JPH0318531Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案は、流体噴射式無ひ織機の多色よこ入れ
制御に関する。

〔従来の技術およびその欠点〕

この種の多色よこ入れ装置として、レピア織機
用のものがよく知られている。レピア織機用の多
色よこ入れ装置は、ある決まつた織機の回転角
で、各よこ糸に対応して電磁プランジヤを動作
し、この動きを受けて機械的に各よこ入れ機構の
タイミングを設定している。このため、最適なよ
こ入れタイミングは、機械的な部分を調整しなけ
ればならず、操作性の点で問題がある。また寸
動、逆転運転時においても、不要なよこ入れが避
けられず、省力化および操作性の向上を目的とす
る高速流体噴射式織機の多色よこ入れ制御として
不向きである。

一方、ドラム式よこ糸測長貯留装置は、回転ヤ
ーンガイドの回転運動により、よこ糸をドラム外
周面に巻き付け、よこ入れ時には適宜なタイミン
グで係止ピンが進退運動をすることによつて、ド
ラムの外周面から、よこ糸を一定量だけ解舒して
いる。この係止ピンの進退運動は、ソレノイドな
どによつて電気的に駆動できる状態にある。ま
た、よこ入れ用のメインノズルに対する流体の制
御も、機械的な操作弁に変わつて、制御の簡単な
電磁弁が用いられるようになつている。

ところで、特開昭59−36753号公報や実開昭59
−193882号公報に係止ピンやよこ入れノズルをよ
こ糸の選択に関連させることが記載されている
が、機械的な制御系によつて実現しているため、
調整が容易でなく、しかも構造が複雑である。

〔考案の目的〕

したがつて、本考案の目的は、多色よこ入れ時
において、よこ糸選択装置の電気的な信号を利用
して、それぞれのよこ糸測長貯留装置の係止部材
およびよこ入れ用ノズルの電磁弁を電気的に制御
できるようにすることにより、よこ入れ時のタイ
ミング調整を自由かつ簡便にし、安定なよこ入れ
を実現することである。

また他の目的は、不良よこ糸の補修時などの寸
動運転、あるいは逆転運転時に、よこ糸の解舒を
禁止して、不必要なよこ入れを禁止することによ
り、そのときの操作性の向上および省力化を図る
ことである。

〔考案の概要〕

そこで、本考案は、よこ糸選択装置の出力信
号、すなわちよこ糸選択信号を利用し、これを入
力として、よこ糸の種類ごとに設けられた係止ピ
ンなどの係止部材駆動装置およびよこ入れ流体制
御用の電磁弁駆動装置を動作させている。この係
止部材駆動装置は、よこ糸選択信号の他、係止部
材タイミング信号、および織機運転信号を入力と
し、それらのアンド条件のもとに、選択されたよ
こ糸に対応する係止部材のソレノイドのみを選択
順序に基づいて駆動していく。この織機の運転信
号が入力となつているため、係止部材の進退運動
は、織機の運転期間中にのみ動作し、その他の状
態例えば寸動運転や逆転運転時に動作しない。ま
た電磁弁駆動装置は、よこ糸選択信号と、電磁弁
タイミング信号とをアンド条件のもとに入力して
いるため、選択されたよこ糸と対応するよこ入れ
用ノズルの電磁弁を選択順序に基づいて順次駆動
していく。

〔実施例〕 まず、第１図は、本考案の前提となるドラム式
の測長貯留装置１を示している。

このドラム式の測長貯留装置１は、選択的によ
こ入れすべきよこ糸２ごとに設けられており、対
応のよこ糸２を給糸体３から引き出し、回転ヤー
ンガイド４の回転運動によつて、係止部材として
の係止ピン６の進行中に、よこ糸２を測長貯留用
のドラム５の外周面に順次巻付け、よこ入れ開始
時には、よこ糸の種類に応じてあらかじめ設定さ
れた解除タイミングで、係止ピン６が後退して、
ドラム５の外周に巻き付けられているよこ糸２を
解舒し、１ピツク長さ分だけ解舒した後、係止ピ
ン６が進出してよこ糸２を係止する。ここで、よ
こ入れノズル７は、流体を噴射することによつ
て、その解舒状態のよこ糸２を流体とともにたて
糸開口中によこ入れする。上記回転ヤーンガイド
４は、織機の駆動源、また専用のモータ８によつ
て駆動される。上記係止ピン６は、ソレノイド９
によつて駆動され、またよこ糸２の種類に対応す
るよこ入れノズル７の流体は、電磁弁１０によつ
て制御される。

そして、これらのソレノイド９および電磁弁１
０は、本考案の多色よこ入れ制御装置１１の制御
下に置かれている。

この多色よこ入れ制御装置１１は、第２図に示
すように主要部として、よこ糸選択装置１２、係
止部材駆動装置１３および電磁弁駆動装置１４を
備えている。

よこ糸選択装置１２は、よこ糸２の種類ごとに
あらかじめ設定されたよこ入れパターンを記憶し
ており、織機の１回転信号Ａを入力として、よこ
入れすべきよこ糸２に対応するよこ糸選択信号Ｃ
を順次発生していく。このときの歩進方向は、織
機の回転方向信号Ｂによつて設定される。織機が
よこ入れ不良糸の補修時などのように逆転したと
き、よこ糸選択装置１２は、逆歩進することによ
つて、よこ入れパターンと織機の位相とを常に一
致させている。

また係止部材駆動装置１３および電磁弁駆動装
置１４は、上記よこ糸選択信号Ｃの他、それぞれ
係止部材タイミング信号Ｄ、電磁弁タイミング信
号Ｅを入力とし、それらの間でアンド条件を取り
ながら、出力側で、よこ糸２の数と対応する複数
の係止ピン６、電磁弁１０の１つを選択し、それ
らのオン・オフ状態を制御している。

この係止部材タイミング信号Ｄおよび電磁弁タ
イミング信号Ｅは、それぞれ比較器１５，１６に
よつて与えられる。これらの比較器１５，１６
は、よこ糸２の種類ごとに設けられており、一方
の入力側で、織機のクランク軸２０に連結された
クランク角検出器１７に接続されており、また他
方の入力側で、よこ糸２の種類ごとに設けられた
タイミング設定器１８，１９に接続されている。
これらのタイミング設定器１８，１９は対応のよ
こ糸２の種類ごとに、ソレノイド９または電磁弁
１０のオンの回転角およびそれらのオフの回転角
に対応する固有レベルの信号を発生し、それぞれ
の比較器１５，１６に送り込んでいる。

なお、上記係止部材駆動装置１３は、織機の制
御装置などから、織機運転信号Ｆをも入力とし、
他の信号との間でアンド条件を取つている。

織機が運転状態にあるとき、よこ糸選択装置１
２は、織機の１回転信号Ａと“Ｈ”レベルの回転
方向信号Ｂとを入力とし、記憶中のよこ入れパタ
ーンを織機の回転に合わせて順次呼び出し、選択
すべきよこ糸２に対応する固有のよこ糸選択信号
Ｃを発生し、係止部材駆動装置１３および電磁弁
駆動装置１４に順次送り込んでいる。

そこで係止部材駆動装置１３は、よこ糸選択信
号Ｃ、係止部材タイミング信号Ｄおよび“Ｈレベ
ル”の織機運転信号Ｆを入力として、よこ糸選択
信号Ｃによつて指定された係止ピン６のソレノイ
ド９を択一的に駆動し、その係止ピン６に進退運
動を与える。この係止ピン６の解除タイミングお
よび係止タイミングは、係止部材タイミング信号
Ｄの例えば立ち上がりおよび立ち下がりとそれぞ
れ対応しており、タイミング設定器１８によつ
て、予め適切な角度に設定される。すなわち、比
較器１５は、タイミング設定器１８によつて与え
られた後退、および進出時の回転角と織機のクラ
ンク角信号Ｇとを入力とし、後退回転角から係止
のための進出回転角例えば90度から250度の区間
で“Ｈレベル”の信号を発生することによつて、
この“Ｈレベル”の区間で係止ピン６を後退さ
せ、よこ糸２をドラム５の外周で解舒させる。

同様に、電磁弁駆動装置１４は、よこ糸選択信
号Ｃによつて選択された電磁弁１０を電磁弁タイ
ミング信号Ｅの“Ｈレベル”の区間について開放
状態とする。このようにして、よこ入れノズル７
は、よこ入れ期間の開放タイミングで流体を噴射
し始め、解舒状態のよこ糸２をその流体ととも
に、たて糸開口中によこ入れしていく。

もちろん、このよこ入れ開始における係止ピン
６の解除タイミングおよび電磁弁１０の開放タイ
ミングは、それぞれタイミング設定器１８，１９
の設定角度を電気的に調整することによつて、よ
こ糸２の種類ごとに独立に設定されている。

（他の実施例） 上記実施例は、係止部材タイミング信号Ｄ、お
よび電磁弁タイミング信号Ｅの“Ｈレベル”から
“Ｌレベル”に立ち下がる時点、つまりソレノイ
ド９および電磁弁１０のオフ時点をタイミング設
定器１８，１９によつて設定しているが、このオ
フ時点はよこ入れ開始時点から所定の時間を経過
した時点にタイマーなどで設定するか、またはセ
ンサーなどによつて、ドラム５の周面からよこ入
れに必要な巻数のよこ糸２が解舒された時点を基
準として設定するようにしてもよい。したがつ
て、係止部材タイミング信号Ｄや電磁弁タイミン
グ信号Ｅは、それぞれ少なくとも、解除タイミン
グや開放タイミングを規制する信号レベルを含ん
でおればよい。

なお、一例として、係止部材が係止ピン６のと
き、よこ糸２が容易に係止ピン６からはずれるよ
うに、解除タイミングの方が開放タイミングより
も早く設定される。

しかし、よこ入れノズル７は常時微弱な噴射を
しているため、よこ糸２が過剰に出ていかないよ
うに、相対時間は極力短く設定される。

また、係止部材が後述のクランパーのとき、圧
力流体が安定したときによこ入れされるように開
放タイミングの方が早く設定される。

しかし、係止状態で流体に晒される時間が長く
なると、よこ糸２が損傷するので適宜な時間に設
定される。

上記実施例は、ドラム固定式のドラム式測長貯
留装置１を前提としているが、このドラム式測長
貯留装置１は、例えば特開昭56−26038号に示さ
れているように回転ドラム式として、あるいは特
開昭57−29640号のようなフイーダタイプのもの
として構成することもできる。

さらに、本考案のよこ入れ制御装置１１は、特
開昭56−9449号に示されているような空気貯留式
（プールケースタイプ）、あるいは特開昭52−
155258号のような回転ドラム内貯留式（ブロウタ
イプ）のものにも適用できる。上記の各式のもの
では、よこ糸の係止および解舒がクランパーによ
つて行われるから、このクランパーは、前記実施
例の係止ピン６と均等であり、それらは、ともに
係止部材ということになる。

〔考案の効果〕

本考案では、下記のような特有な効果が得られ
る。

多色よこ入れ制御において、よこ入れタイミン
グが電気的に制御できるため、複数のよこ糸のよ
こ入れタイミングの調整が容易である。特に電磁
弁の開放タイミングおよび係止ピンの解除タイミ
ングの２つの調整要素の組み合わせによつて、複
数のよこ糸についてそれぞれ最適なよこ入れタイ
ミングの設定が可能となる。

また係止部材駆動装置が織機運転信号をも１つ
のアンド条件として入力しているため、織機の運
転状態以外のとき、すなわち、よこ糸の補修など
の寸動運転時、あるいは逆転運転時に係止部材の
進退運動が禁止されているため、無駄なよこ入れ
が行われず、省力化および操作性が向上すること
になる。

特に、電磁弁の開放タイミングと係止部材の解
除タイミングとが、よこ糸の種類毎にそれぞれ独
立して設定できるので、よこ糸種類に対応した最
適なタイミングでよこ入れ動作を行うことができ
る。もつて、安定した多色よこ糸を実現すること
ができる。すなわち係止解除と噴射開始との相対
時間に影響を与えることなく、よこ入れ開始時期
を早くしたり、遅くしたりすることができる。ま
た、必要に応じ、上記の相対時間を、よこ入れ開
始時期と独立して、よこ糸の種類に対応させて設
定することもできる。

例えば、毛羽の多い糸は、たて糸に引つ掛かり
易いので、開口が充分に形成されたときによこ入
れを開始する。このため、解除タイミングおよび
開放タイミングはともに遅くなる方向へ設定す
る。また、飛びにくい糸は、必然的によこ入れ時
間が余計にかかるので、よこ入れ開始時期を早め
にする。そこで、解除タイミングおよび開放タイ
ミングはともに早くなる方向へ設定することにな
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はドラム式測長貯留装置の側面図、第２
図は本考案の多色よこ入れ制御装置のブロツク線
図である。 １……ドラム式測長貯留装置、２……よこ糸、
３……給糸体、４……回転ヤーンガイド、５……
ドラム、６……係止ピン、７……よこ入れノズ
ル、９……ソレノイド、１０……電磁弁、１１…
…多色よこ入れ制御装置、１２……よこ糸選択装
置、１３……係止部材駆動装置、１４……電磁弁
駆動装置。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 係止部材でよこ糸を係止しながら測長貯留し、
   よこ入れ時によこ糸の係止を解除する測長貯留装
   置と、電磁弁によつて制御される流体とともによ
   こ糸をたて糸開口中によこ入れするよこ入れノズ
   ルとをよこ糸の種類に対応して設けるとともに、
   織機の回転角に応じてよこ糸選択信号を順次発生
   するよこ糸選択装置を備える流体噴射式織機にお
   いて、 よこ糸の種類に対応して設けられ係止部材の少
   なくとも解除タイミングを設定するタイミング設
   定器と、 よこ糸の種類に対応して設けられ係止部材タイ
   ミング信号を発生する比較器と、上記よこ糸選択
   装置からのよこ糸選択信号、上記比較器からの係
   止部材タイミング信号および織機運転信号を入力
   として選択されたよこ糸に対応する測長貯留装置
   の係止部材を選択されたよこ糸に対応する解除タ
   イミングで操作する係止部材駆動装置と、 よこ糸の種類に対応して設けられた電磁弁の少
   なくとも開放タイミングを設定するタイミング設
   定器と、 よこ糸の種類に対応して設けられ電磁弁タイミ
   ング信号を発生する比較器と、 上記よこ糸選択装置からのよこ糸選択信号およ
   び比較器からの電磁弁タイミング信号を入力とし
   て選択されたよこ糸に対応するよこ入れノズルの
   電磁弁を選択されたよこ糸に対応する開放タイミ
   ングで操作する電磁弁駆動装置と を具備することを特徴とする多色よこ入れ制御装
   置。