別に準備した内径15mmのガラス試験
管に入れた。 次いでこの試験管に、o−フエニレンジアミ
ンと過酸化水素をそれぞれ16.7mMおよび2.45
mMの濃度で含むクエン酸緩衝液(クエン酸−
リン酸ニナトリウム、PH5.5)1mlを入れ、22
℃で暗所に1時間静置して酵素応を行わしめた
後、1規定硫酸1mlを加えて反応を停止させ
た。この反応液について492nmにおける吸光
度Abs 492(フイルムの酵素活性、従つて酵素
標識抗体の非特異的吸着量を反映する値)を測
定した(n=3)。 (3) 結果 結果を第1表に示した。
【表】 上表に於て、標識抗体濃度0.048μg/mlは、
通常の吸着型固定化抗体を用いた免疫化学的測
定に於て一般的に採用されている標識抗体の濃
度に相当するものであるが、フイブロインの場
合、該濃度域からその数百倍以上に及ぶ高濃度
域に至るまで特に著しい吸光度(Abs492)の
増加は認められず、また後に述べる試験例3の
結果とも考え併せれば、高濃度域、例えば30μ
g/ml、における吸光度(Abs492)も測定感
度に何らの影響も及ぼさない程の僅少なもので
あることが明らかであつて、非特異的吸着が生
じ難い(ないしはその抑止が有効に行われてい
る)ことがわかる。 なお比較のため、吸着型固定化抗体の担体と
して汎用されているポリスチレン(粗面加工を
した直径6.35mmのボールを0.5%牛血清アルブ
ミン生理食塩水溶液でブロツキングしたものを
使用)について、上記と同様の吸着試験を行つ
た結果では、標識抗体濃度1.2μg/ml以上で著
しい吸光度(Abs492)の増加がみられ、6お
よび30μg/mlにおける値はそれぞれ0.121およ
び0.496にも達することが明らかとなつた。 実施例 1 モノクローナル抗ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン
抗体(免疫動物:マウス。以下、ヒト絨毛性性腺
刺激ホルモンをhCGと表記する)100mg、5.5%フ
イブロイン水溶液9.1gおよびグリセリン175mgを
充分混合し、この混合液をガラス板上に流延し、
15℃で15時間風乾して皮膜化した。 ここで得られたモノクローナル抗hCG抗体固定
化フイブロインフイルムは、厚さ40μmの柔軟性
に富むフイルムであり、その結晶化度は37%であ
つた。 この実施例1の本発明固定化抗体を用いて以下
の各試験を行つた。 試験例 2 表面固定化量の測定 (1) 供試試料 実施例1の本発明固定化抗体および比較のた
め調製した以下の比較例1〜3の固定化抗体。 比較例 1 実施例1で用いたのと同様のモノクローナル
抗hCG抗体を20mg/mlの濃度で含む生理食塩水
溶液5mlと濃度5%の酢酸セルローステトラハ
イドロフラン溶液10gとを混合した。 この混合液をアクリル板上に流延し、15℃で
15時間風乾し皮膜化して、モノクローナル抗
hCG抗体を含む酢酸セルロースフイルム(厚さ
45μm)を得た。 比較例 2 比較例1と全く同様のモノクローナル抗hCG
抗体生理食塩水溶液5mlと5%ポリビニルアル
コール水溶液10gとを混合した。 この混合液をアクリル板上に流延し、15℃で
15時間風乾して皮膜化し、さらに200℃で5分
間熱処理を行つてモノクローナル抗hCG抗体を
含むポリビニルアルコールフイルム(厚さ55μ
m)を得た。 なお、上記の15℃での乾燥を行つた直後のフ
イルムは、水(約25℃)浸漬後速やかに溶解
し、全く耐水性を示さなかつた。 比較例 3 アクリルアミド1.8gおよびN,N′−メチレ
ンビスアクリルアミド0.2gを水8mlに溶解し
た溶液に、実施例1で用いたのと同様のモノク
ローナル抗hCG抗体400gを加えて溶解し、次
いで過硫酸カリウム4mgと亜硫酸水素ナトリウ
ム2mgとを含む水溶液1gを添加混合した後、
この混合液をアクリル板上に流延したところ、
約10分後に重合が始まりゲル化した。これをそ
のまま一晩放置してゲル状の固定化抗体(厚さ
0.25mm)を得た。 (2) 試験方法 試料を1cm×0.5cmの大きさに裁断し、生理
食塩水で洗浄した後、この試料片の1枚宛を、
抗マウスIgG抗体(マウスのIgGで免疫した家
兎の血清よりIgG画分として精製したコンベン
シヨナル抗体)の西洋ワサビペルオキシダーゼ
標識物を50μg/mlの濃度で含む0.1%牛血清ア
ルブミン生理食塩水4ml中に浸漬し、4℃で24
時間反応させた(n=4)。次いで、この試料
片を生理食塩水で充分洗浄して未反応の抗マウ
スIgG抗体−ペルオキシダーゼ標識物を除去し
た後、基質としてo−フエニレンジアミンと過
酸化水素とをそれぞれ16.7mMおよび2.45mM
の濃度で含むクエン酸緩衝液(クエン酸−リン
酸ニナトリウム混合液、PH5.5)4ml中に入れ
て25℃で5分間酵素反応を行わしめ、3.4規定
の硫酸2mlを加えて反応を停止させた。この反
応液について492nmにおける吸光度を測定し、
該吸光度と別に作成した検量線とから試料に結
合したペルオキシダーゼ量を求め、この酵素量
をさらに抗体量に換算した。 (3) 試験結果 結果を第2表に示した。
【表】 信頼性のある値は得られなかつた。
第2表の結果から明らかな通り、フイブロイ
ンを包括用ポリマーとして用いる本発明の固定
化抗体は、他種ポリマーによつて包括固定化し
たものに比べて表面固定化量が大であつて、免
疫化学的測定に適用した場合、高い測定感度・
精度を達することが可能である。 なお、第2表に於ける表面固定化量は、抗マ
ウスIgG抗体(免疫動物:ウサギ)に対する固
定化抗体の結合能から求めたものであるが、該
数値とhCGそれ自体に対する固定化抗体の結合
能とが良い相関を示すことは別に行つた実験に
よつて確かめられた。 試験例 3 感度の測定 (1) 供試試料 実施例1の本発明固定化抗体 (2) 試験方法 試料を1cm×0.5cmの大きさに裁断し、この
試料片を、hCGを0〜1000mIU/mlの範囲の
種々の濃度で含有する0.1%牛血清アルブミン
生理食塩水溶液のそれぞれ0.5ml中に1枚宛浸
漬し(但し、同一濃度についてn=5)、25℃
で1時間反応せしめた。次いで、各試料片を生
理食塩水で充分に洗浄して未結合のhCGを除去
した後、抗hCG抗体(hCGで免疫した家兎の血
清よりIgG画分として精製したコンベンシヨナ
ル抗体)の西洋ワサビペルオキシダーゼ標識物
を10μg/mlの濃度で含有する0.1%牛血清アル
ブミン生理食塩水溶液0.5ml中に浸漬し、25℃
で1時間反応後、未結合のペルオキシダーゼ標
識物を生理食塩水で洗浄除去した。 この試料片について、試験例2と同様の酵素
反応を行い、反応液の492nmにおける吸光度
を測定した。 (3) 試験結果 被検液のhCG濃度(mIU/ml)と吸光度
(Abs492)との関係を第2図に示した。 第2図の結果から、本発明の実施例1の固定
化抗体の場合、hCG濃度10mIU/mlにおいて
吸光度は平均0.105になる値を示し、ブランク
(hCG濃度OmIU/ml)の吸光度(平均0.054)
との間に99%の信頼限界で有意差が認められ、
hCGの最小検出濃度(感度)が10mIU/mlも
しくはそれより低濃度域にあることがわかる。 hCGの測定感度については、通常の妊娠診断
に対しては1000mIU/ml程度が、また早期妊
娠診断には10mIU/ml程度がそれぞれ必要と
云われているが、本発明の実施例1の固定化抗
体は、前者は勿論のこと後者の早期妊娠診断に
も使用可能である。 なお、前記試験例2で用いたポリビニルアル
コールを包括用ポリマーとする固定化抗体(比
較例2)について同様に測定感度を調べた結果
では、該固定化抗体は早期妊娠診断には到底適
用困難な低い感度しか示さなかつた。 試験例 4 保存安定性試験 (1) 供試試料 実施例1の本発明固定化抗体(1cm×0.5cm
の大きさに裁断して使用)および比較のため調
製した下記の比較例4(吸着法)の固定化抗体。 比較例 4 ポリ塩化ビニルフイルム(厚さ120μm)を
1cm×0.5cmに裁断し、実施例1で用いたのと
同様のモノクローナル抗hCG抗体を10μg/ml
の濃度で含む生理食塩水溶液2ml中に浸漬し、
4℃で24時間放置して抗体を吸着させた後、未
吸着の抗体を生理食塩水で洗浄除去して吸着型
の固定化抗体を得た。 (2) 試験方法 試料を4℃×65%RHまたは45℃×65%RH
の雰囲気中に放置し、経時的にサンプリングし
て、表面固定化量の変化と、濃度100mIU/ml
の標準hCG溶液(0.1%牛血清アルブミン生理
食塩水溶液)の濃度測定における吸光度(見掛
けのhCG濃度測定値に相当)の変化を追跡し
た。 表面固定化量および吸光度(Abs492)の測
定は、それぞれ試験例2および試験例3と同様
にして行つた。 (3) 試験結果 結果を第3表に示した。
【表】 上表から明らかな通り、吸着法による固定化
抗体(比較例4)は、45℃×3ケ月の保存で活
性が急減し、4℃においてさえ6ケ月後には大
巾な活性低下を来すが、一方本発明の固定化抗
体(実施例1)は、45℃で6ケ月経過後も初期
の活性を保持しており、保持安定性に極めてす
ぐれている。 試験例 5 抗体固定化強度 実施例1の固定化抗体を1cm×0.5cmに裁断し、
この試料片をPH5.3、6.8、および8.1の3種の
0.2Mリン酸緩衝液のそれぞれ5ml中に1枚ずつ
浸漬し25℃で24時間振盪した後、試験例2と同様
にして表面固定化量を測定し、浸漬前の値と比較
したところ、いずれのPHの場合も表面固定化量の
減少は認められず、本発明の固定化抗体が、通常
の免疫学的測定の条件下では抗体の遊離、脱落等
の惧れのないすぐれた抗体固定化強度を有するこ
とが確認された。 また、実施例1の固定化抗体を、荷重1Kg/cm2
で濾紙間で3回擦過した後表面固定化量を測定し
たところ、擦過による該数値の低下(抗体の脱
落)は殆んど認められなかつた。なお、前記の試
験例4で調製した比較例4の固定化抗体(吸着型
固定化抗体)について、上記と同様の試験を行つ
たところ、濾紙間での擦過によつて吸着抗体の80
%以上が落脱してしまい、また緩衝液中の振盪試
験でもかなりの脱落が認められ、特にPH6.8およ
び8.1ではいずれも25%以上の抗体が脱落した。 実施例 2 5.5%フイブロイン水溶液を水で稀釈して濃度
1.0%としたものに、モノクローナル抗hCG抗体
(実施例1に同じ)をフイブロイン(固形分)に
対して100重量%の割合で溶解し、この溶液に直
径6.35mmのポリスチレン製ボール(重量約145
mg/個)を添加し、30℃×70%RHの雰囲気下に
充分撹拌しつつ乾燥して、ボール表面にモノクロ
ーナル抗hCG抗体を含むフイブロイン皮膜(マト
リツクス)を形成せしめた。コーテイング終了
後、ボールの一部をサンプリングし、絶乾して重
量増加率を求めたところ0.65%であつた。 ここで得られた固定化抗体について、試験例2
に準じて有効固定化量を求め、0.132μg/cm2なる
値を得た。この結果から、本実施例の固定化抗体
の場合、実施例1のそれと比較して、約半分の抗
体使用量で約1.5倍の表面固定化量が得られるこ
とがわかる。 実施例 3 モノクローナル抗hCG抗体に代えてモノクロー
ナル抗ヒトα−フエトプロテイン抗体(免疫動
物:マウス)を用いるほかは実施例2と同様にし
て、ポリスチレン製ボールの表面にモノクローナ
ル抗ヒトα−フエトプロテイン抗体を含むフイブ
ロイン皮膜(マトリツクス)を形成せしめた固定
化抗体を得た。この固定化抗体の有効固定化量を
試験例2に準ずる方法により測定したところ
0.129μg/cm2であつた。 また、試験例3と同様にして(但し、hCGに代
えてα−フエトプロテインを、また抗hCG抗体−
ペルオキシダーゼ標識物に代えて固定化したモノ
クローナル抗体と認識部位の異なるモノクローナ
ル抗ヒトα−フエトプロテイン抗体のペルオキシ
ダーゼ標識物をそれぞれ使用した)α−フエトプ
ロテインに対する測定感度(最小検出濃度)を求
めたところ10ng/ml以下であつた。 この測定感度はヒト血清中のα−フエトプロテ
インの異常値を検出するのに充分なものである。 実施例 4、5、6 第4表に示す抗体のいずれか1種100mg、5.5%
フイブロイン水溶液14.5gおよびグリセリン240
mgを充分を混合して得られた混合物をガラス板上
に流延し、25℃で10時間風乾して皮膜化し、第4
表に示す3種の固定化抗体を得た。
【表】 註 (a) モノクローナル
(b) 試験例1に準じて測定した。
実施例 7 モノクローナル抗ヒトα−フエトプロテイン抗
体(免疫動物:マウス)1mg、5.0%フイブロイ
ン水溶液2gおよびグリセリン30mgを混合し、シ
ヤーレーに入れた。これに多孔性硝酸セルロース
膜(基体:東洋濾紙社製、膜厚140μm、孔径0.2μ
m、25mm×25mm)を1分間浸漬したのち、28℃で
20時間風乾して、基体と一体となつた形態の固定
化抗体(膜)を得た。 上記多孔性硝酸セルロース複合膜は、α−フエ
トプロテインの免疫化学的測定法における固定相
として使用できる。 実施例 8 モノクローナル抗ヒトα−フエトプロテイン抗
体(免疫動物:マウス)1mg、2.0%フイブロイ
ン水溶液2gおよびグリセリン10mgを混合し、シ
ヤーレーに入れた。これにポリエステル製メツシ
ユ(基体:日本特殊織物社製T−No.390S、厚み
49μm、40mm×40mm)を1分間浸漬したのち、28
℃で20時間風乾して、基体と一体となつた形態の
固定化抗体(膜)を得た。 上記メツシユ複合膜は、α−フエトプロテイン
の免疫化学的測定法における固定相として使用で
きる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、フイブロインの結晶化度測定のため
のX線広角回折チヤートの一例を示すものであ
り、aは被検フイブロインフイルムの、またbは
対照の無定形フイブロインフイルムの回折強度曲
線である。第2図は、本発明の固定化抗体(実施
例1)を固定相とするサンドイツチ法を用いエン
ザイムイムノアツセイによりhCGを測定した場合
に於ける検液中のhCG濃度と対応する酵素反応液
(発色液)の吸光度Abs492との関係を示す線図で
ある。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 抗体がフイブロインマトリツクス中に包括固
    定化されていることを特徴とする、免疫化学的測
    定法における固定相としての固定化抗体。 2 フイブロインの結晶化度が約20%以上である
    特許請求の範囲第1項記載の固定化抗体。 3 形状がフイルム状である特許請求の範囲第1
    項または第2項記載の固定化抗体。 4 形状が粉末状または顆粒状である特許請求の
    範囲第1項または第2項記載の固定化抗体。 5 形状が繊維状である特許請求の範囲第1項ま
    たは第2項記載の固定化抗体。 6 抗体を包括固定化したフイブロインマトリツ
    クスが不溶性の基体上に形成され、該基体と一体
    化されている特許請求の範囲第1項または第2項
    記載の固定化抗体。 7 不溶性の基体がガラスまたは有機高分子の成
    型物である特許請求の範囲第6項記載の固定化抗
    体。
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